goo blog サービス終了のお知らせ 

労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

【メモ】辞職の意思表示の有効性が争われる場合

2025-05-07 | 書記長社労士 労務管理
栃木県・県知事(土木事務所職員)事件【宇都宮地判令5.3.29】
 双極性障害を負った公務員Xの退職願を受けて栃木県Yが出した免職処分の有効性と、退職勧奨を行った上司の不法行為に基づく国賠法上の責任を争った事案。
裁判所は、免職処分は無効として、Xの公務員としての地位を認めましたが、Yの国賠法上の責任は否定した。

◎判決の要旨
 判決は、たとえ上司らに退職勧奨の意図がなかったとしても、原告からすれば、退職を勧められていると受け止めても仕方がない状況であったと認められるところ、原告が面談時にあくまで復職を希望していたことや上記経過からすると、退職は原告の意に反するものであったといえ、面談当時の健康状態及び面談における上司らの説明が相互作用したことにより、熟慮することができないまま退職の選択肢しかないという思考に陥った結果、退職願を提出するに至ったものと認められるから、退職願は自由な意思に基づくものとはいえず、退職願を前提としてなされた辞職承認処分も違法であり取り消されるべきであるとした。

◎自由な意思を否定したポイント
①双極性障害による傷病休暇中で、実際に体調も悪い状態だったこと、②医師や家族の同席もなく、退職以外の選択肢も示されず、面談からわずか2日後に退職願が提出され、③面談は、Xの責任を追及するような比較的厳しい内容だったこと、④面談時にはXが一貫して復職希望を表明していたこと、など。

◎この判例からの留意点
・精神疾患に罹患していることの一事をもって、退職願を提出した者に意思能力がないと判断されるものではない。
・精神疾患に罹患していることの一事をもって、退職願を提出した者の意に反するものと直ちに評価されるものではない。
⇒退職願提出以前の言動から意思能力を有していることに疑念が生ずるような事案であれば、主治医や産業医の意見を聴取しておくべきであろう。
・退職願提出が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点から判断されるべき。
⇒面談時の記録を取ること、退職することのメリット・デメリットを具体的に記載した書面を交付し、そこに署名を得ておく、なども有用かも。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

使用者側弁護士からみた「標準中小企業のモデル就業規則策定マニュアル」の4訂版がやってきた❕

2025-04-03 | 書記長社労士 労務管理

 使用者側弁護士であるのに友人の岡崎教行弁護士から、中小企業のモデル就業規則策定マニュアルのが送られてきた!
労働者側の私への挑戦状ではないと思う。(⇦ご本人から「挑戦状ではないですwww」)
いろいろとアップデートされているようで、初版と比較しながらじっくり読ませてもらった。


 初版が平成27年(2015年)11月。(➡2015-12-05「ここまできちっとした就業規則を備えられてしまうと、つっこみどころ・突きどころ、なくなるやん!」)
初版の2刷を経て、改訂版が約4年後の令和元年(2019年)9月。(➡2019-10-02「体系的に理論武装するために、および自分のところの就業規則点検・整備するために、読んで欲しい!「改訂版 使用者側弁護士からみた 標準 中小企業のモデル就業規則策定マニュアル」」)
3訂版が、改訂版から2年6か月後の令和4年(2022年)2月で、この4訂版が、3訂版から3年1月後の令和7年(2025年)3月に刊行となってる。
法改正や新たな裁判例などに準拠して、丁寧に内容の改定を行われている。

 3訂版を持っていなくて、改訂版と比較すると、第1章の就業規則本則に「引き抜きの禁止」「特定受託事業者に対するハラスメントの禁止」「就活ハラスメント、カスタマーハラスメント」が追加され、カスハラについては、現時点ではどうして規程化しないのか解説されている。
第2章の賃金規定では、「昇格・降格に伴う基本給の変更」「在宅勤務手当」が追加、基本給改訂が「改定」に変更www
「定年退職後再雇用規程」「テレワーク規程」が新たに章立てされている。
(「昇格・降格に伴う基本給の変更」「在宅勤務手当」「テレワーク規程」は3訂版で追加されていたようだ。)

 そして、著者曰く「思い切った冒険」として、懲戒処分の種類の1つである「諭旨解雇/諭旨退職」を削除したことが大きな変更。
本文を読むと、確かに「諭旨解雇/諭旨退職」それぞれを正確に実行していないケースってあるのだなあ、もしその後、係争となった時に問題になることもありそうだなあ、と感じた。
その点では、岡崎教行弁護士の今回の思い、パッションがドロドロとじわぁーっと流れ出てきてた、まるで彼のお腹の肉を挽いて作ったハンバーグの肉汁みたいに。

 ちなみに自分の出身会社の就業規則と賞罰規程では
諭旨解雇 労働基準法第20条の解雇予告をして旨を諭し解雇する。この場合、退職金の全部または一部を支給する。
懲戒解雇 解雇する。ただしこの場合、行政官庁の認定を得たときは解雇予告をせず解雇する。本号による解雇の場合、退職金を支給しない。
としていて、労使で構成する賞罰委員会では、諭旨解雇と懲戒解雇の適用は厳密に審議し、諭旨解雇とした場合は、退職金の支給率についても協議している。
そして、懲戒解雇の場合は、所轄の労働基準監督署に「解雇予告除外認定の申請」もしている。
認定されるかどうかは別としてではあるが、そもそも賞罰委員会に置いて懲戒解雇と決定する場合の事由とは、昭和23年11月11日基発第1637号、昭和31年3月1日基発第111号に沿った懲戒事由であるということは言うまでもない。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【メモ】「不可避な労働者概念の見直し」⇦まさにその通りだと思う❕

2025-02-25 | 書記長社労士 労務管理
〇世界的にギグワークが拡大
⇒「Gig(1回限りの演奏や短いセッション)」+「Work(仕事)」を組み合わせた造語
⇒労働契約を締結せず短時間または単発の仕事を受注する働き方
・有給の試算を利用するシェアリング(共有)タイプの労働力利用…UberEats(フードデリバリー)やTaskrabbit(家事代行)など
・インターネットを介してクラウド(群衆)にアクセスし必要な労働力を調達する「クラウドソーシング」…crowdworksやLancersなど
・デジタルプラットフォームを介した雇用のスポットワーク…Timeeなど

〇自由を希求する労働者
⇒時間や場所にとらわれない自由な働き方にその魅力を見出している
⇒企業労働への忌避感が強い、就労の開始と終了はアプリを立ち上げるというワーカーの自由意志、直接対面したコミュニケーションも必要ない


〇新しい働き方の課題
⇒取引される労働力の「労働条件」ともいえる仕事の依頼そのものや報酬額は、膨大なデータとアルゴリズムを独占しているデジタルプラットフォームによって優位に決定されている
⇒就労の依頼を断り続けるとアプリの利用が停止される(事実上の解雇)、料金交渉も出来ない、AIによって最適化された働き方が求められるが最適化はアルゴリズムによるものであって決して人間的な最適化がなされているわけではない
⇒雇用における「人の支配」が、ただ「アルゴリズムによる支配」に変わっただけ
⇒命令の鎖が見えないだけで「自由」であると錯覚していないか?

〇プラットフォームワーカーは個人事業主として扱われている
⇒当然、形式的には労働者としての保護もなく、有利な社会保障の適用もない
⇒自由な働き方を得る一方でこれらの利益を失っている
⇒将来、低年金や無年金となりかねず、このような働き方を「個人事業主」として放置しておくことは社会的にも負の影響

〇スポットワークの利用は意外に中高年層の利用が多い
⇒単発の仕事だけに、中高年層にとって不慣れな仕事となり労災の危険性も高まる
⇒以前、日雇い派遣が問題となったがそれと同じ構造がある

〇不可避な労働者概念の見直し
労働基準法上の労働者については「使用従属性」の有無によって判断される
⇒①指揮監督下の労働、②報酬の労務対償性、③労働者性の判断を補強する要素
⇒工場労働など典型的な労働関係が労働の多数を占めてきた時代に構築されてきた
⇒普遍的基準と位置付けられるものではない
⇒ホワイトカラーを中心に明確な指揮監督下で労働に従事していない場合も増えている、リモートワークなど場所的・時間的拘束性も緩和されている、デジタルPFを介した就労の増加など就労形態の多様化
⇒過去の事例を根拠とした判断基準をそのまま当てはめようとすること自体に問題が…

〇あるべき労基法上の労働者の解釈
・労基法は単なる労働者個人の保護法ではない
⇒企業が集団的な組織であることを前提としている…就業規則制度、一斉休憩の原則など
⇒労働者らは一定の組織に組み入れられていることを前提とした法制になっている
・浜村彰法政大名誉教授
⇒労基法第9条の「使用される」は、
自然人たる就業者が相手方の業務遂行に不可欠な労働力として「利用される」ことを意味するものとして広く解釈すべき
⇒そのうえで事業組織の組み入れという要素を重視する
・業務遂行上の指揮監督の有無
⇒アルゴリズムによる支配という点にも配慮が必要
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「解雇の効力につき係争中の場合における健康保険等の取扱について」の通達を確認していたら…

2025-02-13 | 書記長社労士 労務管理

【13🏃Run3-9 6.62km 42:56 横浜港】 先日、必要があって、「解雇の効力につき係争中の場合における健康保険等の取扱について」を再確認するために、この通達を引っ張り出したのだが、ちょっと引っ掛かった点があって調べてみた。

解雇の効力につき係争中の場合における健康保険等の取扱について
(昭和二五年一〇月九日)
(保発第六八号)
(各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)

 最近企業合理化を行う事業や新聞報道関係等において解雇が行われているが、これに関して労資双方の意見が対立し被保険者資格の喪失について疑義を生じた場合においては、左記によつて取り扱うこととなつたので通知する。


1 解雇行為が労働法規又は労働協約に違反することが明かな場合を除いて、事業主より健康保険法施行規則第十条第二項の規定による被保険者資格喪失届の提出があつたときは、当該事件につき労働委員会に対して、不当労働行為に関する申立(労働組合法第二十七条)、斡旋(労働関係調整法第十条乃至第十六条)、調停(労働関係調整法第十七条乃至第二十八条)、若しくは仲裁(労働関係調整法第二十九条乃至第三十五条)の手続がなされ、又は裁判所に対する訴の提起若しくは仮処分の申請中であつても、一応資格を喪失したものとしてこれを受理し、被保険者証の回収(回収不能の場合は被保険者証無効の公示をなすこと。)等所定の手続をなすこと。
 右労働法規又は協約違反の有無について、各保険者が一方的にこれを認定することは困難且つ不適当であるから、当該保険者においては、労働関係主管当局の意見を聞く等により、事件結着の見透しを慎重検討の上処理すること。
 なお、本年七月十八日付マッカーサー書簡の趣旨に基き、新聞等報道関係において行われた解雇は、労働法規又は協約に違反しないものとしてこれを取り扱うこと。
 なお、解雇された被保険者で、被保険者証を事業主に返還しないものに対しては、不当使用の際には詐欺罪として処罰される旨の警告をなさしめること。

2 右の場合において労働委員会又は裁判所が解雇無効の判定をなし、且つ、その効力が発生したときは、当該判定に従い遡及して資格喪失の処理を取り消し、被保険者証を事業主に返付すること。

3 右の場合において解雇無効の効力が発生するまでの間、資格喪失の取扱のため自費で診療を受けていた者に対しては、療養の給付をなすことが困難であつたものとして、その診療に要した費用は療養費として支給し、その他現金給付についても遡つて支給すると共に保険料もこれを徴収すること。

4 第一項の申立又は仮処分の申請に対する暫定的決定が本裁判において無効となり、解雇が遡つて成立した場合には、すでになされた保険給付は被保険者から返還されることとし、又徴収済保険料は事業主からの還付請求に基いて還付手続をなすこと。

5 厚生年金保険における取扱についても、右に準じて適切な措置を取ること。


 一つ目のひっかかりがリード文になる「最近企業合理化を行う事業や新聞報道関係等において解雇が行われているが」で、昭和25年当時に、このような企業合理化を行う事業や新聞報道関係等において解雇がなぜ行われていたのかということ。
二つ目のひっかかりが、1の最初のなお書きで「新聞等報道関係において行われた解雇は、労働法規又は協約に違反しないもの」とされたということ。

 調べてみたら、おそらくこれか…と気付いた。

 この通達が指す「本年七月十八日付マッカーサー書簡の趣旨に基き」の書簡とは、マッカーサーは数次にわたり吉田茂総理大臣へ「共産分子の活動に関する書簡」を送付したものの一つだと思われる。
1950年5月3日に連合国最高司令官マッカーサーが、日本共産党を破壊的活動を行う政党として公然と非難し、断固たる措置をとる等との声明を発し、同年6月以降共産党中央委員の公職追放、アカハタの発行停止等を吉田首相宛書簡で次々と指令し、日本政府もこれを推進して、その後公務や民間企業から大量の共産党員、同調者等が追放されていった。
いわゆる「レッドパージ」だ。
このレッドパージによる解雇を、各企業は「企業合理化」のための解雇としていたようだ。

 また、「新聞等報道関係において行われた解雇」について。
1950年6月26日のGHQ指令により「アカハタ」が1ヶ月間の発行停止処分、さらに解除直前の7月18日に突如無期限に延長される。
さらに、1950年7月28日から各報道機関が、書簡の趣旨に従い社内の共産党員、同調分子らに解雇通告を開始したが、通達1のなお書きの「新聞等報道関係において行われた解雇は、労働法規又は協約に違反しないものとしてこれを取り扱うこと」とは、これらの解雇を指すようだ。(初日の解雇人数は、朝日新聞社72人、毎日新聞社49人、読売新聞社34人、日本経済新聞社10人、東京新聞社8人、日本放送協会104人、時事通信社16人、共同通信社33人、であったという。)

 これが正しいのかどうかわからんが、でも大きくは外れていないと思う。
共産党って昭和27年に成立した破壊活動防止法に基づく調査対象団体とされているが、未だに調査対象のままなんだが、自分としては、共産党のことはさておき、犯罪者・不祥事者を量産する「日本維新の会」とか、ファクトや恐喝で死者や被害者を出しまくる立花孝志の「NHKから国民を守る党」の方が、よっぽどヤバいと思うけどな。
いやいや、そもそも自民党がもっともカルトで売国で違法・脱法の多い政党で、国民の命と生活への破壊活動を防止するための調査対象にした方がいいやん❗


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

懲戒による減給処分と最低賃金法との関係

2024-12-12 | 書記長社労士 労務管理

 先日、懲戒による減給処分と最低賃金法との関係について質問があったので、ここに残しておく。

 労働者に懲戒処分による減給を行うと、最低賃金を下回ってしまうことがある。
「その場合、最低賃金法に違反するのではないか」という質問だった。

 違反しない。
減給は所得税や社会保険料などと同様で、法令による控除に該当する。
減給により手取り額が最低賃金を下回ったとしても、控除する前の給与が最低賃金を下回っていないのであれば、最低賃金法違反とはならない。
控除額に相当する賃金が支払われたことになるためだ。

最低賃金法
(最低賃金の効力)
第4条 使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
2 最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。
3 次に掲げる賃金は、前二項に規定する賃金に算入しない。
 一 一月をこえない期間ごとに支払われる賃金以外の賃金で厚生労働省令で定めるもの
 二 通常の労働時間又は労働日の賃金以外の賃金で厚生労働省令で定めるもの
 三 当該最低賃金において算入しないことを定める賃金
4 第一項及び第二項の規定は、労働者がその都合により所定労働時間若しくは所定労働日の労働をしなかつた場合又は使用者が正当な理由により労働者に所定労働時間若しくは所定労働日の労働をさせなかつた場合において、労働しなかつた時間又は日に対応する限度で賃金を支払わないことを妨げるものではない。

労働基準法
(制裁規定の制限)
第91条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【メモ】「とるだけ育休」って言葉を初めて聞いた

2024-12-02 | 書記長社労士 労務管理

 共働き家庭の増加や法改正、企業の取り組み等により、男性の育休取得が一般的になりつつあるなか、一方で、育休を取得したものの、当事者やそのパートナーにとって満足度の低い「とるだけ育休」になってしまっているケースがあるとのこと。
別名で「名ばかり育休」。

 「とるだけ育休」が起こる原因として、
●取得期間が数日と短かすぎて
●育休を取ったはいいものの、何をすればよいのか分からない
●夫自身はやっているつもりだけど、妻からしたら不十分
●自分事になっておらず、言われないとやらない など

 「とるだけ育休」になってしまうと、妻のストレスが増える、「2人目は無理だな」と諦めてしまうこともある、夫婦関係が悪化してしまうなどの弊害も。

 で、「とるだけ育休」にならないためのポイントとしては、
〇十分な期間の育休を取得する
〇育休を取得する目的と役割を明確にする
〇互いに納得感のある家事・育児の分担をする
〇夫婦それぞれリフレッシュする時間を作る
〇妻の精神的な支えとなる
〇相談相手を作っておく などが考えられる。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【メモ】転勤制度見直しの必要性

2024-10-15 | 書記長社労士 労務管理

 12年も単身赴任している自分が、このメモを残すのもどうかと思うが…。

〇転勤制度が一般社員にまで広く普及している日本企業は特殊な状況
 ⇒ 欧米では「ジョブ型」雇用契約が基本=転勤で就業場所を含むジョブが変わるのは本人の同意が必要、原則企業主導での異動という概念はない
 ⇒ 転勤制度も日本的雇用慣行の根差す独特の仕組み=メンバーシップ型雇用契約
 ⇒ 雇用を守るために企業の命令で従業員を移動させることが出来る点に合理性があった

東亜ペイント事件(最小判昭61・7・14)
大学卒営業マンに対する神戸から名古屋への転勤命令拒否を理由とする懲戒解雇につき、本件における単身赴任となる生活上の不利益は、転勤に伴い通常甘受すべき程度のもので、本件転勤命令は、①配転命令に業務上の必要性が存在しない場合、②配転命令が不当な動機・目的をもってなされた場合、③労働者の通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合など、特段の事情が存在する場合でない限り、権利濫用にあたらないとして、原審を破棄・差し戻した事例。


〇転勤制度のメリット
①事業所の拠点展開を円滑に進めること
⇒ 経営環境の変化に対応して事業を見直すにあたり、使用者の一存で労働者の配置ができることは、柔軟な事業展開にとって都合がよい。
②人材育成の効果
⇒ 転勤に伴う環境の変化は、従業員に変化適応力を身につけさせ、成長するチャンスになる。
③企業の一体感の醸成
⇒ 異なる拠点間で人材交流が活発に行われる。
④不正防止やマンネリ化の回避
⇒顧客との癒着を防止、勤務地が変わることで新しい気持ちで仕事を経験できる

▲転勤のデメリット
⇒ 転居や単身赴任に伴う生活面でのコスト
⇒ 共働き生体の増加 配偶者同伴=配偶者のキャリア形成に支障、単身赴任=配偶者の家事・育児負担の増加
⇒ 転勤のある企業を敬遠する傾向が強くなっている(とりわけ若い世代は終身雇用を信じていない)

〇転勤制度の廃止や見直しは優秀な人材を確保するための人事戦略の側面が強くなっている
 ⇒ メンバーシップ型の人事の仕組みではなく、本人の意向を起点に考えるジョブ型の人事の仕組みに変わっていく圧力
 ⇒ 企業にとって奥行きのある極めて重要な課題
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【メモ】「職種限定合意」という雇用契約に関する判令、タクシーやバスの職場では当たり前である雇用契約であるのだが…

2024-10-10 | 書記長社労士 労務管理
 私たちのようなタクシー・バス運転者は、「運転者」として職種限定合意契約で就労しているケースが多く、運転業務が出来なくなってしまったとき、または、業務命令により職種変更する際に、いろいろとあるんだが…。
ということで、以下の判例をメモしておく。

【滋賀県社会福祉協議会事件】(最小判令6・4・26)
 社会福祉法人である第一審被告(以下「Y」)において福祉用具の改造・製作、技術の開発を担当する技術職として18年間勤務していた第一審原告(以下「X」)に対し、Yが、福祉用具改造・製作業務を廃止する方針に基づき、総務課施設管理担当への配転を命じたという事案。第一審(京都地裁令和4年4月27日判決)及び控訴審(大阪高裁令和4年11月24日判決)は、X・Y間で、Xを技術職として就労させるとの黙示の職種限定合意があったと認定した上で、業務廃止に伴う解雇回避のためには、他の業務への配転を命じる業務上の必要性があり、また、甘受すべき程度を超える不利益を与えるものでもないとして配転命令を有効と判断した。

 これに対し、最高裁は、「労働者と使用者との間に当該労働者の職種や業務内容を特定のものに限定する旨の合意がある場合には、使用者は、当該労働者に対し、その個別的同意なしに当該合意に反する配転命令を命ずる権限を有しないと解される」との基本的考え方を示した上で、X・Y間には職種限定合意があったのだから、Yは、そもそもXの同意を得ることなく技術職以外の業務への配転を命ずる権限を有していなかったとして、原判決を破棄し、差し戻した。


「職種限定の合意」
 労働契約において、使用者と労働者との間で、労働者を一定の職種に限定して配置する旨の合意をいい、職種限定の合意がある場合、当該労働者の合意がない限り、当該労働者を他職種へ配転することはできない。

「配転命令権」
 「配転」とは従業員の配置の変更であり、同じ勤務地内での所属部署の変更が「配置転換」、勤務地の変更が「転勤」と呼ばれる。
就業規則上では「業務の都合により、出張、配置転換、転勤を命ずる」等の条項が置かれ、使用者が人事権の一内容として、従業員の職務内容や勤務地を決定する権限(配転命令権)を有することが一般的。

「使用者による配転命令の有効性」⇒東亜ペイント事件(最高裁昭和61年7月14日第二小法廷判決)』
①使用者に配転命令権が認められるか
②認められるとしても権利の濫用(業務上の必要性がない場合または業務上の必要性がある場合でも、不当な動機目的でなされたときもしくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等、特段の事情がある場合)に当たらないか
という観点から適法性が判断されることを示した。

労働条件明示ルールの改正との関係
 2024年4月1日以降、改正労働基準法施行規則が施行され、職務・勤務地に関する労働条件明示ルールが変更された。
具体的には、雇入れ(更新)直後の職務・勤務地の明示に加えて、労働契約の期間中における職務・勤務地の変更の範囲の明示も義務づけられた。
そのため、2024年4月1日以降に雇入れ(更新された)労働者に対しては、職務・勤務地限定の合意の認定が容易になることが予想される。

「同意を得ることなく配転命令をする権限は認められない」
 本件最高裁判決も、従業員の同意を得ることなく配転命令をする権限は認められないと述べるに留めており、同意を得る前提での配転の打診が禁止されているわけではない
職種限定合意が成立していると評価される場合には、解雇回避努力義務を尽くすために、配転の打診を行い、配転への同意を得ることができるかどうかも検討することも視野にいれるべきではないか。
職種限定合意が成立している場合には、使用者は従業員に対する配転命令権自体が認められないと解されることを念頭に置いた上で、配転が必要となった場合には従業員から個別同意を得るための対応をするなどの措置を講じる必要があるのではないか。
ただし、「労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点」には留意が必要か。(職種の変更が、解雇の回避のためであるという事情は、「合理的な理由」の客観的な存在を肯定しやすくする要素となると考えられるが)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【メモ】「飲み二ケーション」はあまりお勧めしません…Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン

2024-10-01 | 書記長社労士 労務管理

コミュニケーションを豊かにしたい ⇒ 「そうだ!コロナも終わったから飲み会だ」は違う
・若年層を中心にWLBや労働に対する価値観の変化、金銭的問題、タイパ的観点から、飲み会は歓迎されていない向き
・対人コミュニケーションの司令塔である前頭前野がアルコールによって機能が低下している状態で、配慮の効いたコミュニケーションなど取れるはずもない
・飲み会が一部ではハラスメントの温床になっていることも見逃せない事実
・健康志向や「ソバキュリアス」によるアルコール離れが進んでおり、上司が飲んで部下が素面であって、苦痛の時間が生じる懸念

いやいや「飲み会には意義がある…しかしそれは
・単に話すきっかけが出来てるだけ
・「親和欲求」を背景に他社に対する親しみが増すだけ
⇒コミュニケーションのギャップを埋めることにはつながっていない現実、「やった感」を感じてるだけ

よい飲み会の開き方
①参加はに任意であることを徹底する(欠席者が申し出るのではなく、出席者が申し出る形で出欠を取る)
②目的を明確にする(親睦などというふわっとした目的ではなく「普段話さない人と話す」など)
③部下が行きたい店に行く
④時間は2時間以内厳守

世代間、あるいは部署間等属性の違いを起因して齟齬が生じた場合
①「違和感のあるコミュニケーションにはそれぞれ何らかの糸や背景がある」ことを踏まえる
②「コミュニケーションの趣旨や意義を踏まえて、機能分化を図っていくこと」が求められる
③「新しい職場のコミュニケーション文化を創り、促進していくためのリーダーシップ」は欠かせない
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【メモ】就業規則に試用期間延長の規定がない場合の、試用期間延長後に本採用拒否したら…

2024-09-17 | 書記長社労士 労務管理
 たまたまながら、最近、複数件「試用期間」について問い合わせがあった。
そういえば…と、この判例をメモしておく。
とにかく「就業規則&労働協約に書いていないことはするな~❗したいなら書いておけ~❗」ってのが自分のアドバイスの基本やけどな。


明治機械事件(東京地判令2・9・28)
 大学卒業後1年の既卒採用者について、会社が試用期間を2回にわたり延長した後、本採用拒否(留保解約権の行使)をしたところ、当該解約権行使の有効性が問題となった事案で、裁判所は、労働者の同意を得て行った試用期間の延長自体を無効とし、当該本採用拒否を無効とした。


 判決では
1 本件雇用契約における試用期間は、職務内容や適格性を判定するため、使用者が労働者を本採用前に試みに使用する期間で、試用期間中の労働関係について解約権留保付労働契約であると解することができる。
そして、試用期間を延長することは、労働者を不安定な地位に置くことになるから、根拠が必要と解すべきであるが、就業規則のほか労働者の同意も上記根拠に当たると解すべきであり、就業規則の最低基準効(労契法12条)に反しない限り、使用者が労働者の同意を得た上で試用期間を延長することは許される。
 そして、就業規則に試用期間延長の可能性及び期間が定められていない場合であっても、職務能力や適格性について調査を尽くして解約権行使を検討すべき程度の問題があるとの判断に至ったものの労働者の利益のため更に調査を尽くして職務能力や適格性を見出すことができるかを見極める必要がある場合等のやむを得ない事情があると認められる場合に、そのような調査を尽くす目的から、労働者の同意を得た上で必要最小限度の期間を設定して試用期間を延長することを就業規則が禁止しているとは解されないから、上記のようなやむを得ない事情があると認められる場合に調査を尽くす目的から労働者の同意を得た上で必要最小限度の期間を設定して試用期間を延長しても就業規則の最低基準効に反しないが、上記のやむを得ない事情、調査を尽くす目的、必要最小限度の期間について認められない場合、労働者の同意を得たとしても就業規則の最低基準効に反し、延長は無効になると解すべきである

2 Y社が本件雇用契約の試用期間を繰り返し延長した目的は、主として退職勧奨に応じさせることにあったと推認され、これを覆すに足りる証拠は存しないから、1回目の延長についても、2回目の延長についても、Xの職務能力や適格性について更に調査を尽くして適切な配属部署があるかを検討するというY社主張の目的があったと認めることはできない。

3 そうすると、1回目の延長はやむを得ない事情があったとも、調査を尽くす目的があったとも、認められず、就業規則の最低基準効に反することから無効であり、1回目の延長が有効であることを前提とする2回目の延長及び3回目の延長も無効であるから、本件雇用契約は、試用期間の満了日である平成30年6月30日の経過により、解雇権留保のない労働契約に移行したと認められる。

 本件では、就業規則に試用期間の定めは存在したが、その延長に関する定めがなかった。
「就業規則などで延長の可能性及びその事由、期間などが明定されていない限り、試用労働者の利益のために原則として認めるべきではない。なお、本採用を拒否できる場合にそれを猶予する延長は認められうるとする。」(菅野和夫・山川隆一「労働法」)
「試用期間の延長は、労働者を長期間不安定な地位に置く結果となるため、当初予定した職務への適格性はないが、なお職務適格性を見出すために行われるなど、合理的理由がある場合にのみ許されると解すべき」(土田道夫「労働契約法」)
「試用期間満了時に一応職務不適格と判断されたものについて、…更に職務適格性を見出すために、試用期間を引き続き一定の期間延長することも許される」雅叙園観光事件(東京地判昭60・11・20)

 本判決では、「労働者の利益のため更に調査を尽くして職務能力や適格性を見出すことができるかを見極める必要がある場合等のやむを得ない事情があると認められる場合に、そのような調査を尽くす目的から、労働者の同意を得た上で必要最小限度の期間を設定して試用期間を延長することを就業規則が禁止しているとは解されない。」
「試用期間を延長することは、労働者を不安定な地位に置くことになるから、根拠が必要と解すべきであるが、就業規則のほか労働者の同意も上記根拠に当たると解すべきであり、就業規則の最低基準効(労契法12条)に反しない限り、使用者が労働者の同意を得た上で試用期間を延長することは許される。」とされた。
しかし「労働契約法12条」についての判断はされていない。

 試用期間満了時(あるいは試用期間中)に本採用を拒否することの有効性【最大判昭48・12・12】
①採否決定の当初においては、その者の資質、性格、能力その他上告人のいわゆる管理職要員としての適格性の有無に関連する事項について必要な調査を行ない、適切な判定資料を十分に蒐集することができないため、後日における調査や観察に基づく最終的決定を留保する趣旨でされること
②留保解約権に基づく解雇は、これを通常の解雇と全く同一に論ずることはできず、前者については、後者の場合よりも広い範囲における解雇の自由が認められること
③留保解約権の行使は、上述した解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認されうる場合にのみ許される
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

企業型確定拠出年金の自動移換者118万人、2800億円が塩漬け

2024-08-30 | 書記長社労士 労務管理
「会社を転職する際に企業年金の資産を移し忘れる人が急増していることがわかった。2022年度末時点の企業型確定拠出年金(DC)元加入者で118万人、資産額は2818億円に上り、いずれも10年間で3倍超に増えた。老後の生活資金が活用されない状態を解消するため厚生労働省は対策を検討する。」【日本経済新聞2024年6月20日付】
という記事があった。

 企業型確定拠出年金の加入者が転・退職すると加入者資格を喪失するが、次の勤務先に移る際に資産の移換手続きをしないと運用されず国民年金基金連合会に移換され、現金のままで管理されることになる。⇐「自動移管」
この「自動移換者」は、2023年3月末で118万人、金額で2818億円。
いずれも10年間で3倍になっていて、企業型確定拠出年金の加入者805万人、総資産18.3兆円なので、これは人数で約1割、資産で1.5%にあたる。
118万人の年金資産が、掛金も拠出されず運用もされず現金のまま放置され、さらに管理手数料が引かれて、資産が減少する状態になっている。


〇自動移換のデメリット
◆移管時に、①特定運営管理機関手数料(3,300円)と②国民年金基金連合会手数料(1,048円)が控除され、自動移換されてから4ヵ月経過すると③管理手数料(52円/月)が資産から控除される。(年1回 3月末に年度分がまとめて資産から控除される。)
◆加入者でも運用指図者でもない「自動移換者」となり、その間は運用することができないので③の手数料が控除され資産が目減りする。
◆老齢給付金の要件を満たしても、住所不明などで年金が支給されない場合がある。
◆自動移換の状態である期間は確定拠出年金の加入者期間(通算加入者等期間)とされないため、老齢給付金の受給要件を満たせず、受給開始が遅くなる。
◆老齢・障害給付金(年金または一時金)が受け取れない(給付を受けるためにはiDeCoまたは企業型DCに資産を移換する必要がある)。

〇自動移換後の個人別管理資産の選択肢
・個人型年金に個人別管理資産を移換して、掛金を拠出して老後に受け取る年金を増やす。(移換手数料:④特定運営管理機関1,100円 ⑤国民年金基金連合会2,829円)
・個人型年金に個人別管理資産を移換して、支給開始年齢まで運用指図する。(移換手数料:④特定運営管理機関1,100円 ⑤国民年金基金連合会2,829円)
・企業型年金のある企業に再就職して、その企業の企業型年金に個人別管理資産を移換。(移換手数料:⑥特定運営管理機関1,100円)
・脱退一時金として受け取る (掛金通算拠出期間5年以下、または個人資産25万円以下など脱退一時金の受給要件を満たすことが必要。)。(裁定手数料:⑦特定運営管理機関4,180円)

〇自動移換にならないための手続き
 その資産をiDeCoまたは他の企業型DCに移換する手続き、脱退一時金の請求は、企業型DC加入者の資格を喪失した日が属する月の翌月から起算して6ヵ月以内に行わなければならない。

〇個人管理資産の移換に関する説明義務
  資格喪失(予定)者に対する個人別管理資産の移換に関する説明は、事業主の義務として規定されている。
また、資格喪失者のうち個人別管理資産の移換を行っていない者に対しては、記録関連運営管理機関等が移換に関して説明しなければならない。(確定拠出年金施行令第46条の二)

【30💪2-44 JEXER FITNESS & SPA OIMACHI ChestPressM75kg CablrCrossOver11.25kg PeckDeckFry40kg LatPullDown54kg Row47kg AbdominalM50kg SitUp BackExt.】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【メモ】育児・介護休業法改正の狙い

2024-07-19 | 書記長社労士 労務管理

〇従来の「仕事と子育ての両立支援」や「ワーク・ライフ・バランスの推進」という政策課題に加えて、さらに「共働き・共育ての推進」を掲げた意図

第1)夫婦間での家事・育児分担が女性に偏っているという課題

第2)こうした男女の役割分担や分担に関する意識の違いは、家庭内だけではなく、社会全体に存在し、当然、企業組織内にも残っているという課題
・男性に向いている仕事、女性に向いている仕事があるといった特性論やアンコンシャス・バイアスに基く、職域や仕事のアサインメントの違い
・「固定的性別役割分業意識」に基づき、仮に社内に共働き夫婦がいた場合、就業継続や活躍・キャリアにおいて、夫の側を優先するのが当然とする意識・風土・
・こうした役割分業意識や特性論を背景として、長時間労働になりやすい一方で評価を受けやすい仕事に男性が多く就き、給与や評価、昇格・昇進における男女差につながっていく状況

第3)こうした家庭と企業組織の課題は、相互に関係していて、どちらか一方だけへのアプローチでは変えることが困難だという課題
・家庭内の分担の女性への偏りによって、両立のために、企業に求める休暇や柔軟な働き方のニーズに男女の大きな差がある
・一方で、企業における男女の役割や処遇が異なること、両立支援制度の利用しやすさが男女で異なることなどが、家庭内の役割分担に影響を与える側面
⇒ 例えば、男性のまとまった休業取得には職場の理解が得られない、男性の方が職場で「重要」「他に代えが効かない」とみられる仕事をしていることによって休業取得しにくい、男性の賃金の方が高いためトータルで家計にプラスになるという判断から妻の方が育児休業を長く取得する選択になりがちな状況、テレワークが子育て社員にのみ認められている企業や女性の方が利用しやすい雰囲気のある企業で女性のみが在宅勤務をするといった状況
⇒ そのことは短期的な働き方だけではなく、女性の長期的なキャリアに影響を及ぼす

〇改正育児介護休業法(2024年5月 31 日公布)の狙い ⇒改正育児介護休業法(基本的に2025年4月1日施行)の内容、前向きな改正ではあるが、企業(特に中小企業)には負担が大きくなるかな…
◆大企業・中小企業間の差の縮小
 ⇒ 大企業では、すでに短時間勤務等の対象を就学前や学童期にまで広げている企業が少なくない
 ⇒ 中小企業では法廷義務の3歳までとする企業が多い
◆制度利用における男女間の差の縮小
 ⇒ 制度を利用する従業員は女性が多く、制度利用も短時間勤務に偏る傾向がみられる
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【メモ】治療と仕事の両立支援に活用できるサイト

2024-07-01 | 書記長社労士 労務管理
〇厚生労働省「治療と仕事の両立について」 ⇒ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115267.html
 治療と仕事の両立についての行政の情報が集約されている。
事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン、助成金の案内、労働者や事業者が利用できる支援制度・機関など

〇治療と仕事の両立支援ナビ ⇒ https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/
 事業者の方、支援を受ける働く方や、医療機関・支援機関の方にとって役立つ情報の提供を目的に作られたポータルサイト。

〇がん情報サービス ⇒ https://ganjoho.jp/public/index.html
 国立がん研究センターが運営する公式サイト。
がんの冊子 がんと仕事のQ&A(第3版)」、「はたらく世代の方へ」、「がんになっても安心して働ける職場づくりガイドブックー大企業編-」、「がんになっても安心して働ける職場づくりガイドブックー中小企業編-」など


〇両立支援コーディネーターの養成 ⇒ https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1015/Default.aspx
 将来的には、治療と仕事の両立支援体制が確立できるよう、治療就労両立支援事業の一環として、研修事業を実施し、両立支援コーディネーターの養成を図っている。

〇がん制度ドック ⇒ https://www.ganseido.com/
 「がん制度ドック」は、がん治療時に患者や家族が利用できる「公的な支援制度」や「民間の支援サービス」を検索できるウェブサービス。


〇治療サポ ⇒ https://www.chiryou-sapo.com/
 治療と仕事の両立が必要となった労働者と勤務先が本人に必要な配慮について話し合いを支援するためのシステム。

〇会社の「治療と仕事の両立支援」チェック30 ⇒ https://ryoritsu-check.work/checksheet30.html
 チェック30に回答すると、あなたの会社の “治療と仕事の両立支援” 度がわかる。 全国平均との比較や足りなかった項目へのヒントが探せる。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【言葉のメモ】SOGI

2024-06-03 | 書記長社労士 労務管理

〇 SOGI =Sexual Orientation & Gender Identity
〇 LGBT理解増進法 罰則のない理念法だが、事業主にはSOGIの多様性に関する理解を深めるための情報提供、研修の実施、普及啓発、就業環境に関する相談体制の整備などの措置を講ずることが求められる
⇒ 自民党保守派による根強い抵抗、差別解消法の成立を目指した野党との攻防、さらには当事者団体などによる「廃案にして差別禁止法を求める」とした抗議運動など、法案国会提出までの道のりは極めて難しかった
〇 ダイバーシティ推進からダイバーシティ&インクルージョン (インクルージョン「包摂」) ⇒ もっとも重要なのは、インクルーシブな環境整備 (インクルーシブ「すべてを包括する、包みこむこと」)
⇒差別解消法の改正法を経て、2024年4月1日より事業者による「合理的配慮」の提供が義務化 ⇒ ここでいう「配慮」は「気配り」や「気遣い」といった気持ちの問題ではない ⇒ 合理的配慮の原語「reasonable accommodation」=理にかなった調整や変更を図ること
〇 スピード感をもって対応することを苦手とする国の施策は「かけ声」大きく「歩幅」は小さい
〇LGBTなど性的マイノリティの人口は、左利きやAB型の割合とほぼ同じ、5~8%という。
〇 マイクロアグレッション(Microaggression 自覚なき差別) =「よくある」「ささいな」差別や攻撃 ⇒ 日常的な傷つき体験やマイノリティストレスはメンタルヘルスの悪化につながる ⇒ 「心の勤続疲労」の状態に置かれてしまうことが、一般人口の約2~7倍といわれるLGBTの自傷・自殺関連経験率の高さにつながることもある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【メモ】令和3年度仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業「労働者調査結果の概要」

2024-05-21 | 書記長社労士 労務管理
 厚生労働省の委託事業として、三菱UFJリサーチ&コンサルティングがおこなった令和3年度仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業「労働者調査結果の概要」(令和4年3月)⇒https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000988664.pdf
介護のための離職を選択した人の状況について参考になるので、ここにメモ


 6.介護離職・再就職の状況
(1)離職までの期間、離職理由
離職者について、手助・介護を始めてから、手助・介護のために仕事を辞めた時までの期間をみると、半年未満が過半数を占めており、比較的、介護を初めて短い期間で離職している人の多いことがうかがえる。
手助・介護のために仕事を辞めた理由をみると、「勤務先の問題」が、離職者全体で4割強と、他の理由よりも割合が高くなっている。


(2)離職理由となった勤務先の課題、利用したかった両立支援制度等
勤務先の問題で離職した人について、仕事を辞める理由となった勤務先の課題を具体的にみると、「勤務先に介護休業制度等の両立支援制度が整備されていなかった」が6割程度で最も割合が高く、次いで「勤務先に介護休業制度等の両立支援制度を利用しにくい雰囲気があった」が3割強~4割弱となっている。
仕事を辞める前、どのような仕事と介護の両立支援制度を利用したかったかをみると、「介護休業制度」が6割強、「介護休暇制度」が4割強となっている。


(3)両立支援制度、職場の取組への希望
勤務先の課題で離職した人について、介護休業制度がどのような制度であれば、制度を上手く活用して、仕事を続けることができたと思うかをみると、「取得1週間前でも申請できるなど、介護休業取得の申請期間がより短くても申請可能であるとよかった」の割合が高く、6割程度となっている。
どのような職場の取組があれば、仕事を続けられたと思うかをみると、「仕事と介護の両立支援制度に関する個別の周知」が5~6割程度を占めている。


(4)「手助・介護」を機に仕事を辞めたことによる変化、再就職していない理由
離職者について、家族の「手助・介護」を機に仕事を辞めて、回答者自身にどのような変化があったかをみると、「精神面」「肉体面」「経済面」とも「非常に負担が増した」「負担が増した」と回答した割合が、6~7割弱を占めている。
離職し、現在無業の人について、再就職していない理由をみると、「仕事と『手助・介護』の両立が可能な職場が見つからない」の割合が最も高くなっている。


(5)再就職までの期間、再就職した理由、働き方等の変化
離職後、再就職した人について、「手助・介護」のために仕事を辞めてから、再就職したときまでの期間をみると、半年未満が6割弱を占めており、比較的早い時期に再就職している人の多いことがうかがえる。再就職をした理由をみると、「仕事と「手助・介護」の両立が可能な職場だった」の割合が高く、働き方等の変化をみると、「残業のない職場に変わった」「勤務時間が柔軟な職場に変わった」がそれぞれ、2割を超えている。

シルバーカー シニアカー ショッピングカート スワレル AS-0275 ユーバ産業 | 買い物 カート 人気 座る 高齢者 お年寄り 年配 介護用品 便利グッズ 手押し車 買い物カート シニア ワイヤーカート 座れる 折りたたみ 折り畳み キャリーカート 歩行補助 椅子付き おしゃれ

座れるタイプのワイヤーカート
座席先端のカゴホルダーを上方向に回転させると、カゴを載せることができます
座面を上方向に90度回転させると、フタが自動的に固定され、両手で簡単に荷物の出し入れが出来ます
ブレーキレバーを手前に引くとブレーキが掛かります。グリップとブレーキレバーの間隔を考慮した設計です。
坂道などで停車させる際は、ブレーキレバーを下げると停車ブレーキが掛かります
座面に座るときは、駐車ブレーキを掛け安全にご使用ください
小物入れも装備しています
コンパクトに折り畳める設計です。自立スペースをとられずに収納できます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする