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労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

5月10日 万博と日本版ライドシェア24時間解禁の先に何があるか?~大阪から公共交通の『未来』を考える

2025-05-29 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 「交通の安全と労働を考える市民会議~ライドシェア問題を考える~」は、5月10日、大阪市中央区のエルおおさかで「万博と日本版ライドシェア24時間解禁の先に何があるか?~大阪から公共交通の『未来』を考える」と題し、大阪万博を口実とした日本版ライドシェア(RS)の24時間運行をきっかけに維新の会が完全版のRSを実現しようとしている現状と問題点についてシンポジウムを開催した。
当日は、京阪神の労組幹部を中心に、一部タクシー事業者幹部も含めて会場をほぼ一杯にするとともにZoomによるリモート参加も含め多数が参加した。


 冒頭、「万博での24時間RS導入の経過」について私鉄関西ハイタク労連の大南昌彦委員長が報告。
大南委員長は、「大阪ではニューモ社が目立った動きを見せている」とし、万博RSの実施では「大阪府の動向を把握した動きがみられる」と指摘。
RS法案を進める日本維新の会への警戒を呼び掛け「予断を許さない」と警鐘を鳴らした。


 続いて日本城タクシーの坂本篤紀社長が「大阪におけるタクシーの現状(万博開催後の状況も含め)」をテーマに講演。
「吉村(洋文)大阪府知事は2年ぐらい前に突然2300両のタクシーが足りないと言ったが、そこから乗務員証の登録は毎月約100人増え、実質的には2400両増となった。2300両より100両オーバーしているのに、(吉村知事は)不足状態が解消されたとは言わない」として、「全体として大阪・関西万博の開催でどれだけタクシーの売上が上がったかというと、対前年で100%か下手すると99%かもしれない。万博が始まってから正直、ちょっと落ちている」と指摘するとともに、維新等RS推進派が求める「完全なRS」というのが曲者で、「普通は『完全な人の輸送』とは、(事故の際)お客様や通行人、乗務員のけがも補償するが、彼らが推進するRSは補償もしない、要は運転者の自己責任。監督官庁もなく、問題も公表しないようなものは、日本にはそぐわない。彼らの言う『完全』とは『完全に補償しない』こと。乗らない人が被害に遭い、轢かれた人が損をする。動機は簡単、自分たちが儲かったら良い、ただそれだけの話だ」と安全面の懸念を示し、当事者意識を持って一般にアピールしてもらいたいと述べ、維新府政のデタラメを痛烈に批判した。


 次に日本労働弁護団の木下徹郎・常任幹事が「24時間RS導入の法的問題点」、労働ジャーナリスト(前国際運輸労連政策部長)の浦田誠氏が「万博のその先 海外の情勢から」をテーマにそれぞれ報告した。⇒木下弁護士の発言要旨はこちら「「『ライドシェア』の法的問題」木下徹郎弁護士@大阪シンポ 「万博と日本版ライドシェア24時間解禁の先に何があるか?」~大阪から公共交通の「未来」を考える~
浦田氏は、RSドライバーの労働者性を認める判決が世界各国で相次いでいるとし、法整備を待たずになし崩しでRSを広めた海外の事例や、それを阻止した事例を具体的に紹介し「安全性の問題だけでなく、料金と台数の規制、ギグ労働(請負)の問題を強調していくべきだ」と訴えた。


 市長として子育て支援に取り組み、人口と出生率を引き上げた泉房穂・前明石市長が在任12 年間の公共交通との連携・支援について紹介。
まず駅前のたばこのポイ捨てをなくすために喫煙所を設け分煙化を図り、荒っぽい接客を改善すべく補助も出し乗務員研修を促したほか、「市民を応援するために高齢者にタクシー券を出すことで、タクシー業界も支援。補助金も出しマタニティータクシーも走らせた」と報告、待機児童問題を例えに交通問題を語り、「共通するのは量だけでなく質が大事ということ。質を担保するためには、保育士さんやドライバーさんの待遇改善こそ重要だ」「公共交通・移動は福祉だ。民間まかせだけでなく、公共が責任をもつべき分野」などと述べ、「安全だけでなく安心のためには、このような会議が重要」と語った。


 また辻元清美・参院議員が「RSを巡る政治情勢」について、国土交通委員会で、河野太郎に対して「アメリカの領事館で日本国民にライドシェアを乗るときには気を付けろという警鐘を鳴らしたときの外務大臣はあなただったよね」って追求した件など、国会での議論を紹介しつつ、「タクシーだけでなく、バスも含めた総合的な交通施策が地方には求められる」と、人口減少の進行する自治体の経営では、交通空白の解消に向けた一層の取り組みが必要との見方を示した。


 その後、木下氏が代表して質疑を行った。
辻元氏は、泉氏とは互いに古くからの友人だったと明かし、迫る参議院選に向けて、国政への挑戦を表明している泉氏が「政党がしっかり安全・安心を大事にする姿を示すべき」と述べたことに対し、辻元氏は「泉さんも国会に来たら、タッグを組んで一緒にRSを止めようね」と笑顔でエールを送った。
さらに辻元氏は「国土交通大臣」になると宣言した。


 参加してくれていた野々上愛大阪府議会議員に大阪の議会の状況について発言を求めたところ、野々上氏は「私、少し合点がいったところがあった。維新が国会でライドシェア法案を出したが、実は大阪の維新は『国会の維新なにやってくれんねん』って怒ってて、万博のどさくさ、違法状態で既成事実を作っていこうとしているのに、国の維新はなんで寝た子を起こしてくれるなという生々しい議論が、実は維新の中で聞こえてきてて、とても平仄が合いました。大阪府議会は、維新が55人いて、私たち立憲が2人しかいないというような状況で、もうほんまに苦労して議論してますけど、何よりも現場の皆さんの声が、私たちの力にもなりますので、今日を契機にさらに連携をしてきます。」と、リアルな報告があった。
最後に、山口広弁護士が「市民の利便性より先に大切なのは市民の安全。すなわち『社会の安全』を守るためこれからも頑張りましょう」と締めた。

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シンポ 「万博と日本版ライドシェア24時間解禁の先に何があるか?」 ~大阪から公共交通の「未来」を考える~

2025-05-10 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 交通の安全と労働について考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える―(https://www.forumtsl.org/)は、5月10日(土)14時よりシンポジウム「万博と日本版ライドシェア24時間解禁の先に何があるか?」 ~大阪から公共交通の『未来』を考える~」を開催する。
会場は、エルおおさか(大阪府立労働センター)大会議室 (大阪市中央区北浜東3−14) ⇒ アクセスhttps://www.l-osaka.or.jp/access/
会場とzoomウェビナーによるハイブリッド開催だ。
オンラインによる視聴は前日正午までに申し込みが必要⇒申し込みはここをクリック
当日、会場参加の場合は事前申し込みしていただけたら助かるものの、申し込みなしでも会場定員に達していなければ参加大歓迎❕

 4月13日から開催の大阪万博に先立ち、大阪府は府域全域で日本版ライドシェアを1日24時間・週7日解禁した。
日本版ライドシェアは道路運送法上禁止されている白タク行為を「公共の福祉のためやむを得ない」ものとして、タクシーが不足する地域・時期・時間帯に限り認めるものとして2024年4月以降一部地域で許可された。
運用開始後、日本版ライドシェアが認められる場面が拡大され、万博に先立ち24時間解禁となったが、本来違法な白タク行為のこのような野放図な拡大を許していいのか。
日本版ライドシェアの拡大は公共交通、交通の安全、運転手の働き方にどう影響していくのか。
労働者・弁護士・政治家・事業者の発言を通じ多角的に検討する。


発言者(予定)
●辻元清美(参議院議員)
●泉房穂(元明石市長)
●坂本篤紀(日本城タクシー(株)代表)
●浦田誠(ライドシェアジャーナリスト)
●木下徹郎(日本労働弁護団常任幹事)
ほか
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【25春闘】3月7日、ハイタクフォーラムとタクシー政策議員連盟との意見交換

2025-03-13 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 私鉄総連ハイタク協議会、全自交労連および交通労連ハイタク部会で組織するハイタクフォーラム(溝上泰央・代表幹事)は7日の総決起集会後、構成組織代表らは千代田区永田町の衆院第二議員会館で野党系のタクシー政策議員連盟(会長=辻元清美・参院議員)メンバーらと意見交換を行った。
タク議連からは辻󠄀元清美会長、逢坂誠二副会長、福島伸亨副会長、西村智奈美副会長、小宮山泰子幹事長、森山浩行幹事長代行、森屋隆事務局長、道下大樹事務局次長、田村まみ事務局次長の計9人。
ハイタクフォーラムからは溝上泰央代表幹事、小川敬二幹事のほか29人が参加し、私鉄総連ハイタク協議会からは志摩卓哉議長、石橋清志副議長、大南昌彦副議長、久松勇治事務局長、日下和彦私鉄関東ハイタク協事務局長、三村雅彦私鉄関西ハイタク労連副委員長、岡本雅信私鉄九州ハイタク労連委員長、塩塚大雄私鉄九州ハイタク労連副委員長が参加した。
司会進行は、森屋隆タク議連事務局長/参議院議員が務めた。

 溝上代表幹事は、「本日の総決起集会で、タクシー運転手の待遇を向上させ、地域交通と雇用を守り抜く腹合わせをしてきた。現場の声を伝えるので、ハイタクで完結する移動を創っていくため、お力をお貸しいただきたい」などとあいさつした。
タク議連は、逢坂誠二副会長/衆議院議員が「ベトナムのライドシェアを利用し過剰な請求をされた。日本のハイタク運転手が守っている安全・安心が非常に大事だと痛感した」「ライドシェアは駄目というと、既得権益を守っていると言う人がいるが違う。守っているのは、国民の安全・安心であり、交通の安全を守ることが目的。変な声に惑わされず、頑張っていかなければいけない」「この30年、目先の利便性、合理性を追求した結果、何を守るべきかを忘れてしまった。特に、働く皆さんの待遇を向上させないと社会全体が良くなっていかない。濃密な意見交換をしていきたい」などとあいさつした。


 続いて全自交労連、交通労連がハイタク情勢(現場・組合員の声)報告を行い、私鉄総連からは大南私鉄関西ハイタク労連委員長が国交省要請時と同様、一連の日本版ライドシェア緩和の実態を報告するとともに、ライドシェアの全面解禁に向けた動きとしての危機感を訴え、「この流れを止めるのにお力をお貸しいただきたい」などと伝えた。

 意見交換では、福島副会長から「日本版ライドシェアの評価と全国的な傾向について」、道下大樹事務局次長からは「危機的な地域のタクシー事業に対し国家予算投入の具体策」が問われた。久松勇治私鉄ハイタク協事務局長は「自治体が独自で行っている交通弱者に対する運賃への補助制度を、国が制度として責任を持ってやっていただけたら、私たちも安心して運賃改定を求めていける」などと応じた。
道下事務局次長からは、規制がないライドシェアより、タクシー事業者に課されている規制縮減が先、との意見があった。
西村智奈美副会長からは、地方での24時間運行廃止の状況と泊まり勤務の労働時間扱い、小宮山泰子幹事長からは「大阪の日本版ライドシェアの緩和は供給に疑問があり、タクシーが副業ならできない。偽装の疑いがあるため調べる必要がある。運転手はプロフェッショナルであるべき」、森山浩行幹事長代行からは、3月14日の衆議院国土交通委員会での質疑に向けた協力が求められた。
また森屋事務局長は、「これからどういう活動ができるか」を提起した。
久松私鉄ハイタク協事務局長は「大衆運動は交運労協の街頭宣伝活動、ライドシェアを考える市民会議が進めている。喫緊の課題は、①昨年3月通達に基づく日本版ライドシェアが事務連絡レベルで緩和されていること、②通達の有効期間は2026年3月31日まで。道路運送法第78条の3『公共の福祉を確保するため、やむを得ない』が根拠の日本版ライドシェアは、移動の足が確保でき、やむを得ない事情が消滅した場合、判断をどうするのか、どうやって辞めるのかが明確になってないこと、③2026年4月1日以降の通達の扱いはどうするのかを明確にさせていくため、タク議連と協働したい」などと応えた。


 さらに森屋事務局長は、「日本版ライドシェア運転者は、二種免許を持っていないから、タクシーより安くてよいのでは」という利用者から寄せられた疑問について尋ねた。
久松私鉄ハイタク協事務局長は、「運賃が安いとなれば、安い方がよいとなってしまう。運賃の高い、安いでは、この問題の解決にならない」などと応えた。
また塩塚大雄私鉄九州ハイタク労連副委員長は、「福岡では二種免許を取得するまでの間、事業者側がライドシェアを活用しだしている」などと報告。
あわせて二種免許取得補助金は労働者への支援を要望し、労使協議では限界がある歩合給制度について、「国が見直しをリードいただけたら助かる」などと伝えた。
辻󠄀元会長は、「現場の声をうかがい、国会のあらゆる場面で力を尽くした連携プレーでいきたい」とし、①コロナ禍でのゼロゼロ融資返済状況と経営への影響の把握、②47都道府県における日本版ライドシェアの運行状況調査と公表を、国交省と折衝するよう森屋事務局長へ注文した。
また、「本当にタクシーが足りないのか、実態をふまえたうえで日本版ライドシェアの緩和をしたのか、大阪の実態を分かって緩和をしたのか、衆参国土交通委員会で確認してほしい」「ライドシェア問題は、与野党関係なく反対している国会議員と連携してきた。来る参議院選挙で力を伸ばすために、ご協力をお願いしたい」などあいさつした。
最後に小宮山幹事長は、「私は、あまり大阪に行っていないが、報告をうかがい、やばいと思った」「地域公共交通の安全と安心が破壊されないように、そして労働者の待遇と雇用の安定を守るために、しっかりと戦っていきたい。私は、二種免許を持った運転者のタクシーを利用したい」などとまとめた。


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【25春闘】3月7日 公共交通を守り雇用破壊を許さない 「ライドシェア新法」絶対阻止!ハイタクフォーラム2025総決起集会

2025-03-12 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 私鉄総連ハイタク協議会、全自交労連および交通労連ハイタク部会で組織するハイタクフォーラム(代表幹事=溝上泰央・全自交労連委員長)は7日、千代田区の全電通会館に全国から約300人の組合員らを集めて「公共交通を守り雇用破壊を許さない 『ライドシェア新法』絶対阻止ハイタクフォーラム2025総決起集会」を開き、「ライドシェア問題にピリオドを打つ。公共交通で働く者の使命と矜持を持ち、全力でライドシェア新法阻止のために闘う」との集会宣言を採択した。
溝上氏は「われわれは規制緩和の長い闘いで、安売りが安全を破壊することを知っている。すべての地域で適正な人件費を賄える運賃を実現するため、声を大にして事業者、行政にぶつけていこう」などと呼びかけた。


 溝上泰央ハイタクフォーラム代表幹事/全自交労連委員長は、「第50回衆議院選挙では、自公の過半数割れを実現できた。第27回参議院選挙は、ハイタクのために働いてくれる国会議員を当選させなければならない」「最大の問題は、ライドシェア合法化を進める勢力の動向。なかでも看過できないのは、イベント開催拡大枠を使い、4月に行われる大阪万博前段で2月13日からライドシェアが24時間稼働で走っていること。タクシー不足はなく、『なにわモデル』で対応する大阪タクシー業界の努力に水を差すもの」「即時撤回要請に対する昨日の国交省回答は、支離滅裂で回答になっていなかった。自分たちの手でタクシー業界・職場を守っていかなければならないことを痛感した」「当初の目的を逸脱した日本版ライドシェア制度には反対の立場で運動を進めなければならない」「ハイタク労働者は、社会に欠かせないエッセンシャルワーカーであることを、広く認知していただくことが必要。安心して働ける業界、賃金、労働条件がなければ人は残らないし、入って来ないことを事業者に理解させ、国や自治体に支えを求める運動を進めなくてはならない」「春闘は待遇を改善していくための重要な場であり、あきらめずに交渉を続け、どんな形でも賃金・労働条件向上を勝ち取り、一丸となれば必ず道は拓ける」などとあいさつした。

 
 連帯あいさつは、清水秀行連合事務局長、慶島譲治交運労協事務局長、辻󠄀元清美立憲民主党代表代行/タク議連会長、古川元久国民民主党代表代行、坂本克己全国ハイヤー・タクシー連合会最高顧問が駆け付けた。
集会では、森屋隆タク議連事務局長/参議院議員が「ライドシェア新法阻止に向けた取り組み報告」で「政労使の力でライドシェア問題に決着をつける年にしなければならない」と戦う決意を示し、小島哲交運労協事務局次長から「タクシーとライドシェアに関する1000名意識調査報告」を受けた。
集会アピールは、私鉄関東ハイタク協議会日の丸自動車労組の齋藤貴子書記長が読み上げ、全体の拍手でこれを採択した。
プラカード掲示後、小川交通労連ハイタク部会長が閉会あいさつを行い、団結がんばろうで締めくくった。



集会アピール(案)

 本日、ハイタクフォーラムは、全国で働くハイヤー・タクシー労働者の固い決意を示すため「公共交通を守り雇用破壊を許さない『ライドシェア新法』絶対阻止!3.7総決起集会」を開催した。

 思い返せば昨年の今頃、ライドシェア完全解禁をめぐる情勢はまさに切迫し、ライドシェア新法成立の危機は眼前に迫っていた。私たちハイタク労働者の闘争の成果により、一旦はこの攻勢を退けることに成功したが、決して楽観することはできない。

 自らの利益のみを追求するプラットフォーマーらは、今この瞬間もライドシェア新法成立に向けた企みを続けている。その証拠に、日本維新の会は、単独でも「ライドシェア新法」を提出する意向を明らかにしている。

 また、利用者の移動困難を解消するため、やむなく容認した「日本版ライドシェア」についても、大阪では万博開催を口実に、24時間・府内全域での運行が認められ、そこに巨大資本が参入して大規模なライドシェアドライバー募集を行うなど、本来の趣旨を逸脱した運用が始まっている。これが実質的なライドシェアの完全解禁につながることも強く危惧される。

 しかし、私たちは決して負けない。この闘いに負けてはならない。

 地域公共交通の安全と安心が破壊され、労働者の待遇と雇用の安定が破壊される。ライドシェアの完全解禁がもたらすこのような絶望的な未来を、私たちは自らの誇りにかけて阻止しなければならない。

 決して忘れてはならないのは私たちが孤独ではないことだ。連合や交運労協をはじめとする働く仲間、労働者の目線に立つ学識者や弁護士、良識ある事業者、この国の未来を真剣に考える議員と行政担当者が、私たちの横に立ち、共に闘ってくれた。そして何よりも安全で安心、持続可能な移動手段を求める利用者の思いを背に受け、私たちは今後も闘っていく。

 ハイタク労働者の待遇を向上させ、地域公共交通と雇用を守り抜き、ライドシェアなど不要な状況を作りだそう。今こそ長年にわたったライドシェア問題にピリオドを打つ時だ。私たちは公共交通で働く者の使命と矜持を胸に、全力でライドシェア新法絶対阻止のために闘うことを決議する。
2025年3月7日
公共交通を守り雇用破壊を許さない
『ライドシェア新法』絶対阻止!3.7総決起集会

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【25春闘】3月5日=私鉄総連中央総決起集会、6日=ハイタクフォーラム厚生労働省・国土交通省要請

2025-03-11 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 私鉄総連は2月27日、第2回中央闘争委員会を開き、ヤマ場の日程・戦術など25春闘推進方針を決定した。翌日の2月28日には、第63回私鉄バスのうたごえ・私鉄総連青年女性総決起集会を開き、全国から912二人が結集、職場から春闘態勢を強化することを確認した。3月5日には、私鉄総連中央総決起集会を開き、1828人が結集、25春闘決戦に向け意思統一をはかった。


 私鉄総連ハイタク協議会、全自交労連および交通労連ハイタク部会で組織するハイタクフォーラムは、タクシー政策議員連盟(以下:タク議連)とともに3月6日に「厚生労働省・国土交通省への要請行動(全体95人/私鉄25人)」を行った。
要請には、ハイタクフォーラム95人、立憲民主党、国民民主党、社会民主党から衆参38人の国会議員と29人の秘書が出席した。

 溝上泰央ハイタクフォーラム代表幹事のあいさつ後、タク議連を代表し逢坂誠二副会長は、「ハイタクを取り巻く状況は本当に厳しい。運転者の処遇、環境を向上させていくことは必須の課題」「小泉内閣の時の規制緩和、需給調整廃止以降、いろいろな波に翻弄されてきたが、厚労省にはこの厳しい状況を受け止めて、要望を聞き、取り組めるものは速やかに対応いただきたい」などと要望した。
これに対し栗原労働基準局労働安全衛生部診査医は、「現場の声、ご意見は、今後の行政政策の形成のなかで生かして参りたい」などと応えた。
賃金・労働条件などに関する厚労省要請は、ハイタク運転者の労働問題に係る重点要請として、①感染症対策について、②累進歩合制の完全排除(禁止)について、③給与体系・労働条件・運転者負担について、④地域別最低賃金の順守と労働時間管理の適正化について―の4項目(11要請)。について回答を示した。

 意見交換では、新中直樹私鉄関西ハイタク労連大阪阪神タクシー労組委員長が「深夜早朝割増運賃の廃止時に係る、恒久認可事業者への重点的な立ち入り調査」を厚労省に求めた。
厚労省は、「国交省と連携した監督監査は引き続き実施」「歩合給制度を採用している場合も、深夜割増時間に対する賃金支払いがない、労働基準関係法令違反を認めた場合も、引き続き是正を指導していく」などと応えた。


 国土交通省要請には、ハイタクフォーラム95人、立憲民主党、国民民主党から衆参23人の国会議員と14人の秘書が出席した。
溝上泰央ハイタクフォーラム代表幹事のあいさつ後、タク議連を代表し森屋隆事務局長は、「昨年は国会、予算委員会でも、『ライドシェア新法』がどうなるのか、6月からスタートするのかというような状況だった。しかし、国交省やハイタクフォーラムで安全・安心が一番という訴えをしていただき、今は日本版ライドシェアを検証していこうとなっている」「1年前の能登半島地震では、移動ができないなか、『助かったのはタクシーがあったから』の言葉をいただいた。タクシーは一番身近な公共交通であり、ありがたいと思った」「あと1カ月で大阪万博も始まる。『なにわモデル』で取り組んでいただき、日本版ライドシェアは、既存タクシーを補完する意味で取り組むことを確認しながら、今日の要請行動の成果を求めたい」などとあいさつした。
続いて、小林審議官は、「公共交通としてタクシー事業は欠かせない。地域の足をどう守っていくか、運転者不足は深刻な問題で、これに対応していくためには運転者の労働条件を改善していくことが大きな柱。運賃改定のルールを緩和し、労働条件改善に繋がっていければと思う」「ライドシェアは全面解禁みたいなことではなく、タクシー事業者を中心とした形で地域の足を守っていく」「夏にかけて骨太の議論が出てくると思うが、地域の足を確保し、タクシーで足りているとの議論になれば、ライドシェア全面解禁の議論は自然となくなってくる、と思うので連携していきたい」「皆さんとコミュニケーションを取りながら、課題を解決していきたい」などとあいさつした。

 国土交通省へは、「タクシー関連法並びにその附帯決議の厳格運用および白タク(ライドシェア)合法化反対の要請」とし、ライドシェアについては法制化を求める意見に対する見解、日本版ライドシェア(NRS)の終了基準を直ちに定め明示を、さらに大阪・関西万博で24時間運行を認めたNRSは道路運送法78条3号の「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において」の規定を著しく逸脱しているなどとし、速やかな運用の是正を―などと求めた。
さらに▽運転者不足対策▽タクシー事業における適正化について▽タクシーの活性化について▽ハイヤー事業の適正化・活性化について▽タクシー運賃について―の合計7項目(42項目)を要請し、それに対する回答が示された。


 意見交換では、①大南昌彦私鉄関西ハイタク労連委員長が「❶日本版ライドシェアの緩和(全曜日、24時間、府下全域運行)が通達ではなく事務連絡で出されたこと、❷イベント開催時における日本版ライドシェアの使用可能時間の解釈が大きく変わった経緯、❸運行時間拡大が必要という根拠を事務連絡のとおりに求めなかった理由(複数日にわたり開催されるイベント等は、原則として当該期間内において一時的な需要の増加が見込まれる時間帯に限り、使用可能としている)、❹限りなくライドシェアの全面解禁に向かっており、これ以上の緩和は安易に認めないでほしい、❺国交省のライドシェアに対する見解は『変わってない』ということの明言、❻日本版ライドシェアの運用は、本省か地方運輸局かでなく1箇所で決めてほしい」などと質した。
これに対し国交省は、❶事務連絡は、通達による制度の解釈ということで出している、❷❸24時間の需要が見込まれるということで5月31日まで許可を出した。6月以降は、5月31日までの需給状況のデータを見て改めて決める、❹タクシーの補完的な位置づけとして日本版ライドシェア、公共ライドシェアを進めていく。あくまでタクシー不足を受けたところが目的のものなので、それを無視して、安易に拡大するといったことは全く考えていない、❺ライドシェア制度に関しての見解は、骨太の方針に基づいて進めている。需給状況の検証と評価をしていく、❻国で決めるところは国で決め、柔軟に対応するものは実情に詳しい地方運輸局で、すみ分けて対応している。データを出してもらい、時間帯とどれくらい不足しているのか協議をして決めている状況、などと応えた。
また、②内山篤私鉄関東ハイタク協副議長は、準特定地域におけるタクシー車輛の未稼働暫定活用について、「❶暫定増車の期限を設けていること、❷稼働率の違いによる格差と経営不振、❸稼働枠が広がることによる日車実車㌔が増え、準特定地域から外れた場合、適正化がどうなるのか」などと質した。
さらに、③長山侑正日の丸交通東京労組組合員は、「SNSなどでは、自動車免許があれば誰でも日本版ライドシェアドライバーになれる、との宣伝がされている。二種免許を持ったプロドライバーの位置づけを、どう考えているか」などと国交省の姿勢を質した。
要請行動終了に当たって、近藤昭一タク議連顧問/衆議院議員は、「ハイタクは、世界に誇る安全・安心の公共交通網として、大きな役割を果たしている。公共交通政策は、現場からの声を活かして、本当に良い安全・安心の公共交通を一緒に守っていきたい」などとまとめた。 

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「ライドシェア」解禁に断固として反対する総会決議 知らなかった💦がその通りです❗日本労働弁護団第68回全国総会で採択された6つの決議のうちの一つ❗

2025-02-06 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 日本労働弁護団第68回全国総会(2024.11.8~9/兵庫県神戸市&Zoom)において、以下の 6 つの決議が採択されたそうだが、なんと6番目に「『ライドシェア』解禁に断固として反対する総会決議」があったのだ❗
まったくその通りです❗
ありがとうございます❗

世界標準のハラスメント防止法制の実現を求める総会決議
 当弁護団は、ハラスメント行為を包括的かつ明確に禁止する法律を制定するよう繰り返し求めてきた。今はその千載一遇の時機である。ハラスメント包括禁止法を制定し、その目的規定として「職場のハラスメントは許されるものではないという趣旨」を定めることを、改めて強く求める。
ILO第190号条約批准についての課題を明確にし、その課題をいつ解消し、いつ批准をするのかという具体的なスケジュールを作成するよう求める。

労働基準関係法制研究会の議論に対する総会決議
 労働者性の推定規定(労働者みなし規定も含む)を創設するとともに、現在の労働実態に即した、新しい労働基準法上の労働者性の判断基準の検討を進めるべきである。また、家事使用人については、速やかに労働基準法の規定を適用する改正が行われるべき。
労働時間規制については、労働者の生命・健康はもとより、労働者の生活時間を保障するためのものでもあって、適用除外や特別規制の拡大等はあってはならない。
テレワーク下でのみなし労働時間制は、過重労働を助長するものであり、導入されるべきではない。
時間外労働時間を原則的上限である月45時間を近づけること、労基法35条2項の変形週休制(4週4休)を撤廃すること、36協定の休日労働について日数の上限規制を導入すること、勤務間インターバル制度を法的義務化すること等は早急に実現することを求める。
労働組合を通じた労使コミュニケーションを活性化するために必要な、労働組合の組織率向上や権限強化に関する具体的な議論を行うべき。

解雇規制の緩和・解雇の金銭解決制度導入に断固反対する総会決議
 国際的にみれば、日本の解雇規制は厳しいとはいえない。また、労働力の移動は、労働者の自発的な選択により行われるべきものであり、解雇規制の緩和によって実現されるものではない。
安易な解雇規制の緩和は、正規雇用労働者を含めた雇用全体の不安定化をもたらすだけであり、労働者にとっても社会経済にとってもメリットはない。
したがって、解雇規制を緩和する方向の見直しは全く必要ない。
解雇の金銭解決制度は、使用者に新たなリストラの武器を与え、労働者・労働組合にとってデメリットが大きい制度であり、導入すべきではない。

今こそ給特法の廃止等を求める総会決議
 当弁護団が、繰り返し指摘してきたとおり、公立学校教員の長時間労働の労働法的な要因は、給特法にある。
給特法のもとで長時間労働が生じている現状は、教員の労働者としての人権(憲法27条2項)を侵害するにとどまらず、教育の質の低下を招き、子どもたちの教育を受ける権利の侵害につながる問題である。
教員の長時間労働是正のために、改めて給特法の廃止等の真に実効的な改革が行われるよう求めていく。

実効的な仕事と育児・介護の両立支援を求める総会決議
 日中、病気の子を単独で療養させることは困難であることから、「小学校3年生修了まで」という対象範囲は一般的な共働き世帯における子育ての実態とは乖離している。将来的には、子の看護等休暇制度における子の対象年齢は小学校6年生まで引き上げるべきである。。また、2024年改正では子の看護等休暇の有給化に関する議論も行われなかったが、法律による有給化が急務といえる。
転居を伴う配転命令は、育児や介護に重大な影響をもたらすものであることから、最終的には、転居を伴う配転(転勤)に関する法制度の見直しが不可欠である。
育児・介護を行う者がそれゆえに職場、そして社会で不利益を被ることなく、男女ともに仕事と育児・介護を両立することのできる自由・平等な社会の実現に向けて、今後も、より具体的な対応や施策を求めていく。

「ライドシェア」解禁に断固として反対する総会決議

 2024年4月以降、各地において「安全・安心を前提に、地域交通の『担い手』『移動の足』不足を解消することを目的」として、「日本型ライドシェア」が開始されている。配車アプリ事業者から提供を受けたデータに基づき、マッチング率が90%を下回る時間帯をタクシー車両が不足する時間帯として実施地域を決定するだけでなく、一定の場合には事業者の希望があれば「日本版ライドシェア」の実施地域を拡大することを許容している。さらにその後、国土交通省は、「バージョンアップ」と称し、24時間先までの降水量の予報が1時間5㎜以上となった時間帯や前々日の10時時点で気温の予報が35℃以上となった時間帯もその対象としたり、さらには、配車アプリが普及していない地域においては配車アプリを使用しないでも「日本型ライドシェア」を実施することができるようになっている。このような国土交通省による対応は、もはやタクシー車両が不足することの実証すら行わないで「日本版ライドシェア」を無限定に拡大することを目指すもので、「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合」(道路運送法 78 条 3号)という例外的場面の枠内における対応とはいい難い。

 そもそも、「日本型ライドシェア」では、タクシー事業とは異なり、事業用車両であるタクシー車両ではなく、自家用車が使用され、タクシー事業者と雇用契約を締結するが普通第二種運転免許(いわゆる「二種免許」)を有していない運転者により、運行が行われている。これは、いわゆる「白タク」の合法化に他ならない。しかも「日本型ライドシェア」の実施は、タクシー事業者に対する台数規制の埒外で行われるところ、2009年以降、車両台数に規制をかけることによるタクシー事業の適正化、それに伴うタクシー運転者の労働条件の改善を目指してきた政策に、真っ向から反するものである。「日本版ライドシェア」の安易な拡大は、タクシー事業者の事業を悪化させ、歩合給制を基本とするタクシー運転者の労働条件をも悪化させることにつながる可能性が極めて高い。

 また、「日本版ライドシェア」の安易な拡大は、今後、事業免許をもたない運転者が個人事業主として利用者(消費者)から運送を請け負うことを基本とし、需給バランスによって運賃が変動することを内容とする、諸外国において一般に実施されている「ライドシェア」を許容する新法を制定することにつながりかねない。「日本版ライドシェア」の嚆矢となった、デジタル行財政改革会議の中間とりまとめ(2023年12月20日公表)では、この「日本版ライドシェア」について「ドライバーの働き方について、安全の確保を前提に、雇用契約に限らずに検討を進める」とされているほか、交通空白地における自家用有償旅客運送制度(道路運送法78条2号。いわゆる「公共ライドシェア」)ではダイナミックプライシングの導入を実施するなどとされている。このような方向性は、あらゆる「ライドシェア」の実施に途を開くものとなりかねず、タクシー運転者の地位及び労働条件を不安定にするだけでなく、タクシー運転者が担っている公共交通であるタクシーの安全性をも脅かすものである。

 「ライドシェア」は、何よりも、プロフェッショナルとして日本の公共交通を日夜支えるタクシー運転者の労働者としての誇りを踏みにじるものであって到底容認できない。日本労働弁護団は、タクシー事業者を運営主体にする「日本型ライドシェア」を含め、「ライドシェア」解禁の動き、その法制化に断固反対するための取組みを進めていくことを、ここに宣言する。
2024年11月9日 日本労働弁護団第68回全国総会


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大阪府市において「日本版ライドシェアの」24時間運行が不要である「7つの理由」

2025-01-30 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 大阪府市において「日本版ライドシェアの」24時間運行が不要である「7つの理由」
全自交労連のT書記次長が作られたこの資料がとても素晴らしいので、彼には無断で、このブログで共有しておく。
しかし、もし彼にバレて、「駄目です💢」って怒られたら、即刻、公開停止にする。
さて、いつもで公開できるか…出来れば永久公開できれば良いのだが…😅



 そもそも「日本版ライドシェア(自家用車活用事業)とは
2023年~ 維新の会や、自民党の一部議員らが、〝タクシー不足〟を強く主張し、ライドシェア全面解禁・法制化を求める
⇒ 「現状のタクシー事業では不足している移動の足を、タクシー事業者の管理の下で、地域の自家用車や一般ドライバ ーを活用することで補う新たな仕組み」として、2024年3月29日付の国交省の物流・自動車局長通達で日本版ライドシェアが制度化。
通達の根拠…道路運送法第78条 
自家用自動車(事業用自動車以外の自動車をいう)は、次に掲げる場合を除き、有償で運送の用に供してはならない。
同条3号 公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域または期間を限定して運送の用に供するとき。

 タクシーが不足する地域、時期及び時間帯並びにそれぞれの不足車両数を、国土交通省が指定
という制度だったが…制度開始後、わずか半年の間に、「旅客課長事務連絡」で 緩和に次ぐ緩和
☆特に指定のない地域はざっくりで。金・土の夜にタクシー台数の5%まで運行OK ←後、さらに10%までOK
☆雨天時や酷暑時は拡大OK
☆地震や台風の発生時や復旧過程なら拡大OK
☆配車アプリを使い事前に確定した運賃の電子決済しか認めていなかったが、電話で口頭でルートと運賃を確認するだけで現金での受け渡しもOK    ☆貨物輸送・貨客混載にも使っていい 
☆鉄道など公共交通機関に遅延が起きた時は日本版RSの区域外輸送もOK
☆イベント開催時は主催者や自治体からの申し出があれば拡大OK
 ⬆
大阪府と大阪市は、この事務連絡の規定を根拠に
「万博期間中は、4月から10月まで毎日ずっと24時間、大阪府全域で日本版ライドシェアの運行が必要」
「11月からやってるイルミネーションのイベント(大阪光の饗宴)でも、12月20日から1月末まで、毎日ずっと24時間、大阪府全域で日本版ライドシェアの運行が必要」
と要請し、国交省(近畿運輸局)が認める。

その1 タクシーは足りている or 余っている
 大阪市域のタクシーの配車アプリのマッチング率 90%以上が緑 80%以上が黄色 80%未満が赤
 ⇒ もともと足りていた上に、さらに充足している、ず~~~っと足りている



 大阪市域のタクシーは足りないどころか、むしろ余り気味。
その証拠に、タクシー1台当たりの売上は前年同月を下回る状況になっている。
 近畿運輸局自動車交通部長の発言
「大阪はタクシーの運転者数が平均すれば月に100人程度増えている。日本版ライドシェアに頼らなくても足りている方向にはあるのだろうと思うが、『100%そうだ』という材料もないので、断言できるものはない」「しばらく状況を注視していく必要がある」 ※2024年11月21日の記者会見にて 「陸運新報」2175号より

その2 「需要が増える」根拠なし
 万博を理由とした日本版RS 大阪府市の主張 大阪・関西万博の来場者数の政府目標「2,820万人」などを基に
①「ピークで1日22.7万人が万博に来て、うち7800人がタクシー使うから、150台足りない」
②「府外のお客さんがピークで1日17.4万人来て、万博以外でもタクシー使うから1450台足りない」
③「インバウンド客が1日10,500人、大阪に来るから、タクシー700台足りない」                              
 +
「大阪に来たお客さんは、みんな大阪市以外の場所を車で周遊したいから日本版ライドシェアも府内全域運行が必要」
「関空は深夜着の飛行機もあるし、大阪のキタとミナミには夜中まで開いてる店があるから、日本版ライドシェアは24時間運行をせなあかん(しかも府内全域で)」
ほんまでっか!? どこから突っ込んだらええんか…

ツッコミ① 誰もが知る万博の不人気
・前売り券販売目標=1400万枚に対し、販売実績744万枚(12月18日時点)。その内、約680万枚は企業のまとめ買いとの報道。
・「万博への関心度」(全国)は2022年10月の31.3%から、24年10月はまさかの24.0%に低下。
 「来場の意向」(全国)も同じく、31.0%から24.0%に減少。 ※出典=三菱総研
・▽空飛ぶクルマの商用運行なし▽8カ国が撤退▽パビリオン工事遅れ▽メタンガス爆発 etc 
⇒ 2820万人 来ない

ツッコミ② ホンマに万博来場者が使えるのか
 人工島の万博会場へのアクセス(万博協会公式ホームぺージより)
 自家用車⇒乗り入れ不可(橋の手前に停めてそこからバス)
 タクシー⇒不明(いまだに公式ホームページの項目が準備中のまま)
そもそも、タクシーや日本版ライドシェアで万博に行けるのかすら謎、行けたとして橋とトンネルしかないので渋滞は必至、万博協会は電車やバスの利用を推奨。

ツッコミ③ 府内全域?
 大阪府内には、個別輸送の公共交通機関である1万4000台以上のタクシーに加え、
大量輸送の公共機関としてJR、京阪、阪急、阪神、近鉄、南海など13の鉄道会社が50以上の路線を運行。また大阪シティバス、阪急バス、京阪バス、近鉄バス、南海バスなど多くの路線バスが走る
⇒ 安全で安心な公共交通を利用しましょう。

ツッコミ④ 24時間運行?
 意味わからん
深夜・早朝は万博会場も観光地もクローズ。
キタやミナミで深夜まで遊び続ける人がどれだけいるのか。
そもそも繁華街にも空港にも、きちっとタクシーがいます。



 大阪 光の饗宴2024 を理由とした日本版RS
 イベントの概要
 期間:2024年11月3日~2025年1月31日 
 主な内容:中の島のプロジェクションマッピングや御堂筋のライトアップ
大阪府が近畿運輸局に行った要請の内容
 このイベントにより、需要が増加し、タクシーの供給が不足するから日本版ライドシェアの運行を拡大しなくてはならない。
・大阪市域では12月20日~1月31日まで、毎日24時間、最大210台の稼働が必要だ
・それ以外の府内各交通圏でも12月20日~1月31日まで、毎日24時間、各営業区域のタクシー車両数の約5%の稼働が必要だ
エビデンス すでにイベントが実施されてきた11月4日~12月1日までのタクシー配車アプリのマッチング率 ⇒ めっちゃタクシー足りてますけど…
 大阪府の目的は、
12月19日にライドシェアドライバー500人を募集する1億円キャンペーンを始めたスタートアップ企業「newmo」との連携

その3 タクシー業界は需要増の対策ずみ
 もし、たくさんのお客さんが大阪に来たとしても ⇒ 大阪タクシー協会のプレスリリース(2024年10月24日)「府内のタクシー利用者が万博開催中、1 日あたり 15 万人増加したとしても、タクシーの実車率は54%にも満たないとの分析結果が出ており、タクシーで十分対応できる」※バブル期の1990年 東京のタクシーの実車率は59%
 それでも足りないならば 「なにわモデル」発動
なにわモデルとは「大阪府内にはタクシーの営業区域(交通圏)が7つあり、普段は区域外営業は禁止されているが、万博開催によって、どこかの営業区域でタクシーが不足した場合には、別の営業区域のタクシーを助っ人として配車する制度。12月20日に実施合意。」※アプリ配車による事前確定運賃

その4 府市と特定企業の出来レース?
 「newmo」株式会社 ⇒ ライドシェアサービスの運営を目的とし、2024年1月に設立されたスタートアップ。
大阪府の報道発表の前に、newmoがキャンペーン開始
国交省と大阪府市が日本版ライドシェアの拡大について協議したのは、12月19日12時15分からの会議で、その合意内容を大阪府は同日15時に発表。
しかし、newmoは全ての内容を承知していたようで、同日14時1分にプレスリリースを行っている。

〇株式会社newmo(ニューモ)とは
 ライドシェアサービスの運営を目的とし、2024年1月に設立されたスタートアップ。
代表の青柳直樹氏の前職は「メルカリ」日本事業の統括者で、newmo自体がメルカリからの出資を受けている。
2024年7月に大阪のタクシー会社「未来都」(タクシー606台)の全株式を取得するなど、豊富な資金力でタクシー会社を傘下に収め、「タクシー会社による管理」が前提条件となる日本版ライドシェア事業に参入。
2024年12月19日にライドシェアドライバー大募集キャンペーンを開始し、同12月24日に自社オリジナルのタクシー・日本版ライドシェアの配車用プラットフォームとして配車アプリ「newmo」の配信をスタート。

〇newmoの1億円キャンペーンの内容
 「万博を動かすライドシェアドライバー大募集 合計1億円あげちゃうキャンペーン」
・ライドシェアドライバー500人を募集
・初乗務で10万円プレゼントに加え、乗車数に応じ最大50万円のボーナス
・自家用車を持っていない人には車を貸し出し
・友達紹介でさらに10万円プレゼント

 1億円をかけて500人もドライバーを集めておいて、万博が閉会したら「はい終了」とできますか? 万博を突破口にして恒常的に24時間運行を続ける意図があると思わざるをえない。

大阪府と連動したnewmoの動き
・2024年12月19日 午後0時15分~
 大阪府・大阪市・国交省による「第2回万博開催期間中における日本版ライドシェア勉強会」開催。
・ 2024年12月19日 午後2時1分
 newmoがプレスリリースを発表。毎日24時間のライドシェア解禁記念と銘打ち、「万博を動かすライドシェアドライバー大募集 合計1億円あげちゃうキャンペーン」を開始。初乗務で10万円ボーナス、最大で50万円ボーナスなどのうたい文句でドライバー500人の募集を開始。
 ⇧
事前に大阪府市と情報共有し準備していないと不可能な動き
・ 2024年12月19日 午後3時00分
 大阪府がホームぺージに「報道発表資料 万博期間中の移動需要の増加に向けた対応について」を掲載。
第2回勉強会の結果、国交省・大阪府・大阪市の間で万博期間中(4月~10月)の府内全域・24時間運行で合意した旨を公表し、12月中に試行実施をはじめるとした。
 ・2024年12月20日
 近畿運輸局は、大阪府から「大阪光の饗宴2024」の実施に伴う日本版ライドシェアの24時間・府内全域運行の要請があったことをホームページ上に掲載。大阪市域で210台、その他の6営業区域で計118台の運行枠をもうけ、実施事業者の募集を開始。
 ⇧
 イベントは11月3日から始まっている。このタイミングで12月20日からの運行を求めたのは、newmoのキャンペーンに歩調を合わせ、万博運行までのつなぎとして、ライドシェアドライバー500人の働き口を確保するためでは。
・2024年12月24日
 newmoは、独自の配車アプリ「newmo」の提供開始を発表。



その5 維新の為のライドシェア
 大阪府市がライドシェア緩和にこだわるのは府民・市民のためではない。ライドシェアが維新の会の看板政策の一つだから。まさにライドシェアのためのライドシェア

その6 もしライドシェア完全解禁につながれば利用者が困る
 全日本交通運輸産業労働組合協議会(交運労協)による「タクシーとライドシェアに関する1000名意識調査」より
①タクシー日常利用者の半数以上は配車アプリを活用
②以前タクシーを捕まえにくかった状況も、配車アプリ利用を通じて8割が改善を実感
③公共交通である現状のタクシーサービスに87.8%が満足
④タクシー事業の運転手の増加や若返り、出庫時間調整などの改善活動に対する認知は低い
⑤「日本版ライドシェア」の名称は認知はされているが、「ドライバーが自家用車を持ち込む」以外の「タクシー事業者による運行管理・保険・車両点検」などの特徴理解が依然として低い
⑥法整備を検討中のライドシェア(ライドシェア全面解禁)に対しては「利用者として守られていないと感じる」「みんなが安心して利用できると思わない」人が6割以上、データの海外送信への不安は8割以上
⑦法整備議論に対して、「政治主導の迅速な導入」に比べ、「安全性・公平性の観点から慎重な議論」を望む声が4倍となった

その7 もしライドシェア完全解禁につながればタクシードライバーはこんなに困る
 コロナでめっちゃ大変で… ようやく給料上がってきたのに…
24時間の日本版RSにお客さまを取られたら…

ハイタクフォーラム
 タクシードライバーの労働組合による政策団体である「ハイタクフォーラム」(全自交労連・交通労連ハイタク部会・私鉄総連ハイタク協議会)は、一種免許ドライバーと白ナンバー車両による旅客輸送の拡大に大きな懸念を持っていたが、「全く無秩序なライドシェアの解禁を許すよりは利用者・労働者に与える被害は少ない」と判断。国土交通省による説明を信じ、苦渋の決断として日本版ライドシェアの運行に理解を示してきた。
しかし「今回の24時間・府内全域運行はどう考えてもおかしい。認めることはできない」

 2024年12月27日、国土交通省に対し「大阪における日本版ライドシェアの24時間運行の見直しを」 と緊急要請書を提出。

国土交通大臣   
中野 洋昌 殿
緊急要請
「大阪における日本版ライドシェアの24時間運行の見直しを」

  大阪府は、「万博開催期間を含む2025年4月~10月において府全域で24時間の日本版ライドシェア(自家用車活用事業)の運行を可能とすることで、国土交通省・大阪府市が合意した」との報道発表を行った。さらに大阪府は「大阪光の饗宴2024」の開催にかこつけて、12月20日~1月31日まで24時間の日本版ライドシェア運行も要請し、近畿運輸局は大阪市域で210台等の運行を認めている。
 我々ハイタク労働者は、「タクシーの補完」「移動困難の解消」という貴省の説明を信じ、本来は認めがたい第一種免許保有者による日本版ライドシェアの運行を容認し、全国の仲間を説得してきた。であるにも関わらず、貴省が大阪府内全域・全ての曜日での24時間運行を認めたのであれば、我々は大きな失望とともに、日本版ライドシェアそのものに対する姿勢を見直さざるを得ない。
 
 24時間運行は、第一に、道路運送法78条3号「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において」の規定を大きく逸脱する運用である。第二に、貴省が令和6年10月25日付で発した物流・自動車局旅客課長名の事務連絡『イベント開催時における輸送力向上方策について』には「複数日に渡り開催されるイベントについては、原則として当該イベント開催期間内において一時的な需要の増加が見込まれる時間帯に限り使用可能とする」との但し書きが存在するが、大阪府市の主張通りに24時間運行を認める対応は当該規定に明らかに相違するものである。第三に、そもそも万博期間中に府内全域で、24時間、全ての曜日でタクシーが不足することに何ら実証的根拠はなく、自治体の要請通りに運行を認める制度自体に重大な欠陥が存在していると言わざるを得ない。
 大阪市域は現状、全くタクシー不足の状況ではなく、万博期間中の輸送需要増加に対しても、府内全域でタクシーの区域外営業を認める対策(なにわモデル)によって十分対応可能である。また「大阪光の饗宴2024」はすでに11月3日より実施されており、この間にタクシー不足が生じていない以上、日本版ライドシェアを新たに運行拡大する合理性はまったく存在しない。それでも、大阪府市が強引に24時間運行を求め続けたことは、「ライドシェア解禁」を掲げる維新の会の都合に過ぎず、「newmo」等、一部の特定企業への利益供与を目的とした対応であると断じざるを得ない。
 貴省においては、今後の試行を踏まえ、4月以降の運行可能台数を決定する意向であると推察するが、「newmo」はすでに、大阪府の報道発表に先んじてプレスリリースを行うなど、大阪府市と歩調を合わせ500人のドライバー募集を開始し、1億円以上の資本投下を行っており、万博終了後も継続して運行を行おうとしていることは明白である。すなわち24時間運行を認める行為は、無制限な白ナンバーによる旅客輸送の解禁「ライドシェア全面解禁」に道を開くものであり、決して看過できない。この緩和が、利用者の安全を脅かし、ようやく回復の途上についたハイヤー・タクシー労働者の待遇を再びドン底に転落させる結果を招くことは火を見るより明らかである。
 
 我々ハイタク労働者は大阪での日本ライドシェア運用緩和に対し断固として反対の意思を表明し、貴省に対し以下、要請する。
 

・大阪府内全域では既に夜間は供給過剰の状態であり、日本版ライドシェアの24時間運行を見直し、タクシーの補完として需要状況等を随時確認しながら許認可を決定すること
・日本版ライドシェアの運用を、事務連絡等で無制限に拡大している方針について、厳格な取り扱いに軌道修正すること
・日本版ライドシェアの終了基準を直ちに定めること
 2024年12月27日 
ハイタクフォーラム
 (全自交労連・交通労連ハイタク部会・私鉄総連ハイタク協議会)
                       代表幹事 溝上 泰央 


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日本労働弁護団「日本版ライドシェア」の急速な拡大に反対する緊急声明 を発表

2025-01-28 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 2024年6月5日、「ライドシェア」の実施に反対する緊急集会を開催した日本労働弁護団(佐々木亮幹事長)は、1月23日、「『日本版ライドシェア』の急速な拡大に反対する緊急声明」を発表した。⇒「日本版ライドシェア」の急速な拡大に反対する緊急声明
大阪・関西万博期間中に大阪府内で24時間・全域で日本版ライドシェアの運行を可能とする方針は、「公共の福祉のためにやむを得ない場合」にのみ例外的に自家用自動車による有償旅客運送を許容する道運法78条3号の規制を完全に排除し、「白タク」を合法化するものであり、「法の支配の観点からも断じて容認できない」として、大阪府と市、国交省に対し、同方針の速やかな撤回を求めている。
 また、大阪府内のタクシー運転者でない自家用車による営業車を過大に増大させる可能性を否定できず、タクシー運転者の労働条件の悪化、交通の安全性にも悪影響があることは否定できないと指摘。
 さらに、これまでの、雨天や酷暑時、イベント開催時、公共交通機関遅延時などにおける日本版ライドシェアの行政の権限による「無限定な対象範囲の拡大」についても、「公共の福祉のためにやむを得ない場合」にのみ例外的に許容する道運法78条3号の法の趣旨を没却するのみならず、再規制の政策の流れにも反するものだ―と批判している。

「日本版ライドシェア」の急速な拡大に反対する緊急声明

2025年1月23日
日本労働弁護団 幹事長 佐々木 亮

 大阪府は、2025年4月から開催される大阪・関西万博による交通需要の増加等に対応することを目的に、大阪市、国土交通省と「万博開催期間中における日本版ライドシェア勉強会」を開催し、2024年12月19日、日本版ライドシェアを、大阪・関西万博期間中、大阪府域全域で24時間、運行可能とする方針を発表した。そして、同月20日には、国土交通省物流・自動車旅客課長が「地域公共交通会議等において協議が調った場合の日本版ライドシェアの営業区域等の取り扱いについて」において、日本版ライドシェアについても「タクシーと同様に協議が調った期間や区域の範囲内において営業区域外旅客運送を実施することを可能とする。」と発した。

 そもそも、日本版ライドシェアが、いわゆる二種免許を必要としない一般ドライバーが自家用自動車によって有償旅客運送をすることを許容しており、いわゆる「白タク」を事実上合法化するものに他ならないこと、また、特に2014年以降、車両台数規制等を通じたタクシー運転者の労働条件改善を図ってきた政策の流れに反し、事実上野放図な規制緩和を容認するもので、タクシー車両を必要以上に増加させ、ひいてはタクシー運転者の地位や労働条件を悪化させる可能性があることは、すでに当弁護団が発した声明(2024年2月26日付「『ライドシェア』解禁に反対する緊急声明」、同年4月18日付「『ライドシェア』の実施及び法制化に反対する声明」)において指摘したとおりである。

 大阪・関西万博開催期間中、大阪府全域において24時間、日本版ライドシェアの運行を可能とする方針は、大阪・関西万博期間中の大阪府内では、「公共の福祉のためにやむを得ない場合」にのみ例外的に自家用自動車によって有償旅客運送をすることを許容する道路運送法78条3号の規制を完全に排除していわゆる「白タク」を合法化するものであって、法の支配の観点からも断じて容認できない。また、大阪府内のタクシー運転者ではない自家用車による営業車を過大に増加させる可能性を否定できず、タクシー運転者の労働条件が悪化すること、さらには、交通の安全性にも悪影響があることを否定できない。当弁護団は、大阪府、大阪市、及び、国土交通省に対して、大阪・関西万博開催期間中における日本版ライドシェア実施の方針を速やかに撤回するよう求める。

 ところで、日本版ライドシェアは、2024年3月29日に「法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための地域の自家用車・一般ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取扱いについて」(令和6年3月29日 国自安第181号、国自旅第431号、国自整第282号)(なお、この通達の法的問題点については、すでに当弁護団が発した声明において指摘したとおりである。)が発せられて以降、雨天や酷暑が予想される場合、大型イベントの開催に伴い一時的な移動需要の増加が予想される場合、また、鉄道等公共交通機関に遅延が生じた場合にも実施できるよう、さらには、一定の場合に配車アプリを使わないで実施することも許容する物流・自動車局旅客局長による事務連絡が次々と発せられている。このような行政の権限による無限定な対象範囲の拡大は、「公共の福祉のためにやむを得ない場合」にのみ例外的に自家用自動車によって有償旅客運送を許容するという法の趣旨を没却するものであるだけでなく、先に指摘した、これまでのタクシー事業に対する再規制の政策の流れにも反するものであるというほかない。

 当弁護団は大阪・関西万博開催期間中における日本版ライドシェア実施の方針の速やかな撤回に加え、改めて、日本版ライドシェアの実施に反対するとともに、あらゆる「ライドシェア」の解禁の動き、及び、その法制化に断固反対する。

以上

これまでの日本労働弁護団のライドシェアに関する反対声明など
「ライドシェア」解禁に反対する緊急声明 2024年2月26日
「ライドシェア」の実施及び法制化に反対する声明 2024年4月18日
「ライドシェア」解禁に断固として反対する総会決議   2024年11月9日 日本労働弁護団第68回全国総会

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交運労協「タクシーとライドシェアに関する1000名意識調査」

2024-12-20 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!
【20 💪NAS2-63 BenchPressSmith65kg WideGripBenchPressSmith50kg ShoulderPreesSmith40kg UpLightRowSmith35kg LatPullDpwn55kg SitUp DragonFlag】
 12月10日、交運労協は、田町交通ビル5階会議室においてこの度実施した「タクシーとライドシェアに関する1000名意識調査」について、記者発表会を開催した。
 ⇒交運労協タクシーとライドシェアに関する1000名意識調査報告書 https://www.itf-jc.jp/action/5221/


池之谷議長
「日本のタクシー事業は、単なる移動手段としてだけではなく、利用者の利便性と命を守るための様々な取り組みにより、安心と信頼を築き上げ、安全性やサービスにおいて、海外からも高い評価を得ている。
しかし、コロナ禍により乗務員が大幅に減少し、結果的に、タクシーの稼働車両が減少したことで、一部の地域や時間帯において、供給力不足が発生し、その解決策としてライドシェア導入論が急展開した。
ライドシェアの全面解禁に極めて慎重な態度を示していた国土交通省は、苦肉の策として、タクシー事業者の運行管理による自家用車活用事業を開始し、併せて、運賃改定による賃金改善により、都市部を中心にタクシー乗務員も着実に増加している。
プラットフォーマーの自由な参入を認めるライドシェア新法制定は絶対反対である。
しかし、ライドシェア推進派は、でたらめなデータを持ち出し、タクシーは供給不足だと嘘吹き、ライドシェアを強硬に推し進めようとしている。
我々はそれらを鵜吞みにしている利用者がどれだけいるのか、ライドシェアの危険性をどれだけ認知しているのか、懸念を持ち、推進派が論拠とする事象を客観的に否定、あるいは、疑問視することができるデータや、利用者の声を集めることで、広く世論に注意喚起ができるとの観点から、調査を実施したところだ」
と挨拶を行った。


慶島事務局長
「推進派が統計学を無視したアンケート調査結果を政府の規制改革推進会議に提出している。
我々としても看過できず、対世論戦としてタクシーのヘビーユーザーを対象とした調査に取り組むこととした。
タクシーの日常的な利用者の半数は配車アプリを活用しており、捕まえにくい状況が改善していると実感している。
また日本のタクシーサービスには9割近くの利用者が満足している。
一方で日本版ライドシェアについては十分に制度が理解されておらず、法整備を検討中のいわゆる海外型ライドシェアに対し6割の方が不安を感じている。
あわせて法整備議論に対し、『政治主導の迅速な導入』に比べ『安全・公平性の観点から慎重な議論』を望む声が4倍となった」


全自交労連 溝上委員長
「日本のタクシーサービスの安全・安心はタクシー乗務員が雇用契約されていること、事業主体が法人であることが大きい。
日本版ライドシェアについて我々労働組合は、第1種免許で旅客を運送するということに大きな懸念があった。
しかし、運行管理をしたことがない、さらには責任も取らないといった海外型ライドシェアが導入されるよりはまだマシではないか、ということで導入を受け入れた経緯があり、本当に苦渋の選択であったということをご理解いただきたい。
交通インフラは公共インフラであり、住民の皆さんが今は大丈夫でも、少し歳をとって移動困難になったときには、本当に最後に頼れるのは鉄道、バス、そしてタクシーであり、法整備を検討中の海外型ライドシェアの導入によってこれらが淘汰されてしまえば、結果的に住民が困ってしまうという事態に陥る。
我々タクシー事業者、労働者ともに、今後も進化を止めず、日本の公共交通をしっかり我々の手で守っていく」


私鉄総連 福田委員長
「私鉄総連のライドシェアに対するスタンスは、世界的に見ても利便性・安全性の高い公共交通を持つ日本に、白タク合法化・海外型のライドシェアは不要であるというものだ。
今回のアンケートでも、移動において、利用者が最も重要視するのは『安全・安心』であることが明らかになった。
安全・安心は一朝一夕で積みあがるものではなく、長年培ってきた経験やノウハウ、安全投資、そして技術やシステムの継承があってのものだ。
その点が、公共交通としての責任も持たない、利益のみを追求するであろうプラットフォーム事業者に、公共交通を任せられない大きな理由のひとつである。
さらに持続可能性の観点からも問題である。
公共交通は、特に地方部においては、経営が厳しいという現実があるが、利用者の移動の権利を守るべく、地域住民や自治体、または国などと知恵を絞りながら、我々は運行を継続しており、安易に撤退は出来ないという責任を持っている。
儲からない、効率が悪いなど、利益のみを優先して、簡単に撤退されるようなものであってはならない。
地域における交通サービスについては持続可能性を重要視して、様々な知恵を出し合って課題を解決していく必要があるが、その解決策が海外型ライドシェアではない。
また、ライドシェア解禁派はドライバーとの『業務委託』による柔軟な働き方を銘打っているが、労働時間規制や最低賃金、労災補償など労働者としての保護が対象外となり、劣悪な労働環境になることが想像でき、不安定雇用にも繋がる。
諸外国ではライドシェアドライバーの労働者性について認める判例や法令の制定などが相次いでおり、私たち私鉄総連は雇用破壊につながる制度については、強く反対する」


 交通労連の織田委員長からスピーチを受けた後、記者からの質疑に応じ、閉会後も各組織の代表者は記者からの追加質疑に対応した。
なお、発表会の模様は当日夜のテレビ東京のニュース番組「ワールドビジネスサテライト」でも報じられたところである。
交運労協は、引き続き、ライドシェア新法制定絶対反対の立場で運動を展開していく。


鉄道・バス・タクシー・トラック・船舶・港湾・航空・観光など全国60万人の交通・運輸・観光労働者が加盟する「交運労協」調べ

 陸・海・空における人や物の移動に関わる、交通・運輸・観光などの産業で働く約60万人が加盟する労働組合である全日本交通運輸産業労働組合協議会(以下、交運労協)は、2024年11月に首都圏在住のタクシー利用者を対象に実施した、「タクシーとライドシェアに関する1000名意識調査」の報告書をまとめましたのでお知らせ致します。

 2024年4月から日本版ライドシェアが解禁されましたが、一方で、「移動の足不足の解消」を理由に、タクシー事業者以外に対しても参入を認める海外型ライドシェア全面解禁に向けた議論が行われています。そこで本調査では、20代~60代の首都圏に在住の月1回以上タクシーを利用する1,053名のユーザーから、タクシー不足を感じる状況、タクシー配車アプリの活用状況、日本版ライドシェアに対する理解度、現在政府で導入を検討中のタクシー事業者以外が運営するライドシェアに対する意見を聞きました。また、参考として月1回未満のユーザーからの声も集めました。

 新法制定議論は、昨年から「タクシーが不足しており呼びにくい状況の改善」を目的として行われてきました。しかし、2024年の今現在で日常的にタクシーを利用している利用者からは、配車アプリの活用により呼びにくさは着実に改善していることが回答から分かりました。一方で、状況改善に向けた現行法の「日本版ライドシェア」の制度や特徴の本質的な理解度は低く、タクシー事業者による改善への取組みの認知も低いことが分かりました。法整備を検討中のライドシェア(ライドシェア全面解禁)に対しては6割が不安を感じており、法整備の議論については安全性や公平性の観点から慎重な議論を求めています。

~調査結果のハイライト~

①タクシー日常利用者の半数以上は配車アプリを活用
②以前タクシーを捕まえにくかった状況も、配車アプリ利用を通じて8割が改善を実感
③公共交通である現状のタクシーサービスに87.8%が満足
④タクシー事業の運転手の増加や若返り、出庫時間調整などの改善活動に対する認知は低い
⑤「日本版ライドシェア」の名称は認知はされているが、「ドライバーが自家用車を持ち込む」以外の「タクシー事業者による運行管理・保険・車両点検」などの特徴理解が依然として低い
⑥法整備を検討中のライドシェア(ライドシェア全面解禁)に対しては「利用者として守られていないと感じる」「みんなが安心して利用できると思わない」人が6割以上、データの海外送信への不安は8割以上
⑦法整備議論に対して、「政治主導の迅速な導入」に比べ、「安全性・公平性の観点から慎重な議論」を望む声が4倍となった


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10月27日投開票、衆議院選挙でのライドシェアに関する各党の考え方

2024-10-23 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 10月27日投開票、衆議院選挙でのライドシェアに関する各党の考え方。
ちなみに、ライドシェアとは、いわゆるライドシェア(アメリカなど世界の一部の国で残っているライドシェア、プラットフォーム型ライドシェア、世界の多くの国で禁止規制されているライドシェア)のこと。


 まっとうな野党から。

立憲民主党
 政策集の中で、ライドシェアについて、「諸外国(韓国、トルコ、台湾など)でも禁止されており、一旦認めた国でも、諸問題や裁判の判決等により、禁止や再規制を行う傾向にある国が、OECD加盟38か国中で8割に及ぶ」「持続可能な地域公共交通の実現とも矛盾する」としている。
公約では「地域の公共交通の持続可能性を高めることを目指す」としている。

社民党
 ライドシェアについての言及はないが、地域公共交通を充実させるために、地方交付金を倍増するとしている。
また「通院・買い物など、すべての人の『移動の権利』を保障する」としている。

⭕れいわ新撰組
 ライドシェアについての具体的な記述はないが、公共交通の拡充を訴えている。
「地域の『足』でもある公共交通の継続的な運営を国が支援し、再公営化も検討する」としている。

⭕共産党
 「ライドシェア普及の促進では、地域公共交通衰退の根本的な解決につながらないばかりか、乗客の安全が保障されない乗り物が増えかねない」としている。
その上で、地域の公共交通の維持のための財政支援や予算を増やすべきだとしている。


 いわゆるライドシェア(アメリカなど世界の一部の国で残っているライドシェア、プラットフォーム型ライドシェア、世界の多くの国で禁止規制されているライドシェア)について、社民やれいわに言及が無いのは、そもそも眼中にないという解釈で間違っていない。
例えるなら「マリファナ解禁か禁止継続か」なんか議論する必要も無く、そんなことに触れる必要もないということと同様。

 次に地獄行こう(自・国・維・公)の各党は

❎自民党
 「公共・日本版ライドシェア等の取り組み強化など、自治体と地域関係者が連携・協働する『リ・デザイン(再構築)』を全国展開する」ことで、「交通空白」の解消を目指す。
  ☝
 裏金💷・統一教会🏺な自民党の今選挙のスローガンが「ルールを守る❗」という「お前ら幼稚園児か💢」ってな政党にしては、ま、ちょっとまとも。小泉進次郎とか河野太郎とか、世襲のバカが総裁にならなくてよかったよ…褒めてないが…)

❎日本維新の会
 経済成長のための規制改革の具体事例として、ライドシェアの推進を挙げ、「ライドシェアや民泊普及の障壁となる規制を撤廃し、シェアリングエコノミーを強力に推進する」としている。
  ☝
 不祥事どころか犯罪者を量産する「維新」は、世界の多くの国では陳腐なビジネスモデルで禁止規制されてる、周回遅れのライドシェアで「経済成長」なんていう石器時代の主張を未だに強くしているって事で、経済政策におバカな正当だと言うことを証明している。
こないだ維新のビラを撒いている人に「兵庫県の斉藤知事の製造物責任はいつ取るの?」って聞いたらビラをくれなかった。

🔼公明党
 「日本版ライドシェア」や「公共ライドシェア」について、「実施効果を丁寧かつ継続的に検証する」とした上で、配車アプリの普及なども組み合わせて、「交通空白」の解消に向けて取り組むとしている。
  ☝
 赤羽前国土交通大臣、斉藤現国土交通大臣は、徹底的に「ライドシェアはあかん💢」と頑張っていてくれていて、ライドシェアに対する態度だけはさすが。ただし比例票欲しさに、自民党「裏金議員」35人を推薦したりと迷走ぶりはいかがなものか。そして連立政権にしがみ付きたいからと「平和」という党是をすっかり忘れてしまっていることが悲しすぎる。

🔼国民民主党
「ドア・ツー・ドアの乗り合いタクシー(デマンドタクシー)、コミュニティーバスなどを、国の基準の見直しや予算措置で、強力に支援する」としているほか、タクシーのない地域では、住民委託制度を創設するとしている。
  ☝
 前段はいいけど、後段が微妙にズレてる、悲しい。いっそのこと原子力を動力とするタクシーでも提案したらどう❓
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8月8日、タクシー政策議員連盟(辻元清美会長・森屋隆事務局長)は「ライドシェアに関するヒアリングと意見交換会」を開催

2024-08-16 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!
 8月8日、野党系(旧民主党系)のタクシー政策議員連盟(辻元清美会長、立憲民主党参議院議員、私鉄総連準組織内国会議員)は衆議院第一議員会館で、国交省物流・自動車局、内閣府規制改革推進会議事務局、全タク連、私鉄総連ハイタク協議会・全自交労連・交通労連ハイタク部会で組織するハイタクフォーラム、日本労働弁護団、交通の安全と労働を考える市民会議などと「ライドシェアに関するヒアリングと意見交換会」を開いた。


 私鉄総連ハイタク協議会の久松事務局長の司会で開会、議連を代表し辻元会長は「今回のようにライドシェア問題について、事業者、働く人たち、労働者の権利を守る弁護士の皆さん、国交省、内閣府など関係者が一堂に集うことは珍しい」とし、「ハイタク議連には立憲民主党・国民民主党・社会民主党・無所属の議員が大同団結しており、与党の自民党、公明党の議連とも意見交換して取り組んでいる。これは第一に利用者の安心・安全を守る交通政策とはどのようなものなのか、今はタクシーだけに着目されているが、バスや鉄道などの交通モードを総合的にどのようにすれば国民にプラスになるのかトータルで政策を進めていかなければならない」とし、「率直な意見交換に期待したい」などと開会のあいさつをおこなった。


 ヒアリングでは、①国土交通省 小林太郎官房審議官(公共交通、物流・自動車)、重田裕彦旅客課長が、供給力向上に対して日本版ライドシェア・公共ライドシェアに関する国交省の取組と現状について、②木尾修文内閣府規制改革推進室参事官、 河野良明デジタル行財政改革事務局参事官補佐が、規制改革推進室での議論の内容、③全国ハイヤー・タクシー連合会の川野繁副会長と田中亮一郎副会長が、タクシー事業者の取組と問題意識、④ハイタクフォーラム(全自交労連・交通労連ハイタク部会・私鉄総連ハイタク協議会)溝上泰央代表幹事/全自交労連 中央執行委員長が労働組合としての問題意識について、をそれぞれ説明。

 これらの説明を受けて、議連役員と、参加の交運労協、日本労働弁護団、交通の安全と労働を考える市民会議を加えて意見交換を行なった。
議連からは、松原仁副会長(衆)が「タクシードライバーの平均年齢が下がっていると聞くが、労働条件の向上を図りもっと若い人たちが来てくれるようにしていく必要がある。」と指摘。
辻元清美議連会長(参)は「プラットフォーム型のライドシェアを全面解禁した場合の懸念は把握しているのか、その懸念は払拭できるのか、運行管理などをタクシー事業者が担っておこなう日本型ライドシェアがギリギリの線では無いか。立法府としては危なければ踏み込めない。」と糺した上で、辻元会長は「自家用車活用事業の状況」として「事業に参加したドライバーに対するヒアリング内容が公表されているが、稼働が少なすぎる、あるいは時間帯によっては利用が少ないとの意見は裏を返せばタクシーが十分に足りているとの証明ではないか。要するに日本版ライドシェアは必要なかったということにならないか」などと指摘、さらに内閣府に対しては規制改革推進会議内に設置した「ライドシェアに関する準備会合(サブWG)」の構成員について「どのような観点からメンバーを選んだのか根拠を示してほしい」と求めた。
これについて坂本克己全タク連最高顧問も「構成員には情報流出などで国益を害した企業トップも含まれているのは問題だ」などと質した。
内閣府の規制改革推進室・木尾修文参事官らは「構成員は河野(太郎)・デジタル行財政担当大臣と決めたものであり、指摘されたのはLINEヤフー社であることは承知しているが、会長職を務める川邊健太郎氏は専門知識を勘案して決めた。役職は関係ない」などと否定したが、「発表資料には肩書が明記されているではないか」、整合性のない回答となり、参加者からは大きな失笑が漏れた。
辻元会長は「河野大臣に直接問い合わせてもよいが、大臣と相談して、構成員の選任理由を知らせてほしい」と求めた。


 森屋隆事務局長(参議院議員・私鉄総連組織内国会議員)は、内閣府に対し「タクシーの供給が十分になれば、ライドシェアは不要であるという認識か」と糺し、国交省には「タクシー特措法による準特定地域の解除の見通しと運転者の労働条件改善の状況、ドライバーシェア推進協議会の目的・位置付けと公共ライドシェアとの関係」を確認した。
牧山ひろえ幹事(参)は「小泉進次郎議員は神奈川にライドシェアが必要だと主張しているが、三浦の店舗や住民の方は『なぜライドシェアが必要か』と逆に聴かれるような状況。実証実験が行なわれているがほとんど利用されていない。」と指摘。
小宮山泰子幹事長は、「公共ライドシェア、協議会で議論が整わなければ首長が判断できるとあるが、首長に利害関係があった場合、議会も通さずに利害で実施可能では無いか。内閣府は白タクは違法という認識か。現状、実態も掴み切れておらず取り締まりも十分に出来ていないのに白タクを推進しているように見えて仕方ない」と糺した。
伴野豊副会長(衆)は、「交通のデジタル化とタクシーのドライバー確保の問題がごっちゃになっている」と指摘。
城井崇幹事(衆)は、「既存のタクシー事業者とそこで働く人を応援していかなければならない。そのためにまず必要な規制緩和を関係者の意見を聞きながら進めていくことが必要だ」と、発言をいただき、それぞれの関係者から答弁を受けた。


 また日本労働弁護団の木下弁護士は「労弁はそもそも日本版ライドシェアにも反対だ。必要性ありきで議論がされてきたが、必要性の検証がなされていない。道路運送法第78条の3は『公共の福祉を確保するためにやむを得ない場合にのみ例外が認められるべきものだが、通達では緩やかに導入を認めているとしか見えない点が懸念。本来ならタクシードライバーの地位向上で供給力を確保すべきが一義的だ。さらに4月以降、緩和が進んであり、これは労働者が求めているものなのか疑問がある。必要性があるのかの検証を、再度、立ち返って議論すべきだ。またライドシェアが導入されて安心・安全な公共交通を確保できるのか相当性の検証も必要だ。公労使であらためて議論を深めて頂き、本来のタクシーの活性化を進めていくべきだ」と意見した。

 最後に坂本克己全タク連最高顧問から議連に対しての檄を述べ、榛葉賀津也副会長が「利用者とタクシードライバーの安心・安全、タクシーとの共存共栄、事故時の補償など問題点があることは明らか。公の大臣がよくやる『結論ありき」ではなく、国民のためのよりよき制度にすることを念頭に議論をお願いしたい」との挨拶で閉会した。
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交運労協「公共交通を守り雇用破壊を許さない」街頭宣伝行動と総決起集会を展開❗

2024-06-18 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 交運労協は6月7日、ライドシェア新法制定反対を目的に、国民の足を守る公共交通の重要性と最低賃金も労働時間規制も保障されないギグワークの問題点を広くアピールするため、「公共交通を守り雇用破壊を許さない」街頭宣伝行動と総決起集会を実施した。街宣には約130人、集会に約300人が参加した。


 住野交運労協議長は、「『担い手』『移動の足』不足解消は改正地域交通法で再構築するべきだ。私たちは安心で安全な公共交通を利用者に提供している」「ライドシェアでギグワーカーがまん延し、公共交通の衰退は諸外国の事例でも明らか。ライドシェア新法は阻止しなくてはいけない」など、交運全体で運動を展開していくとした。


 集会には村上連合副事務局長、近藤政策推進議員懇会長、森屋隆タクシー政策議連事務局長、坂本全タク連最高顧問が駆け付け、慶島交運労協事務局長が基調報告を行った。また、内山関東ハイタク協副議長が「一定の規制こそ乗客の安全・安心を守るために必要不可欠」と決意を表明。「労働者の権利を蔑(ないがし)ろにし、利用者の生命と安全を強欲なプラットフォーマーに切り売りする『ライドシェア新法』制定阻止に向け全力で闘い抜く」とした集会宣言を満場一致で採択した。

集 会 宣 言

 私たちは本日、300名の仲間が結集するなか、ライドシェア新法制定反対を目的とする、公共交通を守り雇用破壊を許さない6.7総決起集会を開催した。

 わが国のタクシー事業は、住民の日常における移動手段として、地域公共交通の役割を担ってきた。しかし、コロナ禍によりタクシー需要の減少が深刻化し、多くの事業者が厳しい経営状況に陥ったほか、歩合給主体の賃金制度による収入激減や感染リスクに対する忌避感の高まりから、乗務員が大幅に離職することとなった。その結果、タクシーの稼働車両数が減少したことにより、コロナ禍後において、回復した移動需要に対してタクシーによる供給を十分に確保できない事態が生じるなど、「移動の足」不足を解消することが喫緊の課題となった。

 政府も昨年12月、「デジタル行財政改革中間とりまとめ」において、地域交通の「担い手」や「移動の足」不足対策として、運転者確保のためのタクシー事業の規制緩和や地域の自家用車・一般ドライバーの活用を図る方針を掲げた。こうした経緯を踏まえ、国土交通省は、「自家用車活用事業」の制度設計を行い、4月からタクシー事業者の運行管理による、いわゆる「日本型ライドシェア」がスタートした。

 一方、ライドシェア推進派は、ドライバーを請負契約として、プラットフォーマーが自由に参入可能な「ライドシェア新法」制定への意欲を燃やし続けており、規制改革推進会議では「新法」に関する議論が活発に行われてきた。結果的に、5月31日に決定された「規制改革推進に関する答申」では、「新法」については「規制所管府省と事務局の間で現時点で具体的な合意に至らなかった」として、「今後の検討課題」として記載されるにとどまり、ライドシェア解禁に向けた激流を土俵際で押し返すことができた。これは、私たち交運労協の運動の一定の成果であるといえる。

 しかし、油断は許されない。「今後の検討課題」では、「タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業を位置づける新たな法制度について、次期通常国会の法案提出を視野に、年末に向けて法案化作業を直ちに開始すべきである」としており、ライドシェア推進派の執念を甘く見てはならない。
「自家用車活用事業」の運行開始と併せ、都市部を中心にタクシー乗務員も着実に増加しており、「ライドシェア新法」の根拠となった「タクシーの供給力不足」は解消されつつある。したがって、「新法」は立法事実そのものが存在せず、地域公共交通と正規雇用を破壊する結果しかもたらさない「天下の悪法」には断固反対しなければならない。

 私たち交運労協に結集する60万人の仲間は、労働者の権利を蔑ろにし、利用者の生命と安全を強欲なプラットフォーマーに切り売りする「ライドシェア新法」制定阻止に向け、全力で闘い抜くことを宣言する。
2024年6月7日
公共交通を守り雇用破壊を許さない6.7総決起集会


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日本労働弁護団の「ライドシェア」の実施に反対する緊急集会② 私が話したこと「タクシー規制緩和の歴史と、それが労働者の生活に及ぼした影響」

2024-06-12 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 私の発言は18分55秒~36分12秒のあたり。


 6月5日、日本労働弁護団が、「#ライドシェア 」の実施に反対する緊急集会。
2人目のスピーカーとして、ハイタクフォーラムを代表して、私が「タクシー規制緩和の歴史と、それが労働者の生活に及ぼした影響」について、15分ほど(実際は1分ちょっと持ち時間超過)お話しをさせてもらった。


 本日は、全自交労連、交通労連ハイタク部会、私鉄総連ハイタク協議会で組織、運動を展開しているハイタクフォーラムを代表して、タクシー規制緩和の歴史と、それが労働者の生活に及ぼした影響をお話しさせていただきます。
私たちは、ウーバーが、2015年2月に福岡で実証実験と称してライドシェアを展開しようとして以来、一貫してライドシェア阻止の運動を展開しています。
世界的に見ても利便性・安全性の高いタクシー、公共交通を持つ日本に、ライドシェアは不要です。

 4月から、自家用車活用事業、日本型ライドシェアが始まっていますが、ライドシェア全面解禁やタクシーが足りないという現状の中での対案ということでは、しかたがないかと感じている部分もあります。
しかし、この制度は「二種免許」やプロドライバーとしての矜持という点で納得はできず、そもそも運転者不足は賃金や労働条件の改善で確保すべきであることは言うまでもありません、ということは主張します。
そして、タクシー運転者資格、二種免許のない、一種免許の運転者が、事業用自動車、緑ナンバーで、有償運送を行うことも許されており、これは、利用者に対する欺瞞であり、緑ナンバーに対する利用者からの信頼を崩壊させる行為であるということ
ドライバーの選任については、運輸規則第36 条を適用し、雇用契約によるものとすること、「公共の福祉を確保するためやむを得ない」事由が消滅した際には、速やかに供給を停止すること、などの問題についても、引き続き主張していきます。


 さて、規制緩和など、過去からのタクシー事業の流れです。
タクシーの事業者団体が提供してくれた資料(TAXI TODAY in Japan 2023)の、17ページを見ながらお聞きください。

 私は1988年、23歳の時にタクシードライバーになりました。当時、大阪では一番若いタクシードライバーでした。

 まだバブルの頃というのもあって、売上は上がりましたし、20代であっても年収は500万円と稼げていました。
休んでも同僚に迷惑がかかる仕事ではないですから有給休暇はしっかり取ることが出来、そして自動車運転者は、労務改善基準告示で労働時間規制が厳しいこともあって、月間の労働時間は多くて200時間程度、と、前職のサラリーマン時代と比較すると、賃金が増え、家族や趣味の時間が増えるなど、なんていい仕事なんだ、と思っていました。

 そのうちバブルがはじけて、景気が悪くなって、状況は悪くはなりましたが、それでもがんばれが何とか稼げていました。


 状況が大きく変わったのは、2002年の規制緩和です。
3ページとか、7ページのあたりを見ながらお聞きください。

 道路運送法が改正され、需給調整規制が廃止、新規参入や増車、増車とは保有車両数を増やすことですが、自由化され、運賃や料金の規制も大幅に緩和されました。

 全国で、雨後のタケノコかのように、新規参入に増車で、町中にはタクシー車両があふれかえりました。
ワンコインタクシーや、深夜割増運賃を取らない会社、大阪では5000円以上を半額にするという遠距離割引運賃がスタンダード化する等、ただでさえ景気の落ち込みでタクシー需要が落ちているのに、熾烈な運賃ダンピング競争が勃発しました。

 稼ぐためには少しでも長い時間走りたいと、入庫せずに家にタクシーを持ち帰ったり、大阪空港などでは長距離客を狙うためにタクシーに生活道具を積み込んで、乗り場で寝泊まりする運転者、長時間労働で疲れたのか、ちょっと裏通りに入ると、仮眠をとるタクシーが、死んでるんじゃないかと思うほどにいました。
また、「企業内個人タクシー」と称して、運転者との雇用契約をあいまいにし、所得税や消費税の納税、社会保険料の事業主負担をおこなわず、点呼などもせずに、タクシーの車両表示を外して、自家用車として通勤などに利用させる事業者などが登場しました。

 私の出身は京阪神で営業している阪急タクシーですが、うちはかなり労働時間管理にはうるさい会社なのです。
もちろんいいことなんですが、それじゃあ稼げないと、運行管理が緩い、いや、事実上ないタクシー会社に移っていく仲間、もはやタクシーには見切りをつけて、他の業種に転職していく仲間が多数発生しました。
残っているのは、労働市場厳しい折ですし、いい転職が見込めない中高齢の先輩方か、年金もらいながらなのであくせく働かなくてもよい高齢者が残り、うちの阪急タクシーの場合、規制緩和までは運転者の平均年齢が40歳代前半だったのが、一気に50歳代後半まで上がってしまいました。

 昭和30年代の神風タクシーとまでは言いませんが、こんな過当競争ですから、無謀運転や過労運転による事故は増加しました。
さらには客待ちタクシーによる渋滞で都市交通の麻痺や渋滞を各地で発生させました。
大阪の梅田新道というところでは、国道2号線で、客待ちタクシーが全車線をふさぎ、救急車や消防車さえ、立ち往生するほどで、社会問題になるほどでした。

 タクシー労働者の賃金の低下もすさまじく、タクシーはワーキングプアの代表格とまで言われる状態となりました。
2006年1月14日、NHKスペシャルでは「タクシードライバーは眠れない~規制緩和・過酷な競争~」という特番が放映され、タクシー業界の厳しさが広く知られるようになりました。
そうなってくると、タクシーは稼げない、と、運転者の減少がさらに進んでいきます。
誰もやってくれませんよ。

 当時、政府の規制改革を推進する会議で長らく議長を務めたのが、オリックスの宮内さんですが、新規参入や増車する会社は、タクシー車両を調達するのにオリックスでリースし、オリックスで自動車保険に加入し、ってことで一番儲けたのは彼だけではなかったのでしょうか。

 「企業内個人タクシー」については、お配りしていますが、2008年に国土交通省は「タクシー事業における名義貸し行為の判断基準」という通達を発出。
雇用関係については、運転者との雇用契約が締結されていない、社会保険料や源泉徴収が行われていない、
経理処理関係では、運賃・料金収入の全額が、事業者収入に計上されていない、事業運営に要する経費を許可事業者が負担していない、
運行管理関係では、点呼が適切に実施されていない、指導及び監督が適切に行われていない、
車両管理関係では、事業用自動車等の管理を事業者が行っていない、車両購入契約を許可事業者が行っていない、
事故処理関係では、事故発生後の交渉や損害賠償を事業者が行っていない、など、判断基準が示されており、個々の行為について道路運送法等に違反する事実が認められる場合は、当然、必要な行政処分等を行い、その是正を図る、また、運転者に対する労働基準法等に基づく適正な労働者保護がなされていないなど、所管法令以外の法令違反の疑いがある場合においては、関係機関と連携の上、その是正を図るとしました。

 この労働者性の問題は、ニューヨークなどライドシェアが世界で巻き起こしてきた問題、日本でのフードデリバリーなどギグワーカーで発生している問題が、タクシーの規制緩和で、すでに日本で起こっていたともいえます。

 その後、政府は「タクシーに市場原理は働かなかった」として規制緩和の失敗を認め、2009年に「特定地域におけるタクシーの適正化・活性化特別措置法」により、供給過剰になって問題が発生している地域について、新規参入と増車の禁止、運賃について上限下限運賃の設定を定めました。
2014年にこの特措法を改正し、タクシーの総量の削減と運賃についてさらに規制を強化するに至りました。
この法律によって、タクシー産業の危機を脱した、問題が解決したかというとそうとは言えないのが残念ですが、少なくとも最悪になるという状況は脱っしれかたと思います。

 この特措法の効果で、供給過剰の状態は徐々に改善されていき、それに伴い、総運送収入や乗車人員の減少に歯止めは掛からないものの、1日1両当たりの売上は徐々に増加したことによって、運転者の賃金は、2010年を底に、微妙にですが回復していく傾向となりました。

 しかし、再び状況が大きく変わったのは、2020年からのコロナ禍です。

 外出の制限により、タクシーを利用する人が皆無となり、タクシーを走らせても、いつまで経っても乗ってくださる人を見つけられないという状況となりました。
運転者にとっては、走っても走っても、法定の地域別最低賃金しか稼げず、それなら休ませてもらって、雇用調整助成金を活用した休業補償をしてもらっている方がよっぽどいいし、タクシー事業者も車を止めている方が燃料代もかからないんで、いいんですが、しかし公共交通として、全休させるわけにもいかず…。

 コロナ禍であっても、持病で通院しなくてはならない方もありますし、医療機関や保健施設、公共交通機関など、社会インフラなどで働くエッセンシャルワーカーをお送りしなくてはなりません。またコロナの検査施設から医療機関への輸送の要請もあります。
けっきょくタクシードライバーもエッセンシャルワーカーであり、公共交通としての責任もありますから、一定数の稼働は必要ですので、全国で、仲間は、そして事業者は頑張りました。
当初は、無線で呼ばれてお迎えに言ったら、宇宙服みたいな恰好をした人が、「この人、感染疑いだから病院までお願いね」と、まったく無防備な状態な運転者が、怖い思いをしたという報告が全国から上がっていましたが。
その後は、創意工夫しながら感染対策を施し、自治体によっては地方創生臨時交付金を活用し、運転席と後部座席との減圧など、高度な対策も取ってもらいました。
大阪の維新首長は一切、やってくれませんでしたが。

 ただ、この間、感染症発生当初は、高齢の運転者、基礎疾患のある運転者は、自らの感染を恐れるあまり、または家族に懇願されて、多くの仲間がタクシー業界から去ってしまいました。
そして感染症が長引くにつれ、若い運転者が、いつになったら稼げるんだ、と、将来不安からこの業界を去っていきました。
全国の法人タクシーの運転者数は、コロナ禍の4年間で、6万人減少してしまいました。

 このことで、5類移行後、人流がようやく回復したときに「タクシーが足りない」という声となり、ライドシェア解禁論者の都合のいい口実とされてしまいました。


 現在のタクシーの状況です。
タクシーの運賃は、地域ごとに定められるものとされており、全国には101の運賃ブロックがあります。
規制緩和で価格競争が激しかったころは、なかなか運賃値上げが出来なかったのですが、車両購入費や維持費が上がっていますし、安全やサービスに対する費用も増加しています。
なにより運転者の賃金や労働条件も改善していかなければならない、ということで2020年より全国的に運賃改定が取り組まれており、今現在、全国すべて、101の運賃ブロックで運賃改定をさせていただいています。
これにより、運転者の売上げも上がっていまして、歩合給中心の賃金体系でありますから、増収すなわち、賃金アップとなります。

 配布しています、2023年の、厚生労働省の賃金構造基本統計調査によりますと、タクシー運転者の推定年収は全国平均で419万円、前年より58万円アップしています。
タクシー運転者の過去のピークが、1991年の430万2800円、それに迫る数字になっています。
運転者数の多い東京・神奈川・大阪が平均を大きく上げているようでありまして、一方で17府県が昨年より減となっているので、地域によって差がある点は注視が必要だと思っていますが、順次、運賃改定が実施されていますので、今後も賃金改善のトレンドは続くと思われます。

 タクシーは稼げる。
そうなると、他業種からタクシーに転職される方が多くあり、また、一度、この業界から去った仲間も戻ってきてくれています。
タクシーが足りないと言われますが、今現在、確実に、運転者は都市部から増加に転じています。
この賃金改善と運転者の増加を、ライドシェア解禁の動向が水を差すことを懸念しています。

 ドアツードアの公共交通、個別輸送機関としての公共交通であるタクシー。
それを、整備が充分であるかどうかわからない自家用車や、酒気帯びかどうかさえわからない、教育も管理もろくにされていない素人運転手をあてにするのではなく、プロドライバーである私たちに任せてくれませんか。
ついでながら言っておきますと、二種免許って、試験自体が難しいだけでなく、視力検査は、一種より厳しい、片眼で0.5以上両眼で0.8以上の視力が必要です。
さらに、深視力という立体視における遠近感や立体感を測る検査において合格する必要があります。
これは一種免許ではありません。
免許の更新の際、私も先月、免許の更新でしたが、この深視力の検査、緊張します。
これに通らないと、二種免許がはく奪されてしまいますから。
自分はコンタクトですが、いつも眼鏡を二種類持っていきますが、今回はちゃんと1回で合格しました。
お酒に関して、道路交通法では、呼気1リットル中アルコールが、0.15mg以上だと酒気帯び運転とされますが、事業用自動車の運行管理規則によって、プロドライバーは0.01㎎であっても、アルコールが検出されると酒気帯びとなり乗務させられません。
プロドライバーは、勤務前日のお酒の飲み方にも細心の注意を払っています。

 人命を預かるプロドライバーがプロであるのには、理由があると思っています。
医者が足りないからといって、医大生や看護師に医療をさせようとはならないと思います。
弁護士が足りないからといって、法律に詳しい人に弁護をさせてもいいとはならないと思います。
タクシーだと、なぜライドシェアなのでしょうか?

 保育士が足りない、看護師が足りない、介護士が足りない、それなら処遇改善加算で、税金で賃金の改善をしてあげよう、となるのに、
どうしてタクシードライバーが足りないと、ライドシェアなのでしょうか。

 私たちは、徹底して、ライドシェア新法阻止、ライドシェア解禁阻止のために運動を展開していきます。
ご清聴ありがとうございました。

【12🏃Run5-30 5.10km 34:13 枚方河川敷公園】


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日本労働弁護団の「ライドシェア」の実施に反対する緊急集会①

2024-06-07 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 6月5日、日本労働弁護団が、「#ライドシェア 」の実施に反対する緊急集会を開催❗
まずは日本版「ライドシェア」の問題点について、日本労働弁護団常任幹事の中村優介弁護士が問題を提起。


1 「日本型ライドシェア」とは
⑴ 「ライドシェア」の特徴
①事業許可なし
②有償旅客運送のための運転免許(日本では二種免許)なし
③運転者は個人事業主
④運転者所有の自家用自動車により運送
⑤運賃事前確定
⑥運賃が需給バランスによって変動



⑵ 「日本型ライドシェア」の特徴
・既存のタクシー会社と運転者が雇用契約を締結(①③)
・二種免許不要(②)、自家用車による運送(④)、運賃事前確定(⑤)
・変動運賃制なし
⑶ 「日本型ライドシェア」と既存のタクシー運転者との違い
→二種免許の要否/自家用車か事業用車か
※個人タクシー運転者は事業許可を得て(①)事業用車で運送(④)

2 「行きすぎた」規制緩和と規制強化の流れ
・2000年道路運送法改正(2002年施行)による新規参入及び車両の大幅増加
・2013年改正タクシー特措法による、車両台数規制を通じたタクシー運転者の労働条件改善
・2016年国家戦略特区法改正でも歯止め(参議院附帯決議第4項「いわゆる「ライドシェア」の導入は認めないこと。」、同第5項「自家用自動車による有償運送において、観光客等を対象にする場合には、運転手に第二種運転免許の取得者を充てるなど、タクシー事業者に準じた安全対策を講ずること。」)



3 「日本型ライドシェア」実施のための通達の問題点
⑴ 道路運送法78条3号(自家用自動車を有償運送に利用できる場合)
○「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき」
・通学通園のため、学校等が自家用自動車で行う有償旅客運送
・訪問介護事業者がタクシー事業の許可を得て行う、訪問介護員等による自家用自動車による有償旅客運送
など
○「法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための地域の自家用車・一般ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取扱いについて」(令和6年3月29日 国自安第181号、国自旅第431号、国自整第282号)により、「日本型ライドシェア」を実施

⑵ 通達の問題点
①「雇用契約」の縛りなし
→運輸規則の改正により個人事業主の運転者を排除し得ない。
→「ライドシェア」一般に拡大する可能性
②あいまいな許可基準
「タクシーが不足する地域、時期及び時間帯並びにそれぞれの不足車両数を、国土交通省が指定していること。」
・アプリのマッチング率のみで調査を行い、マッチング率が90%を切る時間帯を「不足」として判断している。
・一部地域については、「金曜日・土曜日の 16 時台から翌5時台をタクシーが不足する曜日及び時間帯とし、当該営業区域内のタクシー車両数の5%を不足車両数とみなす」こととしたり、さらにこの場合に限らず、「営業区域内の自治体が、特定の曜日及び時間帯における不足車両数を運輸支局へ申し出た場合は、その内容を不足車両数とみな」すこととしている。
…事実上、台数規制を緩和
→既存のタクシー労働者の賃金に影響する可能性
③消費者の選択権なし
…アプリ上でタクシーか自家用車かを選択できるようにする制限なし。
←アプリインストール時の「事前の承諾」で許容して良いのか?

4 おわりに-今後の議論の方向性?
○2024年5月31日開催 第19回規制改革推進会議
・「ライドシェア事業に係る法制度についての論点整理」
・岸田文雄内閣総理大臣発言「特に、デジタルを活用して、全国の移動の足不足の解消への道筋を付けるという観点から、規制改革推進会議における議論を踏まえ、安全を前提に、いわゆるライドシェアを全国で広く利用できるようにする必要があります。
斉藤大臣及び河野大臣におかれては、全国の移動の足不足の解消に向けて、自家用車活用事業等について、モニタリングを進め、検証を行ってください。その一環として、できるだけ早期に、その時点での検証結果の評価を行ってください。
並行して、こうした検証の間、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業について、本日の論点整理を踏まえ、法制度を含めて事業の在り方の議論を進めてください。」
○河野太郎規制改革担当大臣(2024年5月31日記者会見)
「これから全国各地でライドシェアが始まりますので、少なくとも年内はそういった状況を見ながらモニタリングをしっかりやっていきたい」
「移動の制約がなくなれば様子を見守れば良い」
「進行の状況がフラットになり、移動の、足の解消が止まってしまえば次のステップにいかなければなりません」
「その間しっかり法案の準備をして、次のステップに、必要なときには移行できるような準備はしっかり進めていく」
○「小さく産んで大きく育てる」
-「日本版ライドシェア」は「蟻の一穴」になりかねない
-二種免許規制の意義
○「悪貨は良貨を駆逐する」
-二種免許規制/事業許可規制の意義
-個人タクシー事業による運転者を含めた、タクシー運転者の労働条件に悪影響を及ぼす可能性


2 タクシー規制の歴史と意義
   久松勇治(ハイタクフォーラム、日本私鉄労働組合総連合会社会保障対策局長) ⬅ こちら「日本労働弁護団の「ライドシェア」の実施に反対する緊急集会② 私が話したこと「タクシー規制緩和の歴史と、それが労働者の生活に及ぼした影響」
3 「ライドシェア」反対の運動と取り組み 
   林悦夫(全国自動車交通労働組合総連合会東京地方連合会書記長)
4 タクシー運転手の声   
   仲間盟(大日本労働組合特別執行委員)
   秋山芳春(東京個人タクシー労働組合執行委員長) 


5 市民の声
 内田聖子(NPOアジア太平洋資料センター(PARC)共同代表)
RS解禁論には反対する理由として、安心・安全を主張するだけでは無理がある。
消費者はクオリティと安いものを同時に求める傾向がある。
RSのビジネスモデルがどのような構造なのかを理解させる必要がある。
公共交通はお金を払ってサービスを受けるだけでなく、移動の権利を担保するものでなければならない。

6 閉会あいさつ
 佐々木亮(日本労働弁護団幹事長)
RS導入は2種免許制度の崩壊であり、しわ寄せは必ずタクシー乗務員など労働者につながる。
ここで歯止めをかけるために反対の声を強くあげていかなければならない。

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日本労働弁護団が、再び、「ライドシェア」に強く反対する声明を発出

2024-05-07 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 しばらく前のことだが、4月5日、日本労働弁護団(佐々木亮幹事長、中村優介常任幹事 事務局次長、中村優介常任幹事 事務局次長、島崎量幹事、木下徹郎幹事)と、タクシー政策議員連盟(旧民主党)の役員(森屋隆事務局長、小宮山泰子幹事長、野田国義副幹事長など)と意見交換を行った。


 労弁からは、「ライドシェア」解禁に反対する理由として、タクシー運転手の労働条件の悪化を招くこと、公共交通としての安全性を脅かすこと、「東京版ライドシェア」も道路運送法の要件を充足しないこと、タクシー事業者との雇用契約締結では弊害防止できないこと、将来的にも雇用契約締結が確保され運用される保障はないこと、などについて示し、その理由を訴えた。
それらに対し、議連役員と、現在の状況や今度の取組について意見交換を行ない、政治の場で、また運動としての展開について議論した。
この意見交換を受けて、4月18日に、「今年の4月8日から東京23区など一部の地域で『日本型ライドシェア』が始まりました。今後は全国各地でも開始されるとの話です。タクシー運転手に必須の二種免許を有さず、自家用車使用のいわゆる『白タク』です。タクシー運転手の待遇悪化のみならず、利用者の安全にも大きく関わる問題です。日本労働弁護団では 過去 にも強く反対する声明を出しました。日本労働弁護団では、ライドシェアの全面解禁に向けたこの動きに、改めて強く反対する声明を出しました。」として、以下の声明が発出された。 ⇒https://roudou-bengodan.org/topics/13000/

「ライドシェア」の実施及び法制化に反対する声明

2024年4月18日
日本労働弁護団 幹事長 佐々木亮

1 はじめに
 2024年4月8日から、東京23区、武蔵野市及び三鷹市において「日本型ライドシェア」が開始され、今後、同様の方式による事業が各地で開始されることが報道されている。「日本型ライドシェア」では、タクシーとは異なり、タクシー車両ではなく自家用車が使用され、普通第二種運転免許(いわゆる「二種免許」)を有していない運転者により運行が行われている。これは、いわゆる「白タク」の合法化に他ならない。
 日本労働弁護団は、「日本型ライドシェア」を含めたあらゆる「ライドシェア」が、タクシー労働者の労働条件悪化を招きかねず、また、公共交通としての安全性を脅かしかねないことから、その実施に反対をしてきた(2024年2月26日付け「『ライドシェア』解禁に反対する緊急声明」)。この「日本型ライドシェア」の実施は、今後、あらゆる「ライドシェア」の実施に途を開くものとなりかねず、タクシー労働者の労働条件をさらに悪化させ、また、公共交通であるタクシーの安全性をも脅かすものである。当弁護団は、改めて、あらゆる「ライドシェア」の実施に反対する。

2 「ライドシェア」の問題点
 そもそも、諸外国における「ライドシェア」は、①事業免許を有さず、また②有償旅客運送のための運転免許(日本では二種免許)を所持しない運転者が、③個人事業主として利用者(消費者)から運送を請け負い、④運転者が所有する自家用自動車を走行させることで運送を行い、その際の運賃は⑤事前に定められ、また、⑥需給バランスによって変動することを、主たる内容とするものである。

 現在、いわゆる「日本型ライドシェア」として実施されているものには、上記②、④、⑤の要素が含まれている。他方、①及び③については既存のタクシー会社が運転者との間で雇用契約を締結することとしており、⑥は実施しないこととなっている。この「日本型ライドシェア」では、タクシー事業者が主体となり運転者と雇用契約を締結することを特徴として強調されているが(ただし、後述のとおり、これら特徴は今後も維持される法的裏付けはない)、最大の問題は、二種免許を有しない運転者(素人ドライバー)に自家用自動車を用いて有償旅客運送事業を担わせてしまう点である。

 あたかも、新たな法制度が創設されたかのような印象を与える報道がなされているが、実際には法改正をせず、道路運送法78条3号が定める「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき」に該当するとして開始されている。

 しかし、同号は、きわめて例外的な場面に限定し自家用自動車による有償旅客運送を許容しているのであって、安易に適用されるものではない。「公共の福祉」の確保に必要であるとの実証的な裏付けも不十分なまま、タクシー不足を理由に方便として開始するこの「日本型ライドシェア」は、「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合」との要件を充足しておらず、違法である。

 しかも、このような「日本型ライドシェア」は、日本のタクシー事業政策が、運転者を二種免許保有者に限定し、タクシー労働者に一般運転者とは異なる地位を与えてきたことに反するものである。また、自家用自動車の参入を許すことは、特に2014年以降はタクシー車両の供給過剰に対する規制をすることによって一台当たりの売上減少によるタクシー労働者の労働条件悪化に対応してきた規制強化の政策決定にも反するものであって、断じて容認できない。そして、「日本型ライドシェア」の要素に加え、上記①、③、⑥の要素を含むものがいわゆる「ライドシェア」である。特に、③については、諸外国において「ライドシェア」運転者の「労働者」性が裁判手続において争われていているところである。当弁護団は、③の特徴を有するいわゆる「ライドシェア」の実施について、本来「労働者」として扱われるべき運転者を形式的に労働関係法制の埒外に置くもので、これにより運転者の法的地位を弱めるものであるから、強く反対する。

3 通達の問題点
 いわゆる「日本型ライドシェア」の実施にあたって、国土交通省は、「法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための地域の自家用車・一般ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取扱いについて」(令和6年3月29日 国自安第181号、国自旅第431号、国自整第282号。以下、「本通達」という。)を定めている。
 かかる通達は、道路運送法78条3号に反するものであるが、以下、本通達の問題点を指摘する。

⑴ デジタル行財政改革会議が中間とりまとめを2023年12月20日に公表した後、東京ハイヤー・タクシー協会は、事業者と自家用自動車の運転者との間で雇用契約を締結することを前提にした「東京版ライドシェア」の実施を表明した。本通達でも、一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受けていることが資格要件とされ、旅客自動車運送事業者を規制する旅客自動車運送事業運輸規則(運輸規則)36条2項が、事業者が運転者を「雇い入れた」場合の運転者に対する指導監督等の義務を定めているため、本通達による「日本型ライドシェア」の実施については、現行の道路運送法上は事業者が運転者との間で雇用契約を締結することを前提にしているものと解釈できるだろう。
 もっとも、本通達は、「日本型ライドシェア」で自家用車と一般ドライバ-を活用するにあたり、法人タクシー事業者が自家用自動車の運転者との間で雇用契約を締結することを直接求めていないので、上記運輸規則の改正により対象から自家用自動車と一般ドライバーを活用する場合を除外してしまえば、雇用契約締結を前提とする運用は容易に潜脱できてしまう。
 そもそも、「日本型ライドシェア」が実施される契機となったデジタル行政改革会議の中間とりまとめでは、「ドライバー〔注:自家用自動車の運転者〕の働き方について、安全の確保を前提に、雇用契約に限らずに検討を進める」とされていることからすると、今後、本通達を雇用契約によらず運用することができるよう、国会による法改正を要しない運輸規則の改正により、運転者を個人事業主として扱う、いわゆる「ライドシェア」の実施が可能となる危険性があり、その途を開くものであるといえる。

⑵ また、「日本型ライドシェア」は、道路運送法78条3号に定める「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合」に国土交通大臣の許可を受けて実施される。本通達は「安全・安心を前提に、地域交通の『担い手』『移動の足』不足を解消することを目的」とするとしながらも、許可基準として、「タクシーが不足する地域、時期及び時間帯並びにそれぞれの不足車両数を、国土交通省が指定していること。」という、極めて抽象的な基準を掲げ、行政のフリーハンドとしていることにも、法治主義の観点から問題がある。
 たとえば、東京特別区・武三交通圏において「日本型ライドシェア」の対象となる時期・時間帯は、平日午前7時から午前10時の間、金曜日及び土曜日午後4時から午後7時の間、土曜日午前0時から午前4時の間、日曜日午前10時から午後1時の間となっており、これは、国土交通省が配車アプリ事業者大手4社から提供を受けたデータに基づいて算出した、マッチング率(アプリを利用した配車依頼件数とこれに対するタクシー運転者の承諾件数から算出した割合)が90%を切る時間帯を前提に設定されている。もっとも、90%を切る時間帯を「タクシーが不足する」とし、これが「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合」と言えるかは疑問である。
 しかも、このデータはアプリを利用した配車依頼とこれに対するタクシー運転者の承諾件数の割合によるものであるから、利用者が流し営業をしているタクシー車両に乗車できた場合や、駅や飲食店付近で客待ちをしているタクシー車両に乗車できた場合は含まれていない。そのため、実際に都市部においてタクシー車両が不足していることを実証的に示しているものとはいえない。
 ちなみに、上記時間帯には、マッチング率が70%を切る時間帯が、交通量の多い朝の通勤時間帯である月曜日と金曜日の午前8時台、労働の負荷が大きい深夜時間帯(労働基準法37条4項参照)である土曜日午前1時から午前4時までの間である。このデータが実態を表しているとしても、このような極めて限定的で、交通事故を起こしやすい時間帯に、自動車運転を生業としない、2種免許を有せず、しかも場合によっては運転者が従事する本業の労働時間以外の時間帯で副業的に、運転者有償旅客運送を行わせることは、むしろ利用者の安全性を脅かし「公共の福祉」に反する事態を生じさせる危険性があるものといえる。
 さらに、2024年3月29日に国土交通省が物流・自動車局旅客課が公表した、報道発表資料の別添1によると、「自家用車活用事業の進め方」として、札幌交通圏、仙台市、県南中央交通圏(埼玉)、千葉交通圏、大阪市域交通圏、神戸市域交通圏、広島交通圏及び福岡交通圏以外の地域においては、「金曜日・土曜日の 16 時台から翌5時台をタクシーが不足する曜日及び時間帯とし、当該営業区域内のタクシー車両数の5%を不足車両数とみなす」こととしたり、さらにこの場合に限らず、「営業区域内の自治体が、特定の曜日及び時間帯における不足車両数を運輸支局へ申し出た場合は、その内容を不足車両数とみな」した上で、タクシー事業者に実施意向がある場合に順次実施するとしている。このような手法は、実態調査に基づくものでは全くなく、「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合」に該当するとは到底言えない。

⑶ また、本通達では、事業者ごとに使用可能な自家用自動車の車両数を地方運輸局長等が通知する範囲内としている。
 自家用自動車の車両数は、マッチング率に応じて定められるものと思われるが、先に述べたとおり、マッチング率は、利用者が流し営業をしているタクシー車両に乗車できた場合や、駅や飲食店付近で客待ちをしているタクシー車両に乗車できた場合を反映していない。そのため、車両が供給過多となり、既存のタクシー事業者において就労するタクシー運転者の就労機会を奪ってしまい、これによって歩合給制を中心とするタクシー運転者の賃金が減少する可能性がある。

⑷ さらに、本通達は、消費者(利用者)保護の観点からも問題がある。本通達は、運送形態・態様として、事業者に対して「運送の引受けに当たって、自家用車活用事業による運送サービスが提供されることについて、利用者の事前の承諾を得ていること。」を求めている。
 しかし、事業者が「事前の承諾」さえとれば、それが包括的なサービス規約の同意であっても許され得る定めになっており(配車依頼時、利用者の承諾を逐一とるようにとの規制はない)たとえば、利用者による配車依頼時に個別に同意を得るのではなく、アプリをインストールする時点や利用規約の変更により、包括的に、アプリを利用する場合には自家用自動車による運送についても承諾を得てしまうことも許されるものとなっている。
 利用者からすれば、2種免許を取得した運転手・タクシー会社の管理する車両であるのか、自家用車と一般ドライバ-であるのかは、安心してタクシーを利用するため大きな関心事であるが、その選択が適切に情報提供されない可能性もある。
 そもそも、このように利用者の選択にかかわる重大な点は、本来は国会での審議を経た法改正を踏まえて行うべきところ、民主的な手続きを経ずに本通達でこのような重大な運用の変更をすることは、利用者(消費者)の視点・行政運営の健全さという観点からも重大な問題がある。

⑸ 本通達では、自家用車活用事業の許可を取り消す手続きが定められていないことも問題である。
 仮に今後タクシー事業者において就労する労働者が増加し、タクシー運転者と利用者のマッチング率が改善した場合には、先に指摘した本通達の目的に照らせば、当該地域において「日本型ライドシェア」を実施する必要性はなくなるはずである。
 しかしながら、許可を取り消す手続が定められていない以上、目的不適合の状態が継続してしまうことになる。
 そうすると、自家用自動車とタクシー車両の合計が供給過多となってしまい、タクシー運転者の労働条件が悪化し、既存のタクシー事業者の経営を悪化させ、ひいては、利用者の利益の安全(道路運送法1条)や公共交通の安全性も脅かされる危険性がある。

⑹ このように、本通達は、いわゆる「ライドシェア」の実施への途を開くものとなる可能性があるだけでなく、2014年以降行われてきた、タクシー車両数を制限することによるタクシー労働者の労働条件悪化に対応する政策に真っ向から反するものであって、本通達による「日本型ライドシェア」の実施は到底容認できない。
 本来、このような重大な政策の変更は、タクシーの車両数制限が国会での審議を経て法改正で行われたのと同様、国会での審議を経た法改正を経て行われるべきであるのに、本通達によって道路運送法78条3号を脱法して自家用車と一般ドライバ-を活用する途を大きく開くことは重大な問題である。

4 あらゆる「ライドシェア」の実施に反対する
 報道によれば、本年6月を目処に、いわゆる「ライドシェア」を実施することが可能となる新法の方針が示される可能性がある。
 しかしながら、本通達をもとに実施される「日本型ライドシェア」についてだけでも上記のように多数の問題点を指摘することができる。
 あらゆる「ライドシェア」は、タクシー運転者の労働条件を悪化させ、公共交通であるタクシーの安全性を脅かし、何よりも、プロフェッショナルとして日本の公共交通を日夜支えるタクシー運転者の労働者としての誇りを踏みにじるものであって到底容認できない。
 日本労働弁護団は、改めて、タクシー事業者を運営主体にする「日本型ライドシェア」を含め、あらゆる「ライドシェア」解禁の動き、その法制化に断固反対する。
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