ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

困窮の中の生きる力

2010年04月13日 | ひとりごと
ゆきよ@まにら

 日本の春はスタディツアーや研修受け入れなどで、事業地に日本の人々を案内する機会が増えます。訪問者の方々には、パヤタス地区や路上教育の事業地の現状の一部を見てもらい、感じてもらい、そこから学んでいただきます。ごみ山で働いている家庭を訪れて、その家族の一日の生活のスケジュールや子どもの教育状況、経済状況、どこから来たのか、これまでで嬉しかったこと、大変だったこと、将来の夢など、いろいろ教えてもらいます。そしてパヤタス地区について、アイキャンの活動についてもスタッフや現地の人々が説明します。

 そのような訪問の最後に、訪問者から出てくる感想は様々です。ときおり「思ったより全くだいじょうぶなんですね。」「人々や子どもたちが明るかったからびっくりしました。」などという感想も出てきます。日本ではメディアを通してセンセーショナルにごみ山近くで生活する人々の悲惨さが強調されているからでしょうか。人々はその悲惨な「貧困さ」が見られることを期待しているのでしょうか。

 しかしいわゆる「悲惨な貧困」の中にある人々の生活は、実際「あふれる活力」を感じるものだったりします。物質的に足りない生活のなかにある「豊かさ」さえ感じられたりもします。経済的な困難の中でも笑顔を忘れず、たくましく乗り越えている人々の生きる力。日々食べていくのがやっとの生活の中でも、家族そろってすごす時間が「幸せです」と言える人々の豊かさ。アイキャンの事業地で出会う人々は、人間がそもそも持っている力の大きさに感動せずにはいられない魅力にあふれています。

 もちろん経済的な困窮が実際にあることは事実です。そこには実際「悲惨で」やるせない状況が横たわっています。小学校しか終えられなかった自分とは違って、少しでも高い生活力を子どもに持たせたいと願う親が、子どもの学費を工面できずみすみす子どもに落第させるしかない悔しさや、病院代が工面できず家族が病気で命を落としたしまったときの痛み、また日々炎天下あるいは雨の中、ごみの山の上でリサイクルになるものを探す仕事をする苦労や、自分の通学費を稼ぎ出すために路上でもの売りをする子どものしんどさ。私たちはこれらをどれだけ理解できるでしょうか。しょせん1日3食べることのできる私たちの想像を超える痛みや辛さがそこにあります。どんなに私たちが理解しようとしてもしきれない絶望的とも思える断絶が私たちと事業地の人々の間にあります。

 だからこそ私たちは事業地の人々のたくましい生きる力を伝えたいと思っています。いわゆる「南の国」の悲惨な状況の前に多くの日本人は「この可哀そうな人々を助けてあげなければ」と感じます。でも実はそんな大変な状況の中にある人々から、私たちが学べることはたくさんあります。私たちアイキャンが訪問者の方々、そして日本の人々に伝えたいのは、「この可哀そうな人々を助けてください。」ということではありません。「この大変な状況の中でも頑張っている人たちがいます。みなさんも一緒に頑張りませんか。」ということです。

 アイキャンは現地の頑張っている人たちがいるからこそ、そこで活動することができています。私たち日本人にとっても事業地の人々が抱えている問題は人ごとではありません。同じ地球に住む私たちの問題がそこにあります。その問題を解決するために自分のそれぞれできることを持ち寄って一緒に頑張りませんか。そうして絶望的な断絶を一緒に超えていきませんか。そんなメッセージをこめて、私たちは今日も活動しています。

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●危機的状況に置かれた子どもたちの全国キャラバン
http://blog.goo.ne.jp/icanmanilaoffice/e/0aed3a651beabf625aef2d507bac2e4d

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http://www.ican.or.jp/street.html
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1 コメント

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Unknown (さんちゃん)
2010-04-15 21:56:38
スタツアから早1ヶ月が経ちました。
あの時たくさんのことを感じたはずなのに、日本の日常生活にすっかり馴染んでしまっている自分がいます。

自分はとても極端な性格なので、「日本で3食しっかりたべて、何不自由なく生活すること自体が悪なんじゃないか」と思ったり落ち込んだりすることもあるのですが、きっとそうではないんですよね。
スタツアで出会った方々、聞いたお話の全部はムリでも、できる限りをこれからも胸に刻んで、
ICANを通じて、「わたしにできること」をし続けていきたいなと思います。
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