労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

【文字起こし】枝野幸男タク議連顧問のご挨拶(ハイタクフォーラム国土交通省要請)

2024-03-13 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!
 3月7日、衆議院第一議員会館で、ハイタクフォーラム(私鉄総連・全自交労連・交通労連)は、全国から約150人が参加し、厚生労働省に「ハイヤー・タクシー運転者の労働問題に係る重点要請」、国土交通省に「タクシー関連法ならびにその附帯決議の厳格な運用および、白タク(ライドシェア)合法化反対の要請」を提出し、それぞれに、要請行動を展開した。
その国土交通省要請の際に、タクシー政策議員連盟を代表しての、枝野幸男衆議院議員のご挨拶を文字起こし。


 ハイタクフォーラムの皆さんお疲れ様でございます。
そして、国土交通省の皆さんには、連日ご多忙の中を、今日、こうした場を作っていただきましてありがとうございます。
議連の会長の辻元さんが、今、予算委員会の真っ最中だと思いますので、代表して挨拶をさせていただきます。

 私たちはそれが当たり前の中で生きてきましたが、日本では、誰もが安心して安全に、ハイヤー・タクシーを利用することができます。
現時点でも、世界の中で、こうした状況の国は決して多数ではないというふうに思います。

 今回の要請のタイトルにも「白タク合法化反対」という言葉が入っております。
ただ、おそらくもちろん業界の皆様はご存知だと思いますが、白タクという言葉は知っているのは多分、我々の世代が一番若い世代じゃないか。
逆に言えば、この30年、40年というのは、白タクというような危ないもののリスクを感じることなく、この国では生きてくることができました。
私は、こうした日本にとってのハイヤータクシー業界の、この30年、40年、いや、それは、おそらくこの制度がスタートした時からの努力の積み重ねの下で出来上がっている、安全に安心して利用できるハイヤー・タクシーというのは、日本にとって大事な公共インフラであり、ある意味では世界に誇るものであり、日本に今のところで観光客がこれだけたくさん来ていただけている、そのベースになっている一つの重要なインフラだというふうに思っています。
これを守って、しっかりと次の時代へと引き継いでいく、というのは、その職場で働いている皆さん、そして今、政治を司っている私たち、そして国土交通政策を担っていただいている国土交通省の皆さん、我々それぞれにとって大事な歴史的な役割ではないか、というふうに思っています。


 こうした歴史や実情というものを十分に理解をせずにですね、思いつきのようなライトシェアを強引に進めるということに対しては、我々もこの間、何よりも当事者であるハイタクフォーラムの皆さん方が全力で声を上げてきていただいている。
それに押されて我々も頑張ってきておりますし、国土交通省の皆さんにも最大限のご尽力をいただいてきているというふうに思っておりますが、まだまだ油断をしていい状況というよりも、むしろここからいよいよ、本当の最後の戦いが始まるというふうに思っております。

 これにより、国土交通省の皆さんには、各方面からいろんな圧力があって大変だということは、我々も十分理解をしておりますが、先輩方から引き継いできた、それによって作られてきた日本のハイタク産業をしっかりと守っていただくために、引き続き、さらなるご奮闘をお願いしたいと思います。
また、この思いつきのようなライトシェアが、これ以上変な方向で進んでいかないようにするためには、現場で大変なドライバーの皆さんご苦労されている、あるいは経営者の皆さんもご苦労されているという状況の中で、白タクを認めないという範囲の中で、タクシードライバー不足というものを、一日も早く解決をするために、先ほど運賃の話についてもお話ありましたけれども、具体的な要望も今日この後あると思います。
そうしたものを一個ずつできるだけ早く進めていくことで、しっかりと安全・安心を守るということに向けてご尽力をいただきたいと思います。
我々政治の側もそれを全力でバックアップさせていただきます。
そして現場の皆さんとしっかりと連携をして、最後まで戦っていくことを、議連の仲間を代表して、私からの挨拶とさせていただきます。



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【メモ】藤井聡京都大学教授「ライドシェア新法阻止」に向けたスピーチ

2024-03-12 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 3月8日には電通会館ホールにてハイタクフォーラムは、「危険な白タクを合法化する『ライドシェア新法』絶対阻止! 3.8総決起集会」を開催。
その集会で「ライドシェア新法阻止に向けたスピーチ」をおこなった、藤井聡京都大学教授(都市社会工学専攻)の発言をメモしておく。

 ライドシェアの導入、現行の制度の範囲で導入される場合なら、いろいろな秩序の混乱というものがなく、タクシーの事業を運営してきた供給力の力をもって、ライドシェアのシステムを活用することで適正に事業が運営され、適切なサービスを提供する可能性が残されているだろう。
しかし、いわゆるライドシェア新法では、その自由な規制緩和によって、タクシー業界の秩序が崩壊することになることは確実であることが危惧される。
まかり間違ってライドシェア新法ができてしまって、それが万が一にも問題がタクシー業界だけの秩序が崩れてしまうだけで、公益が確保されるのなら、その規制緩和は甘受されるかもしれないが、しかし、それに止まらず、タクシーサービスの質が劣化してしまい、最終的には地域の利益、公的な利益、そして国益を根底から損なうことは明らか。

 こういった理不尽かつ非合理的な、理性を全く顧みないイメージだけで、利用者等の国益や国益を棄損するような規制緩和が行われるという失敗は、これまでも何度も行われてきた⇒しかし、日本でタクシーにおける安全や公益は検討され強化されてきている⇒そこに、そういった失敗がまた一つ追加されれば、日本全体の秩序が激しく傷つく極めて巨大なリスクにつながる⇒今さら公益を損なうライドシェアなるものを是認できるものではない。
いわゆるライドシェアで、公益が増進することは極めて難しい、改定する理由がない⇒考え直していただきたい⇒政府関係閣議に心からお願い申し上げたい。

 岸田総理のライドシア解禁論がうんざりするほどに愚かし代物である。
残念ながら公益が増進することは極めて難しいどころか、公益が毀損してしまうことは確実だ。


①タクシー運転者の賃金が安いことが公益を棄損している。
 タクシーの業界の人間はこれについて深く理解しているし、私自身も国交省等の審議会でタクシー特措法なんかを作るときに議論をさせていただいた関係者として、

〇タクシー運転者の賃金が十分に高くない⇒運転者のなり手が不足する⇒供給が不足する⇒消費者の利益が、利用者の利益が毀損する⇒さらに、賃金が安いというのは、これドライバーの皆さんが不利益を被るわけでありますし、ドライバーのみならず日本経済から考えると、特定の業界の賃金が安いということでデフレ圧力になり、日本全体の賃下げ不況の圧力を加速することにもなる⇒高齢化を進めたり、いわゆるアウトサイダーと呼ばれる方々の脱法的な、コンプライアンスを逸脱するような危険な業態を加速させる⇒この10年20年なんとか規制緩和のせいでこれがもたらされた。
すなわち、運賃の引き下げ⇒運転者が不足する

〇ライドシェアを導入すると車両が増える⇒さらにシステムで運賃が安くなる⇒ライドシェアのほうが安くなる⇒全体のさらなる運賃の引き下げ圧力
「運賃上げる⇒賃金が上がる⇒供給力が上がる」⇒国土交通省をはじめ、政府の力も含めて、なんとか賃金を上げて、供給力を一定程度確保し、そして高齢化を防ぐ、そしてブラック業態をなくす、そして安全な輸送サービスを適切に提供する⇒このスパイラルに冷や水をぶっ掛けて、担い手不足が進む⇒そんなものは到底是認できないというのは真っ当な常識を持った人間、万人の共通認識ではないか⇒真逆のことをやろうとしている。

 運賃が少し上がり、賃金が少し上がるだけで数100人オーダーで乗務員が増えるということになった⇒逆に言うとライドシェアが不適切な格好で導入されれば、賃金が下がり、数100人オーダーで瞬く間にドライバーが失われていくということになる⇒ライドシェアを導入することで供給力を提供すると推進論者は言っているが、真逆の帰結を導く⇒ということは、バカが考えてもわかる。
だから、彼らが馬鹿でないとしたら、何も考えていないということ⇒状況を何も知らんということです⇒「ライドシェア、外国で乗ってきたで」とか思ってやってる⇒「いいんちゃいまっか」とか言うとる⇒まあ、バカでなければこういうのはアホということになるわけだ。
問題は、賃金が引き下がって、担い手不足がさらに加速するということ。

②タクシー業界は二種免許というプロライセンスを育てる教育機関にもなっている⇒ライドシェアを活用して人を集め二種免許を取らせて運転者増加につなげていく⇒業界の管理のもとソフトランディングさせていく⇒この4月からの制度はよいかもしれない。
 しかし、新法では、その管理を運転者個人に置きかえる⇒これ業界から完全に切り離されたものが運用されるわけだ⇒アメリカではそもそも業界というものがないし、タクシードライバーの管理がないからタクシーでもライドシェアでも同じで、日本とは状況が違う⇒日本の場合はそういう格好で秩序を守り、乗務員の皆さんをしっかりと教育し、安全安心をお届けするという格好で、これを戦前からやってきた⇒新法では日本でも運転者の管理がなくなる(誰が運行管理する?安全管理をする?)⇒その人は酒飲んだのかもしれへんし、2週間とか30時間だか連続でやっとるかもしれない⇒これはめちゃめちゃな話なわけだ⇒今の、タクシーサービスの質には到底及ばないものが提供されることになる⇒タクシードライバーが提供している安全安心は、ライドシェアでは提供できない⇒公共の福祉を毀損するものである。
 ライドシェア推進者は「この規制緩和が公益を増進する」これ一点だけ主張している⇒彼らが邪悪な人間ではないと一応仮定して、単に愚かな人間であると仮定して⇒何が問題か教えてあげなければならない⇒だから、かわいそうな人なんです⇒だから、あなたは優しく言ってあげたらいいんです⇒挙げしまったこぶしを下せるようにしてあげなければならない。

③京都ではインバウンドによるタクシー不足だと言われている⇒実はタクシーはたくさん並んでいる⇒山ほど並んでる⇒3台ずつ乗れるのに1人ずつ乗る⇒それで滞る⇒客がタクシーに乗り慣れていないだけ⇒これは乗り場の問題であってタクシー不足はデマ⇒だから、あなたが言ってる公益増進のポイントは間違っているんだということ。
 大阪万博でタクシーが足らなくなると言う⇒万博とは特別需要⇒そもそも足りるか足りないかきちんと計算したのか?⇒大阪でのタクシー最大実車率(乗客を乗せている時間の率)は55%と言われているが、現状の実車率は45%⇒需給(需要と供給)は10%余っている⇒しかし推進者は「需給ってなに?」そのレベル⇒今この賃金が上がっている状況をしばらく放置しておけば運転者は増える⇒ここでライドシェアなんか入れて、その流れが止まって、また賃金が下がってくるんだったら、また供給は減る⇒工学的に、需要と供給のバランスとはこういうことだ⇒担い手不足という話が疑わしい。
 過疎地にはライドシェアが必要だろう…⇒地域で安全・公益に増進の確保について慎重に検討しているのか?検討して乗合タクシーやデマンドタクシーになるのはしかたない⇒しかしなぜ、ライドシェア?
⇒万博なら、関西圏の広い範囲でタクシー車両を調達する等、特定期間の特別需要にだけ対応すればよい⇒ま、ほんとうに万博に客が来るならばだが…⇒いや、ほんとうに開催ができるのならだが…。
推進論者は「ライドシェア導入ありき」で公益は言い訳⇒郵政民営化ありきと一緒⇒アメリカのなんかといろいろとかあったんですけど…⇒不正義は許してはならない!

④岸田内閣の政策の一丁目一番地は「実質賃金の上昇」⇒今物価が上がってきて、賃金が上がらへんから、みんな苦しい⇒だから「物価上昇率を上回る賃上げを実現するのでありまーす」と言ってるんですよ⇒ライドシェア入れたら賃金下がるやないかということ⇒何やってるん?全く逆だ!
 ライドシェアってそもそも何かわかっているのか?⇒世界の流れにおけるライドシェアの、要するにアプリシステム⇒普通の人(ライドシェアを外国で利用して便利だったと言っている人)がライドシェアだと思っているものは日本でもすでに入っている⇒導入したタクシーサービス提供による利便性の増進というものは、業界の独自の取り組みによって相当程度進んでいる⇒システムがちょっと違うだけ⇒タクシーに乗ったことがあるのか?

⑤「ライドシェアだとかなんか新しいみたいな」⇒「デジタルトランスフォーメーションみたいな」⇒そんな中二病みたいな話は置いといて大人の話をしよう。
 タクシーの規制のあり方というものは不断の見直しが必要⇒緩和すべきは緩和し、強化すべきは強化し、形成すべきは形成し、撤廃すべきは撤廃したらいい⇒乗客の安全を守るために逆に規制強化しなければならないものもある⇒時代は変わっていく、新しい技術も入って来る⇒公益を増進することを考えればよい⇒最も適切なタクシーサービスの秩序を形成し、公益を最も増進するような仕組みを考えればいい。


 せっかく賃金が上がってきた⇒それによって供給力も上がってきた⇒まだタクシーの遊休車輛はある⇒さらに運転者を確保していく⇒適切なサービスを提供し、適切な都市活動・地域活動をサポートし、公益を最大化していく、そのことを考えればよい。

 ライドシェア導入論を言っている者に対して、しっかりした理論で説得していく⇒言論の府である国会で徹底的に論じていただければ、どんな案が出てきても、日本人が理性的である限りにおいて、数の力は無関係にそういう理不尽なものは認められないはず⇒ライドシェア推進論は人々に迷惑をかけていることを分からさなければならない⇒日本人の「民度」が試されている⇒日本人の理性を信じたい。

❶賃金はイコール供給力の確保、賃金が下がると供給は確保できない、❷「足らない」だけではだめで「足らない」はデマ、❸賃金・運賃を下げてはダメ、安全が確保できない、❹いわゆるライドシェアと同様のタクシーサービスは既に日本にもある。


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私鉄総連「24春闘推進地連中小組合会議」「24春闘勝利 3.5 私鉄総連中央総決起集会」ハイタクフォーラム「厚生労働省・国土交通省要請」「ライドシェア新法絶対阻止! 3.8総決起集会」

2024-03-11 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!


【11 💪4 -13 LiFETiCK LatPullDown51.75kg BentoOverRowD22kg ShoulderPressDTwist12Kg SietedRearDertoidRaize7kg LegRaize】 3月5日、東京グランドホテルで「24春闘推進地連中小組合会議」を開催したのち、日比谷野外音楽堂に移動し、


「24春闘勝利 交通政策要求実現
3.5 私鉄総連中央総決起集会」
賃上げで暮らしの安心を 人への投資で確かな未来
~交通政策要求実現・ライドシェア阻止~

を開催、あいにくの雨で、デモ行進は中止にせざるを得なかったが、それでも2000人以上の仲間が結集し、春闘勝利に向け体制強化を確認した!


 3月7日には、衆議院第一議員会館で、ハイタクフォーラム(私鉄総連・全自交労連・交通労連)は、全国から約150人が参加し、厚生労働省に「ハイヤー・タクシー運転者の労働問題に係る重点要請」、国土交通省に「タクシー関連法ならびにその附帯決議の厳格な運用および、白タク(ライドシェア)合法化反対の要請」を提出し、それぞれに、要請行動を展開した。


 厚生労働省要請では、タクシー政策議員連盟を代表して、福山哲郎参議院議員にご挨拶をいただいた後、①感染症対策について、②累進歩合制の完全排除(禁止)について、③給与体系・労働条件・運転者負担等について、④地域別最低賃金の遵守と労働時間管理の適正化について、の11項目を要請。
は厚労省が梶原輝昭・大臣官房審議官(労災、建設・自動車運送分野担当)など労働基準局監督課らが対応してくれた。
国土交通省要請では、枝野幸男衆議院議員にご挨拶をいただき、①ライドシェアについて、②運転者不足対策、③タクシー事業における適正化について、④タクシー事業の活性化について、⑤ハイヤー事業の適正化・活性化について、⑥タクシー運賃について、の43項目を要請、物流・自動車局の舟本浩審議官ら、旅客課などがそれぞれ対応してくれた。

 自家用車活用事業については9日までパブリックコメントを募集中で、流し営業、区域外営業の扱いなどについて国交省は「アプリ配車のみを対象としており、流し営業は認めない。区域外営業については道路運送法でドライバーを処罰する規定はなく、管理する事業者が負うことになる」などとし、その上で「(自家用車活用事業は)乗務員が不足しているエリアや時間帯に複数のアプリ業者によるマッチングで足りないところを補足する仕組み。こうしたデータは一定期間取り続けることになり、そのつど見直しも行う。恒常的なものではない」などと述べた。



 3月8日には電通会館ホールにてハイタクフォーラムは、「危険な白タクを合法化する『ライドシェア新法』絶対阻止! 3.8総決起集会」を開催。
主催者を代表し、溝上氏はライドシェア新法の動きについて「2002年のタクシーの規制緩和を超える危機だ」と訴え、「プラットフォーマーらによるライドシェアは安全・安心を崩壊させ、雇用と地域交通を破壊する。タクシーとしての自信と矜持を持ち、この闘いは絶対に勝ちぬかなければならない」と訴えた。
集会では、ライドシェア新法阻止に向けたスピーチとして、藤井聡京都大学教授(都市社会工学専攻)から、「ライドシェアは公益を棄損する」と述べ、「供給する車両を増やすことはタクシー乗務員の低賃金化、乗務員の退出を招き、結果的にはさらにタクシー車両を減らしてしまうことに繋がる」として「岸田内閣の一丁目一番地は実質賃金の上昇であるはずだが、ライドシェアは賃金を減らしてしまう真逆の取り組みだ」と、現状の問題提起と警鐘をお話しいただき、連合芳野友子会長、交運労協住野敏彦議長、ITF(国際運輸労連)浦田誠政策部長、タクシー政策議員連盟から小宮山泰子幹事長(衆議院議員)、立憲民主党逢坂誠二代表代行、国民民主党古川元久国会対策委員長、全国ハイヤー・タクシー連合会坂本克己最高顧問から連帯の挨拶をいただいた。
事業者を代表してあいさつした坂本克己・全タク連最高顧問は、ライドシェア新法によって「生活に役立っている公共交通のタクシー乗務員の生活が潰されてしまう」とし、「抗議のためには1日くらい全国でタクシーを止めてもよいくらいだ」と述べると会場から拍手が沸き、「110年以上続くタクシーとして自信と誇りを持ち、皆で守っていこう」と呼びかけた。
また、「利用者からみたライドシェアの問題について」ということで山根香織主婦連合会常任幹事からは、「利用者は何よりも安心・安全の輸送を望んでおり、それだけに丁寧な議論が求められるべきだ。ドライバーには豊富な経験と資質が求められる。一般ドライバーが気軽にやれる仕事ではない」などと指摘した。
そして、「被災地で活躍する『公共交通のタクシー』について」として、市野晃司全自交石川ハイタク連合会執行委員長から能登半島地震での現状を報告していただき、「被災地のタクシーは廃業寸前になりながら懸命に頑張っている。自宅が被災し、避難所から通勤し、エッセンシャルワーカーとして緊急事態に対応している。このような輸送をライドシェアが責任を持って行うとは思えない」として、公共交通としてのタクシーの役割について語った。


 政府は4月、タクシー会社の管理を条件に、地域や時間帯などを限定した「日本版ライドシェア」を解禁する。与野党や経済界の一部は新法制定を要求し、政府は6月までに是非を検討する。
集会には約300人が全国から参集し、会場参加者が「危険な白タクを合法化するライドシェア新法を絶対阻止!」と「雇用と安全を破壊するな!」のプラカードを一斉に掲げライドシェア反対をアピールした。


 一般ドライバーが自家用車を使い有償送迎する「ライドシェア」の全面解禁に向けた新法制定に反対するアピールを採択、タクシー不足は業界の努力や「日本版」の活用、運転手の待遇改善で解消できると指摘。新法制定は「絶対に認めない」と強調、「交通の安全と安心、雇用、地域公共交通を破壊する行為だ」と訴えた。


集会アピール(案)

 本日、ハイタクフォーラムは、全国で働くハイヤー・タクシー労働者の固い決意を示すため危険な白タクを合法化する「ライドシェア新法」絶対阻止3.8総決起集会を開催した。

 いま「ライドシェア新法」という愚かな法律が検討されている。

 自らの利益のみを追求するプラットフォーマーが、一般のドライバーを無責任に使い捨てにするライドシェアは、交通の安全と安心を破壊し、雇用を破壊し、地域公共交通を破壊する行為にほかならない。公共交通を担う私たちは、絶対に「ライドシェア新法」を認めることはできない。

 コロナ禍で私たちハイタク労働者は、自らの感染のリスクを抱えつつ、エッセンシャルワーカーとして、公共交通の責務を果たし続けたが、賃金は余りにも低く、多くの仲間が職場を去った。そのために観光地などで「タクシーが足りない」という声が起き、ライドシェア推進派に口実を与え、ついに「新法」という言葉すら現実味を帯びる状況となってしまった。

 しかし、局所的な「供給不足」は、タクシー業界労使の努力や、国土交通省が検討した様々な新制度の活用によって改善が可能であり、何よりもハイタク労働者の賃金・労働条件の向上により根本的に解消することができる。この1年間で、私たちの賃金は実感を得られるまでに回復しており、職場には新たな仲間が増えている。全国的な運賃改定の効果がしっかりと労働者に配分され続ける限り、他産業との賃金格差を逆転させることも決して不可能ではない。

 ここで拙速にライドシェアが導入されれば、この好循環も幻となって消え、低賃金・長時間労働の負のスパイラルが再び私たちを襲う。ハイタク産業は消滅し、後には危険なライドシェアだけが残ることになる。一体だれがそんな未来を望むというのか。

 ライドシェアを阻止する私たちの闘いは、この国で生きる全ての人々の安全・安心、この国で働く全ての労働者の生活、そして、この国で暮らす全ての人々の移動する権利を守る闘いである。この闘いは孤独ではない。労働者の仲間、利用者の方々から、私たちを応援する声は日増しに高まっている。私たちは自信をもって社会に主張し、ライドシェアとの闘いに勝利しよう。

 私たちは公共交通で働く者の使命と矜持を胸に、全力でライドシェア新法絶対阻止のために闘うことを、決議する。

2024年3月8日

危険な白タクを合法化する「ライドシェア新法」絶対阻止! 3.8総決起集会

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2.29「ライドシェア解禁の問題を考える院内集会」と日本労働弁護団の「ライドシェア」解禁に反対する緊急声明

2024-03-01 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

【1 💪1 -10 LiFETiCK Cinning(asist32kg) RowM58.5kg RateralRaize10kg ShoulderPress30kg LegRaize Crunch】 2月29日、交通の安全と労働について考える市民会議~ライドシェア問題を考える~は、衆議院第一議員会館大会議室にて、「ライドシェア解禁の問題を考える院内集会」を開催。
一般参加者に加えて、多数の衆参国会議員(森屋隆参議院議員・辻元清美参議院議員・近藤昭一衆議院議員・福山哲郎参議院議員・枝野幸男衆議院議員・吉田はるみ衆議院議員・鬼木誠参議院議員・小宮山泰子衆議院議員・芝慎一参議院議員・田村まみ参議院議員・大河原まさこ衆議院議員・岸まき子参議院議員・落合貴之衆議院議員・堤かなめ衆議院議員・野田国義参議院議員・水野もと子参議院議員・小沼巧参議院議員・阿部とも子衆議院議員・牧山ひろえ参議院議員、など)と秘書の皆さん、東京都の区議会議員(遠藤みほ墨田区議会議員・久家しげる荒川区議会議員・門脇翔平葛飾区議会議員・青木のぶえ北区議会議員、など)が参加、国民の安全や従事する者の権利を置き去りにしたまま拙速に議論が進められている「ライドシェア解禁の問題」について、複数の視点から考えた。


 内容的には、前回1月16日に横浜で開催した集会と同様で、(「ライドシェア解禁の問題を考える市民会議集会@神奈川」で、拙速なライドシェア解禁論の問題を共有した。
①趣旨説明・情勢報告を木下徹郎弁護士(市民会議事務局)、②ライドシェア問題を考える~海外の事情と日本の課題を浦田誠国際運輸労連(ITF)政策部長、③ライドシェアと労働法について菅俊治弁護士(日本労働弁護団常任幹事)、④ライドシェアと利用者を主婦連合会の木村事務局長(消費生活アドバイザー)、⑤持続可能な公共交通とライドシェアを戸崎肇桜美林大学教授(ビデオメッセージ)、からの問題提起を行った。
議員発言では、田村まみ参議院議員、柴慎一参議院議員、岸まき子参議院議員、阿部知子衆議院議員、森屋隆参議院議員からのそれぞれの視点からの課題について思いや決意、そしてこれからの政治的取り組みについて言及していただき、最後に辻元清美参議院議員が、総括的に「ライドシェア解禁の問題」についてどう運動を展開するかについて発言していただいた。

 ところで、冒頭の情勢報告でも、触れられていたが、2月26日に、日本労働弁護団が「『ライドシェア』解禁に反対する緊急声明」を発表したので、ここに掲載しておく。
まさに、正鵠を得ている!

「ライドシェア」解禁に反対する緊急声明

2024年2月26日
日本労働弁護団 幹事長 佐々木 亮

1 はじめに
 政府の内閣官房において、 2023年10月6日に設置されたデジタル行財政改革会議は、同年12月20日、中間とりまとめを公表した(以下、「中間とりまとめ」という。)。その中では、ライドシェアに関して、タクシーが不足する地域や時間帯において「タクシー事業者が運送主体となり、地域の自家用車・ドライバーを活用し、アプリによる配車とタクシー運賃の収受が可能な運送サービスを2024年4月から提供する(道路運送法第78条第3号に基づく制度の創設)」としている。
 このような動きを受けて、一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会は、2024年1月10日 、東京23区・武蔵野市・三鷹市において、2024年4月から「ライドシェア」を実施すると発表した。報道によれば、普通第二種運転免許いわゆる「二種免許」を持たなくても、普通第一種運転免許を取得して1年以上の運転者であれば、タクシー事業者との間で雇用契約を締結することで、自家用車を用いて行うことができるとされ(以下、「東京版ライドシェア」という。)すでにタクシー事業者により運転者募集も始まっている。
 このような現在急速に進んでいる「ライドシェア」解禁の動きは、既存のタクシー運転者の労働条件を悪化させるだけでなく、公共交通 であるタクシーの安全性をも脅かすものである。

2 タクシー運転手の労働条件の悪化を招くこと
 もともと、タクシー事業は、2002年に道路運送法が改正され規制緩和政策に舵を切って以降、タクシ ー車両の供給過剰とこれによる運転者の賃金減少が問題となっていた。そのため、2009年には「 特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」(タクシー特措法)が成立し、さらに2014年には同法が改正されてタクシー事業の適正化が指向され、タクシーの供給過剰により生じてきた一台あたりの売上減少によるタクシー労働者の労働条件悪化を改善する政策が採られてた。
 しかし、「東京版ライドシェア」含め、あらゆる「ライドシェア」解禁は、これまでのタクシー事業の適正化に対する政策に対して逆行し、「白タク」によりタクシーの供給過剰を招いてタクシー労働者の労働条件を悪化させるのであり、断じて容認できない。

3 公共交通としての安全性を脅かすこと
 また、「東京版ライドシェア」では、二種免許を持たぬ運転者も認める。しかし、二種運転免許は、道路運送法において旅客自動車運送事業を実施する際に求められるものであり、よりによって交通量の多い都内で、二種免許を持たぬ一般の運転者に有償旅客運送を許すことは、利用者の利益の安全(道路運送法1条)を減殺させ、これによって確保されてきた公共交通の安全性を脅かすものである。

4 「東京版ライドシェア」も道路運送法の要件を充足しないこと
 さらに、中間とりまとめは、自家用車による有償旅客運送(白タクを可能とするため「道路運送法78条3号に基づく制度の創設」を目指すとされ、「東京版ライドシェア」も同号によって実施するとされている。
 しかし、同号は、「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき」という例外的な場面に限定し自家用自動車による有償旅客運送を許容しているのであり、安易に適用されるものではない。「公共の福祉」の確保に必要であるとの実証的な裏付けもないまま、東京都内のタクシー不足を理由に開始されようとする「東京版ライドシェア」は、「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合」との要件を充足し得ないのである。

5 タクシー事業者との雇用契約締結では弊害防止できないこと
 「東京版ライドシェア」は、運転者とタクシー事業者との間で雇用契約を締結することを要件とするようだが、これは、タクシー事業者の利益確保にはなり得ても、労働者の労働条件悪化と公共交通の安全を脅かすことの歯止めとはならない。
 事業者の看板で「白タク」の算入を許してしまえば、同じタクシー事業者の下で働く既存のタクシー労働者においては競争が激化して一 台あたりの売上減少を招き、タクシー労働者の労働条件を悪化させるのは必定である。
 また、とりわけ交通量の多い都内で、二種免許を持たない一般の運転者に有償旅客運送を許すことは、公共交通の安全性を大きく脅かすものといえる。

6 将来的にも雇用契約締結が確保され運用される保障はないこと
 中間とりまとめは、「ドライバーの働き方について、安全の確保を前提に、雇用契約に限らずに検討を進める」としているのであり、雇用契約締結の要件が将来的にも維持されるのか大いに疑問がある。世界各国で、「ライドシェア」に関して、本来は「労働者」として扱われるべきドライバーを「労働者」と扱わず労働法の保護を及ぼさないとしていることが問題となり、訴訟にまで発展している。日本でも、当初から「東京版ライドシェア」を足掛かりに して、遠くない将来、雇用契約ではない法形式による「ライドシェア」を拡大しようと意図されているのである 。

7 まとめ
 以上の通り、あらゆる「ライドシェア」は、タクシー運転者の労働条件を悪化させ、公共交通であるタクシーの安全性を脅かし、何よりも、プロフェッショナルとして日本の公共交通を日夜支えるタクシードライバーの労働者としての誇りを踏みにじるものであって到底容認できない。日本労働弁護団は、タクシー事業者を運営主体にするものも含め、あらゆる「ライドシェア」解禁の動きに断固反対し、労働運動・市民運動と連帯してこれを阻止するために取り組みを進める 。
以上

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パブコメ入れました! 「法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための地域の自家用車・ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取扱い」

2024-02-20 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!
案件番号: 155240909
案件名:「法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための 地域の自家用車・ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取扱い」 に係るパブリックコメントの実施について
 ⇒ https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155240909&Mode=0
所管省庁・部局名等: 物流・自動車局旅客課
意見・情報受付開始日時: 2024年2月9日17時0分
意見・情報受付締切日時: 2024年3月9日23時59分

 昨年 12 月に決定された「 デジタル行財政改革会議の中間とりまとめ 」 において、タクシー事業者が運送主体となって、地域の自家用車・ドライバーを活用し、タクシーが不足する分の運送サービスを供給すること(道路運送法第78条第3号に基づく制度の創設)が決定されました。
今後、タクシーが不足する地域・時期・時間帯におけるタクシー不足状態を、道路運送法第78条第3号の「公共の福祉のためやむを得ない場合」であるとして、地域の自家用車や一般ドライバーによって有償で運送サービスを提供すること(自家用車活用事業)を可能とする許可を行っていく予定です。その許可に当たっての基準や取扱いについて、「法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための地域の自家用車・ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取扱い」として定めることを検討しており、今般 、 パブリックコメントを開始いたします。
なお、今般示す制度案はあくまでもたたき台であり、広く国民の皆さまの意見・情報を集したうえで、その内容を決定する予定です。


 と、言うことなので、私も本日、以下の通り、パブリックコメントを入れた。

【意見】
 道路運送法第78条第3項に基づく制度の創設について、条件付きで「賛成」である。

【理由】
 「法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための地域の自家用車・一般ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取扱い」について、公共の福祉を確保するためやむを得ない場合として、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供する範囲においての「タクシーが不足する分の運送サービスの供給」について、賛成である。

 ただし、以下の点については問題があるので、対処されたい。

1.新制度によるタクシー不足解消の効果を検証し「タクシー事業以外の者がライドシェア事業を行う」新制度を検討するための期間として、2か月というのはあまりにも拙速、且つ、乱暴であり、「ライドシェア」導入ありきが前提となっていることは問題であるため、効果の検証期間について、十分な期間を確保すること

2.タクシー運転者資格のない一種免許の運転者が、事業用自動車(緑ナンバー)で、有償運送を行うことは、利用者に対する欺瞞であり、緑ナンバーに対する利用者からの信頼を崩壊させる行為であることから、禁止すべき

3.ドライバーの選任については、運輸規則第36条を適用し、雇用契約によるものとすること

4.道路運送法第78条第3号による「公共の福祉を確保するためやむを得ない」事由が消滅した際には、速やかに供給を停止すること


 条件付きで「賛成」である、としたのは苦渋である。
「ライドシェア阻止」についてこれまで通り、自分は、一貫している。
しかし、「デジタル行財政改革会議 中間とりまとめ」 (令和5年12 月20 日デジタル行財政改革会議決定)において、タクシー事業者が運送主体となって、地域の自家用車・ドライバーを活用し、タクシーが不足する分の運送サービスを供給すること (道路運送法第78 条第3号に基づく制度の創設)が決定されたことを受けて、地域の自家用車や一般ドライバーによって有償で運送サービスを提供すること (自家用車活用事業)を可能とする制度を創設することとなった。
この新たな制度案では、安全・安心を確保する観点から、旅客運送分野において事故防止対策のノウハウを有するタクシー会社が、一般ドライバーの教育、運行管理や自家用自動車の車両の整備管理を行うとともに、運送責任を負うこととなることから、絶対に導入を阻止しなければならない「いわゆるライドシェア」とは異にする、道路運送法に基づく制度であると考えざるを得ない。
また、タクシーが不足する分の運送サービスの供給確保対策に対して、「二種免許」やプロドライバーとしての矜持という点で納得はできないが、タクシー事業者が運送主体となったとしても、地域の自家用車・ドライバーの活用を否定してしまうと、私たちが絶対に阻止しなければならない「いわゆるライドシェア」推進派への対案がなくなってしまう。
推進派は、この制度改正を「なんちゃってライドシェア」だとして、すでに反対意見を多数投じている。
したがって、今回の道路運送法第78 条第3 項に基づく制度の創設について、条件付きで「賛成」であるとした。


 交通の安全と労働について考える市民会議~ライドシェア問題を考える~は、2月29日(木)18時~19時30分、衆議院第一議員会館 多目的ホールにて、「ライドシェア解禁の問題を考える院内集会」を開催する。
※17時45分頃より、衆議院第一議員会館1階ロビーにて入館証配布。
※会場でのリアルと、zoomによるハイブリッド開催ですので、zoomでの参加の場合は、こちら⇒ https://forms.office.com/ より参加申し込みしてください。

 昨年12月20日、デジタル行財政改革会議が中間取りまとめで、2024年4月より、タクシーが不足する地域・時期・時間帯の特定を実施。これに基づき、タクシー事業者が運送主体となり地域の自家用車・ドライバーを活用し、アプリによる配車とタクシー運賃の収受が可能な運送サービスの提供を開始することとした。またタクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行う法制度について2024年6月に向け議論するとしている。12月26日の規制改革推進会議は請負契約の推進などさらに踏み込んだ法改正の内容について答申している。「ライドシェア」とは何なのか。ライドシェア解禁が公共交通、働き方、利用者の安全にどのように影響を及ぼすのかについて、複数の視点から考える。

プログラム
情勢報告 木下徹郎弁護士(日本労働弁護団常任幹事)
ライドシェアの実際 国際運輸労連(ITF)浦田誠政策部長
ライドシェアと労働 菅俊治弁護士(日本労働弁護団常任幹事)
ライドシェアと乗客 発言者は調整中
ライドシェアと公共交通 戸崎肇教授(桜美林大学)
議員らと意見交換



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引き続きサントリーの個人的不買運動を継続します…経済同友会のライドシェアに関する提言への反論

2024-02-13 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 経済同友会が「わが国における効果的なライドシェアの導入に向けて〜なんちゃってライドシェアで終わらせないために〜」という提言を、2月1日に政府に提出している。
意見のポイントとして「各論点における課題と検討の方向性を提示」していて、その内容は以下の通り。
〇柔軟な供給を確保し、イノベーションの創出を促すためには、既存の旅客自動車運送事業者に限定することなく、さまざまな主体が参画できる制度とすべきである。
〇現代社会における技術発展の状況を踏まえれば、これからの安心・安全は技術によって担保されていくことになる。新規参入・普及の促進にも考慮しながら、現実的な安全基準を設けるべきである。
〇事故の際には(車両設計上の欠陥による場合などを除き)事業者が責任を負う主体であることを明確にすべきである。
〇需給に波があるライドシェアの特性上、運転者に雇用契約だけではなく、業務委託契約の選択肢も提供すべきである。
〇変化する交通需要に対応するには、タクシー業界の規制改革とライドシェアの導入を通じて、柔軟な価格変動制および供給体制を確立し、労働市場の効率を高めることが求められる。これにより、乗務員の労働条件改善とサービスの質の向上を同時に実現すべきである。


◆今さらライドシェアが「イノベーションの創出」などとほざいている時点で時代遅れ。
 ここで言われている「イノベーション」は技術革新の意と思われるが、ライドシェアとは日本語で言えば古くからある「白タク」だ。
ライドシェアのビジネスモデルは新興諸国どころか発展途上国でもとっくに行われており、一方で、このビジネスモデルには問題があるとしてヨーロッパをはじめ多くの国や地域で禁止や規制の強化がされていて、過去の遺物となりつつある。
日本でもライドシェアのシステムなんて簡単に構築できるので、そんなものが技術革新=イノベーションでも何でもない。

◆「さまざまな主体が参画できる制度とすべき」とは、反社会的勢力のことを指してるのか?外資に日本を売るということなのか?
 日本で「白タク」が厳しく禁止されてきたのは、暴力団などの反社会的勢力の資金源となってきたということも重要な歴史。
運転代行業も、所轄の警察署(公安委員会)の認定を受けなければ事業が出来ないのは、同様の理由だ。
もちろんタクシーなどの旅客運送事業は、反社は参入できないのは言うまでもない。
ライドシェアと言えば世界的に「UBER」だが、UBERは日本ではUberEatsでフードデリバリーでは日本で勢力を大にしており、DiDi(中国)・フードパンダ(ドイツ)はすでに日本から撤退、この業態では残るはWalt(フィンランド)と出前館。
経済同友会は、日本の交通市場を外資に売ろうと考えているのか。

◆「これからの安心・安全は技術によって担保されていく」という期待では困る。現に安全を担保しなくてはならない。
 なにを原子力発電所の「安全神話」みたいなことを言っているのだ、人の命が懸っているのだ。(利用者だけではなく、同じ道路を共有する他人も含めて)
医者が足りなかったら、医学生や看護師に、診察や治療をさせるのか?
海外である病気に効くという薬を、治験もせずに日本で導入するのか?
我々プロのタクシードライバーが運ぶのは食料品ではないのだ、人の命なのだ!

◆「現実的な安全基準を設ける」「事業者が責任を負う主体」はいいとしてそのコストはどう償うのか。
 タクシーなど公共交通事業にとって、安全を確保するためのコストは莫大なものであり、事業者にとってその投資負担は大きい。
そのためにタクシーなどの公共交通では安全コストを償うために、そのコストは運賃設定の根拠となり積算されており、結果、利用者から収受している。
経済同友会の提言では、おそらくライドシェアでの運賃は、タクシー運賃よりさらに高価なものにならざるを得ないだろう。

◆「業務委託契約」とは結局は安く人を使いたいだけだ。
 ライドシェアやフードデリバリーで働く人の労働者としての権利(労働者性)は日本でも世界でも問題なっている。
イギリス最高裁「Uber運転手は『従業員(労働者)』だ」と判断し、こうした判断は、欧米では大きな流れとなっている。
東京都労働委員会が「ウーバーイーツ」配達員は労働者だとして団交権認める命令を出した。
アマゾンジャパンの商品配達を個人事業主(フリーランス)として委託された配達員を、横須賀労働基準監督署(神奈川)から労災認定された。
日本でもすでにエビデンスがある。
また、過労運転を防止するためには、運転時間(労働時間)の管理も重要で、これを運転者自身の自己責任とすることは、利用者に対してあまりにも無責任だ。

◆「副業・兼業が前提となるライドシェアの場合、ワーキングプアの議論は関連が薄い。」というが、問題は、ライドシェアに従事しているときのドライバーの権利保障だ。
 提言本文では「個人事業主としての働き方には、労働関係法令の適用や労働者としての権利行使、団体交渉による待遇改善などの権利保護が不十分な点がある」と指摘しているが、まさにその通りであり、「副業・兼業」はいいとして、その副業・兼業としてライドシェアドライバーとして従事しているときに、本業の際に保障されていた、労働基準法、最低賃金法、労働者災害保険法、労働組合法などの労働諸法制の保護が受けられないことが問題なのだ。

◆「柔軟な価格変動制」とは金のないやつは移動難民に甘んじろということ。
 高い運賃でも払える人のための供給体制を確保するには、柔軟な価格変動制(ようは繁忙時に高い運賃設定をすること)により金持ちを優遇しろということ。
経済同友会のいう「需給ギャップ」の解消とは、金のないものは甘んじて移動難民になれということ。
そもそも移動難民の解消という責任は、営利企業であるタクシーやバス・鉄道事業者の責任なのか?
自治体や国など「公助」の責任が、先ではないのか?

 経済同友会 代表幹事である新浪 剛史氏は、サントリーホールディングス取締役社長だ。
氏のこれまでの、マイナンバーカード一体化保険証(マイナ保険証)による健康保険証廃止について廃止時期を「納期」と発言したこと、サラリーマンの「45歳定年制」を提唱したこと、世界に誇る日本の国民皆保険制度を民間にと提起したこと、さらに安倍晋三元首相の後援会が主催した「桜を見る会」前日の夕食会に、サントリーが飲料を無償提供していたなどなどの大いに憤ることがあって、新浪剛史氏、経済同友会に腹が立っていてちっとも収まらないのに、さらに「なんちゃってライドシェアで終わらせないために」という馬鹿げすぎている提言を出しているのやから、引き続き「サントリーの個人的不買運動」を継続します。


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危険なライドシェアを許さず安全な公共交通を守る! ~ハイタクフォーラム請願署名提出行動 過去最多220,917筆を提出~

2024-02-09 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 ハイタクフォーラム( 私鉄総連ハイタク協議会・自交労連・ 交通労連ハイタク部会)は、2月8日、2023 年10 月から取り組みを行ってきた「危険なライドシェアを許さず安全な公共交通を守るための請願署名」の提出行動を実施した。ハイタクフォーラムから22 名 内(私鉄総連10 名)、タクシー政策議員連盟から衆参議員42 名が参加。集められた署名は過去最多となる220,917 筆 (内、私鉄総連46,732 筆)にものぼり、拙速にライドシェア解禁を進めている岸田政権に対する危機感を大いに反映した結果となった。


 冒頭、溝上ハイタクフォーラム代表幹事全自交労連)は「今回の取り組みでは、ライドシェアは雇用によらない働き方であり、労働者全体に影響することを広報した。その結果、連合からも協力をいただき、昨年の約15 万筆を大きく上回る220,917 筆という最多の署名を集める事が出来た。この署名をしっかり届けて、岸田政権のデタラメな政治を正していただきたい」と挨拶。続いて、辻󠄀元清美タクシー政策議員連盟会長が「先日、ライドシェアの全面解禁を主張する議員に、身近な人へライドシェアの利用を勧められるか、働くことを勧められるか、と尋ねたところ返答に窮していた。この問題は日本の社会を守るための闘いだと思っている」と述べた。その後、溝上代表幹事、石橋私鉄ハイタク協副議長らから、議連に署名を手交、衆・参両院議長への提出を託した。


 意見交換では、「 ライドシェアのために新法を作る動きがあるがこれは絶対に許せない」「ライドシェア推進派は配車アプリが進化して既存のタクシーが利用しやすくなり、ライドシェアに利便性で劣らないことなど認識のアップデートができていない」「配車アプリの普及で流しのタクシーが減少しており、高齢者などがタクシーを捕まえられないことにより車両不足と言われることもあるなど、様々な課題特性があるにもかかわらず、ライドシェアがあれば解決するという乱暴な議論が行われている」「 地方の問題と首都圏や観光地の問題を分けて考えなければならない。地方の問題に対してはまず自家用有償運送で対応すべきであり、首都圏や観光地では、労働環境の改善を以ってドライバーを確保することが優先である」( 安易にライドシェアを導入し、需要のピーク時に白タクが出てくると事故や渋滞のリスクが高まる。それも踏まえて議論すべき」、久松私鉄ハイタク協事務局長からは「大阪では万博開催を理由としてライドシェア導入を強引に推し進めようとしている。大阪の現状のタクシー供給量で万博輸送は可能だ」、森屋隆タク議連事務局長(私鉄総連組織内国会議員)からは「ライドシェアによって2種免許を保持していない人が参入すると個人タクシーの定義が根底から崩れてしまうのではないか」など様々な意見が交わされた。


 閉会に際して、小川ハイタクフォーラム幹事( 交通労連)が「政策の失敗で地方が疲弊し公共交通が崩壊している責任を民間企業であるタクシー事業者に押し付け、人気取りのためにライドシェアを進めている状況だと認識している。ライドシェアは労働問題でもある。生活が安定しないなかで、政府は少子化対策、賃金を上げると言っているのにライドシェアの導入は一貫性がない。22 万以上の署名は現場の労働者の悲痛な声である」と述べた後、小宮山泰子タクシー政策議員連盟幹事長が「なぜ法律で様々な規制を作ったのか。事件・ 事故・ ぼったくり等を防ぐために法律で規制してきた。人を大切にする社会を創るためには、プロのタクシー・ハイヤーが必要である。また、地方の首長は地域の足を守るためにライドシェア導入に期待しているが、昨年12 月に経済同友会でヒアリングをしたところ、儲かる地域でしか参入するつもりがなく、過疎地では自家用有償輸送でやってほしいとはっきりと言い切られた。安心して国内を移動できる公共交通を守るために共に頑張りましょう」と締めくくり、署名提出行動を終了した。


 その後、選挙区などに関係する都道府県の署名を各議員が持ち帰った。今回の署名の集約にあたり、各地連・単組の取り組みに感謝申し上げる。

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「ライドシェア解禁の問題を考える市民会議集会@神奈川」で、拙速なライドシェア解禁論の問題を共有した。

2024-01-22 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 交通の安全と労働を考える市民会議は1月16日、「ライドシェア解禁の問題を考える 市民会議集会@神奈川」として横浜市中区のかながわ労働プラザで集会を開催、120人が参加した。
冒頭、全自交労連の津田光太郎書記次長が、昨年夏の菅前首相発言が端緒となって以降のライドシェアに関する日本の動きについて説明。
続いて、国際運輸労連の浦田誠政策部長が「『ライドシェア』とは~その現状と問題~」として、世界で何が起こってきたか、そこから得られた教訓と課題について、UBERの事例を中心に説明、拙速なライドシェア解禁の動きに警鐘を鳴らした。

 日本労働弁護団常任幹事の菅俊治弁護士は、日本のウーバーイーツ・アマゾンフレックスなどの働き方を例に「『ライドシェア』と労働」について「労働者ではない契約形態で旅客運送サービスを拡大していくことの重大性」についてお話しされ、「最初は赤字覚悟で経営するが、5年経つと牙を剥いて来る。団交無視、労働条件を何の説明もなく一方的に変えてくるのが彼らのやり方だ」と警戒を呼びかかけた。
 菅氏は「ライドシェア最大の争点は、そこで働く人々が労働者であるか否かということだ。働く者が労働者扱いされないとはどういうことかを考えなければならない」と前置き、内閣府・デジタル業財政改革の「中間取りまとめ」には「まるでおまけのように、目立たないように書き込まれている。
1)「公共の福祉を守るためにやむを得ない」78−3には、こっそりと「雇用契約に限らず」検討を進める。と書いてある。
2)78−2の自家用有償旅客運送のほうは、もともと非営利でやる。これを営利の株式会社が受託。運転手に「謝礼」を払う。賃金とは書いていない。これは雇用に限らないな。請負を入れるつもりであるな。
3)その先のタクシー事業者以外の事業者の参入によるライドシェアについては書いていない。書いていないのは、請負を入れる気が満々であるなと受け止めるべき。
この、雇用契約ではやらない、運転手を労働者扱いしないということが、たいへん重大かつ危険。」と指摘。


 また、ライドシェアの導入について、世界中で大反対運動が起きて裁判や法改正が行われている点について、「なにがいちばんの争点になっているか?最大の争点は、労働者か否か。労働者の権利侵害であると同時にコストを下げての不公正競争を招く。既存のタクシー会社が安全を確保しながら経営責任を果たすことが困難に(両立不可)。一度入れてしまうと、あとで引き返すことが困難。」として、いま、反対をと呼びかけた。

 そして、菅弁護士自身が、ウーバーなどの配達員やアマゾンの配達員の労働組合の事件を担当している立場から。「もし労働者でなかったら、どうなるか?」について、実例あげて紹介。
ポイントは5つとして、①はじめは赤字覚悟で、5年経ったら牙を剥く、②労働条件はブラックボックス、③究極の細切れ労働、場当たり的な働き方、④団体交渉は無視、機械が答えます、⑤本当は労働者、を挙げ、
 
①はじめは赤字覚悟で、5年経ったら牙を剥く
 フーデリ。注文すると。配送料金を支払ってる。配達員のもらう報酬と、どっちが高い?配達員の報酬の方が、高い。差額は誰が持っているのか。飲食店でしょうか?ちがう。ウーバーが被っている。
配送料無料キャンペーンなどをしている。誰が負担しているのか。飲食店でしょうか?ウーバー。
はじめから大赤字を覚悟で、シェアを拡大しようとしている。できるだけアプリを普及して、消費行動のパターンを植え付ける。フードだけでなく、ノンフードも。スーパー、コンビニと連携or鎬(しのぎ)を削る。そして、貨物だけでなく、人間も。タクシー会社と連携or鎬を削る。
 前半戦は、配達員という労働力の確保。赤字覚悟でそれなりの労働条件を提示する。
・配達員に対して時給2000円などの最低保障をする。
・最低限の配達員が確保できた段階で、出来高払いに切り替える。最初は、運んだ回数や運んだ距離によって計算式が決まっている。臨時に人手を確保したいときには、地域の割増賃金を提示する。一定の時間帯・一定のゾーンの賃金が1割、2割増やす。「ひつじ飼い」さらに熱心な稼働を促すために、「クエスト」。所定期間内に目標回数を達成。基本報酬に対して、その3―4割程度が場当たり的に支払われるもの。
しかし、ある段階で「黒字化」に着手する。労働条件の相次ぐ不利益変更を行う。時間単価が低下傾向にある。時給1400−1600円程度。
 労働契約法には8−10条まで条文がある。労働条件は労働者の同意なく、一方的に不利益に変更することはできない。そのなかでもとくに賃金は極めて重要な労働条件なので、厳格な条件を満たさないと変更できない。変更の必要性が必要、変更後の契約内容も合理的でなくてはいけない。変更の必要性や変更後の条件も労働者や労働組合に丁寧に説明を尽くさなくてはいけない。
 労働者扱いしないことになると、このような手続きが不要。自由に上げ下げする。変更に同意も手続きも不要にしておきたい。ウーバーイーツの配達員、ある日とつぜんに変更が伝えられる。変更の回数も夥しい。
報酬の変更だけではない。呼び出しに対する応答時間の制限(60秒→30秒→15秒)(配達依頼を拒否したと扱われる)

②労働条件をブラックボックス化
 不利益変更が自由自在なだけでなく、労働条件そのものが、どうしてそのような条件が設定されるのかブラックボックス化されている。不利益かどうかも確認不能。
ウーバーイーツ配達員の給与明細をみると、基本給と調整給からなる。でも基本給が半分くらいしかない。基本給の計算式もよくわからない。調整給が基本給と同じくらいあったりする。働き方がどう評価されているか、なにと調整しているのかもわからない。
 アルゴリズムが勝手に決めている。アルゴリズムの判断要素を開示せよといっても、秘密にされたまま。
労働がギャンブル化している。との指摘あり。同一労働同一賃金の原則を破壊している。との批判あり。
労働契約の場合、使用者は労働条件を明示しなければならない。明示義務を免れるために、労働者扱いしない。

③究極の細切れ労働へ
 「何時から何時まで働くかは、自由。それがいいのだ。」このような考え方に、私は批判的。
アプリにログインしても、仕事の割り当てがあるかどうかは、アルゴリズム次第。仕事が割り当てられなければ、当然、収入にならない。
それもアルゴリズムに常に評価、監視されている。
労働法は、長時間労働を規制している。配達員の中にも長時間労働あり。短時間労働は労働法のもとでも可能。
仕事の割り当て、スケジュールに見通しがあること、収入が安定していること、は極めて重要。
世界的には、労働条件をいかに透明化し、予見可能なものにしていくかが課題になっている。副業をしなくても、まっとうに生活できる賃金、労働条件が重要。
 アマゾンの配達員。アマゾンフレックスの配達。シフト労働をしている。勤務成績がいい労働者は1ヶ月前からシフトを入れられる。 成績が悪いと1週間前にしかシフトが入れられない。シフトを入れてくださいという告知がくると、一斉に労働者がアプリでエントリーをする。早い者勝ちの状態なので、先を争ってシフトをいれなければならない。
日雇い労働者がその日の仕事をもとめて行列する人たちの姿と変わらない、同じ場面が物流の現場では広がっている。

④団体交渉は拒否、機械がアンサーします
 ウーバーも、Amazonも、団体交渉を一切拒否している。苦情を受け付けるのは、サポートセンター。
たとえば、アカウント停止。
・まったく理由が説明されない。
・弁明の機会がない。
アプリでの問い合わせには、定型文言の答えしか返ってこない。機械が、規定違反があったのでアカウントを停止した、ということしか答えない。

⑤本当は労働者、労働法の保護をひろげよう
 私たちは、このような無権利な労働者を増やしてはいけない。
そもそも労働法は、形式的に請負や委託の契約であったとしても、働かせ方の実態をみて労働者であれば、労働法を適用しなければならないとしている。
世界では、労働者を独立契約者として偽装することを規制しよう必死に取り組んでいる。
無権利な労働者を増やしてはいけない。
日本は、現在広がっているこうした偽装雇用にたいして、適切な取り締まりを強化し減らしていくべきであって、ライドシェアのような働き方を増やすことではないはずだ。
これに逆行すること、ますます問題と被害を拡大するライドシェアの拡大には、断固として反対していかなければならない。



 続いて、地元神奈川からの発言を受けた。
牧山ひろえ参議院議員(神奈川県選出)
「私は世界でいろいろライドシェアに乗ってきたが、怖い思いもしたし目的地に到着しないことも経験した。世界には、ライドシェアはいろいろなものがあるが、多くの国で禁止されている。ウーバーでは多くの性被害が起っている。日本でライドシェアを解禁して、ひとりでも性被害があったり、ひとりでも誘拐事件があったり、ひとりでも命を落とすようなことがあったら、許されない。日本の安全安心を守るためにこれからも頑張っていきたい。」
篠原豪衆議院議員(神奈川1区)
「規制改革、一部の有識者が勝手に決めていく。始めてみて何か問題が起ったらどうするのか、そこをしっかりとみていかなくてはならない。今、タクシードライバーも待遇が上がってきている、その努力をちゃんと守らなくてはならない。」


 三上神奈川県タクシー協会専務理事から神奈川版ライドシェアの現状について説明を受けた後、日本労働弁護団常任幹事で、ブラック企業対策弁護団副事務局長でもある神奈川総合法律事務所所属の嶋﨑量弁護士
「神奈川版ライドシェア、反対していかなければならない、必要がない。既成事実だけ作って、やることを前提で検討していることに怒りしか感じない。利権、こういうところにお金が流れている。必要性がない、必要性がまずは基本であり、ドライバーが足りないのなら、労働条件を上げてくださいということ。そして海外の人が使いやすいアプリを政府が責任もって開発すれば良い。一度『ライドシェア』と名の付くものをどこかで入れたら、どんどん規制緩和がされて拡大していく。困るのは市民、困るのは利用者だ。」


 そして利用者の立場からの発言として、主婦連合会会長の河村真紀子さんからは、「大切な議論を拙速に始めようとしていることが問題。主婦連合の定例会でライドシェアを取り上げたときに、ライドシェアの定義をちゃんとわかっている人は少なかった。シェアリングエコノミーと混同していたり、乗り合いタクシーと混同していたりと、ライドシェアの実態が伝えられていないし、利用者消費者に共通認識もないのが今の状況だと。そのように国民が理解する前にライドシェア解禁を進めていこうとしているように見える。
 デジタル化を盲目的に進めようとしているのが今の政府で、それが本当に国民のためになるのか、社会のためになるのか、それを議論していくことが当然なのに、それがなく、デジタル化だから、規制緩和だから、と決められてしまうのは問題がある。利用者、労働者、あらゆる面から見ても私たちは反対する。航空機や船舶やその他の交通と同様に、消費者にとってタクシーは命を乗せるものであって、プロフェッショナルによることが大切で、もちろん安全が大切であり、過疎地の移動の問題や、都市部でもタクシーが不足している問題があるとしても、その課題の解決には丁寧な議論が必要で、けっしてライドシェアがその解決ではない。」「私たちも断固反対の声を上げていきたい。」と話された。


 代表世話人の戸崎肇・桜美林大教授は「ライドシェアと公共交通」として、「ライドシェアを推進しようとする人たちは、『なんでやらないの、だめならまた変えたらいい』という。しかし、ビジネスの話しと行財政改革の話しは次元が違う、行財政改革の失敗は、それをやり直すのには、たいへんな負担(コスト)と時間が掛かる。例えば『がんに効くから』と医薬品を安易に認可する、そんなことはあり得ない。
 今、世界はプラットフォーマーに独占される状況になる、それに世界では気付いて、今、amazonなどのプラットフォーマの市場や情報の寡占が問題なっている。それを日本では、ウーバーなどのプラットフォーマーに許そうとしている。アルゴリズムの中身は秘密にされているので、しかしアルゴリズムを持っているプラットフォーマーが強い。
これまでせっかく築き上げてきた日本のタクシーの制度は、もちろん安全の確保を含めてコストが掛かっているが、ライドシェアによってこれを一瞬で崩すことになるのが大きな問題でだ。タクシーを含めて地域公共交通をどうしていくかということについては、様々な議論や、それを踏まえての様々な法律制定、そらにそれらの法改正により今の制度が出来あがっているのに、それを一首長や一政治家の判断で、一瞬で崩してしまうことも問題だ。
 ライドシェアを推進しようとしている勢力はすべてがビジネスの観点であり、これに対抗していくには、私たちはわかりやすく世論に説明していくしかない。」と今後の運動の展開について提起された。
 参加していただいた、すとう天信神奈川県議会議員ら神奈川の各級議員から一言ずつご意見をいただき、最後に事務局である山口広弁護士が「ライドシェアを解禁しようという今のこの動きは、単に交通の安全の問題というだけではなく雇用の危機でもある。慎重な検討が必要なはず。市民会議は引き続き運動を展開していく」と、横浜集会を締めくくった。

 交通の安全と労働を考える市民会議として、次回は国会議員会館での院内シンポを可及的速やかにの開催しようと予定しているが、ライドシェアを拙速に導入しようとしている地域において、受け入れていただけるなら開催したいと考えている。(例えば、函館、大阪や福岡など)
我々市民会議の関係者に、是非、お声掛けいただきたい。

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多くの国で禁止・規制されているライドシェアを世界で唯一水際で阻止してきた日本に、拙速にライドシェアが解禁されていくことを危惧する…

2024-01-13 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える―は、1月16日(火)18時から、かながわ労働プラザ(エルブラザ 神奈川県横浜市中区寿町1丁目4)にて、シンポジウムを開催します❗
昨年12月20日、デジタル行財政改革会議が中間取りまとめで、2024年4月より、タクシーが不足する地域・時期・時間帯の特定を実施。これに基づき、タクシー事業者が運送主体となり地域の自家用車・ドライバーを活用し、アプリによる配車とタクシー運賃の収受が可能な運送サービスの提供を開始することとした。さらに、タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行う法制度について2024年6月に向け議論するとしている。12月26日の規制改革推進会議も同じ内容を答申している。そもそもライドシェアとは何か、ライドシェア解禁は公共交通、働き方、利用者の安全などにどのように影響をしていくかを考える。
ぜひ、参加ください❗


 一般ドライバーが自家用車を使って有料で客を運ぶ「ライドシェア」について、東京ハイヤー・タクシー協会は「断固反対」の方針を一転し、4月から導入すると発表した。
われわれ、タクシー産業で働く者の立場としては、今回の事業者が行う「日本型ライドシェア」については、諸手を挙げて賛成できるものではないが、これまで一貫して反対していた、いわゆるライドシェア解禁に向けたライドシェア新法に対抗するためにという点では、仕方がないのかと…。
忸怩たる思いではあるが…。

 ただし、中身について、遊休タクシー車両を前提とするようだが、白ナンバーの自家用車を使用する場合もあることで、その場合の自賠責保険・自動車賠償保険がどいうなるのか明確になっていないことに課題がある。
加えて、アプリ配車に限るとしても1種免許で有償運送が出来るとなると、2種免許の価値の低下につながり、プロドライバーの賃金労働条件などの下方圧力となるのではないかと危惧する。(利用者への安全の提供も低下するのは言うまでもない)
また、タクシーによる供給が回復するならば、こういった運用は廃止すべきだと考える。

 ちなみに連合の「ライドシェアにかかわる『デジタル行財政改革中間とりまとめ』に対する談話」を掲載しておく。

ライドシェアにかかわる「デジタル行財政改革中間とりまとめ」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行
1.公共交通で保障される利用者の安心・安全が十分に担保されるのか見極めが必要
 政府は12月20日、第3回デジタル行財政改革会議において、「デジタル行財政改革中間とりまとめ」を決定し、「タクシー事業で不足している移動の足を、地域の自家用車や一般ドライバーを活かしたライドシェアにより補う」とした。具体的には、タクシー事業者の運行管理のもとで新たな仕組みを創設し、タクシー車両が不足する地域・時間帯に限って、アプリ配車とタクシー運賃収受が可能な運送サービスを2024年4月から提供するとしている。
 なお、この新たな仕組みは、国土交通大臣の許可(道路運送法第78条第3号)にもとづいて創設するとしているが、タクシー事業と同様に公共交通で保障されている利用者の安心・安全、ドライバーの安全確保、車両の管理責任などが十分に担保されるのか、重大な関心を持って見極める必要がある。

2.健康確保などに懸念がある働き方を広げることは容認できない
 特に、ドライバーの働き方については、「安全の確保を前提に、雇用契約に限らずに検討を進める」としているが、労働者でなければ労働関係法令が適用されず、結果的にドライバーが劣悪な環境での就労を強いられる懸念が拭えない。加えて、運行管理者に対して道路運送法等による健康診断などの健康管理や、副業・兼業を含めた過重労働の防止などの取り組みが課されないとすれば、事故などによって利用者や歩行者などの安全を脅かすことにもなりかねない。そうした懸念が多い働き方を広げることは容認できない。

3.タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことは慎重であるべき
 また、「中間とりまとめ」では、2024年6月に向けてタクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことを位置付ける法律制度の議論を進めるとしている。タクシー事業者以外が行うライドシェア事業は、先行する諸外国において様々な問題が指摘されていることに加え、タクシー産業の健全な発展を阻害しかねず、慎重な検討が必要である。

4.国民生活や経済活動を支える持続可能で強い交通・運輸体系の構築を求める
 連合は、わが国が直面する経済・社会の変化に的確に対応するとともに、国民生活や経済活動を支える社会基盤として、持続可能で強い交通・運輸体系の構築実現にむけて、構成組織・地方連合会とともに取り組んでいく。


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【ライドシェア?】デジタル行財政改革会議で示された「中間とりまとめ案」の問題点

2023-12-24 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 12月20日、デジタル行財政改革会議において「地域交通における『担い手不足』『移動の足不足への対応』」と題した方針が発表された。
これをもって「ライドシェア限定解禁 4月から一部地域で」等の報道が相次いでいる。
しかし、今回の政府方針には多くの問題があり、このことがライドシェア阻止運動の全面的敗北を意味するわけではない。
2023年12月20日のデジタル行財政改革会議で示された「中間とりまとめ案」における「地域の自家用車・ドライバーの活用」に関する記載を引用し、問題点を詳述し、安易な規制緩和を強く批判する。


【引用「デジタル行財政改革会議中間取りまとめ」】
 現状のタクシー事業では不足している移動の足を、地域の自家用車や一般ドライバーを活かしたライドシェアにより補うこととし、すみやかにタクシー事業者の運行管理の下での新たな仕組みを創設する。
 具体的には、都市部を含め、タクシーの配車アプリにより客観指標化されたデータに基づき、タクシーが不足する地域・時期・時間帯の特定を行う。そして、これに基づき、タクシー事業者が運送主体となり、
地域の自家用車・ドライバーを活用(#1)し、アプリによる配車とタクシー運賃の収受が可能な運送サービスを2024 年4月から提供する道路運送法第78 条第3号(#2)に基づく制度の創設)。また、この制度の創設に向け、ドライバーの働き方について、安全の確保を前提に、雇用契約に限らずに検討(#3)を進める。
 さらに、この新たな仕組みと合わせ、従来の自家用有償旅客運送制度(道路運送法第78 条第2号)について、移動の足の確保に係る地方自治体の責務に照らして様々な障害があるとの地域の声を踏まえ、2023 年内から使い易い制度へ大幅に改善していく。
 このため、同制度の適用対象となる
交通空白地に夜間など時間帯の概念(#4)を取り込み拡大するほか、対価の目安の引き上げ(タクシー運賃の約8割)やダイナミックプライシングの導入(#5)等を実施する。また、地域公共交通会議等における協議において地方自治体の長が判断(#6)できるよう制度の改善を図る。
 さらに、自家用有償旅客運送への多様な主体の参画を促すべく、運送の実施主体からの受託により
株式会社が参画(#7)できることを明確化する。
 加えて、道路運送法の許可又は登録の対象外の運送(無償運送)について、アプリを通じたドライバーへの謝礼の支払いが認められることを明確化することで、利便性を向上する。
 上記の方策について、できるものから早期に開始し、実施効果を検証するとともに、
タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことを位置付ける法律制度について、2024 年6月に向けて議論(#8)を進めていく。

#1 地域の自家用車・ドライバーを活用 二種免許の無視
〇安全性確保の観点から二種免許が必要であるという大原則を全く無視している。
〇二種免許は免許取得時に、一種免許より、実技ではより高度な運転技術と、筆記試験では安全確保に関しての知識を問われる。
〇さらに、免許更新時には、視力に関して一種免許より厳しい検査(深視力)がある。
〇タクシーが不足する地域では、人命軽視の輸送手段を提供してもかまわないと言っているに等しい。

#2 道路運送法第78 条第3号 「公共の福祉」の濫用
〇「道路運送法78条3号」は「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき」に自家用車による有償輸送を例外的に認める条文である。
〇「公共の福祉を確保するため」とは、災害時等のやむを得ない場合の緊急的な対応を想定したものであるはず。
〇「タクシーが不足する」ということで、半恒久的な制度を「公共の福祉」という名目で実施することは、安全確保などについて厳しい参入要件を定め「タクシー事業免許」を規定した道路運送法の趣旨にそむく。

#3 雇用契約に限らずに検討 公共交通従事者のワーキングプア化
〇日本のハイヤー・タクシーは、乗務員との雇用関係を前提として、運行管理や安全・接客に関する教育を実施してきた。
〇乗務員は、雇用関係にあることで最低賃金や割増賃金の適用、雇用保険や健康保険・厚生年金への加入、労働時間の制限の適用といった労働関係法令の適用を受ける。
〇公共交通従事者に請負契約(偽装フリーランス、ギグワーカー)の働き方を、認めれば、安全に関する管理・教育が疎かになるのは明白。
〇労働者としての権利をはく奪されることで、ドライバーの収入が低下・不安定化し、長期的にはさらなる人材不足と質の低下をまねくこととなる。
〇さらに不安定な収入と待遇で、長期的な人生設計が困難なギグワーカーへ、正規雇用を置き換えていけば、将来的に社会全体への悪影響をもたらすこともすべきだ。
〇海外においてもライドシェアのドライバーは、経費を自腹負担した上で、プラットフォーマーに50%もの手数料を搾取されるなど、ワーキングプア化が深刻な問題となっている。

#4 交通空白地に夜間など時間帯の概念 深夜に移動できない地域が「交通空白地」なのか
〇「交通空白地に夜間など時間帯の概念」を取り込むことは、実質的に全国ほぼすべての地域を交通空白地とみなすに等しい。
〇深夜時間帯においては、そもそも鉄道・バスは元々運行しておらず、公共交通において唯一の選択肢がタクシーであるが、大都市部ですら移動需要の少ない深夜に完全な供給の安定を図ることは難しい。
〇時間帯の概念を導入すれば交通空白地という定義自体が意味を失う。
〇深夜時間帯の稼働維持には、割増賃金の支給、運行管理者やオペレーターの24時間体制等の経費が必要であり、交通空白地を生まないよう、公共交通としてのタクシーが深夜の供給力を提供できるよう公助を行うことが先決ではないか。

#5 ダイナミックプライシングの導入 ダイナミックプライシングは成立しない
〇ダイナミックプライシングは供給過剰の時に安く、供給不足の時に高く、価格を設定する制度である。
〇一方で、交通空白地有償運送はバス・タクシー等の交通機関が存在しないか、需要をカバーしきれない地域で行われる制度であり、供給過剰のケースでは交通空白地有償運送をそもそも実施する必要がない。
〇しかるに原理的に供給不足の状態で行われる制度であり、ダイナミックプライシングを導入すれば常に高い運賃を取ることになる。

#6 地域公共交通会議等における協議において地方自治体の長が判断 「地域の合意」の軽視は改正地域交通法と矛盾
〇2023年4月に成立し10月に施行されたばかりの「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律」には、「地域の関係者の連携と協働の促進」が最大のテーマとして明記されており、地域の関係者による協議や合意形成を軽視することは、同法とまったく矛盾している。
〇地域全体で交通を持続可能とするためには、関係者の協議と合意形成を欠かすことはできないはず。
〇一部の首長の独断と暴走により地域交通の衰退が加速することが強く懸念される。

#7 株式会社が参画 営利を目的とするなら、タクシー事業を行うべきだ
〇そもそも交通空白地有償運送は営利を目的とした輸送形態ではない。
〇仮に営利を目的として輸送サービスを提供したいのであれば、タクシー事業、バス事業に参入し輸送サービスを提供すれば済む話である。

#8 タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことを位置付ける法律制度について、2024 年6月に向けて議論 ライドシェアありきの議論は百害あって一利なし
〇これまでも諸外国の事例等を具体的に示しながらライドシェアの危険性や、消費者への不利益、既存の公共交通に与える悪影響等を証明されている。
〇その上で、今般来年6月に向けて、つまりわずか半年間で解禁の議論を行うという方針には、開いた口がふさがらない。
〇一部の政治家やライドシェアを行いたいプラットフォーム事業者などの方を向いていることはあっても、国民や公共交通に携わるエッセンシャルワーカーに向いていないことは断言できる。
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ウーバー社が政府会議に提出した資料の印象操作を指摘する声明 ー交通の安全と労働を考える市民会議ー

2023-11-12 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!
 規制改革推進会議第1回地域産業活性化ワーキンググループにおける、Uber Japan社提出資料について、交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える― は、「表記資料を精査したところ、重大な印象操作が行なわれているので、注意喚起させていただきます。」として声明を公表した。⇒https://www.forumtsl.org/_files/ugd/000bb8_9c2d09f336fa492f8babece8044c86bc.pdf
このブログでも、その内容を共有しておく。

「規制改革推進会議第1 回地域産業活性化ワーキンググループにおける、UberJapan社提出資料について」

2023年11月10日
交通の安全と労働を考える市民会議

 ウーバージャパン社が11 月6日に開かれた規制改革推進会議第1回地域産業活性化ワーキング・グループに提出した資料である「諸外国におけるライドシェア法制と安全確保への取り組み」(以下、提出資料)を精査したところ、p17の「タクシーとライドシェアの利用者によるサービス評価比較(豪州シドニー、2019年)」に、重大な印象操作が行なわれているので、注意喚起させていただきます。
ウーバージャパン社の提出資料を見る限りでは、「利便性」、「接客サービス」など5つの項目で、タクシーよりもライドシェアの方が利用者から高い評価を得ています。タクシーの方が高い評価を得たのは、「地理に関する知識」と「運転技術」の2項目でした。


 しかし、同社が出典元とするPoint to Point Transport Independent Review 2020(Transport for NSW の発行)のp27を見ると、次のような異なるグラフが出てきます。


 まず、このTransport for NSW のグラフには、3つ目の業種として、タクシー、ライドシェアに加えて、リムジン・ハイヤー(Limo/Other Hire Vehicle Vehicle)があり、とりわけサービスの質(Quality Dimensions Dimensions)で、一番高い評価をすべての項目で得ています。全項目数も、こちらでは12項目あります。

 驚くべきは、Transport for NSWのグラフには安全性(safetysafety)という項目があり、ここでは、タクシー=31%、ライドシェア=12%、リムジン=41%という結果となっていますが、この項目はウーバージャパン社の提出資料では削除されているのです。また、そのように一部の情報を出典元から割愛したという注釈もありません。

 安全問題は、ライドシェアについて議論する上で欠くことのできない重大案件です。それは、ウーバージャパン社も十分承知していることであり、提出資料でも「サービス提供国の多くでは『安全性』が普及要因の一つ(p7)」などと強調しています。

 自社に不利な印象を与える数値のみを、意図的に隠ぺいした資料には客観的信頼性が全くなく、いやしくも政府の公認会議の資料として提出することは、言語道断です。果たして、このような情報操作はこのグラフのみに留まるものなのでしょうか。提出資料の全域にわたって、その信ぴょう性が問われても、仕方ありません。

 提出資料にはこの他にも、印象操作と思われても仕方ない情報があります。たとえばp1では、「33カ国でタクシーの配車事業を展開している」と主張していますが、その具体的な内容を記載せず、マップの色塗りという手法を取っているのです。マスコミ情報では米国の場合、2022年にニューヨーク市でこうしたサービスの提携を発表し、最近カリフォルニア州へと広まった程度に過ぎないと報道されています。

 残念ながら、21世紀の民主国家・日本では、ウソにウソを重ねても真実にはなりません。こうした体質の企業に旅客運送の責任を負わせることには、これまでも多くの懸念がありましたが、ウーバージャパン社は改めてその信頼性を自ら失墜させているのです。

 以上の点を鑑み、ウーバージャパン社に提出資料の全面撤回を、地域産業活性化ワーキング・グループにはこの提出資料の不採用を求めます。

交通の安全と労働を考える市民会議 事務局
Tel: 03-3341-3133
Fax: 03-3355-0445
Email: info@forumtsl.org
HP https://www.forumtsl.org/https://www.forumtsl.org/
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「ライドシェアの危険性を議連で共有」~タクシー政策議員連盟~

2023-11-02 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 10月27日、超党派の国会議員で組織する「タクシー政策議員連盟」は役員会と緊急総会を開き、国会議員101人(秘書を含む)、ハイタクフォーラム(私鉄ハイタク協議会・全自交労連・交通労連)や全国ハイヤー・タクシー連合会(以下、全タク連)など関係者23人、報道関係者も参加した。  総会は、森屋隆事務局長(私鉄総連組織内国会議員)の司会で始まり、新役員と新加入議員の紹介と承認を行ったのち、辻󠄀元清美議連会長(私鉄総連準組織内国会議員)が挨拶。
 辻󠄀元議連会長は、「ライドシェアの問題が出てきた。議論に臨むためにも各立場の皆さんからヒアリングし、考えを聞かせてもらいたい。思い起こせば、小泉総理の行政改革で、タクシーの規制緩和で、街にタクシーがあふれドライバーが食べていけない状況に加えて、ダンピング競争があり、業界が大混乱し、働く者にしわ寄せがいった。またもや、タクシー業界を政治が翻弄している。この議連は超党派であることから、各党での議論も始まると思う。しっかりと臨んでいただきたい。」などとあいさつ。その後、「ライドシェアをめぐる対応について」についてヒアリングを行った。


 ヒアリングでは、専門家の立場から浦田誠国際運輸労連政策部長が、プラット・フォーム事業者が運営するライドシェアについて報道などが、海外でのライドシェアやアプリによるタクシー配車、法で認められた自家用有償旅客運送などと混同している点を指摘。「ライドシェアがないのは日本だけ、というのは、解禁を求める人の誤った主張だが、OECD諸国でライドシェアが認められているのは、全体の2割程度に過ぎない」との事実を指摘。「解禁を唱える人たちは、ポストコロナでタクシーが不足しているからライドシェアを導入すればよいと主張しているが、ライドシェアで解決した国はない」「ライドシェアを過疎地に入れれば良いという主張もあるが、一知半解(物事に対する理解度が中途半端)のまま、十分な検証をせず、世論をミスリードすることは許されない」と強調した。また、「ライドシェアには相互評価制度があるため、悪い運転者は淘汰されていくという主張がある。しかし事件が起きた後のことであり、被害者がいる。米国では、34件の連続レイプ事件で逮捕されたライドシェア運転者がいた。本当に相互評価制度は機能しているのか」「仮に、ライドシェアが全て優良な運転者になったとしても、それだけでは偽運転者の強盗やレイプなどの犯罪はなくならない。ライドシェアは一般車両を使うため、見分けがつかない。米国では事件が多発し、ロサンゼルスの日本領事館は、邦人に注意喚起をしている。危険と分かっていても使ってしまう人が事件や事故に巻き込まれた場合、自己責任なのか。これでは軽井沢スキーバス事故の教訓が活かされない」と、ライドシェアが許されている国での危険性も説明した。
 さらに「導入した米国の各都市では、交通渋滞の悪化、公共交通の利用者離れなど、社会生活に不便・不都合が起きている。ライドシェアは、呼べばすぐに来るという声もあるが、要するに不公平競争が前提のサービス。車椅子に乗った人を乗車拒否する事例が多く、裁判にもなっている」「運賃は安いも過去の話。これまで赤字覚悟でタクシーより低い運賃を設定し、事業を進めてきたが、ニューヨーク市では、ここ数年の間に5割も運賃が上がっており、タクシーとあまり変わらない」「労働の観点ではライドシェアの偽装請負をめぐる裁判でプラット・フォーム事業者が負け続けている。7つの最高裁判決では全て敗訴し、下級審では、100件以上の事件が欧州で審理中である。最低賃金に満たない人が、ニューヨークでは2016年に85%だった。米国の場合、ライドシェア運転者は平均で18カ月ぐらいしか続かないという統計も出ている。一部の人たちが便利と感じているライドシェアは、フードデリバリーにも共通するが、不安定な事業であり、持続可能性がない。日本では橋本徹氏が、『ライドシェア導入はリトマス試験』と言っているが言語道断。そうしたやり方では、日本はシステムエラーを起こす」などと述べた。

 続いて、舟本浩国土交通省物流・自動車局官房審議官が「公共交通の現場は、コロナ禍により運転者が不足している。都市部でも地域や時間帯によって、インバウンド需要の急回復により、タクシーの需要に対して供給が追い付かない状況」と現状を述べ、「まずはタクシー運転者の増加が急務。観光立国推進閣僚会議で、タクシー供給力の徹底的な回復に向けた施策を至急、進めていきたい。また、どうやって地方部の足を確保していくのかも検討していきたい。その際は、安全性の確保を大前提として進めていきたい」と言及。森哲也旅客課長が「ライドシェアをめぐる動向についての国交省の見解や方針」「自家用有償旅客運送制度の概要」について説明した。
 内閣官房からは、齋藤喬内閣官房デジタル行財政改革会議事務局参事官からデジタル行財政改革についての説明を受けた。事業者の立場からは川鍋一朗全タク連会長が「ライドシェアの議論よりも先に、タクシーの規制緩和を徹底的にやってもらいたい。そうすれば、タクシー不足の解決ができる」「二種免許取得期間の短縮と多言語対応、地理試験の見直しなどを求める」「利用者の安全・安心のため、タクシーには法的な義務が課せられている。毎日、出庫時、入庫時に、なりすまし防止のために顔写真、アルコール、健康状態のチェックに加え、車の状態を点検している。さらに3カ月ごとの定期点検、1年ごとに車検をし、これが全てコストになっている。タクシー事業者は法的規制があるのに、無法なライドシェアで良いという議論は辞めてもらいたい。タクシーに頑張らせてもらいたい。」などと訴えた。


 働く者の立場からは溝上泰央ハイタクフォーラム代表幹事が「私たちが働くハイタク産業の現場では、2002年の規制緩和以降、稼働台数が大幅に増え、1時間流しても利用者を載せることができない時期もあった。労働組合はこの間、タクシー特措法や改正法を議員の皆さんにお願いし、どうすれば利用してもらえるかを考え、身を切る思いもしながら20年間が経過した。そこへ追い打ちをかけるように現れたコロナの脅威とも戦ってきた。しかし地方では、倒産・廃業が止まらず、高齢化と人員不足によって、国民の移動の権利さえ奪いかねない現状もある。タクシーが足りないとの声は聞こえている。鉄道事故や異常気象など、タクシーだけで代替輸送問題を解決できないが、それをライドシェア導入で解決できるはずがなく、長年築き上げてきた安全・安心を崩壊させる引き金になると容易に想像できる。労働のあり方も問題。公共交通に従事する者として、国民の移動を担う使命と矜持を持ち、できることは何でもやる。法律を守る事業者とそこで働く労働者が報われる取り組み、ハイタク産業が持続可能な産業として、元気を取り戻せる政策をお願いしたい」などと訴えた。
 ヒアリングの後、辻󠄀元会長は政府に提出した質問主意書を説明し、参加者と意見交換を行った。
 意見交換では、道下大樹衆議院議員(北海道1区・議連事務局次長)が「タクシー事業者や働く者が元気になり、移動の足の不足を解消していくことが必要。国会で取り組む」、落合貴之衆議院議員(東京6区)からはライドシェアに関するロビー活動の状況について、渡辺周衆議院議員(比例東海)からは「EUの司法裁判所は、ウーバーが運輸サービス会社であり、タクシーと同様の規制を適用することを認めた。日本政府も当然その立場に立っているのか」と質問。これに対して、舟本審議官は「政府の立場としては、運行管理や車両整備に責任を負う主体をおかないままに自家用車のドライバーのみが責任を負う形態を前提としている限りは、安全確保優先の保護の観点から問題があるということは一貫している」と答えた。階猛衆議院議員(岩手1区)は「海外と、日本とはまったく実情が異なる。海外で進めているから良いという議論は、日本には当てはまらない」、辻󠄀元会長は「今の話と関連して、政府の答弁は変わっていないのか。そして、付帯決議の内容も堅持していくのか。4月に国土交通省自動車局長が特区という形でもライドシェアを認めることは考えていないという答弁もあるが、大阪をはじめ、一部地域などが特区の話を上げている。特区としても答弁を堅持していくのか。また、国交省の答弁の範囲で、内閣官房はこれから議論をしようとしているのか」と質問、舟本審議官は「国土交通省としては、スタンスは変わらない。特区も同様である。」、齋藤参事官も「国交省と同様のスタンスである。」と答えた。城井崇衆議院議員(福岡10区・議連幹事)は「実質の賃上げの確保が必要であるが、ライドシェアを入れた場合には、賃上げには繋がらず、むしろ賃下げ競争になる」、篠原孝衆議院議員(比例北陸信越)からは、「環境問題を考えれば、個人の車を走らせるのではなく、公共交通機関を大事にしていくべき。」との意見があった。
 住野敏彦交運労協議長は、「公共交通全体が崩壊するということと、そこで働いている人たちの生活を考えてほしい。その議論無くして、便利だから良いとか、規制緩和とかではない。私たちは怒りを持っている。私たちは本当にこの3年間苦しんで、仕事もできず、最低の生活をしてきた。ここにきて、便利だからライドシェアと言っている。日本の、安全・安心、そして信頼できる正確な交通というものを崩したらいけない。働いている人の立場、まじめに納税している人たちを大事にして、議論をしてもらいたい」などと強調した。


 閉会では、小宮山泰子議連幹事長(衆議院議員・比例北関東)が「イメージ先行で便利になると言っているが、日本で安心して乗れるという環境を崩しかねないということは、世界の事例を見れば分かる。イメージではなく、データに基づき、ライドシェアの現実を知っていただくために、私たちはこれからも声を上げていこう。」と締めくくった。


 総会ののちの記者会見では、辻元議連会長は「ライドシェアは労働という観点、バスや鉄道、総合的な日本の交通体系を考えてもいい点はなかなか見つからなかった。事実に基づき国民の安心安全を考えたい」と述べ、海外で発生しているドライバーによる犯罪にも懸念を示した。
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ライドシェア解禁論を撃つ! 「ライドシェア導入に待った! ~解禁論の問題を斬る~」交通の安全と労働を考える市民会議

2023-10-26 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!
 交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える―は、10月24日、衆議院第一議員会館で緊急院内集会「ライドシェア導入に待った!~解禁論の問題を斬る~」を開催し、100名以上が参加(オンライン参加者も多数)した。
集会は、市民会議事務局の山口広弁護士(東京共同法律事務所)の挨拶で開会し、「 ライドシェアの現状と問題」について浦田誠国際運輸労連政策部長、「ライドシェアの労働問題」について事務局の木下徹郎弁護士(日本労働弁護団常任幹事・東京共同法律事務所)、「ライドシェアは必須か?」について市民会議代表世話人である戸崎肇桜美林大学教授(交通政策・観光政策)がそれぞれ報告。
タクシー運転手の声、利用者の声としてスピーチをいただき、参加いただいた国会議員を紹介したのち、森屋隆参議院議員と辻元清美参議院議員からライドシェア問題について発言をいただいた。
質疑応答では会場からも意見を多数いただき、最後に代表世話人である内田聖子アジア太平洋資料センター事務局長が閉会挨拶をおこない終了した。
緊急院内集会の模様は「弁護士ドットコム ニュース」さんがわかりやすくまとめてくれていますのでご参照を⇒「ライドシェアは結局、儲かる都会に流れてくる」交通環境の悪化に懸念の声 都内で反対集会(2023年10月25日 14時47分配信)


 「ライドシェアの現状と問題」について報告した浦田誠さん(国際運輸労連政策部長)の当日配布資料を抜粋して、ここで共有しておく。

<1>ライドシェア解禁論を撃つ!
❌世界でライドシェアを導入していないのは日本だけだ

 ライドシェアは、欧州連合(EU)や韓国、台湾、トルコ、イスラエルなどですでに運行されておらず、OECD 諸国ではその約8 割となる。9 月23 日のNHK 報道も、「アメリカや中国など海外では、さまざまなスタイルで普及が進んでいる」と欧州には触れず。

❌タクシー不足だからライドシェアがあればいい
日本より先に「ポストコロナ」となった欧州などもタクシー不足を経験してきたが、その解決策としてライドシェアが(再)導入された国はあるのだろうか。米国ではコロナ禍で、ライドシェア運転手もタクシー運転手も激減した。

❌運賃はタクシーより安い
 赤字覚悟でタクシーより安い運賃を設定してきたため。略奪的価格設定(predatorypricing)と呼ばれる。同時に、需要と供給の変動で運賃は何倍にも跳ね上がる。要するに、運賃ダンピングと便乗値上げを繰り返すシステム。
 しかしまた、ここ数年はコロナ禍で激減した運転手を呼び戻すため、運賃を上げ続けている。タクシーより高い場合もあることは、フジTV のPRIME も報道。ニューヨーク市では2019 年2 月から2022 年4 月の間に5000 万回のライドシェア配車を調査したところ、運賃は平均で5 割も増していた。一方、運転手の収入は31%増に留まっていた。


❌呼べばすぐに来る
 それもそのはず。例えば、米ニューヨーク市ではタクシー台数が13500 台に規制されているが、ウーバー・リフト車両は8 万台。数の上でタクシーを圧倒する不公平なやり方はタクシー産業を崩壊の危機に追いやると同時に、交通渋滞を悪化させたり、公共交通の利用者離れを起こしている。ニューヨーク市では水揚げの激減を受け、ハイタク運転手8人がわずか1年の間に自殺した(2017~18 年)。
 また、ウーバー・リフトの登場により、同市のマンハッタン地区では60 丁目以南の走行速度が15%減。サンフランシスコでも、2010~2016 年の間に交通渋滞が60%悪化しており、その半分以上は、ライドシェア車両によるものとされる。ボストンでは約1000 人を調査した結果、42%が公共交通の代わりにウーバー・リフトを使うと回答(2018 年)。
 さらに、ライドシェアについて全米8都市で約4000 人を調査したところ、①4~6 割の乗車は、徒歩、自転車、公共交通でも出来た、②バス利用が6%・通勤電車利用が3%減った、③9%が自家用車を処分、④飲酒運転は減、⑤利用者はより裕福な層が主流 などの結果が出た(2017 年)。ケンタッキー大学の研究者が米22 都市で実施した調査によれば、ライドシェアが登場した都市では、鉄道・バスの利用者が年間それぞれ1.29%・1.7%減少する。数値は累積しており、サンフランシスコではこの8 年でバス利用者が12.7%減(2019 年)。
 ウーバー・リフトとも、ライドシェアの登場によって自動車による走行マイル数(VMT)が米国で増加していることを認めている。


❌評価制度で悪質な運転手は淘汰される
 それはあくまで問題が起きた後のこと。被害者を補償すれば済ませるものなのか。米サンディエゴでは、逮捕されるまでに34 件の婦女暴行事件を繰り返したウーバー運転手に懲役80 年の実刑判決が言い渡されている。性犯罪を名乗り出る被害者は2 割程度という統計にも留意すべき。また、仮に「悪い運転手」が淘汰されたとしても、新規の運転手が同じ性犯罪などを繰り返していることは、ウーバーの安全報告からも明らか。
 さらに、仮に悪質なライドシェア運転手がすべていなくなったとしても、ニセ運転手による、強盗、誘拐、性犯罪等の目的とした犯罪はやまないのではないか。一般車両を使うので、見分けがつきにくく、サウスカロライナ州などでは乗客が殺害される事件も起きている。在ロサンゼルス領事館や在ボストン領事館の「安全の手引き」では、ニセ運転手に注意するよう邦人に呼びかけている。

❌乗りたくない人は乗らなければいい
 ウーバーは「安全報告」を2回出しているが、2017/18 年版によれば、死亡者が出た事故が一年に50 回ほどあり、このうち歩行者や自転車運転者など第三者が犠牲となった事故が31%を占めた。2019/20 年版では、この集約にバイク運転者を加えて42%と発表している。
 死亡事故数は、2019 年=59 件、2020 年=42 件。以後の統計については、ウーバーが報告書を出していないので、不明。なお、ウーバーの統計は実車中の事故のみ。
 タクシーとの不公平競争を前提とした「便利」で「安い」ライドシェアが普及すれば、その危険性を分かっていても使う人は出てくるだろう。そうした人がライドシェア車で事故にあっても「自己責任」なのか?
 また、交通渋滞の悪化は、一般ドライバーなどにも不便・不都合をもたらす。

❌訪日観光客がタクシー不足で困っている
 この点については、詳細な報道はほとんどない。ネット上でも、訪日観光客の不満等は見受けられない。菅前首相らの発言を受けても、直後の英字報道はほとんど見られなかった。
 rideshare(またはridesharing)と Japan あるいは ridehail(またはridehailing)とJapanこうした英単語を使ってネット検索して、どのような結果が出てくるか?
 むしろ、海外からのタクシー利用者は、①ドアの開閉が自動、②運転手がチップをせびらない、③忘れ物が戻る ことなどにサービスの魅力を感じているのではないか。


❌ライドシェアは過疎地で導入すると良い
 ウーバーは自ら、「郊外や過疎地で事業を広めることが課題」だと認めている。成功例もほとんどない。郊外や過疎地の運転手は概ね、稼ぐために都市部へ遠征するのが実態。平日は、車中で寝泊まりし、週末に帰宅するような事例が後を絶たない。実際、人口密度の高いボストン、シカゴ、ロス、マイアミ、ニューヨーク、フィラデルフィア、サンフランシスコ、シアトル、ワシントンDC での配車が全体の7割を占めている(2019 年)。また、右の表のような調査結果もある(2019 年)。


❌副業としてやればいい
 「よかったのは最初だけ」という声が世界中から聞かれる。ライドシェアと共にフードデリバリーでも実態は共通している。各社は事業を開始すると、最初は運転手(配達員)を確保するため、優遇する。しかし、一方的に労働者を増やし過当競争を生み出す一方で、手数料を引き上げる。また、個人事業主扱いなので、最低賃金や年次有給休暇の保障などはない。燃料費や保険料は自己負担。こうして85%が最低賃金以下の収入しか確保できない(ニューヨーク・2018 年)状況が各国で起きているが、会社は法的には問われない。米ウーバー運転手の勤続は平均で18 カ月。なお、シンガポールでは、本業の仕事を早朝から午後5 時まで働いた後、ライドシェアの運転を午前1 時まで半年続けていた男性が運転中に心臓発作で死亡している(2017 年)。
 「自由な働き方」をアピールする各社だが、アルゴリズムを使った労務管理で、特定の時間に設定された配車(配達)回数をこなすとボーナスが出るインセンチブなどを使い、運転手(配達員)がゲーム感覚で仕事をするように仕向ける。同時に、アルゴリズムによる労務管理は容赦なく、前述の評価制度も参考にしながら、一方的に運転手(配達員)のアカウントを停止(=解雇)する。理由を求めても会社は回答しないことが多く、車や自宅を手放すものも少なからずいる。このため、アルゴリズムの情報公開を求める裁判が欧州で起きたり、アカウント停止(解雇)に公平な基準を設ける法律をつくる動きが米国で始まっている。

❌無人自動車が普及するまでの「つなぎ」で導入すればいい
 カリフォルニア州で最近、完全無人自動車による配車サービス(ロボタクシー)が始まったが、前途は多難。「つなぎ」などと言ってライドシェアを導入したら、定着してしまう<参考資料C-⑥>。

❌タクシー産業は既得権益集団だ
 カミカゼタクシーの時代から、利用者の安全確保や事業の安定に取り組んできたハイタク労使の努力を「既得権」と称するのはいかがなものか。
 むしろ、ライドシェアが急成長した米国では、規制強化や労働者保護の動きが州や市で強まると、各社はロビイストを動員して反対し、首長に「このまちから撤退する」と脅す。これこそ立派な既得権益集団の姿ではないのか。

❌ライドシェアの市場規模は10 兆円
 結論から先に言えば、ライドシェアやフードデリバリー事業は今、曲がり角に差しかかっている。ほぼ全ての企業が株式上場を果たしたが、株価は低迷しており、各社とも赤字体質から脱却できておらず、投資家は以前ほど寛大ではない。リフトでは最高経営責任者が交代し、事業の立て直しをめざしている。ウーバーが最近初めて黒字を出したのは、「運転手から取る手数料を大幅に引き上げたから」と、同社の経営分析を長年してきたHubert Holan 氏は指摘。実際、この黒字報告を受けて、株価は下落。持続可能なやり方でないと市場は冷ややかな目を向けた。同社はまだ、配当を出していない。
 だからこそ、こうしたビジネスモデルをこの期に及んでなぜ日本で広めたいのか問うべきだ。同時に、こうした世界的な傾向があるからこそ、日本から新たな商機を感じ取るものもいるのだろう。いずれにせよ、推進論者は、ライドシェアの導入に成功したら、次は教育、医療、自治体業務、公共交通などだと言っている。「雇用によらない働き方」がライドシェアの解禁を通じて広まる危険性もある。
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緊急院内集会 ライドシェア導入に待った! ~解禁論の問題を斬る~

2023-10-16 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

緊急院内集会 ライドシェア導入に待った! ~解禁論の問題を斬る~

日時:2023年10月24日(火)17:00~18:30
場所:衆議院第一議員会館 多目的ホール(ハイブリッド)
主催:交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える―Forum for Traffic Safety and Labour
申し込み⇒こちらをクリック
なお、現地参加の皆さんには、衆議院第一議員会館1階正面玄関にて、16時30分より入館証をお渡しします。

 前総理大臣の発言を契機に、タクシー乗務員の不足を理由とするライドシェア解禁論が浮上している。解禁論では、ライドシェアの必要性と利便性が強調される一方で、ライドシェア企業の採用するビジネスモデル、労働法や公正競争、担い手・利用者の安全性確保との関係での問題点の検討がなされていない。ライドシェアではタクシー不足は解消せず、かえって新たな社会問題を生み出す。ライドシェアの問題と危険について訴え、ライドシェア導入に反対すべく、集会を開催する。

発言者
●浦田誠(国際運輸労連政策部長)
●戸崎肇(桜美林大学教授)
●木下徹郎(日本労働弁護団常任幹事) ほか
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OECD加盟国の「ライドシェア禁止」状況(2023.09.21現在) OECD38か国中、30か国(78.9%)でライドシェアは禁止

2023-09-21 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 いわゆる先進国38か国中、30か国(78.9%)でライドシェアは禁止されている。(交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える―
これらの国でウーバーなどのアプリで配車される車両は自家用車ライドシェアではなく、ハイヤー(あるいはタクシー)などの許認可を受けた車両。
各国は、旅客運送事業制度に関する法令を定め、それらの法令に基づき、旅客運送事業者に対し、運行管理、資格試験、ライセンス等に関する規制を設け、法令、車両、労務健康、安全、労災その他に関する教育の実施を義務付けている。
ウーバーなどのアプリで配車される運送サービスは、すべてこれらの規制に従ったハイヤー、タクシーであり、ライドシェアではない。
EUにおける旅客運送事業・運転免許・教育制度については右を参照 ⇒ https://www.mlit.go.jp/common/001132675.pdf

禁止されている国
①日本 福岡の実証実験に国交省が即時停止命令(2015 年5月)
②イスラエル テルアビブ地裁の違法判決(2017 年11 月)
③オーストリア 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
④ベルギー 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
⑤デンマーク 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
⑥フランス 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
⑦ドイツ 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
⑧ギリシャ 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
⑨アイルランド 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
⑩イタリア 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
⑪ルクセンブルク 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
⑫オランダ 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
⑬ポルトガル 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
⑭スペイン 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
⑮スウェーデン 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
⑯フィンランド 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
⑰チェコ 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
⑱ハンガリー 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
⑲ポーランド 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
⑳スロバキア 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
㉑スロベニア 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
㉒エストニア 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
㉓ラトビア 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
㉔リトアニア 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)
㉕英国 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)2020年2月よりEU未加盟
㉖アイスランド 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)EU未加盟
㉗ノルウェー 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)EU未加盟
㉘スイス 欧州司法裁判所の判決(2017 年12 月)EU未加盟
㉙韓国 旅客自動車運輸事業法の改正(2019 年8月)
㉚トルコ 最高裁の違法判決(2023 年6月)

 したがって、ライドシェアが認められてるOECD加盟国は、㉛カナダ、㉜米国、㉝オーストラリア、㉞ニュージーランド、㉟メキシコ、㊱チリ、㊲コロンビア、㊳コスタリカの8か国だけ。

〇イスラエルではテルアビブ地裁の違法判決以降、タクシー会社と協業してきたウーバーだが、今年に入り同国を撤退。地場の配車アプリに競り負けたため。

〇欧州連合(EUEU)の最高裁にあたる欧州司法裁判所は2017年12月20日、「ウーバーは運輸業」と判決。「配車アプリを介して運転手と乗客をつなぐデジタルサービス」というウーバーの主張を退けた。原告は、バルセロナのタクシー運転手協会 Elite Taxi 。ウーバーはその3年前、アプリを提供する情報通信会社として同市に進出。タクシー営業ライセンスを申請せずに、一般ドライバーが自家用車で客を運ぶウーバーポップを始めた。同協会はこれを不公平競争だとして、バルセロナの商事裁判所に営業の差し止めを求めたが、ウーバーはタクシー業よりも規制の緩い電子商取引に関するEU 法令の適用を要求。このため裁判所は、欧州司法裁判所に判断を委ねていた。欧州司法裁判所の判決は控訴できず、欧州全域に適用される。今回の司法判断を受けたウーバーは、欧州でウーバーポップを断念。他社も含めて現在、主としてハイヤーサービスに専念している。

〇韓国で当局から事業の違法性が問われたウーバーは、トラビス・カラニックCEO(当時)が起訴されたり、厳しい罰金制裁を受けたため、進出から1年も経ずして2015年3月に同国から撤退。しかしその後、地場のカカオトークなどがライドシェア事業への進出を表明したため、タクシー労使による激しい抗議行動が展開され、旅客自動車運輸事業法の改正に至った。

〇トルコに9年前進出したウーバーは、税務登録をせずにライドシェアを広めたため、タクシー業界が「不公平競争」と強く反発。運転手協会などがイスタンブールの商業裁判所に違法事業の停止を求めた。一審は2019年10月、原告の訴えを全面的に認め同社のアプリ使用やホームページのアクセス権を差し止めた。このためウーバーは「タクシー配車に専念する」としてロビー活動を展開。控訴審は翌年末、ライドシェアを違法とした一審判決を支持する一方、差し止めを解除し、タクシー配車を認めていた。今回の最高裁判決で、ライドシェアの違法性が確定した。

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