ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

台風被害のその後 ~再定住地先訪問~

2009年12月24日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

台風による洪水によって橋の下の家が流された家族は、現在も中央分離帯で生活を続けています。台風からちょうど3ヶ月経ちますが、被害直後からあまり状況は変わっていません。お母さんたちが、政府と交渉を重ねた結果、再定住地先の1つの選択肢として今あがっているのが、マニラから車で3時間ほど走った山奥のこの場所、リサール州アンティポロです。台風被害を受けたコミュニティのみなさんと、視察に行ってきました。



現在私有地である土地を、政府が買い取り、台風の被害を受けたこのコミュニティの人を含め再定住地先として提供してくれることになっています。



マニラに比べ、空気もおいしく、自然豊かな場所です。しかし、まず生活を始めるためには、まず自分たちで家を建て、水のために井戸も掘らなければなりません。そして、ここで暮していく一番の問題は「仕事」です。現在コミュニティの人たちは、マニラのど真ん中で、換金出来る鉄やペットボトルを集める仕事、お手伝いさん、トライシクル(バイク)ドライバー、または、子ども達がサンパギータという花を売ったりという仕事で生計を立てています。それらの仕事は、すべてたくさんの人が集まるマニラだからこそある仕事です。



新しい仕事を見つけるまでの、失業保険なんてもちろんありません。新しい土地、山奥で「仕事を見つける」ことは出来るでしょうか。「見つける」というよりも「仕事を作り出す」と言った方がよいかもしれません。全く何もない山奥です。お母さん達からも、「仕事はやはり、マニラでして、ここに週末帰ってくる方がいいかしら」という意見も出ました。ここに毎週帰ってくるにも、交通手段は限られ、交通費だけで1日の収入は飛んでしまうでしょう。

新生活への不安の膨らむ、視察となりました。今後の方向性としては、引き続き再定住地を他の場所で探す、または、ここアンティポロでどのような仕事を作り出せるのか考えていくことになると思います。どちらも険しい道のりとなりそうです。
 


帰り道、遠くに見える、排気ガスに包まれたマニラがとてもきれいに見えました。この人たちは、こんなに遠くに追いやられてしまわなければならない存在なのでしょうか?悲しさとやりきれなさと、憤りの混じった気持ちです。

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路上の子どもが幸せに成長できるように、会員になっていただける方を募集しています。
http://www.ican.or.jp/street.html

ご寄附の受付はこちらとなります。
(認定NPOのため、5000円以上の寄付は税制優遇の対象となります。)
http://www.ican.or.jp/members.html

子どもたちの教育環境を向上させる「書き損じはがき」も募集中です。
http://www.ican.or.jp/kakisonji.html

エコポイントをアイキャンに寄付することにより、「環境xフェアトレード」を盛り上げることができます。
*詳細:エコポイントカタログ⇒「環境活動を行っている団体への寄附」⇒「 b.リサイクル廃棄物対策」⇒「K35アイキャン」へ

その他、アイキャンに関する情報はアイキャンのHPへ
http://www.ican.or.jp/

年末年始のご協力のお願い。

2009年12月13日 | お知らせ
ゆきよ@まにら

あと3週間で今年も終わりとなりました。

年末までに送付する会員・寄付者の皆様への会報、ジェネラルサントスや路上、紛争地のキッズパートナーさんへのニュースレター等が続々出来上がり、皆さんへのクリスマスプレゼント(新年祝い?)として喜んでいただけるようにと、頑張って最後の調整作業が進んでいます。

また、12月の末にはアイキャンの事業地の子どもたちがフィリピン各地から集まる子ども議会も開催され、フィリピン各地や日本からスタッフも20人以上がマニラに集まりつつあります。これに加え、決算作業や通常の事業の実施など、日本もフィリピンもかなり慌しい日々が続いています。

さて、今日はお願いがあります。実は、年末まであと3週間を切っているのですが、ICANの以下の子どもの会員さんが足りない状態となっています。

路上の子どもたち(年会費18,000円)あと6名
http://blog.goo.ne.jp/icanmanilaoffice/c/365221bb540e011eaefc6141b94414cd
ミンダナオ紛争地の子どもたち(年会費18,000円)あと7名
http://blog.goo.ne.jp/icanmanilaoffice/c/3751faa6b03e276ed4b0ed9c95ed9a0a
ブラアン族の子どもたち(年会費6,000円)あと7名
http://blog.goo.ne.jp/icanmanilaoffice/c/f495fec90051c495b15051a073fd2d22

そこで、12月中に上記の会員になっていただける方、お友達を紹介してくださる方を大募集しております。会員特典として、会員の皆様には、会報「こどものこえ」や各種報告書を送付させていただくほか、路上の子どもと紛争地の子どもの会員さんには、年2回子どもたちからメッセージも届きます。

ご協力いただける方は、下記HPからフォームを記入していただくか、事務局までご連絡いただければと思います。また、年末年始のご寄付も募集中です。こちらもあわせて、どうぞよろしくお願いいたします。

経済状態もよくない中ご寄付、会費の納入をしていただくのは恐縮ですが、どうかご協力いただければと思います。心より感謝いたします。

*認定NPOのため、5000円以上の寄付は税制優遇の対象となります。


HPフォーム
http://www.ican.or.jp/members.html
日本事務局
052-908-9314

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子どもたちの教育環境を向上させる「書き損じはがき」も募集中です。
http://www.ican.or.jp/kakisonji.html

エコポイントをアイキャンに寄付することにより、「環境xフェアトレード」を盛り上げることができます。
*詳細:エコポイントカタログ⇒「環境活動を行っている団体への寄附」⇒「 b.リサイクル廃棄物対策」⇒「K35アイキャン」へ

その他、アイキャンに関する情報はアイキャンのHPへ
http://www.ican.or.jp/

路上生活にさようなら

2009年12月10日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

アイキャンの路上教育に参加していた1人の男の子が、路上生活に区切りを付けました。

14歳、日本で言えば中学2年生にあたります。でも、アルネール(仮名)くんは、小学校の3年生くらいにしか見えません。路上生活は約2年、お父さんは亡くなり、お母さんは行方不明、唯一頼れるお姉さんも病気のうえ、赤ちゃんを抱え、アルネールくんの面倒を見れません。

彼は、路上で寝起きをし、物乞い、靴磨きなどで生計を立てていました。路上で暮らす以前も、決して楽な暮らしではありませんでした。お父さん生きていたときも、お父さんは川の中の海草を取って売る商売をしていて、本当に食べるものがなく、みんながりがりに痩せていたと当時のことを話してくれます。彼の体の小ささが、今までどんな人生を歩んできたのか、物語っているようです。
 
私にとっても、とても印象的な男の子です。初めて路上で会ったとき、みんなと遊ぶアルネールくんの姿を今でも覚えています。昔、教会で教えてもらったことがあるんだと、少し知っている英語で話しかけてくれました。歌もダンスも大好きで、ちゃめっけのあるかわいい男の子。会えば、必ず抱きついてきてくれます。

そのアルネールくんが、子どもだけで住む施設(フィリピンのパートナーNGOの経営)に移り新しい生活をスタートしました。彼が施設に行くとき身につけた服は、アイキャンが寄付でいただいたもの、そして、持ち物は、ポケットに入っているメンコだけです。


[施設を見て回るアルネール]

「僕は、勉強がしたい。路上で生きていくのはとても大変だし、学ぶものは何もないんだ」とアルネールは、話してくれました。アイキャンのスタッフは、施設と交渉し、彼の書類をそろえるために、以前2年生まで通っていたという学校まで何度も足を運んだりといろいろなプロセスを経て、ようやく、施設での生活がスターとしました。今日は、どんな気持ちで寝ているのでしょうか?不安な気持ち、ちょっとわくわくする気持ち?路上で寝ている時に、熱いコーヒーをかけられたことがあり、寝れない時があると言っていました。今日はぐっすり眠れているでしょうか?

アルネールくんと、もうあの路上で会えなくなるのかと少し寂しい思いもします。でもアルネールくんのお姉さん、路上の仲間、そして私たちアイキャンスタッフみんなが応援しています。私たちは、彼の「だって、僕は勉強がしたいんだ。ここでやっていきたいんだ。」と言った、彼の目を信じています。自分で自分の未来を拓いていく力を彼はすでに持っています。あとは、私たちは、見守っていくだけです。


[アイキャンのソーシャルワーカーのメアンと一緒に]

路上のキッズパートナーさんの会費や皆さんからの寄付金によって、アルネールくんは、ここでの生活費や学校にかかる費用を気にせず学校生活に戻れることになりました。日本の経済在状態もあまりよくない中、会費やご寄付をしていただくのも、大変なことかと思います。皆様からお預かりしたお金をこれからも着実に子どもたちの生活をよくしていくために使用させていただきます。心より感謝しております。

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路上の子どもが幸せに成長できるように、会員になっていただける方を募集しています。
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エコポイントをアイキャンに寄付することにより、「環境xフェアトレード」を盛り上げることができます。
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その他、アイキャンに関する情報はアイキャンのHPへ
http://www.ican.or.jp/

「あるもの」x「あるもの」=「新しいもの」

2009年12月08日 | 先住民ブラアンの子どもたち
たくや@ミンダナオ

ICANでは、ミンダナオ島の先住民族ブラアン族の親たちの収入向上の活動を行っています。



母親達が作り始めた商品の一つに「天然ビーズのアクセサリー」があります。これまで畑に生える雑草としか考えていなかった「ボソック」という植物に生る実を活かし、素朴で可愛いネックレスやブレスレットなどを作っています。



もちろん村のことは村の人が一番よく知っているのですが、母親の一人は「まさかボソックの実がこんなステキなアクセサリーになるとは思ってもいなかった!」と感想を述べていました。誰しも、身近に「あるもの」には気が付きにくいものなのかもしれませんね。

そのようなとき、大きな役割を果たすのがアイキャンスタッフのような外部者のようです。信頼関係をすでに築いているアイキャンスタッフたちは、村の人の代わりに何かをすることはできませんが、外部者として村の人たちが「みんなで集う機会」「意見を交し合う機会」「商品開発する機会」などのキッカケを提供することはできます。



このようにしてアイキャンは地域住民とともに「あるもの(ボソック)」と「あるもの(母親達)」を組み合わせ、「新しいもの(天然ビーズのアクセサリー)」を生みだすことができました。



このアクセサリー、実はミンダナオでは口コミレベルでの販売はすでに始まっており、好評なんです。いずれ日本でも販売することになったら、是非手にとってみてくださいね。

ちなみに、このように自然豊かな環境や伝統技術など地域に「あるもの」を活かした持続的な取り組みに、「地元学」と呼ばれるものがあります。日本の成功例としては、徳島県の上勝町の例がよく取り上げられたりするのですが、モミジやイチョウなど、元々地域に履いて捨てるほどあった木の葉や枝を、高齢の女性が中心に採取し、高級料理の飾り付けに用いられる「つまもの」として販売して収益を得ています。これは、地域に「あるもの(葉っぱ)」と「あるもの(地元のおばちゃま)」を組み合わせ、「新しいもの(つまもの)」へ繋げたのものと言えます。

世界各地で地方の伝統技術が活かされる産業が発展していくといいですね。

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● アイキャンは認定NPO法人のため、税制優遇があります。
ご寄付先
http://www.ican.or.jp/members.html
税制優遇について(内閣府HP)
http://www.npo-homepage.go.jp/pdf/h21_nintei_15-17.pdf

● 先住民族ブラアン族の子どもの健やかな成長を応援してください。
http://www.ican.or.jp/gensan_feeding.html

● 「書き損じはがき」も募集中です。
http://www.ican.or.jp/kakisonji.html

● エコポイントをアイキャンに寄付することにより、「環境xフェアトレード」を盛り上げることができます。
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● アイキャンに関する情報はアイキャンのHPへ
http://www.ican.or.jp/

子どもたちと水牛による学校菜園

2009年12月04日 | 先住民ブラアンの子どもたち
たくや@ミンダナオ

アイキャンはミンダナオ島の山間部に住む先住民族ブラアン族が多く通う小学校で給食活動を行うとともに、同時にいずれ学校がアイキャンからの資金提供なしに、給食活動が行えるよう、菜園の活動も行っています。

この日は以前お伝えした、アイキャンが購入したダタールサルバン小学校の水牛が、子どもたちと一緒に学校菜園に取組みました。この日に植えたのはカモティ、日本で言うサツマイモです。


まず母親の1人がサツマイモの植え方を子どもたちに伝えます。用意されたサツマイモのツルを3,4本の束にして植えるのがコツです。


同時に水牛は学校敷地内の畑を耕します。



水牛が耕したところを子どもたちが雑草を抜きながら、ツルを植えていきます。
化学肥料等は一切使用しません。


子どもたちも立派に水牛を扱います。
「普段から父親の畑仕事を手伝うから慣れてるの。」そう言うのは写真のジェフ(仮)くんです。



全てのツルを植え終わったので今日はここまで。
最後に活動に参加した5年生のみんなと水牛とで集合写真。

収穫は3~6ヶ月後となり、収穫したサツマイモは学校給食の材料として使われます。

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● アイキャンは認定NPO法人のため、税制優遇があります。
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