ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

路上の若者銀行始動!

2011年05月23日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

路上の子どもたちは、いつも「その日暮らし」の生活をしています。1日に50ペソ(約100円)から150ペソ(約300円)ほどの稼ぎで、生活していくにやっとの金額ではあります。しかし貯めるという感覚がないのも事実です。老後のことを考えて貯蓄を欠かさない日本人に対して、将来よりも今を優先するフィリピン人の文化であるとも言えるかもしれません。

しかし、まとまったお金が必要な時は大変です。特に病気やケガをした時、治療費が払えないために病院に行けず、早く治療すれば治るものも、悪化してしまうケースがあります。

職業訓練でパン作り訓練を受けている子どもたちは、将来このパン作り技術を持って生計の向上を目指しています。そのお金を「その日暮らし」に使うのではなく、計画的に使うことが出来るように、「貯金」していかないかとスタッフのジェンが提案しました。



ジェン「みんな1人1人の通帳を作って、最初お金は、アイキャンで管理するわ。ベーカリーとして銀行に口座が作れるようになったら、その口座に一括してお金を管理して行ったらいいと思うの。みんなどう思う?」

カルロ「え、それって銀行みたいなことをするの?すごいね!」
マージ「今日からでも始めたい!」

ジェン「これは、みんなのための銀行なの。だからみんなでルールを決めましょう。貯金の額は、いくらにする?どんな時に時に引きおろしが出来るということにしようか?」





子どもたちが決めたルール
・貯める額は、1ペソ(2円)から20ペソ(40円)、その時によって出来る範囲で貯めていく。
・パン作りの訓練がある時に、お金をアイキャンスタッフに渡し、通帳に記入する。
・引きおろしが出来るのは、家族や自分の病気・ケガ、学校に使うお金、服や大切なものを買うときに限る。引きおろす時は、スタッフが親と話しをして、本当に必要なお金か、理由が本当か確認する。
・もし、家族に重病人が出た場合、自分の貯金額では十分でない時、他のメンバーの貯金を借りることができる。しかし、そのメンバーが同意する場合に限りおいて。

今日、さっそく20ペソ(40円)をスタッフに預けた子どもがいました。
路上の若者銀行のスタートです!

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引っ張ってきたテスさん(2)

2011年05月17日 | ごみ処分場の子どもたち
ようすけ@まにら

 テスさんが、活動をしていく中で大切にしていることを話してくれました。



 「2004年の夏のことです。当時、アイキャンでは、ケアセンターで子どもたちに栄養改善のプログラムを行っていました。ある日、突然食事の準備をする母親たちと子どもたちの中に、1人の母親が飛び込んできました。彼女はショックを受けたように泣いています。理由を聞くと、夫が酒を飲み、暴力を振るうので逃げてきたとのことです。彼女は恐怖で全身が震えていました。『ここにいなさい。家に帰っちゃダメよ』と誰もが彼女を心配していました。すると突然、ナイフを持った彼女の夫がケアセンターの外にやってきて叫び出しました。」

 「私を含め、誰もが彼女を守ろうとしていました。『テスさん逃げてください』と言う者もいましたが、私はそこから逃げることはできませんでした。母親たちと離れて自分だけ逃げれば、それは『私たち』とは呼べない関係になってしまいます。母親たちと私の信頼関係が試されていると思ったのです。」



 「私は『誠実』という言葉を大切にしています。ただ単にプロジェクトを実行し、結果を出すことだけが大切なのではありません。プロジェクトの過程の中で、誠実さを行動で示し、そして、示される関係を築く事が大切なのです。人々に誠実な愛情で接すれば、それは人から人へと広がっていきます。例え、ある活動につまずいたとしても、住民たちとの関係が築かれていれば、また何度でも始められます。住民たちも私たちも、失敗から何かを学ぼうとします。そして、『ともに』働く人々となるのです。」



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引っ張ってきたテスさん(1)

2011年05月14日 | ごみ処分場の子どもたち
ようすけ@まにら

 テスさんは、住民や子どもたち、スタッフから「アテテス」(アテとはお姉さんを意味します)と呼ばれ、とても頼りにされている存在です。2002年からアイキャンで働き、アイキャンの中でも、最も古くから働いている職員の1人です。それだけに、誰よりもアイキャンのこと、事業地のコミュニティのことをよく知っています。


【アイキャンマニラスタッフの娘が1歳の誕生日を迎えました。みんなでお祝いに行きました。】
 
 アイキャンでのテスさんの役割は、みんなの「接着剤」です。住民と住民、スタッフと住民、スタッフとスタッフの関係をスムーズにし、活動が上手く運んでいくように働きかけます。人間関係は、活動を動かしていく最も大切なポイントです。関係が悪化すれば、動くものも動かなくなります。

 テスさんが2002年当時のことを振り返ります。「私は当時からパヤタスでコミュニティの組織化を行ってきましたが、それは、組織と言うには程遠いものでした。ミーティングに出席しても、誰もが人の不満を口にし、フェアトレード商品として作る商品にも自信を持っていませんでした。メンバーの対立も絶えず、考えも悲観的。そんな状況の中で私は、メンバー1人1人をよく知ろうとしました。時には、家を訪問し、メンバーの話をじっくりと聴きました。その人の人生で大切なものは何なのかを知ろうとしました。」



「私の信念は、『人を信じる』ということです。この世に生まれた以上は、誰もが生きる目的を持っています。それはつまり、誰もが素晴らしい可能性を持っているということです。人の良い側面を見つけてあげれば、その人の全ての行動が良く見えてくるし、変化を促すことができるようになります。私の役割は、その良い側面を見出し、表面化させていくことです。」



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ラム酒漬けフルーツケーキ

2011年05月07日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

普段は、フィリピン人のトレーナーさんにパン作りを教えてもらっていますが、今回は、日本人のトレーナーさんをお招きし、子どもたちに「ラム酒漬けフルーツケーキ」の作り方を教えてもらいました。フィリピンは、サトウキビの産地でもあり、そのサトウキビを使った美味しく安価なラム酒が手に入ります。そのラム酒を使ったフルーツケーキです。



トレーナーさんは、NGO「21世紀協会」で働く田畑さんです。フィリピンのミンドロ島で先住民族の子どもたちに対する活動しており、そこの子どもたちにも毎週パン作りを教えています。趣味が高じて、かなりの技術の持ち主。しかも、タガログ語も堪能で、子どもたちに直接タガログ語で教えてくれました。





田畑さんに、感想をもらいました。
「路上の子どもたちは、すごくいろいろなことに興味を持っていて、話しもきちんと聞いてくれました。先住民の子どもたちは、自然の中でゆっくりと育っているのに対して、路上の子どもたちは、都会のいろいろな刺激の中で育っているせいか、とても反応が早いですね。こんな経験はめったにできないと思い、体当たりながらやらせてもらいました。しっかりと、子どもたちが育ってきているんだということを実感しました。路上というたくさんの誘惑にかこまれた環境でも、ぐんぐん、このまま曲がらずに、育っていって欲しいと思います。」

外部の方からコメントをもらえるというのは、とても私たちスタッフにとっても励みとなります。そして、作ったフルーツケーキもとても好評で、将来商品化できればと思っています。

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