労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

交運労協「公共交通を守り雇用破壊を許さない」街頭宣伝行動と総決起集会を展開❗

2024-06-18 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 交運労協は6月7日、ライドシェア新法制定反対を目的に、国民の足を守る公共交通の重要性と最低賃金も労働時間規制も保障されないギグワークの問題点を広くアピールするため、「公共交通を守り雇用破壊を許さない」街頭宣伝行動と総決起集会を実施した。街宣には約130人、集会に約300人が参加した。


 住野交運労協議長は、「『担い手』『移動の足』不足解消は改正地域交通法で再構築するべきだ。私たちは安心で安全な公共交通を利用者に提供している」「ライドシェアでギグワーカーがまん延し、公共交通の衰退は諸外国の事例でも明らか。ライドシェア新法は阻止しなくてはいけない」など、交運全体で運動を展開していくとした。


 集会には村上連合副事務局長、近藤政策推進議員懇会長、森屋隆タクシー政策議連事務局長、坂本全タク連最高顧問が駆け付け、慶島交運労協事務局長が基調報告を行った。また、内山関東ハイタク協副議長が「一定の規制こそ乗客の安全・安心を守るために必要不可欠」と決意を表明。「労働者の権利を蔑(ないがし)ろにし、利用者の生命と安全を強欲なプラットフォーマーに切り売りする『ライドシェア新法』制定阻止に向け全力で闘い抜く」とした集会宣言を満場一致で採択した。

集 会 宣 言

 私たちは本日、300名の仲間が結集するなか、ライドシェア新法制定反対を目的とする、公共交通を守り雇用破壊を許さない6.7総決起集会を開催した。

 わが国のタクシー事業は、住民の日常における移動手段として、地域公共交通の役割を担ってきた。しかし、コロナ禍によりタクシー需要の減少が深刻化し、多くの事業者が厳しい経営状況に陥ったほか、歩合給主体の賃金制度による収入激減や感染リスクに対する忌避感の高まりから、乗務員が大幅に離職することとなった。その結果、タクシーの稼働車両数が減少したことにより、コロナ禍後において、回復した移動需要に対してタクシーによる供給を十分に確保できない事態が生じるなど、「移動の足」不足を解消することが喫緊の課題となった。

 政府も昨年12月、「デジタル行財政改革中間とりまとめ」において、地域交通の「担い手」や「移動の足」不足対策として、運転者確保のためのタクシー事業の規制緩和や地域の自家用車・一般ドライバーの活用を図る方針を掲げた。こうした経緯を踏まえ、国土交通省は、「自家用車活用事業」の制度設計を行い、4月からタクシー事業者の運行管理による、いわゆる「日本型ライドシェア」がスタートした。

 一方、ライドシェア推進派は、ドライバーを請負契約として、プラットフォーマーが自由に参入可能な「ライドシェア新法」制定への意欲を燃やし続けており、規制改革推進会議では「新法」に関する議論が活発に行われてきた。結果的に、5月31日に決定された「規制改革推進に関する答申」では、「新法」については「規制所管府省と事務局の間で現時点で具体的な合意に至らなかった」として、「今後の検討課題」として記載されるにとどまり、ライドシェア解禁に向けた激流を土俵際で押し返すことができた。これは、私たち交運労協の運動の一定の成果であるといえる。

 しかし、油断は許されない。「今後の検討課題」では、「タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業を位置づける新たな法制度について、次期通常国会の法案提出を視野に、年末に向けて法案化作業を直ちに開始すべきである」としており、ライドシェア推進派の執念を甘く見てはならない。
「自家用車活用事業」の運行開始と併せ、都市部を中心にタクシー乗務員も着実に増加しており、「ライドシェア新法」の根拠となった「タクシーの供給力不足」は解消されつつある。したがって、「新法」は立法事実そのものが存在せず、地域公共交通と正規雇用を破壊する結果しかもたらさない「天下の悪法」には断固反対しなければならない。

 私たち交運労協に結集する60万人の仲間は、労働者の権利を蔑ろにし、利用者の生命と安全を強欲なプラットフォーマーに切り売りする「ライドシェア新法」制定阻止に向け、全力で闘い抜くことを宣言する。
2024年6月7日
公共交通を守り雇用破壊を許さない6.7総決起集会


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日本労働弁護団の「ライドシェア」の実施に反対する緊急集会② 私が話したこと「タクシー規制緩和の歴史と、それが労働者の生活に及ぼした影響」

2024-06-12 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 私の発言は18分55秒~36分12秒のあたり。


 6月5日、日本労働弁護団が、「#ライドシェア 」の実施に反対する緊急集会。
2人目のスピーカーとして、ハイタクフォーラムを代表して、私が「タクシー規制緩和の歴史と、それが労働者の生活に及ぼした影響」について、15分ほど(実際は1分ちょっと持ち時間超過)お話しをさせてもらった。


 本日は、全自交労連、交通労連ハイタク部会、私鉄総連ハイタク協議会で組織、運動を展開しているハイタクフォーラムを代表して、タクシー規制緩和の歴史と、それが労働者の生活に及ぼした影響をお話しさせていただきます。
私たちは、ウーバーが、2015年2月に福岡で実証実験と称してライドシェアを展開しようとして以来、一貫してライドシェア阻止の運動を展開しています。
世界的に見ても利便性・安全性の高いタクシー、公共交通を持つ日本に、ライドシェアは不要です。

 4月から、自家用車活用事業、日本型ライドシェアが始まっていますが、ライドシェア全面解禁やタクシーが足りないという現状の中での対案ということでは、しかたがないかと感じている部分もあります。
しかし、この制度は「二種免許」やプロドライバーとしての矜持という点で納得はできず、そもそも運転者不足は賃金や労働条件の改善で確保すべきであることは言うまでもありません、ということは主張します。
そして、タクシー運転者資格、二種免許のない、一種免許の運転者が、事業用自動車、緑ナンバーで、有償運送を行うことも許されており、これは、利用者に対する欺瞞であり、緑ナンバーに対する利用者からの信頼を崩壊させる行為であるということ
ドライバーの選任については、運輸規則第36 条を適用し、雇用契約によるものとすること、「公共の福祉を確保するためやむを得ない」事由が消滅した際には、速やかに供給を停止すること、などの問題についても、引き続き主張していきます。


 さて、規制緩和など、過去からのタクシー事業の流れです。
タクシーの事業者団体が提供してくれた資料(TAXI TODAY in Japan 2023)の、17ページを見ながらお聞きください。

 私は1988年、23歳の時にタクシードライバーになりました。当時、大阪では一番若いタクシードライバーでした。

 まだバブルの頃というのもあって、売上は上がりましたし、20代であっても年収は500万円と稼げていました。
休んでも同僚に迷惑がかかる仕事ではないですから有給休暇はしっかり取ることが出来、そして自動車運転者は、労務改善基準告示で労働時間規制が厳しいこともあって、月間の労働時間は多くて200時間程度、と、前職のサラリーマン時代と比較すると、賃金が増え、家族や趣味の時間が増えるなど、なんていい仕事なんだ、と思っていました。

 そのうちバブルがはじけて、景気が悪くなって、状況は悪くはなりましたが、それでもがんばれが何とか稼げていました。


 状況が大きく変わったのは、2002年の規制緩和です。
3ページとか、7ページのあたりを見ながらお聞きください。

 道路運送法が改正され、需給調整規制が廃止、新規参入や増車、増車とは保有車両数を増やすことですが、自由化され、運賃や料金の規制も大幅に緩和されました。

 全国で、雨後のタケノコかのように、新規参入に増車で、町中にはタクシー車両があふれかえりました。
ワンコインタクシーや、深夜割増運賃を取らない会社、大阪では5000円以上を半額にするという遠距離割引運賃がスタンダード化する等、ただでさえ景気の落ち込みでタクシー需要が落ちているのに、熾烈な運賃ダンピング競争が勃発しました。

 稼ぐためには少しでも長い時間走りたいと、入庫せずに家にタクシーを持ち帰ったり、大阪空港などでは長距離客を狙うためにタクシーに生活道具を積み込んで、乗り場で寝泊まりする運転者、長時間労働で疲れたのか、ちょっと裏通りに入ると、仮眠をとるタクシーが、死んでるんじゃないかと思うほどにいました。
また、「企業内個人タクシー」と称して、運転者との雇用契約をあいまいにし、所得税や消費税の納税、社会保険料の事業主負担をおこなわず、点呼などもせずに、タクシーの車両表示を外して、自家用車として通勤などに利用させる事業者などが登場しました。

 私の出身は京阪神で営業している阪急タクシーですが、うちはかなり労働時間管理にはうるさい会社なのです。
もちろんいいことなんですが、それじゃあ稼げないと、運行管理が緩い、いや、事実上ないタクシー会社に移っていく仲間、もはやタクシーには見切りをつけて、他の業種に転職していく仲間が多数発生しました。
残っているのは、労働市場厳しい折ですし、いい転職が見込めない中高齢の先輩方か、年金もらいながらなのであくせく働かなくてもよい高齢者が残り、うちの阪急タクシーの場合、規制緩和までは運転者の平均年齢が40歳代前半だったのが、一気に50歳代後半まで上がってしまいました。

 昭和30年代の神風タクシーとまでは言いませんが、こんな過当競争ですから、無謀運転や過労運転による事故は増加しました。
さらには客待ちタクシーによる渋滞で都市交通の麻痺や渋滞を各地で発生させました。
大阪の梅田新道というところでは、国道2号線で、客待ちタクシーが全車線をふさぎ、救急車や消防車さえ、立ち往生するほどで、社会問題になるほどでした。

 タクシー労働者の賃金の低下もすさまじく、タクシーはワーキングプアの代表格とまで言われる状態となりました。
2006年1月14日、NHKスペシャルでは「タクシードライバーは眠れない~規制緩和・過酷な競争~」という特番が放映され、タクシー業界の厳しさが広く知られるようになりました。
そうなってくると、タクシーは稼げない、と、運転者の減少がさらに進んでいきます。
誰もやってくれませんよ。

 当時、政府の規制改革を推進する会議で長らく議長を務めたのが、オリックスの宮内さんですが、新規参入や増車する会社は、タクシー車両を調達するのにオリックスでリースし、オリックスで自動車保険に加入し、ってことで一番儲けたのは彼だけではなかったのでしょうか。

 「企業内個人タクシー」については、お配りしていますが、2008年に国土交通省は「タクシー事業における名義貸し行為の判断基準」という通達を発出。
雇用関係については、運転者との雇用契約が締結されていない、社会保険料や源泉徴収が行われていない、
経理処理関係では、運賃・料金収入の全額が、事業者収入に計上されていない、事業運営に要する経費を許可事業者が負担していない、
運行管理関係では、点呼が適切に実施されていない、指導及び監督が適切に行われていない、
車両管理関係では、事業用自動車等の管理を事業者が行っていない、車両購入契約を許可事業者が行っていない、
事故処理関係では、事故発生後の交渉や損害賠償を事業者が行っていない、など、判断基準が示されており、個々の行為について道路運送法等に違反する事実が認められる場合は、当然、必要な行政処分等を行い、その是正を図る、また、運転者に対する労働基準法等に基づく適正な労働者保護がなされていないなど、所管法令以外の法令違反の疑いがある場合においては、関係機関と連携の上、その是正を図るとしました。

 この労働者性の問題は、ニューヨークなどライドシェアが世界で巻き起こしてきた問題、日本でのフードデリバリーなどギグワーカーで発生している問題が、タクシーの規制緩和で、すでに日本で起こっていたともいえます。

 その後、政府は「タクシーに市場原理は働かなかった」として規制緩和の失敗を認め、2009年に「特定地域におけるタクシーの適正化・活性化特別措置法」により、供給過剰になって問題が発生している地域について、新規参入と増車の禁止、運賃について上限下限運賃の設定を定めました。
2014年にこの特措法を改正し、タクシーの総量の削減と運賃についてさらに規制を強化するに至りました。
この法律によって、タクシー産業の危機を脱した、問題が解決したかというとそうとは言えないのが残念ですが、少なくとも最悪になるという状況は脱っしれかたと思います。

 この特措法の効果で、供給過剰の状態は徐々に改善されていき、それに伴い、総運送収入や乗車人員の減少に歯止めは掛からないものの、1日1両当たりの売上は徐々に増加したことによって、運転者の賃金は、2010年を底に、微妙にですが回復していく傾向となりました。

 しかし、再び状況が大きく変わったのは、2020年からのコロナ禍です。

 外出の制限により、タクシーを利用する人が皆無となり、タクシーを走らせても、いつまで経っても乗ってくださる人を見つけられないという状況となりました。
運転者にとっては、走っても走っても、法定の地域別最低賃金しか稼げず、それなら休ませてもらって、雇用調整助成金を活用した休業補償をしてもらっている方がよっぽどいいし、タクシー事業者も車を止めている方が燃料代もかからないんで、いいんですが、しかし公共交通として、全休させるわけにもいかず…。

 コロナ禍であっても、持病で通院しなくてはならない方もありますし、医療機関や保健施設、公共交通機関など、社会インフラなどで働くエッセンシャルワーカーをお送りしなくてはなりません。またコロナの検査施設から医療機関への輸送の要請もあります。
けっきょくタクシードライバーもエッセンシャルワーカーであり、公共交通としての責任もありますから、一定数の稼働は必要ですので、全国で、仲間は、そして事業者は頑張りました。
当初は、無線で呼ばれてお迎えに言ったら、宇宙服みたいな恰好をした人が、「この人、感染疑いだから病院までお願いね」と、まったく無防備な状態な運転者が、怖い思いをしたという報告が全国から上がっていましたが。
その後は、創意工夫しながら感染対策を施し、自治体によっては地方創生臨時交付金を活用し、運転席と後部座席との減圧など、高度な対策も取ってもらいました。
大阪の維新首長は一切、やってくれませんでしたが。

 ただ、この間、感染症発生当初は、高齢の運転者、基礎疾患のある運転者は、自らの感染を恐れるあまり、または家族に懇願されて、多くの仲間がタクシー業界から去ってしまいました。
そして感染症が長引くにつれ、若い運転者が、いつになったら稼げるんだ、と、将来不安からこの業界を去っていきました。
全国の法人タクシーの運転者数は、コロナ禍の4年間で、6万人減少してしまいました。

 このことで、5類移行後、人流がようやく回復したときに「タクシーが足りない」という声となり、ライドシェア解禁論者の都合のいい口実とされてしまいました。


 現在のタクシーの状況です。
タクシーの運賃は、地域ごとに定められるものとされており、全国には101の運賃ブロックがあります。
規制緩和で価格競争が激しかったころは、なかなか運賃値上げが出来なかったのですが、車両購入費や維持費が上がっていますし、安全やサービスに対する費用も増加しています。
なにより運転者の賃金や労働条件も改善していかなければならない、ということで2020年より全国的に運賃改定が取り組まれており、今現在、全国すべて、101の運賃ブロックで運賃改定をさせていただいています。
これにより、運転者の売上げも上がっていまして、歩合給中心の賃金体系でありますから、増収すなわち、賃金アップとなります。

 配布しています、2023年の、厚生労働省の賃金構造基本統計調査によりますと、タクシー運転者の推定年収は全国平均で419万円、前年より58万円アップしています。
タクシー運転者の過去のピークが、1991年の430万2800円、それに迫る数字になっています。
運転者数の多い東京・神奈川・大阪が平均を大きく上げているようでありまして、一方で17府県が昨年より減となっているので、地域によって差がある点は注視が必要だと思っていますが、順次、運賃改定が実施されていますので、今後も賃金改善のトレンドは続くと思われます。

 タクシーは稼げる。
そうなると、他業種からタクシーに転職される方が多くあり、また、一度、この業界から去った仲間も戻ってきてくれています。
タクシーが足りないと言われますが、今現在、確実に、運転者は都市部から増加に転じています。
この賃金改善と運転者の増加を、ライドシェア解禁の動向が水を差すことを懸念しています。

 ドアツードアの公共交通、個別輸送機関としての公共交通であるタクシー。
それを、整備が充分であるかどうかわからない自家用車や、酒気帯びかどうかさえわからない、教育も管理もろくにされていない素人運転手をあてにするのではなく、プロドライバーである私たちに任せてくれませんか。
ついでながら言っておきますと、二種免許って、試験自体が難しいだけでなく、視力検査は、一種より厳しい、片眼で0.5以上両眼で0.8以上の視力が必要です。
さらに、深視力という立体視における遠近感や立体感を測る検査において合格する必要があります。
これは一種免許ではありません。
免許の更新の際、私も先月、免許の更新でしたが、この深視力の検査、緊張します。
これに通らないと、二種免許がはく奪されてしまいますから。
自分はコンタクトですが、いつも眼鏡を二種類持っていきますが、今回はちゃんと1回で合格しました。
お酒に関して、道路交通法では、呼気1リットル中アルコールが、0.15mg以上だと酒気帯び運転とされますが、事業用自動車の運行管理規則によって、プロドライバーは0.01㎎であっても、アルコールが検出されると酒気帯びとなり乗務させられません。
プロドライバーは、勤務前日のお酒の飲み方にも細心の注意を払っています。

 人命を預かるプロドライバーがプロであるのには、理由があると思っています。
医者が足りないからといって、医大生や看護師に医療をさせようとはならないと思います。
弁護士が足りないからといって、法律に詳しい人に弁護をさせてもいいとはならないと思います。
タクシーだと、なぜライドシェアなのでしょうか?

 保育士が足りない、看護師が足りない、介護士が足りない、それなら処遇改善加算で、税金で賃金の改善をしてあげよう、となるのに、
どうしてタクシードライバーが足りないと、ライドシェアなのでしょうか。

 私たちは、徹底して、ライドシェア新法阻止、ライドシェア解禁阻止のために運動を展開していきます。
ご清聴ありがとうございました。

【12🏃Run5-30 5.10km 34:13 枚方河川敷公園】


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日本労働弁護団の「ライドシェア」の実施に反対する緊急集会①

2024-06-07 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 6月5日、日本労働弁護団が、「#ライドシェア 」の実施に反対する緊急集会を開催❗
まずは日本版「ライドシェア」の問題点について、日本労働弁護団常任幹事の中村優介弁護士が問題を提起。


1 「日本型ライドシェア」とは
⑴ 「ライドシェア」の特徴
①事業許可なし
②有償旅客運送のための運転免許(日本では二種免許)なし
③運転者は個人事業主
④運転者所有の自家用自動車により運送
⑤運賃事前確定
⑥運賃が需給バランスによって変動



⑵ 「日本型ライドシェア」の特徴
・既存のタクシー会社と運転者が雇用契約を締結(①③)
・二種免許不要(②)、自家用車による運送(④)、運賃事前確定(⑤)
・変動運賃制なし
⑶ 「日本型ライドシェア」と既存のタクシー運転者との違い
→二種免許の要否/自家用車か事業用車か
※個人タクシー運転者は事業許可を得て(①)事業用車で運送(④)

2 「行きすぎた」規制緩和と規制強化の流れ
・2000年道路運送法改正(2002年施行)による新規参入及び車両の大幅増加
・2013年改正タクシー特措法による、車両台数規制を通じたタクシー運転者の労働条件改善
・2016年国家戦略特区法改正でも歯止め(参議院附帯決議第4項「いわゆる「ライドシェア」の導入は認めないこと。」、同第5項「自家用自動車による有償運送において、観光客等を対象にする場合には、運転手に第二種運転免許の取得者を充てるなど、タクシー事業者に準じた安全対策を講ずること。」)



3 「日本型ライドシェア」実施のための通達の問題点
⑴ 道路運送法78条3号(自家用自動車を有償運送に利用できる場合)
○「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき」
・通学通園のため、学校等が自家用自動車で行う有償旅客運送
・訪問介護事業者がタクシー事業の許可を得て行う、訪問介護員等による自家用自動車による有償旅客運送
など
○「法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための地域の自家用車・一般ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取扱いについて」(令和6年3月29日 国自安第181号、国自旅第431号、国自整第282号)により、「日本型ライドシェア」を実施

⑵ 通達の問題点
①「雇用契約」の縛りなし
→運輸規則の改正により個人事業主の運転者を排除し得ない。
→「ライドシェア」一般に拡大する可能性
②あいまいな許可基準
「タクシーが不足する地域、時期及び時間帯並びにそれぞれの不足車両数を、国土交通省が指定していること。」
・アプリのマッチング率のみで調査を行い、マッチング率が90%を切る時間帯を「不足」として判断している。
・一部地域については、「金曜日・土曜日の 16 時台から翌5時台をタクシーが不足する曜日及び時間帯とし、当該営業区域内のタクシー車両数の5%を不足車両数とみなす」こととしたり、さらにこの場合に限らず、「営業区域内の自治体が、特定の曜日及び時間帯における不足車両数を運輸支局へ申し出た場合は、その内容を不足車両数とみな」すこととしている。
…事実上、台数規制を緩和
→既存のタクシー労働者の賃金に影響する可能性
③消費者の選択権なし
…アプリ上でタクシーか自家用車かを選択できるようにする制限なし。
←アプリインストール時の「事前の承諾」で許容して良いのか?

4 おわりに-今後の議論の方向性?
○2024年5月31日開催 第19回規制改革推進会議
・「ライドシェア事業に係る法制度についての論点整理」
・岸田文雄内閣総理大臣発言「特に、デジタルを活用して、全国の移動の足不足の解消への道筋を付けるという観点から、規制改革推進会議における議論を踏まえ、安全を前提に、いわゆるライドシェアを全国で広く利用できるようにする必要があります。
斉藤大臣及び河野大臣におかれては、全国の移動の足不足の解消に向けて、自家用車活用事業等について、モニタリングを進め、検証を行ってください。その一環として、できるだけ早期に、その時点での検証結果の評価を行ってください。
並行して、こうした検証の間、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業について、本日の論点整理を踏まえ、法制度を含めて事業の在り方の議論を進めてください。」
○河野太郎規制改革担当大臣(2024年5月31日記者会見)
「これから全国各地でライドシェアが始まりますので、少なくとも年内はそういった状況を見ながらモニタリングをしっかりやっていきたい」
「移動の制約がなくなれば様子を見守れば良い」
「進行の状況がフラットになり、移動の、足の解消が止まってしまえば次のステップにいかなければなりません」
「その間しっかり法案の準備をして、次のステップに、必要なときには移行できるような準備はしっかり進めていく」
○「小さく産んで大きく育てる」
-「日本版ライドシェア」は「蟻の一穴」になりかねない
-二種免許規制の意義
○「悪貨は良貨を駆逐する」
-二種免許規制/事業許可規制の意義
-個人タクシー事業による運転者を含めた、タクシー運転者の労働条件に悪影響を及ぼす可能性


2 タクシー規制の歴史と意義
   久松勇治(ハイタクフォーラム、日本私鉄労働組合総連合会社会保障対策局長) ⬅ こちら「日本労働弁護団の「ライドシェア」の実施に反対する緊急集会② 私が話したこと「タクシー規制緩和の歴史と、それが労働者の生活に及ぼした影響」
3 「ライドシェア」反対の運動と取り組み 
   林悦夫(全国自動車交通労働組合総連合会東京地方連合会書記長)
4 タクシー運転手の声   
   仲間盟(大日本労働組合特別執行委員)
   秋山芳春(東京個人タクシー労働組合執行委員長) 


5 市民の声
 内田聖子(NPOアジア太平洋資料センター(PARC)共同代表)
RS解禁論には反対する理由として、安心・安全を主張するだけでは無理がある。
消費者はクオリティと安いものを同時に求める傾向がある。
RSのビジネスモデルがどのような構造なのかを理解させる必要がある。
公共交通はお金を払ってサービスを受けるだけでなく、移動の権利を担保するものでなければならない。

6 閉会あいさつ
 佐々木亮(日本労働弁護団幹事長)
RS導入は2種免許制度の崩壊であり、しわ寄せは必ずタクシー乗務員など労働者につながる。
ここで歯止めをかけるために反対の声を強くあげていかなければならない。

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日本労働弁護団が、再び、「ライドシェア」に強く反対する声明を発出

2024-05-07 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 しばらく前のことだが、4月5日、日本労働弁護団(佐々木亮幹事長、中村優介常任幹事 事務局次長、中村優介常任幹事 事務局次長、島崎量幹事、木下徹郎幹事)と、タクシー政策議員連盟(旧民主党)の役員(森屋隆事務局長、小宮山泰子幹事長、野田国義副幹事長など)と意見交換を行った。


 労弁からは、「ライドシェア」解禁に反対する理由として、タクシー運転手の労働条件の悪化を招くこと、公共交通としての安全性を脅かすこと、「東京版ライドシェア」も道路運送法の要件を充足しないこと、タクシー事業者との雇用契約締結では弊害防止できないこと、将来的にも雇用契約締結が確保され運用される保障はないこと、などについて示し、その理由を訴えた。
それらに対し、議連役員と、現在の状況や今度の取組について意見交換を行ない、政治の場で、また運動としての展開について議論した。
この意見交換を受けて、4月18日に、「今年の4月8日から東京23区など一部の地域で『日本型ライドシェア』が始まりました。今後は全国各地でも開始されるとの話です。タクシー運転手に必須の二種免許を有さず、自家用車使用のいわゆる『白タク』です。タクシー運転手の待遇悪化のみならず、利用者の安全にも大きく関わる問題です。日本労働弁護団では 過去 にも強く反対する声明を出しました。日本労働弁護団では、ライドシェアの全面解禁に向けたこの動きに、改めて強く反対する声明を出しました。」として、以下の声明が発出された。 ⇒https://roudou-bengodan.org/topics/13000/

「ライドシェア」の実施及び法制化に反対する声明

2024年4月18日
日本労働弁護団 幹事長 佐々木亮

1 はじめに
 2024年4月8日から、東京23区、武蔵野市及び三鷹市において「日本型ライドシェア」が開始され、今後、同様の方式による事業が各地で開始されることが報道されている。「日本型ライドシェア」では、タクシーとは異なり、タクシー車両ではなく自家用車が使用され、普通第二種運転免許(いわゆる「二種免許」)を有していない運転者により運行が行われている。これは、いわゆる「白タク」の合法化に他ならない。
 日本労働弁護団は、「日本型ライドシェア」を含めたあらゆる「ライドシェア」が、タクシー労働者の労働条件悪化を招きかねず、また、公共交通としての安全性を脅かしかねないことから、その実施に反対をしてきた(2024年2月26日付け「『ライドシェア』解禁に反対する緊急声明」)。この「日本型ライドシェア」の実施は、今後、あらゆる「ライドシェア」の実施に途を開くものとなりかねず、タクシー労働者の労働条件をさらに悪化させ、また、公共交通であるタクシーの安全性をも脅かすものである。当弁護団は、改めて、あらゆる「ライドシェア」の実施に反対する。

2 「ライドシェア」の問題点
 そもそも、諸外国における「ライドシェア」は、①事業免許を有さず、また②有償旅客運送のための運転免許(日本では二種免許)を所持しない運転者が、③個人事業主として利用者(消費者)から運送を請け負い、④運転者が所有する自家用自動車を走行させることで運送を行い、その際の運賃は⑤事前に定められ、また、⑥需給バランスによって変動することを、主たる内容とするものである。

 現在、いわゆる「日本型ライドシェア」として実施されているものには、上記②、④、⑤の要素が含まれている。他方、①及び③については既存のタクシー会社が運転者との間で雇用契約を締結することとしており、⑥は実施しないこととなっている。この「日本型ライドシェア」では、タクシー事業者が主体となり運転者と雇用契約を締結することを特徴として強調されているが(ただし、後述のとおり、これら特徴は今後も維持される法的裏付けはない)、最大の問題は、二種免許を有しない運転者(素人ドライバー)に自家用自動車を用いて有償旅客運送事業を担わせてしまう点である。

 あたかも、新たな法制度が創設されたかのような印象を与える報道がなされているが、実際には法改正をせず、道路運送法78条3号が定める「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき」に該当するとして開始されている。

 しかし、同号は、きわめて例外的な場面に限定し自家用自動車による有償旅客運送を許容しているのであって、安易に適用されるものではない。「公共の福祉」の確保に必要であるとの実証的な裏付けも不十分なまま、タクシー不足を理由に方便として開始するこの「日本型ライドシェア」は、「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合」との要件を充足しておらず、違法である。

 しかも、このような「日本型ライドシェア」は、日本のタクシー事業政策が、運転者を二種免許保有者に限定し、タクシー労働者に一般運転者とは異なる地位を与えてきたことに反するものである。また、自家用自動車の参入を許すことは、特に2014年以降はタクシー車両の供給過剰に対する規制をすることによって一台当たりの売上減少によるタクシー労働者の労働条件悪化に対応してきた規制強化の政策決定にも反するものであって、断じて容認できない。そして、「日本型ライドシェア」の要素に加え、上記①、③、⑥の要素を含むものがいわゆる「ライドシェア」である。特に、③については、諸外国において「ライドシェア」運転者の「労働者」性が裁判手続において争われていているところである。当弁護団は、③の特徴を有するいわゆる「ライドシェア」の実施について、本来「労働者」として扱われるべき運転者を形式的に労働関係法制の埒外に置くもので、これにより運転者の法的地位を弱めるものであるから、強く反対する。

3 通達の問題点
 いわゆる「日本型ライドシェア」の実施にあたって、国土交通省は、「法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための地域の自家用車・一般ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取扱いについて」(令和6年3月29日 国自安第181号、国自旅第431号、国自整第282号。以下、「本通達」という。)を定めている。
 かかる通達は、道路運送法78条3号に反するものであるが、以下、本通達の問題点を指摘する。

⑴ デジタル行財政改革会議が中間とりまとめを2023年12月20日に公表した後、東京ハイヤー・タクシー協会は、事業者と自家用自動車の運転者との間で雇用契約を締結することを前提にした「東京版ライドシェア」の実施を表明した。本通達でも、一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受けていることが資格要件とされ、旅客自動車運送事業者を規制する旅客自動車運送事業運輸規則(運輸規則)36条2項が、事業者が運転者を「雇い入れた」場合の運転者に対する指導監督等の義務を定めているため、本通達による「日本型ライドシェア」の実施については、現行の道路運送法上は事業者が運転者との間で雇用契約を締結することを前提にしているものと解釈できるだろう。
 もっとも、本通達は、「日本型ライドシェア」で自家用車と一般ドライバ-を活用するにあたり、法人タクシー事業者が自家用自動車の運転者との間で雇用契約を締結することを直接求めていないので、上記運輸規則の改正により対象から自家用自動車と一般ドライバーを活用する場合を除外してしまえば、雇用契約締結を前提とする運用は容易に潜脱できてしまう。
 そもそも、「日本型ライドシェア」が実施される契機となったデジタル行政改革会議の中間とりまとめでは、「ドライバー〔注:自家用自動車の運転者〕の働き方について、安全の確保を前提に、雇用契約に限らずに検討を進める」とされていることからすると、今後、本通達を雇用契約によらず運用することができるよう、国会による法改正を要しない運輸規則の改正により、運転者を個人事業主として扱う、いわゆる「ライドシェア」の実施が可能となる危険性があり、その途を開くものであるといえる。

⑵ また、「日本型ライドシェア」は、道路運送法78条3号に定める「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合」に国土交通大臣の許可を受けて実施される。本通達は「安全・安心を前提に、地域交通の『担い手』『移動の足』不足を解消することを目的」とするとしながらも、許可基準として、「タクシーが不足する地域、時期及び時間帯並びにそれぞれの不足車両数を、国土交通省が指定していること。」という、極めて抽象的な基準を掲げ、行政のフリーハンドとしていることにも、法治主義の観点から問題がある。
 たとえば、東京特別区・武三交通圏において「日本型ライドシェア」の対象となる時期・時間帯は、平日午前7時から午前10時の間、金曜日及び土曜日午後4時から午後7時の間、土曜日午前0時から午前4時の間、日曜日午前10時から午後1時の間となっており、これは、国土交通省が配車アプリ事業者大手4社から提供を受けたデータに基づいて算出した、マッチング率(アプリを利用した配車依頼件数とこれに対するタクシー運転者の承諾件数から算出した割合)が90%を切る時間帯を前提に設定されている。もっとも、90%を切る時間帯を「タクシーが不足する」とし、これが「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合」と言えるかは疑問である。
 しかも、このデータはアプリを利用した配車依頼とこれに対するタクシー運転者の承諾件数の割合によるものであるから、利用者が流し営業をしているタクシー車両に乗車できた場合や、駅や飲食店付近で客待ちをしているタクシー車両に乗車できた場合は含まれていない。そのため、実際に都市部においてタクシー車両が不足していることを実証的に示しているものとはいえない。
 ちなみに、上記時間帯には、マッチング率が70%を切る時間帯が、交通量の多い朝の通勤時間帯である月曜日と金曜日の午前8時台、労働の負荷が大きい深夜時間帯(労働基準法37条4項参照)である土曜日午前1時から午前4時までの間である。このデータが実態を表しているとしても、このような極めて限定的で、交通事故を起こしやすい時間帯に、自動車運転を生業としない、2種免許を有せず、しかも場合によっては運転者が従事する本業の労働時間以外の時間帯で副業的に、運転者有償旅客運送を行わせることは、むしろ利用者の安全性を脅かし「公共の福祉」に反する事態を生じさせる危険性があるものといえる。
 さらに、2024年3月29日に国土交通省が物流・自動車局旅客課が公表した、報道発表資料の別添1によると、「自家用車活用事業の進め方」として、札幌交通圏、仙台市、県南中央交通圏(埼玉)、千葉交通圏、大阪市域交通圏、神戸市域交通圏、広島交通圏及び福岡交通圏以外の地域においては、「金曜日・土曜日の 16 時台から翌5時台をタクシーが不足する曜日及び時間帯とし、当該営業区域内のタクシー車両数の5%を不足車両数とみなす」こととしたり、さらにこの場合に限らず、「営業区域内の自治体が、特定の曜日及び時間帯における不足車両数を運輸支局へ申し出た場合は、その内容を不足車両数とみな」した上で、タクシー事業者に実施意向がある場合に順次実施するとしている。このような手法は、実態調査に基づくものでは全くなく、「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合」に該当するとは到底言えない。

⑶ また、本通達では、事業者ごとに使用可能な自家用自動車の車両数を地方運輸局長等が通知する範囲内としている。
 自家用自動車の車両数は、マッチング率に応じて定められるものと思われるが、先に述べたとおり、マッチング率は、利用者が流し営業をしているタクシー車両に乗車できた場合や、駅や飲食店付近で客待ちをしているタクシー車両に乗車できた場合を反映していない。そのため、車両が供給過多となり、既存のタクシー事業者において就労するタクシー運転者の就労機会を奪ってしまい、これによって歩合給制を中心とするタクシー運転者の賃金が減少する可能性がある。

⑷ さらに、本通達は、消費者(利用者)保護の観点からも問題がある。本通達は、運送形態・態様として、事業者に対して「運送の引受けに当たって、自家用車活用事業による運送サービスが提供されることについて、利用者の事前の承諾を得ていること。」を求めている。
 しかし、事業者が「事前の承諾」さえとれば、それが包括的なサービス規約の同意であっても許され得る定めになっており(配車依頼時、利用者の承諾を逐一とるようにとの規制はない)たとえば、利用者による配車依頼時に個別に同意を得るのではなく、アプリをインストールする時点や利用規約の変更により、包括的に、アプリを利用する場合には自家用自動車による運送についても承諾を得てしまうことも許されるものとなっている。
 利用者からすれば、2種免許を取得した運転手・タクシー会社の管理する車両であるのか、自家用車と一般ドライバ-であるのかは、安心してタクシーを利用するため大きな関心事であるが、その選択が適切に情報提供されない可能性もある。
 そもそも、このように利用者の選択にかかわる重大な点は、本来は国会での審議を経た法改正を踏まえて行うべきところ、民主的な手続きを経ずに本通達でこのような重大な運用の変更をすることは、利用者(消費者)の視点・行政運営の健全さという観点からも重大な問題がある。

⑸ 本通達では、自家用車活用事業の許可を取り消す手続きが定められていないことも問題である。
 仮に今後タクシー事業者において就労する労働者が増加し、タクシー運転者と利用者のマッチング率が改善した場合には、先に指摘した本通達の目的に照らせば、当該地域において「日本型ライドシェア」を実施する必要性はなくなるはずである。
 しかしながら、許可を取り消す手続が定められていない以上、目的不適合の状態が継続してしまうことになる。
 そうすると、自家用自動車とタクシー車両の合計が供給過多となってしまい、タクシー運転者の労働条件が悪化し、既存のタクシー事業者の経営を悪化させ、ひいては、利用者の利益の安全(道路運送法1条)や公共交通の安全性も脅かされる危険性がある。

⑹ このように、本通達は、いわゆる「ライドシェア」の実施への途を開くものとなる可能性があるだけでなく、2014年以降行われてきた、タクシー車両数を制限することによるタクシー労働者の労働条件悪化に対応する政策に真っ向から反するものであって、本通達による「日本型ライドシェア」の実施は到底容認できない。
 本来、このような重大な政策の変更は、タクシーの車両数制限が国会での審議を経て法改正で行われたのと同様、国会での審議を経た法改正を経て行われるべきであるのに、本通達によって道路運送法78条3号を脱法して自家用車と一般ドライバ-を活用する途を大きく開くことは重大な問題である。

4 あらゆる「ライドシェア」の実施に反対する
 報道によれば、本年6月を目処に、いわゆる「ライドシェア」を実施することが可能となる新法の方針が示される可能性がある。
 しかしながら、本通達をもとに実施される「日本型ライドシェア」についてだけでも上記のように多数の問題点を指摘することができる。
 あらゆる「ライドシェア」は、タクシー運転者の労働条件を悪化させ、公共交通であるタクシーの安全性を脅かし、何よりも、プロフェッショナルとして日本の公共交通を日夜支えるタクシー運転者の労働者としての誇りを踏みにじるものであって到底容認できない。
 日本労働弁護団は、改めて、タクシー事業者を運営主体にする「日本型ライドシェア」を含め、あらゆる「ライドシェア」解禁の動き、その法制化に断固反対する。
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【文字起こし】枝野幸男タク議連顧問のご挨拶(ハイタクフォーラム国土交通省要請)

2024-03-13 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!
 3月7日、衆議院第一議員会館で、ハイタクフォーラム(私鉄総連・全自交労連・交通労連)は、全国から約150人が参加し、厚生労働省に「ハイヤー・タクシー運転者の労働問題に係る重点要請」、国土交通省に「タクシー関連法ならびにその附帯決議の厳格な運用および、白タク(ライドシェア)合法化反対の要請」を提出し、それぞれに、要請行動を展開した。
その国土交通省要請の際に、タクシー政策議員連盟を代表しての、枝野幸男衆議院議員のご挨拶を文字起こし。


 ハイタクフォーラムの皆さんお疲れ様でございます。
そして、国土交通省の皆さんには、連日ご多忙の中を、今日、こうした場を作っていただきましてありがとうございます。
議連の会長の辻元さんが、今、予算委員会の真っ最中だと思いますので、代表して挨拶をさせていただきます。

 私たちはそれが当たり前の中で生きてきましたが、日本では、誰もが安心して安全に、ハイヤー・タクシーを利用することができます。
現時点でも、世界の中で、こうした状況の国は決して多数ではないというふうに思います。

 今回の要請のタイトルにも「白タク合法化反対」という言葉が入っております。
ただ、おそらくもちろん業界の皆様はご存知だと思いますが、白タクという言葉は知っているのは多分、我々の世代が一番若い世代じゃないか。
逆に言えば、この30年、40年というのは、白タクというような危ないもののリスクを感じることなく、この国では生きてくることができました。
私は、こうした日本にとってのハイヤータクシー業界の、この30年、40年、いや、それは、おそらくこの制度がスタートした時からの努力の積み重ねの下で出来上がっている、安全に安心して利用できるハイヤー・タクシーというのは、日本にとって大事な公共インフラであり、ある意味では世界に誇るものであり、日本に今のところで観光客がこれだけたくさん来ていただけている、そのベースになっている一つの重要なインフラだというふうに思っています。
これを守って、しっかりと次の時代へと引き継いでいく、というのは、その職場で働いている皆さん、そして今、政治を司っている私たち、そして国土交通政策を担っていただいている国土交通省の皆さん、我々それぞれにとって大事な歴史的な役割ではないか、というふうに思っています。


 こうした歴史や実情というものを十分に理解をせずにですね、思いつきのようなライトシェアを強引に進めるということに対しては、我々もこの間、何よりも当事者であるハイタクフォーラムの皆さん方が全力で声を上げてきていただいている。
それに押されて我々も頑張ってきておりますし、国土交通省の皆さんにも最大限のご尽力をいただいてきているというふうに思っておりますが、まだまだ油断をしていい状況というよりも、むしろここからいよいよ、本当の最後の戦いが始まるというふうに思っております。

 これにより、国土交通省の皆さんには、各方面からいろんな圧力があって大変だということは、我々も十分理解をしておりますが、先輩方から引き継いできた、それによって作られてきた日本のハイタク産業をしっかりと守っていただくために、引き続き、さらなるご奮闘をお願いしたいと思います。
また、この思いつきのようなライトシェアが、これ以上変な方向で進んでいかないようにするためには、現場で大変なドライバーの皆さんご苦労されている、あるいは経営者の皆さんもご苦労されているという状況の中で、白タクを認めないという範囲の中で、タクシードライバー不足というものを、一日も早く解決をするために、先ほど運賃の話についてもお話ありましたけれども、具体的な要望も今日この後あると思います。
そうしたものを一個ずつできるだけ早く進めていくことで、しっかりと安全・安心を守るということに向けてご尽力をいただきたいと思います。
我々政治の側もそれを全力でバックアップさせていただきます。
そして現場の皆さんとしっかりと連携をして、最後まで戦っていくことを、議連の仲間を代表して、私からの挨拶とさせていただきます。



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【メモ】藤井聡京都大学教授「ライドシェア新法阻止」に向けたスピーチ

2024-03-12 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 3月8日には電通会館ホールにてハイタクフォーラムは、「危険な白タクを合法化する『ライドシェア新法』絶対阻止! 3.8総決起集会」を開催。
その集会で「ライドシェア新法阻止に向けたスピーチ」をおこなった、藤井聡京都大学教授(都市社会工学専攻)の発言をメモしておく。

 ライドシェアの導入、現行の制度の範囲で導入される場合なら、いろいろな秩序の混乱というものがなく、タクシーの事業を運営してきた供給力の力をもって、ライドシェアのシステムを活用することで適正に事業が運営され、適切なサービスを提供する可能性が残されているだろう。
しかし、いわゆるライドシェア新法では、その自由な規制緩和によって、タクシー業界の秩序が崩壊することになることは確実であることが危惧される。
まかり間違ってライドシェア新法ができてしまって、それが万が一にも問題がタクシー業界だけの秩序が崩れてしまうだけで、公益が確保されるのなら、その規制緩和は甘受されるかもしれないが、しかし、それに止まらず、タクシーサービスの質が劣化してしまい、最終的には地域の利益、公的な利益、そして国益を根底から損なうことは明らか。

 こういった理不尽かつ非合理的な、理性を全く顧みないイメージだけで、利用者等の国益や国益を棄損するような規制緩和が行われるという失敗は、これまでも何度も行われてきた⇒しかし、日本でタクシーにおける安全や公益は検討され強化されてきている⇒そこに、そういった失敗がまた一つ追加されれば、日本全体の秩序が激しく傷つく極めて巨大なリスクにつながる⇒今さら公益を損なうライドシェアなるものを是認できるものではない。
いわゆるライドシェアで、公益が増進することは極めて難しい、改定する理由がない⇒考え直していただきたい⇒政府関係閣議に心からお願い申し上げたい。

 岸田総理のライドシア解禁論がうんざりするほどに愚かし代物である。
残念ながら公益が増進することは極めて難しいどころか、公益が毀損してしまうことは確実だ。


①タクシー運転者の賃金が安いことが公益を棄損している。
 タクシーの業界の人間はこれについて深く理解しているし、私自身も国交省等の審議会でタクシー特措法なんかを作るときに議論をさせていただいた関係者として、

〇タクシー運転者の賃金が十分に高くない⇒運転者のなり手が不足する⇒供給が不足する⇒消費者の利益が、利用者の利益が毀損する⇒さらに、賃金が安いというのは、これドライバーの皆さんが不利益を被るわけでありますし、ドライバーのみならず日本経済から考えると、特定の業界の賃金が安いということでデフレ圧力になり、日本全体の賃下げ不況の圧力を加速することにもなる⇒高齢化を進めたり、いわゆるアウトサイダーと呼ばれる方々の脱法的な、コンプライアンスを逸脱するような危険な業態を加速させる⇒この10年20年なんとか規制緩和のせいでこれがもたらされた。
すなわち、運賃の引き下げ⇒運転者が不足する

〇ライドシェアを導入すると車両が増える⇒さらにシステムで運賃が安くなる⇒ライドシェアのほうが安くなる⇒全体のさらなる運賃の引き下げ圧力
「運賃上げる⇒賃金が上がる⇒供給力が上がる」⇒国土交通省をはじめ、政府の力も含めて、なんとか賃金を上げて、供給力を一定程度確保し、そして高齢化を防ぐ、そしてブラック業態をなくす、そして安全な輸送サービスを適切に提供する⇒このスパイラルに冷や水をぶっ掛けて、担い手不足が進む⇒そんなものは到底是認できないというのは真っ当な常識を持った人間、万人の共通認識ではないか⇒真逆のことをやろうとしている。

 運賃が少し上がり、賃金が少し上がるだけで数100人オーダーで乗務員が増えるということになった⇒逆に言うとライドシェアが不適切な格好で導入されれば、賃金が下がり、数100人オーダーで瞬く間にドライバーが失われていくということになる⇒ライドシェアを導入することで供給力を提供すると推進論者は言っているが、真逆の帰結を導く⇒ということは、バカが考えてもわかる。
だから、彼らが馬鹿でないとしたら、何も考えていないということ⇒状況を何も知らんということです⇒「ライドシェア、外国で乗ってきたで」とか思ってやってる⇒「いいんちゃいまっか」とか言うとる⇒まあ、バカでなければこういうのはアホということになるわけだ。
問題は、賃金が引き下がって、担い手不足がさらに加速するということ。

②タクシー業界は二種免許というプロライセンスを育てる教育機関にもなっている⇒ライドシェアを活用して人を集め二種免許を取らせて運転者増加につなげていく⇒業界の管理のもとソフトランディングさせていく⇒この4月からの制度はよいかもしれない。
 しかし、新法では、その管理を運転者個人に置きかえる⇒これ業界から完全に切り離されたものが運用されるわけだ⇒アメリカではそもそも業界というものがないし、タクシードライバーの管理がないからタクシーでもライドシェアでも同じで、日本とは状況が違う⇒日本の場合はそういう格好で秩序を守り、乗務員の皆さんをしっかりと教育し、安全安心をお届けするという格好で、これを戦前からやってきた⇒新法では日本でも運転者の管理がなくなる(誰が運行管理する?安全管理をする?)⇒その人は酒飲んだのかもしれへんし、2週間とか30時間だか連続でやっとるかもしれない⇒これはめちゃめちゃな話なわけだ⇒今の、タクシーサービスの質には到底及ばないものが提供されることになる⇒タクシードライバーが提供している安全安心は、ライドシェアでは提供できない⇒公共の福祉を毀損するものである。
 ライドシェア推進者は「この規制緩和が公益を増進する」これ一点だけ主張している⇒彼らが邪悪な人間ではないと一応仮定して、単に愚かな人間であると仮定して⇒何が問題か教えてあげなければならない⇒だから、かわいそうな人なんです⇒だから、あなたは優しく言ってあげたらいいんです⇒挙げしまったこぶしを下せるようにしてあげなければならない。

③京都ではインバウンドによるタクシー不足だと言われている⇒実はタクシーはたくさん並んでいる⇒山ほど並んでる⇒3台ずつ乗れるのに1人ずつ乗る⇒それで滞る⇒客がタクシーに乗り慣れていないだけ⇒これは乗り場の問題であってタクシー不足はデマ⇒だから、あなたが言ってる公益増進のポイントは間違っているんだということ。
 大阪万博でタクシーが足らなくなると言う⇒万博とは特別需要⇒そもそも足りるか足りないかきちんと計算したのか?⇒大阪でのタクシー最大実車率(乗客を乗せている時間の率)は55%と言われているが、現状の実車率は45%⇒需給(需要と供給)は10%余っている⇒しかし推進者は「需給ってなに?」そのレベル⇒今この賃金が上がっている状況をしばらく放置しておけば運転者は増える⇒ここでライドシェアなんか入れて、その流れが止まって、また賃金が下がってくるんだったら、また供給は減る⇒工学的に、需要と供給のバランスとはこういうことだ⇒担い手不足という話が疑わしい。
 過疎地にはライドシェアが必要だろう…⇒地域で安全・公益に増進の確保について慎重に検討しているのか?検討して乗合タクシーやデマンドタクシーになるのはしかたない⇒しかしなぜ、ライドシェア?
⇒万博なら、関西圏の広い範囲でタクシー車両を調達する等、特定期間の特別需要にだけ対応すればよい⇒ま、ほんとうに万博に客が来るならばだが…⇒いや、ほんとうに開催ができるのならだが…。
推進論者は「ライドシェア導入ありき」で公益は言い訳⇒郵政民営化ありきと一緒⇒アメリカのなんかといろいろとかあったんですけど…⇒不正義は許してはならない!

④岸田内閣の政策の一丁目一番地は「実質賃金の上昇」⇒今物価が上がってきて、賃金が上がらへんから、みんな苦しい⇒だから「物価上昇率を上回る賃上げを実現するのでありまーす」と言ってるんですよ⇒ライドシェア入れたら賃金下がるやないかということ⇒何やってるん?全く逆だ!
 ライドシェアってそもそも何かわかっているのか?⇒世界の流れにおけるライドシェアの、要するにアプリシステム⇒普通の人(ライドシェアを外国で利用して便利だったと言っている人)がライドシェアだと思っているものは日本でもすでに入っている⇒導入したタクシーサービス提供による利便性の増進というものは、業界の独自の取り組みによって相当程度進んでいる⇒システムがちょっと違うだけ⇒タクシーに乗ったことがあるのか?

⑤「ライドシェアだとかなんか新しいみたいな」⇒「デジタルトランスフォーメーションみたいな」⇒そんな中二病みたいな話は置いといて大人の話をしよう。
 タクシーの規制のあり方というものは不断の見直しが必要⇒緩和すべきは緩和し、強化すべきは強化し、形成すべきは形成し、撤廃すべきは撤廃したらいい⇒乗客の安全を守るために逆に規制強化しなければならないものもある⇒時代は変わっていく、新しい技術も入って来る⇒公益を増進することを考えればよい⇒最も適切なタクシーサービスの秩序を形成し、公益を最も増進するような仕組みを考えればいい。


 せっかく賃金が上がってきた⇒それによって供給力も上がってきた⇒まだタクシーの遊休車輛はある⇒さらに運転者を確保していく⇒適切なサービスを提供し、適切な都市活動・地域活動をサポートし、公益を最大化していく、そのことを考えればよい。

 ライドシェア導入論を言っている者に対して、しっかりした理論で説得していく⇒言論の府である国会で徹底的に論じていただければ、どんな案が出てきても、日本人が理性的である限りにおいて、数の力は無関係にそういう理不尽なものは認められないはず⇒ライドシェア推進論は人々に迷惑をかけていることを分からさなければならない⇒日本人の「民度」が試されている⇒日本人の理性を信じたい。

❶賃金はイコール供給力の確保、賃金が下がると供給は確保できない、❷「足らない」だけではだめで「足らない」はデマ、❸賃金・運賃を下げてはダメ、安全が確保できない、❹いわゆるライドシェアと同様のタクシーサービスは既に日本にもある。


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私鉄総連「24春闘推進地連中小組合会議」「24春闘勝利 3.5 私鉄総連中央総決起集会」ハイタクフォーラム「厚生労働省・国土交通省要請」「ライドシェア新法絶対阻止! 3.8総決起集会」

2024-03-11 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!


【11 💪4 -13 LiFETiCK LatPullDown51.75kg BentoOverRowD22kg ShoulderPressDTwist12Kg SietedRearDertoidRaize7kg LegRaize】 3月5日、東京グランドホテルで「24春闘推進地連中小組合会議」を開催したのち、日比谷野外音楽堂に移動し、


「24春闘勝利 交通政策要求実現
3.5 私鉄総連中央総決起集会」
賃上げで暮らしの安心を 人への投資で確かな未来
~交通政策要求実現・ライドシェア阻止~

を開催、あいにくの雨で、デモ行進は中止にせざるを得なかったが、それでも2000人以上の仲間が結集し、春闘勝利に向け体制強化を確認した!


 3月7日には、衆議院第一議員会館で、ハイタクフォーラム(私鉄総連・全自交労連・交通労連)は、全国から約150人が参加し、厚生労働省に「ハイヤー・タクシー運転者の労働問題に係る重点要請」、国土交通省に「タクシー関連法ならびにその附帯決議の厳格な運用および、白タク(ライドシェア)合法化反対の要請」を提出し、それぞれに、要請行動を展開した。


 厚生労働省要請では、タクシー政策議員連盟を代表して、福山哲郎参議院議員にご挨拶をいただいた後、①感染症対策について、②累進歩合制の完全排除(禁止)について、③給与体系・労働条件・運転者負担等について、④地域別最低賃金の遵守と労働時間管理の適正化について、の11項目を要請。
は厚労省が梶原輝昭・大臣官房審議官(労災、建設・自動車運送分野担当)など労働基準局監督課らが対応してくれた。
国土交通省要請では、枝野幸男衆議院議員にご挨拶をいただき、①ライドシェアについて、②運転者不足対策、③タクシー事業における適正化について、④タクシー事業の活性化について、⑤ハイヤー事業の適正化・活性化について、⑥タクシー運賃について、の43項目を要請、物流・自動車局の舟本浩審議官ら、旅客課などがそれぞれ対応してくれた。

 自家用車活用事業については9日までパブリックコメントを募集中で、流し営業、区域外営業の扱いなどについて国交省は「アプリ配車のみを対象としており、流し営業は認めない。区域外営業については道路運送法でドライバーを処罰する規定はなく、管理する事業者が負うことになる」などとし、その上で「(自家用車活用事業は)乗務員が不足しているエリアや時間帯に複数のアプリ業者によるマッチングで足りないところを補足する仕組み。こうしたデータは一定期間取り続けることになり、そのつど見直しも行う。恒常的なものではない」などと述べた。



 3月8日には電通会館ホールにてハイタクフォーラムは、「危険な白タクを合法化する『ライドシェア新法』絶対阻止! 3.8総決起集会」を開催。
主催者を代表し、溝上氏はライドシェア新法の動きについて「2002年のタクシーの規制緩和を超える危機だ」と訴え、「プラットフォーマーらによるライドシェアは安全・安心を崩壊させ、雇用と地域交通を破壊する。タクシーとしての自信と矜持を持ち、この闘いは絶対に勝ちぬかなければならない」と訴えた。
集会では、ライドシェア新法阻止に向けたスピーチとして、藤井聡京都大学教授(都市社会工学専攻)から、「ライドシェアは公益を棄損する」と述べ、「供給する車両を増やすことはタクシー乗務員の低賃金化、乗務員の退出を招き、結果的にはさらにタクシー車両を減らしてしまうことに繋がる」として「岸田内閣の一丁目一番地は実質賃金の上昇であるはずだが、ライドシェアは賃金を減らしてしまう真逆の取り組みだ」と、現状の問題提起と警鐘をお話しいただき、連合芳野友子会長、交運労協住野敏彦議長、ITF(国際運輸労連)浦田誠政策部長、タクシー政策議員連盟から小宮山泰子幹事長(衆議院議員)、立憲民主党逢坂誠二代表代行、国民民主党古川元久国会対策委員長、全国ハイヤー・タクシー連合会坂本克己最高顧問から連帯の挨拶をいただいた。
事業者を代表してあいさつした坂本克己・全タク連最高顧問は、ライドシェア新法によって「生活に役立っている公共交通のタクシー乗務員の生活が潰されてしまう」とし、「抗議のためには1日くらい全国でタクシーを止めてもよいくらいだ」と述べると会場から拍手が沸き、「110年以上続くタクシーとして自信と誇りを持ち、皆で守っていこう」と呼びかけた。
また、「利用者からみたライドシェアの問題について」ということで山根香織主婦連合会常任幹事からは、「利用者は何よりも安心・安全の輸送を望んでおり、それだけに丁寧な議論が求められるべきだ。ドライバーには豊富な経験と資質が求められる。一般ドライバーが気軽にやれる仕事ではない」などと指摘した。
そして、「被災地で活躍する『公共交通のタクシー』について」として、市野晃司全自交石川ハイタク連合会執行委員長から能登半島地震での現状を報告していただき、「被災地のタクシーは廃業寸前になりながら懸命に頑張っている。自宅が被災し、避難所から通勤し、エッセンシャルワーカーとして緊急事態に対応している。このような輸送をライドシェアが責任を持って行うとは思えない」として、公共交通としてのタクシーの役割について語った。


 政府は4月、タクシー会社の管理を条件に、地域や時間帯などを限定した「日本版ライドシェア」を解禁する。与野党や経済界の一部は新法制定を要求し、政府は6月までに是非を検討する。
集会には約300人が全国から参集し、会場参加者が「危険な白タクを合法化するライドシェア新法を絶対阻止!」と「雇用と安全を破壊するな!」のプラカードを一斉に掲げライドシェア反対をアピールした。


 一般ドライバーが自家用車を使い有償送迎する「ライドシェア」の全面解禁に向けた新法制定に反対するアピールを採択、タクシー不足は業界の努力や「日本版」の活用、運転手の待遇改善で解消できると指摘。新法制定は「絶対に認めない」と強調、「交通の安全と安心、雇用、地域公共交通を破壊する行為だ」と訴えた。


集会アピール(案)

 本日、ハイタクフォーラムは、全国で働くハイヤー・タクシー労働者の固い決意を示すため危険な白タクを合法化する「ライドシェア新法」絶対阻止3.8総決起集会を開催した。

 いま「ライドシェア新法」という愚かな法律が検討されている。

 自らの利益のみを追求するプラットフォーマーが、一般のドライバーを無責任に使い捨てにするライドシェアは、交通の安全と安心を破壊し、雇用を破壊し、地域公共交通を破壊する行為にほかならない。公共交通を担う私たちは、絶対に「ライドシェア新法」を認めることはできない。

 コロナ禍で私たちハイタク労働者は、自らの感染のリスクを抱えつつ、エッセンシャルワーカーとして、公共交通の責務を果たし続けたが、賃金は余りにも低く、多くの仲間が職場を去った。そのために観光地などで「タクシーが足りない」という声が起き、ライドシェア推進派に口実を与え、ついに「新法」という言葉すら現実味を帯びる状況となってしまった。

 しかし、局所的な「供給不足」は、タクシー業界労使の努力や、国土交通省が検討した様々な新制度の活用によって改善が可能であり、何よりもハイタク労働者の賃金・労働条件の向上により根本的に解消することができる。この1年間で、私たちの賃金は実感を得られるまでに回復しており、職場には新たな仲間が増えている。全国的な運賃改定の効果がしっかりと労働者に配分され続ける限り、他産業との賃金格差を逆転させることも決して不可能ではない。

 ここで拙速にライドシェアが導入されれば、この好循環も幻となって消え、低賃金・長時間労働の負のスパイラルが再び私たちを襲う。ハイタク産業は消滅し、後には危険なライドシェアだけが残ることになる。一体だれがそんな未来を望むというのか。

 ライドシェアを阻止する私たちの闘いは、この国で生きる全ての人々の安全・安心、この国で働く全ての労働者の生活、そして、この国で暮らす全ての人々の移動する権利を守る闘いである。この闘いは孤独ではない。労働者の仲間、利用者の方々から、私たちを応援する声は日増しに高まっている。私たちは自信をもって社会に主張し、ライドシェアとの闘いに勝利しよう。

 私たちは公共交通で働く者の使命と矜持を胸に、全力でライドシェア新法絶対阻止のために闘うことを、決議する。

2024年3月8日

危険な白タクを合法化する「ライドシェア新法」絶対阻止! 3.8総決起集会

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2.29「ライドシェア解禁の問題を考える院内集会」と日本労働弁護団の「ライドシェア」解禁に反対する緊急声明

2024-03-01 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

【1 💪1 -10 LiFETiCK Cinning(asist32kg) RowM58.5kg RateralRaize10kg ShoulderPress30kg LegRaize Crunch】 2月29日、交通の安全と労働について考える市民会議~ライドシェア問題を考える~は、衆議院第一議員会館大会議室にて、「ライドシェア解禁の問題を考える院内集会」を開催。
一般参加者に加えて、多数の衆参国会議員(森屋隆参議院議員・辻元清美参議院議員・近藤昭一衆議院議員・福山哲郎参議院議員・枝野幸男衆議院議員・吉田はるみ衆議院議員・鬼木誠参議院議員・小宮山泰子衆議院議員・芝慎一参議院議員・田村まみ参議院議員・大河原まさこ衆議院議員・岸まき子参議院議員・落合貴之衆議院議員・堤かなめ衆議院議員・野田国義参議院議員・水野もと子参議院議員・小沼巧参議院議員・阿部とも子衆議院議員・牧山ひろえ参議院議員、など)と秘書の皆さん、東京都の区議会議員(遠藤みほ墨田区議会議員・久家しげる荒川区議会議員・門脇翔平葛飾区議会議員・青木のぶえ北区議会議員、など)が参加、国民の安全や従事する者の権利を置き去りにしたまま拙速に議論が進められている「ライドシェア解禁の問題」について、複数の視点から考えた。


 内容的には、前回1月16日に横浜で開催した集会と同様で、(「ライドシェア解禁の問題を考える市民会議集会@神奈川」で、拙速なライドシェア解禁論の問題を共有した。
①趣旨説明・情勢報告を木下徹郎弁護士(市民会議事務局)、②ライドシェア問題を考える~海外の事情と日本の課題を浦田誠国際運輸労連(ITF)政策部長、③ライドシェアと労働法について菅俊治弁護士(日本労働弁護団常任幹事)、④ライドシェアと利用者を主婦連合会の木村事務局長(消費生活アドバイザー)、⑤持続可能な公共交通とライドシェアを戸崎肇桜美林大学教授(ビデオメッセージ)、からの問題提起を行った。
議員発言では、田村まみ参議院議員、柴慎一参議院議員、岸まき子参議院議員、阿部知子衆議院議員、森屋隆参議院議員からのそれぞれの視点からの課題について思いや決意、そしてこれからの政治的取り組みについて言及していただき、最後に辻元清美参議院議員が、総括的に「ライドシェア解禁の問題」についてどう運動を展開するかについて発言していただいた。

 ところで、冒頭の情勢報告でも、触れられていたが、2月26日に、日本労働弁護団が「『ライドシェア』解禁に反対する緊急声明」を発表したので、ここに掲載しておく。
まさに、正鵠を得ている!

「ライドシェア」解禁に反対する緊急声明

2024年2月26日
日本労働弁護団 幹事長 佐々木 亮

1 はじめに
 政府の内閣官房において、 2023年10月6日に設置されたデジタル行財政改革会議は、同年12月20日、中間とりまとめを公表した(以下、「中間とりまとめ」という。)。その中では、ライドシェアに関して、タクシーが不足する地域や時間帯において「タクシー事業者が運送主体となり、地域の自家用車・ドライバーを活用し、アプリによる配車とタクシー運賃の収受が可能な運送サービスを2024年4月から提供する(道路運送法第78条第3号に基づく制度の創設)」としている。
 このような動きを受けて、一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会は、2024年1月10日 、東京23区・武蔵野市・三鷹市において、2024年4月から「ライドシェア」を実施すると発表した。報道によれば、普通第二種運転免許いわゆる「二種免許」を持たなくても、普通第一種運転免許を取得して1年以上の運転者であれば、タクシー事業者との間で雇用契約を締結することで、自家用車を用いて行うことができるとされ(以下、「東京版ライドシェア」という。)すでにタクシー事業者により運転者募集も始まっている。
 このような現在急速に進んでいる「ライドシェア」解禁の動きは、既存のタクシー運転者の労働条件を悪化させるだけでなく、公共交通 であるタクシーの安全性をも脅かすものである。

2 タクシー運転手の労働条件の悪化を招くこと
 もともと、タクシー事業は、2002年に道路運送法が改正され規制緩和政策に舵を切って以降、タクシ ー車両の供給過剰とこれによる運転者の賃金減少が問題となっていた。そのため、2009年には「 特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」(タクシー特措法)が成立し、さらに2014年には同法が改正されてタクシー事業の適正化が指向され、タクシーの供給過剰により生じてきた一台あたりの売上減少によるタクシー労働者の労働条件悪化を改善する政策が採られてた。
 しかし、「東京版ライドシェア」含め、あらゆる「ライドシェア」解禁は、これまでのタクシー事業の適正化に対する政策に対して逆行し、「白タク」によりタクシーの供給過剰を招いてタクシー労働者の労働条件を悪化させるのであり、断じて容認できない。

3 公共交通としての安全性を脅かすこと
 また、「東京版ライドシェア」では、二種免許を持たぬ運転者も認める。しかし、二種運転免許は、道路運送法において旅客自動車運送事業を実施する際に求められるものであり、よりによって交通量の多い都内で、二種免許を持たぬ一般の運転者に有償旅客運送を許すことは、利用者の利益の安全(道路運送法1条)を減殺させ、これによって確保されてきた公共交通の安全性を脅かすものである。

4 「東京版ライドシェア」も道路運送法の要件を充足しないこと
 さらに、中間とりまとめは、自家用車による有償旅客運送(白タクを可能とするため「道路運送法78条3号に基づく制度の創設」を目指すとされ、「東京版ライドシェア」も同号によって実施するとされている。
 しかし、同号は、「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき」という例外的な場面に限定し自家用自動車による有償旅客運送を許容しているのであり、安易に適用されるものではない。「公共の福祉」の確保に必要であるとの実証的な裏付けもないまま、東京都内のタクシー不足を理由に開始されようとする「東京版ライドシェア」は、「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合」との要件を充足し得ないのである。

5 タクシー事業者との雇用契約締結では弊害防止できないこと
 「東京版ライドシェア」は、運転者とタクシー事業者との間で雇用契約を締結することを要件とするようだが、これは、タクシー事業者の利益確保にはなり得ても、労働者の労働条件悪化と公共交通の安全を脅かすことの歯止めとはならない。
 事業者の看板で「白タク」の算入を許してしまえば、同じタクシー事業者の下で働く既存のタクシー労働者においては競争が激化して一 台あたりの売上減少を招き、タクシー労働者の労働条件を悪化させるのは必定である。
 また、とりわけ交通量の多い都内で、二種免許を持たない一般の運転者に有償旅客運送を許すことは、公共交通の安全性を大きく脅かすものといえる。

6 将来的にも雇用契約締結が確保され運用される保障はないこと
 中間とりまとめは、「ドライバーの働き方について、安全の確保を前提に、雇用契約に限らずに検討を進める」としているのであり、雇用契約締結の要件が将来的にも維持されるのか大いに疑問がある。世界各国で、「ライドシェア」に関して、本来は「労働者」として扱われるべきドライバーを「労働者」と扱わず労働法の保護を及ぼさないとしていることが問題となり、訴訟にまで発展している。日本でも、当初から「東京版ライドシェア」を足掛かりに して、遠くない将来、雇用契約ではない法形式による「ライドシェア」を拡大しようと意図されているのである 。

7 まとめ
 以上の通り、あらゆる「ライドシェア」は、タクシー運転者の労働条件を悪化させ、公共交通であるタクシーの安全性を脅かし、何よりも、プロフェッショナルとして日本の公共交通を日夜支えるタクシードライバーの労働者としての誇りを踏みにじるものであって到底容認できない。日本労働弁護団は、タクシー事業者を運営主体にするものも含め、あらゆる「ライドシェア」解禁の動きに断固反対し、労働運動・市民運動と連帯してこれを阻止するために取り組みを進める 。
以上

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パブコメ入れました! 「法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための地域の自家用車・ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取扱い」

2024-02-20 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!
案件番号: 155240909
案件名:「法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための 地域の自家用車・ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取扱い」 に係るパブリックコメントの実施について
 ⇒ https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155240909&Mode=0
所管省庁・部局名等: 物流・自動車局旅客課
意見・情報受付開始日時: 2024年2月9日17時0分
意見・情報受付締切日時: 2024年3月9日23時59分

 昨年 12 月に決定された「 デジタル行財政改革会議の中間とりまとめ 」 において、タクシー事業者が運送主体となって、地域の自家用車・ドライバーを活用し、タクシーが不足する分の運送サービスを供給すること(道路運送法第78条第3号に基づく制度の創設)が決定されました。
今後、タクシーが不足する地域・時期・時間帯におけるタクシー不足状態を、道路運送法第78条第3号の「公共の福祉のためやむを得ない場合」であるとして、地域の自家用車や一般ドライバーによって有償で運送サービスを提供すること(自家用車活用事業)を可能とする許可を行っていく予定です。その許可に当たっての基準や取扱いについて、「法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための地域の自家用車・ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取扱い」として定めることを検討しており、今般 、 パブリックコメントを開始いたします。
なお、今般示す制度案はあくまでもたたき台であり、広く国民の皆さまの意見・情報を集したうえで、その内容を決定する予定です。


 と、言うことなので、私も本日、以下の通り、パブリックコメントを入れた。

【意見】
 道路運送法第78条第3項に基づく制度の創設について、条件付きで「賛成」である。

【理由】
 「法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための地域の自家用車・一般ドライバーを活用した有償運送の許可に関する取扱い」について、公共の福祉を確保するためやむを得ない場合として、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供する範囲においての「タクシーが不足する分の運送サービスの供給」について、賛成である。

 ただし、以下の点については問題があるので、対処されたい。

1.新制度によるタクシー不足解消の効果を検証し「タクシー事業以外の者がライドシェア事業を行う」新制度を検討するための期間として、2か月というのはあまりにも拙速、且つ、乱暴であり、「ライドシェア」導入ありきが前提となっていることは問題であるため、効果の検証期間について、十分な期間を確保すること

2.タクシー運転者資格のない一種免許の運転者が、事業用自動車(緑ナンバー)で、有償運送を行うことは、利用者に対する欺瞞であり、緑ナンバーに対する利用者からの信頼を崩壊させる行為であることから、禁止すべき

3.ドライバーの選任については、運輸規則第36条を適用し、雇用契約によるものとすること

4.道路運送法第78条第3号による「公共の福祉を確保するためやむを得ない」事由が消滅した際には、速やかに供給を停止すること


 条件付きで「賛成」である、としたのは苦渋である。
「ライドシェア阻止」についてこれまで通り、自分は、一貫している。
しかし、「デジタル行財政改革会議 中間とりまとめ」 (令和5年12 月20 日デジタル行財政改革会議決定)において、タクシー事業者が運送主体となって、地域の自家用車・ドライバーを活用し、タクシーが不足する分の運送サービスを供給すること (道路運送法第78 条第3号に基づく制度の創設)が決定されたことを受けて、地域の自家用車や一般ドライバーによって有償で運送サービスを提供すること (自家用車活用事業)を可能とする制度を創設することとなった。
この新たな制度案では、安全・安心を確保する観点から、旅客運送分野において事故防止対策のノウハウを有するタクシー会社が、一般ドライバーの教育、運行管理や自家用自動車の車両の整備管理を行うとともに、運送責任を負うこととなることから、絶対に導入を阻止しなければならない「いわゆるライドシェア」とは異にする、道路運送法に基づく制度であると考えざるを得ない。
また、タクシーが不足する分の運送サービスの供給確保対策に対して、「二種免許」やプロドライバーとしての矜持という点で納得はできないが、タクシー事業者が運送主体となったとしても、地域の自家用車・ドライバーの活用を否定してしまうと、私たちが絶対に阻止しなければならない「いわゆるライドシェア」推進派への対案がなくなってしまう。
推進派は、この制度改正を「なんちゃってライドシェア」だとして、すでに反対意見を多数投じている。
したがって、今回の道路運送法第78 条第3 項に基づく制度の創設について、条件付きで「賛成」であるとした。


 交通の安全と労働について考える市民会議~ライドシェア問題を考える~は、2月29日(木)18時~19時30分、衆議院第一議員会館 多目的ホールにて、「ライドシェア解禁の問題を考える院内集会」を開催する。
※17時45分頃より、衆議院第一議員会館1階ロビーにて入館証配布。
※会場でのリアルと、zoomによるハイブリッド開催ですので、zoomでの参加の場合は、こちら⇒ https://forms.office.com/ より参加申し込みしてください。

 昨年12月20日、デジタル行財政改革会議が中間取りまとめで、2024年4月より、タクシーが不足する地域・時期・時間帯の特定を実施。これに基づき、タクシー事業者が運送主体となり地域の自家用車・ドライバーを活用し、アプリによる配車とタクシー運賃の収受が可能な運送サービスの提供を開始することとした。またタクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行う法制度について2024年6月に向け議論するとしている。12月26日の規制改革推進会議は請負契約の推進などさらに踏み込んだ法改正の内容について答申している。「ライドシェア」とは何なのか。ライドシェア解禁が公共交通、働き方、利用者の安全にどのように影響を及ぼすのかについて、複数の視点から考える。

プログラム
情勢報告 木下徹郎弁護士(日本労働弁護団常任幹事)
ライドシェアの実際 国際運輸労連(ITF)浦田誠政策部長
ライドシェアと労働 菅俊治弁護士(日本労働弁護団常任幹事)
ライドシェアと乗客 発言者は調整中
ライドシェアと公共交通 戸崎肇教授(桜美林大学)
議員らと意見交換



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引き続きサントリーの個人的不買運動を継続します…経済同友会のライドシェアに関する提言への反論

2024-02-13 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 経済同友会が「わが国における効果的なライドシェアの導入に向けて〜なんちゃってライドシェアで終わらせないために〜」という提言を、2月1日に政府に提出している。
意見のポイントとして「各論点における課題と検討の方向性を提示」していて、その内容は以下の通り。
〇柔軟な供給を確保し、イノベーションの創出を促すためには、既存の旅客自動車運送事業者に限定することなく、さまざまな主体が参画できる制度とすべきである。
〇現代社会における技術発展の状況を踏まえれば、これからの安心・安全は技術によって担保されていくことになる。新規参入・普及の促進にも考慮しながら、現実的な安全基準を設けるべきである。
〇事故の際には(車両設計上の欠陥による場合などを除き)事業者が責任を負う主体であることを明確にすべきである。
〇需給に波があるライドシェアの特性上、運転者に雇用契約だけではなく、業務委託契約の選択肢も提供すべきである。
〇変化する交通需要に対応するには、タクシー業界の規制改革とライドシェアの導入を通じて、柔軟な価格変動制および供給体制を確立し、労働市場の効率を高めることが求められる。これにより、乗務員の労働条件改善とサービスの質の向上を同時に実現すべきである。


◆今さらライドシェアが「イノベーションの創出」などとほざいている時点で時代遅れ。
 ここで言われている「イノベーション」は技術革新の意と思われるが、ライドシェアとは日本語で言えば古くからある「白タク」だ。
ライドシェアのビジネスモデルは新興諸国どころか発展途上国でもとっくに行われており、一方で、このビジネスモデルには問題があるとしてヨーロッパをはじめ多くの国や地域で禁止や規制の強化がされていて、過去の遺物となりつつある。
日本でもライドシェアのシステムなんて簡単に構築できるので、そんなものが技術革新=イノベーションでも何でもない。

◆「さまざまな主体が参画できる制度とすべき」とは、反社会的勢力のことを指してるのか?外資に日本を売るということなのか?
 日本で「白タク」が厳しく禁止されてきたのは、暴力団などの反社会的勢力の資金源となってきたということも重要な歴史。
運転代行業も、所轄の警察署(公安委員会)の認定を受けなければ事業が出来ないのは、同様の理由だ。
もちろんタクシーなどの旅客運送事業は、反社は参入できないのは言うまでもない。
ライドシェアと言えば世界的に「UBER」だが、UBERは日本ではUberEatsでフードデリバリーでは日本で勢力を大にしており、DiDi(中国)・フードパンダ(ドイツ)はすでに日本から撤退、この業態では残るはWalt(フィンランド)と出前館。
経済同友会は、日本の交通市場を外資に売ろうと考えているのか。

◆「これからの安心・安全は技術によって担保されていく」という期待では困る。現に安全を担保しなくてはならない。
 なにを原子力発電所の「安全神話」みたいなことを言っているのだ、人の命が懸っているのだ。(利用者だけではなく、同じ道路を共有する他人も含めて)
医者が足りなかったら、医学生や看護師に、診察や治療をさせるのか?
海外である病気に効くという薬を、治験もせずに日本で導入するのか?
我々プロのタクシードライバーが運ぶのは食料品ではないのだ、人の命なのだ!

◆「現実的な安全基準を設ける」「事業者が責任を負う主体」はいいとしてそのコストはどう償うのか。
 タクシーなど公共交通事業にとって、安全を確保するためのコストは莫大なものであり、事業者にとってその投資負担は大きい。
そのためにタクシーなどの公共交通では安全コストを償うために、そのコストは運賃設定の根拠となり積算されており、結果、利用者から収受している。
経済同友会の提言では、おそらくライドシェアでの運賃は、タクシー運賃よりさらに高価なものにならざるを得ないだろう。

◆「業務委託契約」とは結局は安く人を使いたいだけだ。
 ライドシェアやフードデリバリーで働く人の労働者としての権利(労働者性)は日本でも世界でも問題なっている。
イギリス最高裁「Uber運転手は『従業員(労働者)』だ」と判断し、こうした判断は、欧米では大きな流れとなっている。
東京都労働委員会が「ウーバーイーツ」配達員は労働者だとして団交権認める命令を出した。
アマゾンジャパンの商品配達を個人事業主(フリーランス)として委託された配達員を、横須賀労働基準監督署(神奈川)から労災認定された。
日本でもすでにエビデンスがある。
また、過労運転を防止するためには、運転時間(労働時間)の管理も重要で、これを運転者自身の自己責任とすることは、利用者に対してあまりにも無責任だ。

◆「副業・兼業が前提となるライドシェアの場合、ワーキングプアの議論は関連が薄い。」というが、問題は、ライドシェアに従事しているときのドライバーの権利保障だ。
 提言本文では「個人事業主としての働き方には、労働関係法令の適用や労働者としての権利行使、団体交渉による待遇改善などの権利保護が不十分な点がある」と指摘しているが、まさにその通りであり、「副業・兼業」はいいとして、その副業・兼業としてライドシェアドライバーとして従事しているときに、本業の際に保障されていた、労働基準法、最低賃金法、労働者災害保険法、労働組合法などの労働諸法制の保護が受けられないことが問題なのだ。

◆「柔軟な価格変動制」とは金のないやつは移動難民に甘んじろということ。
 高い運賃でも払える人のための供給体制を確保するには、柔軟な価格変動制(ようは繁忙時に高い運賃設定をすること)により金持ちを優遇しろということ。
経済同友会のいう「需給ギャップ」の解消とは、金のないものは甘んじて移動難民になれということ。
そもそも移動難民の解消という責任は、営利企業であるタクシーやバス・鉄道事業者の責任なのか?
自治体や国など「公助」の責任が、先ではないのか?

 経済同友会 代表幹事である新浪 剛史氏は、サントリーホールディングス取締役社長だ。
氏のこれまでの、マイナンバーカード一体化保険証(マイナ保険証)による健康保険証廃止について廃止時期を「納期」と発言したこと、サラリーマンの「45歳定年制」を提唱したこと、世界に誇る日本の国民皆保険制度を民間にと提起したこと、さらに安倍晋三元首相の後援会が主催した「桜を見る会」前日の夕食会に、サントリーが飲料を無償提供していたなどなどの大いに憤ることがあって、新浪剛史氏、経済同友会に腹が立っていてちっとも収まらないのに、さらに「なんちゃってライドシェアで終わらせないために」という馬鹿げすぎている提言を出しているのやから、引き続き「サントリーの個人的不買運動」を継続します。


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危険なライドシェアを許さず安全な公共交通を守る! ~ハイタクフォーラム請願署名提出行動 過去最多220,917筆を提出~

2024-02-09 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 ハイタクフォーラム( 私鉄総連ハイタク協議会・自交労連・ 交通労連ハイタク部会)は、2月8日、2023 年10 月から取り組みを行ってきた「危険なライドシェアを許さず安全な公共交通を守るための請願署名」の提出行動を実施した。ハイタクフォーラムから22 名 内(私鉄総連10 名)、タクシー政策議員連盟から衆参議員42 名が参加。集められた署名は過去最多となる220,917 筆 (内、私鉄総連46,732 筆)にものぼり、拙速にライドシェア解禁を進めている岸田政権に対する危機感を大いに反映した結果となった。


 冒頭、溝上ハイタクフォーラム代表幹事全自交労連)は「今回の取り組みでは、ライドシェアは雇用によらない働き方であり、労働者全体に影響することを広報した。その結果、連合からも協力をいただき、昨年の約15 万筆を大きく上回る220,917 筆という最多の署名を集める事が出来た。この署名をしっかり届けて、岸田政権のデタラメな政治を正していただきたい」と挨拶。続いて、辻󠄀元清美タクシー政策議員連盟会長が「先日、ライドシェアの全面解禁を主張する議員に、身近な人へライドシェアの利用を勧められるか、働くことを勧められるか、と尋ねたところ返答に窮していた。この問題は日本の社会を守るための闘いだと思っている」と述べた。その後、溝上代表幹事、石橋私鉄ハイタク協副議長らから、議連に署名を手交、衆・参両院議長への提出を託した。


 意見交換では、「 ライドシェアのために新法を作る動きがあるがこれは絶対に許せない」「ライドシェア推進派は配車アプリが進化して既存のタクシーが利用しやすくなり、ライドシェアに利便性で劣らないことなど認識のアップデートができていない」「配車アプリの普及で流しのタクシーが減少しており、高齢者などがタクシーを捕まえられないことにより車両不足と言われることもあるなど、様々な課題特性があるにもかかわらず、ライドシェアがあれば解決するという乱暴な議論が行われている」「 地方の問題と首都圏や観光地の問題を分けて考えなければならない。地方の問題に対してはまず自家用有償運送で対応すべきであり、首都圏や観光地では、労働環境の改善を以ってドライバーを確保することが優先である」( 安易にライドシェアを導入し、需要のピーク時に白タクが出てくると事故や渋滞のリスクが高まる。それも踏まえて議論すべき」、久松私鉄ハイタク協事務局長からは「大阪では万博開催を理由としてライドシェア導入を強引に推し進めようとしている。大阪の現状のタクシー供給量で万博輸送は可能だ」、森屋隆タク議連事務局長(私鉄総連組織内国会議員)からは「ライドシェアによって2種免許を保持していない人が参入すると個人タクシーの定義が根底から崩れてしまうのではないか」など様々な意見が交わされた。


 閉会に際して、小川ハイタクフォーラム幹事( 交通労連)が「政策の失敗で地方が疲弊し公共交通が崩壊している責任を民間企業であるタクシー事業者に押し付け、人気取りのためにライドシェアを進めている状況だと認識している。ライドシェアは労働問題でもある。生活が安定しないなかで、政府は少子化対策、賃金を上げると言っているのにライドシェアの導入は一貫性がない。22 万以上の署名は現場の労働者の悲痛な声である」と述べた後、小宮山泰子タクシー政策議員連盟幹事長が「なぜ法律で様々な規制を作ったのか。事件・ 事故・ ぼったくり等を防ぐために法律で規制してきた。人を大切にする社会を創るためには、プロのタクシー・ハイヤーが必要である。また、地方の首長は地域の足を守るためにライドシェア導入に期待しているが、昨年12 月に経済同友会でヒアリングをしたところ、儲かる地域でしか参入するつもりがなく、過疎地では自家用有償輸送でやってほしいとはっきりと言い切られた。安心して国内を移動できる公共交通を守るために共に頑張りましょう」と締めくくり、署名提出行動を終了した。


 その後、選挙区などに関係する都道府県の署名を各議員が持ち帰った。今回の署名の集約にあたり、各地連・単組の取り組みに感謝申し上げる。

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「ライドシェア解禁の問題を考える市民会議集会@神奈川」で、拙速なライドシェア解禁論の問題を共有した。

2024-01-22 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 交通の安全と労働を考える市民会議は1月16日、「ライドシェア解禁の問題を考える 市民会議集会@神奈川」として横浜市中区のかながわ労働プラザで集会を開催、120人が参加した。
冒頭、全自交労連の津田光太郎書記次長が、昨年夏の菅前首相発言が端緒となって以降のライドシェアに関する日本の動きについて説明。
続いて、国際運輸労連の浦田誠政策部長が「『ライドシェア』とは~その現状と問題~」として、世界で何が起こってきたか、そこから得られた教訓と課題について、UBERの事例を中心に説明、拙速なライドシェア解禁の動きに警鐘を鳴らした。

 日本労働弁護団常任幹事の菅俊治弁護士は、日本のウーバーイーツ・アマゾンフレックスなどの働き方を例に「『ライドシェア』と労働」について「労働者ではない契約形態で旅客運送サービスを拡大していくことの重大性」についてお話しされ、「最初は赤字覚悟で経営するが、5年経つと牙を剥いて来る。団交無視、労働条件を何の説明もなく一方的に変えてくるのが彼らのやり方だ」と警戒を呼びかかけた。
 菅氏は「ライドシェア最大の争点は、そこで働く人々が労働者であるか否かということだ。働く者が労働者扱いされないとはどういうことかを考えなければならない」と前置き、内閣府・デジタル業財政改革の「中間取りまとめ」には「まるでおまけのように、目立たないように書き込まれている。
1)「公共の福祉を守るためにやむを得ない」78−3には、こっそりと「雇用契約に限らず」検討を進める。と書いてある。
2)78−2の自家用有償旅客運送のほうは、もともと非営利でやる。これを営利の株式会社が受託。運転手に「謝礼」を払う。賃金とは書いていない。これは雇用に限らないな。請負を入れるつもりであるな。
3)その先のタクシー事業者以外の事業者の参入によるライドシェアについては書いていない。書いていないのは、請負を入れる気が満々であるなと受け止めるべき。
この、雇用契約ではやらない、運転手を労働者扱いしないということが、たいへん重大かつ危険。」と指摘。


 また、ライドシェアの導入について、世界中で大反対運動が起きて裁判や法改正が行われている点について、「なにがいちばんの争点になっているか?最大の争点は、労働者か否か。労働者の権利侵害であると同時にコストを下げての不公正競争を招く。既存のタクシー会社が安全を確保しながら経営責任を果たすことが困難に(両立不可)。一度入れてしまうと、あとで引き返すことが困難。」として、いま、反対をと呼びかけた。

 そして、菅弁護士自身が、ウーバーなどの配達員やアマゾンの配達員の労働組合の事件を担当している立場から。「もし労働者でなかったら、どうなるか?」について、実例あげて紹介。
ポイントは5つとして、①はじめは赤字覚悟で、5年経ったら牙を剥く、②労働条件はブラックボックス、③究極の細切れ労働、場当たり的な働き方、④団体交渉は無視、機械が答えます、⑤本当は労働者、を挙げ、
 
①はじめは赤字覚悟で、5年経ったら牙を剥く
 フーデリ。注文すると。配送料金を支払ってる。配達員のもらう報酬と、どっちが高い?配達員の報酬の方が、高い。差額は誰が持っているのか。飲食店でしょうか?ちがう。ウーバーが被っている。
配送料無料キャンペーンなどをしている。誰が負担しているのか。飲食店でしょうか?ウーバー。
はじめから大赤字を覚悟で、シェアを拡大しようとしている。できるだけアプリを普及して、消費行動のパターンを植え付ける。フードだけでなく、ノンフードも。スーパー、コンビニと連携or鎬(しのぎ)を削る。そして、貨物だけでなく、人間も。タクシー会社と連携or鎬を削る。
 前半戦は、配達員という労働力の確保。赤字覚悟でそれなりの労働条件を提示する。
・配達員に対して時給2000円などの最低保障をする。
・最低限の配達員が確保できた段階で、出来高払いに切り替える。最初は、運んだ回数や運んだ距離によって計算式が決まっている。臨時に人手を確保したいときには、地域の割増賃金を提示する。一定の時間帯・一定のゾーンの賃金が1割、2割増やす。「ひつじ飼い」さらに熱心な稼働を促すために、「クエスト」。所定期間内に目標回数を達成。基本報酬に対して、その3―4割程度が場当たり的に支払われるもの。
しかし、ある段階で「黒字化」に着手する。労働条件の相次ぐ不利益変更を行う。時間単価が低下傾向にある。時給1400−1600円程度。
 労働契約法には8−10条まで条文がある。労働条件は労働者の同意なく、一方的に不利益に変更することはできない。そのなかでもとくに賃金は極めて重要な労働条件なので、厳格な条件を満たさないと変更できない。変更の必要性が必要、変更後の契約内容も合理的でなくてはいけない。変更の必要性や変更後の条件も労働者や労働組合に丁寧に説明を尽くさなくてはいけない。
 労働者扱いしないことになると、このような手続きが不要。自由に上げ下げする。変更に同意も手続きも不要にしておきたい。ウーバーイーツの配達員、ある日とつぜんに変更が伝えられる。変更の回数も夥しい。
報酬の変更だけではない。呼び出しに対する応答時間の制限(60秒→30秒→15秒)(配達依頼を拒否したと扱われる)

②労働条件をブラックボックス化
 不利益変更が自由自在なだけでなく、労働条件そのものが、どうしてそのような条件が設定されるのかブラックボックス化されている。不利益かどうかも確認不能。
ウーバーイーツ配達員の給与明細をみると、基本給と調整給からなる。でも基本給が半分くらいしかない。基本給の計算式もよくわからない。調整給が基本給と同じくらいあったりする。働き方がどう評価されているか、なにと調整しているのかもわからない。
 アルゴリズムが勝手に決めている。アルゴリズムの判断要素を開示せよといっても、秘密にされたまま。
労働がギャンブル化している。との指摘あり。同一労働同一賃金の原則を破壊している。との批判あり。
労働契約の場合、使用者は労働条件を明示しなければならない。明示義務を免れるために、労働者扱いしない。

③究極の細切れ労働へ
 「何時から何時まで働くかは、自由。それがいいのだ。」このような考え方に、私は批判的。
アプリにログインしても、仕事の割り当てがあるかどうかは、アルゴリズム次第。仕事が割り当てられなければ、当然、収入にならない。
それもアルゴリズムに常に評価、監視されている。
労働法は、長時間労働を規制している。配達員の中にも長時間労働あり。短時間労働は労働法のもとでも可能。
仕事の割り当て、スケジュールに見通しがあること、収入が安定していること、は極めて重要。
世界的には、労働条件をいかに透明化し、予見可能なものにしていくかが課題になっている。副業をしなくても、まっとうに生活できる賃金、労働条件が重要。
 アマゾンの配達員。アマゾンフレックスの配達。シフト労働をしている。勤務成績がいい労働者は1ヶ月前からシフトを入れられる。 成績が悪いと1週間前にしかシフトが入れられない。シフトを入れてくださいという告知がくると、一斉に労働者がアプリでエントリーをする。早い者勝ちの状態なので、先を争ってシフトをいれなければならない。
日雇い労働者がその日の仕事をもとめて行列する人たちの姿と変わらない、同じ場面が物流の現場では広がっている。

④団体交渉は拒否、機械がアンサーします
 ウーバーも、Amazonも、団体交渉を一切拒否している。苦情を受け付けるのは、サポートセンター。
たとえば、アカウント停止。
・まったく理由が説明されない。
・弁明の機会がない。
アプリでの問い合わせには、定型文言の答えしか返ってこない。機械が、規定違反があったのでアカウントを停止した、ということしか答えない。

⑤本当は労働者、労働法の保護をひろげよう
 私たちは、このような無権利な労働者を増やしてはいけない。
そもそも労働法は、形式的に請負や委託の契約であったとしても、働かせ方の実態をみて労働者であれば、労働法を適用しなければならないとしている。
世界では、労働者を独立契約者として偽装することを規制しよう必死に取り組んでいる。
無権利な労働者を増やしてはいけない。
日本は、現在広がっているこうした偽装雇用にたいして、適切な取り締まりを強化し減らしていくべきであって、ライドシェアのような働き方を増やすことではないはずだ。
これに逆行すること、ますます問題と被害を拡大するライドシェアの拡大には、断固として反対していかなければならない。



 続いて、地元神奈川からの発言を受けた。
牧山ひろえ参議院議員(神奈川県選出)
「私は世界でいろいろライドシェアに乗ってきたが、怖い思いもしたし目的地に到着しないことも経験した。世界には、ライドシェアはいろいろなものがあるが、多くの国で禁止されている。ウーバーでは多くの性被害が起っている。日本でライドシェアを解禁して、ひとりでも性被害があったり、ひとりでも誘拐事件があったり、ひとりでも命を落とすようなことがあったら、許されない。日本の安全安心を守るためにこれからも頑張っていきたい。」
篠原豪衆議院議員(神奈川1区)
「規制改革、一部の有識者が勝手に決めていく。始めてみて何か問題が起ったらどうするのか、そこをしっかりとみていかなくてはならない。今、タクシードライバーも待遇が上がってきている、その努力をちゃんと守らなくてはならない。」


 三上神奈川県タクシー協会専務理事から神奈川版ライドシェアの現状について説明を受けた後、日本労働弁護団常任幹事で、ブラック企業対策弁護団副事務局長でもある神奈川総合法律事務所所属の嶋﨑量弁護士
「神奈川版ライドシェア、反対していかなければならない、必要がない。既成事実だけ作って、やることを前提で検討していることに怒りしか感じない。利権、こういうところにお金が流れている。必要性がない、必要性がまずは基本であり、ドライバーが足りないのなら、労働条件を上げてくださいということ。そして海外の人が使いやすいアプリを政府が責任もって開発すれば良い。一度『ライドシェア』と名の付くものをどこかで入れたら、どんどん規制緩和がされて拡大していく。困るのは市民、困るのは利用者だ。」


 そして利用者の立場からの発言として、主婦連合会会長の河村真紀子さんからは、「大切な議論を拙速に始めようとしていることが問題。主婦連合の定例会でライドシェアを取り上げたときに、ライドシェアの定義をちゃんとわかっている人は少なかった。シェアリングエコノミーと混同していたり、乗り合いタクシーと混同していたりと、ライドシェアの実態が伝えられていないし、利用者消費者に共通認識もないのが今の状況だと。そのように国民が理解する前にライドシェア解禁を進めていこうとしているように見える。
 デジタル化を盲目的に進めようとしているのが今の政府で、それが本当に国民のためになるのか、社会のためになるのか、それを議論していくことが当然なのに、それがなく、デジタル化だから、規制緩和だから、と決められてしまうのは問題がある。利用者、労働者、あらゆる面から見ても私たちは反対する。航空機や船舶やその他の交通と同様に、消費者にとってタクシーは命を乗せるものであって、プロフェッショナルによることが大切で、もちろん安全が大切であり、過疎地の移動の問題や、都市部でもタクシーが不足している問題があるとしても、その課題の解決には丁寧な議論が必要で、けっしてライドシェアがその解決ではない。」「私たちも断固反対の声を上げていきたい。」と話された。


 代表世話人の戸崎肇・桜美林大教授は「ライドシェアと公共交通」として、「ライドシェアを推進しようとする人たちは、『なんでやらないの、だめならまた変えたらいい』という。しかし、ビジネスの話しと行財政改革の話しは次元が違う、行財政改革の失敗は、それをやり直すのには、たいへんな負担(コスト)と時間が掛かる。例えば『がんに効くから』と医薬品を安易に認可する、そんなことはあり得ない。
 今、世界はプラットフォーマーに独占される状況になる、それに世界では気付いて、今、amazonなどのプラットフォーマの市場や情報の寡占が問題なっている。それを日本では、ウーバーなどのプラットフォーマーに許そうとしている。アルゴリズムの中身は秘密にされているので、しかしアルゴリズムを持っているプラットフォーマーが強い。
これまでせっかく築き上げてきた日本のタクシーの制度は、もちろん安全の確保を含めてコストが掛かっているが、ライドシェアによってこれを一瞬で崩すことになるのが大きな問題でだ。タクシーを含めて地域公共交通をどうしていくかということについては、様々な議論や、それを踏まえての様々な法律制定、そらにそれらの法改正により今の制度が出来あがっているのに、それを一首長や一政治家の判断で、一瞬で崩してしまうことも問題だ。
 ライドシェアを推進しようとしている勢力はすべてがビジネスの観点であり、これに対抗していくには、私たちはわかりやすく世論に説明していくしかない。」と今後の運動の展開について提起された。
 参加していただいた、すとう天信神奈川県議会議員ら神奈川の各級議員から一言ずつご意見をいただき、最後に事務局である山口広弁護士が「ライドシェアを解禁しようという今のこの動きは、単に交通の安全の問題というだけではなく雇用の危機でもある。慎重な検討が必要なはず。市民会議は引き続き運動を展開していく」と、横浜集会を締めくくった。

 交通の安全と労働を考える市民会議として、次回は国会議員会館での院内シンポを可及的速やかにの開催しようと予定しているが、ライドシェアを拙速に導入しようとしている地域において、受け入れていただけるなら開催したいと考えている。(例えば、函館、大阪や福岡など)
我々市民会議の関係者に、是非、お声掛けいただきたい。

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多くの国で禁止・規制されているライドシェアを世界で唯一水際で阻止してきた日本に、拙速にライドシェアが解禁されていくことを危惧する…

2024-01-13 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える―は、1月16日(火)18時から、かながわ労働プラザ(エルブラザ 神奈川県横浜市中区寿町1丁目4)にて、シンポジウムを開催します❗
昨年12月20日、デジタル行財政改革会議が中間取りまとめで、2024年4月より、タクシーが不足する地域・時期・時間帯の特定を実施。これに基づき、タクシー事業者が運送主体となり地域の自家用車・ドライバーを活用し、アプリによる配車とタクシー運賃の収受が可能な運送サービスの提供を開始することとした。さらに、タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行う法制度について2024年6月に向け議論するとしている。12月26日の規制改革推進会議も同じ内容を答申している。そもそもライドシェアとは何か、ライドシェア解禁は公共交通、働き方、利用者の安全などにどのように影響をしていくかを考える。
ぜひ、参加ください❗


 一般ドライバーが自家用車を使って有料で客を運ぶ「ライドシェア」について、東京ハイヤー・タクシー協会は「断固反対」の方針を一転し、4月から導入すると発表した。
われわれ、タクシー産業で働く者の立場としては、今回の事業者が行う「日本型ライドシェア」については、諸手を挙げて賛成できるものではないが、これまで一貫して反対していた、いわゆるライドシェア解禁に向けたライドシェア新法に対抗するためにという点では、仕方がないのかと…。
忸怩たる思いではあるが…。

 ただし、中身について、遊休タクシー車両を前提とするようだが、白ナンバーの自家用車を使用する場合もあることで、その場合の自賠責保険・自動車賠償保険がどいうなるのか明確になっていないことに課題がある。
加えて、アプリ配車に限るとしても1種免許で有償運送が出来るとなると、2種免許の価値の低下につながり、プロドライバーの賃金労働条件などの下方圧力となるのではないかと危惧する。(利用者への安全の提供も低下するのは言うまでもない)
また、タクシーによる供給が回復するならば、こういった運用は廃止すべきだと考える。

 ちなみに連合の「ライドシェアにかかわる『デジタル行財政改革中間とりまとめ』に対する談話」を掲載しておく。

ライドシェアにかかわる「デジタル行財政改革中間とりまとめ」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行
1.公共交通で保障される利用者の安心・安全が十分に担保されるのか見極めが必要
 政府は12月20日、第3回デジタル行財政改革会議において、「デジタル行財政改革中間とりまとめ」を決定し、「タクシー事業で不足している移動の足を、地域の自家用車や一般ドライバーを活かしたライドシェアにより補う」とした。具体的には、タクシー事業者の運行管理のもとで新たな仕組みを創設し、タクシー車両が不足する地域・時間帯に限って、アプリ配車とタクシー運賃収受が可能な運送サービスを2024年4月から提供するとしている。
 なお、この新たな仕組みは、国土交通大臣の許可(道路運送法第78条第3号)にもとづいて創設するとしているが、タクシー事業と同様に公共交通で保障されている利用者の安心・安全、ドライバーの安全確保、車両の管理責任などが十分に担保されるのか、重大な関心を持って見極める必要がある。

2.健康確保などに懸念がある働き方を広げることは容認できない
 特に、ドライバーの働き方については、「安全の確保を前提に、雇用契約に限らずに検討を進める」としているが、労働者でなければ労働関係法令が適用されず、結果的にドライバーが劣悪な環境での就労を強いられる懸念が拭えない。加えて、運行管理者に対して道路運送法等による健康診断などの健康管理や、副業・兼業を含めた過重労働の防止などの取り組みが課されないとすれば、事故などによって利用者や歩行者などの安全を脅かすことにもなりかねない。そうした懸念が多い働き方を広げることは容認できない。

3.タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことは慎重であるべき
 また、「中間とりまとめ」では、2024年6月に向けてタクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことを位置付ける法律制度の議論を進めるとしている。タクシー事業者以外が行うライドシェア事業は、先行する諸外国において様々な問題が指摘されていることに加え、タクシー産業の健全な発展を阻害しかねず、慎重な検討が必要である。

4.国民生活や経済活動を支える持続可能で強い交通・運輸体系の構築を求める
 連合は、わが国が直面する経済・社会の変化に的確に対応するとともに、国民生活や経済活動を支える社会基盤として、持続可能で強い交通・運輸体系の構築実現にむけて、構成組織・地方連合会とともに取り組んでいく。


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【ライドシェア?】デジタル行財政改革会議で示された「中間とりまとめ案」の問題点

2023-12-24 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!

 12月20日、デジタル行財政改革会議において「地域交通における『担い手不足』『移動の足不足への対応』」と題した方針が発表された。
これをもって「ライドシェア限定解禁 4月から一部地域で」等の報道が相次いでいる。
しかし、今回の政府方針には多くの問題があり、このことがライドシェア阻止運動の全面的敗北を意味するわけではない。
2023年12月20日のデジタル行財政改革会議で示された「中間とりまとめ案」における「地域の自家用車・ドライバーの活用」に関する記載を引用し、問題点を詳述し、安易な規制緩和を強く批判する。


【引用「デジタル行財政改革会議中間取りまとめ」】
 現状のタクシー事業では不足している移動の足を、地域の自家用車や一般ドライバーを活かしたライドシェアにより補うこととし、すみやかにタクシー事業者の運行管理の下での新たな仕組みを創設する。
 具体的には、都市部を含め、タクシーの配車アプリにより客観指標化されたデータに基づき、タクシーが不足する地域・時期・時間帯の特定を行う。そして、これに基づき、タクシー事業者が運送主体となり、
地域の自家用車・ドライバーを活用(#1)し、アプリによる配車とタクシー運賃の収受が可能な運送サービスを2024 年4月から提供する道路運送法第78 条第3号(#2)に基づく制度の創設)。また、この制度の創設に向け、ドライバーの働き方について、安全の確保を前提に、雇用契約に限らずに検討(#3)を進める。
 さらに、この新たな仕組みと合わせ、従来の自家用有償旅客運送制度(道路運送法第78 条第2号)について、移動の足の確保に係る地方自治体の責務に照らして様々な障害があるとの地域の声を踏まえ、2023 年内から使い易い制度へ大幅に改善していく。
 このため、同制度の適用対象となる
交通空白地に夜間など時間帯の概念(#4)を取り込み拡大するほか、対価の目安の引き上げ(タクシー運賃の約8割)やダイナミックプライシングの導入(#5)等を実施する。また、地域公共交通会議等における協議において地方自治体の長が判断(#6)できるよう制度の改善を図る。
 さらに、自家用有償旅客運送への多様な主体の参画を促すべく、運送の実施主体からの受託により
株式会社が参画(#7)できることを明確化する。
 加えて、道路運送法の許可又は登録の対象外の運送(無償運送)について、アプリを通じたドライバーへの謝礼の支払いが認められることを明確化することで、利便性を向上する。
 上記の方策について、できるものから早期に開始し、実施効果を検証するとともに、
タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことを位置付ける法律制度について、2024 年6月に向けて議論(#8)を進めていく。

#1 地域の自家用車・ドライバーを活用 二種免許の無視
〇安全性確保の観点から二種免許が必要であるという大原則を全く無視している。
〇二種免許は免許取得時に、一種免許より、実技ではより高度な運転技術と、筆記試験では安全確保に関しての知識を問われる。
〇さらに、免許更新時には、視力に関して一種免許より厳しい検査(深視力)がある。
〇タクシーが不足する地域では、人命軽視の輸送手段を提供してもかまわないと言っているに等しい。

#2 道路運送法第78 条第3号 「公共の福祉」の濫用
〇「道路運送法78条3号」は「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき」に自家用車による有償輸送を例外的に認める条文である。
〇「公共の福祉を確保するため」とは、災害時等のやむを得ない場合の緊急的な対応を想定したものであるはず。
〇「タクシーが不足する」ということで、半恒久的な制度を「公共の福祉」という名目で実施することは、安全確保などについて厳しい参入要件を定め「タクシー事業免許」を規定した道路運送法の趣旨にそむく。

#3 雇用契約に限らずに検討 公共交通従事者のワーキングプア化
〇日本のハイヤー・タクシーは、乗務員との雇用関係を前提として、運行管理や安全・接客に関する教育を実施してきた。
〇乗務員は、雇用関係にあることで最低賃金や割増賃金の適用、雇用保険や健康保険・厚生年金への加入、労働時間の制限の適用といった労働関係法令の適用を受ける。
〇公共交通従事者に請負契約(偽装フリーランス、ギグワーカー)の働き方を、認めれば、安全に関する管理・教育が疎かになるのは明白。
〇労働者としての権利をはく奪されることで、ドライバーの収入が低下・不安定化し、長期的にはさらなる人材不足と質の低下をまねくこととなる。
〇さらに不安定な収入と待遇で、長期的な人生設計が困難なギグワーカーへ、正規雇用を置き換えていけば、将来的に社会全体への悪影響をもたらすこともすべきだ。
〇海外においてもライドシェアのドライバーは、経費を自腹負担した上で、プラットフォーマーに50%もの手数料を搾取されるなど、ワーキングプア化が深刻な問題となっている。

#4 交通空白地に夜間など時間帯の概念 深夜に移動できない地域が「交通空白地」なのか
〇「交通空白地に夜間など時間帯の概念」を取り込むことは、実質的に全国ほぼすべての地域を交通空白地とみなすに等しい。
〇深夜時間帯においては、そもそも鉄道・バスは元々運行しておらず、公共交通において唯一の選択肢がタクシーであるが、大都市部ですら移動需要の少ない深夜に完全な供給の安定を図ることは難しい。
〇時間帯の概念を導入すれば交通空白地という定義自体が意味を失う。
〇深夜時間帯の稼働維持には、割増賃金の支給、運行管理者やオペレーターの24時間体制等の経費が必要であり、交通空白地を生まないよう、公共交通としてのタクシーが深夜の供給力を提供できるよう公助を行うことが先決ではないか。

#5 ダイナミックプライシングの導入 ダイナミックプライシングは成立しない
〇ダイナミックプライシングは供給過剰の時に安く、供給不足の時に高く、価格を設定する制度である。
〇一方で、交通空白地有償運送はバス・タクシー等の交通機関が存在しないか、需要をカバーしきれない地域で行われる制度であり、供給過剰のケースでは交通空白地有償運送をそもそも実施する必要がない。
〇しかるに原理的に供給不足の状態で行われる制度であり、ダイナミックプライシングを導入すれば常に高い運賃を取ることになる。

#6 地域公共交通会議等における協議において地方自治体の長が判断 「地域の合意」の軽視は改正地域交通法と矛盾
〇2023年4月に成立し10月に施行されたばかりの「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律」には、「地域の関係者の連携と協働の促進」が最大のテーマとして明記されており、地域の関係者による協議や合意形成を軽視することは、同法とまったく矛盾している。
〇地域全体で交通を持続可能とするためには、関係者の協議と合意形成を欠かすことはできないはず。
〇一部の首長の独断と暴走により地域交通の衰退が加速することが強く懸念される。

#7 株式会社が参画 営利を目的とするなら、タクシー事業を行うべきだ
〇そもそも交通空白地有償運送は営利を目的とした輸送形態ではない。
〇仮に営利を目的として輸送サービスを提供したいのであれば、タクシー事業、バス事業に参入し輸送サービスを提供すれば済む話である。

#8 タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことを位置付ける法律制度について、2024 年6月に向けて議論 ライドシェアありきの議論は百害あって一利なし
〇これまでも諸外国の事例等を具体的に示しながらライドシェアの危険性や、消費者への不利益、既存の公共交通に与える悪影響等を証明されている。
〇その上で、今般来年6月に向けて、つまりわずか半年間で解禁の議論を行うという方針には、開いた口がふさがらない。
〇一部の政治家やライドシェアを行いたいプラットフォーム事業者などの方を向いていることはあっても、国民や公共交通に携わるエッセンシャルワーカーに向いていないことは断言できる。
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ウーバー社が政府会議に提出した資料の印象操作を指摘する声明 ー交通の安全と労働を考える市民会議ー

2023-11-12 | 書記長社労士 ライドシェア断固阻止!
 規制改革推進会議第1回地域産業活性化ワーキンググループにおける、Uber Japan社提出資料について、交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える― は、「表記資料を精査したところ、重大な印象操作が行なわれているので、注意喚起させていただきます。」として声明を公表した。⇒https://www.forumtsl.org/_files/ugd/000bb8_9c2d09f336fa492f8babece8044c86bc.pdf
このブログでも、その内容を共有しておく。

「規制改革推進会議第1 回地域産業活性化ワーキンググループにおける、UberJapan社提出資料について」

2023年11月10日
交通の安全と労働を考える市民会議

 ウーバージャパン社が11 月6日に開かれた規制改革推進会議第1回地域産業活性化ワーキング・グループに提出した資料である「諸外国におけるライドシェア法制と安全確保への取り組み」(以下、提出資料)を精査したところ、p17の「タクシーとライドシェアの利用者によるサービス評価比較(豪州シドニー、2019年)」に、重大な印象操作が行なわれているので、注意喚起させていただきます。
ウーバージャパン社の提出資料を見る限りでは、「利便性」、「接客サービス」など5つの項目で、タクシーよりもライドシェアの方が利用者から高い評価を得ています。タクシーの方が高い評価を得たのは、「地理に関する知識」と「運転技術」の2項目でした。


 しかし、同社が出典元とするPoint to Point Transport Independent Review 2020(Transport for NSW の発行)のp27を見ると、次のような異なるグラフが出てきます。


 まず、このTransport for NSW のグラフには、3つ目の業種として、タクシー、ライドシェアに加えて、リムジン・ハイヤー(Limo/Other Hire Vehicle Vehicle)があり、とりわけサービスの質(Quality Dimensions Dimensions)で、一番高い評価をすべての項目で得ています。全項目数も、こちらでは12項目あります。

 驚くべきは、Transport for NSWのグラフには安全性(safetysafety)という項目があり、ここでは、タクシー=31%、ライドシェア=12%、リムジン=41%という結果となっていますが、この項目はウーバージャパン社の提出資料では削除されているのです。また、そのように一部の情報を出典元から割愛したという注釈もありません。

 安全問題は、ライドシェアについて議論する上で欠くことのできない重大案件です。それは、ウーバージャパン社も十分承知していることであり、提出資料でも「サービス提供国の多くでは『安全性』が普及要因の一つ(p7)」などと強調しています。

 自社に不利な印象を与える数値のみを、意図的に隠ぺいした資料には客観的信頼性が全くなく、いやしくも政府の公認会議の資料として提出することは、言語道断です。果たして、このような情報操作はこのグラフのみに留まるものなのでしょうか。提出資料の全域にわたって、その信ぴょう性が問われても、仕方ありません。

 提出資料にはこの他にも、印象操作と思われても仕方ない情報があります。たとえばp1では、「33カ国でタクシーの配車事業を展開している」と主張していますが、その具体的な内容を記載せず、マップの色塗りという手法を取っているのです。マスコミ情報では米国の場合、2022年にニューヨーク市でこうしたサービスの提携を発表し、最近カリフォルニア州へと広まった程度に過ぎないと報道されています。

 残念ながら、21世紀の民主国家・日本では、ウソにウソを重ねても真実にはなりません。こうした体質の企業に旅客運送の責任を負わせることには、これまでも多くの懸念がありましたが、ウーバージャパン社は改めてその信頼性を自ら失墜させているのです。

 以上の点を鑑み、ウーバージャパン社に提出資料の全面撤回を、地域産業活性化ワーキング・グループにはこの提出資料の不採用を求めます。

交通の安全と労働を考える市民会議 事務局
Tel: 03-3341-3133
Fax: 03-3355-0445
Email: info@forumtsl.org
HP https://www.forumtsl.org/https://www.forumtsl.org/
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