原発3.11を再発させてはならない。現場の安全作業から考える(その2)

2015-03-17 09:25:09 | 日記

 

 原発3.11を再発させてはならない。現場の安全作業から考える(その2)

      東電を「安衛法」の俎上に載せなければならない

   (その1)では、東京電力福島第一原発現場の安全衛生管理体制について考えた。そして7.000名の作業者がそこで働いている。その作業者の安全と衛生(健康)が、労働安全衛生規則によって守られているのだろうかと疑う。

  広大な敷地、大量な作業員、しかも放射能で汚染された危険な個所が至るところにある。汚染水を例にとっても、安全対策を講じるのに未知の分野の多い現場である。一旦大事故になったら手の付けられない現場であることは間違いない。よって慎重にも慎重を重ねてもおかしくない現場でありながら、現場の実態が見えない不思議な現場と見るがどうだろうか。

  30に近い元請事業者が入っていると報じられている。ではその事業者は自分の工事領域「工区」ごとに管理責任を持つ仕組みになっているのか。事業者はそれぞれの領域の工事方針、企画、そして安衛法に基づいた「安全衛生管理計画」を持っているのかということである。さらに「領域」(工区)を超えて、他の事業者の安全管理下に入ることもあるだろう。その場合始業教育・作業変更教育・安全ミーテングなどルールに従った安全衛生管理がなされているか。そしてその記録がとられているか、保存されているのかは問われなければならない。取り上げれば際限のない危惧が生まれる。

  具体的に述べてみよう。労働災害が発生した場合、常識的には「○○工区・▽▽事業所の現場において死亡災害が発生。・・労基署が立ち入り検査。▽▽事業所の安全管理者及び作業指揮者(職長)から事情を聴取。それを公表し何らかの行政指導、処罰が決定された」。このようなくだりの原発事故の報道を目にしたことがあるだろうか。

  作業者が重大なミス結果、重量物を落下させたとする。そして放射能物質が飛び散り周囲を汚染させた。その責任は誰がとるのか。もちろんミスをした作業者の責任はあるが、安衛法的には指揮命令権を持つ事業所の責任が先ず問われる。その事業所が二次・三次といった下請け企業となるのか。その下請けを統括していた元請の責任となるのかは状況によって異なるが、仮に元請統括管理者に安全衛生協議会や教育指導計画、有資格者の確認、安全点検などの義務を怠っていれば元請の責任は免れない。よって前記した墜落死亡などの重大災害は元請けの責任であるとするのが常識である。国から責められるべきは東電ではないはずでありながら、その1でも書いたが、国は東電社長に対し是正を勧告し、東電は謝罪をしている。

  ここに、もう一つの事例がある。2012年、作業員に持たせた線量計に鉛カバーをかぶせて線量を改ざんしたということがあった。少なくとも安全衛生管理者、及び作業者指揮者は、始業前点検の一つである着衣の点検(運転手であれば乗車前アルコール点検と同じ)をしなかったのか。それともそのことをを省略したのかになる。となれば安全管理者の主務違反である。アルコール反応を示した運転手に乗務を指示したに等しい。いやそれ以上の罪である。まさに犯罪行為であり、刑事罰に科せられるものである。ましてや改ざんをするためとなれば尚のことである。しかし、この件に関しても、政府は東電に再発防止を要請したで終わっている。

  東電は原発を稼動して以降基、地内の点検、補修、建設などの業務を東電資本100%参加の関連事業所にゆだねてきた。その事業所は事故後の収束作業の要になっているはずである。つまり東電は建設・土木業をも生業とする元請事業者である。その東電を多重請負形態の全工区事業所の「最高責任者」として位置づけさせることは可能であると考えられないか。

  現場の安全、あるいは線量被ばくの過酷な実態を語り合っているだけでは先に進まない。その責任所在を明確にしない限り問題の解決はないとするなら、前記の関連事所の存在の隙間に、今の「安衛法」で問える責任の追及のクサビを打ち込めないか。検討すべきであると思う。

  そのためにも、まず安全衛生管理の番人である「当該地区の労働監督署」に定期点検、抜き打ち査察などの管理指導を求めていくべきであり、不幸にも事故が発生した場合は、その労働監督署の是正勧告、民事、刑事の罰則の行使を要求する運動を起こすべきと思うがどうだろう。過日タンクからの墜落による死亡事故が発生した。安全帯の不使用、危険表示の省略、始業時打ち合わせ安全ミーテングの省略などがあったはずである。これだけで事業所の民事罰は成立する。県行政を動かせばよい。そこには必ず東電の姿が現れるだろう。