労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

【メモ】「とるだけ育休」って言葉を初めて聞いた

2024-12-02 | 書記長社労士 労務管理

 共働き家庭の増加や法改正、企業の取り組み等により、男性の育休取得が一般的になりつつあるなか、一方で、育休を取得したものの、当事者やそのパートナーにとって満足度の低い「とるだけ育休」になってしまっているケースがあるとのこと。
別名で「名ばかり育休」。

 「とるだけ育休」が起こる原因として、
●取得期間が数日と短かすぎて
●育休を取ったはいいものの、何をすればよいのか分からない
●夫自身はやっているつもりだけど、妻からしたら不十分
●自分事になっておらず、言われないとやらない など

 「とるだけ育休」になってしまうと、妻のストレスが増える、「2人目は無理だな」と諦めてしまうこともある、夫婦関係が悪化してしまうなどの弊害も。

 で、「とるだけ育休」にならないためのポイントとしては、
〇十分な期間の育休を取得する
〇育休を取得する目的と役割を明確にする
〇互いに納得感のある家事・育児の分担をする
〇夫婦それぞれリフレッシュする時間を作る
〇妻の精神的な支えとなる
〇相談相手を作っておく などが考えられる。
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【メモ】転勤制度見直しの必要性

2024-10-15 | 書記長社労士 労務管理

 12年も単身赴任している自分が、このメモを残すのもどうかと思うが…。

〇転勤制度が一般社員にまで広く普及している日本企業は特殊な状況
 ⇒ 欧米では「ジョブ型」雇用契約が基本=転勤で就業場所を含むジョブが変わるのは本人の同意が必要、原則企業主導での異動という概念はない
 ⇒ 転勤制度も日本的雇用慣行の根差す独特の仕組み=メンバーシップ型雇用契約
 ⇒ 雇用を守るために企業の命令で従業員を移動させることが出来る点に合理性があった

東亜ペイント事件(最小判昭61・7・14)
大学卒営業マンに対する神戸から名古屋への転勤命令拒否を理由とする懲戒解雇につき、本件における単身赴任となる生活上の不利益は、転勤に伴い通常甘受すべき程度のもので、本件転勤命令は、①配転命令に業務上の必要性が存在しない場合、②配転命令が不当な動機・目的をもってなされた場合、③労働者の通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合など、特段の事情が存在する場合でない限り、権利濫用にあたらないとして、原審を破棄・差し戻した事例。


〇転勤制度のメリット
①事業所の拠点展開を円滑に進めること
⇒ 経営環境の変化に対応して事業を見直すにあたり、使用者の一存で労働者の配置ができることは、柔軟な事業展開にとって都合がよい。
②人材育成の効果
⇒ 転勤に伴う環境の変化は、従業員に変化適応力を身につけさせ、成長するチャンスになる。
③企業の一体感の醸成
⇒ 異なる拠点間で人材交流が活発に行われる。
④不正防止やマンネリ化の回避
⇒顧客との癒着を防止、勤務地が変わることで新しい気持ちで仕事を経験できる

▲転勤のデメリット
⇒ 転居や単身赴任に伴う生活面でのコスト
⇒ 共働き生体の増加 配偶者同伴=配偶者のキャリア形成に支障、単身赴任=配偶者の家事・育児負担の増加
⇒ 転勤のある企業を敬遠する傾向が強くなっている(とりわけ若い世代は終身雇用を信じていない)

〇転勤制度の廃止や見直しは優秀な人材を確保するための人事戦略の側面が強くなっている
 ⇒ メンバーシップ型の人事の仕組みではなく、本人の意向を起点に考えるジョブ型の人事の仕組みに変わっていく圧力
 ⇒ 企業にとって奥行きのある極めて重要な課題
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【メモ】「職種限定合意」という雇用契約に関する判令、タクシーやバスの職場では当たり前である雇用契約であるのだが…

2024-10-10 | 書記長社労士 労務管理
 私たちのようなタクシー・バス運転者は、「運転者」として職種限定合意契約で就労しているケースが多く、運転業務が出来なくなってしまったとき、または、業務命令により職種変更する際に、いろいろとあるんだが…。
ということで、以下の判例をメモしておく。

【滋賀県社会福祉協議会事件】(最小判令6・4・26)
 社会福祉法人である第一審被告(以下「Y」)において福祉用具の改造・製作、技術の開発を担当する技術職として18年間勤務していた第一審原告(以下「X」)に対し、Yが、福祉用具改造・製作業務を廃止する方針に基づき、総務課施設管理担当への配転を命じたという事案。第一審(京都地裁令和4年4月27日判決)及び控訴審(大阪高裁令和4年11月24日判決)は、X・Y間で、Xを技術職として就労させるとの黙示の職種限定合意があったと認定した上で、業務廃止に伴う解雇回避のためには、他の業務への配転を命じる業務上の必要性があり、また、甘受すべき程度を超える不利益を与えるものでもないとして配転命令を有効と判断した。

 これに対し、最高裁は、「労働者と使用者との間に当該労働者の職種や業務内容を特定のものに限定する旨の合意がある場合には、使用者は、当該労働者に対し、その個別的同意なしに当該合意に反する配転命令を命ずる権限を有しないと解される」との基本的考え方を示した上で、X・Y間には職種限定合意があったのだから、Yは、そもそもXの同意を得ることなく技術職以外の業務への配転を命ずる権限を有していなかったとして、原判決を破棄し、差し戻した。


「職種限定の合意」
 労働契約において、使用者と労働者との間で、労働者を一定の職種に限定して配置する旨の合意をいい、職種限定の合意がある場合、当該労働者の合意がない限り、当該労働者を他職種へ配転することはできない。

「配転命令権」
 「配転」とは従業員の配置の変更であり、同じ勤務地内での所属部署の変更が「配置転換」、勤務地の変更が「転勤」と呼ばれる。
就業規則上では「業務の都合により、出張、配置転換、転勤を命ずる」等の条項が置かれ、使用者が人事権の一内容として、従業員の職務内容や勤務地を決定する権限(配転命令権)を有することが一般的。

「使用者による配転命令の有効性」⇒東亜ペイント事件(最高裁昭和61年7月14日第二小法廷判決)』
①使用者に配転命令権が認められるか
②認められるとしても権利の濫用(業務上の必要性がない場合または業務上の必要性がある場合でも、不当な動機目的でなされたときもしくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等、特段の事情がある場合)に当たらないか
という観点から適法性が判断されることを示した。

労働条件明示ルールの改正との関係
 2024年4月1日以降、改正労働基準法施行規則が施行され、職務・勤務地に関する労働条件明示ルールが変更された。
具体的には、雇入れ(更新)直後の職務・勤務地の明示に加えて、労働契約の期間中における職務・勤務地の変更の範囲の明示も義務づけられた。
そのため、2024年4月1日以降に雇入れ(更新された)労働者に対しては、職務・勤務地限定の合意の認定が容易になることが予想される。

「同意を得ることなく配転命令をする権限は認められない」
 本件最高裁判決も、従業員の同意を得ることなく配転命令をする権限は認められないと述べるに留めており、同意を得る前提での配転の打診が禁止されているわけではない
職種限定合意が成立していると評価される場合には、解雇回避努力義務を尽くすために、配転の打診を行い、配転への同意を得ることができるかどうかも検討することも視野にいれるべきではないか。
職種限定合意が成立している場合には、使用者は従業員に対する配転命令権自体が認められないと解されることを念頭に置いた上で、配転が必要となった場合には従業員から個別同意を得るための対応をするなどの措置を講じる必要があるのではないか。
ただし、「労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点」には留意が必要か。(職種の変更が、解雇の回避のためであるという事情は、「合理的な理由」の客観的な存在を肯定しやすくする要素となると考えられるが)
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【メモ】「飲み二ケーション」はあまりお勧めしません…Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン

2024-10-01 | 書記長社労士 労務管理

コミュニケーションを豊かにしたい ⇒ 「そうだ!コロナも終わったから飲み会だ」は違う
・若年層を中心にWLBや労働に対する価値観の変化、金銭的問題、タイパ的観点から、飲み会は歓迎されていない向き
・対人コミュニケーションの司令塔である前頭前野がアルコールによって機能が低下している状態で、配慮の効いたコミュニケーションなど取れるはずもない
・飲み会が一部ではハラスメントの温床になっていることも見逃せない事実
・健康志向や「ソバキュリアス」によるアルコール離れが進んでおり、上司が飲んで部下が素面であって、苦痛の時間が生じる懸念

いやいや「飲み会には意義がある…しかしそれは
・単に話すきっかけが出来てるだけ
・「親和欲求」を背景に他社に対する親しみが増すだけ
⇒コミュニケーションのギャップを埋めることにはつながっていない現実、「やった感」を感じてるだけ

よい飲み会の開き方
①参加はに任意であることを徹底する(欠席者が申し出るのではなく、出席者が申し出る形で出欠を取る)
②目的を明確にする(親睦などというふわっとした目的ではなく「普段話さない人と話す」など)
③部下が行きたい店に行く
④時間は2時間以内厳守

世代間、あるいは部署間等属性の違いを起因して齟齬が生じた場合
①「違和感のあるコミュニケーションにはそれぞれ何らかの糸や背景がある」ことを踏まえる
②「コミュニケーションの趣旨や意義を踏まえて、機能分化を図っていくこと」が求められる
③「新しい職場のコミュニケーション文化を創り、促進していくためのリーダーシップ」は欠かせない
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【メモ】就業規則に試用期間延長の規定がない場合の、試用期間延長後に本採用拒否したら…

2024-09-17 | 書記長社労士 労務管理
 たまたまながら、最近、複数件「試用期間」について問い合わせがあった。
そういえば…と、この判例をメモしておく。
とにかく「就業規則&労働協約に書いていないことはするな~❗したいなら書いておけ~❗」ってのが自分のアドバイスの基本やけどな。


明治機械事件(東京地判令2・9・28)
 大学卒業後1年の既卒採用者について、会社が試用期間を2回にわたり延長した後、本採用拒否(留保解約権の行使)をしたところ、当該解約権行使の有効性が問題となった事案で、裁判所は、労働者の同意を得て行った試用期間の延長自体を無効とし、当該本採用拒否を無効とした。


 判決では
1 本件雇用契約における試用期間は、職務内容や適格性を判定するため、使用者が労働者を本採用前に試みに使用する期間で、試用期間中の労働関係について解約権留保付労働契約であると解することができる。
そして、試用期間を延長することは、労働者を不安定な地位に置くことになるから、根拠が必要と解すべきであるが、就業規則のほか労働者の同意も上記根拠に当たると解すべきであり、就業規則の最低基準効(労契法12条)に反しない限り、使用者が労働者の同意を得た上で試用期間を延長することは許される。
 そして、就業規則に試用期間延長の可能性及び期間が定められていない場合であっても、職務能力や適格性について調査を尽くして解約権行使を検討すべき程度の問題があるとの判断に至ったものの労働者の利益のため更に調査を尽くして職務能力や適格性を見出すことができるかを見極める必要がある場合等のやむを得ない事情があると認められる場合に、そのような調査を尽くす目的から、労働者の同意を得た上で必要最小限度の期間を設定して試用期間を延長することを就業規則が禁止しているとは解されないから、上記のようなやむを得ない事情があると認められる場合に調査を尽くす目的から労働者の同意を得た上で必要最小限度の期間を設定して試用期間を延長しても就業規則の最低基準効に反しないが、上記のやむを得ない事情、調査を尽くす目的、必要最小限度の期間について認められない場合、労働者の同意を得たとしても就業規則の最低基準効に反し、延長は無効になると解すべきである

2 Y社が本件雇用契約の試用期間を繰り返し延長した目的は、主として退職勧奨に応じさせることにあったと推認され、これを覆すに足りる証拠は存しないから、1回目の延長についても、2回目の延長についても、Xの職務能力や適格性について更に調査を尽くして適切な配属部署があるかを検討するというY社主張の目的があったと認めることはできない。

3 そうすると、1回目の延長はやむを得ない事情があったとも、調査を尽くす目的があったとも、認められず、就業規則の最低基準効に反することから無効であり、1回目の延長が有効であることを前提とする2回目の延長及び3回目の延長も無効であるから、本件雇用契約は、試用期間の満了日である平成30年6月30日の経過により、解雇権留保のない労働契約に移行したと認められる。

 本件では、就業規則に試用期間の定めは存在したが、その延長に関する定めがなかった。
「就業規則などで延長の可能性及びその事由、期間などが明定されていない限り、試用労働者の利益のために原則として認めるべきではない。なお、本採用を拒否できる場合にそれを猶予する延長は認められうるとする。」(菅野和夫・山川隆一「労働法」)
「試用期間の延長は、労働者を長期間不安定な地位に置く結果となるため、当初予定した職務への適格性はないが、なお職務適格性を見出すために行われるなど、合理的理由がある場合にのみ許されると解すべき」(土田道夫「労働契約法」)
「試用期間満了時に一応職務不適格と判断されたものについて、…更に職務適格性を見出すために、試用期間を引き続き一定の期間延長することも許される」雅叙園観光事件(東京地判昭60・11・20)

 本判決では、「労働者の利益のため更に調査を尽くして職務能力や適格性を見出すことができるかを見極める必要がある場合等のやむを得ない事情があると認められる場合に、そのような調査を尽くす目的から、労働者の同意を得た上で必要最小限度の期間を設定して試用期間を延長することを就業規則が禁止しているとは解されない。」
「試用期間を延長することは、労働者を不安定な地位に置くことになるから、根拠が必要と解すべきであるが、就業規則のほか労働者の同意も上記根拠に当たると解すべきであり、就業規則の最低基準効(労契法12条)に反しない限り、使用者が労働者の同意を得た上で試用期間を延長することは許される。」とされた。
しかし「労働契約法12条」についての判断はされていない。

 試用期間満了時(あるいは試用期間中)に本採用を拒否することの有効性【最大判昭48・12・12】
①採否決定の当初においては、その者の資質、性格、能力その他上告人のいわゆる管理職要員としての適格性の有無に関連する事項について必要な調査を行ない、適切な判定資料を十分に蒐集することができないため、後日における調査や観察に基づく最終的決定を留保する趣旨でされること
②留保解約権に基づく解雇は、これを通常の解雇と全く同一に論ずることはできず、前者については、後者の場合よりも広い範囲における解雇の自由が認められること
③留保解約権の行使は、上述した解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許される
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企業型確定拠出年金の自動移換者118万人、2800億円が塩漬け

2024-08-30 | 書記長社労士 労務管理
「会社を転職する際に企業年金の資産を移し忘れる人が急増していることがわかった。2022年度末時点の企業型確定拠出年金(DC)元加入者で118万人、資産額は2818億円に上り、いずれも10年間で3倍超に増えた。老後の生活資金が活用されない状態を解消するため厚生労働省は対策を検討する。」【日本経済新聞2024年6月20日付】
という記事があった。

 企業型確定拠出年金の加入者が転・退職すると加入者資格を喪失するが、次の勤務先に移る際に資産の移換手続きをしないと運用されず国民年金基金連合会に移換され、現金のままで管理されることになる。⇐「自動移管」
この「自動移換者」は、2023年3月末で118万人、金額で2818億円。
いずれも10年間で3倍になっていて、企業型確定拠出年金の加入者805万人、総資産18.3兆円なので、これは人数で約1割、資産で1.5%にあたる。
118万人の年金資産が、掛金も拠出されず運用もされず現金のまま放置され、さらに管理手数料が引かれて、資産が減少する状態になっている。


〇自動移換のデメリット
◆移管時に、①特定運営管理機関手数料(3,300円)と②国民年金基金連合会手数料(1,048円)が控除され、自動移換されてから4ヵ月経過すると③管理手数料(52円/月)が資産から控除される。(年1回 3月末に年度分がまとめて資産から控除される。)
◆加入者でも運用指図者でもない「自動移換者」となり、その間は運用することができないので③の手数料が控除され資産が目減りする。
◆老齢給付金の要件を満たしても、住所不明などで年金が支給されない場合がある。
◆自動移換の状態である期間は確定拠出年金の加入者期間(通算加入者等期間)とされないため、老齢給付金の受給要件を満たせず、受給開始が遅くなる。
◆老齢・障害給付金(年金または一時金)が受け取れない(給付を受けるためにはiDeCoまたは企業型DCに資産を移換する必要がある)。

〇自動移換後の個人別管理資産の選択肢
・個人型年金に個人別管理資産を移換して、掛金を拠出して老後に受け取る年金を増やす。(移換手数料:④特定運営管理機関1,100円 ⑤国民年金基金連合会2,829円)
・個人型年金に個人別管理資産を移換して、支給開始年齢まで運用指図する。(移換手数料:④特定運営管理機関1,100円 ⑤国民年金基金連合会2,829円)
・企業型年金のある企業に再就職して、その企業の企業型年金に個人別管理資産を移換。(移換手数料:⑥特定運営管理機関1,100円)
・脱退一時金として受け取る (掛金通算拠出期間5年以下、または個人資産25万円以下など脱退一時金の受給要件を満たすことが必要。)。(裁定手数料:⑦特定運営管理機関4,180円)

〇自動移換にならないための手続き
 その資産をiDeCoまたは他の企業型DCに移換する手続き、脱退一時金の請求は、企業型DC加入者の資格を喪失した日が属する月の翌月から起算して6ヵ月以内に行わなければならない。

〇個人管理資産の移換に関する説明義務
  資格喪失(予定)者に対する個人別管理資産の移換に関する説明は、事業主の義務として規定されている。
また、資格喪失者のうち個人別管理資産の移換を行っていない者に対しては、記録関連運営管理機関等が移換に関して説明しなければならない。(確定拠出年金施行令第46条の二)

【30💪2-44 JEXER FITNESS & SPA OIMACHI ChestPressM75kg CablrCrossOver11.25kg PeckDeckFry40kg LatPullDown54kg Row47kg AbdominalM50kg SitUp BackExt.】
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【メモ】育児・介護休業法改正の狙い

2024-07-19 | 書記長社労士 労務管理

〇従来の「仕事と子育ての両立支援」や「ワーク・ライフ・バランスの推進」という政策課題に加えて、さらに「共働き・共育ての推進」を掲げた意図

第1)夫婦間での家事・育児分担が女性に偏っているという課題

第2)こうした男女の役割分担や分担に関する意識の違いは、家庭内だけではなく、社会全体に存在し、当然、企業組織内にも残っているという課題
・男性に向いている仕事、女性に向いている仕事があるといった特性論やアンコンシャス・バイアスに基く、職域や仕事のアサインメントの違い
・「固定的性別役割分業意識」に基づき、仮に社内に共働き夫婦がいた場合、就業継続や活躍・キャリアにおいて、夫の側を優先するのが当然とする意識・風土・
・こうした役割分業意識や特性論を背景として、長時間労働になりやすい一方で評価を受けやすい仕事に男性が多く就き、給与や評価、昇格・昇進における男女差につながっていく状況

第3)こうした家庭と企業組織の課題は、相互に関係していて、どちらか一方だけへのアプローチでは変えることが困難だという課題
・家庭内の分担の女性への偏りによって、両立のために、企業に求める休暇や柔軟な働き方のニーズに男女の大きな差がある
・一方で、企業における男女の役割や処遇が異なること、両立支援制度の利用しやすさが男女で異なることなどが、家庭内の役割分担に影響を与える側面
⇒ 例えば、男性のまとまった休業取得には職場の理解が得られない、男性の方が職場で「重要」「他に代えが効かない」とみられる仕事をしていることによって休業取得しにくい、男性の賃金の方が高いためトータルで家計にプラスになるという判断から妻の方が育児休業を長く取得する選択になりがちな状況、テレワークが子育て社員にのみ認められている企業や女性の方が利用しやすい雰囲気のある企業で女性のみが在宅勤務をするといった状況
⇒ そのことは短期的な働き方だけではなく、女性の長期的なキャリアに影響を及ぼす

〇改正育児介護休業法(2024年5月 31 日公布)の狙い ⇒改正育児介護休業法(基本的に2025年4月1日施行)の内容、前向きな改正ではあるが、企業(特に中小企業)には負担が大きくなるかな…
◆大企業・中小企業間の差の縮小
 ⇒ 大企業では、すでに短時間勤務等の対象を就学前や学童期にまで広げている企業が少なくない
 ⇒ 中小企業では法廷義務の3歳までとする企業が多い
◆制度利用における男女間の差の縮小
 ⇒ 制度を利用する従業員は女性が多く、制度利用も短時間勤務に偏る傾向がみられる
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【メモ】治療と仕事の両立支援に活用できるサイト

2024-07-01 | 書記長社労士 労務管理
〇厚生労働省「治療と仕事の両立について」 ⇒ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115267.html
 治療と仕事の両立についての行政の情報が集約されている。
事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン、助成金の案内、労働者や事業者が利用できる支援制度・機関など

〇治療と仕事の両立支援ナビ ⇒ https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/
 事業者の方、支援を受ける働く方や、医療機関・支援機関の方にとって役立つ情報の提供を目的に作られたポータルサイト。

〇がん情報サービス ⇒ https://ganjoho.jp/public/index.html
 国立がん研究センターが運営する公式サイト。
がんの冊子 がんと仕事のQ&A(第3版)」、「はたらく世代の方へ」、「がんになっても安心して働ける職場づくりガイドブックー大企業編-」、「がんになっても安心して働ける職場づくりガイドブックー中小企業編-」など


〇両立支援コーディネーターの養成 ⇒ https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1015/Default.aspx
 将来的には、治療と仕事の両立支援体制が確立できるよう、治療就労両立支援事業の一環として、研修事業を実施し、両立支援コーディネーターの養成を図っている。

〇がん制度ドック ⇒ https://www.ganseido.com/
 「がん制度ドック」は、がん治療時に患者や家族が利用できる「公的な支援制度」や「民間の支援サービス」を検索できるウェブサービス。


〇治療サポ ⇒ https://www.chiryou-sapo.com/
 治療と仕事の両立が必要となった労働者と勤務先が本人に必要な配慮について話し合いを支援するためのシステム。

〇会社の「治療と仕事の両立支援」チェック30 ⇒ https://ryoritsu-check.work/checksheet30.html
 チェック30に回答すると、あなたの会社の “治療と仕事の両立支援” 度がわかる。 全国平均との比較や足りなかった項目へのヒントが探せる。


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【言葉のメモ】SOGI

2024-06-03 | 書記長社労士 労務管理

〇 SOGI =Sexual Orientation & Gender Identity
〇 LGBT理解増進法 罰則のない理念法だが、事業主にはSOGIの多様性に関する理解を深めるための情報提供、研修の実施、普及啓発、就業環境に関する相談体制の整備などの措置を講ずることが求められる
⇒ 自民党保守派による根強い抵抗、差別解消法の成立を目指した野党との攻防、さらには当事者団体などによる「廃案にして差別禁止法を求める」とした抗議運動など、法案国会提出までの道のりは極めて難しかった
〇 ダイバーシティ推進からダイバーシティ&インクルージョン (インクルージョン「包摂」) ⇒ もっとも重要なのは、インクルーシブな環境整備 (インクルーシブ「すべてを包括する、包みこむこと」)
⇒差別解消法の改正法を経て、2024年4月1日より事業者による「合理的配慮」の提供が義務化 ⇒ ここでいう「配慮」は「気配り」や「気遣い」といった気持ちの問題ではない ⇒ 合理的配慮の原語「reasonable accommodation」=理にかなった調整や変更を図ること
〇 スピード感をもって対応することを苦手とする国の施策は「かけ声」大きく「歩幅」は小さい
〇LGBTなど性的マイノリティの人口は、左利きやAB型の割合とほぼ同じ、5~8%という。
〇 マイクロアグレッション(Microaggression 自覚なき差別) =「よくある」「ささいな」差別や攻撃 ⇒ 日常的な傷つき体験やマイノリティストレスはメンタルヘルスの悪化につながる ⇒ 「心の勤続疲労」の状態に置かれてしまうことが、一般人口の約2~7倍といわれるLGBTの自傷・自殺関連経験率の高さにつながることもある。

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【メモ】令和3年度仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業「労働者調査結果の概要」

2024-05-21 | 書記長社労士 労務管理
 厚生労働省の委託事業として、三菱UFJリサーチ&コンサルティングがおこなった令和3年度仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業「労働者調査結果の概要」(令和4年3月)⇒https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000988664.pdf
介護のための離職を選択した人の状況について参考になるので、ここにメモ


 6.介護離職・再就職の状況
(1)離職までの期間、離職理由
離職者について、手助・介護を始めてから、手助・介護のために仕事を辞めた時までの期間をみると、半年未満が過半数を占めており、比較的、介護を初めて短い期間で離職している人の多いことがうかがえる。
手助・介護のために仕事を辞めた理由をみると、「勤務先の問題」が、離職者全体で4割強と、他の理由よりも割合が高くなっている。


(2)離職理由となった勤務先の課題、利用したかった両立支援制度等
勤務先の問題で離職した人について、仕事を辞める理由となった勤務先の課題を具体的にみると、「勤務先に介護休業制度等の両立支援制度が整備されていなかった」が6割程度で最も割合が高く、次いで「勤務先に介護休業制度等の両立支援制度を利用しにくい雰囲気があった」が3割強~4割弱となっている。
仕事を辞める前、どのような仕事と介護の両立支援制度を利用したかったかをみると、「介護休業制度」が6割強、「介護休暇制度」が4割強となっている。


(3)両立支援制度、職場の取組への希望
勤務先の課題で離職した人について、介護休業制度がどのような制度であれば、制度を上手く活用して、仕事を続けることができたと思うかをみると、「取得1週間前でも申請できるなど、介護休業取得の申請期間がより短くても申請可能であるとよかった」の割合が高く、6割程度となっている。
どのような職場の取組があれば、仕事を続けられたと思うかをみると、「仕事と介護の両立支援制度に関する個別の周知」が5~6割程度を占めている。


(4)「手助・介護」を機に仕事を辞めたことによる変化、再就職していない理由
離職者について、家族の「手助・介護」を機に仕事を辞めて、回答者自身にどのような変化があったかをみると、「精神面」「肉体面」「経済面」とも「非常に負担が増した」「負担が増した」と回答した割合が、6~7割弱を占めている。
離職し、現在無業の人について、再就職していない理由をみると、「仕事と『手助・介護』の両立が可能な職場が見つからない」の割合が最も高くなっている。


(5)再就職までの期間、再就職した理由、働き方等の変化
離職後、再就職した人について、「手助・介護」のために仕事を辞めてから、再就職したときまでの期間をみると、半年未満が6割弱を占めており、比較的早い時期に再就職している人の多いことがうかがえる。再就職をした理由をみると、「仕事と「手助・介護」の両立が可能な職場だった」の割合が高く、働き方等の変化をみると、「残業のない職場に変わった」「勤務時間が柔軟な職場に変わった」がそれぞれ、2割を超えている。

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座面を上方向に90度回転させると、フタが自動的に固定され、両手で簡単に荷物の出し入れが出来ます
ブレーキレバーを手前に引くとブレーキが掛かります。グリップとブレーキレバーの間隔を考慮した設計です。
坂道などで停車させる際は、ブレーキレバーを下げると停車ブレーキが掛かります
座面に座るときは、駐車ブレーキを掛け安全にご使用ください
小物入れも装備しています
コンパクトに折り畳める設計です。自立スペースをとられずに収納できます。

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「大陸交通事件」タクシー乗務員のクレジットカード手数料等の負担分等支払請求

2024-04-09 | 書記長社労士 労務管理

 他の判例を調べているときにたまたまに目に付いた判例で、ちょっと古い判令ながら、あまりにも気に入らなかったのでメモしておく。

大陸交通事件
タクシー乗務員のクレジット等の手数料負担分等支払請求(業務関連費用を労働者に負担させることの労基法24条1項違反該当性等)
東京地裁(令和3年4月8日)判決(控訴審である東京高判令4.1.13でも同旨、最1小でも上告棄却)

 タクシー運転手Xらが、給与から、①乗客がクレジットカードを利用したときのクレカ利用料金、②GPS搭載車や高級車の利用料金、③自分が起こした交通事故の賠償金の一部、を会社Yが給与から控除したことを無効、などとして争った事案。
裁判所は、①③と②の一部(GPS搭載車利用料金)について、歩合給の算定の基礎からクレジットカード手数料等の費用を控除して歩合給を算定したことは合理性を有するとして、Xらの請求を否定し、②の一部(高級車の利用料金)について肯定した。

 Xらの給与から控除できるとした理由は、基本給からその金額を丸ごと控除したのではなく、「歩合給を計算する過程で控除した」点にあるようだ。
歩合給は一種の成果主義であって、会社が得た収益に応じて計算されるものであり、クレカ手数料は、「会社が得た収益の金額を計算する過程で控除」されており、実際に売り上げた金額から税金や経費を控除した収益を「YとXらで分配する」という計算方法が、歩合給の考え方に一致している点が重視されたようだ。
したがって、「賃金全額払いの原則」(労基法24条1項本文)にも違反しないという判断。

 私たちタクシーで働く労働組合としては、この判決はわたしたちとは真逆なものだ。
今年3月のハイタクフォーラム厚生労働省要請でも、以下のとおり指摘している。
「事業者側が当然負担すべき経費を、運転者の賃金から控除して負担させていることや、営業的割引分を運転者に負担させている事業者はいまだ多く存在している。これらのいわゆる『運転者負担』は、改正タクシー特措法の附帯決議でも、解消を指摘されている。
運転者負担は、歩合給賃金の計算の基礎となる売り上げから控除されるので、労働基準法で禁止された賠償額予定や法令・労使協定で定められた以外の賃金控除には当たらないとの見解があるが、それは歩合給賃金計算上の手段であって、結果として、賃金からの賠償額控除、および労使協定で定められた以外の賃金控除となっている。」


 タクシー運転者の歩合給って、売上の何%ってことで、例えば運転者に売上の50%が歩合給として支給されるとすれば、会社の方にはその残り50%が収入として残る。
その残り50%の部分が、そのそも、車両費や燃料費、管理費、そしてこういったクレジットカードの手数料などの販売手数料、そして会社の利益を償うためのものであるのだから、歩合率を計算のもととなる売上から「会社が得た収益の金額を計算する過程で控除」という考え方で控除されるとしたら、それは二重取りではないか!
ということで、この判決には大いに疑問がある。
しかも、最近、運賃改定によって売り上げが上がっているのだが、それをもって事業者は、運転者の歩合給が増加しており、それを理由として春闘での賃上げを否定するだけでなく、それどころか、歩合率の引き下げを画策する動きが顕著になっている。
これは運賃改定を利用者に納得してもらうために「運転者の賃金改善」を一番に理由としていたことに反する。

 国土交通省は、2019年12月20日に、「自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた政府行動計画」や2019年4月から順次施行されている働き方改革関連法の趣旨を踏まえ、「タクシーの運賃改定の公示にあたっての留意事項」として「運賃改定実施後において、各事業者において、適切に運転者の労働条件の改善措置を講ずること。」という通達を発している。⇒https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha03_hh_000316.html
そして、そのフォローアップとして「各地方運輸局長は、事業者団体における労働条件の改善状況の公表の結果が、運賃改定の趣旨を逸脱すると認められるときには、その事実関係を公表するとともに、必要な指導等を行うこととする。」としている。
この通達を踏まえて、労使関係の訴訟ではなく「国土交通省の不作為として国賠訴訟を起こせないか」について検討していくのもありかと考える。

改正タクシー特措法の附帯決議(衆議院では13で、参議院は9で)
 一般乗用旅客自動車運送事業者は、歩合給と固定給のバランスの取れた給与体系の再構築、累進歩合制の廃止、事業に要する経費を運転者に負担させる慣行の見直し等賃金制度等の改善等に努めるとともに、運行の安全を確保し、拘束時間外に運転代行業務に従事すること等により安全な運転をすることができない運転者を乗務させることがないよう万全を期すること。


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【メモ】介護離職 4 類型⇒介護離職を防ぐために

2024-04-03 | 書記長社労士 労務管理

 一般社団法人 日本経済調査協議会の介護離職問題調査研究会がまとめた報告書「『介護離職』防止のための社会システム構築への提言~最終報告書~企業への調査結果から」。⇒https://www.nikkeicho.or.jp/new_wp/wp-content/uploads/kaigo-saisyu.pdf
この報告書では、ケアマネージャーを対象としたアンケートの回答に記載された「介護離職となった方(ケース)の概要」(自由記述)を詳細に分析した結果、「介護離職における定義(類型化)」を 4 類型に分けることができるとした。

①両立困難型介護離職
 「家族介護者は仕事を続けたいが、要介護者のケア等でやむなく離職するケース」とし、仕事と介護の両立に課題が生じ、やむなく介護に専念することを選択してしまうケース。
 例えば、「1 人では歩行が安定しておらず、常時見守りが必要。毎日デイに行くが、送迎時間に家族が仕事で不在になってしまい、ヘルパーを入れるにしても単位オーバーで金額的にも負担が大きい。」「認知症重度となり、24 時間、常に目が離せなくなり、離職したケース。」などが挙げられる。

②職場起因型介護離職
 「職場環境による背景が大きく、介護者が介護をきっかけに離職するケース」とし、「介護」というリスクが生じる以前に、家族介護者が職場に対して「職場の人間関係でストレスがある」「上司と合わない」などの悩みを抱えている状況下に、タイミングとして「介護」に直面し、「離職」に至るケース。
 例えば、「介護者自身が会社で問題を抱えている中、親に介護が必要となり、「介護」を理由に休職→退職した。」などが挙げられる。

③孤立型介護離職
 「要介護者及び家族が介護保険サービスを拒否しがちであるために介護離職するケース」とし、要介護者もしくは家族介護者が介護保険サービス等の利用を拒み、外部からの支援に頼ることができず、「介護」に専念せざるをえないことで、「離職」してしまうケース。
 例えば、「利用者の息子への依存が強く、他人ではなく家族に世話をしてもらいたいとの思いが強い。」などが挙げられる。

④心情型介護離職
 「介護者の要介護者に対する心情的・義務的な背景を要因として離職するケース」とし、介護者の要介護者に対する「心情的」な側面が強く、自ら介護しながら時間を共にしたいという気持ちから「離職」にいたるケース。一部、がん末期の介護ケースも含まれると考えられる。「③孤立型介護離職」と比べると、家族介護者が前向きに「介護」に取り組む姿勢が窺える。
 例えば、「介護者も家族としての責務を感じ離職している。」「ターミナル期、夫のそばで過ごすため離職。」などが挙げられる。


 そして、中間報告書では介護離職を大きく 4 つに定義づけ(分類)したが、それぞれ仕事を辞める分岐点(時間)、ここでは「X 点」と規定するが、この時期をできるだけ引き延ばしていくことが、「介護離職防止」において重要なポイントであると考える、としている。
この「X 点」を右側に引き伸ばして「仕事と介護を両立する期間」を、できるだけ長くしていく方策を考えていくことが重要となる。

〇一概に「介護離職はダメ」というわけではない。
しかし「介護離職するしかないじゃないか」というのであれば、ほかに選択肢もあるはず。
その選択肢を介護者は見つけられない、わからない、探せない、結果「介護離職」という選択肢しか見えなくなっている。

〇「介護は家族がやるもの」「介護は最後の親孝行」などという考え方も、いまはまだ強く根付いているが、これが「アンコンシャスバイアス」である、ということに気付くことが、介護離職防止の第一歩。

〇介護離職防止対策、仕事と介護の両立、両立支援は「介護」の問題ではなく労働問題であり、介護と介護の両立支援はキャリア支援。

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【メモ】性的マイノリティに対する企業対応の課題

2024-04-01 | 書記長社労士 労務管理

 2024年冬ドラマで放映されていた「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」 について、毎回、とても勉強になるなぁと思い一生懸命観ていた。
「沖田誠48歳。世間の常識・偏見で凝り固まった彼には“最近の若者"が理解できない。上司にお茶を注がない女性、メンズブラ愛用の部下、そして可愛いものが好きな息子…。そんなある日、ゲイの青年・大地と出会う。──人としての成長を誓うおっさんは、無事“自分の中の常識"をアップデートできるのか!?」ってなお話しなんだが。
と、そんな折、東京社労士会の会報で良記事が掲載されていたので、部分的にメモ。

LGBTQに関する課題のうち、同性パートナーを巡る課題(戸籍上の婚姻関係となれないことによる問題)とその「養育する子」について。
⇒社内規定で検討可能か?⇒現行制度では対応が困難か?⇒全ての従業員に対し、より幅広く、平等に処遇できるか?(セクシャリティを理由に特定の従業員を優遇するのではなく)

社内制度上の配偶者をどこまで拡大して認定できるか?⇒何を以て配偶者であることを確認することが出来るか?⇒配偶者の範囲と確認書類
【男女間】①法律婚、②事実婚 ⇒法令や判例では異論なく、企業実務でも浸透しつつある ⇒世帯全員の住民票をはじめとした各種公的機関の証明書類を用いて確認
【同性間】③自治体の同姓パートナーシップ制度 ⇒公的機関が発行した宣誓書という形が整っている⇒社内手続き上の確認書類として活用できる。
④ ③に近しいもの ⇒❶居住する自治体で制度を導入していなければパートナーシップ証明書は取得できない、❷18~19歳の場合は証明書を発行していない場合、❸アウティング等を恐れて証明書を取得しない場合 ⇒パートナーシップ証明書の提出を必須とすることは、当事者に過大な負担を課す可能性⇒確認書類の代替手段があったほうが望ましい?自己申告で認める?

社内規定への反映
家族手当 ⇒同性パートナー、さらに踏み込んでその「養育する子」
住宅手当、社宅 ⇒現金給付は容易、現物給付である社宅は?
単身赴任手当、帰省手当 ⇒特に海外赴任では、現地法や宗教等の事情
慶弔関係(結婚祝金、死亡弔慰金) ⇒源泉徴収が必要な場合、法律婚と区別する必要はない
休暇・休職制度 ⇒法令に定めがない制度は企業で自由にアレンジ可能⇒育児休業・介護休業は法令における制度要件と合致させている場合、雇用保険による給付金は同性パートナーについて支給対象外⇒休業取得要件を給付金支給要件に合致させる必然性はない
緊急連絡先 ⇒アウティングへの配慮
※留意事項 申請時の関係者は必要最低限の者にとどめておくことが望ましい⇒申請フローにLGBTに関する一定の理解がない者が含まれる場合、必要以上に情報開示を求めることは直接・間接的なカミングアウトやその強要になりかねない場合

社内対応の限界
労働保険、社会保険、税法上の取扱い ⇒現状、LGBTQ当事者を前提とした設計にはなっていない
社宅 ⇒集合住宅で同僚も居住する場合、見えないハードルになりえる
海外赴任 ⇒法令、宗教等による制約
海外赴任中に身分関係が生じた者 ⇒海外で同性婚が認められているケースがあることから、海外赴任者が現地で婚姻した場合、帰任時の処遇
遺族給付 ⇒法定相続人との競合⇒遺言等で同性パートナーへの分与を希望したとしても遺留分の問題⇒団体保険や厚年基金、確定給付企業年金、確定拠出年金
パートナーシップ解消時の対応
貸付金清算

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【メモ】固定残業代制の有効性可否

2024-03-05 | 書記長社労士 労務管理

固定残業代(定額残業代)が時間外労働割増賃金、休日労働割増賃金、深夜労働割増賃金に対する有効な弁済と認められない場合
①割増賃金を一切払っていないことになる
②固定残業代部分が割増賃金の計算基礎となる賃金(労基法37条1項、労規則21条)に組み込まれることになるため、1時間当たりの単価が跳ね上がる
③裁判に至れば、未払残業代全額を上限とする付加金の制裁(労基法114条)を受けるリスクが生じる

固定残業代による支払いをめぐり裁判例で検討されてきた割増賃金支払いの有効要件、判断要素
①時間外労働や深夜労働の対価(割増賃金)の趣旨で支払われていることの合意がある⇒「対価要件」
②通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分が判別できる⇒「明確区分性」
③雇用契約書等の記載内容のほか、具体的事案に応じ、使用者の労働者に対する当該手当や割増賃金に関する説明の内容、労働者の実際の労働時間等の勤務状況などの事情を考慮して判断すべき

〇高知観光事件【最小判平6・6・13】
 歩合給で雇用されているタクシー運転手に対する時間外および深夜労働の割増賃金につき、歩合給にくみ込んで支払っているという会社側の主張に対し、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外および深夜の割増賃金に当たる部分とを判別できないとして、右割増賃金の支払いが命ぜられた事例。
 割増賃金不払いに対する附加金の請求につき、二年を経過したものを除き認容された事例。
〇テックジャパン事件【最小判平24・3・8】
 基本給を月額で定めた上で月間総労働時間が一定の時間を超える場合に1時間当たり一定額を別途支払うなどの約定のある雇用契約の下において,使用者が,各月の上記一定の時間以内の労働時間中の時間外労働についても,基本給とは別に,労働基準法(平成20年法律第89号による改正前のもの)37条1項の規定する割増賃金の支払義務を負うとされた事例
〇日本ケミカル事件【最小判平30・7・19】
 雇用契約において時間外労働等の対価とされていた定額の手当の支払により労働基準法37条の割増賃金が支払われたということができないとした原審の判断に違法があるとされた事例


基本給や出来高給(歩合給や能率給など)を含め、通常の労働時間の賃金として支払われるべきものを固定残業代などの割増賃金に振り分けて支給することで割増賃金の支払いを抑えることは労基法37条の趣旨に反するといえる。
(労基法37条の趣旨⇒割増賃金を支払わせることによって時間外労働等を抑制し、労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに労働者への補償を行う趣旨)

国際自動車事件二次上告審事件【最小判平29・2・28】
 歩合給の計算に当たり売上高等の一定割合に相当する金額から残業手当等に相当する金額を控除する旨の賃金規則上の定めが公序良俗に反し無効であるとして未払賃金の請求を認容した原審の判断に違法があるとされた事例


対価性の判断⇒当該手当の名称や算定方法だけではなく、労基法37条の趣旨を踏まえ諸手当の位置付け等にも留意して検討しなければならない
⇒使用者の労働者に対する当該手当等に関する説明の内容、労働者の実際の労働時間等の勤務状況など諸般の事情を考慮し、それが労基法37条の趣旨にかなる割増賃金として位置付けられるのかを実質的に検討し、同条の趣旨にかなわない割増賃金なるものは、その対価性を否定する
⇒割増金の額そのままが歩合給①の減額につながるという仕組みが、当該揚高を得るにあたり生じる割増賃金をその経費としてみたうえで、全額をタクシー乗務員に負担させているに等しいと評価


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【メモ】経産省職員事件 最小判令5・7・11

2024-02-05 | 書記長社労士 労務管理

 1月18日に「介護離礁を防止するために~知っておこう、家族のこと・制度のこと・取り組みのこと~」をテーマに近鉄グループ労組の労働講座で80分間の講演させてもらったが、自分は第2講座で、第1講座は「LGBTQ+」に関する内容だった。
その中で「経産省職員事件【最小判令5・7・11】」が取り上げられていたので、この裁判例についてメモしておく。

経産省職員事件【最小判令5・7・11】 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92191

 生物学的な性別が男性であり性同一性障害である旨の医師の診断を受けている一般職の国家公務員がした職場の女性トイレの使用に係る国家公務員法86条の規定による行政措置の要求は認められない旨の人事院の判定が、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるとされた事例

本件判定部分の違法性について
①職場のトイレ使用制限は、原告を含む職員の服務環境の適正を確保する見地からの調整を図ろうとしたものであるが、原告は性同一性障害である旨の医師の診断を受けているのであるから、原告はトイレ制限により、日常的に相応の不利益を受けている
②原告は、健康上の理由から性別適合手術を受けていないものの、女性ホルモンの投与を受け、性衝動に基づく性暴力の可能性は低い旨の医師の診断も受けている
③現に、原告が本件説明会の後、本件執行階から2階以上離れた階の女性トイレを使用するようになったことでトラブルが生じたことはない
④本件説明会において、原告が本件執行階の女性トイレを使用することによって、担当職員から数名の女性が違和感を抱いているように見えたに留まり、明確に異を唱える職員がいたことはうかがわれない
⑤本件説明会から本件判定までの約4年10か月の間、経産省が特段の配慮をすべき他の職員が存在するか否か調査を行ったり、処遇の見直しが検討されたことがうかがわれない。(1
以上によれば、遅くとも本件判定時においては、原告が女性用トイレを自由に使用してもトラブルが生ずることは想定し難く、特段の配慮をすべき他の職員の存在が確認されてもいなかったのであり、本件における具体的な事情を踏まえることなく他の職員に対する配慮を過度に重視し、原告の不利益を不当に軽視するものであって、関係者の公平並びに原告を含む職員の能率の発揮及び増進の見地から判断しなかったものとして、著しく妥当性を欠いたものといわざるを得ない。
したがって、本件判定部分は、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となる。

本判決は、措置要求に係る人事院判定の取消訴訟であり、その審査に関する原審判決の考え方を否定した点で重要
⇒ 民間企業を含めて影響が及ぶ点としては、職場におけるトランスジェンダー職員とシスジェンダー職員の利害調整に係る判断であろう。
⇒ トランスジェンダー職員とシスジェンダー職員の労働現場における利益衡量は、具体的な事情を踏まえた判断でなければならない。
⇒ 両者間の利益衡量・利害調整を感覚的・抽象的に行うことが許されるべきではなく、客観的かつ具体的な利益衡量・利害調整が求められている。
⇒ そしてその調整は、一旦処遇を決定すればそれで終わりというものではなく、その後も研修等を通じた職場の理解の増進や、必要に応じた処遇の見直し等、人事担当者等にはより適切な利害調整を継続的に図っていく責務がある。

業務への示唆
〇自認する性別に即して社会生活を送ることへの尊重
⇒本判決は、民間企業を含む、職場におけるトランスジェンダー職員とシスジェンダー職員の利害関係のあり方を示している⇒裁判所は戸籍上の性別にかかわらず、自認する性別に即した社会生活を送ることが(法的とまで言えなくても)重要な利益であることを示している。
〇具体的事情に基づいた判断と調整
⇒トランスジェンダー職員とシスジェンダー職員の利害調整の基礎となる事実は、具体的なものでなければならない。⇒担当者の主観による抽象的な判断を基準として、トランスジェンダー職員のみに制約を課す方法は適切でない
〇法専門家の知識の習得と職場の理解増進の必要性
⇒「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」が2023年6月23日に成立 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=505AC1000000068 ⇒第6条に事業主の努力義務を規定

第六条 事業主は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関するその雇用する労働者の理解の増進に関し、普及啓発、就業環境の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する当該労働者の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

トランスジェンダー職員の処遇に関するこれまでの下級審の判例
S社解雇事件【東京地決平14・6・20】 女性の服装・化粧を禁止する服務命令違反を理由とする懲戒解雇を無効とした。
淀川交通(仮処分)事件【大阪地判令2・7・20】 タクシー乗務員の化粧を理由とする就労拒否の正当性を否定した。

参考判令
性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件【最大判令5・10・25】
トランスジェンダーの人が戸籍上の性別を変える際、生殖能力をなくす手術などを求める法律の要件(性腺除去要件)が、憲法に違反するかどうかが争われた家事審判の特別抗告審の決定で、最高裁は、生殖機能をなくす手術を求める要件は「憲法違反」と判断したが、外観要件については判断しなかった。


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