ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

子どもの権利の啓発セミナー

2011年11月22日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

さっそくですが、問題です。(答えは文末に)
1.「国連の子どもの権利条約」は、4つのカテゴリーに分かれている。それは、生きる権利、育つ権利、参加する権利、教育を受ける権利の4つである。マルかバツか?
2.フィリピンは、アキノ大統領が1989年に「国連子どもの権利条約」に署名した。マルかバツか?
3.「国連の子どもの権利条約」では、17歳未満を子どもと定義する。マルかバツか?

 この内容は、先日実施したバランガイ(政府の一番小さい単位の役所)におけるセミナーで勉強した内容の一部です。



 路上の子どもたちに対して、炊き出しや路上教育、医療活動、通学補助などたくさんの活動をしていますが、子どもたちに対する活動だけでは、十分ではありません。路上の子どもの存在は、大人の無関心によって作りだされ、偏見によってさらに状況は悪化していくからです。
 
 そこでアイキャンが行っているのが、バランガイに「子どもを守る委員会」を作る取り組みです。例えば、出生証明書を出し忘れている人がいないかを確認したり、学校からドロップアウトした子どもたちに、別の教育を提供出来るようにしたり、虐待を受けた子どもたちの保護と家族への介入等が委員会の仕事となります。この委員会の特徴は、メンバーとして、バランガイの役員だけでなく、地域の子どもに関わる人たち、例えば、保育所の先生、小学校の先生、保健師、教会、NGO等も一緒にメンバーとして参加します。地域を巻き込んで、たくさんの人の目で子どもたちを守っていく仕組みを作るのです。その取り組みの中の1つとして、子どもの権利のセミナーを実施しました。



 セミナーの最後にビデオを見ました。女の子が虐待をされ、近所の人や、神父さん、学校の先生、そして母親にSOSを出しますが、誰も信じてくれず、助けてくれないという内容のものでした。その感想で参加者の1人が言いました。「この女の子は、いろいろな人に助けを求めに行ったけど、バランガイには行かなかった。それは、バランガイが何かあった時に助けてくれるということを知らないからだと思う。私たちは、委員会を作っていくと同時に、子どもたちや地域の人たちに知らせていかないといけない。」と。

 路上の子どもたちは、バランガイの役人というと、盗みをしたら捕まえに来る人、追いかけてくる人というイメージを持っています。そして、捕まえられる際に理不尽な暴力を振るわれることもしばしばあります。子どもたちが、何かあった時に自らバランガイに助けを求めに来られるように、子どもたちのイメージを変えていく必要があります。そのためには、まずはバランガイの役員、地域の人たちの子どもたちへの理解を深めるようにアプローチが必要です。子どもの権利が守られる地域を目指して。

答え)1.バツ 教育を受ける権利ではなく、守られる権利。教育を受ける権利は、育つ権利に含まれる。2.マル 3.18歳未満が正解

国連の子どもの権利条約について <参考:ユニセフのホームページ

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路上の子どものお母さんたちへ

2011年11月10日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

路上で働く子どもたちのお母さんに声をかけ、セミナーを開催しました。お母さんたちは、普段仕事を持っているお母さんもいれば、主婦の人もいます。家事や仕事の忙しいなか集まってくれました。



路上で子どもたちが働くことは、児童労働となるため、禁止されています。しかし、家計が厳しいために、子どもたちも働かざるを得ない状況があります。そこまでは、アイキャンが長年関わってきたゴミ処分場のパヤタスの子どもたちの状況と同じです。しかし、路上の子どもたちは、パヤタスの子どもたちに比べて、就学率は格段に低く、事故や病気で亡くなる数もとても多いのです。そこには、やはり親の意識の問題があります。子どもたちが、守られた環境で過ごすことが出来るように、親へのアプローチを行っています。



この日、少し立ち止まって、家庭のこと、家族のことを振り返って考える時間となれるようなワークショップをしました。まず、「家庭の中で大切にすべきだと思うこと」をみなさんに挙げてもらいました。いろいろな意見が出て来ました。
・ご飯は、家族揃って食べる
・出かける時は、家族に知らせる
・子どもたちは、早く寝て早く起きる
・家事をみんなで助け合う
・年長者を尊敬する
・子どもが問題を抱えている時は、解決策を一緒に考える
・子どもたちに正しいこととそうでないことを教える



スタッフのマイエン「たくさんの意見をありがとうございます。ここに書かれていること、とても大切なことばかりですね。では、これ、みなさんの家庭で出来ていますか?」

お母さんたち「なかなか出来てないわ。」

スタッフのマイエン「そうですよね。これ、全て出来たら、きっと素晴らしい家庭になることでしょう。私も子どもが2人いますが、全て出来ているかと言われると出来てない時があります。得に、子どもたちが問題を抱えている時、子どもは持っている言葉が少なくなかなか伝えることが出来ません。こちらが子どもたちの状況を汲み取り、耳を傾ける時間を持つことがとても大切なのではないかと思います。みなさんが、大切にすべきと言われたことを少しずつ家庭でやってみてもらえると嬉しいです。



最後にこの言葉を共有して、今日は終わりたいと思います。
「親になると、親であることを休憩することも、辞めることもできず、給料がもらえる訳でもありません。しかし、他に変えることのできない素晴らしい仕事であり、一生ものの子どもとの契約なのです。」

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パヤタスに戻って来た人々

2011年11月02日 | ごみ処分場の子どもたち
ようすけ@まにら

 パヤタスでは、去っていく人もいれば、戻ってくる人もいます。生活環境が過酷なパヤタスですが、それでもゴミ山は、人々の生活の糧とっているのです。リザルさん(48歳、仮名)も一度パヤタスを離れ、再び戻ってきた人です。


【リザルさん】

 彼女がパヤタスを去った理由は、生活の安全を確保したかったからです。たくさんの死者・行方不明者を出した2000年のゴミ山崩落事故が起った時も、彼女は家族とともにゴミ山の近くに住んでいました。常に身の危険と隣り合わせの生活を送っており、安全な場所に移りたいという思いから、2009年モンタルバンというマニラから1、2時間の再定住地に移りました。


【リザルさんは丁寧に質問に応えてくれます。】

 希望を抱いて移ったモンタルバンですが、そこは山奥のために仕事がありませんでした。そのため、夫は暇をもてあまし、アルコール依存症になってしまいました。また、4人の子どもたちは、イスも机もない学校で、床に座って授業を受けていました。子どもたちはパヤタスに帰りたがっていました。そんな時に、パヤタスの友人から連絡をもらい、空き家があることを知らされ、2010年にパヤタスに戻って来ました。


【リザルさんと旦那さんが働くゴミ山】

 パヤタスは、ゴミ山から出るガス、ゴミによって汚染された水、人々の生活環境は劣悪です。それでも、ゴミ山はたくさんの雇用を生み出します。ゴミ山に登りゴミの中から換金出来るもの(鉄、アルミ、銅、ビニール、ペットボトル等)を拾う仕事、その鉄などを買い取る廃品回収業、そして、ゴミ山で働く人にとって、パヤタスは生活の場でもあります。パヤタスのマーケットには、いつもたくさんの人で溢れています。

 リザルさんは、ゴミ山に登って換金できる仕事をするとともに、水を凍らせた氷水とタバコをゴミ山で売る仕事をしています。サリサリストア(生活用品を売る小さなお店)も始めました。夫のアルコール依存症もなくなり、2人の子どもたちは2年制の大学を卒業しました。末っ子はアイキャンが実施する職業訓練に参加しています。

 ゴミ山の危険は、いつも生活と共にあります。それでもゴミ山は、リザルさん家族の生活を支えて来ました。「家族全員が安定した生活がおくれる」その最低限の環境をゴミ山が与えてくれました。ゴミ山は、危ないから無くせばいいと簡単には言えない現実があります。そこに暮す住民にとってゴミ山は、必要悪となってしまっているのです。

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