ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

再定住の先で

2010年04月29日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

去年9月の台風の被害により、中央分離帯に暮していた18家族が2月の始めにブラカン州サンホセデルモンテに再定住しました。ここは、政府が、マニラからの再定住地先として、集合住宅を建て提供している場所です。マニラ各地から移り住んだ人が暮しています。同じように災害で家を失った人や開発事業による立ち退きにあった人たちです。マニラからは、乗り物を乗り継いで約2時間の場所です。

【集合住宅の様子】


 しかし、仕事はここにはありません。
お母さん、お父さんは、週に4日から5日マニラの元暮していた場所に仕事をしに帰ります。以前小屋を立てて暮していた中央分離帯は、一度出たらもう戻ってはいけないという政府との約束だったため、戻れません。お母さん、お父さんは、どこで寝ているのでしょう。マーケットの外の歩道に小さなスペースを見つけて寝るのです。そして、稼いだお金で、食料を買い、子どもたちの待つブラカンに戻ります。
 親が仕事をマニラでしている間、子どもたちが、まだ、電気も水もない家で暮します。

【子どもたちが水汲みに行きます】


 昨日(木曜日)マニラから帰ってきたビーナお母さん(仮名)は、今日(金曜日)の昼にはまたマニラに戻ると言います。
娘のメリー(仮名)が聞きます。「次はいつ帰ってくるの?」
お母さん「また、金曜日か土曜日に帰ってくるわ。」

 子どもたちが安心して寝られる家を持つことは、みんなの願いでした。「子どもたちが一歩家から出ると車道」という中央分離帯に暮す状態からは開放されました。しかし、再定住をした今の生活は、形を変えたものの厳しいままです。お母さんたちは、「私たちは、その状況その状況に合わせていくしかないのよ。」と、話してくれます。

【新しい家の前で】


何とか、副収入としてでも、ブラカンで仕事が出来るように、子どもたちと一緒にいれる時間が持てるように、コスメトロジーや食品加工、アイキャンの職業訓練は続きます。まだ、約半分の家族は、中央分離帯で再定住地先が決まるのを待っています。1人のお母さんは、そこでお昼だけの小さな食堂を始めました。

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日本の子どもたちが描いた地域の絵 展示会@ミンダナオ

2010年04月27日 | 先住民ブラアンの子どもたち
たくや@ミンダナオ



『日本の子どもたちが描いた地域の絵 展示会@パヤタス』 で紹介された「子どもがつくる新しい地球のカタチ」にミンダナオ島の先住民族ブラアンの子どもたちも参加しました。

まず子どもたちは自分の地域をテーマに「地域マッピング」を作成しました。ブラアンの子どもたちが住む山奥は「不便で何もない所」というレッテルを貼られてしまっていますが、この地域マッピングを作成することを通して、子どもたちは「ないもの」ではなく「あるもの」に意識します。そして「あるもの」を描き始めると模造紙がアッという間に埋まりました。それを発表することにより、子どもたちが自分の住む地域の良さを再発見した様子が伝わってきます。


【地域マッピング作成し、それを発表するブラアンの子どもたち】

そして5つのブラアン地域の子どもたちが作成した地域マッピングは日本で展示され、同時に日本の子どもたちが作成した「地域の絵」が5つのブラアン学校に展示されました。


【展示が完成したサンホセ小学校】


【「日本の桜キレイ!フィリピンのサンパギータもキレイよ」と教えてくれたリンちゃん】

 
【「どの地域もステキだけど、やっぱり自分が住むアスパンが一番!」と言うベイベちゃん】

自分たちブラアン地域の良さ、少し身近な市内の良さ、そして遠く離れた日本の良さ。
それぞれ異なるけど、それぞれの良さがあり大切であることを、大人から「教わる」のではなく、子どもたち自身が交流を通じて「気づいた」ようです。

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アイキャンの「できること」探し@紛争地ピキット

2010年04月24日 | 紛争地の子どもたち
ゆきも@まにら

アイキャンはミンダナオ島で、そこに住む人々ともに、子どもたちの教育を通じた平和創りを行っています。事業の柱は①学校建築や②学用品の提供、そして③地域平和活動です。

詳しくはこちらをご覧ください。
http://www.ican.or.jp/pikit.html



2006年以降、アイキャンは北コタバト州ピキット南部の7つの川沿いの村にある小学校をパートナーに事業を進めてきました。会員の皆様や日本のボランティアグループの街頭募金、助成金などを通して改築・建築した学校には、現在多くの子どもたちが集まり、日々夢にむかって授業に一生懸命臨んでいます。


【昨年8月、カバサラン小学校で木造1校舎3教室が完成しました。】


【昨年9月、ブロル小学校で木造1校舎1教室が完成しました。】

また他の5校では、現存する校舎の小規模な修理を通して、木の下で授業を受ける子どもたちが屋根の下で勉強を受けられるようになりました。


【教室そして平和センターとして活用されている簡易作りの多目的スペース。】


【7つの村の子どもたちや大人が集まり、武器や暴力に頼らない平和創りを誓いました。】

昨年、アイキャンは7つの小学校の校長先生、そして地域を管轄する教育省の責任者とともに「事業開始からの約5年間」を振り返る評価ミーティングを行いました。



ミーティングの中で先生たちは言います。
「子どもたちにとって、自分の通う学校で新しい校舎が建築されたり、修理が進んでいる様子を目にすることはとても誇らしいことなんです。子どもたちは、家でお母さんやお父さんに『今日は大工さんが屋根に上ってたよ』とか『新しい教室はまだ窓がないんだよ』など嬉しそうに話していたそうです。」一人でも多くの子どもたちが胸を張って学校に通い、自分の言葉でしっかりと経験や夢を語れるようになったことはとても嬉しいことです。



 一方で、ピキットには外部からの目が届きにくく、紛争後の開校以来、「放置された小学校」がまだまだたくさんあります。これらの学校に通う子どもたちは日々どんな想いで学校に通っているのでしょうか?どんな過去があり、どんな夢を抱いているのでしょうか?

 将来子どもたちが「あの紛争はぼくたち・わたしたちが終わらせたんだ。」と大人になって「紛争が終わらないミンダナオ」を振り返る日が来るように、アイキャンはこれからもより広い地域で多くの子どもたちとの出逢いを重ねていきます。

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校舎建設が決定!

2010年04月22日 | 先住民ブラアンの子どもたち
たくや@ミンダナオ

以前 『去ってしまった30人が戻るためにできること』 でご紹介したマリガヤ分校に、アイキャンは校舎を建設することになりました!

校舎を持たず、小さな村集会場を間借りする形で開校したマリガヤ分校は当初約70名の子どもが入学しました。しかし年度終了時には約40名まで減ってしまいました。その主な原因が教育環境の厳しさです。風が吹くと今にも吹き飛んでしまいそうな屋根しかない部屋で1~3年生を一人の教師が担当するのには限界があり、子どもの数は徐々に減っていきました。

そこでアイキャンはまず教育省に掛け合い、アイキャンがマリガヤに校舎を建設した暁には教師の数を増やす約束を取り付けました。そしてついに校舎建設のための費用に目処が立ち、現在は工事着工のための準備が進められています。校舎の完成は8月中ごろを予定しています。


【校舎建設に関するコミュニティとの話合い】


【現在通っている子どもたちも嬉しそう】


【校舎建設予定地】

学校通学を望んでいたにもかかわらず、去ってしまった子どもたちが復学できるよう、アイキャンは多くの方々の力をお借りしながら、ともに挑戦し続けています。

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路上の子クリス 15歳

2010年04月19日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

路上の子どものクリス(15歳、男の子)は、路上でジープニー(フィリピンの庶民の乗り物)のお客の呼び込みの仕事をしていました。彼は、サマール島というフィリピン中部の島の出身です。母親ときょうだいたちは、現在もその島に暮らし、クリスと祖母と姉の3人がマニラで暮しています。路上の子どもたちの中には、サマール島の出身の子どもも多くいます。サマール島は、農業、林業島が主産業ですが、不安定な治安のために、産業が脆弱で、フィリピンの中でも「貧しい」と言われている地域です。そのため、多くの人が豊かな生活を夢見て、首都マニラを目指します。

【祖母とクリス(家の中)】


【家は木の板と布で組み合わせてあるだけのもので、吹きさらしの状態】


2010年1月22日のことでした。ラグビー(シンナー)を吸っていたクリスは、ガードマンに追いかけられます。しかし、癲癇(てんかん、主な症状は痙攣)を持っている彼は、発作が起き、結局ガードマンに発作中に歩道橋から突き落とされてしまいました。

手首と両足首を骨折し病院に運ばれました。しかし、お金が払えないため手術はしてもらえず、一ヶ月間処置をされないまま放置されていました。アイキャンに連絡が入ったのは、そのような状態になってからです。

事件から一ヶ月が経過し、手首と足首は、骨折したまま固まり始めています。手術をするにしても、とても難しい手術になるとのことです。しかし、私たちは、何とか手術を受けさせてもらえるように、医師にお願いをしてまわり、漸く手術の日が決まりました。そんな時、病院の関係者に言われました。
「手術をしても、結局路上に戻るだけなら、手術をする意味はないんじゃないの?」と。

クリスに付き添っている祖母や姉の愛情に、意味はあるでしょう?手術が終わったらサマール島に帰って、お母さんの手伝いをしたいというクリスの思いにも、意味はあるでしょう?彼を心配する友達の思いにも。それから、彼が手首を動かせるようになることも、走れるようになることにも。他人に感じられない意味であっても、そこに、誰かが意味を与えれば、意味は存在するはずです。

フィリピンの中でも、社会の底辺に生きる路上の子どもたちは、なかなか理解してもらえないことは、往々にしてあります。アイキャンのようなNGOとしての私たちの役割は、地域の人の間に入り、誰も見ようとしない意味を掬い取ることなのだと改めて感じた出来事でした。

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日本の子どもたちが描いた地域の絵 展示会@パヤタス

2010年04月16日 | 子どもの参加
ゆきも@まにら



アイキャンは、フィリピンと日本で子どもたちの笑顔を増やす活動を行っています。
子どもには、実際に逢って手をつながなくても、国境を越えたところに生きる子どもたちと笑顔を分かち合える幸せな力があります。





アイキャンは「子どもがつくる新しい地球のカタチ(地域行動編)-持続可能な社会構築のための「子どもの参加」-と題し、日比の子どもたちが自分の地域をテーマにお絵かきをし、展示会を通してそれぞれの国で相互理解を深める活動を行いました。

フィリピンでは、パヤタスごみ処分場の子どもたち、路上で暮らす子どもたち、先住民族の子どもたちや日本の中学校40校の子どもたちが参加しました。

日本の中学生の皆さんが描かれた絵はパヤタスにあるコミュニティケアセンターに展示され、たくさんの子どもたちそしてお母さんお父さんの笑顔を生みました。

「これは地球儀?お兄ちゃん小さい時こうやって遊んだの?」(回るジャングルジムの絵)
「ここにはだれが住んでるの?」(お寺の絵)

この日は、スタディツアーの参加者とサバイタヨの子どもたちが一緒に絵を鑑賞しました。
展示会、と言っても静寂な日本の展示会とは違い、子どもたちは絵を一つずつ指さしながら大騒ぎです。

サバイタヨの代表のレイアちゃん(高校生)は特別に気に入った絵のところに何度も足を運びながら、

「子どもが笑ってる絵が多くって嬉しくなっちゃった。日本の子どもも自分の地域でハッピーなんだって分かったわ。いじめで寂しい想いをしてる子もいるって聞いたことあって、びっくりしたの。フィリピンでもお腹が空いたり、親に働かされたり、寂しい子どもはいるし、理由は違うかもしれないけど、日本にもいるでしょ。でもそんな子どもがいるって分かったら、助け合えばいいだけでしょ?簡単なことよ。」と言っていました。

それを聞いていたもう一人のベイビーラブちゃんは、「寂しいって見てみない振りをしたら、ずっと寂しいままだからそんな子がいたらかわいそう。ここに来たら、わたしたちが友達になってあげられるけどね」。

私は約4年間フィリピンに住んでいますが、子どもたちを含め多くのフィリピン人の「寂しそうな人を絶対に放っておかない力」には毎回感動させられます。放っておいて欲しい場合には少々おせっかいだなと思うのも否めませんが、でもこの力だけはいつまでもフィリピンから廃れないで欲しいなと思います。

アイキャンは、これからも国籍や境遇に関わらず子どもたちが目の前にいる「寂しい子を放っておけない!笑顔にしたい!」という想いを形にする活動を行っていきます。



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困窮の中の生きる力

2010年04月13日 | ひとりごと
ゆきよ@まにら

 日本の春はスタディツアーや研修受け入れなどで、事業地に日本の人々を案内する機会が増えます。訪問者の方々には、パヤタス地区や路上教育の事業地の現状の一部を見てもらい、感じてもらい、そこから学んでいただきます。ごみ山で働いている家庭を訪れて、その家族の一日の生活のスケジュールや子どもの教育状況、経済状況、どこから来たのか、これまでで嬉しかったこと、大変だったこと、将来の夢など、いろいろ教えてもらいます。そしてパヤタス地区について、アイキャンの活動についてもスタッフや現地の人々が説明します。

 そのような訪問の最後に、訪問者から出てくる感想は様々です。ときおり「思ったより全くだいじょうぶなんですね。」「人々や子どもたちが明るかったからびっくりしました。」などという感想も出てきます。日本ではメディアを通してセンセーショナルにごみ山近くで生活する人々の悲惨さが強調されているからでしょうか。人々はその悲惨な「貧困さ」が見られることを期待しているのでしょうか。

 しかしいわゆる「悲惨な貧困」の中にある人々の生活は、実際「あふれる活力」を感じるものだったりします。物質的に足りない生活のなかにある「豊かさ」さえ感じられたりもします。経済的な困難の中でも笑顔を忘れず、たくましく乗り越えている人々の生きる力。日々食べていくのがやっとの生活の中でも、家族そろってすごす時間が「幸せです」と言える人々の豊かさ。アイキャンの事業地で出会う人々は、人間がそもそも持っている力の大きさに感動せずにはいられない魅力にあふれています。

 もちろん経済的な困窮が実際にあることは事実です。そこには実際「悲惨で」やるせない状況が横たわっています。小学校しか終えられなかった自分とは違って、少しでも高い生活力を子どもに持たせたいと願う親が、子どもの学費を工面できずみすみす子どもに落第させるしかない悔しさや、病院代が工面できず家族が病気で命を落としたしまったときの痛み、また日々炎天下あるいは雨の中、ごみの山の上でリサイクルになるものを探す仕事をする苦労や、自分の通学費を稼ぎ出すために路上でもの売りをする子どものしんどさ。私たちはこれらをどれだけ理解できるでしょうか。しょせん1日3食べることのできる私たちの想像を超える痛みや辛さがそこにあります。どんなに私たちが理解しようとしてもしきれない絶望的とも思える断絶が私たちと事業地の人々の間にあります。

 だからこそ私たちは事業地の人々のたくましい生きる力を伝えたいと思っています。いわゆる「南の国」の悲惨な状況の前に多くの日本人は「この可哀そうな人々を助けてあげなければ」と感じます。でも実はそんな大変な状況の中にある人々から、私たちが学べることはたくさんあります。私たちアイキャンが訪問者の方々、そして日本の人々に伝えたいのは、「この可哀そうな人々を助けてください。」ということではありません。「この大変な状況の中でも頑張っている人たちがいます。みなさんも一緒に頑張りませんか。」ということです。

 アイキャンは現地の頑張っている人たちがいるからこそ、そこで活動することができています。私たち日本人にとっても事業地の人々が抱えている問題は人ごとではありません。同じ地球に住む私たちの問題がそこにあります。その問題を解決するために自分のそれぞれできることを持ち寄って一緒に頑張りませんか。そうして絶望的な断絶を一緒に超えていきませんか。そんなメッセージをこめて、私たちは今日も活動しています。

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路上の子どもたち育成研修③

2010年04月08日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

【セッション3】最後のセッションでは、子どもたちが、自分たちの課題、地域の課題にどう行動していくかを考えるセッションを行いました。

 

「僕たちは、他の地域のみんなを引っ張っていけるように、変わりたいと思います。警察に捕まらないように、路上でラグビー(シンナー)を吸ったり、マリファナを吸ったり、盗みをしないようにします。そうすると、警察はぼく達を追いかけなくなるでしょ?」

「私たちは、路上にいると悪いことをしている仲間に引き入れられそうになります。でも、その誘惑を断ち切って、その代わり勉強することに集中したいです。それから、なかなか難しいと思うけど、他の子どもたちにもラグビー(シンナー)を辞めさせたいと思います。」

「お金がなくて勉強が続けられないときは、奨学金を出してくれる人を探します。」

「地域にゴミが散らかって汚いときは、ぼくたちが掃除をします。」

「私たちは、地域の子どもがケンカなどの問題を起こしそうになったら、ちゃんと話をして決着をつけたいと思います。みんなが悪いことをしていないか、私たちが見ておくことも必要だと思います。」

「子どもだけで、解決できないこと、大人からの肉体的、性的暴力を受けた時は、それが何度も繰り返されないように、親やアイキャンスタッフやバランガイ(フィリピンの最小行政単位)の役人に間に入ってもらって、解決を目指します。」

「家族の中の問題は、たくさん話しをしてコミュニケーションを上手く取れるようにします。」

これは、子どもたち自身が作った行動計画です。私たちは、それを最大限尊重し、今後の子どもたちの行動の変化を見守りたいと思います。

子どもたちは、この行動計画に沿って地域のリーダーとして行動していくことを誓い、その証としてみんなで手形を押しました。終了証書を一人一人受け取り、ここに、「路上から働きかける子ども:JUST WORKERs(Junior Street workers)」が誕生しました。

 

みんな「リーダー」としての誇りを胸に、それぞれの事業地に帰っていきました。また、みんなで会える日まで。



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