蟻取物語

蟻の採集や飼育に関する研究成果を、写真等を活用して公開する。

186 相互寄生 Q2

2007年09月21日 13時17分28秒 | Weblog
相互寄生が完全に成功した事例をあげよう。
昨年採集したヨツボシオオアリ脱翅雌2匹のコロニー。
Q2のまま越冬し、
今年春女王同士の争いによって、Q1となったコロニーである。
生き残った女王は五体満足、健康状態もすこぶるいい。
特筆すべきことは、ワーカーの数。
30匹を超えている。
コロニーの存続は保障されたようなものだ。

    ふじひろ   

185 相互寄生 Q3

2007年09月20日 11時21分00秒 | Weblog
今年採集したヨツボシオオアリ脱翅雌Q3コロニー
突然女王同士の争いが起こり、Q1になってしまった。
残った女王も左前脚欠損の重症を負った。
しかし元気で女王然としている。

ここで重要なことは、ワーカーの状態である。
ワーカーの数は20匹程度で、中型の大きさのものも生産されている。
女王は触覚が健在なので、
これからもコロニーは拡大していく可能性が高い。
不完全ではあるが、相互寄生の成功した事例である。

     ふじひろ   

184 相互寄生 Q1コロニー

2007年09月19日 20時40分05秒 | Weblog
脱翅雌が初期コロニーを建設していく過程にはいくつかのパターンがある。
一つめはQ1でスタートし、Q1コロニー建設に成功するもの。
二つめはQ1又はQ複でスタートし、                                                  コロニー建設に成功した段階でQ1になるもの。
三つめはQ1又はQ複でスタートし、
コロニー建設に成功してもその体制を維持するもの。
四つめは他種類のコロニーに侵入し、
Qを殺害して自己のコロニーを建設するもの。

二つめの形態を相互寄生と名づけた。
この代表的な種類はヨツボシオオアリである。
実証してはいないが、
クサオオアリ亜属の共通の特色かもしれない。
ヨツボシオオアリの脱翅雌のコロニー建設時の
ワーカー生産数は普通3~4匹だろう。
コロニー建設は非常な困難を伴う。
しかしQ複でコロニー建設を進めれば、成功確率は飛躍的に増大する。

写真は今年採集した脱翅雌をQ1で飼育したものである。
ワーカーは4匹羽化したが、
2匹が死亡し、現在は2匹である。
このような現状でのコロニー建設は、                                                自然界ではきびしすぎるだろう。

    ふじひろ   

183 相互寄生

2007年09月02日 20時54分13秒 | Weblog
今年採集したヨツボシオオアリQ3初期コロニー
今まで、Q3で越冬に成功した事例はない。
Q1で分割するか、そのまま越冬させるか、悩ましいところだ。

ヨツボシオオアリは脱翅雌1匹からのコロニー化には困難が伴う。
飼育してみてわかるのだが、初年度のワーカーは2~3匹程度の生産だろう。
ところが、2匹以上で営巣すると、
10匹以上のワーカーが生産されてくる。
コロニーの生き残る確率が飛躍的に増大するのだ。
ヨツボシオオアリは基本的に単雌だが、
脱翅雌の営巣時には、多雌状態を拒まない。
いわば「相互寄生」によって、種の保存を保っているように見える。

     ふじひろ