大人遠足の最終目的地は本厚木駅から歩いて10分の全く住宅地の真ん中にあるお店『一茎庵』にお邪魔する。普段はお蕎麦屋さんだが、とにかくこだわりの塊のようなご主人と奥様が心尽くしのもてなしをしていただける。

夜の部は1日1組限定の会席料理。まだ、雨が降っていたため、タクシーでお邪魔するが、番地を伝えてカーナビ頼りに行くと道が狭くなり、この辺りですよと運転手さんに言われて降りる。少し戻ると確かに奥にお店を発見。路地を行くと木の看板が出ていて右サイドにお店の入口があり、中に入る。こじんまりしたお庭を見ながら8人ほど座れる椅子に3人。まずはご主人からお品書きの説明がある。

『まずは何を飲まれますか?』と聞かれて『10年寝かせたビール』と言われてこれを頼む。一般に販売しているビールを常温で寝かすと味が変わると言われて小瓶を飲むが、何となくまろやかな感じがする。このようなビールが和多くストックされているらしい。

次に20種類の至高の逸品が大きめのお皿にまあるく並べられたもの。だし巻き卵、名古屋コーチンの照焼、マンガリッツァ(ハンガリーの国宝豚)モモの味噌漬、同 チャーシュー、鴨ロースト、短角牛ローストビーフ、同 スネ旨煮,鯨サエズリ旨煮、煮穴子、ニシン旨煮到着。

さすがにこれだけの前菜を頂くのも初めて。鯨のサエズリなど何年振りに食べただろう。

お酒に移るが、まず出されたのは『白鷹』、伊勢神宮の神様が飲む酒、常温で頂く。これも5年古酒、10年古酒が出されて飲み比べ。古酒はあまり好まない私もこれは美味かった。

(フキノトウ炒め)

(この海苔がうまい)
さらに他にも『フキノトウ炒め』『コシアブラ』『ふきみそ』『天然キノコのスープ』と立て続けに出された。フキノトウ炒めは雪の下に出たばかりのフキノトウを塩炒めして海苔をちぎってかけたもの。この海苔が香るのである。蘊蓄をよく覚えていないが最高の海苔らしい。

(天然キノコのスープ)
あと驚いたのは天然キノコのスープ、よく土瓶蒸しは頂くが、色々なキノコの香りが複雑に絡み合って松茸より遥かに美味かった。

お酒は先ほどの笠原商店で見た『残草蓬莱』(神奈川県)の古酒、常温で保存したものと温度管理した冷蔵庫で保存したものの飲み比べ。なかなか面白い趣向の店である。

お刺身はマグロ赤身、中トロ、ヒラマサ、鮭(時知らず)、白いか、キンメ。いずれもそれぞれの蘊蓄があったが、さすがに美味い。


『甘鯛の塩焼』、味が甘い。『コシアブラの天抜き』、さすがにお蕎麦屋さん、蕎麦だしが実に美味い。


メインはマンガリッツァ豚のトンカツ、モモとロースである。ハンガリーの国宝豚は今は羊のように毛で覆われた豚で日本の業者も少量ながら扱ったり、北海道十勝地方や神奈川県しまざき牧場が生産を始めている。ソースもあったが、日本酒に合わないと思い、粗塩で頂く。脂が甘くロースが美味いが、モモも歯応えと食べているうちに口に広がる旨みが素晴らしい。

他にも数種類酒を出して頂き、大満足。また和らぎ水の代わりに頂いた鉄瓶の白湯が美味かった。


最後に2種類のお蕎麦、いずれもかなりのこだわりで仕入れた玄そばを挽いて打った田舎そば。カツオを乗せて頂くが、喉越しで食べる蕎麦と違い、口の中でよく噛んで旨みを感じながら食べた。

他にもサイドメニューはあったが、とても食べられるほどに腹に余裕がなく、まずは濃いめの蕎麦湯、そしてお茶で締める。スタートが16時だったが終わったのが19時半、色々とタメになる話は伺ったが、酒もあり、美味かった記憶のみ残った。ご馳走さまでした。もちろん必ず予約して行ってくださいね。

一茎庵
厚木市東町6ー12
09047161118