夜這い星(よばいぼし)
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思い出すね
宿舎の塀を乗り越えたら
下に寮長がいて
慌てふためいて
スカート引っ掛けて破いたこと
二度目に見つかったときは
あなたが逃げ出すとき
財布落として
仕方なく捕まったとき
始末書書く手が震えていた
遠い遠い思い出
でもそれがあって
今がある
・・・・
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恋する魂
流れ星・・昨日少しだけ見ることができた
寒さをこらえて真っ暗な空見上げていた
突然思わぬ方向から・・スーっと
流れ星の正体は
宇宙に散在している塵だそうです
その流れ星の呼び方も
地方によってさまざまです
他の星に縁を切られて
落ちてゆくところだと思って「縁切り星」
反対に
他の星に嫁ぐところだとみて
「星の嫁入り」という地方もあります
「夜這い」も
昔は「婚(よばい)」と書いたぐらいで
もともとは「呼ばい」
結婚を求めて呼びかけることだったそうです
昔は
恋しいと思いつめていると
魂だけが抜けだして
その人のもとへ行くと信じられていました
流れ星は恋する魂というわけですね
流れ星が消えないうちに
願い事を三回唱えると
叶うといわれていますが
いつもあっという間に消えてしまいます
恋心は
ものすごい速さで
飛んでいってしまうものなのですね
(山下景子著「美しい日本語」より)