蟻取物語

蟻の採集や飼育に関する研究成果を、写真等を活用して公開する。

819 ムネアカオオアリ コロニー再生計画 7(完)

2011年02月24日 11時48分39秒 | Weblog
ムネアカオオアリ、コロニー再生手法

1 無女王ワーカー集団を用意する。
  ワーカーは多いほうがいいが、少なくとも100匹以上は欲しい。
2 このワーカー集団を数カ月十分な栄養を与えて飼育する。
3 数週間、1℃~2℃で管理する。
4 ほとんど動かなくなったら、ワーカーをコロニー再生用蟻巣に移す。
  この蟻巣はアクリルケースでもいいが、木製の箱型蟻巣のほうが結果がいいようだ。
  最も重要なのは、蟻巣の大きさである。
  ワーカーを入れて、底が完全に埋まってしまう程度が良い。
  大きすぎると無駄な空間ができ、コロニーフェルモンが女王に届かないことがある。
  小さすぎると、重量がかかりすぎ、女王の突然死を招くことがある。
5 この再生用蟻巣を、再び1℃~2℃で管理する。
6 再生用蟻巣に女王アリを入れ、2週間ほど放置する。
7 管理温度を3℃~4℃まで上げて、様子を観る。
8 管理温度を4.5℃にして、1週間放置する。
9 再生用蟻巣内の女王アリの健在を確認し、普通の飼育管理にしていく。

画像は成功した二例目のコロニーである。

   ふじひろ

  

  

816 ムネアカオオアリ コロニー再生計画 5

2011年02月12日 10時50分39秒 | Weblog
再生を試みた三つのコロニーは、すべて現在成功状態にある。
再生コロニーを、再生用蟻巣から本来の木製蟻巣に引っ越しさせた。
まだ安心できないが、
常温状態で、コロニーの安定が継続されれば完全な成功といえるだろう。

導入した女王アリが死亡する原因が二つあると思う。
一つはワーカーに攻撃される場合
もう一つは環境の変化などで、女王自体に変調をきたす場合
である。

この計画が成功すれば、
ワーカーに攻撃されることによる失敗は避けられることになるだろう。

  ふじひろ

 

815 ムネアカオオアリ コロニー再生計画 4

2011年02月09日 11時03分18秒 | Weblog
インキュベータ庫内温度が7℃になった。
午前中は雪が降った。
再生用蟻巣を一つ出してみる。

ワーカーは緩やかに動いている。
女王も蟻巣内部を動きまわっている。
この温度は、ワーカーが女王を攻撃するには十分な領域である。
この人工的な寄生は成功したかもしれない。

一つ重要なことを思いついた。
低温度管理中は、再生用蟻巣は密閉しておくことである。
蟻巣内部は、蟻酸のにおいがする。
蟻巣内部は体表フェルモンが充満しているに違いない。

   ふじひろ





  


813 ムネアカオオアリ コロニー再生計画 3 ( 4、5℃ )

2011年02月05日 15時05分35秒 | Weblog
1℃~2℃管理コロニーに、他のコロニーの女王アリを入れる。
(画像参照)
管理温度をコロニー再生分岐温度まで0,5℃づつ上げていく。
コロニー再生分岐温度とは、
1 ワーカーが触角と脚をゆるやかに動かせる
2 ワーカーがまだ他攻撃のできない状態
の二点を満たしている時の温度である。

その温度は、4,5℃であった。

4,5℃のまま、1週間ほど放置する。
その後は、0,5℃づつ温度を上げながら様子をみることになる。
ワーカーが女王を攻撃させないことが、温度上昇のカギだ。

  ふじひろ

 

 

812 ムネアカオオアリ コロニー再生計画 2

2011年02月03日 11時15分17秒 | Weblog
まず最初、ムネアカオオアリの女王のいないワーカー集団を用意する。
ワーカー数は多ければ多いほうが良いが、少なくても100匹以上が望ましい。
このワーカー集団を数か月十分な栄養を与えて飼育する。

次に、このワーカー集団を数週間1℃~2℃で越冬管理する。
ワーカーが動かなくなったところで、コロニー再生用蟻巣に移し替える。
この蟻巣はアクリルケースでもよいが、石膏敷か湿スポンジが入っていることが重要だ。
再生用蟻巣の大きさ、これが一番重要だが、ワーカーを入れ込んでワーカーが床面を覆い尽くし、上に重なっている程度がよい。
画像を参照のこと。

ワーカーを入れた再生用蟻巣を、再び1℃~2℃で数日管理する。

  ふじひろ

   

811 ムネアカオオアリ コロニー再生計画 1

2011年02月01日 11時19分38秒 | Weblog
ムネアカオオアリの無女王ワーカー群四つに、他のコロニーの女王を導入、コロニーの再生を試みた。
その結果、成功したのは一つだけだった。
この試みから導き出された成否のポイントは、
温度管理と巣室の広さであると結論付けた。

新たに三っのケースを設定して再チャレンジし、新手法を実証していきたい。
画像は成功したコロニー。

  ふじひろ