沢に咲く燕子花に事寄せて、都に残してきた恋人を偲ぶ和歌を詠み従者が涙する場面
昨年の茶事に、この伊勢物語八橋図(岡田為恭:大和文華館)の色紙をだしており、
”いずれ文目(あやめ)か杜若(かきつばた)”と称されるように、
今回は、かきつばたを連想される”唐衣”を主菓子としました。
米粉にて外郎(ういろう)地を作り、この生を紫色に染めて、五ミリの厚さにのばし、
そして四角に切って中央にはあんを置き、折り畳んで仕上げています。
茶事が終わり、”かきつばた”が、
伊勢物語9段、東下りに(在原業平)
【からころも きつつなれにし つましあれば はるばる来ぬる たびをしぞ思ふ 】
枕詞で伊勢物語第八話の和歌を引きださせ、三河の八ツ橋の「かきつばた」を連想させる
句頭が、か、き、つ、は、た、
という由来は知っておりましたが、
この機会に中国服を意味する「唐衣」なの?
枕 詞 :唐衣(「きつつ」の「着」を引き出す)
*伊勢物語第八話の和歌を引きださせ、三河の八ツ橋の「かきつばた」を連想するそうです。
*または身ごろを深くあわせて着る「唐衣」の着方と茶菓子の意匠が似ているそうです。
そのほかに、この歌には
序 詞 :「唐衣~なれにし」が「つま(しあれば)」を引き出す
掛詞(4つ) :「き」が「着」と「来」、
「なれにし」が「馴(慣)れ」と「萎(褻)れ」
「つま」が「褄」と「妻」、
「きぬる」が「着ぬる」と「来ぬる」
縁 語 :「唐衣」「き(つつ)」「なれ」「つま」「き(ぬる)」
折り句 :初句「唐衣」の「か」、
二句「きつつ」の「き」、
三句「つま」の「つ」、
四句「はるばる」の「は」、
五句「旅」の「た」
「か・き・つ・は・た」(かきつばた/杜若)がそれぞれの句頭に折り込まれています。
和歌は奥深いですね。