ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

フィリピンのミンダナオ島にて57名が殺害

2009年11月27日 | 紛争地の子どもたち
ゆきも@まにら

11月30日の出馬表明手続き締切日を目前に控えた23日、ミンダナオ島マギンダナオ州ではフィリピン中を驚愕させる残酷な事件が起きました。

州知事選立候補に際しての手続きを進めようとしたマングダダトゥ現ブルアン市副市長の妻を含む親族らが、武装グループに襲われ、57名(多くは女性)が銃殺されました。女性の多くはレイプされた上、殺されていました。この容疑として、アンダル・アンパトゥアン(現州知事の子息でダトゥウンサイ町の町長)が逮捕されています。犠牲者となったのはマギンダナオ州の隣、スルタンクダラット州で有力なマングダトゥ一族のほか、ジャーナリストや弁護士、一般市民です。遺体は、広範囲に掘られたマギンダナオ州の一角に埋められていました。連日テレビでは、車両数台ごと土中に埋められた遺体を掘り起こす捜索活動など様子が報道されました。

マギンダナオ州、あるいはミンダナオ島に住む人々の多くは、今回の虐殺事件の容疑者として逮捕されたアンダル・アンパトゥアンの一族を「すべてを所有する王(datu:ダトゥ)」と考えているといいます。一族の多くが政治家であり、自身も来年5月の州知事選に父の後継者として立候補する予定であったアンダル・アンパトゥアンは、選挙でよそ者(親族関係にない者)が出馬し権力が弱まることを嫌い、政敵を一人残さず一掃する入念計画を練っていたといわれています。

アロヨ政権も、2年前の大統領選でマギンダナオ州での自分の票集めの為にひと肌脱いだアンパトゥアン一族には頭があがらず、虐殺が明るみに出ても「捜査に弱腰である」と批判が出ています。

ミンダナオ出身者は言います。
「王の成す非正義には誰も怖くて口を挟まない。ミンダナオ島の歴史はそのように作られてきたんだから。」

今回の事件は限定的な影響で終わり、今後もアイキャンのミンダナオ島の3つの事業地を含んで、他の地域への影響はないと見られています。私たちは、このような暴力の連鎖を激しく非難するとともに、一刻も早くミンダナオに平和が訪れることを望みます。

亡くなれた方々のご冥福を心からお祈り致します。

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演劇発表会「ジェネラルサントスの共生」

2009年11月20日 | ジェネラルサントスの子どもたち
たくや@ミンダナオ

アイキャンのミンダナオ第一事務所があるジェネラルサントス市は、フィリピンの地域語であるビサヤ語を母語とする住民、公用語であるタガログ語を母語とする住民、ブラアン語を母語とする先住民族など、異なる民族、宗教、文化を持つ人々が共存しています。それにもかかわらず、相互理解を促進する取り組みは限られており、子どもも大人も、差別や偏見、誤解を生じやすい環境に置かれてきました。

この状況に対して、アイキャンは昨年度、お互いのいいところを認め合う連続ワークショップを、子どもたちとともに行いました。

更に今年は、相互理解の経験をさらに多くの子どもたちと共有するため、子どもたちが「ジェネラルサントスの共生」をテーマに演劇を作るワークショップを行っています。

<リンク:演劇ワークショップ>
http://blog.goo.ne.jp/icanmanilaoffice/e/20dbc1b2a5c11c8b24ff85a8bf972b15

このワークショップを経て、子どもたちは演劇の発表会をジェネラルサントス内の学校で行っています。


導入のブラアン伝統ダンス。「海で泳ぐ人」を表現。

その内容は、タガログ・ビサヤ・ブラアンと異なる背景を持つ3人の女の子が、それぞれが抱える事情からジェネラルサントス市内に引越してき、その学校初日の様子です。それぞれが差別や誤解からクラスメイトと喧嘩してしまい、その相手とともに校長室に呼ばれてしまいます。しかしそこでの話し合いから、お互いの違いを認め合う大切さに気がつき、仲直りします。


主人公の一人である先住民ブラアン出身の女の子。山での生活が厳しさを増し、ジェネラルサントス市内に引越すことになり、悲しみに浸ります。


途中、事前に撮影した映像の上映。よくある差別や誤解から生じる口論の様子を描く。


校長室内で口論を続けるビサヤの女の子。


仲直りの様子を真剣な眼差しで見守る子どもたち


最後は自分たちが作詞した詩の朗読やダンスで劇は終了します。


「たとえ違いはあっても、みんな友達であるべき。だって私たちは皆同じフィリピン人。私たちは一つです。」と感想を述べてくれたシャイラちゃんは小学校6年生です。こうして劇を鑑賞してくれている子ども達の意識を変えていきます。


『サインを求められるなんて初めて!自分に自信を持つことができました。』と述べる役者の一人のベイブちゃん。鑑賞側だけでなく、演じる側にも大きな学びとなったようです。

ジェネラルサントスの人々がともに平和に生きていく重要性を訴える子どもたちによるこの劇は映像記録され、市内の多くの子どもたちが「共に生きる」重要性を学ぶことができる学校教材となります。

奨学生たちが団結して、地域の課題を解決するために、学校を巻き込んでがんばっています。

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災害から1ヵ月半、まだ先は見えません。

2009年11月16日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

路上の事業地の一つ、橋の下に暮していたコミュニティの人々は、洪水で家を奪われ、今は道路と道路の間の中央分離帯に暮しています。

以前ブログで、今にも立ち退きが行われるという情報が入ったことをご紹介しましたが、その後も、住民たちは強制的な立ち退きではなく、ちゃんと暮していける再定住地が与えられるように政府機関に訴えてきました。また、以下のように今暮す中央分離帯の小屋の場所に言葉を書き、世間に訴えてもいます。


【立ち退きではなく、暮していける再定住地を下さい。】


【私たちは、台風の被害者です。今度は立ち退きによる被害者になるのでしょうか。】


【私たちが必要なのは、立ち退きでなく、支援です。】

台風の前でも、生活は楽ではありませんでした。台風の被害で家を失い、精神的、経済的なダメージを受けながらも、いろいろな団体と交渉するために、みんなで少しずつお金を捻出し、時間を掛け、粘り強く交渉を続けています。

いつになったら、子どもたちが安心して暮せる場所が得られるのでしょうか。災害の発生から1ヵ月半、まだ先は見えてきません。

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物資、金銭のご寄付はこちらをご覧ください。
心より感謝いたします。
(認定NPOのため、5,000円以上の寄付は税制優遇の対象となります。)
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お母さんたちの生計向上活動:バニッグ作り

2009年11月12日 | 先住民ブラアンの子どもたち
たくや@ミンダナオ

アイキャンはミンダナオ島の先住民族ブラアンが多く通う学校で「地域による持続可能な給食活動」のシステム作りをおこなうと同時に、「親の収入向上の活動」に力を注いでいます。

まずは「家庭の経済状況を少しでも改善したい!」との想いを持つ母親たちにグループを作ってもらい、そのグループ単位で地域で採取できる材料を活用して手作りの品物を作り、町で販売します。

バゴンシラン小学校の母親グループは何度もミーティングを重ねた結果、「バニッグ(バガーカイまたはパンダンというタコノキ科の植物から作るゴザ)」と「天然のビーズから作るアクセサリ」を作ることになりました。

今日は、バニッグの作り方を紹介します。


①まず庭先や山でバガーカイを採取


②それを乾燥


③そして煮ながら着色して


④また乾燥


⑤編み上げ


⑥半分完成、あと少し


⑦できあがり!

文字にすると簡単のようですが、1枚作るのに3~4日かかります。工場で機械で作られたものではないので、愛情もたっぷりです!年中温暖なフィリピンでは、この清涼感あるバニッグをゴザや天井として使用します。皆さんも一枚いかがですか?

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水害被災地支援 ~学用品配布@マラボン~

2009年11月09日 | 災害の影響を受けた子どもたち
ゆきよ@まにら







アイキャンは、マニラ首都圏各地で被災した子どもたちの活動を行っており、その中でマラボン市では、川沿いの6つの集落で被災した子どもたちが学校に戻れるように、緊急的に学用品を提供しています。マラボンでの活動は、この地区で保育所を運営しているフィリピンのNGO、AKCDFが私たちのパートナーです。

この地区の住民も、台風オンドイのときに他の地区と同じように、屋根を超える水害を体験しました。屋根の上に子どもたちと一緒に取り残されて、救助のゴムボートが来るまで、おなかをすかせて過ごした人、仕事から帰ってくると近所は海のようになっていて、家族が心配でなんとか自宅に帰ろうと泳いでいたが、水の流れが激しく、川の堤防の金網につかまりながら移動した人、川沿いの家では、水かさが上がるのが早く、コンクリートの壁に穴をあげて脱出した人、避難先から戻ると家は崩れてなくなっていて、また少しずつ建て直している人。いろいろな体験を乗り越えて、また日常をとりもどそうと日々闘いの生活をおくっています。


【白い家のエアコンのところまで水に浸かりました。】

水害で流れてしまった家財道具のなかでも、親たちが口をそろえて困ったと言っていたのは、子どもたちの教科書、ノートや文具でした。ノートが濡れたらまた買えばいい、という日本の感覚とは違います。毎日食べるのに精いっぱいの生活をしている家族にとって、子どもの文具をまとめて失ったことは、大きな痛手でした。そこで、このたびのマラボンの被災地支援では、アイキャンはこれらの文具の提供を行いました。小学校低学年、高学年、高校生、それぞれ必要なノートが違います。それらを買いそろえて、鉛筆、消しゴム、クレヨンなどと一緒に渡しました。この日は、事前に渡されていたチケットを持って約600人の子どもたちが集まりました。順番に椅子に並んで座って待ちます。自分の番になるとあらかじめ作成されたリストにあることを確認してもらってから、文具を受け取ります。













6歳になる男の子は、その母親によると、あの水害後授業中にぼんやりすることが多くなったと先生に指摘されたそうです。「今でも雨が降り始めると、ママ、また屋根まで水が来るの?と聞くんです。夜寝る時に手をつなぎたがったり、やはり子どもにとってもショックの大きい体験だったのかもしれません。」

文具を渡しながら「頑張って勉強してね。」と声をかけるとニコニコ素敵な笑顔を返してくれた子どもたちですが、命からがら水から逃れた体験が彼・彼女たちに与えた不安は大きかったのでしょう。









あの水害は天災というより、人災ではなかったか、と今問われています。ダムを開けるタイミングが悪すぎたとか、シェラマドレ山地(ルソン島中部の山地)の木を伐採しすぎたのが悪いとか、そもそも住民がゴミ処理をきちんとできないから、ビニール袋が排水管につまってあれだけの洪水になるのだとか、様々な理由づけがされています。いずれにせよ、子どもたちが安心して暮らせる生活を、私たち大人が作り上げていかなければなりません。2度と同じ災害を起こさないよう、子どもたちから問われているのではないでしょうか。

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路上から、初めての通学

2009年11月07日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

路上の子どもたちの中には、家族に金銭的な余裕がないため、教育を受けられず、家族を助けるために路上で働き、その生活から抜け出せなくなるという悪循環に陥っている子が多くいます。 

マイケル(仮名)15歳は学校に通った経験がなく、今回初めて基礎教育からの勉強を始めることになりました。ジュン(仮名)は、小学校3年生で学校をドロップアウト(落第・中退)し現在17歳。彼もまた勉強を再開することになりました。

フィリピンでは、学校をドロップアウトした子どものために、ALS(Alternative Leaning System)という制度があります。この過程を終えると、学校教育の終了と同じ資格がもらえます。アイキャンは、ALSの教育資格を持つ現地フィリピンNGOと提携して、路上の子どもたちが勉強を受けられるように活動をしています。

マイケルもジュンも、いつものアイキャンの路上セッションでも積極的に参加、発言をし、とても頼もしいお兄ちゃん的存在です。「僕は勉強がしたいんだ」と何度も訴える2人の真っ直ぐさに、私たちスタッフも何とかしたいと話し合いを続けてきました。施設に入ることも検討しましたが、マイケルは路上でジープなどの乗り物にお客さんを呼び込む仕事をし、路上で物乞いをする妹、弟の面倒も見ています。ジュンも路上でキャンディーを売り、家計を助けています。彼ら2人が家族と離れ施設に行くことは現実的ではありません。そこで、週に何回か通いながら勉強ができるALSという制度を子どもたちと選びました。



今日は、その1日目です。まず、2人がどこまで知識を持っているのか、国語や算数などの確認のテストを行いました。マイケルは字が読めないので、スタッフに読んでもらいながら、問題を解いて行きます。算数では、指で数えたり、何本も線を引いて数えたりしながら、問題を解いています。たまに数字の7が反対になりながらも、一生懸命がんばりました。

マイケル「僕が学校に通えていたとしたら、ジュンより僕の方がよく出来たはずだよ(笑)。」
マイケル、ジュン「最初は、難しいと思ったけど、楽しかった!」

帰り道、スタッフと話しながら、2人の清々しい顔がとても印象的でした。(学校教育にかかわらず)勉強をすることができるって、単に将来職業につきやすくなること以前に、人が生きていく上で表現する力を強めたり、自尊心を高めたり、より根本的に必要なものだと改めて感じます。

きっと、勉強を出来なかった時間を取り戻すには、時間が掛かるでしょう。でも、この2人の顔を見ていたら、きっと大丈夫だと強く思いました。これから勉強を始めるこの子どもたちに、大きなエールを送りたいと思います。



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ピコとパヤタスでの救援活動

2009年11月01日 | ごみ処分場の子どもたち
ゆきも@まにら

パヤタスで災害の影響が出ていることは、先日お伝えした通りです。
http://blog.goo.ne.jp/icanmanilaoffice/e/2944b4b6efc4bb9dfe6cc4c5a05963a9

そこで、アイキャンではパヤタスの台風被災家庭60世帯に、食糧や衣類などの救援支援を行っています。









アイキャンはこのパヤタスで住民が次々に病気になっていく状況に対して、保健や医療の活動を行い、またごみ処分場以外での収入源をつくるために、生計向上の活動を1997年から行ってきました。現在は、JICAの草の根事業として、アイキャンが運営してきた事業を住民自身が担える体制作りに力を注いでいます。

これは、住民の協同組合が住民薬局を運営して、その収益で地域の保健活動を継続していこうという試みで、組合員が増えれば増えるほど、地域の保健サービスが向上し、地域の人が地域の力で健康になっていく仕組みともいえます。ちなみに、この協同組合の名称をPICO(Payatas Integrated Cooperative Operation)「ピコ」と言います。もともとアイキャンの活動の中心的存在であった母親たちが、新たな組合員を巻き込みながら活動を展開しています。

さて、なぜピコのお話をするかと言いますと、今回のパヤタスでの緊急支援はアイキャンスタッフとピコスタッフ(住民:協同組合組合員)の合同チームによるものだからです。この合同チームに参加しているピコメンバーは代表をはじめ、保健の担当スタッフ、住民薬局を運営している青年グループまでいます。















今回の救援活動のために、アイキャンとピコは予め家庭の被災状況を調査し、配布リストを作っていたため、混乱なく整然と配布ができました。

この日提供した救援物資は、米、魚の缶詰、ヌードル、衣服でした。受け取るや否や、そのお米を炊き始めた住民もいました。台風により、仕事道具を失った人々も少なくなく、もっとも基本的な人間のニーズである「食」自体、手に入れることが闘いであることがうかがわれました。台風によって流された後、ごみ山に運ばれてきたまだ開けられていない缶詰などを集めて、食卓に載せている方も少なくありません。



この地区の多くの住民がごみ山を生活の糧としています。ごみ山で働くある女性は、大雨でぬかるんだごみ山がいつ崩壊するかと恐ろしい、と話していました。それでも毎日生活のために、恐怖感を殺してごみ山に登っています。

このように危険なごみ山で仕事をしなくてもいいように、技術を身につけてほかの収入の道につなげようと、アイキャンはピコとともに、職業・技術訓練も行っています。ピコのメンバーは救援物資を提供する傍ら、被災者にこの職業訓練への参加を呼び掛けたり、薬を安価で手に入れられる住民薬局サービスのメンバーになるように呼びかけを行いました。さっそく、申し込んだ人もいたようです。







このパヤタスでの緊急支援においても、やはり地域のことを一番知っているのは、地域の人だと再認識させられます。住民が様々な知識をつけて、その地域を良くしていく。その為にアイキャンのスタッフができることは、住民とともに1つ1つ悩んで、ともに学んでいく、この時間を共有することだと感じます。そして、このパヤタスでのアイキャン事業において、住民はもうアイキャンの活動の中にいる人たちではありません。アイキャンのスタッフとピコのスタッフとして対等に活動を進められる時間には、どこか感慨深さを感じさせるものがあります。



*今回の救援物資の提供は、通常のJICA草の根事業とは会計上厳密に分けて、緊急支援のご寄附から支出しております。

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