ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

ホームシックのアルネール君

2011年09月16日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

施設に移った2009年12月の記事
路上生活にさようなら

施設に移って1ヶ月後の記事
路上から出て1ヶ月

施設から一度出てきた時の記事
アルネール君の家出(1)
アルネール君の家出(2)
アルネール君の家出(3)

会員、寄付者の方は会報「こどものこえ」54号の路上の子どものページもご覧下さい。

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6月に路上生活から施設に戻ったアルネール君(仮名)、ある日、施設から電話がありました。「アルネールが勉強を嫌がり、言うことを聞かずに困っている。一度話をしに来てくれませんか?」


【施設に入った当時より、随分背が高くなりました。】

アルネールは、去年施設から逃げ出したことがあるため、また施設に戻らなくなってしまうのではと心配し、スタッフが次の日施設に飛んで行きました。

ストリートエデュケーターのノト「アルネール、何があった?話しは聞いたよ。上手くやっていけてない見たいだね。」

アルネール「家に帰りたいんだ。お姉ちゃんと一緒にいたい。いとこの面倒を見るからさ。路上には、帰らないって約束するよ。お姉ちゃんのところに行く。」

ノト「お姉さんが悲しむよ。お姉さんは、面倒を見たくても見れないんだから。それでも、お姉さんは、君のことを心配しているよ。」

アルネール「うん、でもノトお兄さんが何を言っても逃げ出すんだから。」

ノト「路上の人たちは、アルネールが変わるわけがないって思ってるよ。今帰ったら、そんな人たちに、ほら見たことかって笑われるだけだよ。自分が変わったって証明してよ。悲しく、寂しくなったら、思い出しなさい。誰かが見てる。神様も見てる。この苦しい経験は、人生の中のアルネールに与えられたテストなんだ。」

何を言っても、もう今日の夜には逃げるからと言い張っていましたが、最後には、「分かった」と納得したようです。やはり、アルネールにとって、お姉さんの存在は、とても大きいのです。お姉さんが中々会いに来ることが出来ないため、忘れられたと思い寂しくなったようです。スタッフは、その日マニラに戻り、すぐにアルネールのお姉さんに会いに行きました。電話でアルネールと話しをしてもらうためです。

お姉さん「アルネール、何があったの?施設を出てどこに行くっていうの?自分の人生を良く考えなさい。いつまでも子どもじゃないのよ。中々会いに行けなくてごめんね。でもアルネールのことを忘れた訳じゃないの。いつも思っているわ。」

アルネール「うん・・・。」

お姉さん「私の病気のこと知ってるでしょ、体調も良くないし、今夫の仕事もいろいろ問題があって大変なの。あなたにとって、これが最後のチャンスなのよ。ノトお兄さんに恥ずかしいと思わないの?彼は、私たちの親戚でもないのに、ここまでしてくれているの。大丈夫よ。あなたは出来るわ。施設を出るなんて言わないで。」

泣きながら、お姉さんは、アルネールに話をします。アルネールも電話の向こうで泣いています。

その次の週、ノトと一緒にお姉さんは、施設を訪問しました。

【左:アルネールのお姉さん、右:アルネール】




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路上の子ども一人ひとりが経営者

2011年09月01日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

路上の子どもたちが参加している職業訓練のパン作りですが、パン屋として運営を始めるために協同組合への登録を目指すオリエンテーションが始まりました。

スタッフ「みんな、いつも『いつからパン屋さん始めるの?』って早くビジネスが始められないかってとても楽しみにしているでしょ?ビジネスを始めるには、いろいろな手続きが必要なんです。グループとして青年でもビジネスが出来るような「子どもの協同組合」への登録の準備を始めたいと思っています。少しずつ協同組合の勉強をして行きましょう。」

スタッフ「協同組合って、みんな知ってる?」
子どもたち「うーん、ジープニーやトライシクルのドライバーの協同組合とか。」

スタッフ「そう!みんなの周りにもたくさんの協同組合があるでしょ。大人の人が運営しているものが多いけど、子どもたちで作れる協同組合もあるんです。この子どもの協同組合は、7歳以上18歳以下の子どもたち15人以上が集まって出来るものです。」



子どもたち「へええ!」

スタッフ「協同組合、タガログ語では、Kooperatibaですが、この1つの単語の中に、実はたくさんの単語が隠されています。それを見ると、協同組合の意味が良く分かるのだけど、単語を見つけられるかな?」

子どもたち「うーん。」





スタッフ「ちょっと、難しかったかな?下の4つの単語です。
Koop(協同組合の略称「コープ」のタガログ語 Kooperatiba)
Pera(「お金」という意味のタガログ語 Kooperatiba)
Opera(「運営」という意味のタガログ語 Kooperatiba)
Tiba-tiba(「成功」という意味のタガログ語 Kooperatiba
見つけられたかな?それを並べて意味を考えると、『「コープ」を作る時は、みんなの「お金」を集めて「運営」に使い、そして「成功」を目指します』となります。じゃ、みんなで繰り返して読んでみましょう。」

子どもたち「「コープ」を作る時は、みんなの「お金」を集めて「運営」に使い、そして「成功」を目指します!」

スタッフ「そう、協同組合は、みんなで出資しあったお金で運営されるのです。例えば、フィリピンにある大きなデパートSMのオーナーはヘンリー・シーさんという人ですが、それに対して協同組合は、出資をしたみんながオーナーになります。だから、ジョナタン君、ジョシュア君、マリーちゃん、みんながオーナーになるってことなんだよね。」

協同組合について深く理解を深めて行く必要があります。毎回オリエンテーションの最後にはテストをしています。確実に知識が身に付いて行きますように。




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