返りざく 勿忘菫 はなの径
かえりざくわすれなすみれはなのみち
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木枯らしが吹く季節になると
誕生日に起きた
事故を思い出す
沢山の日にちが過ぎてゆく
あなたはわたしの心の中にいる
時々わたしを励ましながら
あなたが好きな菫も咲いた
そんなあなたが
久しぶりに夢に
朝目覚めたら枕がぬれていた
窓を開ければ
今朝も木枯らし
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十二月の誕生色は
小雪が舞う季節の
藍白色ということになっています
菫(すみれ)は早春に咲く花ですが
返り咲きすることが多く
十二月に花を咲かせることも珍しくないそうです
かわいらしくうつむいた花が
この季節に
遠慮がちに返り咲く姿はいじらしいですね
「すみれ」の語源は二説あって
「墨入れ」が変化したという説
花が昔の墨入れに似ていたからだそうです
もうひとつは
「摘み入れ草」から来たという説
摘む花といえば
菫が代表的な花だったそうです
それだけ親しまれた花なのですね
返り咲きの菫が小雪の中で揺れる風景
「忘れないで」とささやきかける
今年一年の淡い思い出のようです
(山下景子著「美人の日本語」から・・)