
メッセンジャーが引退してしまった。私も阪神ファンを半世紀近くやっているが、あれだけタイガース愛に長けた外国人投手はいなかったような気がする。阪神は通算10年在籍して98勝84敗、先発ローテの柱として2年目の2011年〜2018年まで1年を除き(2015年は9勝)10勝以上を挙げている。四球が多い難点はあったが奪三振も多く8年間で先発が223回、平均投球回数が6.48と先発の役割を十分果たしていた。球数は多かったが、長い回を投げられるスタミナを持っていて、開幕投手を5年連続で6回務めるなど名実ともに阪神のエースだったと思う。

戦後活躍した阪神の外国人投手は日系二世の若林忠志を除くと長期間安定した成績を残した者は少ない。1964年の優勝に29勝をあげて大きく貢献、さらに通算100勝を挙げたジーン・バッキー、背番号4は微かに記憶がある。彼が阪神にいたのが7年である。ただ、彼が巨人戦での王へのデッドボールラインを巡り、乱闘事件が起き、その最中で指を骨折して投手人生を棒に振ってしまったことは残念でならない。また、彼は晩年メッセンジャーが100勝を挙げることを楽しみにしていたが、今年9月14日に鬼籍に入ってしまった。

他にはセットアッパーとして一時代を築いたオーストラリア出身の左のサイドスロー、ウィリアムス(16勝17敗42セーブ)が7年、台湾から鳴り物入りで入団した郭李(27勝31敗)が6年、外国人枠の関係で残念ながら退団したスタンリッジ(35勝36敗)やキーオ(45勝44敗)などが4年と比較しても、メッセンジャーが群を抜いているのがわかる。

因みにメッセンジャーの背番号54はかつてJFK(ウィリアムズ、藤川、久保田)で名をはせたウィリアムズがつけていたもので阪神外国人投手が付けると良い番号なのかもしれない。

最後の記者会見で阪神への熱い思いを語っていたが、2017年のCSで骨折からわずか2カ月でDeNAとの初戦に先発して、勝利をもぎ取った姿が印象に残る。本当にご苦労さまでした。