ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

路上の子どもたちと性教育

2010年08月29日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

路上の子どもたち、特に女の子は、性的な暴力に晒されることが、路上にいることで増えてしまいます。また、結婚をしないまま10代で母親になる子どももたちも多くいます。フィリピンの学校では、中学生になると性教育の授業もありますが、学校に行っていない子どもたちは、そのような知識もなく、無防備なまま大人になってしまいます。性教育は、彼女たちの現状を考えると、とても必要とされているものなのです。

フィリピンの約7割は、カトリック教徒であり、カトリック教会では人工的な避妊を禁止していますが、彼女たちが病気から身を守り、生活を守るために、避妊の知識や方法も知っておく必要があります。そうでなければ、路上の子が、子どもの育て方も分らないまま路上で子どもを産み、経済的な貧困は、繰り返されるばかりでなく、ますます悪化してしまいます。



今回は、事業地の1つフィルコアで12歳以上の女の子10人に対して、性教育のセッションを行いました。大人になると変化する体の仕組みと性器の仕組みについてです。

アイキャンスタッフ「まず、大人になると体がどう変化していくかを書いてみましょう。」
子どもたちから「胸が膨らむ」「腰がくびれる」などたくさんの答えが出てきました。



アイキャンスタッフ「大人になるにしたがって、女性ホルモンが出て、みんなの体は子どもを産む準備としていろんな変化がおこります。みんなが出してくれた答え、すべて当てはまることね。」

最初は、恥ずかしがったり、照れたりしていた子どもたちも真剣に話を聞き、たくさんの質問が出てきました。普段自分の体のことで疑問に思っていることがあっても、なかなか話しを出来る場所もないのです。

ゴミ山のあるパヤタスの保健事業で、子どもたちに性教育の話をした時は、ショックを受ける子どもたちが多かったのですが、路上の子どもたちは、いろいろなことを受けとめる力が強いようで、図や模型も真剣に覗き込みます。



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森林伐採に対して、地域でできること。

2010年08月24日 | 先住民ブラアンの子どもたち
たくや@ミンダナオ

1900年代のフィリピンは国土の約70%が森林に覆われていたと言われています。それが100年後の1999年には、18.3%まで減り、今も減少し続けています。

特に顕著だったのが1920年代から1930年代で、この期間だけで約47%の原生林がなくなりました。その主な原因はアメリカ系企業による木材輸出。そしてその輸出先はアメリカや日本でした。日本の高度経済成長とその間に発表された日本の木材輸入関税撤廃は、フィリピンの国土を緑から茶色に変えていきます。

木材伐出業はその後も続き、アイキャンと活動を共にする先住民族ブラアンが住む山の大部分は現在もはげ山状態です。これにより、ブラアンが生活する高地では土砂崩れや土壌浸食や鉄砲水が発生し、更に低地でも土壌浸食や河水氾濫などの災害の原因となっていると考えられています。


 
【ブラアンが住む山々の様子】

そこでアイキャンは、ブラアンの人々、ブラアンの子どもたち、村長たち、教育省、環境天然資源省と集まり、話し合いを重ねてきました。


【ブラアンの子どもたちと環境について考えるワークショップの様子】

この日は、ブラアン地域の学校に勤める学校関係者15名と行う「環境教育ワークショップ」です。教師たちが授業で環境教育を取り入れる際に必要となるデータや教材をアイキャンから提供するとともに、教師たちと今後の活動の柱となるアクションプラン(行動計画)をつくることが目的です。



【環境教育ワークショップの様子】

実は学校も環境教育の導入を教育省から求められています。しかし求められるだけで教育省からのフォローはなく、何から初めていいのかわからずにいるのが現状です。アイキャンと教師たちは、アクションプランを作りました。

 「今回得た知識と情報を元に、授業で環境教育を取り入れる」
   ↓
 「更に子どもたちと植林活動を実施する」
   ↓
 「それにより子どもたちの環境意識が高まる」
   ↓
 「そして子どもたちも自ら出来る事を考え、教師はその実施を支える」

ワークショップに参加した15人の教師たちがこのアクションプランを実施することにより、ブラアン地域の学校に通う約1500人の子どもたち一人一人が、環境に対してそれぞれの「できること」を実施することになります。

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路上の子どもとパヤタスのお母さん

2010年08月18日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

路上の子ども事業の保健・医療活動では、パヤタスの保健事業の中でトレーニングを受けてきた保健師のお母さんたちが活躍しています。ケソン市最大のゴミ山のあるパヤタスにおいてアイキャンでは、医療・保健事業を行ってきました。その保健事業の中で、お母さんたち自身がトレーニングを受け保健師となり、地域住民のために働いてきました。そして現在、保健師としての経験と知識を元にその活躍の場が広がり、路上の子どもの事業に参加しています。

保健師となるために、体重や体温の測定、傷の手当の仕方、正しい手洗い、薬の種類や正しい飲み方、さまざまな病気の知識等に関するトレーニングを受けてきました。路上事業の中では、保健教育において、子どもたちに様々な病気の知識や予防方法を教えたり、医師による健康診断を行う医療活動の中では、子どもたちの体重・体温を測ったり(薬の配布に必要)、問診をしたり、医師の処方に従った薬の配布を行っています。





あるお母さんは言います。

路上の事業に保健師と参加していること、とても嬉しく思っています。路上の子どもたちは、経済的に貧しい家庭の子どもであったり、家庭の問題を抱えていたり、特別にケアの必要な子どもたちです。子どもたちが、騒がしくして聞いて話を聞いてくれない時は、難しいと感じますが、子どもたちが、嬉しそうにしていたりすると、私たちも嬉しく感じます。また、保健教育の内容を子どもが理解したと感じる時も嬉しいです。最初は、ラグビー(シンナー)を吸っている10代後半の年長の子どもに、じーっと見られたときは、何だかコワイ感じもしましたが、今ではシンナーを吸っている子どもがいると、「どうしてこの子は、そんなことになってしまったのだろう。」と母親のような気持ちで心が痛みます。よく知ってみると、とてもやさしく礼儀正しい子どもたちなのです。私たちは、ケアすることに責任を感じながら事業に関わっています。

お母さんたちの大らかさとやさしさと子どもたちを思う気持ちは、子どもたちを大切に接してくれている態度から伝わってきます。お母さんたちは、自分の子どもも育ててきた子育てのプロフェッショナルでもあります。これからも知識と経験を活かし、子どもたちケアを続けてくれることを期待しています。





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ブラアンの子どもたちによる、ブラアンの子どもたちとの活動

2010年08月15日 | 先住民ブラアンの子どもたち
たくや@ミンダナオ

「身近にお腹を空かせている子どもがたくさんいる」という課題に対して、「炊き出しと読み聞かせ活動」を実施したアイキャン奨学生たちに刺激をされ、同じ課題を抱える先住民族ブラアンの子どもたちも行動を開始しました。

最初に選んだ場所はメンバーの一人アリアンちゃんが住むサンホセ村。約40人のブラアンの子どもたちに対してゲーム、絵本の読み聞かせ、そして調理したビニグニット(果物や根菜類を甘く煮込んだおやつ)を配給する活動を実施しました。。


【ビニグニット調理中のアイキャン・ブラアン・チームの3人】 【調理が一段落したらサンホセの子どもたちとゲームをして仲良くなるチーム】


【絵本を紹介するアリアンちゃん】 【嬉しそうにビニグニットを食べるサンホセ村の子どもたち】

活動は成功に終わったあと、子どもたちはすぐに振り返りと評価に取り掛かりました。さまざまな改善点が出る中、一番の課題は材料費の調達方法でした。今回はアイキャン奨学生同様に寄付を募って炊出しの材料費を工面しました。何とか必要経費を集めることができたものの、アイキャン奨学生たちが住む町と違って、より経済的に困難な状況にいるブラアンの人々の炊き出し活動の募金集めは大変だったそうです。


【振返り作業中のブラアン・チーム】

そこで次回の材料費は「活動への協力」という付加価値をつけた「お菓子の販売」を通して資金集めすることにしました。学内で友達やクラスメイトたちに第1回目の活動写真を見せて活動説明しながらお菓子販売をして活動資金を集める計画です。結果、多くの友達の理解を得て第2回目の材料費を集めることができました。

そうして多くの友達の協力を得て実現した第2回目の活動は山奥に位置するバゴンシラン村を選びました。サンホセ村から更に2時間以上かかる場所で、彼女たちもここまで山奥に入るのは初めてです。


【炎天下の中、バゴンシラン村を目指して山道を登るアリアンちゃん】【調理用の薪もメンバー自ら割ります】


【日本の絵本をブラアン語に訳して読み上げるメンバーたち】


【今回のメニューはチャンポラド(ご飯をココア・砂糖・牛乳で煮たおやつ)】

この活動でアイキャン・ブラアン・チームは、栄養価の高いおやつをバゴンシラン村に住む約70人の子どもたちに提供することができました。普段なかなか食べることのできない料理と、母語であるブラアン語に訳された絵本を聞くことができ、子どもたちは大満足の様子でした。村の子どもたちは彼女たちがまた来てくれる事をお願いし、また彼女たちも子どもたちの笑顔を見にこの活動を続けることを約束しました。


【バゴンシラン村の子どもたちとの集合写真】

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元路上の子どもの施設、「子どもの家」訪問

2010年08月11日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

「路上生活にさようなら」
http://blog.goo.ne.jp/icanmanilaoffice/e/4b0ad9ee3f35bcac473e5e56932289e8

「路上から出て一ヶ月」
http://blog.goo.ne.jp/icanmanilaoffice/e/dd18abd43025152199b4331b0e61df9b

会員、寄付者の方は会報「こどものこえ」54号の路上の子どものページもご覧下さい。
http://www.ican.or.jp/kodomonokoe.html


 去年の12月にパートナーNGOサンマルティンの運営する施設「子どもの家」に路上から移ったアルネール君が、この6月から小学校に編入しました。現在15歳ですが、小学2年生からの再スタートです。

 
【写真中央、アルネール君、教室の中で友達と一緒に。】

 学校での様子を先生から聞くと、クラスで一番がんばっているという嬉しい言葉をもらいました。とてもやさしく、宿題もちゃんとするし、責任感も強い子とのことです。施設での態度も変わって来ました。学校に行く前は、施設で他の子どもとケンカをして、怒られることもしばしばありました。しかし、学校に行き始めたことで、集中する物事ができ、落ち着いて来たようです。

 アルネール君は、施設に来たことで、シンナーを完全に辞められたことが、一番の大きな変化だと言います。施設では、お皿も洗ったり、食事の準備をしたり、草木の面倒を見ることも、アルネール君の仕事です。お祈りの時間は、静かに座っていることを学びました。3月の誕生日には、アイスクリームを食べさせてもらったことがとても嬉しかった。4月の夏のシーズンには、スイミングにもみんなで行きました、と近況を話してくれました。

 今回の「子どもの家」の訪問には、2人路上の兄弟、兄のボイと弟のJRも同行しました。2人は、12歳と10歳で、母親は新しい父親と暮らし、その父親による暴力のため、家に帰ることが出来なくなりました。一週間歩けないほどのケガをしたこともあります。また、子どもたちは、母親が新しい父親と一緒になり、自分たちよりも、新しい父親を母は選んだという気持ちを持っているといいます。路上では、物乞いをして小銭を稼ぎ、ジープニー置き場のジープニーの中で眠ります。


【左から、弟のJR、ストリートエデュケーターのノト、アルネール、兄のボイ】

 
【施設の向かうバスの中で、弟のJR】


先日掲載した「強さと弱さ」のセッションに、「子どもの家」の元路上の子どもケニー君が参加してくれました。以下をご覧下さい。
http://blog.goo.ne.jp/icanmanilaoffice/e/dd3cd961874badba0c47b09f5e7afcd4

ケニー君の話を聞き、兄のボイが「僕も施設に行きたい。でも行くとしたら、弟を残してはいけないから、弟も一緒に行きたい」と気持ちを打ちうけてくれました。

今日は、施設の様子を見てイメージを具体的に持つことが出来ました。兄弟でどうするかを話し合う時間を取り、ソーシャルワーカーと話し合いながら進めて行きます。

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