労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

オンラインシンポ「『雇用によらない』働き方を考える~Uberイギリス最高裁判決から~」

2021-06-15 | 書記長社労士 公共交通

 6月10日、交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える―Forum for Traffic Safety and Labourは、日本労働弁護団共催にて、オンラインシンポ「『雇用によらない』働き方を考える~Uberイギリス最高裁判決から~」を開催した。
今年2月19日、イギリス最高裁判所は、Uberドライバーが労働者であり、最低賃金・有給休暇などの保護がなされるべきとの判決を出したが、このシンポでは、今回この裁判の原告ジェームズ・ファーラーさんをお呼びし、裁判の内容や経過について報告を受け、ギグワーカーの保護のあり方等について考えた。

 開会にあたり、代表世話人の一人、宮里邦雄氏(弁護士、日本労働弁護団元会長)は、「新型コロナウイルス感染症の拡大は、2008年のリーマンショック以上に、多くの雇用を奪っているが、一方で、ウーバーイーツをはじめ、ギグワーカー、プラットフォームワーカーと言われる『雇用によらない』働き方が急速に拡大している。しかしこれら雇用によらない働き方をする人は、我が国では個人事業主とされ、労働基準法、最低賃金法、労災も適用されず、すべてが自己責任となっている。さらに労働者に保証されるべき労働団結なども否定されているが、諸外国ではこれら労働者を保護する判決が相次いで出され、法改正も行われている。今日のシンポジウムではこうした働き方、働かせ方についてどのような取り組みが行われているが、諸外国の先進的な取り組みを学ぶ機会にしたい」と呼びかけた。



 James Farrar(ジェームス・ファーラー)さん
「UBERは単なる予約業者であって運送事業者ではないと主張する。
労働者の権利に責任は負わないし、乗客の権利に対する責任も負わず、乗客に対する責任はドライバーが負う。
税金もUBERは払わず、ドライバーに払わせるが、ドライバーも収入が10万ポンド以下なら払わない、UBERは税金を回避している。
プラットフォームは供給を過剰にする、ドライバーの数が多くなると料金を下げる、ドライバーは収入が下がるが、UBERは規模の拡大で稼ぐ。
イギリスの最低賃金は7ポンドだが、1時間に5ポンドしか稼げないが、キャッシュフローに気付いていない労働者は多い。
自動的に配車されることは、ミニキャブよりも公平だと思っているドライバーも多い。
UBERはフレキシビリティ(柔軟性や融通性を有している)と思われているが、アルゴリズムによる管理にフレキシビリティなどない。
自分の自由の時間に自由な場所で働けるというのは『幻想』だ。
何処でも働けるのではない、アルゴリズムに働かされているし、90時間働いて500ポンドなら、500ポンドで90時間という人の時間を奪っているのであって、UBERで無ければ500ポンドを45時間で稼げるかも知れず、UBERに自由はない。
ギグワークというのは、余った時間に働いているのではない、その時間は労働している時間だ。
私たちの運動によって労働者としての権利を獲得すると、同時に自由を失うという人もいるが、そもそも自由は幻想であって、ないのだ。
UBERは、仕事の割り当て(Work Allocation)、パフォーマンス、監視(Surveillance)をすべてマネージメントコントロールしている。
①自分は本当ならいくら稼げたのか、②自分の時間と車両は本当ならもっと活用できたのではないか、③与えられた仕事の質や量はほんとうならどれほどの価値があったのか、④契約解除された本当の理由は、これが、UBERのデータの価値評価を行う重要な鍵だ。
オランダで係争中の裁判では、アクセスの基準を設定する、アルゴリズムの透明性、自動化された決定を不服申し立ての根拠とすることなどが争点となった。
私たちがこの闘いで学んだことは、抵抗を乗り越えるのには時間と忍耐、そして良好な計画が必要であること、また、法廷闘争で足りることは決してないということだ。
成功に必要なのは、継続的なプレゼンス・組織化、恒常的なコミュニケーションとアドボカシー(一人ひとりが問題について知り、その原因について声をあげ、 解決のためにできることを訴えていくこと)、行動・法廷闘争、ストライキ、抗議であるが、それぞれが複合的になっていなければならない。
私たちは一貫性を失わなかった、5~6年、一貫性を持って闘ってきた、そのことによって信頼を勝ち取った。
常に存在感を発揮することが重要だ。
ウーバープラットフォームは世界各国ですべて共通している。一つの国の組織として闘うのではなく、皆で共にアプローチしていく必要がある。イギリスの仲間として共に頑張っていきたい。」



 背景を解説しておく。
英国のタクシーは「ブラックキャブ」の愛称で親しまれているが、そのライセンス取得は世界一難しく、試験に合格するものは受験者の3割に過ぎない。運転手は独立事業主だ。これに加え、予約専用の配車サービス・PHV(プライベート・ハイヤー車)がある。ブラックキャブより割安で、通称「ミニキャブ」と呼ばれている。タクシーの供給が不足していたロンドン郊外で1960年代から普及し全国へ広がった。長年白タク同然だったが、2001年から規制を設け、5年毎の更新を要する営業免許制とした。こちらも運転手は独立事業主扱いだが、ブラックキャブのような厳しい資格審査はない。
 ウーバーは世界中でタクシー業界に殴り込みをかけ、一般運転手が自家用車を使うライドシェアを強引に広め、「法律は後からついてくればよい」とうそぶき、違法サービスを正当化してきた。だが、英国では規制のゆるい「ミニキャブ」として営業する道を最初から選んでいたのだ(だからこそ、ロンドン交通局から2回もその免許更新を拒まれたことは大問題なのだ)。
 典型的なミニキャブ運転手は、週単位で会社に仲介料を払う見返りに、コントローラーと呼ばれる係から配車を受ける。ブラックキャブと大きく異なる点だ。運賃は事前に会社が設定しており、運転手は運賃収入から、仲介料、ガソリン代、車両保険などを負担する。車両はマイカーの持ち込みが一般的だが、会社からリースできる場合もある。仕事の始めと終わりを自分で決められるなど、好きな時間に働けることが魅力だと言われる。

 英裁判の原告は、元ウーバー運転手のジェームズ・ファラー氏とヤシーン・アスラム氏を筆頭とする 25人。ファラー氏は 2015年3月に乗客から暴行を受けた際、「仲介サービスのウーバーは事件と無関係」という会社の主張に納得せず、10週間かけて加害者の情報を警察に提出させた体験が、ウーバーとの雇用契約を考えるきっかけとなった。アスラム氏は同じ頃、安全問題に関わる会社のシステム不備をマスコミに告発したところ、アカウントを一時停止された。この前後にも組合運動に関わり、ウーバーからアカウントを一時停止されているが、英労働法では独立事業主は内部告発から保護されないため、労働者(就労者)として認定される必要性を感じていた。
 ウーバーは同年9月、英国で初めて一方的に手数料を引き上げたが、両氏はこれに抗議する集会などに参加していく。それ以前から会社は運転手をどんどん増やしたり、運賃を引き下げており、収入が法定最賃に達しない運転手が続出していたからだ。ファラー氏の場合、諸経費を差し引いた収入が時給換算で5.03ポンド(約755 円)だっ た月もあるという。当時の英最賃は、7.20ポンド。
 こうした経験を経て、ファラー・アスラムの両氏は、大手組合GMB(全国都市一般労組)の支援を受けながら、「ウーバー運転手は独立事業主ではなく、最低賃金や有給休暇を享受する権利を有している」という訴訟を起こす。雇用裁判所の審理は、2016年7月20日に始まった。
 それから4年半、2月19日、ウーバー運転手の労働者性を認める判決を下した。6人の判事は全員一致で、「運転手は就労者( worker )」という原告の主張を支持し、運転手がアプリにログインしている間を勤務時間とみなすべきと結論付けた。
ウーバーは、2016年10月に雇用裁判所で敗訴して以来、4連敗となった。「運転手は独立事業主」とか「事業は予約代行サービス」という同社の主張は、初審から「ばかげたもの」と退けられ、裁判で一度として認められることはなかった。判決は、運転手が会社に従属している根拠として、改めて次の点を挙げている 。
〇 ウーバーが運賃を決め、運転手が稼げる金額を設定している。
〇 ウーバーが契約条件を設定し、運転手側に発言権がない。
〇 乗車リクエストはウーバーに制約されている。ウーバーは運転手があまりにも多く乗車拒否した場合にペナルティを課すことができる。
〇 ウーバーは5つ星評価を通して運転手のサービスを監視し、警告を繰り返しても改善されない場合は契約を終了する権限を持っている。
 英裁判で原告が認定を求めた「就労者(worker )」とは、 労働者( employee )と 個人事業主( self employed )の中間に位置づけられる英国独自の雇用類型だ。英裁判で原告が従業員ではなく就労者の地位を追求したのは、「それが組合員の求めたことだったから」とファラー氏は解説する。背景には、多くのウーバー運転手が「ミニキャブ」出身者だったという英国独自の事情があるという。


 シンポジウムではその後、市民会議事務局の木下徹郎弁護士の進行で、ウーバーイーツユニオンを支えている川上資人弁護士、日本労働弁護団の管俊治弁護士、ITF(国際運輸労連)の浦田誠部長が、参加者の質問なども踏まえて、ジェームスさんとディスカッションを行った。
今回のシンポジウムでは、全体で160名、内訳として、事業者や労働組合関係以外に、国会議員7人、労働弁護団から37人、大学関係者や学生が25人、マスコミ関係10人などの参加があった。

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オリパラでも、大会に関係するバス・タクシードライバーには、東京電力福島第一原発事故のときと同様に、誰もリスクには責任を取らないのか?

2021-06-12 | 書記長社労士 公共交通


 昨日、参議院本会議後、オリパラ時の輸送に携わるバス・タクシー運転士へのワクチン接種について、私鉄総連担当者にも同席してもらいオリパラ事務局から説明を受けました。未だ接種については検討中とのことだったので強く求めました。森屋隆FB

 昨日は、森屋隆参議院議員(私鉄総連組織内議員)が、内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局の担当者から、オリパラ時の輸送に携わるバス・タクシー運転士へのワクチン接種についてレクを受けるということで、同席させて貰った。
IOCからファイザーのワクチンが無償提供されるので(2万)、選手と選手に随行する関係者(選手団)に受けさせることにしているが(その対象者の範囲は未だ調整中)、その選手団に一体となって行動する者達(通訳・チームDr.など)へのワクチン接種は今のところ未定。
しかし昨日(6月9日)、IOCから追加のワクチン提供があるということなので(提供量は未定)、選手に接触する人(大会関係者)への摂取をこれから検討するとのこと。
バス2000台、ハイヤー2700台、さらにJOCが用意せず受益者負担の車両が800台と想定されているが、それに従事される運転者のワクチン接種は未定とのこと。

 それに対して、私からは、東京オリンピックではバブル方式(開催地を大きな泡で包むように囲い、入国前のPCR検査、入国後のPCR検査。そして大会期間中にも定期的に検査を行い、選手やコーチ・関係者を隔離、移動制限・行動制限も厳しく「ホテルと練習会場・会場以外には原則移動できない」ようにし外部の人達と接触を遮断する方法)を採用するとしているが、そこに、セキュリティー・通訳、そして私たちが気になっているバスやタクシーのドライバーが、当然のように選手や関係者に接触するわけだ。
そして、そのバスやタクシーのドライバーは、私らの組合員が、参加せざるを得ないのかもしれないのだ。
ということについて問題提起。

 その上で、森屋隆参議院議員(私鉄総連組織内議員)は、東日本大震災の際に、東京電力が福島第一原子力発電所で事故を起こした際に、地域住民を放射能の汚染から避難させるために、迎えに行かされた私鉄のバスの組合員は、現地で出迎えた国や自治体や東電の関係者が防護服を着ていたにも関わらず、私鉄総連の組合員であるバスドライバーや避難住民は丸腰だった事例を挙げ、「『バブル方式』で関係者だけは守って、このオリンピックでも、バスやタクシーのドライバーは、丸腰で働かせるのは、納得がいかない」と指摘。
とにかく、①選手団以外の、「バブル方式」に携わる関係者のワクチン接種を一日でも早く行うこと(ファイザーワクチンなので二回摂取に3週間が必要)、②その上で、選手に接触する人(大会関係者)への摂取で優先順位を決める必要があるが、バスやタクシーのドライバーの優先接種順位を可能な限り上位とすること、について、要望した。

 オリンピックを開催することで、日本が、世界中の変異株の見本市になり、まったく無防備でオリパラに関わる数万人の日本人の命がどうなるか、ってな状況。
今回、ヒアリングした内閣官房の担当者も、JOCや東京都がどうするかであって、私ども日本政府はそこに関与出来ないのですよ、とほほ😅ってな状況。
これでええのか?
日本に住んでる人の命を、今、逼迫している医療体制を、このオリンピックという「いち」スポーツ競技イベントのために、IOCのぼったくり男爵のために、さらなる危険にさらしてもほんまにええのか?

 その後、別の会議に出席した後、呑みに行くぞ~ってなったが、「え?呑める店あるの?」ってなったが、この6月以降、酒を提供している店はたくさんあるとのこと。
いったお店の店主に「なんで?」って聞いたら、「うちらずっと酒の提供も控えて時短で頑張ってきたけど、オリンピックやるんでしょ、もうやってられませんよ、うちらは死活問題ですよ、もう我慢なりませんよ」ってめっちゃ怒ってた。
そら、そうやわ…💢

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オンラインシンポ「『雇用によらない』働き方を考える~Uberイギリス最高裁判決から~」を開催します❕❕

2021-06-10 | 書記長社労士 公共交通

 交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える―Forum for Traffic Safety and Labourは、日本労働弁護団共催にて、以下のオンラインシンポを企画しました。
是非ご参加いただき、また参加を広く呼びかけていただけますと幸いです。【参加登録URL】 https://kokucheese.com/event/index/611879/

イベント名:『雇用によらない』働き方を考える~Uberイギリス最高裁判決から~

集会の趣旨:今年2月19日、イギリス最高裁判所は、Uberドライバーが労働者であり、最低賃金・有給休暇などの保護がなされるべきとの判決を出しました。今回この裁判の原告ジェームズ・ファーラーさんをお呼びし、裁判の内容や経過について質疑討論を行い、ギグワーカーの保護のあり方等について考えていきます。

日時:2021年6月10日(木) 18:00~20:00

内容:
1 Uberイギリス最高裁判決獲得までの闘いとその後
   ジェームズ・ファーラー(Uberイギリス裁判原告)
2 討論 
 ジェームズ・ファーラー
 浦田誠(国際運輸労連政策部長)
 菅俊治(弁護士 日本労働弁護団常任幹事 UberEats労働委員会事件代理人)
 川上資人(弁護士 日本労働弁護団常任幹事 UberEats労働委員会事件代理人)
3 参加者質疑     

開催場所:Zoom(ウェビナー予定、事前申込必須)
参加費:無料
参加方法:下記URLをクリックすると、申し込みフォームに繋がります。必要事項を回答し、お申し込みください。

【参加登録URL】 https://kokucheese.com/event/index/611879/

お申し込み後、ご登録いただいたe-mailアドレス宛に登録確認のメールが送信されます。
イベントの接続先URL及び事前配布資料等は、登録いただいたe-mailアドレス宛に事前にお送りいたします。
多くの皆様のご参加をお待ちしております。
よろしくお願いいたします。

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「入きょう」(入鋏・にゅうきょう)って、昭和や!!😱 改札口で切符に駅員さんがハサミを入れてくれるのを知っている人は、令和・平成を2世代飛び越えた昭和の人です!(昭和から言うと、明治の男・女)

2021-06-04 | 書記長社労士 公共交通

 自分が青春の入り口の時、まだまだ青い淡い恋心をずたずたにして、弄んで、こんな俺にしてしまった友人の、Facebookに上げてくる、娘2人とのやりとりをいつもほのぼのと読んでいる。

遅延証明書
「こんな白紙なん?笑」
「〇で切られてるやろ?」
「あ、そーゆーこと?」
「6月1日って」
「すご」
「かいてられへんからな」


という、在阪のとある私鉄の人身事故の際のやりとりをFBで見てて、気付いたことがあった。


 んで、当該鉄道会社の人とこの写真のことで話していて、そしてうちの局全員との討論になった。
そして「入きょう(入鋏)」の意味が、若い人にはわからない、という結論に至った。
切符を改札で鋏(はさみ)入れられていた時代を知らんもんね。
で、彼女の娘さんは、けっして、お馬鹿ではない、当たり前だ。
これは「昭和の遺物」まちがいなしやな❗
ちゅうか、これは変えた方がいいかもね、令和に合わせて😅


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コロナ対策とタクシー事業法制定で要請~ハイタクフォーラム請願署名提出~

2021-05-24 | 書記長社労士 公共交通

【24 💪部屋7-28 DShoulderPress17.5kg RearDertoidRaise7.25kg Crunch SideCrunch】 5月18日、ハイタクフォーラム(私鉄総連ハイタク協議会・全自交・交通労連)は、「新型コロナ感染症対策とタクシー事業法(仮称)制定を求める請願署名」をタクシー政策議員連盟に提出し、新型コロナウイルス感染拡大などタクシーを巡る情勢についても意見交換を行った。私鉄総連から志摩卓哉ハイタク協議会議長、久松勇治事務局長、緊急事態宣言中であることから全国のハイタク幹事を代表して関東ハイタクから石橋清志議長、内山篤副議長、酒井博事務局長が出席した。 


 要請は冒頭、ハイタクフォーラムを代表して伊藤実代表から「請願趣旨は、現行基準による新型コロナ対策の継続、特に雇用調整助成金特例措置の継続をお願いしたい。もう一点は、かつて民主党政権時に成立寸前までいったタクシー事業法について、再度検討し、制定していただきたい」と挨拶した。続いて、タクシー政策議員連盟を代表して挨拶した辻元清美会長は、「感染症が拡大するなかでも請願署名を受け取ることができ、本当に良かった。国土交通委員会などさまざまな場面で議連メンバーがハイタク問題について質問を積み重ねている。少しずつ成果も出ているが、現場と連携しながら、政府の支援策を引き出していきたい」と述べた。挨拶後、伊藤代表、私鉄総連・志摩ハイタク協議会議長、交通労連・小川ハイタク部会長から全国の仲間から寄せられた 35,097枚、165,578 筆(うち私鉄総連 8,577枚、41,942 筆)の請願署名をハイタク議連の議員に手渡した。


 署名提出後に行われた意見交換では、私鉄関東ハイタク協議会・石橋議長から「会社も逼迫した経営を続けており、銀行に追加融資を申し入れたところ、断られたという。このままではタクシー事業を継続できない。支援の拡充を」と要望した。
 これに対して辻元清美会長からは「先日の国土交通委員会で金融庁担当者から、融資を受けようとする事業者に返済計画を強制せず、積極的に追加融資を行うよう指導しているとの答弁があった。融資を断った金融機関には、この指導に違反していることなどを積極的に紹介して欲しい」とした。また、志摩議長からは、社会保険料の納付猶予と公租公課の減免措置の拡充を求めた。
 署名はその後、ハイタク議連の各議員の選挙区ごとにまとめられ、それぞれの議員から国会に提出された。私鉄組合員の皆様のご協力に感謝申し上げる。

請願署名提出・意見交換に出席いただいたタクシー政策議員連盟国会議員
辻元清美衆議院議員(議連会長)、泉健太衆議院議員(議連幹事長)、広田一衆議院議員(議連事務局長)、近藤昭一衆議院議員、森山浩行衆議院議員、本多平直衆議院議員、古川元久衆議院議員、吉田統彦衆議院議員、末松義規衆議院議員
※参議院議員は参議院本会議のため欠席

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タク議連における国土交通省の自動車局提出の資料「タクシーに関する取組み」

2021-05-17 | 書記長社労士 公共交通
 先日開催された「タクシー政策議員連盟」総会で、国土交通省から示された資料を、こちらで共有。⇒「立憲民主党を中心とした野党系の「タクシー政策議員連盟」総会を開催、雇用調整助成金の特例措置の延長、ワクチン接種者輸送などのタクシー活用を要請した



 タクシーに関する取組について。

コロナ禍におけるハイヤー・タクシー支援策について
◆新型コロナによるタクシーへの影響調査(令和3年3月時点)
○運送収入: 2019年同月比50%以上減の事業者・・・全体の約14%(2月:30%減、2020年5月:90%減)
○輸送人員: 2019年同月比約39%減(2月:45%減、2020年5月:69%減)
○資金繰り支援  : 97%の事業者が活用
○雇用調整助成金: 85%の事業者が活用

◆新型コロナウイルスの影響を受けたタクシーへの支援について
◎感染症対策・公共交通確保
○地域公共交通の活性化・継続 (3次補正予算 約305億円の内数)
・3次補正予算案において、重要な公共交通機関であるタクシーを補助対象化し、新技術を活用した空気清浄機等の感染症対策などを支援
◎事業継続支援
○雇用調整助成金の特例措置(令和3年4月末まで、5月・6月は業況特例等)
  助成率:中小企業4/5(10/10)、大企業2/3(3/4)、上限額15,000円、申請手続の簡素化
 ※括弧内は解雇を行わない場合等の助成率
○資金繰り支援の強化
・日本政策金融公庫、商工組合中央金庫による最大6億円までの運転資金及び設備資金の支援
・特別利子補給制度による実質無利子・無担保融資の上限額を2億円から3億円に引き上げ
 (3次補正約3.2兆円を確保)
○持続化給付金:中小企業等で売上が減少している事業者を対象に法人200万円、個人事業者100万円
○家賃支援給付金:中小企業等を対象に法人50万円、個人25万円
○一時支援金:時短営業等に影響を受けた中小企業等を対象に法人60万円、個人30万円
○タクシーデリバリー:食料・飲料のタクシーデリバリーについて貨物自動車運送事業法の許可を受けて運送できるよう措置 (3次補正予算による事業再構築補助金の対象)
◎需要喚起
○GoToキャンペーンによる需要喚起(※来年6月までとすることを基本として想定)
・中小事業者や被災地など観光需要の回復が遅れている事業者・地域へ配慮するとともに、平日への旅行需要の分散化策を講じつつ、制度を段階的に見直しながら延長。
◎その他
○地方創生臨時交付金:自治体による事業者支援の働きかけ(3次補正1.5兆円、予備費で5,000億円追加)
○道路運送法の手続の柔軟化:非稼働車両の維持コスト抑制等を図るため臨時休車の特例措置

◆各地方運輸局によるバス・タクシー支援の働きかけ
1.背景
● 令和2年12月末、自動車局長から各地方運輸局長に対し、地方創生臨時交付金を活用したバス・タクシーの感染防止対策の支援が行われるよう、業界とともに地方自治体に働きかけるよう指示。
(参考)感染防止対策の例 高性能フィルタを備えた空気清浄機や、空気清浄状態の「見える化」のためのモニターの導入 等
2.都道府県への働きかけの状況(令和3年3月30日時点)
● 全ての都道府県に対して、バス・タクシーへの支援について要請を実施済み。
■ 前向きに検討との反応が大宗。
   <自治体からの主なコメント>
   ・業界の実情がわかった。できるだけ予算に反映したい。
   ・国交省の施策と連動することは効果的。
   ・交通は大変だと認識。
● 9地域(北海道、群馬県、岐阜県、静岡県、三重県、滋賀県、奈良県、和歌山県、長崎県)において令和2年度2月補正予算・令和3年度当初予算にバスタクへの支援措置あり。
● 引き続き、地方自治体に対して、本交付金の活用の働きかけを行うとともに、活用事例の共有や自治体からの相談への対応を行っていく。



◆新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(事業者支援分)の創設
 緊急事態宣言の発出により、人流が減少し、経済活動への影響が全国的に生じることを踏まえ、その影響を受ける事業者に対し、都道府県が地域の実情に応じた支援の取組を着実に実施できるよう、特別枠として「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(事業者支援分)」を創設。
〇予算額:5,000億円
 3,000億円については、喫緊の課題に対応するため先行して交付
 2,000億円については、緊急事態宣言終了後の状況等を踏まえ、経済活動の回復・強靱化に対応するため留保
〇交付対象:都道府県
*事業者への支援は、広域的な観点から取り組むことが効果的であるため、都道府県のみ対象とする。
〇対象事業:新型コロナウイルス感染症により経済活動に影響を受ける事業者への支援、感染症防止強化策・見回り支援
〇算定方法:事業所数を基礎として財政力を反映して算定

◆ハイヤー臨時流用特例制度について
背景 
● タクシーは公共交通機関の一つとして帰国者輸送が認められないが、ハイヤーは公共交通機関に当たらないものとして帰国者輸送として活用されているところ。
● 一方、ハイヤーは、企業等との契約に応じて車両を確保する事業の特性から、車両数を十分に確保できない場合があるため、タクシー車両をハイヤー車両として臨時に流用することを認める特例制度を令和3年4月に創設した。
概要 ※東京オリパラ関係者(報道関係等)の輸送で活用できないか検討中
(1)タクシー車両をハイヤー車両に流用する手続
・ コロナ禍における一時的な帰国者輸送等の需要の増加によりハイヤー車両が不足すると地方運輸局長等が認める場合に限り、事業者の事前申請(事業計画の変更は不要)により、タクシー車両をハイヤー車両として臨時的に流用することを認める。 
(2)タク特法(S45法律第75号)第45条の解釈
・ 流用したハイヤー車両の表示は、タクシー車両に準じた取扱い(ハイヤーの表示は不要、行灯は装着したままで可)とする。
・ ただし、行灯は実車中の表示(消灯)とし、スーパーサインは一般のタクシーと区別できる表示(例:「帰国者専用車両」)、又はスーパーサインの前にその表示を記載したプレートを設置することとする。
(3)運賃
・ ハイヤー運賃ではなく、タクシー運賃を適用する。

タクシーを活用したワクチン接種者の輸送について
◆ワクチン接種にタクシーを活用する事例について
活用内容:パターン1 被接種者にタクシー券等を配布 例)宮城県塩釜市 等 検討自治体数 R3.3末時点14 R3.4末時点135
活用内容:パターン2 被接種者を乗合タクシーで運送 例)北海道弟子屈町 等 検討自治体数 R3.3末時点7 R3.4末時点76
活用内容:パターン3 医療従事者が被接種者を訪問接種する場合等のタクシーの活用 例)東京都足立区 等 検討自治体数 R3.3末時点0 R3.4末時点6

◆ワクチン接種にタクシーの活用に対する助成について
1. 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(内閣府)
● 以下いずれの場合も、活用が可能 
① タクシー券の配布
② 乗合タクシーの運行
③ 医療従事者等によるタクシーの活用
2. 新型コロナウイルス接種体制確保事業による補助金(厚労省)
● ①以外の、②・③のみ活用が可能 
<②乗合タクシーの運行に助成する場合の条件>(身体障害者等)や(交通アクセスが悪く、接種会場までの移動が困難な者)を乗合タクシーにより効率的・経済的に運送する場合に可能

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立憲民主党を中心とした野党系の「タクシー政策議員連盟」総会を開催、雇用調整助成金の特例措置の延長、ワクチン接種者輸送などのタクシー活用を要請した

2021-05-14 | 書記長社労士 公共交通

 5月12日、衆議院第一議員会館で、立憲民主党を中心とした野党系の「タクシー政策議員連盟」は総会を開催。
コロナ禍 でのタクシーへの支援、雇用調整助成金の特例措置の延長、ワクチンの接種者、医療従事者に輸送のタクシー活用を要請した。
 冒頭、挨拶に立った辻元清美議連会長は、「GoToワクチンタクシーとして、高齢者のワクチン接種に係る輸送などにタクシー活用するよう各自治体に働きかけ、タクシークーポンや割引券など自治体単位の提供を求めていきたい」とし、「議連として各国会議員がそれぞれ地元の自治体に働きかけて欲しい」と求めた。
 続いて、全国ハイヤー・タクシー連合会の川鍋会長は「4月の速報値では全国ベースでタクシーの売り上げは2年前と比べて4割減となっている。前回の緊急事態宣言に比べて、飲酒が全面的に禁じられていることで、今回の方がダメージは大きい。東京の場合、1 年間でタクシードライバーが7%辞めてしまった。これは過去5年間の新人ドライバーの人数に当たる。さらに事業を取りやめる会社も増えている。なんとか雇用調整助成金の期間延長をしてもらいたい。」と挨拶。
 また、ハイタクフォーラムの伊藤実代表幹事(全自交)は「飲食店の営業自粛、時短、アルコールの提供禁止などでタクシーの稼ぎ時は壊滅状態になっている」と強調、雇調金の延長を求め、「ワクチン接種はコロナ収束の鍵になると捉えており、自治体によっては接種会場移送にタクシーを活用されているが、さらに働きかけをお願いし、あわせて高齢者の移動を支えるためにタクシーの運賃補助などを検討して欲しい」と挨拶した。
 国土交通省の秡川直也自動車局長は、「ワクチン接種のタクシー活用については、タクシー券配布や接種者の輸送など3月末では 21 事例しかなかったが、こうした事例を運輸局・支局を通じて、全国の自治体に呼びかけたところ、4 月末には 300 事例に増えている。できるだけ全市町村に広げていきたい。」と説明し、「地方創生臨時交付金や厚労省のワクチン接種体制確保補助金は乗合タクシーの運行にも使える。」とし、関係者による地方自治体への働きかけの協力も要望した。



 意見交換では、全タク連の田中亮一郎副会長が「ワクチン接種者の輸送を担うタクシー運転者への、医療従事者に準じたワクチンの優先接種」も求めた。
 ハイタクフォーラムからは、久松私鉄総連ハイタク協議会事務局長より「現行の特例措置の内容のままで、7月以降も雇用調整助成金は延長して欲しい。現場では、皆が感染の不安に怯えながらも、休業による稼働調整を行う場合では、高年齢者や基礎疾患を持っている仲間に優先的に雇調金を使って休業して貰い、頑張れる組合員は、地域の足を守るために一生懸命頑張っている。
 厚生労働省は、雇調金の特例措置について、財源の問題とともに、雇用情勢が悪化していない、成長産業やコロナ禍でも人手不足な産業への労働移動が進んでいない、働く者のモチベーションが下がる等を理由として縮減を主張するが、特例があっての雇用情勢の数値であり、特例を縮減すると一気に悪化することは明らかで、モチベーションについては失業してしまっては元も子もない。
 タクシーは、ドア・ツー・ドアの個別輸送機関で、地域の交通弱者の重要な交通機関であり、地域によっては、鉄道もバスもなく、唯一の公共交通である。労働移動が進まないという労働市場原理を持ち出して、エッセンシャルワーカーを運ぶエッセンシャルワークでもあるタクシー産業、地域の公共交通であるタクシー産業がなくなってしまえば、取り返しの付かないことになる」
と訴え、地域の足と事業を守り、雇用を守るために、雇調金の特例延長を強く求めた。
 また、参加している議連国会議員からは、小宮山泰子衆議院議員(衆議院国土交通委員会理事)などから発言があり、閉会挨拶では、泉健太衆議院議員(議連幹事長)が「私の地元である京都や、愛知ではワクチンタクシーの事例がない。タクシー利用のワクチン接種活用を拡大するよう全国で取り組みを強めたい」と呼びかけ、総会を終了した。

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オンラインシンポジウム「コロナ禍で交通の安全が危ない!~ライドシェア・ギグエコノミーの問題」を開催した

2021-02-18 | 書記長社労士 公共交通

 2月16日、交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える― www.forumtsl.org は、「コロナ禍で交通の安全が危ない!~ライドシェア・ギグエコノミーの問題」をテーマに、初めてのオンライン集会を開催した。

 オープニングは少しもたついたが、予定通り17:30に開会、主催者として、代表世話人の宮里邦雄弁護士(日本労働弁護団元会長)がオープニングの挨拶をおこなった。

 最初のスピーカーは、「コロナ禍による公共交通への影響」について、戸崎肇桜美林大学航空マネジメント学群教授。
コロナ禍前の公共交通では、路線バスでは、地方は人口減少とマイカー社会の進展⇒公共交通に対する需要の減、都市部は運転者不足⇒収益が見込まれても運行便数の削減、貸切バスはインバウンド需要の急増⇒供給体制の逼迫化、コミュニティ・バスは運転者不足による事業継続性の困難化、という問題を抱えていた。
コミュニティの重要性と地方交通の限界性が課題となっていて、住民による自主的取り組み(顔の見える助け合い)、地方交通会議の機能性、交通行政の在り方(継続性、行政機関間の連携性)、首長の取り組み姿勢の重要性をいかに克服するかが課題であった。


 しかし、コロナ禍は、インバウンド需要の激減(2019年3188万人⇒2020年411万人)、外出自粛による移動需要の減少⇒特に夜間外出の制限は、タクシー、鉄道に大きな影響を与える、テレワークやオンライン会議など「働き方改革」の推進、「巣ごもり需要」⇒「ウーバーイーツ」などギグ・エコノミーの躍動、スマートシティ、MaaSなどの動き、GO TO キャンペーンの評価などの事態をもたらした。
そういった中で、「混乱の中で、拙速な対応がとられないように注視すること。」「今だからこそ、公共交通の存在意義について問い直し、その維持・向上のための体制を再構築すること。」「公共性、安全性」「他の政策目的との連動性」について取り組まなければならないと述べた。

 続いて、市民会議事務局で、日本労働弁護団常任幹事・本部事務局次長、ウーバーイーツユニオン法律顧問の川上資人弁護士が「『ライドシェア』の問題点について~コロナ禍のギグエコノミーから考える~」についてスピーチ。


 私たち市民会議は、2016年8月に発足以来、🔼のように運動を展開してきた。
私達は、世界で展開し、日本にも入ってこようとしているライドシェアは、①一般ドライバーが旅客運送をすることの安全上の問題、②「ライドシェア」企業(ウーバー、リフト等)が法律上の責任を一切負わないという問題、③ドライバーに労働法が適用されない(契約の一方的変更、解約が横行。労災不適用。労働組合の否定。)問題、④「ライドシェア」企業は、利用者、ドライバーの両者に対して一切責任を負わない問題、⑤法定の安全管理義務を履行するタクシー業者との不公正競争の問題、があるとして、交通の安全と労働を考える、「ライドシェア」問題を考えるために運動を展開してきた。
ライドシェアが世界中でもたらしてきた問題、具体的には、①対ドライバー⇛雇用責任の不在、②対利用者⇛運送責任の不在等、③度重なる違法行為、④公共交通の破壊、⑤交通渋滞による環境破壊、⑥必要性の欠如、⑦誰のため?、という問題点について指摘してきた。


 今、コロナ禍で明らかになったギグエコノミーの実態(ウーバーイーツ)は、①多数の配達員が配達市場に流入、②仕事量の減少と賃金の低下、③事故の増加(労災不適用、休業補償なし)、④被害者の放置、⑤プラットフォーム企業は労働者、利用者のどちらに対しても一切法的責任を負わない。
そして、このことで、ギグ・エコノミーがどのような結果をもたらすかが明らかになった。
ひとつは、労働組合の否定と賃金の低下。
「団体交渉は、先進国において、包括的成長をもたらす重要なツールである。アメリカにおいては、賃金格差を縮小させるのに重要な役割を果たしていた。」「労働者の賃金において、組合賃金プレミアム(union wage premium)は大きな割合を占める。特に低中所得者層にとってその割合が大きい。- “Report of the Commission on Inclusive Prosperity”, Center for American Progress, 2015年1月」「『シェアリングエコノミー』は、労働者を個人事業主とすることで、労働組合を排除する。」、ハーリー・シェイクン教授(カリフォルニア大学バークレー校)、「『シェアリングエコノミー』は、多くの場合、組合を回避するための経営者の戦略だ。ウーバーやリフトは労働者を個人事業主と位置付けることで組合の結成を回避している。」ということ。
そして、労働法、社会保険の不適用。
「『シェアリングエコノミー』の働き方は、リスクを企業から個人の肩の上に移すものだが、往々にして労働者はどのようなリスクを引き受けているのかを正しく理解していない。」(2015年1月26日ワシントンポスト)、社会保障費の増大
「社会保障のない『シェアリングエコノミー』で得る仕事が唯一の収入源の場合、労働者と国家が社会保障のコストを負担することになる。」(“Report of the Commission on Inclusive Prosperity”, Center for American Progress, 2015年1月)
だから、同じルールの下で、「不公正な競争⇛劣悪な労働条件⇛利用者の危険」ではなく、「公正な競争⇛健全な労働条件⇛利用者の安全」を求めていかなくてはならないと訴えた。

 最後に、浦田誠国際運輸労連(ITF)政策部長が「世界各国のギグエコノミー・ライドシェアの現状」について報告。
昨年1月、カリフォルニア州は配車サービスなどで単発的に働く、いわゆる「ギグワーカー」を請負業者ではなく従業員として扱うよう義務付ける新法「AB5(Assembly Bill 5)」を施行したが、11月3日行われた住民投票で、同州の運転手を社員とみなす取り組みから両社のビジネスモデルを守る措置が承認された。
カリフォルニア州の新しい労働法「AB5」はギグエコノミー企業の運転手に社員と同じ福利厚生を提供することを目指したものだが、こうした企業は自社の運転手をAB5の対象外にするためプロポジション22を立案し、これに関連して数億ドルを投じてキャンペーンを展開してきたが、ウーバーやリフトの主張が通ったという結果だ。

 一方で、ギグ労働者の労働者性をめぐる裁判では、フランスの2つの裁判、イタリア、スペインでは、最高裁で労働者性を認める判決が出、オーストラリア連邦裁では詳細は非公開だが和解、イギリス最高裁では、2月19日に判決が出る予定だが、これまでの下級審では原告が勝訴している。


 また、ノルウェー、オーストラリア、韓国、デンマーク、スウェーデンでは、ギグワーカーが加盟する労働組合との労働協約が締結された事例を紹介。
特に、ウーバーマン(ウーバーを、デンマークから完全撤退させる運動の起爆剤となった映像クリップ Uberman på plejehjem)を作ったデンマークの合同労連と商工会議所が締結し、ジャストイートが直ちに調印した中央労働協約の内容について詳細に報告した。



 今回のオンラインシンポは、全体では100名の参加で、国会議員も衆議院・参議院合わせて、27名が参加してくださった。
参加していただいた議員を代表して、道下大樹衆議院議員(北海道1区)、小沼巧参議院議員(茨城県)から、今回のシンポであぶりだされた政策課題について発言していただいた。
参加者からの質問を受けた後、最後に事務局の山口広弁護士(内閣府消費者委員会元委員)の閉会挨拶で、シンポジウムを終了した。

 シンポジウム終会後、デジタルデバイドの関係もあって、発信基地とした田町の交通会館(連合東京会議室)に集まったメンバーでの総括では、初めてのオンラインシンポジウムが、運営的にはぎくしゃくしながらも、多くの皆さんに、そして地域を越えて参加していただけたことに手応えを感じ、味を占め、オンラインならではの企画を議論。(各地方で開催する、海外から招聘する等に比較すると、いや、比較するまでもなく費用が掛からない、日本中、いや世界中の皆さんと共有出来る、などなど、たいへん企画側としては自由度が上がった!もっと工夫すれば時間的制約も超えられそうだ)
ということで、今のところざっくりながら、
■市民会議がこれまでにギグワークについて示した懸念が、コロナ禍の中でウーバーイーツなどで現実化していることをクローズアップしたイベント
■イギリスの元ウーバー運転手で労働者性を裁判で争っている原告を招いて、お話を聞くイベント
■地域の公共交通の現状と、その対策について考えるイベント
などがアイディアとして挙がったので、しっかりと練り込んでいきたい。

 反省点も大いにあった。
うちの組織からの参加者が少なかったことが痛恨、告知が弱かったことを反省しつつ、縦はもちろんのこと、横についても、次はもっと工夫をしたい。

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交運労協ドキュメンタリー・ショートムービー「KeyWorkers」~いつかの出会いに思いを馳せて~

2021-02-17 | 書記長社労士 公共交通

交運労協は、全国60万人の鉄道・航空・バス・タクシー・トラック・船舶・港湾・観光などに携わる労働者が加盟する労働組合です。このたび、長く厳しいコロナ禍のなかでも、懸命に陸・海・空の移動とくらしを支える現場の実態を伝え、全国の現場で働く人にエールを届けるために「KeyWorkers」ムービーと特設サイトを公開しました。
ムービー⇒https://youtu.be/AhCyEJKbeYg

ぜひ、本ムービーで現場からのエールをご覧ください。
そして、このエールをあなたの周りの「Keyworker」に届けていただければと思います。

●特設サイト「KeyWorkers」:https://keyworkers.jp

~ 「KeyWorkers」とは ~
交運労協では、コロナ禍で自粛を要請されている中長距離の移動と二次交通や観光業を中心に、陸・海・空の交通運輸・観光産業の垣根や地域・企業の枠を超えて、くらしを支える移動の現場で働く労働者は「KeyWorker=社会の『鍵』となる『大事な働き手』」であると考え、本プロジェクトを始動しました。

今日も変わらず、粛々と
制服の襟を正し、持ち場を整える。

家を踏み出し、目的地に向かう
あなたの道が滞らぬように。

全国津々浦々で、
無数のバトンを繋ぐ。

明日も明後日も、準備万端、
現場に精を出す。

いつかの出会いに、思いを馳せて。

~~KeyWorkersから、届けエール~~
新型コロナウィルスが猛威を振るうなかで、全国のまちに、みなさんの移動を支える私たちの仲間がいます。

私たちは、厳しい状況のなかでも、みなさんの日常を止めないために、感染対策に細心の注意を払いながら職務を全うしています。

それは、私たち1人1人が、社会にとって不可欠な存在「KeyWorker(キーワーカー)」としての誇りを持って日々の仕事に向かい合っているからです。

皆さんやご家族が職場や学校、病院、買い物などに向かう日常の足、あるいは遠くに向かうための移動の現場を、今日も名もなきKeyWorkerたちが支えています。

いつか笑顔で自由に移動ができる日が来ることを願って、私たちKeyWorkersから全国のみなさんへエールを届けられたらと思います。


●各産業の「KeyWorkers」インタビューページ
鉄道: https://www.keyworkers.jp/railroad/​
タクシー: https://www.keyworkers.jp/taxi/​
バス: https://www.keyworkers.jp/bus/​
航空: https://www.keyworkers.jp/aviation/​
船: https://www.keyworkers.jp/ship/​
旅行代理店: https://www.keyworkers.jp/trip/​
ホテル・旅館: https://www.keyworkers.jp/hotel/​

●Twitterアカウント: @KeyWorkers_Jp
●Facebookページ: https://www.facebook.com/KeyWorkersJP​

●撮影協力会社(50音順)
・小田急電鉄株式会社
・株式会社熊本駅構内タクシー
・熊本市交通局
・四国旅客鉄道株式会社(JR四国)
・全日本空輸株式会社
・東海汽船株式会社
・東海旅客鉄道株式会社(JR東海)
・新潟交通株式会社
・日本航空株式会社
・株式会社函館国際ホテル
・株式会社阪急交通社

【交運労協とは】
http://www.koun-itf.jp/
交運労協(全日本交通運輸産業労働組合協議会)は1987年10月8日に東京で結成総会を開催し、2017年10月に結成30周年を迎えました。現在18構成組織、組合員は約60万人です。日本における陸・海・空の交通運輸・観光産業で働く労働者の大産業別組織です。交運労協はナショナルセンターである「連合」とも密接な連携を行っています。また、世界の交通運輸労働者と連帯するためITF(国際運輸労連)に加盟しています。

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開催告知 オンラインシンポジウム「コロナ禍で交通の安全が危ない! ~ライドシェア・ギグエコノミーの問題」

2021-02-09 | 書記長社労士 公共交通

 交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える― www.forumtsl.org は、「コロナ禍で交通の安全が危ない! ~ライドシェア・ギグエコノミーの問題」をテーマにオンライン集会を以下の通り開催する。

集会名:コロナ禍で交通の安全が危ない! ~ライドシェア・ギグエコノミーの問題

集会の趣旨:各分野の公共交通機関の危機・衰退が深刻化する中で、ギグエコノミー・ライドシェアの増大による雇用社会の崩壊の危機が進行しつつあります。そこで3氏の話を聞き、国会議員にもご参加いただいて一緒に考えましょう。

日時:2021年2月16日(火) 17:30~19:00

内容:
1 コロナ禍による公共交通への影響 戸崎肇桜美林大学教授・市民会議代表世話人
2 雇用によらない労働者の現状と課題 川上資人弁護士 早稲田リーガルコモンズ法律事務所・市民会議事務局
3 世界各国のギグエコノミー・ライドシェアの現状 浦田誠国際運輸労連(ITF)政策部長

開催場所:Zoom(事前申込必須)

参加費:無料

参加方法:下記URLをクリックすると、申し込みフォームに繋がります。必要事項を回答し、お申し込みください。

 【参加登録URL】 https://kokucheese.com/event/index/608207/

お申し込み後、ご登録いただいたe-mailアドレス宛に登録確認のメールが送信されます。

そちらに集会の接続先URLが記載されていますので、必ずご確認ください。

また、追って事前配布資料等をお送りいたします。

多くの皆様のご参加をお待ちしております。よろしくお願いいたします。


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私鉄総連21春闘交通政策要求実現中央行動は、例年より規模を10分の1に縮小して開催

2021-02-01 | 書記長社労士 公共交通

 私鉄総連21春闘交通政策要求実現中央行動。
昨年は全国の組合員代表233名と、多数の国会議員と全国の組織内自治体議員を集めて開催したが、今年は各地方からは代表者1名とし、自治体議員は代表者1名、国会議員も森屋隆私鉄総連組織内参議院議員と辻元清美衆議院議員の2名のみとしたので、例年の10分の1の規模での開催。
定員300名の会議室で、すっかすかの座席配置、行政側からも要請内容については、後日書面回答として貰うことで、全体会から業種別まで例年3時間の開催時間も、1時間弱に縮小。
写真は挨拶に立つ辻元清美政策推進私鉄国会議員懇談会事務局長。


 要請事項は以下の通り(鉄軌・バス・ハイタク共通の要請と、ハイタクの要請。共通要請項目の2.改正交通政策基本法・国土強靱化基本法の政策反映、3.交通政策基本計画の着実な実行と地域公共交通ネットワークの再構築、4.要員確保対策の強化と長時間労働の是正と働き方改革への対応 5.自家用ライドシェアへの対応 6.公共交通利用促進 7.観光立国政策の推進、②鉄軌道に関する要請、③バスに関する要請 については割愛。)。

1.コロナ禍から事業の維持・存続をはかるために
 地域公共交通は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で2020年2月以降、大手・中小を問わず各事業者の経営状況が大幅に悪化し、借入金が大幅に増加している。。また、コロナ禍の長期化に伴い経営がさらに厳しさを増しており、事業存続も危ぶまれる状況となっている。このため、下記の項目について特段の対応をはかられたい。

(1)2020年3月の学校の休校、4月に発出された緊急事態宣言により、大幅に輸送人員が減少するなかで、各公共交通機関には通常の運行を求められ、損失が拡大したことから、この間の欠損について補助の対象とされたい。

(2)今後、経営危機に陥る地域公共交通事業者が増加することが懸念されることから、国として現在行われている資金繰り支援や持続化給付金等を継続するとともに、政府系金融機関の融資や債務保証を強化されたい。

(3)雇用調整助成金については、厳しい状況にある地域公共交通の雇用を維持するために不可欠な支援となっている。また、貸切バス、高速バスでは感染症の影響が特に深刻で、雇用の維持も懸念される状況となっている。国土交通省としても、同助成金の特例措置が、新型コロナウイルス感染症の終息まで継続されるよう、関係省庁に働きかけられたい。

(4)公租公課について、納税猶予の特例や欠損金の繰戻し還付について継続されたい。また、固定資産税・都市計画税の減免を継続するとともに、大企業やその子会社・系列会社も対象となるよう関係省庁に働きかけられたい。

(5)厚生年金保険料・労働保険料等の社会保険料の納付猶予について、育児休業等の期間中の保険料免除と同等の取り扱いとなるよう、関係省庁に働きかけられたい。

(6)2020年度第二次補正予算では国による感染症防止対策への補助が行われたが、運行に対する補助は行われなかった。また、地方創生臨時交付金を活用した地方自治体による地域公共交通に対する支援でも運行維持に対する支援は対象外となっている。あらためて国による運行維持に対する助成を行うとともに、地方創生臨時交付金で運行支援が行えるように関係省庁に働きかけられたい。

(7)交通従事者は、医療従事者などと同様にエッセンシャルワーカーであることから、希望者全員にすみやかに新型コロナウイルスワクチンの接種が受けられるよう、関係省庁に働きかけられたい。

(8)交通運輸産業の輸送人員は、テレワークやリモート授業などの定着により新型コロナウイルス感染症終息後も回復しないことが予測されている。このため、現行運賃では収支の均衡ははかられず、借入金の返済も困難であることから、各事業者の運賃改定申請について積極的な対応をはかられたい。

(9)緊急事態宣言が発令された地域では終電繰り上げが要請され、実施されたが、接続する鉄軌道・バス・タクシーなど二次交通・三次交通との調整が充分に行われていない。国として対象地域に調整機関の設置などを指導されたい。

(10)GoToトラベル事業について、新型コロナウイルス感染症収束後の適切な時期に再開し、期間を延長されるとともに、公共交通を利用した旅行が促進されるよう対象の見直しや支援策の充実をはかられたい。

④ハイタクに関する要請
1.タクシー事業適正化の推進と違法営業の根絶、監査の強化

(1)「改正特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」は、法施行後7年以上経過するがいまだ実効性が上がっていないにも関わらず、多くの地域で特定地域・準特定地域指定が解除されている。現状の感染症の影響に鑑みれば、全国の全ての事業区域が、特定地域・準特定地域に指定されるべき状況でもある。特定地域・準特定地域の指定要件が、現状に則していないことから早急に見直しをされたい。

(2)道路運送法違反や労働諸法令の違反等、違法な営業を行っている事業者に対する重点的な監査を強化し、違法不適切な事業運営の摘発・排除されたい。また「旅客自動車運送適正化事業実施機関」については、実効性のある適正化事業が的確に実施されなければならない。早急に全都道府県に設置されるよう指導を強化されたい。

(3)安全や法令遵守に対する意識が低い悪質事業者が排除される制度について検討されたい。また、タクシー事業に係る助成制度については、タクシー事業関連法や労働法等の違反事業者は助成の対象としないこととし、一方で、法令遵守を積極的に行っている優良事業者に対しては助成額や助成率を優遇することにより、タクシー事業の適正化を推進されたい。

2.衆参附帯決議の履行による運転者の労働条件改善
(1)改正タクシー特措法の附帯決議において「事業者は、歩合給と固定給のバランスの取れた給与体系の再構築、累進歩合制の廃止、事業に要する経費を運転者に負担させる慣行の見直し等賃金制度等の改善等に努める」よう事業者に求められたが、改善は進んでいない。最低賃金法や労働時間規制の違反、長時間労働による過労運転を防止するため、適切な労働時間管理を行うことが必要であることから、労働時間管理が曖昧になる歩合給中心の賃金制度から、固定給を中心とした賃金制度に改善されるよう、措置を講じられたい。

(2)改正タクシー特措法は、賃金水準も含めた運転者の労働条件の改善を重要な目的としており、また、参議院附帯決議において「一般旅客運送事業者は…過度な遠距離割引運賃の是正等運賃制度等の改善に努める…」とされていることをふまえ、深夜割増運賃や過度な遠距離割引運賃などの営業的割引運賃は、運転者の適正な賃金に影響があるため、公定幅運賃の対象とされたい。

(3)昨今、タクシー配車アプリ提供事業者が、さまざまな割引サービスを実施しており、新たな運賃に関する過当競争となることが懸念されていることに留意されたい。また、アプリ手数料を新たな労働者負担とする事業者もみられることから、事業者に対して指導されたい。

3.タクシー事業活性化と財政的支援
(1)地域公共交通活性化再生法による法定協議会におけるタクシーの活用や、特定地域協議会・準特定地域協議会におけるタクシー需要の拡大や事業の活性化について、積極的に検討されるよう支援されたい。また、特定地域協議会・準特定地域協議会が進める活性化施策に必要な助成措置を講じられたい。

(2)高齢運転者の自動車事故が社会問題となっているが、高齢化が進むハイタク運転者にとっても重要な問題であり、安全対策が求められる。タクシー利用者の安全を確保するため、国による運転手適性診断(適齢診断)の充実や、事故防止対策支援推進事業における先進安全自動車(ASV)の導入促進に向け、タクシー車両を補助対象とされたい。

4.白タク合法化の阻止
 ライドシェアについては、世界的に見ても利便性・安全性の高いタクシーをもつ日本には不要である。改正活性化再生法では、自家用有償旅客運送制度の規制緩和による観光客を含む来訪者も輸送対象に加えられたが、これらの動向がライドシェアの実質的な解禁につながることのないように、対処されたい。


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ITF(国際運輸労連)発 ライドシェア・2020年「10大ニュース」

2020-12-23 | 書記長社労士 公共交通

1. 病は治るが癖は治らぬ
 数年前まで世界中でタクシー業界に殴り込みをかけていたウーバーが、「最近はかわった」と評価する声を今年あるところで耳にしました。本当でしょうか。日本では、「違法ライドシェアはやらない」と優等生ぶりを発揮して東京などでタクシー会社との協業を進めています。けれどもそれは、ライドシェアが日本で合法化されても導入しないということなのでしょうか。ドイツでは、「法律は守るが、古い交通法規は改めるべき」と主張しています*1。日本の未来も、この言葉から映し出される気がします。
事業の根幹である雇用によらない働き方(ギグ労働)を改める姿勢はまったく見られません。米カリフォルニア州では今年、ギグ労働者の保護をうたう州法「AB5」が施行されましたが、ウーバーを筆頭とするギグ企業の連合軍はこれに猛反発。2億ドル(206億円)の資金を投じて、AB5を骨抜きにしました。11月の住民投票で6割の賛成票を獲得し、ライドシェアやフードデリバリー(食事配達)を適用除外としたのです*2。法律が金によって書き換えられた歴史的瞬間でした。



 その後、ウーバーは別件でカリフォルニア州の公共事業委員会(CPUC)から5900万ドル(61億円)の制裁金を命じられ、30日以内に支払わなければ、同州での営業免許は来年1月中旬に取り消されます。CPUCは、過去2年間に全米で5981件の性暴力事件があったことを2020年に認めた同社に対して、同州で起きた事件の詳細報告を求めたのですが、ウーバーはこれに従わなかったのです。
平均で一日8人以上の被害者が出たことについてウーバーは、その間の配車件数は23億件だったので、サービスの99.9%は安全面で問題ないと居直っています。日本のタクシー労使のように「公共交通の使命を果たす」という意識はそこにないのです。規制機関の監督を嫌い、ルールを破って金で決着するというその傲慢な態度は今も変わらぬままです。
 過疎地の輸送を支援するともアピールしてきたウーバーですが、目立った成果は今年あったのでしょうか。イニスフィル(カナダ、人口3.6万人)の交通空白地帯ではこの3年間、バスに代わる相乗りサービスを提供しています。利用者は増えましたが、行政のコストはかさみ、データの共有もないため、これなら地元企業で良かったという中間評価が出ています*3。
*1. Uber’s Khosrowshahi Calls for Changes in German Law (Bloomberg, 2020/10/18)
*2. ギグ労働者保護法が骨抜きに/米加州の住民投票で/ウーバーなどの作戦が成功(連合通信、2020/11/10)
*3. Is Uber the future of public transit in rural communities? (Now Magazine, 2020/11/8)


2. ロンドンをめぐる攻防
 ロンドン交通局(TfL)は一年前、「顧客を危険にさらすような失敗が繰り返されている」とウーバーの営業免許を更新しませんでした。2017年に続く2回目の重大ペナルティです。前回は、「企業責任に欠けている」ことが理由でした。このときウーバーは謝罪文を公表して会社の改革を誓うという謙虚な姿勢を見せたのですが、わずか2年で再びTfLから問題視されたのです。今回もウーバーはこの措置を裁判で覆し、18ヵ月という期間限定の免許更新を得ました。
 インドのオラは今年2月にロンドン市場に参入しましたが、無認可サービスがすぐに1000件を超え、同社も10月にTfLから免許を取り消されました。オラは現在抗告中で、この間の営業は認められます。
 ウーバーはまた、英歳入関税庁に付加価値税(VAT)の未納金15億ポンド(2000億円)を支払うことで同意しました。運転手と乗客を結ぶマッチングサービスだから、運賃のVATは運転手の負担だという主張は認められなかったのです*4。
*4. Uber UK forced to Pay Up £1.5bn in VAT - Why Competition Laws are Necessary? (Business Recorder, 2020/10/23)

3. 進む欧州のハイタク規制緩和
 ノルウェーでは、11月からタクシーの台車規制や無線配車のルールが緩和されました。ライドシェアが違法のこの国で、ここ数年は有資格運転手によるハイヤー営業に限定していたウーバーですが、今回の規制緩和により事業を拡大すると見られています。ベルギーのフランドル地方でも台車規制が取り払われた上、会社ごとに運賃が設定できるため、ウーバーが再進出しています。
 オーストリアは、タクシーとレンタカーを同じ法律で規制する方向に進んでおり、「割を食うのはわれわれだ」と反発するタクシーの労使は、数千台の車両を動員して首都ウィーンで2回の大抗議行動を展開*5。ドイツでは、旅客輸送法の規制緩和が議論される中、ウーバーのコスロシャヒ最高経営責任者(CEO)が、「この国で法律を守って事業を定着させたい。だが、古い交通法規は改めるべきだ」と発言したのでした。
*5. Taxi-demo in Wien Gegen Ein „Gesetzlich Verordnetes" Lohn-Und Sozialdumping (Taxi Times, 2020/11/26)

4. ライドシェア規制の動き
 南米コロンビアで政府から営業停止命令を受けたウーバーは、ライドシェア事業を中断したわずか20日後には、乗客が一時間単位で運転手付きレンタカーを利用できるサービスとして再登場しました。過去に台湾などで使ってきた手法です。その後、国はウーバーのデータ保護方法が不十分だと4ヵ月以内に改善するよう命令。怠れば、46万ドル(4800万円)の罰金となります。
 ウーバーの違法営業を争う裁判が続いていた香港で、最高裁にあたる終審法院は9月、同社の上告を棄却しました。韓国では、旅客自動車運輸事業法が改正されたことにより、配車サービスのタダは、ライドシェアをやめ、タクシー事業へ進出することを決めました。インドでは国が初めて、ライドシェア企業が運転手から徴収する手数料を乗車料金の最大20%に制限。米シアトルで来年1月から、ニューヨーク市に続いてライドシェア運転手に最低賃金が適用されます。

5. 労働者性を認める最高裁判決
(1) ライドシェア関係

 フランスの最高裁判所にあたる破毀院は3月、「ウーバーとその運転手の間には雇用関係がある」と判決しました。判決文は、「デジタルプラットフォームを介してつながっている際、両者の間には従属関係が存在する。運転手は独立事業主だという主張は、フィクションだ」と記しています。特筆すべきは、英国やイタリアには労働者と独立事業主との間に中間的な類型があるとしながらも、「フランス法においては、独立事業主と労働者という2つの地位しかない」ことを再確認している点です。この決定が直ちにフランスですべてのウーバー運転手に適用されるものではありませんが、最高裁が初めて判断を示したケースであり、2017年に欧州司法裁判所(ECJ)が下した「ウーバーは運輸業」と言う判決に次いで重要なものです*6。
 米ペンシルバニア州の最高裁は7月、元ウーバー運転手が失業給付の支給を求めて起こした裁判で、原告支持の判決を下しました。ニューヨークのタクシー労働者連盟(NYTWA)は裁判闘争を通じて、同州のライドシェア運転手がコロナ禍の下で失業給付を受けられるよう運動に取り組んでいます。ウルグアイでは今年、労働裁判所が元運転手の労働者性を認めました*7。
 いっぽう気になるのはECJが12月に出した「タクシー運転手と乗客を直接マッチングさせるだけのアプリサービスは、運輸業として規制しなくてよい」という判決です。こうしたサービスを提供するルーマニアのスタータクシーにブカレスト市が罰金を課したことが事件の発端でした。「ウーバーは運輸業」というECJの司法判断が覆るものではありませんが、今回の判決をウーバーなどライドシェア各社が歓迎しています*8。
*6. フランス最高裁がウーバー運転手に雇用関係を認める判決(月刊労働組合2020年4月号)
*7. Tribunal confirmó un fallo que obliga a Uber a pagar aguinald y salario vacacional a un exchofer (El Observador, 2020/6/3)
*8. EU court ruling delivers win for Uber, ride-hailing apps (Politico, 2020/12/3)


(2) フードデリバリ―関係
 イタリアとスペインでは、誤分類を争った食事配達員の勝訴が最高裁で確定しました。カナダのオンタリオ州労働委員会は3月、フードラの配達員は依存的契約労働者(dependent contractor)であるという判決を下しましたが、同社はその後カナダから撤退しています。ジュネーブの裁判所もウーバーイーツ配達員の労働者性を認めましたが、これを不服とする同社は連邦裁判所に控訴。フィンランドでは労働委員会が、食事配達員は労働者であり個人事業主ではないという見解を発表。「拘束力はないが、重要な指針となり、プラットフォーム経済で働くものに影響を与える」と労働大臣が評価しました。

 ウーバーで働くものが同社を訴えた場合、どの国の法律が適用されるのか。カナダ最高裁は6月、「カナダのウーバー運転手や食事配達員は、同社が海外事業本部を置くオランダの法律の下で争う必要はない」と、業務委託契約に記された「オランダでの仲裁」は無効としました。優越的な立場にある大企業が、交渉力で圧倒的に不利な者に、そうした契約を求めるのは不当だと断定したのです。メキシコなど多くの国で配達員が交通事故で死傷していますが、遺族らは補償を求めたくてもオランダまでの渡航費用はなく、泣き寝入りしています*9。
*9. ウーバーの労働者が勝訴/カナダ 最高裁/オランダ国内法の適用を否定(連合通信、2020/7/21

6. アルゴリズム裁判はじまる
 裁判関係ではまた、人工知能(AI)が労働者の労務管理や人事査定に関与することに挑む訴訟が起きたのが今年の特徴です。
 欧州連合が2年前に施行した「一般データ保護規則(GDPR)」は、インターネットを介して個人情報の商業利用が急速に広まる中、個人の権利と企業活動のバランスをはかることをめざした新法です。個人情報開示請求権とも呼ばれています。今年は、ライドシェア運転手を組織する英国のアプリ運転手・配達員労組(ADCU)のメンバーらが、このGDPR違反でウーバーとオラを訴えました。理由を明示されずに会社からアカウントを停止(解職)されたり、報酬の計算方法が不明瞭であることがしばしあるため、原告らはウーバーに乗務記録などの情報開示を求めてきたのですが、回答は不十分かつ不誠実だったのです。
 働く仲間たちは今年、AIというブラックボックスをこじ開けようと闘い始めたのです*10。
*10. AI評価の全容を明かせ~見えない労務管理に立ち向かう(私鉄新聞相鉄版、2020/10/13)

7. 台頭したフードデリバリー労働者の運動
(1) 名ばかりのヒーローたち

 5年前に遡ると、世界中でライドシェアの進出に反対するタクシー運転手の抗議行動が起きていました。その後こうした反対運動に代わり、ライドシェア運転手が「儲かったのは最初だけ」と、一方的に諸条件を切り下げる各社に各地で抗議するようになりました。2020年の特徴は、一連の抗議行動の「主役」がライドシェア運転手ではなく、同じギグ労働者であるフードデリバリーの配達員だったことです。
 南米では一斉ストが3回続き、台湾、タイ、ベトナム、イタリア、南アフリカなどでも収入減に抗議したり、事故補償の改善を求める運動が起きています*11。南米の仲間たちはソーシャルメディアを使って欧州やアジアの組合に呼びかけ、10月8日に国際抗議行動デーを実現。日本からは全国ユニオンが連帯のメッセージを発し、ウーバーイーツユニオンもエールを送りました。
 オーストラリアでは9月以降、5人の配達員が2ヵ月の間に交通事故死しました。シドニーのウーバー社前で抗議集会を開いた運輸労組によれば、コロナ禍の下、食事配達員たちは「ヒーロー」と称賛されてきましたが、その手取りは時給換算でわずか10豪ドル程度(800円)。最賃の保障がないため、配達回数を増やして稼ごうとし、先を急いで事故に遭うのです。
 試行錯誤を伴いながら、各地で組合・運動づくりも進んでおり、1月には世界16ヵ国からライドシェア運転手やフードデリバリー配達員の組合がロンドン近郊に集まり、国際アプリ運輸労働者連合(IAATW)の結成を宣言しました。
*11. 論考-食事配達員の国際労働運動と労働者性をめぐる海外の判例動向 (前編)(労働者の権利、2020年秋号)

(2) 例外的な労使の対話
 欧州では先駆的にこうしたフードデリバリー労働者の運動が国境を越えて広まる中、英ジャストイートは配達員を時給制で雇い、最賃、年休、年金などを保障すると発表しました。これは、今春に同様の措置をとる蘭テイクアウェイと合併したためであり、ウーバーイーツなど他社も欧州で変更を迫られることになると言われています。ただ、関係組合は「些細なミスでもすぐ配達員をクビにする会社」*12と指摘しており、組合づくりをさらに進め、働くものの保護をめざします。
 韓国では、食事配達の業界団体、大手3企業と2労働組合が、「プラットフォーム経済発展とプラットフォーム労働従事者の権益保障に関する協約」を結びました。任意の社会協約であり、労働者を直ちに従業員と認める内容ではありませんが、「労使関係が対立的と言われている韓国で、労使が自律的に協約を結んだこと」に意義があるとされています*13。オーストラリアでは、ドアダッシュが運輸労組とコロナ感染対策に関する協定を結び、コロナ陽性と判定された配達員に対する財政援助などを取り決めました。
*12. Gig economy is en route to deliver on pay: Food delivery giant Just Eat offers its drivers an hourly wage piling pressure on rivals to follow suit (Daily Mail, 2020/12/9)
*13. 韓国プラットフォーム配達労働に関する画期的な協約(JILPT統括研究員・呉学殊、2020/10/21


【表2】フードデリバリー会社と海外進出状況

2020年10月現在 *ライドシェア社として起業

8. コロナ禍でライドシェア激減
 フードデリバリー労働者の運動が台頭した背景にあるのは、コロナ禍による社会の激変です。ライドシェア利用者は大きく減りましたが、オンラインによる食事配達の需要は急増しています。ウーバーの4-6月決算では、イーツの売り上げが前年比で2倍となり、3分の1に落ち込んだライドシェアを初めて逆転。コスロシャヒCEOは7月、「将来的にライドシェアは事業の5割を占める程度」と発言しました*14。同時に、ウーバーイーツは「注文1件につき3.36ドル(360円)の損失を出している」という市場調査もあり*15、持続的な事業となりうるのか疑問視する声も強いのです。ウーバーイーツは、地場企業に競り負けたインドや韓国から撤退しました。
 なお、ウーバーは今年初めに、「調整後EBITDA」ベースで黒字化を年内に達成すると宣言しましたが、コロナ禍によりその目標を撤回。その後、ウーバーイーツの好調が続き、ライドシェアの需要減も底打ちしたとして、2021年の黒字化に目標を再設定しました。しかし、専門家の間には、「財務指標として一般的ではない調整後EBITDAを使用した収益の予測は不正確であり、ばかげている」という厳しい指摘もあります*16。
*14. Uber CEO Dara Khosrowshahi says ride-hailing will make up only 50% of the company's business moving forward as food delivery growth surges (Business Insider, 2020/7/11)
*15. ウーバーは競合買収をいつまで続けるのか?(Forbes Japan, 2020/7/17)
*16. バフェットの側近がダメ出し…ウーバーが業績予測に使う指標には意味がない (Business Insider, 2020/2/19)


9. 事業の再編と合併が加速
 コロナ禍で大きな打撃を受けた各社は、社員の大幅削減を断行しました。事業再編も加速しています。ウーバーは電動スケーターのシェアサービスを売却したのに続き、自動運転部門と「空飛ぶタクシー」事業も売却すると12月に発表しました。いっぽう欧米でオンデマンドのバスやハイタク事業を買収し、米シカゴ、豪シドニーやNZのオークランドでは、自社アプリで公共交通とライドシェアの料金を比較できる機能を加えました。南米では従来の戦略を転換し、タクシー会社との協業を進めるとのことです。
 このように、これまで敵対・排除の対象だった公共交通事業を自ら担う側にウーバーが回り始めたのも今年の特徴です。米国ではまた、食事や日用品を配達するポストメイトを買収。厳しい取り締まりに音を上げて撤退した韓国では、SKテレコム社と共同事業を立ち上げ、再進出の機会をうかがっています。
 ライドシェア専業だった米リフトも、デンバーで公共交通を同じアプリで利用できるようにしたほか、食事や日用品の配達を本格的に検討しています。2020年はまた、リフトの筆頭株主である楽天が経営から手を引いた年でもありました。
 東南アジアの2強、グラブとゴジェックは、両社の統合を協議中です。オラは、2年前に進出したオーストラリアで苦戦しており事業を縮小。ドイツ鉄道(DB)のライドシェア「クレバーシャトル」には三井物産が資本参加していますが、ベルリンなどから撤退し、残す営業は独2都市となりました。ゼネラル・モーターズの「メイブン」は、サービスを終了。3年前に起業したエジプトのスワブル(Swvl)はヨルダンに進出しましたが、こうした事例は少なく、ライドシェア市場に新規参入者がなかったのも今年の特徴です。


2020年7 月現在

10. どうなる日本の地域・交通と労働?
(1) ライドシェアをめぐる動き

 最後に日本における2020年の主な出来事ですが、1月に経済同友会が発表した「日本版ライドシェアの速やかな実現を求める提言」は、本文わずか8ページ(4000字)の内容で、海外事情には誤記もある拙策でした。
 5月には、充分な審議がないままスーパーシティ法案が国会で成立。竹中平蔵氏は、「一つの典型的なイメージとして、スーパーシティでは車の自動走行、ライドシェア、遠隔医療、遠隔教育などが可能になる」と述べています*17。交通の安全と労働を考える市民会議は7月、「スーパーシティを考える」と題した院内シンポジウムを開催。11月18日に開かれ、ハイタクフォーラム(全自交労連、交通労連、私鉄総連)や全タク連の代表が多くの国会議員と共に参加したタクシー政策議員連盟総会は、改めてライドシェア反対を確認しています。
 タクシー会社との協業では、ウーバーよりも多くの都道府県に進出していた滴滴出行(DiDi)が、7月に全国11県でタクシー配車サービスを一斉に中止。いっぽうウーバーは今年ようやく東京へ進出。クルー(Crew)は、東京の謝礼式ライドシェアも過疎地の実証実験もすべて年内にやめるとのことです。
 大津市は市長の交代に伴い、ライドシェアを含めた国家戦略特区構想を取り下げ、フィンランドのマースグローバル(MaaS Global)は12月に千葉県柏の葉で、MaaSの実証実験を三井不動産と共同で開始しました。
*17. スーパーシティの成否を握る2つの鍵・住民理解の形成と試されるトップの意志(事業構想、2020年11月号

(2) フードデリバリーは戦国時代へ
 ウーバーイーツが30都道府県へ進出を果たす中、ディデイフード、ウォルト、フードパンダや韓国のフードネコが次々と市場に参入し、これを出前館らが迎え撃つという日本の図式は、戦国時代の様相です。各社とも他社との違いを配達員や利用者にリップサービスしており、ウォルトについて朝日新聞(11月10日)は、「配達員に最低報酬、団交OK…ウーバーじゃない宅配代行」という見出しの取材記事を掲載しました。
 しかし、例えばデンマークでは当該労組と協議はするものの、労働(団体)協約の締結は先延ばししているのが実態です。事業開始にあってはどの会社も配達員を厚遇しますが、その後一方的に報酬体系をかえたり、手数料を引上げる実例が世界中で見られます。
 ウーバーイーツユニオンは、運営会社のウーバー・ジャパンなどが団体交渉を拒否しているのは不当労働行為にあたるとして東京都労働委員会に救済を申し立て(3月)、東京労働安全衛生センターと事故調査を実施しました(7月)*18。
*18. 事故調査プロジェクト報告書(ウーバーイーツユニオン、2020/7/21


(3) 未来を見据えた議論を
 アマゾンフレックスなど、ギグ労働が物流分野に広まったのも今年の特徴です。国際運輸労連(ITF)のポスターニュースでも触れているように、人流・物流を問わずインターネットを介した輸送サービスは今後ますます多様化し、人口知能(AI)はどんどん進化していきます。
 そうした時代に私たちの地域・交通と労働はどうあるべきなのか。2021年よりずっと先を見据えた議論がいま必要なのです。
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交通政策基本法・国土強靱化基本法改正に関する附帯決議(衆議院・参議院の比較)

2020-12-21 | 書記長社労士 公共交通
 附帯決議(ふたいけつぎ)とは、国会の衆議院及び参議院の委員会が法律案を可決する際に、当該委員会の意思を表明するものとして行う決議のこと。 また、地方議会においても委員会で議案を可決する際に、同じく附帯決議がなされることがある。
国会の委員会における附帯決議の場合、議論の際に条文に織り込まれなかった部分を補強したり、その法律の具体的運用や、将来の立法や改正によるその法律の改善についての希望などを表明するものである。
法律的な拘束力を有するものではないが、政府や行政はこれを尊重することが求められ、無視は出来ないことになっているし、政令・省令や通達(運用)で反映される場合もあるし、予算措置の根拠になったりするから、侮れない。
その内容は委員会での審議を踏まえたものとなるため、原則として審議中に議論されなかった事項に関しては決議されることはない。
附帯決議は委員会毎に行われるので、同一の法案に対するものであっても、衆議院と参議院のそれぞれの委員会でその内容が異なることが多い。
本案とは別個に議決され、本会議にも報告される。また慣例として、全会一致で決議される。


 森屋隆参議院議員は、改正交通政策基本法案での参議院での附帯決議案作成に尽力し、12月1日の参議院国土交通委員会では、条文に盛り込めなかったクロスセクター効果などの内容を附帯決議で補った。

 以下に、12月2日に成立した交通政策基本改正法(このブログの記事では交通政策基本法改正法案 可決・成立)の、衆参国土交通委員会での附帯決議を、衆参比較出来る形で、メモしておく。

衆議院国土交通委員会 令和2年11月20日
 政府は、交通政策基本法及び強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。

参議院国土交通委員会 令和2年12月1日
 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。

一 公共交通の防災・減災、公共交通が被災した場合の早期の代替交通・手段の確保、地域経済の活性化や地域社会の維持及び発展のための基幹的な高速交通網の形成、地域内及び地域間の交流及び物資の流通の促進に資する国内交通網及び輸送に関する拠点の形成、運輸事業その他交通に関する事業の基盤の強化並びに人材の確保等に必要なハード・ソフト両面にわたる施策を講ずるための財政上の措置を講ずること。

二 交通が国民の日常生活及び社会生活の基盤であることに鑑み、新型コロナウイルス感染症の影響によりあらゆる交通需要が大幅に減少する状況においても国民の交通手段が確保されるよう、運輸事業に対する柔軟かつ機動的な支援等を行うこと。

一 交通が国民の通勤通学等日常生活の移動手段及び社会経済活動の基盤であることに鑑み、人口減少が進む中においても地域経済の活性化並びに地域社会の維持及び発展を図るとともに、交通における防災・減災を推進するため、基幹的な高速交通網の形成と活用、地域内及び地域間の交流及び物資の流通の促進に資する国内交通網及び輸送に関する拠点の形成、交通事業者の経営基盤の強化、人材の確保等に必要な財政、税制、金融、料金体系見直し等の各種支援策の一層の充実に努めること。

三 人材確保が困難となっている自動車運転者等公共交通に従事する者の賃金及び労働条件の改善のための支援に努めるとともに、新型コロナウイルス感染症の影響により輸送需要が減少した事業者において雇用の維持が可能となるよう引き続き必要な施策を講じること。
三 交通事業における人材確保が困難となっている状況に鑑み、交通事業の従事者の賃金及び労働時間等を含む労働条件の改善並びに人材の育成・確保のための支援に努めること。特に、新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化している交通事業者において雇用の維持が可能となるよう引き続き強力に支援すること。

四 経営が非常に厳しい地域の公共交通事業者の状況に鑑み、公共交通機関の利用促進を図り、地域公共交通網を維持及び確保するために更なる必要な施策を講じるとともに、地域公共交通の利便性及び安全性の向上についての事業者の取組を財政面も含め支援すること。また、科学的知見に基づいた安心感の醸成に向けて、事業者と連携した取組に努めること。
二 地域公共交通により経済活性化、観光振興、健康増進等多面的に効果が波及するクロスセクター効果が発揮される一方、地域公共交通事業者の経営が非常に厳しい状況に鑑み、地域公共交通の利用促進を図り、その活性化及び再生のための更なる施策を講ずるとともに、地域公共交通の利便性及び安全性の向上等に関する事業者の取組に対して更なる支援の強化に努めること。
四 新型コロナウイルス感染症の影響下においても交通が十分に確保されるよう、交通事業の従事者や旅客の感染症対策の一層の推進も含め、交通事業に対する柔軟かつ機動的な支援を充実すること。また、感染症対策の推進に当たっては、科学的知見に基づいた安心感の醸成に向けて、事業者と連携して取組を推進すること。

五 大規模な自然災害により被災した交通施設等の復旧に当たっては、防災・減災等に資する国土強靱化の観点から、再度災害防止のための改良復旧等を対象とする支援制度の整備及び運用改善について検討すること。また、復旧に際しては、地域における持続可能性を考慮した上での建設的な協議の下、地域の全ての関係者が連携、協働して、再構築を図る取組を支援すること。
五 自然災害により被災した交通サービス及び交通インフラの早期復旧を図るため、人材及び代替交通手段の確保、交通インフラの復旧の推進等に係る事業者の取組の更なる支援の強化に努めること。また、国土強靱化の観点から、再度災害防止のための改良復旧等を対象とする支援制度の整備及び運用改善について検討すること。

六 高速交通網の形成に当たっては地域住民の理解が重要であることを踏まえ、事業の必要性や工事の進め方等について事業主体と住民その他の関係者との間で十分な協議を行うための場を設ける等の環境整備を行い、計画段階及び工事段階の双方における関係者間の合意形成に努めること。
六 高速交通網の形成に当たっては地域住民の理解が重要であることを踏まえ、事業の必要性や工事の進め方等について事業主体と住民その他の関係者との間で十分な協議を行うための場を設ける等の環境整備を行い、計画段階及び工事段階の双方における関係者間の合意形成に努めること。

七 人口の減少その他社会経済情勢に鑑み、交通に関する施策の推進を通じて、分散型社会の形成、国土の均衡ある発展に努めること。

八 高齢者、障害者、妊産婦等の円滑な移動のために介助を要する場合に対し、交通事業者、行政、ボランティア団体等の連携の下、安全を確保し、支えていくための取組を推進すること。特に障害者については、公共交通機関の利用が拡大していることから、車椅子使用者や視覚障害者をはじめとする移動制約者と事業者双方との対話を重ねた上で介助の在り方を明確化するなど、必要な措置を講じること。  
右決議する。
七 高齢者、障害者、妊産婦等の円滑な移動のために介助を要する場合に対し、交通事業者、行政、ボランティア団体等の連携の下、安全を確保し、支えていくための取組を推進すること。特に障害者については、公共交通機関の利用が拡大していることから、車椅子使用者や視覚障害者をはじめとする移動制約者と事業者双方との対話を重ねた上で介助の在り方を明確化するなど、必要な措置を講ずること。 
右決議する。


コメント

交通政策基本法改正法案 可決・成立

2020-12-02 | 書記長社労士 公共交通

【2 💪部屋1-55 DUpLightRaw25kg BackExt. DragonFlag TrunkTwist5kg Crunch PlankBall】 私鉄総連第2回中央委員会を、傍聴を禁止し、感染対策を施しながら、電通会館にて開催。
本日、21春闘職場討議(案)を審議決定し、明日から、全国の各職場でのオルグをスタートさせる。

改正交通政策基本法が成立 公共交通の支援強化 日経新聞2020/12/2 11:02
 改正交通政策基本法と改正国土強靱化基本法が2日の参院本会議で可決、成立した。人口の減少や大規模災害、感染症の流行などを踏まえ、公共交通の機能を維持するために国が支援することを明記した。いずれも議員立法で提出されていた。
安心してバスや鉄道などの公共交通機関を利用するために、国が衛生の確保に必要な支援をできるようにする。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、交通機関の利用者数は大幅に減少した。
改正国土強靱化法も成立した。近年災害が頻発化しており、台風や局地的な豪雨を大規模な自然災害の例として追加した。大規模な災害が起きた場合にも交通機能の維持が社会経済活動の維持に必要なことを明確にした。


 本日、交通政策基本法改正法案が参議院本会議で可決し成立した。
この法律は、もともと2000年頃から、社民党や民主党など野党の議員立法として国会において検討が行われてきたが、当時与党の自民党が壁になってことごとく廃案にされてきた。
しかし民主党政権になってからの2011年に、ようやく閣議決定され国会に提出されたが、その3日後に東日本大震災が発災するなど、閣議決定後の様々な情勢変化を受け、2012年8月には衆議院で参考人質疑までは行われたものの、同年11月の衆議院解散により、「交通基本法案」は廃案となった。
しかし自公政権になってから、少し内容が変えられてしまったが(移動権に関する事項が削除されるという痛恨の変更もあった)、なんとか2013年11月27日に、「交通政策基本法」という名前で成立した法律である。

 今回の7年ぶりの改正は、自民党からの働きかけで、自民党や立憲民主党などの共同提案となった。
改正法案の内容はとっても自民党的(というか二階幹事長の選挙区向けな我田引水的内容が嫌に目に付くが)ではあっても、我々、交通従事者の労働組合の意見も少なからず盛り込まれてのもので、とにかく喜んでおきたい。


 写真は、昨日の参議院国土交通委員会。
交通政策基本法改正案に関して質問に立つ「森屋隆」参議院議員(私鉄総連組織内議員)。
応援傍聴に駆けつけた我々も奥の傍聴席に写り込んでいる。
「改正案に条文としては盛り込まれなかった事を質疑で確認し、付帯決議で補うことができるよう頑張りました。」と森屋隆参議院議員。

交通政策基本法及び強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部を改正する法律案要綱
第一 交通政策基本法の一部改正
一 交通の機能の確保及び向上に関する規定の改正
1 交通の機能の確保及び向上に関する規定に、交通に関する施策の推進は、人口の減少に対応しつつ、交通が地域社会の維持及び発展に寄与するものとなるよう行われなければならないことを追加すること。
2 交通の機能の確保及び向上を図るに当たっては、国土強靱化の観点を踏まえ、我が国の社会経済活動の持続可能性を確保することの重要性に鑑みることを追加すること。(第三条関係)

二 日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保等に関する規定の改正              
 日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保等に関する規定に、国は、少子高齢化の進展、人口の減少その他の社会経済情勢の変化に伴い、国民の交通に対する需要が多様化し、又は減少する状況においても、国民が移動を円滑に行うことができるようにすべきことを明記すること。(第十六条関係)
三 公共交通機関に係る旅客施設等の安全及び衛生の確保の規定の追加
 国は、国民が安全にかつ安心して公共交通機関を利用することができるようにするため、公共交通機関に係る旅客施設及びサービスに関する安全及び衛生の確保の支援その他必要な施策を講ずるものとすること。(第十七条の二関係)

四 地域の活力の向上に必要な施策の規定の改正
 国が地域の活力の向上に必要な施策を講ずる目的として、地域社会の維持及び発展を図ることを明記するとともに、そのために必要な施策として基幹的な高速交通網の形成及び輸送サービスの確保を追加すること。(第二十条関係)

五 運輸事業その他交通に関する事業の健全な発展に関する規定の改正
 国が運輸事業その他交通に関する事業の健全な発展のために行う施策として、人材の確保(これに必要な労働条件の改善を含む。)の支援を追加すること。(第二十一条関係)

六 大規模な災害が発生した場合における交通の機能の低下の抑制及びその迅速な回復等に必要な施策に関する規定の改正
 大規模な災害が発生した場合における交通の機能の低下の抑制及びその迅速な回復等に必要な施策について、国土強靱化の観点から、我が国の社会経済活動の持続可能性を確保することの重要性に鑑みるべきことを明記すること。(第二十二条関係)

第二 強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法の一部改正
一 前文に、近年、地震、台風、局地的な豪雨等による大規模自然災害等が各地で頻発していることを追加すること。(前文関係)
二 基本方針の改正
1 国家及び社会の重要な機能として、行政、情報通信、交通を追加すること。
2 地域間の連携の強化、国土の利用の在り方の見直し等により、地域の活力の向上が図られることを追加すること。(第八条関係)

第三 施行期日
 この法律は、公布の日から施行すること。(附則関係)


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新会長に辻󠄀元清美準組織内国会議員を選出 ~タクシー政策議員連盟 総会を開く~

2020-11-20 | 書記長社労士 公共交通
 11月18日、超党派の国会議員で組織する「タクシー政策議員連盟」は総会を開き、新会長に辻󠄀元清美私鉄総連準組織内国会議員、幹事長に泉健太衆議院議員、事務局長に広田一衆議院議員とする新役員人事を決定した。


 総会は冒頭、広田一事務局長の司会で、新役員人事を決定。
続いて新会長である辻󠄀元清美準組織内国会議員が挨拶した。
挨拶では、「野党最大の議連として日本の隅々までタクシー労働者が困らないように、タクシー産業の発展に寄与したい」と決意を述べた。
また、タクシー業界の課題については、「短期的にはコロナ禍を乗り越えて行かなければならない。中期的な課題としてはライドシェアの参入を阻止しなければならない。菅政権になり、ライドシェア導入促進を主張する人が官邸入りしている。手を緩めてはならない」と警戒を呼びかけた。
そして、「長期的な目標として、子育てをしながら働ける、女性や若い人、誰もが働いていける職場を実現していきたい」と抱負を述べた。

 続いて、事業者を代表して全国タクシー・ハイヤー連合会の川鍋一朗会長、労働側を代表してハイタクフォーラム・伊藤実代表幹事(全自交労連中央執行委員長)が挨拶した。


 この後、ハイタクフォーラム・久松勇治幹事(私鉄総連ハイタク協議会事務局長)から、ハイタク業界の課題として、①タクシー乗車時のマスク着用、②タクシー車両の感染症対策・高機能空気清浄機導入への助成の創設、③雇用調整助成金の特例措置の延長、④現行タクシー適正化・活性化特別措置法の問題点と特定地域・準特定地域の指定基準の抜本的な見直しと貸切バスに準じた事業許可の更新制の導入、などを説明し、対応を要望した。





 続いて、国際運輸労連・浦田政策部長から、ライドシェアに関する国際的な情勢について説明された。
また、国土交通省からは、秡川自動車局長が新型コロナウイルス感染症による影響と国土交通省の対応を説明した。
また、厚生労働省からは、雇用調整助成金特例措置ついて説明された。


 説明を受けて参加した国会議員からは、①ライドシェアに対する国の考え方、②高機能空気清浄機を早期に導入するために第三次補正予算でなく、今ある予備費で助成するべき、などついて国土交通省側と意見交換が行われた。
また、森屋隆組織内国会議員からは、「新型コロナウイルス感染症拡大の第三波が懸念されるなかで、地域によっては再度、飲食店の時短営業要請も出始めているが、タクシー運転者の売上げへの影響、年末年始、どの程度落ち込むと予想されるのか」と全国タクシー・ハイヤー連合会に対し質問。


 これに対して北海道の事業者からは「(緊急事態宣言時の)5月と同じ状況になるのではないか。売上げが1/3になり、運転資金も続かなくなることを懸念している。2018年の北海道胆振東部地震の時にも最後まで動いていたのはタクシーであり、災害時の最後のライフラインと自負している。是非、支援の拡充を」と述べた。
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