労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

【数字メモ】企業規模別の法定外福利費・2024年3月卒求人倍率

2023-09-18 | 書記長社労士 労務管理
 興味深い数字を見つけたんでメモしておこう。
これってめっちゃ深くて、求人戦略の一考になるかも❗
ってことで使える数字。

福利厚生関連費用の推移
法定福利費 46456円(H18)⇒44770円(H22)⇒47693円(H28)⇒50283円(R3)
法定外福利費 27517円(H18)⇒20813円(H22)⇒18834円(H28)⇒15955円(R3)
退職給付費用 9555円(H18)⇒8316円(H22)⇒6528円(H28)⇒4882円(R3)

法定外福利費 企業別推移
1000人以上 13670円(H18)⇒13042円(H22)⇒9237円(H28)⇒5639円(R3)
300~999人 8745円(H18)⇒7012円(H22)⇒5858円(H28)⇒4567円(R3)
100~299人 6496円(H18)⇒5579円(H22)⇒4963円(H28)⇒4546円(R3)
30~99人 5707円(H18)⇒4587円(H22)⇒3883円(H28)⇒4414円(R3)
※厚生労働省「就労条件総合調査結果」

2024年3月卒従業員規模別求人倍率
全体/1.71倍 5000人以上/0.41倍 1000~4999人/1.14倍 300~999人/1.41倍 300人未満/6.19倍
※リクルートワークス「第40回 ワークス大卒求人倍率調査(2024年卒)」https://www.works-i.com/research/works-report/item/230426_kyujin.pdf


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令和4年10月に、短時間労働者の適用要件の1つである「勤務期間1年以上見込み」の要件が撤廃された。

2023-08-29 | 書記長社労士 労務管理

 この図を使って「令和4年10月に、短時間労働者の適用要件の1つである『勤務期間1年以上見込み』の要件が撤廃された。
これにより短時間労働者の勤務期間要件は一般の被保険者と同様になり、雇用期間の見込みが2か月超の場合などは適用対象となった。」という説明をとある会議でしたら…
「勤務期間要件は一般の被保険者と同様」について、どういうこと?と問われた。

 健康保険・厚生年金では、適用事業所に使用されている人は、国籍・性別・年齢・賃金の額などに関係なく、次の「適用除外」に該当する場合を除いて、すべて被保険者となるが、以下の労働者は、除外されている。

〇日々雇い入れられる者で1か月を超えない人
〇2月以内の期間を定めて使用される者であって、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないもの
〇事業所又は事務所で所在地が一定しないものに使用される者 ⇦サーカスなど
〇季節的業務に使用される者(継続して4月を超えて使用されるべき場合を除く。) ⇦清酒の醸造、製茶、製氷など
〇臨時的事業の事業所に使用される者(継続して6月を超えて使用されるべき場合を除く。) ⇦博覧会やイベントなど

 したがって、2か月を超える雇用期間であって、◎週労働時間20時間以上、◎月額賃金8.8万円以上、◎学生でない、の方は、健康保険・厚生年金保険の適用対象となる。
また、雇用期間が2か月以内であっても、
◆就業規則、雇用契約書等において、その契約が「更新される旨」、または「更新される場合がある旨」が明示されている場合
◆ 同一事業所において、同様の雇用契約に基づき雇用されている者が、更新等により最初の雇用契約の期間を超えて雇用された実績がある場合
のいずれかであれば、適用対象となる。

 ちなみにバス・タクシーの運転者は、「常時選任運転者」でないとだめだ、となっているが、これはパートやアルバイトはダメということではなくて、以下の4条件に該当しなければ、有期雇用でも、短時間勤務でも、アルバイト・パートでも、バス・タクシーの運転者になれる。

旅客自動車運送事業運輸規則
第三十六条 旅客自動車運送事業者(個人タクシー事業者を除く。次条第一項、第二項、第五項及び第七項において同じ。)は、次の各号のいずれかに該当する者を運転者等として選任してはならない。
一 日日雇い入れられる者
二 二月以内の期間を定めて使用される者
三 試みの使用期間中の者(十四日を超えて引き続き使用されるに至つた者を除く。)
四 十四日未満の期間ごとに賃金の支払い(仮払い、前貸しその他の方法による金銭の授受であつて実質的に賃金の支払いと認められる行為を含む。)を受ける者



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厚生労働省 賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和4年)を公表

2023-07-31 | 書記長社労士 労務管理
 自社で働いてくれている人たちの健康を守り働いてくれた時間に適正に賃金を払い、法令を守り、商慣習を遵守し、まじめにやっている会社。
働いている人のやる気を搾取しこき使い、働いた時間で支払わなくてはならないはずの賃金を支払わず、法令を守らず、商慣習を逆に悪用する会社。
両社が同じ土俵で商売すれば、後者が勝つに決まっている。
今、話題のビッグモーターしかり、電通での若い女性社員の過労自殺であったり、北海道のベルコ事件であったり、アリさんマーク引越社「追い出し部屋」事件であったり、ロイヤルリムジンの金子健作であったり、そのほかいろいろあるが、ちゃんとしていない会社が勝ち組になり、働く人の犠牲でもって、その経営者や役員たちが私腹を肥やすことは許されない。
「悪貨が良貨を駆逐する」ってのはあり得ない、フリーライダーに負けたくない。
あかん会社は、全部、すみやかに各業界から退出、撤退、解散、清算していただくように、そして経営者らは立件して司法の場で断罪されるように、監督官庁にはビシバシとしっかりやってもらいたい!
 
 7月27日、厚生労働省は、令和4年(令和4年1月から令和4年12月まで)に賃金不払が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導の結果を取りまとめ、監督指導での是正事例や送検事例とともに公表した。⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34397.html
 この公表は、これまで、支払額が1企業当たり100万円以上の割増賃金不払事案のみを集計してきたが、今回から、それ以外の事案を含め賃金不払事案全体を集計することとし、これに伴い、集計内容を変更している。


1 令和4年に全国の労働基準監督署で取り扱った賃金不払事案の件数、対象労働者数及び金額
 ⑴ 件数 20,531 件
 ⑵ 対象労働者数 179,643 人
 ⑶ 金額 121 億2,316 万円
2 労働基準監督署が取り扱った賃金不払事案(上記1)のうち、令和4年中に、労働基準監督署の指導により使用者が賃金を支払い、解決されたものの状況
 ⑴ 件数 19,708 件(96.0%)
 ⑵ 対象労働者数 175,893 人(98.0%)
 ⑶ 金額 79 億4,597 万円(65.5%)
※1 令和4年中に解決せず、事案が翌年に繰り越しになったものも含まれる。
※2 倒産、事業主の行方不明により賃金が支払われなかったものも含まれる。
※3 不払賃金額の一部のみを支払ったものも含まれる。


 厚生労働省は、「『パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化の取組について』(令和3年12月27日閣議了解)などに基づき、賃金不払が疑われる事業場に対して、迅速かつ的確に監督指導を実施するとともに、度重なる指導にもかかわらず法令違反を是正しないなど、重大・悪質な事案に対しては、送検を行うなど厳正に対応」としている。

パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化の取組について
3.労働基準監督機関における対応
(2)賃金不払をはじめとした基本的な労働条件の履行確保を図るため、労働基準監督機関による定期監督(年間 10 万事業場以上に実施)において、賃金引上げの意向や労働条件の改善状況を確認するとともに、労使において賃金の引上げを行うとの取決めを行ったにもかかわらず、賃金支払が履行されず、労働基準監督機関による度重なる指導でも是正しない事業場や、定期賃金や割増賃金を適切に支払わず、同様の法違反が繰り返される事業場については、司法処分(※)を含め厳正に対応する。

(※)事業主が労働基準関係法令に違反し、これが重大または悪質な場合に、労働基準監督官が刑事訴訟法(昭和 23 年法律第 131 号)に基づく司法警察員として捜査を行い、検察庁に送検すること。


 監督指導による是正事例としては、
〇「労働時間の適正把握の阻害」(労働時間は、労働者自身が始業・終業時刻等をパソコンに入力する方法(自己申告制)により把握していたが、パソコンの使用記録や製造機械の作業記録と自己申告で残業時間として申請された時間に乖離が認められた)
〇「労働時間記録と労働実態の乖離」(労働時間は、出退勤時刻を勤怠システム、残業時間は自己申告により把握していたが、勤怠システムによる出退勤時刻の記録と自己申告により残業時間として申請された時間に乖離が認められた)
〇「労働時間記録と労働実態の乖離」(労働時間は、タイムカードにより出退勤時刻を把握し、残業時間は残業申請により把握していたが、聴取調査において、管理者が出退勤時刻と残業申請の時刻に乖離があっても労働者への確認が不十分なまま黙認していた)
〇「労働時間の適正把握の阻害」(労働時間は、出勤簿に始業終業時刻を記入し、残業時間は残業申請書により把握していたが、出勤簿に記録されている始業時刻前や終業時刻後に、パソコンの使用記録があり、労働者から聴取したところ、労働時間記録とパソコンの使用記録との乖離が認められた)
が示されていた。

 送検事例としては、
◆「月20時間を超える時間外割増賃金を支払わなかった疑い」(事務所が時間外労働の把握のために使用していた「勤務記録書」上の労働時間と、業務で使用していたPCの使用記録との間に、大幅な乖離があることが確認された。さらに、事務所では、時間外割増賃金を支払う上限を月20時間までとする制度を運用。一方PC等の記録等の分析では、毎月50時間~80時間程度の時間外労働を行っている実態が確認されたが、月々の時間外割増賃金は一律20時間分にカットして支払っていた)
◆「時間外割増賃金を支払わず、監督官に虚偽の陳述をした疑い」(36協定による限度時間を超えて、月に113時間から123時間の時間外・休日労働の実態があり、時間外・休日労働の割増賃金約300万円を所定期日に支払っていないことが疑われた。さらに、前回の監督指導でも同様の実態があり、繰り返し違反が疑われた。また、事業主は、臨検した労働基準監督官に対し、労働時間の内容など虚偽の陳述をし、虚偽の内容を記載したタイムカードや賃金台帳を提出していた)
が示されていた。


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健康保険・厚生年金における永年勤続表彰の金銭の取扱いがようやく明確になった❗

2023-07-20 | 書記長社労士 労務管理

 これまで、長期勤続者に対して、表彰金や報奨金等を支払う場合の金銭が、報酬等に該当するか否かがこれまではっきりしなかった。
しかし、このたび「「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに 関する事例集」の一部改正」によって明確にされた。
➡事務連絡(令和5年6月27日) https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T230629T0010.pdf

問1「報酬」・「賞与」にはどのようなものが含まれるか。
(答)「報酬」及び「賞与」(以下「報酬等」という。)は、健康保険法第3条第5項及び第6項(厚生年金保険法第3条第1項第3号及び第4号)において「労働者が、労働の対償として受けるすべてのもの」と規定されており、労働の対償として経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計に充てられるすべてのものを包含するものである(『健康保険法の解釈と運用』(法研)より)。

問3 事業主が長期勤続者に対して支給する金銭、金券又は記念品等(以下「永年勤続表彰金」という。)は、「報酬等」に含まれるか。
(答) 永年勤続表彰金については、企業により様々な形態で支給されるため、その取扱いについては、名称等で判断するのではなく、その内容に基づき判断を行う必要があるが、少なくとも以下の要件を全て満たすような支給形態であれば、恩恵的に支給されるものとして、原則として「報酬等」に該当しない。 ただし、当該要件を一つでも満たさないことをもって、直ちに「報酬等」と判断するのではなく、事業所に対し、当該永年勤続表彰金の性質について十分確認した上で、総合的に判断すること。
≪永年勤続表彰金における判断要件≫
① 表彰の目的 企業の福利厚生施策又は長期勤続の奨励策として実施するもの。なお、支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合は、より福利厚生としての側面が強いと判断される。
② 表彰の基準 勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの。
③ 支給の形態 社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えていないものであって、表彰の間隔が概ね5年以上のもの。


 ちなみに、労働保険は「年功慰労金」、「勤続褒賞金」は賃金としないものとされているが、源泉所得税の関係では、少し取り扱いが違うので注意が必要だ。

タックスアンサー(よくある税の質問) No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき
 創業記念で支給する記念品や永年にわたって勤務している人の表彰に当たって支給する記念品などは、次に掲げる要件をすべて満たしていれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。
なお、記念品の支給や旅行や観劇への招待費用の負担に代えて現金、商品券などを支給する場合には、その全額(商品券の場合は券面額)が給与として課税されます。
また、本人が自由に記念品を選択できる場合にも、その記念品の価額が給与として課税されます。
 永年勤続者に支給する記念品や旅行や観劇への招待費用
(1)その人の勤続年数や地位などに照らして、社会一般的にみて相当な金額以内であること。
(2)勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること。
(3)同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること。


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岡崎教行弁護士「基本がわかる!人事労務管理のチェックリスト まずは簡単な自社診断からはじめよう!」

2023-03-23 | 書記長社労士 労務管理

 コロナ禍で、ずいぶん長いことお目にかかれていないが、友人の(だと思っている)岡崎教行弁護士が出版され、わざわざ私にも献本してくださった「基本がわかる!人事労務管理のチェックリスト まずは簡単な自社診断からはじめよう!」。
同封されていたお手紙には「この書籍が届きましたら、是非とも、皆様方の通勤のバッグに入れていただき、カバーをしないで電車の中で読んでいただければありがたいなと思います(笑)」と書かれていたが、ごめんなさい、私は事務所で仕事の合間に息抜きとして読ませていただきました(汗)


 この書籍について、「今回の書籍のコンセプトは、人事労務の問題を深掘りするというものではなく、幅広く、労務リスクを洗い出すことにあります。」「注意してほしいのは、この一冊で労務管理ができるものではないという点です。この書籍はあくまで、労務管理に取り組むに当たっての導入に過ぎません。自社に何が足りていないのかをあぶり出すためのものです。」と岡崎さんが書かれている通りで、
全部を読んでみて、
自社や相談者の就業規則などの規定を、この本と突き合わせてみて、その突き合わせた就業規則などの規定に、ちゃんと書かれているか、違うことが書いてあるのか、違うならなぜ違うのか、足りていないのか、足りていないなら足したほうがいいのか、そういった使い方をすればいいなと思う。
岡崎教行弁護士ブログのこの本に関する記事⇒基本がわかる!人事労務管理のチェックリスト

 細かくは書けないが、自分がマーカーした箇所を【メモ】しておくけど、「なんのこっちゃ?」ってなった方は、ぜひ、本書を手に取って読んでみることをお勧めします。

1. 募集・採用
〇リファラル採用 従業員に対して、賃金、給料その他これらに準ずるものを超えて、「報酬」を与えられたと評価されると違法になるので、「報酬」と評価されないために、給与明細に明示して「賃金」として扱う、賃金規定にリファラル採用が成功した場合に支払う金額を明示する方法も考えられる。
その被用者で当該労働者の募集に従事するものには該当しないと、賃金として支払う、とは評価できないことになる可能性もある。
〇入社前研修 基本的には義務とすることはできず、また、不参加であったからといって不利益を課すこともできないため、労働時間には該当しないと評価してよい場合が多いと思う。

2. 試用期間
〇募集時における試用期間の明示 平成30年1月1日の改正職安法により追加。
〇使用者が都道府県労働局長の許可を得た場合には、最低賃金の減額の特例が認められる。(最長6か月を限度に、減額率は当該労働者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を勘案して定め、上限は20%)
〇試用期間の延長 試用期間延長後の勤務状況に問題がなかった場合、試用期間延長前の事由のみをもって本採用を拒否することはできないという点に留意。
〇有期契約労働者に対して試用期間を設けることの是非 通常の解雇よりハードルが上がってしまい、試用期間を設ける意味が実質上ないということになりかねない。

3. 就業規則
〇就業規則の記載事項 使用者の守るべき規律を記載するべきものではない。
平成10年の労働基準法改正により今では、どのような事項でも別規程とすることが可能。
〇過半数代表者の適格性 ❶適式に選出されたとはいえない過半数代表者が記載した意見書は無効 ⇒ ❷就業規則の作成あるいは改定における過半数代表者からの意見聴取をしていないという取扱いになり、罰則(30万円以下の罰金」の対象となる ⇒ ❸過半数代表者が適式に選出されないと、労使協定も適式に締結されていないということになってしまい、例えば36協定では、違法に時間外労働、休日労働をさせたとして罰則の対象となる ⇒ ❹変形労働時間制や事業場外みなし労働時間制を労使協定で導入している場合には、それが否定され、未払い賃金が発生してしまう事態も想定される
〇就業規則の周知 留意が必要なのは、「事業場」ではなく、「各作業場」とされている点。例えば、一つの事業場に建物が二つあった場合には、建物ごとに就業規則の提示などをする必要がある。
就業規則の周知がなければ、当該就業規則の内容をもって従業員を拘束することはできない。

4. 賃金
〇賃金支払いの5原則 令和5年4月1日以降、一定の要件を満たした場合には、従業員の同意を得た上で、賃金移動業者の口座への賃金支払いが認められることになるが、仮想通貨での賃金支払いは認められていない。
〇給与明細 労働基準法には定めがないが、所得税法が、給与を支払う者は給与の支払いを受ける者に支払明細書を交付しなくてはならないと定めている。
〇賃金控除協定の締結 実務上、退職金からの控除を定めていない例があるので、それも規定しておく必要があるだろう。
〇固定残業代制度 ❶残業代の趣旨で支給されていること(対価性)、❷残業代部分と通常の賃金とが判別できること(明確区分性)、❸不足額を清算する合意ないし取り扱いの三つの要件とされそうだが、現在の裁判所の扱いは、❸は要件とせずに、❶および❷のみを要件としているといわれている。
固定残業代が無効と判断されると、残業代の単価が大きくなることにより、支払わなければならない金額が膨れ上がるというリスクがある。
賃金規定に固定残業代として手当を支払うと書いてあったとしても、それだけでは認められず、結局は、実態を見られる、つまり、それが本当に残業代の趣旨で支払われているか確認するということになる。
〇退職金 退職金規定には、自己都合または会社都合がどういった意味の概念なのか明記しておいたほうが無用な紛争を招かない。

5. 労働時間・休憩時間
〇事業場外労働 みなし労働時間を定めるにあたり、労働時間の全部を事業場外で勤務した場合と一部を事業場外で勤務した場合とで、明確に分けて定めておいたほうがよい。

6. 休日・休暇、時間外・休日・深夜労働
〇年次有給休暇の付与 客観的要件充足によって当然に成立する年次有給休暇の権利と、その目的物を特定するための時期指定権とは、相互に明確に区分される。
〇管理監督者 部門全体の統括的な立場にあるか否かという観点からの検討がされる傾向にある。

7. 降格、異動・出向

8. 有期労働契約
〇令和4年3月に公表された「多様化する労働契約のルールに関する検討会報告」では、有期契約労働者の無期転換権に関し、使用者に、無期転換申込権の要件を満たす従業員に対して無期転換申し込みの機会を通知するよう義務づけることが適当とされ、今後、改正により追加される可能性がある。

9. 育児・介護

10. 懲戒処分
〇懲戒事由をまとめて包括的に定め、懲戒処分の種類とは対応させないで定める方法が、実務上運用しやすく、また適切。
〇形容詞・副詞を懲戒処分の規定に用いることは、訴訟の場では、懲戒処分が有効となるためのハードルを上げてしまうほか、無用な争点を生み出してしまう。
〇まれに、懲戒事由の一つとして、「服務規律に違反したとき」が抜けていることがある。
〇まれに、犯罪行為に関する事項として、「刑罰法規に違反し有罪が確定したとき」と定めているものを見掛ける。無罪推定の原則をそのまま具現化したものと思われるが、こうした表現は避けたほうがよい。
〇懲戒処分前の自宅待機 従業員の賃金請求権が消滅するのは、例えば、自宅待機としなければ、事故の発生や不正行為の再発の可能性が高い場合等、当該従業員の就労を許容しないことについて実質的な理由が認められる場合等に限られると解されている。(京阪神急行電鉄事件 大阪地判 昭37.4.20、日通名古屋製鉄事件 名古屋地判 平3.7.22)
〇懲戒処分に当たっての手続き上の留意点 会社は、懲戒処分を行うに際して、就業規則、労働協約等で定めた手続きに拘束され、その手続きを履践しなければ、懲戒処分は無効と判断されることになる。
 それでも、懲戒委員会を設置するという場合、❶懲戒処分を決定する機関なのか、懲戒処分についての意見を具申する機関(諮問機関)なのかを明らかにしておく、❷懲戒委員会の構成員、構成員が出席できない場合の対応、招集手続き、決議方法については少なくとも定めておく。
〇懲戒処分通知書の作成の留意点 適用される条項についても、記載を間違ったり、漏れがあったりすると、懲戒処分が無効ともなりかねないので、慎重に確認の上、記載しなければならない。
〇懲戒処分の公表に当たっては特段の配慮が必要。

11. ハラスメント
〇ハラスメントが発生した場合の法的リスク ❶損害賠償責任、❷労災、❸レピュテーションリスク(会社に関するネガティブな情報が世間に広まり、会社の信用やブランドが毀損されることによって生じる損失リスク)、❹進退両難の地位に陥る

12. 休職
〇私傷病休職 欠勤を休職要件とする場合、その期間をどの程度にするか、欠勤期間中の休日の取扱い、欠勤が断続的な場合の取扱いに留意。就業規則に休職期間を延長できる旨の定めを入れておくべき。

13. 定年退職・定年退職後再雇用
〇定年退職後再雇用者の処遇 X運輸事件(奈良地判 平22.3.28)、トヨタ自動車ほか事件(名古屋高判 平28.9.28)、九州総菜事件(福岡高判 平29.9.7) 高年齢雇用安定法の観点からは、無年金、無収入の期間の発生を防ぐという趣旨から、本来もらえることが想定されていた年金額を賄えるだけの賃金であれば、無効とは評価されないと解釈すべきと考える。

14. 退職・解雇
〇就業規則の退職事由の一つに、行方不明になった場合を入れておく必要がある。
〇普通解雇の手順 「やれることはやった、手を尽くした」と評価できるかどうかがポイント。
〇解雇理由証明書 解雇の理由を明示するものであり、極めて重要な書類で、解雇事件の帰趨を決めるといっても過言ではない。

15. テレワーク

16. その他
〇労災申請手続き まれに、使用者としては、労働災害ではないと考え、申請手続きには協力しないという対応を取ることがあるが、これは厳密には問題のある対応。
事業主証明でも、労働災害ではないと考え、事業主証明をしないという対応を取ることがあるが、これも厳密には問題がある。使用者は、事業主証明に当たって、証明できる事実は証明し、証明できない事実は証明しないという対応を取るべき。


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【メモ】副業・兼業の場合の留意点(副業・兼業の促進に関するガイドライン)

2023-03-07 | 書記長社労士 労務管理


連合 2023春季生活闘争
政策・制度 要求実現3.7中央集会
くらしをまもり、未来をつくる。

@日比谷野外音楽堂

 ところで、うちのような公共交通産業の現業では、長時間・不規則勤務になりがちで組合員の健康管理が重要で、そして過労は利用者の安全・安心に影響もしてしまうので、「副業・兼業」を認めることにはかなり消極的ながら、ただ、労務管理上の課題でもあるので、以下、メモしておく。
だから、自分の立場では「副業・兼業」については慎重な対応が必要であることは重要だ。


〇副業・兼業については、従来、多くの企業の就業規則に全面禁止や許可制の旨を定め、違反した場合には懲戒処分を行うなどの対応がとられてきた。
〇近年は、労働者が就業時間以外の時間をどのように使うかは基本的自由であり、就業規則などによって一方的な禁止は適切でないという考え方が主流となってきている。
〇社会全体としても、副業・兼業に対する機運が高まっている。
〇制度導入の狙いは企業によってさまざまながら、本業での成長やキャリア開発につながるよう、従業員のスキルアップを目的に容認する企業の事例が増えている。

〇副業・兼業の場合の留意点(副業・兼業の促進に関するガイドライン)
◎安全配慮義務
 ⇒ 副業・兼業を行う労働者を使用する全ての使用者が安全配慮義務を負っている。
◎秘密保持義務
 ⇒ 自ら使用する労働者が業務上の秘密を他の使用者の下で漏洩する場合や、他の使用者の労働者が他の使用者の業務上の秘密を自らの下で漏洩する場合が考えられる。
◎競業避止義務
 ⇒ 使用者は、競業避止の観点から、労働者の副業・兼業を禁止又は制限することができるが、使用者は、労働者の自らの事業場における業務の内容や副業・兼業の内容等に鑑み、その正当な利益が侵害されない場合には、同一の業種・職種であっても、副業・兼業を認めるべき場合も考えられる。
◎誠実義務
 ⇒ 誠実義務に基づき、労働者は秘密保持義務、競業避止義務を負うほか、使用者の名誉・信用を毀損しないなど誠実に行動することが要請される。
◎副業・兼業の禁止又は制限
 ⇒ 副業・兼業に関する裁判例においては、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であるが、 ①労務提供上の支障がある場合、②業務上の秘密が漏洩する場合、③競業により自社の利益が害される場合、④自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合、のいずれかに該当する場合には、例外的に、労働者の副業・兼業を禁止又は制限することができる。
◎懲戒処分
 ⇒ 副業・兼業に関する裁判例においては、就業規則において労働者が副業・兼業を行う際に許可等の手続を求め、これへの違反を懲戒事由としている場合において、形式的に就業規則の規定に抵触したとしても、職場秩序に影響せず、使用者に対する労務提供に支障を生ぜしめない程度・態様のものは、禁止違反に当たらないとし、懲戒処分を認めていない。
◎労働時間管理
 ⇒ 労基法第 38 条第1項では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と規定されており、「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含む(労働基準局長通達(昭和23 年5月 14 日付け基発第 769 号))とされている。
 ⇒ 労働者が、事業主を異にする複数の事業場において、「労基法に定められた労働時間規制が適用される労働者」に該当する場合に、労基法第 38 条第1項の規定により、それらの複数の事業場における労働時間が通算される。
 ⇒ 休憩(労基法第 34 条)、休日(労基法第 35 条)、年次有給休暇(労基法第39 条)については、労働時間に関する規定ではなく、各事業場の定めが適用される。

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【メモ】新たな労働時間規制と残された課題 寺田一薫東京海洋大学大学院教授

2023-01-27 | 書記長社労士 労務管理

 社会保険労務士連合会の機関誌に、労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会で、労働者代表としての委員の私とともに、公益代表として委員を務めておられた、寺田一薫東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科教授が、改善基準の見直しに関して寄稿されていた。
その中の「新たな労働時間規制と残された課題」の部分についてメモしておく。

「そのような中、2018年に一般労働者を対象とした働き方改革関連法が交付された。その衆参付帯決議において、自動車運転業務に関し、2024年4月以後の時間外労働を年間960時間に制限することが定められた。一般産業の働き方改革において、インターバルが議論されるという追い風を受け、自動車運転者の休息期間の問題が改めて俎上に載せられることになる。これらを受け、労総政策審議会労働条件分科会に専門委員会が設置された。
 年間総労働時間の文脈から導かれた時短は、1日当たり必須の時間にすると長くない。一方、1日の拘束時間・休息期間の現状と一連のあるべき状態のギャップは3時間に及ぶ。年間の労働時間と1日の労働時間を次元の違う物差しで決めなくてはならないことが今回の議論を難しくした。専門委員会は約3年の議論を経て、2022年9月に改善基準告示見直しに関する最終とりまとめを発表した。改善基準告示変更のポイントについては、既に政府や関係団体から説明が行われていると聞くが、念のためその骨子をまとめると、以下の表のとおりである。
 結局、問題の拘束時間短縮、すなわち休息期間延長は、勤務の長い日に概ね1時間となった。端数をつけることによって労使間で確定した時間を定めることができたかもしれないが、その形では合意に至らず、限度としての1時間の変更と、努力目標としての理想値を併記する形となった。
 確定的に時間を定めることで規制と現実が乖離し、かえって労働時間規制が形骸化してしまうかもしれない。努力目標型規制によってそれを防ぐことができる可能性も否定できない。しかし、現実を努力目標である「基本」に近づけるためには、政府と労使の協力、持続可能で、運転者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組む道路運送産業を作り上げようという意識の共有が欠かせない。
 また専門委員会の審議に参加した印象からすると、労使間で1日の拘束時間・休息期間の1時間を超える変更を一気に合意することは難しい。専門委員会最終とりまとめにおいて3年後を目途に再調査を行うことが付帯決議されたが、この種の議論と審議には数年かかることをふまえると、今後は少なくとも10年毎位の見直しを継続する必要があろう。」


2024年(令和6年)4月1日以降の自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)の改正内容について厚生労働省からの告知ページ⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index.html


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協会けんぽ「傷病手当金」の新書式では「受取代理」の欄がなくなったが、今後も受取代理は妥当な理由があれば「受取代理利用申出書」を添付することにより対応する。

2023-01-10 | 書記長社労士 労務管理

 協会けんぽの「健康保険傷病手当金支給申請書の書式が今年になってから変わって、そこで、うちの地方組織から相談があった。
これまでは申請書には「受取代理の欄」というのがあり、ここを本人の承諾のもと振込先を会社にしておけば、会社が被保険者(本人)に代わって傷病手当金を受け取ることが出来たが、この欄が2023年1月からの新申請書からなくなったことによって、混乱を起こしている労使があるとのこと。

 で、自分が問い合わせた東京支部では基本的に1月から旧書式では受け付けないと言われたが、別の支部では9月まで旧書式でうけつけるので9月までは受取代理を認める、どこの支部かは未確認だが、支部で独自の受取代理申請書を作成し対応するところもあると、協会けんぽの支部によって、対応がまちまちであるのが年末現在の状況だった。
ということで、とある国会議員事務所を通じて、厚生労働省に問い合わせをしたところ、以下の通りの回答があった。

日頃より大変お世話になっております。厚生労働省保険局保険課の〇〇と申します。
返信が遅くなりまして大変申し訳ありません。
いただきましたご照会の件につきまして、下記の通り回答させていただきます。
ご不明な点等ございましたら、お電話等ご連絡いただければと存じます。

【ご照会内容】
健康保険の傷病手当の「受取代理」の欄廃止について、以下の問い合わせがあり、また各都道府県支部で対応がまちまちのようですが、厚生労働省としての見解をお教えください。
また、組合員の生活費を確保する観点でも、受け取り代理を可能とする方法はほかにありますか。

(回答)
1.令和5年1月の協会けんぽの業務システム刷新に伴い、傷病手当金等の現金給付の申請書について、加入者の利便性向上等を目的に様式の変更を行いました。
その際、傷病手当金の申請書について、受取代理人欄を様式から削除しましたが、理由としては、受取代理人口座への振込が全申請件数の1割にも満たないこと
等を踏まえたものです。

2.傷病手当金等の現金給付については、被保険者(申請者)への支払を原則としますが、預貯金口座を持っていない等被保険者(申請者)に振込が出来ない場合や
入院等により被保険者(申請者)が引き出しできない場合については、引き続き受取代理人の口座へ振込を行うこととしており、その場合は、事前に受取代理を必要とする理由を確認し、
妥当な理由であれば、「受取代理利用申出書」を添付いただくことにより対応することにしております。
「受取代理利用申出書」が必要な場合は、お勤めの事業所を管轄する各都道府県支部にご連絡をお願いいたします。

3.なお、新様式への切り替えについては、令和4年11月から各支部のホームページ等にて積極的に周知を行っており、今後も新様式での申請を促進していきますが、引き続き旧様式での申請も受付可能です。
支部ごとでの周知にかかる表現は異なっているものの、取扱いについては全支部共通の対応となっております。

以上、どうぞよろしくお願いいたします。

>>>>>>>>>>>>>>>>>
厚生労働省保険局保険課
全国健康保険協会管理室


 うちの加盟組合では、組合員の月々の生活費を償えるように、以下のように恩恵的な対応をされている労使が多く、これを労働協約で明確にしていたり、規約にはしていないが労使慣行としている。

 私傷病で休んでいる組合員が、
①給与計算期間単位で申請書を会社に提出した場合、受取代理を会社にしてもらった上で、会社が協会けんぽへの申請をおこなう。
②給与支給日には傷病手当金相当分から社会保険料・雇用保険料、その他共済金などの天引き額を控除した上を、残りを会社が組合員に立て替えて支給する。
③後日、協会けんぽから、会社に傷病手当金を振り込まる。

 しかし会社が「受取代理」することが不可能となると、会社としても立て替え払いが回収できないリスクが高くなってしまい、そうなると会社が立て替え払いを忌避する可能性があり、現に会社立て替え払いを見直すという会社申し入れがあった労働組合があっての、今回の相談だった。
とりあえずは、組合員の生活を守られると言うことで、なんとか上手くいきそうだ…(ただし協会けんぽの支部毎の対応の温度差で混乱がしばらく生じそうなのが心配だ)。

 一方で、悪質な会社は、会社が立て替え払いしざるを得ない社会保険料や雇用保険料などを取りっぱぐれないよう、従業員に「受取代理を会社にしなければ休業の証明を書かない」など、強制したりすることが問題になっていたことがあり、そもそも健康保険の給付は、担保や差し押さえが出来ないことが前提だから、そういった行為は違法性があるのではないか、という指摘もある。
今回の書式変更は、これも影響しているのかと思ったが、それについては厚生労働省の回答では直接触れられてはいない(「傷病手当金等の現金給付については、被保険者(申請者)への支払を原則としますが」との言及はあったが)。

【孫1号9歳がリフティングの練習を始めた⚽じいじ57歳はいままでやったことがないが100日で100回目標チャレンジ😅 2023/1/10 5日目6回】

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【メモ】「現行60歳の定年を段階的に引き上げて65歳とする。」国家公務員法等の一部を改正する法律

2022-12-05 | 書記長社労士 労務管理
 これまで公務員は一部の職員を除いては、60歳の誕生日を迎えた次の3月31日が定年退職日となっていたが、令和3年の法律の改正により、この定年年齢が引き上げられる。
しかし、「その者に適用される俸給表の職務の級及び号俸に応じた額に7割を乗じて得た額とする。」ってのは、同一労働同一賃金の趣旨や、長澤運輸事件の最高裁判決などから考えたときにどうよ…。(参考⇒定年再雇用の場合 短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針
民間企業に悪影響があるで、これは。


1.定年の段階的引上げ
現行60歳の定年を段階的に引き上げて65歳とする。
(ただし、職務と責任の特殊性・欠員補充の困難性を有する医師等については、66歳から70歳の間で
人事院規則により定年を定める)

2.役職定年制(管理監督職勤務上限年齢制)の導入
① 組織活力を維持するため、管理監督職(指定職及び俸給の特別調整額適用官職等)の職員は、60歳(事務次官等は62歳)の誕生日から同日以後の最初の4月1日までの間に、管理監督職以外の官職に異動させる。
② 役職定年による異動により公務の運営に著しい支障が生ずる場合に限り、引き続き管理監督職として勤務させることができる特例を設ける。

3.60歳に達した職員の給与
人事院の「意見の申出」に基づき、当分の間、職員の俸給月額は、職員が60歳に達した日後の最初の4月1日(特定日)以後、その者に適用される俸給表の職務の級及び号俸に応じた額に7割を乗じて得た額とする。
(役職定年により降任、降給を伴う異動をした職員の俸給月額は、異動前の俸給月額の7割水準)
(※)検討条項として、政府は、①60歳前後の給与水準が連続的なものとなるよう、国家公務員の給与制度について、人事院において公布後速やかに行われる昇任・昇格の基準、昇給の基準、俸給表などについての検討の状況を踏まえ、定年引上げ完成の前(令和13年3月31日まで)に所要の措置を順次講ずること、②公布後速やかに評語の区分など人事評価について検討を行い、施行日までに所要の措置を講ずること、を規定

4.高齢期における多様な職業生活設計の支援
① 60歳以後定年前に退職した者の退職手当
60歳に達した日以後に、定年前の退職を選択した職員が不利にならないよう、当分の間、「定年」を理由とする退職と同様に退職手当を算定する。
② 定年前再任用短時間勤務制の導入
60歳に達した日以後定年前に退職した職員を、本人の希望により、短時間勤務の官職に採用(任期は65歳まで)することができる制度を設ける。

5.その他
・検察官、防衛省の事務官等についても、同様に定年の引上げ等を行う。
・施行日:令和5年4月1日


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【厚生労働省令和5年度予算概算要求】働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)

2022-11-07 | 書記長社労士 労務管理

 厚生労働省は、令和5年度予算編成に向けて、働き方改革推進支援助成金に「適用猶予業種等対応コース」(仮称)を新設する予算要求をしている。⇒「令和5年度予算概算要求について」(PDF上で59ページ)

1 事業の目的
○令和6年4月には上限規制の猶予事業・業務への適用が予定されているところであるが、これらの業種等については、特に建設業など一部の業種において
顕著な長時間労働の実態が認められるなど更なる支援が必要である。
○各業種・業務について法規制が異なることから、各々の業種において成果目標を設ける。

2 事業の概要・スキーム
【助成対象】
就業規則等の作成・変更費用、研修費用(業務研修を含む)、外部専門家によるコンサルティング費用、労務管理用機器等の導入・更新費用、労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新費用、人材確保等のための費用等労働時間短縮や生産性向上に向けた取組に必要な経費

3 令和5年度概算要求額42億円(-)
各業種への助成金対応※実施主体:都道府県労働局補助率3/4
事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円を超える場合は、4/5を助成。


 各業種等で法規制が異なることから、それぞれの業種等ごとに成果目標を設け、その達成に向けた取り組みや、勤務間インターバルの導入(自動車運転者、医師のみ)、週休二日制の導入(建設事業のみ)などが予定されている。
対象は中小企業事業主に限定される見込み。

 自動車運転の業務については、特徴として
・特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が960時間。
・改善基準告示の改正に係る議論の内容を踏まえ、勤務間インターバルの確保を推進する成果目標を設定。

成果目標と上限額は、
【36協定の見直し】
①月80H超→月60H以下:250万円
②月80H超→月60~80H:150万円
③月60~80H→月60H以下:200万円
【インターバル導入】
9H~11H:100万円
11H以上:150万円


 是非満額で予算を確定して欲しいと思う。
とは言え、中小事業者だけが対象としても、これら4業種の事業者数を考えたときに、42億円では少なすぎる予算額という気もするが…。

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【メモ】メンタルヘルス不調者における職場復帰支援

2022-11-02 | 書記長社労士 労務管理

【休職時のポイント】
〇病気休業診断書
・病気休業診断書には、必要な療養期間の見込み、休養時に必要な本人への配慮を記載してもらう
・療養期間は、まずは1~2か月単位で設定してもらい、回復の状況に合わせて療養期間延長や早期の復帰調整をおこなうとよい
・メンタル不調の場合、病名にとらわれず、「本人がどのような体調で、生活や就労においてどのような配慮が必要か」を把握すること

〇従業員(と家族)への説明事項
※なるべく本人と家族を交えて説明すること
※トラブル防止のためにも、文書など記録が残る形で説明すること
◆連絡について
・親族等の連絡先(緊急連絡先)
・会社の窓口を一本化する
・会社と定期連絡する(2週間~月に1回)
◆経済面
・休職中は身分保障されている
・傷病手当金の申請方法
・社会保険料の支払い方法

【休職中のポイント】
・職場へは、休業の事実のみを伝え、診断名や病状等の詳細の説明は控えること
・メンタルヘルス不調では正常な判断力が低下しているため、重大な決断(退職等)は回復するまで延期させること
・会社から本人(本人と連絡が困難な場合は親族等)へ定期連絡すること(安否や体調の確認、傷病手当金の申請、休職延長の際に診断書の再発行の必要性、復職手順や条件、休職満了日)

【復職時のポイント】
①本人の復職の意思表示
・「復職したい(意欲)」のか「復職しなければならない(焦り不安)」のか区別が必要
・上司による面談、産業医面談などを行い慎重に判断する
②本人への復職手続きの説明
・復職手順とそれにかかる手続き
・復職に必要な条件と、復職するためにはその条件をクリアする必要があること
・主治医による復職診断書、産業医面談、試し出社などの結果を総合的に判断し、会社が最終的な復職可否を決定すること
③主治医による職場復帰可能の判断
・できれば、本人同意を得たうえで、主治医へ職場で必要とされる業務遂行能力に関する情報(復職に必要な条件、職務に関する諸制度や職場環境等)を提供し、安定した職務が可能かどうかについて、主治医からより具体的な意見をもらう
④職場復帰の判断に必要な情報の収集
1.生活リズムの確認(生活リズム表の記載、2週間以上の安定)
2.産業医面談を通じて、本人の健康状態の確認(通院や治療状況、現在の症状、生活・睡眠リズム、1日の活量、休職前の業務内容や職場環境、職務遂行能力の回復度、休職に至った原因の見つめ直し、就業に関する本人の考え 等)
3.業務遂行能力の回復状況(通勤訓練、模擬出社、試し出社、リワークで段階的な確認)
4.職場環境の確認(職場側の休業要員が改善していること)
5.就業に関する本人の考え(休業に至った本人側の原因が改善されていること)

【復職時のテレワークの考え方】組み合わすことが望ましい(?)
〇出社
・メリット=上司のよる業務管理がしやすい{業務遂行能力を段階的に確認しやすい)、体調不良時に周囲が気付きやすい(ラインケア)
・デメリット=通勤の負担がある、通勤時間によりオフの時間が減少する
〇テレワーク
・メリット=通勤の負担がない、通勤時間がない分オフの時間を確保できる
・デメリット=業務や体調について自己管理が求められる、業務や体調について気軽に相談しにくい

【復職後の就業配慮の例】
・短時間勤務(短時間勤務の場合、始業時間を遅らせるのではなく終業時間を早めること)
・軽作業や定型業務への従事
・残業や深夜業務を禁止する
・出張を制限する
・交替勤務を制限する
・危険作業、運転業務、高所作業、窓口業務、苦情処理業務などを制限する
・フレックスタイム制度を制限、または適用する
・転勤について配慮する など


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【メモ】フレックスタイム制導入の利点と導入時の留意ポイント

2022-10-24 | 書記長社労士 労務管理

〇利点
・ライフスタイルの異なる社員が共存できる
⇒勤務パターンを確立する人、社外の活動とのバランスで社内の勤務時間組み替える人、業務の繁閑に合わせてストレッチする人などが共存できる。
・長時間労働の是正が出来る
⇒業務繁忙時の長時間労働を閑散時期に吸収できる。
・マネジメントの負担が軽減できる
⇒個々の社員が自己裁量により働き方を決定できるため。

〇導入時の留意ポイント
・フレックスタイム適用除外日の設定
・自律的な働き方
⇒高度な自立性が求められる働き方なので、自己裁量で勤務時間の割り振りができる能力を有していない社員には難しい。
・ダブルキャスト制で業務の属人化を排除
・入社直後はフレックスタイム制対象としない
・割増賃金総額は、増加する

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【メモ】職場におけるメンタルヘルス対策の意義

2022-10-03 | 書記長社労士 労務管理

【マイナスを減らす】⇒安全配慮義務の観点
例えば長時間労働による精神疾患や過労死のように、労働が原因で病気やケガや事故等が生じた場合は会社が責任を負うことになりかねない。
もしこういったケースが起きてしまうと、損害賠償責任、企業イメージ毀損、不慮の事故やミスなどにつながる恐れがあるため、メンタルヘルス対策はコンプライアンス遵守といった意義がある。

【プラスにつなげていく】⇒組織の活性化の観点
従業員が活き活きと働くことができれば、生産性は向上し、組織全体の活性化につながる。
ひいてはそれが会社の業績向上、企業のイメージの向上につながっていく。(健康経営)
また、近年増加しているメンタルヘルス不調による休職や離職を予防することができる。

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【メモ】2022年10月1日からの法令改正

2022-09-26 | 書記長社労士 労務管理

【育児休業関係】
〇産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
 既存の育休制度とは別に、男性が子供の出生から8週間までの間に、合計4週間の育休を2回まで分割して取得できる。
〇育児休業の分割取得
 原則として、子が1歳までは、特別な事情がなくても育児休業を分割して2回の取得が可能になる。
〇パパ休暇の廃止
〇1歳以降の育児休業開始日の柔軟化
 1歳を過ぎたタイミングからでも育休を取得できるようになるため、1歳~1歳半または1歳半~2歳の間の育休について、夫婦で途中交代も可能になる。

【育児休業(給付・保険料)関係】
〇出生時育児休業給付金の創設
 子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる産後パパ育休制度の創設に伴い、産後パパ育休を取得した場合に、出生時育児休業給付金が受けられる。
〇育児休業給付金の見直し
 ・1歳未満の子について、原則2回の育児休業まで、育児休業給付金を受けられるようになる。
 ・3回目以降の育児休業については、原則給付金を受けられないが、例外事由に該当する場合は、回数制限から除外される。
 ・育児休業の延長事由があり、かつ、夫婦交代で育児休業を取得する場合(延長交代)は、1歳~1歳6か月と1歳6か月~2歳の各期間において夫婦それぞれ1回に限り育児休業給付金が受けられる。
〇社会保険料免除要件の見直し
 育休等期間中の月額保険料の免除対象は、これまで「月の末日」を休業していればその月が免除対象とされたが、これに加えて休業を取得した日数が合算して「14日以上」となる月も免除対象とされる。

【雇用保険関係】
〇雇用保険料率の引き上げ
 一般の事業が1000分の13.5、農林水産・清酒製造の事業が1000分の15.5、建設の事業が1000分の16.5に引き上げられる。
〇マイナンバーカード提示による手続の簡略化
〇公金受取口座による給付受取の運用開始

【求人(職業安定法)関係】
〇求人情報の的確表示の義務化
〇募集情報等提供事業の範囲拡大
〇特定募集情報等提供事業者に対する届出制の導入


【健康保険・厚生年金保険関係】
〇短時間労働者に対する社会保険の適用拡大
 企業規模要件が従業員501人以上から従業員101人以上に拡大されるほか、勤務期間要件(1年以上見込み)が撤廃され、一般の被保険者(2か月超)と同様になる。
〇士業を強制適用業種に追加
〇在職定時改定の適用
 令和4年3月までは、65歳以降の被保険者期間については資格喪失時にのみ年金額が改定されていたが、在職中であっても、毎年、10月に改定を行うこととする。
〇後期高齢者医療制度における窓口負担割合の見直し
 現役並み所得者を除き、75歳以上の方等で一定以上の所得がある方について、窓口負担割合を2割とする。
また、窓口負担割合が2割となる方について、令和4年10月1日から令和7年9月30日までの間、外来の負担増加額を月3,000円までに抑える配慮措置を導入する。

【労働者協同組合関係】
〇労働者協同組合の法制化
 労働者協同組合とは、労働者協同組合法(令和2年法律第78号)に基づいて設立された法人で、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、組合員自らが事業に従事することを基本原理とする組織。組合員は組合と労働協約を締結し、労働者として労働法令が適用される。

【最低賃金法関係】
〇最低賃金額の改定
 都道府県ごとに定められている地域別最低賃金が改定される。
全ての都道府県において、時間額30円から33円の引上げとなる(全国加重平均961円)。
※令和4年10月1日以降、順次発効

【確定供出年金制度関係】
〇企業型DC加入者のiDeCo(個人型DC)加入の要件緩和
 企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金との合算管理の仕組みを構築することで、企業型DC規約の定めや事業主掛金の上限の引下げがなくても、月額5.5万円から各月の事業主掛金を控除した残余の範囲内で(ただし、月額2.0万円を上限)、iDeCoの掛金を各月拠出可能とする。

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【メモ】不安障害と発達障害、会社ができる配慮

2022-09-21 | 書記長社労士 労務管理

※不安障害や発達障害は業務に起因せず発症することが多い精神疾患
※そのため、会社が出来る就業配慮としては、本人の負担を軽減し、本人の特性に応じた働き方が出来るよう、職場環境や業務手順などを調整することが大切
※主治医へより詳しい治療状況を確認したり、企業の立場や職場環境を理解している産業医に面談してもらうことで、就業配慮に関する意見を求めるとよい

不安障害
◯パニック障害
【症状】
・パニック発作 動悸、めまい、発汗、息が苦しい、窒息感、吐き気、手足の震えなど。
突然理由なく発症。10分以内にピークに達し、30分以内に治まる。
・予期不安(発作が出ることを恐れて不安になること)、広場不安(発作を恐れて苦手な場所を避けること)により、生活、仕事に支障が出ている状態。
【会社ができる配慮】
・規則正しい生活習慣をとらせ、必要に応じて本人の状況を確認する。
・通勤経路、時間帯の調整、在宅ワークなどにより負担を軽減する。
・社内発作が生じた際は、休憩室、個室で安静にさせ、誰かが付き添い、声掛けをして安心させる。

◯強迫性障害
【症状】
・自分でもつまらないことだとわかっていても、そのことが頭から離れず(強迫観念)、わかっていながらも何度も同じ確認などを繰り返す(強迫行為)ことで、それにより生活、仕事に支障が出ている状態。
例)不安恐怖と洗浄、加害恐怖、確認行為
【会社ができる配慮】
・決められた作業の手順やルールに沿って業務を進めるよう習慣化することで、心理的安定を図る体制を確保する。
例)確認回数の上限を設定、報告のタイミングを固定化、作業のスケジュール化

発達障害
〇自閉症スペクトラム症(ASD)
【症状】
・主にコミュニケーションが苦手、強い関心やこだわりがある、感覚が過敏、仕事が臨機応変にこなせない
〇注意欠陥・多動性障害(ADHD)
【症状】
・計画的に物事が進められない、そわそわとして落ち着かない、感情のコントロールが難しい、注意が持続しにくい、作業にミスが多い
【会社ができる配慮(共通)】
・周囲の理解と支援、環境調整が重要
・シンプルで短くはっきりとした言い方で伝える
・その人の興味関心に沿った内容や図、イラストなどを使って説明する
・わかりやすいルール掲示をする
・手順を示す、モデルを見せる、体験練習をする、新しく挑戦する部分は少しずつにするなど、スモールステップで支援する
・感覚過敏がある場合、イヤーマフを活用する、大声で説明せずホワイトボードで内容を伝える、人とぶつからないように居場所をついたてなどで区切る、など

〇学習障害
【症状】
・読む、書く、計算するなど特定の学習のみに困難が認められる状態が多い
【会社ができる配慮】
・得意の部分を積極的に使って情報を理解し、表現できるようサポートする
・苦手な部分については、話題の量、質を適切に加減する、柔軟な評価をするといった、周囲(特に上司)の配慮が必要

〇チック症、吃音
【症状】
・本人がやるつもりがなくても、急に不随意な「運動」や「音声」を繰り返す状態
【会社ができる配慮】
・周囲の理解と支援、環境調整が最も重要
・叱ったり、拒否的な態度を取ったり、笑ったり、ひやかしたりしないこと

〇パーソナリティ障害
【症状】
・大多数の人とは違う反応や行動をすることで、本人が苦しんだり、周囲が困ったりする状態
【会社ができる配慮】
・認知(ものの捉え方や考え方)、感情のコントロール、対人関係などの精神機能の偏りから生じるため、認知行動療法、カウンセリングなどにより長期的な環境への適応を図る
・うつ病や適応障害を併発するケースもあるため、ストレスケアを行う


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