『特別展はにわ』はさらに精巧な埴輪画並ぶ。まずは家形埴輪だが、造りが複雑で高床式倉庫を左右に配し、真ん中に大きな母屋を持った豪邸とも言うべき埴輪が並ぶ。
さらに埋葬された王が海で勢力を高めたのだろうか、立派な船が幾つも展示されている。
両側に6本ずつの櫂を備えた船、さらに多くの設備を備え、高貴な人に差し掛けた蓋(きぬがさ)まで備えた大型船もある。
馬の埴輪も立派な鞍と立髪飾りを施した、祭の際に着飾った馬、旗を立てた馬など珍しい展示もあった。私が馬の埴輪というと旧65円普通切手の図案に使われた馬のみである。スタイルのよい挂甲の武人も展示されている。
埴輪は素焼き土器のみと考えていたが、実は石で作られた『石人』という埴輪もある。
これは主に九州の古墳から掘り出されたのであるが、大きさも大きく、どのようにして運んだのかすら疑問を持つサイズのものであった。
既に何体か武人が飾られていたが、今回の展覧会での目玉として『5体の挂甲の武人集合』がある。これはいずれも6世紀に作られた甲冑で身を固めた武人の埴輪のことで群馬県太田市飯塚で出土した。武人は太刀や弓をもち、矢を収めた靱(ゆき)を背中に背負っている。今はアメリカを含めた5か所で大切に保管されていて特に精巧に作られている1体が1974年に国宝にしていされている。(国立博物館蔵)
さらにこの国立博物館蔵の表面に塗られていた彩色を復元した蔵(模像)も展示してあったが、白と灰色、赤で鮮やかな姿であった。
色々なユーモラスな顔をした人物埴輪やひざまづく男子、色々な形をした家形埴輪などが並べられ、村落を表していたことがわかる。
さらに色々な動物〜牛、小馬、猪、鹿、犬、羽を広げた鳥、魚を咥えた鵜などもある。
6世紀後半に前方後円墳が作られなくなると埴輪も製造されなくなるのだが、一般の人の埴輪はない。儀式に出る人々が殆どである。
但し、古墳時代の最後期に関東のみで作られていたという『子供を背負う埴輪』『乳を子に与える母の埴輪』『親鳥に乗った雛』といった微笑ましく、珍しい展示も目を惹いた。
とにかく今回の展覧会を見て、自らが持っていた埴輪の知識がいかに貧しいものであったのかを実感。これだけのバリエーションがあり、さらにこれらを知ることにより文字がない時代の人々がどのような服装でいたのかということを知ることができる唯一の遺産であること実感。これから古墳を回る際にさらに埴輪に関しても調べることにしたい。