労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

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雇用保険法等の一部改正について ④教育訓練受講のための新たな融資制度 ⑤高年齢雇用継続給付 ⑥男女ともに働きながら育児を担うことができる環境の整備(職業安定分科会雇用保険部会報告の報告を受けて)

2024-01-26 | 書記長社労士 法改正 労働関係
4 教育訓練給付等について
(1)教育訓練給付金について
〇雇用形態に関わらず、職業能力の開発・向上は、労働者の雇用や職業の安定のために不可欠であるとともに、我が国経済の発展に資するものであり、今後ともその促進を図っていくことが重要である。このため、引き続き、労働者の教育訓練を実施又は支援する事業主への助成措置等を講ずるとともに、労働者の主体的な能力開発を支援していくことが必要である。特に、後者については、自ら教育訓練を実施又は支援する余力のない企業の労働者についても、企業の状況等によることなく、自らのキャリア形成のために必要な訓練が受けられるよう、環境整備を行っていくべきである。

〇 労働者の主体的な能力開発を支援するため、雇用保険制度における給付として教育訓練給付金が設けられているが、自ら教育訓練に取り組む労働者への支援を強化するため、令和6年度中に、より訓練受講の効果を高める観点で、教育訓練給付金の対象訓練の内容等に応じ、拡充を行うべきである。

〇具体的には、労働者の中長期的なキャリア形成に資する教育訓練を対象とする専門実践教育訓練給付金について、現行の資格取得等を実現した場合の追加給付に加えて、教育訓練の受講前後を比べ、賃金が一定(5%)以上上昇した場合には、現行の追加給付を受けていることを前提として、更に受講費用の10%(年間上限8万円)を追加で支給することとすべきである。このため、教育訓練給付金の給付率を最大で受講費用の80%とすべきである。

〇また、労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練を対象とする特定一般教育訓練給付金について、新たに、資格取得等した場合には、受講費用の10%(上限年間5万円)を追加で支給することとすべきである。

〇その上で、制度趣旨に沿ったより効果的な給付や講座指定の在り方の検討が可能となるよう、効果検証の手法を検討し、データ収集、分析に努め、本部会で議論を行うべきである。また、地域ごと・類型ごとに指定講座数に偏りが見られることも踏まえ、制度の周知・広報を積極的に進めるべきである。

(2)教育訓練支援給付金について
〇平成26年改正で5年間の暫定措置として講じられ、現在は令和6年度末までの暫定措置とされている教育訓練支援給付金は、専門実践教育訓練を修了した者のうちこの給付金を受給していない同じ対象年齢の者と比較して、給付金受給者の就職率や追加給付受給率は高くなっていることが確認された一方、一人当たりの支給額は平均約290万円となっており、失業者に対する基本手当の支給額の平均を大きく上回っている状況にある。
 令和4年改正においては、 コロナ禍からの経済の回復途上にあることも踏まえて3年間延長されたところであるが、引き続き、非正規雇用労働者の自発的な能力開発を支援することが必要である一方、一人当たりの支給額等も踏まえて、給付率を基本手当日額の80%から60%とした上で暫定措置を令和7年度から2年間延長すべきである。

〇その上で、教育訓練支援給付金受給者が受講する教育訓練の分野が著しく偏っている現状について、引き続きその実態の把握に努め、制度の見直しにつなげるべきである。

(3)訓練期間中の生活を支えるための新たな給付について
〇労働者の主体的な能力開発をより一層推進するためには、比較的長期間の教育訓練を受ける場合にあっても、労働者が生活費等への不安なく教育訓練に専念できるようにすることが重要である。

〇このため、労働者の就業能力を高め、雇用の安定を図ることを目的とした給付として、雇用保険被保険者が教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に、訓練受講を支援するため、新たに教育訓練休暇給付金(仮称)を支給することとし、教育訓練給付の一つとして位置づけた上で、令和7年度中に実施すべきである。その際、現行制度の下では、自らのキャリア形成のために自発的に教育訓練に専念するために離職した場合、基本手当を受給しながら教育訓練を受けることが想定されることを踏まえ、在職中に教育訓練を受けるために休業等を行う場合においても、教育訓練に専念するために自己都合により離職した場合と同視しうることから、基本手当に相当する給付を支給するという考え方に基づき、制度設計を行うこととすべきである。

〇具体的には、支給対象者としては、企業の制度を利用して、無給で、自主的に教育訓練のための休暇を取得した一般被保険者とすべきである。ただし、基本手当に相当する給付を支給することから、①休暇開始前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上ある者とし、自ら保険事故を生じさせることができるという給付の性格や、学び直しのために教育訓練を受けるための支援であるということ等を踏まえ、②被保険者であった期間が5年以上あることを求めるべきである。

〇給付額は、前述の本給付の制度設計の考え方に鑑み、基本手当と同様に賃金日額の45%~80%とし、給付日数は正当な理由なく自己都合により離職した者に対する基本手当の所定給付日数と同じ(被保険者期間に応じて90日、120日又は150日)とすべきである。また、基本手当を受給した場合の被保険者であった期間の取扱いと同様に、教育訓練休暇給付金(仮称)の受給後に離職した場合は、休暇取得前の被保険者であった期間は、基本手当の受給資格の決定や所定給付日数の算定に用いる期間から除くこととすべきである。ただし、この場合においても、労働者が失業した場合にその生活の安定を図るという雇用保険の目的を果たすために、新たな給付の受給に伴い基本手当の受給資格を満たさなくなる場合、倒産、解雇により離職した者等に限り、最低限の基本手当(所定給付日数が90日等)を支給することとすべきである。

〇また、教育訓練中の生活を支える教育訓練休暇給付金(仮称)は、基本手当に相当する給付を支給するものである、という考え方に基づき、基本手当に対して国庫による負担がなされていることも踏まえ、同様の国庫による負担を行うこととし、その負担割合は、基本手当と同様の基準を用いて、財政状況等に応じて1/4又は1/40とすべきである。

〇さらに、教育訓練休暇給付金(仮称)の創設に併せて、教育訓練休暇制度の周知や企業への導入支援など、企業の教育訓練休暇制度の普及促進にも取り組むべきである。



○ 雇用保険被保険者が教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に、賃金の一定割合を支給する教育訓練休暇給付金(仮称)を創設する。
○ 雇用保険の被保険者ではない者を対象に、教育訓練費用や生活費を対象とする融資制度を創設する。
<施行期日>2025(令和7)年10月


(4)教育訓練受講のための新たな融資制度について
〇個々の労働者が生活費等への不安なく、学び直しのために教育訓練に取り組むことができるようにする必要性は、雇用保険の被保険者ではない者でも同様である。このため、令和7年度中に、これらの者が、自らが選択した教育訓練を受けるに当たって必要な費用について融資を受けられる制度を設けるべきである。

〇具体的には、雇用保険被保険者や受給資格者ではない者(雇用保険の適用がない雇用労働者や離職者、雇用保険の受給が終了した離職者、雇用されることを目指すフリーランス等など)であって、一定年数(3年)以上就業したことがあるものを対象に、自らが受ける教育訓練に関してその受講費用と訓練期間中の生活費用を対象に融資を行うものとすべきである。

〇多様な教育訓練を対象としつつ、制度の趣旨を踏まえた適切な利用が行われるよう、融資の対象となる教育訓練の範囲をあらかじめ設定するとともに、より教育訓練の効果を高めるためのインセンティブとして、訓練受講後に賃金が上昇した場合に一定額の返済を免除する措置を設けるべきである。

〇また、この融資制度は、雇用保険被保険者ではない者を対象として、その就職を促進し、もってこれらの者の職業及び生活の安定に資するものとして、求職者支援制度に基づく事業(財源は、労使が拠出する保険料と国庫負担(原則1/2。当分の間は原則的な負担割合の55% ))として実施すべきである。

5 高年齢雇用継続給付について
〇高年齢雇用継続給付は、65歳までの雇用の継続を援助、促進することを目的に平成6年に創設されたが、高齢者雇用の動向等を踏まえ、これまで当部会において累次の議論がなされ、その議論を踏まえ、令和2年の雇用保険法改正において給付率を各月の賃金の15%から10%に引き下げることとされ、令和7年4月から施行することとされている。

〇まずは、改めて十分な周知等を行い、円滑な施行を図るべきである。その上で、令和元年12月25日の雇用保険部会報告書にあるように、高年齢雇用継続給付の在り方については、その施行の状況等も見つつ、廃止も含め、引き続き検討を行うべきである。


○ 子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額を給付し、育児休業給付とあわせて給付率80%(手取りで10割相当)へと引き上げることとする。
※ 配偶者が専業主婦の場合や、ひとり親家庭の場合などには、配偶者の育児休業の取得を求めずに給付率を引き上げる。
<財源>子ども・子育て支援金(仮称)を充当<施行期日>2025(令和7)年4月


6 男女ともに働きながら育児を担うことができる環境の整備について
(1)育児休業給付の給付率引上げについて
〇少子化対策の観点からは、若者世代が、希望どおり、結婚、妊娠・出産、子育てを選択できるようにしていくため、両親ともに働き、育児を行う「共働き・共育て」を推進する必要があり、特に男性の育児休業取得の更なる促進が求められる。また、両親ともに育児休業を取得することを促進することは、片方の親に育児の負担が偏る結果として雇用の継続が困難になるような状況になることを防ぎ、もって労働者の雇用と生活の安定にも資するものである。

〇ただし、少子化対策という要素が強い施策を追加で実施する場合には、これに要する財源については、雇用保険料以外の財源によりまかなうべきである。

〇こうした認識に立った上で、両親ともに育児休業を取得することを促進するため、令和7年度から、子の出生後一定期間内に、被保険者とその配偶者がともに一定期間以上の育児休業を取得した場合には、産後パパ育休期間と同じ期間である28日間を限度に、休業開始前賃金の80%相当額の給付を支給するようにすべきである。

〇具体的には、育児需要が高い、子の出生直後の一定期間(具体的には、男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、14日以上の育児休業を取得する場合に、28日間を限度に、休業開始前賃金の13%相当額を出生後休業支援給付金(仮称)として給付することとし、既存の育児休業給付(給付率67%)と併せて休業開始前賃金の80%相当額の給付とすべきである。

〇また、原則として被保険者とその配偶者の両者が育児休業(産後パパ育休を含む。)を取得していることを要件とし、配偶者がいない場合や、配偶者が雇用労働者以外の働き方で就業している場合など、配偶者が育児休業を取得することができない場合や、配偶者が産後休業を取得している場合は、配偶者の育児休業の取得を要件としない取扱いとすべきである。

〇また、出生後休業支援給付金(仮称)に要する財源については、前述の通り、その目的等を踏まえ、雇用保険料以外の財源から拠出されるようにすべきである。

〇なお、男性の育児休業取得が実質を伴ったものとなるよう、育児休業給付の給付率引上げの実施と併せて、男女がともに育児を担うことの重要性や共働き・共育ての意義が広く認識されるような取組も求められる。


○ 被保険者が、2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合の新たな給付として、育児時短就業給付(仮称)を創設。
○ 給付率については、休業よりも時短勤務を、時短勤務よりも従前の所定労働時間で勤務することを推進する観点から、時短勤務中に支払われた賃金額の10%とする。
<財源>子ども・子育て支援金(仮称)を充当<施行期日>2025(令和7)年4月


(2)育児時短就業給付(仮称)について
〇「共働き・共育て」の推進や、片方の親に育児の負担が偏る結果として雇用の継続が困難になるような状況を防ぐこととともに、子の出生・育児休業後の労働者が従前の勤務水準に早期復帰することで育児とキャリア形成の両立を支援し、もって雇用の継続を図る観点からは、柔軟な働き方として、時短勤務制度を選択できるようにすることが求められる。

〇このため、育児休業給付とは別に、被保険者が2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合の新たな給付として、令和7年度から、育児時短就業給付(仮称)を創設することとすべきである。

〇具体的には、現行の育児休業給付と同様、時短勤務開始日前2年間にみなし被保険者期間(時短勤務開始日を被保険者でなくなった日とみなして計算される被保険者期間に相当する期間)が12箇月以上ある被保険者を対象者とし、また、2歳未満の子を養育する場合に給付することとすべきである。さらに、給付対象となる時短勤務の労働時間又は労働する日数について、制限は設けないこととすべきである。

〇また、給付率については、時短勤務中の各月に支払われた賃金額の10%とし、その上で、高年齢雇用継続給付と同様に、給付額と賃金額の合計が時短勤務開始前の賃金を超えないよう、一定の賃金額を超えた場合には給付率を逓減させることとすべきである。

〇併せて、この給付の創設に伴い、雇用保険法の目的規定において、労働者について子を養育することを容易にするために所定労働時間を短縮した場合に必要な給付を行う旨を明確にすべきである。

〇また、出生後休業支援給付金(仮称)と同様、その目的等に鑑み、育児時短就業給付(仮称)は、雇用保険料以外の財源から拠出されるようにすべきである。

〇加えて、育児休業の取得や時短勤務制度の選択を推進することに併せて、職員の追加配置や、業務の効率化等の体制整備を行う中小企業への支援の充実等を通じて、より一層、職場における両立支援の取組を推進していくべきである。
 なお、労働者代表委員からは、育児休業給付の給付率引上げや育児時短就業給付(仮称)の創設が、労働者間の分断をもたらすことや、受給者のキャリア形成を阻害することを懸念するとの意見や、これらの措置は時限措置として行うべきであるとの意見があった。

7 財政運営について
8 その他


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雇用保険法等の一部改正について ①雇用保険制度の適用拡大 ②基本手当 ③就職促進給付(職業安定分科会雇用保険部会報告の報告を受けて)

2024-01-24 | 書記長社労士 法改正 労働関係
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○ 雇用保険の適用対象を週の所定労働時間が10時間以上の労働者まで拡大。(R4年度末時点の被保険者数は約4,457万人)
※ 給付は別基準とするのではなく、現行の被保険者と同様に、基本手当、教育訓練給付、育児休業給付等を支給。
<施行期日>2028(令和10)年10月


1 雇用保険制度の適用拡大について
〇現在、週の所定労働時間が20時間以上の雇用労働者を適用対象としている雇用保険制度について、雇用労働者の中で働き方や生計維持の在り方の多様化が進展していることを踏まえ、雇用のセーフティネットを拡げる観点から、週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の労働者にも適用することとし、事業主の準備期間等を勘案して、2028(令和10)年度中に施行することとすべきである。
 施行に向けては、雇用保険制度適用の意義や重要性、メリット等について十分な理解を得られるよう、労使双方に対して丁寧な周知を行うべきである。また、新たに雇用保険制度の適用対象となる労働者のより安定的な就業が促されるよう、能力開発や雇用管理改善等に取り組む事業主への支援を行うとともに、中小企業の事業主をはじめとして追加的な事務負担が生じることを踏まえ、事業主の負担軽減に資する申請手続きの簡素化やオンライン化を一層進めるなど、受給資格者の増加に対応すべく業務効率化等を着実に進めるべきである。

〇新たに適用拡大により被保険者となる者は、適用要件を満たした場合、現行の被保険者と同様に、失業等給付(基本手当等、教育訓練給付等)、育児休業給付、雇用保険二事業の対象とすることとし、給付水準も同じ考え方に基づき設定すべきである。現行の被保険者と同様の給付等の仕組みとすることを踏まえ、保険料率、国庫負担割合についても現行の被保険者と同等の水準として設定すべきである。

〇また、適用範囲の拡大後の基本手当の支給等に関する基準等については、基本的には現行の取扱いとその考え方を維持しつつ、従来の週の所定労働時間が20時間以上という適用基準が、その半分の10時間以上となることを踏まえて、以下のとおり、必要な見直しを行うべきである。

① 被保険者期間の算定基準 基本手当をはじめとする失業等給付の受給資格の判定の基礎となる被保険者期間については、現行のとおり、離職日から2年間に被保険者期間が12箇月以上(特定受給資格者又は特定理由離職者の場合は、1年間に6箇月以上)とすべきである。その上で、1箇月として被保険者期間に算入されるための基準について、現行の「離職日から1箇月ごとに区切っていった期間に賃金の支払の基礎となった日数が11日以上又は賃金の支払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある場合」を、「離職日から1箇月ごとに区切っていった期間に賃金の支払の基礎となった日数が6日以上又は賃金の支払の基礎となった労働時間数が40時間以上ある場合」へと見直すべきである。

② 失業認定基準及び自己の労働により収入がある場合の取扱い 基本手当の支給に当たっては、受給資格者が失業状態にあることの確認(失業認定)をするため、4週間に一度公共職業安定所に来所を求め、過去28日間の各日に就業していたか否かを申告させているが、その日の労働時間が4時間(週20時間相当)以上であるか否かを基準として、原則として、労働した日のうち、労働時間が4時間以上の日については失業認定を行わず、4時間未満の日については、自己の労働によって得た収入額に応じて減額した上で基本手当を支給することとしている。
今般の適用範囲の拡大に併せ、この失業認定の基準となる労働時間を、1日当たり2時間(週10時間相当)とすべきである。
 また、現行の減額の仕組みを維持した場合、適用拡大後は、1日2時間未満の労働によって得た収入に基づき調整を行うこととなるが、2時間未満の労働で得られる収入は一般的には少額であることも踏まえ、簡素化等の観点からこれを廃止すべきである。

③ 賃金日額の法定の下限額、最低賃金日額 現在、法律で定められている賃金日額の下限額は、週所定労働時間20時間以上という現行の適用基準が労働基準法(昭和22年法律第49号)の法定労働時間(40時間)の2分の1であることを踏まえ、下方の屈折点(給付率が80%から逓減し始める点)の額の2分の1とされているが、今般の適用範囲の拡大の施行に合わせて、下方の屈折点の額の4分の1(週所定労働時間10時間が法定労働時間週40時間の4分の1であるため)とすべきである。また、雇用保険法(昭和49年法律第116号)第18条に基づき毎年賃金日額の範囲等を変更する際に比較する最低賃金日額(現在は、最低賃金(全国加重平均)で週20時間労働した場合を基礎として設定)についても、最低賃金(全国加重平均)で週10時間労働した場合を基礎として設定するよう見直すべきである。

〇複数の事業所で雇用されている労働者(マルチジョブホルダー)への雇用保険の適用については、現行では、複数の事業主との間で雇用保険の適用基準を満たす場合には、主たる賃金を受ける一の雇用関係についてのみ被保険者とすることとされている。適用の範囲を週所定労働時間10時間以上に拡大することに伴い、複数の雇用主との関係で被保険者要件を満たすケースが増加することが想定されることから、現場における取扱いに混乱が生じることのないよう、例えば賃金日額の高い方の事業所を主たる事業所とするなど、判断に当たっての基本的な考え方を施行までに明確化し、周知すべきである。

〇また、令和2年の雇用保険法改正により、65歳以上の労働者を対象に、2つの事業所での週所定労働時間がそれぞれ20時間未満であって合算して20時間以上となる場合に本人の申出を起点として雇用保険を適用する仕組みが設けられ、令和4年1月から施行されており、施行後5年を目途として検討を加えることとされていることから、給付の支給状況等この仕組みの実施状況の把握と検証を行い、マルチジョブホルダーへの雇用保険の適用の在り方等について引き続き検討すべきである。
 この点について、労働者代表委員からは、その検討の際には、雇用保険において「失業状態」をどのように捉えるかについても合わせて検討する必要があるとの意見があった。
 なお、週所定労働時間10時間以上で雇用保険が適用されることとなることにあわせて、この65歳以上の労働者の適用の特例についても週所定労働時間の基準を見直すとともに、適用拡大の施行前にこの特例の適用を受け始めた労働者が不利とならないよう、所要の経過措置を設けるべきである。

〇さらに、雇用保険制度の適用範囲の拡大に伴い、結果として、雇用保険制度の対象とならない者を対象とする求職者支援制度でカバーされていた者の一部が同制度の対象者から外れることとなるが、第二のセーフティネットである求職者支援制度の果たすべき役割・機能を踏まえて、所要の措置を講ずるべきである。

〇なお、労働者代表委員からは、当分の間、任意適用事業とされている農林水産業の個人事業で常時5人未満の労働者を雇用する事業について、暫定任意適用事業の撤廃を含めて検討を行うべきとの意見があった。


○ 原則の給付制限期間を2ヶ月から1ヶ月へ短縮する。ただし、5年間で3回以上の正当な理由のない自己都合離職の場合には給付制限期間を3ヶ月とする。
○ 離職期間中や離職日前1年以内に、自ら雇用の安定及び就職の促進に資する教育訓練を行った場合には、給付制限を解除。
<施行期日>2025(令和7)年4月


2 基本手当について
(1)自己都合離職者の給付制限期間等について
〇正当な理由がなく自己の都合により離職する者に対する基本手当の給付制限については、令和2年10月からその期間を3箇月から2箇月へ短縮しているところであるが、転職を試みる労働者が安心して再就職活動を行えるようにするため、令和7年度から、さらに1箇月へと短縮すべきである。その際、給付を目的とした早期退職行動を誘発しないよう、現行の5年間で3回以上の正当な理由のない自己都合離職の場合には給付制限期間を3箇月とする取扱いは維持すべきである。

〇また、自ら教育訓練を行って再就職を目指す労働者が円滑に求職活動を行えるよう、離職期間中や、離職日から遡って一年の期間内に、自ら雇用の安定及び就職の促進に資する教育訓練を行った場合には、令和7年度から、給付制限を解除して基本手当を受けられることとすべきである。

〇なお、基本手当の給付水準(給付率や給付日数等)については、基本手当受給者の再就職状況等に大きな変化が見られないこと等から、現時点で改正を行うこととはしないこととすべきである。
 この点に関し、労働者代表委員からは、セーフティネットの充実という観点に鑑み、給付水準を平成12年の雇用保険法改正前の水準に戻すことを検討することが必要であるという意見があった。


○ 雇止めによる離職者の基本手当の給付日数に係る特例、地域延長給付を2年間延長する。
○ 教育訓練支援給付金の給付率を基本手当の60%とした上で、2年間延長する。
※ そのほか介護休業給付に係る国庫負担割合を1/80(本則:1/8)とする暫定措置を2年間延長する。
<施行期日>2025(令和7)年4月


(2)令和6年度末で期限が到来する暫定措置について
〇リーマンショック時に講じられた措置に端を発する、雇止めによる離職者について所定給付日数を特定受給資格者並みの水準とする措置等と、雇用情勢が悪い地域に居住し、かつ、重点的に再就職の支援が必要であると公共職業安定所長が認めた特定受給資格者等に対する所定給付日数を延長する措置(地域延長給付)は、いずれも時限の暫定措置とされており、累次の延長を経て現在は令和6年度末までの措置とされている。

〇このうち、雇止めによる離職者について所定給付日数を特定受給資格者並みの水準とする措置等については、暫定措置の対象者の基本手当支給終了までの就職割合が、特定受給資格者全体と比べて低くなっており、その要因に関する更なる分析及びその分析のための支給状況等の検証を行うこととし、当該措置については令和7年度から2年間延長すべきである。
 この点に関し、労働者代表委員からは、この暫定措置の対象者の再就職の状況は変化しておらず、取り巻く環境も大きくは改善していないことから、恒久化も含めて検討すべきとの意見があった。

〇また、地域延長給付については、対象地域が固定化しつつあり、対象者もわずかとなっている。地域によって産業構造や経済情勢が様々である中、地域ごとに生じる雇用の変化への臨機応変な対応が求められる一方で、地域ごとの雇用失業情勢の悪化に対しては、地方自治体による取組も含めた産業政策や雇用機会の開発を進めるとともに、広域での就職支援により対処していることや、他の延長給付により災害や個別の事情に配慮して所定給付日数を延長することが可能であることも踏まえ、その必要性も含め、地域延長給付の在り方に関する更なる検証を行うこととし、当該措置については令和7年度から2年間延長すべきである。
 この点に関し、使用者代表委員からは、今後の検証の際には、廃止も含め検討すべきであるとの意見があった。

(3)その他
〇雇用保険法第18条に基づく賃金日額の上限額等の改定等に当たって用いる、毎月勤労統計調査を基礎として算定する平均給与額の前年度からの上昇又は低下の率について、分かりやすさ等の観点から、公的年金制度の改定に用いられている数値や毎月勤労統計調査で公表されている数値の取扱いを参考に、令和6年度から見直すべきである。


○ 就業手当を廃止するとともに、就業促進定着手当の上限を支給残日数の20%に引き下げる。
<施行期日>2025(令和7)年4月


3 就職促進給付について
(1)就業手当について
〇就業手当は、求職活動中に短期間就労することは、受給者の労働習慣が維持され、求職活動への意欲や再就職先への適応力の向上に効果があることから、基本手当の受給資格者が安定した職業以外の職業に就いた場合に基本手当の3割相当額を支給するものとして平成15年改正により創設された給付である。しかしながら、受給者数が極めて少数であり、さらに減少傾向にあることや、我が国が直面する人手不足の状況下においては安定した職業への就職を促進していくことが求められることを踏まえ、令和7年度から廃止すべきである。

(2)就業促進定着手当について
〇就業促進定着手当は、再就職後賃金が離職時賃金より低下する者を対象として、再就職6箇月後に離職時賃金と再就職後賃金との差額の6月分を一時金として追加的に給付することにより、賃金低下による再就職意欲の低下を緩和し、早期再就職を更に促すとともに職場への定着を促すことを目的として平成26年改正により創設された給付である。人手不足の状況が今後も一層深刻化することが見込まれる中、賃金の低下が見込まれる再就職にインセンティブを設ける必要性が薄れている一方で、早期再就職を行った者への支援として一定の役割を果たしていることを踏まえ、制度は継続した上で、令和7年度から、その上限(現在は、再就職時の基本手当支給残日数に応じてその40%相当額又は30%相当額)を、一律、基本手当支給残日数の20%相当額とすべきである。


○ 専門実践教育訓練給付金(中長期的キャリア形成に資する専門的・実践的な教育訓練講座を対象)について、教育訓練の受講後に賃金が上昇した場合には、現行の追加給付に加えて、更に受講費用の10%(合計80%)を追加で支給する。
○ 特定一般教育訓練給付金(速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練講座を対象)について、資格取得し、就職等した場合には、受講費用の10%(合計50%)を追加で支給する。
<施行期日>2024(令和6)年10月



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【整理】「時間外労働の上限規制と適用猶予事業・業務について」と「働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)」

2023-07-06 | 書記長社労士 法改正 労働関係
 労働時間は原則1週40時間、1日8時間(法定労働時間)以内の必要があると労働基準法で定められている。
これを超えて働く時間(残業時間)の上限について、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律により改正された労働基準法により、以下の通り定められている。(2019年4月(中小企業では2020年4月)から適用)
〇原則として月45時間、年360時間(限度時間)以内
〇臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間以内(休日労働含む)、限度時間を超えて時間外労働を延長できるのは年6ヶ月が限度

 一方で、以下の事業・業務については、長時間労働の背景に、業務の特性や取引慣行の課題があることから、時間外労働の上限について適用が5年間猶予され、また、一部特例つきで適用されることとされている。
【適用猶予事業・業務】
工作物の建設の事業、自動車運転の業務、医業に従事する医師、鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業


◇工作物の建設の事業
(2024年4月以降の上限規制)
○2024年4月以降、建設業では、災害時における復旧及び復興の事業を除き、時間外労働の上限規制が原則通りに適用される。
○災害時における復旧及び復興の事業には、時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内とする規制は適用されない。

◇自動車運転の業務
(2024年4月以降の上限規制)
○2024年4月以降、自動車運転者は、特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が年960時間となる。
○一般の労働者と異なり、時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内とする規制及び、時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヶ月までとする規制は適用されない。
※自動車運転の業務に従事する労働者は、別途、運転時間や勤務間インターバルについて定めた「改善基準告示」を遵守する必要がある。
 令和6年4月1日以降の内容  自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第7号)
 通達 令和4年12月23日付け基発1223第3号「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正等について」
 Q&A 令和5年3月31日付け基発0331第49号「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正による改正後の解釈等について」

◇医業に従事する医師
(2024年4月以降の上限規制)
2024年4月以降、医業に従事する医師には、以下の上限規制が適用される。
○特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外・休日労働の上限が最大1860時間(※)となる。
○時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内とする規制は適用されない。
○時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヶ月までとする規制は適用されない。
○医療法等に追加的健康確保措置に関する定めがある。
※医業に従事する医師の一般的な上限時間(休日労働含む)は年960時間/月100時間未満(例外的につき100時間未満の上限が適用されない場合がある)。地域医療確保暫定特例水準(B・連携B水準)又は集中的技能向上水準(C水準)の対象の医師の上限時間(休日労働含む)は年1,860時間/月100時間未満(例外的に月100時間未満の上限が適用されない場合がある)。

◇鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業
(2024年4月以降の上限規制)
2024年4月以降、鹿児島県・沖縄県における砂糖を製造する事業では、時間外労働の上限規制が原則通りに適用される。
(適用猶予期間であっても、時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、複数月平均80時間以内とする規制以外は適用される。)


働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)➡https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120692_00001.html

【概要】
 2024年4月1日から、建設業、運送業、病院等、砂糖製造業といった、適用猶予業種等へ時間外労働の上限規制が適用される。
このコースは、生産性を向上させ、時間外労働の削減、週休2日制の推進、勤務間インターバル制度の導入や医師の働き方改革推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主の皆さまを支援する。

【支給対象となる事業主】
 支給対象となる事業主は、次のいずれにも該当する中小企業事業主。
(1)労働者災害補償保険の適用事業主であること。
(2)交付申請時点で、「成果目標」1から4の設定に向けた条件を満たしていること。
(3)全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。
(4)以下のいずれかに該当する中小企業事業主であること。
常時使用する労働者数が300人以下もしくは資本金または出資額が3億円以下(病院等については5,000万円以下)の、建設業、運送業 病院等 砂糖製造業

【締め切り】
 申請の受付は2023年11月30日(木)まで(必着)。
(なお、支給対象事業主数は国の予算額に制約されるため、11月30日以前に受付を締め切る場合がある。)

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「私鉄文化」に改正される自動車運転者の労働時間等の改善基準告示について寄稿した

2023-05-10 | 書記長社労士 法改正 労働関係

改善基準告示とは
 自動車運転者について、労働時間等の労働条件の向上を図るため、その業務の特性を踏まえ、すべての産業に適用される労働基準法では規制が難しい拘束時間(始業から終業までの時間(休憩時間を含む))、休息期間(勤務と勤務の間の自由な時間)、運転時間等を「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示、以下「告示」)」として定め、改善をはかってきた。2019年には、「働き方改革関連法」により労働基準法が改正され、罰則付きの時間外労働上限規制が施行されたが、自動車運転者については、上限規制の適用が5年間猶予されたことに伴い、改善基準告示の見直しについては、2022年12月23日付けで改正され、2024年4月1日から改正内容が適用されることとなる。

経過
 昭和30年代、車社会の進展に伴い、自動車運送事業による重大事故の増加が社会問題となり、自動車運転者の労働時間等の労働条件を改善し、交通事故の激増に対処するため、労働基準法に加えて、1967年に「2・9通達」という規則が定められ監督指導が行われた。その後、昭和50年代に一般道や高速道路が整備されると、自動車輸送のシェアはさらに拡大。自動車運送事業による重大事故が増加したことや、国際的にも路面運送における労働時間・休息期間に関するILO条約が採択されたことなどが背景となり、1979年に「27通達」として改正。1989年には、労働時間短縮という時代の流れにともない「改善基準告示」として通達から告示に格上げされることになった。その後、法定労働時間が週48時間から週40時間に短縮される労働基準法の改正の際に、告示について大幅な見直しが行われたが、今回の改正は1997年以来の大幅な改正となる。

重要視する観点
 今回の改正に向けて、厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会に「自動車運転者労働時間等専門委員会」が設置され、さらにハイヤー・タクシー、バス、トラックについてそれぞれ作業部会を設置、私鉄総連からも、ハイタクとバスに労働者側委員として参画し、改正内容について精力的に議論してきた。今回、改正するにあたっては、自動車運転者については2024年4月以降、年960時間の時間外労働上限規制が適用されること、脳・心臓疾患による労災支給決定件数において「運輸業・郵便業」が全業種において最も多い業種であること、脳・心臓疾患に係る労災認定基準の2021年改正で「勤務間インターバルが短い勤務」についても評価対象に加えられたこと、などを念頭に置き議論を行ってきた。また、自動車運転者の過重労働を防ぐことは、労働者自身の健康確保のみならず、国民の安全確保の観点からも重要な要素であることは言うまでもない。


改正ポイント
Point 1 拘束時間
 拘束時間とは、労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む)の合計時間、すなわち、始業時間から終業時間までの使用者に拘束されているすべての時間をいう。タクシー運転者の日勤勤務者の1カ月の拘束時間は、過労死等の防止の観点から、月80時間の時間外労働を前提とした275時間の拘束時間に、月1回の休日労働として1日13時間の拘束時間を加えた「288時間」を超えないものとした。隔日勤務(始業及び終業の日が同一の日に属さない業務)は現行どおり「262時間」とした。バス運転者は、原則として、1カ月の拘束時間が「281時間」を超えず、かつ1年の拘束時間が「3300時間」を超えないものとした。旧告示では、4週間を平均して1週間当たり「65時間」と定めてきたが、賃金等の労務管理を1カ月単位で実施する事業主もあることから、いずれかを選択することが出来るように見直した。月「281時間」は4週平均1週の「65時間」と同水準であり、1年の拘束時間「3300時間」は、過労死等の防止の観点から、月80時間の時間外労働を前提とした275時間の拘束時間に12カ月を乗じたものである。
 タクシーの日勤勤務者、バスについての1日の拘束時間は、「13時間」を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、1日の拘束時間の限度は「15時間」とした。使用者は14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努めるとし、通達において1週間に3回以内を目安とした。この場合、14時間を超える日が連続することは望ましくないともした。
 タクシーの隔日勤務者の2歴日の拘束時間は「22時間を超えないもの」とし、かつ2回の隔日勤務を平均し隔日勤務1回当たり21時間を超えないものとした。これは旧告示と同水準に抑えつつ、突発的な顧客需要や交通事情等に柔軟に対応する観点から見直しを行った。

Point1 2 休息期間
 休息期間とは、勤務と次の勤務との間にあって、使用者の拘束を受けない時間をいう。休息期間の直前の拘束時間の疲労回復を図る時間であり、睡眠時間を含む労働者の生活時間として、その時間の使い方は労働者のまったく自由な判断に委ねられる時間である。
 タクシーの日勤勤務者、バス運転者の休息期間は、勤務終了後、「継続十一時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続九時間を下回らないもの」とした。旧告示では「継続八時間以上」とされていたが、十分な休息期間の確保が重要であり、また、脳・心臓疾患の労災認定基準で過重業務の判断にあたって勤務間インターバルがおおむね十一時間未満の勤務の有無等について検討評価することとされていることを踏まえ、「継続十一時間以上」与えるよう努めることが原則であることとし、下限を一時間延長し「九時間」とした。したがって、単に下限九時間を遵守することにとどまらず、十一時間以上の休息期間が確保されるよう取り組むことが要請される。
 タクシーの隔日勤務者の休息期間は、勤務終了後、「継続二十四時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続二十二時間を下回らないもの」とした。旧告示では「継続二十時間以上」とされていたが、前述の休息期間の重要性に加え、隔日勤務は二労働日の勤務を一勤務にまとめて行うため運転者の身体的負担を伴うものであることを踏まえ、「継続二十四時間以上」与えるよう努めることが原則であることとし、下限を二時間延長し「二十二時間」とした。

Point1 3 予期しない事象への対応時間の取扱い
 運転者が、災害や事故等の通常予期し得ない事象に遭遇し、運行が遅延した場合において、その対応に要した時間についての拘束時間等の例外的な取扱いを新たに定めた。これによって、一日の拘束時間、運転時間(二日平均)及び連続運転時間の規定の適用に当たっては、予期し得ない事象への対応時間を、これらの時間から除くことができるが、この場合、勤務終了後、通常どおりの休息期間は与えなければならないとした。また、この例外的な取扱いは、一カ月の拘束時間等、告示の他の規定の適用に当たっては、その対応時間を除くことができないとした。

Point1 4 その他
 バスの休息期間の分割の特例については、業務の必要上、勤務終了後に継続九時間以上の休息期間を与えることが困難な場合、当分の間、一定期間(一カ月を限度とする)における全勤務回数の二分の一を限度に、休息期間を拘束時間の途中および拘束時間の経過後に与えることができ、この場合において、分割された休息期間は、一日において一回当たり「継続四時間以上」、「合計十一時間以上」とすることとした。さらに、分割休息は本来好ましくないという観点から、旧告示では三分割が認められていたが、新告示においては二分割のみとし、三分割以上の分割は認められないこととした。
 バスの運転時間について、運転時間を延長することができる対象に「乗合バスに乗務する者(一時的な需要に応じて追加的に運行を行う営業所において運転業務に従事する者に限る)」を追加した。
 連続運転時間について、「高速バスおよび貸切バスの交替運転者の配置基準」の内容を踏まえ、新たに「高速バスの運転者および貸切バスに乗務する者が高速道路等を運行する場合における連続運転時間は「おおむね二時間」までとするよう努めることとした。また、交通の円滑を図るための軽微な移動を行う必要が生じた場合、一の連続運転当たり「三十分」を上限として、連続運転時間から除くことができることとした。


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【メモ】障害者雇用率は2.7%に(令和8年(2025年)7月から)

2023-04-28 | 書記長社労士 法改正 労働関係

1.新たな雇用率の設定について
▶令和5年度からの障害者雇用率は、2.7%とする。
 ただし、雇入れに係る計画的な対応が可能となるよう、令和5年度においては2.3 %で据え置き、令和6年度から2.5%、令和8年度から2.7%と段階的に引き上げることとする。
▶国及び地方公共団体等については、3.0%(教育委員会は2.9%)とする。段階的な引上げに係る対応は民間事業主と同様とする。


※障害者雇用率の引き上げにより、障害者を一人以上雇用する義務が生じるのは、令和6年(2024年)4月以降が40人以上、令和8年(2026年)7月以降が37.5人以上の労働者を雇用する企業となる。
※自社の法定雇用障害者数(障害者の雇用義務数)=(常用労働者数+短時間労働者数×0.5)×障害者雇用率
(小数点以下の端数は切り捨て)


2.除外率の引下げ時期について
▶除外率を10ポイント引き下げる時期について は、昨年6月にとりまとめられた障害者雇用分科会の意見書も踏まえ、 雇用率の引上げの施行と重ならないよう、令和7年4月とする。



1 障害者雇用促進法では、障害者の職業の安定のため、法定雇用率を設定している。
2 一方、機械的に一律の雇用率を適用することになじまない性質の職務もあることから、障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種について、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除する制度(障害者の雇用義務を軽減)を設けていた。
 除外率は、それぞれの業種における障害者の就業が一般的に困難であると認められる職務の割合に応じて決められていた。
3 この除外率制度は、ノーマライゼーションの観点から、平成14年法改正により、平成16年4月に廃止した。
 経過措置として、当分の間、除外率設定業種ごとに除外率を設定するとともに、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げ、縮小することとされている(法律附則)。


3.障害者雇用における障害者の算定方法が変更となる。
▶精神障害者の算定特例の延長(令和5年4月以降)。⇦※の部分
 週所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者について、当分の間、雇用率上、雇入れからの期間等に関係なく、1カウントとして算定できるようになる。
▶一部の週所定労働時間20時間未満の方の雇用率への算定(令和6年4月以降)。
 週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者及び重度知的障害者について、雇用率上、0.5カウントとして算定できるようになる。



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【お勧めしているわけではないが…のメモ】資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について

2023-03-30 | 書記長社労士 法改正 労働関係
デジタル給与、ペイペイが参入 政府解禁、4月上旬に申請へ」 2023年3月27日 19時41分 (共同通信)
 スマートフォン決済アプリのPayPay(ペイペイ)が、給与をデジタルマネーで支払う「デジタル給与」事業に参入する方針を固めたことが27日、分かった。政府が2023年度に解禁するのに合わせ、4月上旬にも厚生労働相の指定を申請する。キャッシュレス化が進展する中、アプリの使い勝手を良くすることで利用客の囲い込みを図る狙い。
 政府は成長戦略でキャッシュレス決済の普及を目指しており、デジタル給与の解禁はその一環。企業がデジタル給与を導入するには従業員側と労使協定を結び、各従業員の同意を個別に得る必要があり、どの程度導入が進むかが注目される。


 賃金の支払方法については、通貨のほか、労働者の同意を得た場合には、銀行その他の金融機関の預金又は貯金の口座への振込み等によることができることとされているが、キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用するニーズも一定程度見られることも踏まえるとして、使用者が、労働者の同意を得た場合に、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払(いわゆる賃金のデジタル払い)ができることとなった。
ただし、現金化できないポイントや仮想通貨での賃金支払は認められない点に注意。⇒厚生労働省 資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について


〇資金移動業者の口座へ賃金支払の制度の概要(骨子)
(1)使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について(2)の方法によることができるものとする。
 ※銀行口座への振込、一定の要件を満たす証券総合口座への払込は、引き続き可能。
 ※資金移動業者の口座への賃金支払について、使用者が労働者に強制しないことが前提。
(2)次の①~⑦の全ての要件を満たすものとして、厚生労働大臣が指定する資金移動業者の口座への資金移動
(指定の要件)
①破産等により資金移動業者の債務の履行が困難となったときに、労働者に対して負担する債務を速やかに労働者に保証する仕組みを有していること 。
②口座残高上限額を100万円以下に設定又は100万円を超えた場合でも速やかに100万円以下にするための措置を講じていること。
 ※口座残高100万円超の場合に資金を滞留させない体制整備が資金決済法に基づき資金移動業者に求められていることや、①の資金保全スキームにおいて速やかに労働者に保証できる額は最大100万円と想定していることを踏まえ、破綻時にも口座残高が全額保証されることを担保するための要件。
③労働者に対して負担する債務について、当該労働者の意に反する不正な為替取引その他の当該労働者の責めに帰すことができない理由により当該労働者に損失が生じたときに、当該損失を補償する仕組みを有していること。
④最後に口座残高が変動した日から少なくとも10年は口座残高が有効であること。
⑤現金自動支払機(ATM)を利用すること等により口座への資金移動に係る額(1円単位)の 受取ができ、かつ、少なくとも毎月1回 は手数料を負担することなく受取ができること。また、口座への資金移動が1円単位でできること。
⑥賃金 の支払に関する業務の実施状況及び財務状況を適時に厚生労働大臣に報告できる体制を有すること 。
⑦① ~⑥のほか、賃金の支払に関する業務を適正かつ確実に行うことができる技術的能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。
(3)厚生労働大臣の指定を受けようとする資金移動業者は、①~⑦の要件を満たすことを示す申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。厚生労働大臣は、指定を受けた資金移動業者(指定資金移動業者)が①~⑦の要件を満たさなくなった場合には、指定を取り消すことができる。

〇いつから賃金のデジタル払いが可能になるのか。
❶2023年(令和5年)4月1日から、資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請を行う。
❷申請を受け付けた後、厚生労働省で審査を行い、基準を満たしている場合にはその事業者を指定。この審査には、数か月かかることが見込まれる。
❸その後、各事業場で、賃金のデジタル払いを行う場合には、利用する指定資金移動業者などを内容とする労使協定を締結する。
❹その上で、労働者は賃金のデジタル払いの留意事項を説明を聞き、理解した上で、賃金のデジタル払いを希望する場合には、使用者に同意書を提出することが必要。この同意書に記載する支払開始希望時期以降、賃金を資金移動業者の口座で受け取ることができるようになる。


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2023年(令和5年)4月以降の雇用調整助成金、これまでの感染症による特例措置等は、原則、すべて通常制度に戻ることになる。

2023-02-27 | 書記長社労士 法改正 労働関係
 本日、第191回労働政策審議会職業安定分科会が開催され、オンラインで出席。
①労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)、②雇用調整助成金の助成内容(案)について、③2022年度の年度目標に係る中間評価について、が議題だった。


 2023年(令和5年)4月以降の雇用調整助成金については、これまでの感染症による特例措置等は、原則、すべて通常制度に戻ることになる。
ただし支給限度日数については、コロナ特例中(令和2年1月24日~令和4年11月30日)の日数は支給限度日数にカウントしない。
また生産指標要件については、コロナ前比較は不可となることに注意が必要。
正式には、次回の職業安定分科会で省令改正案が諮問される。



 分科会に出された参考資料。
雇用調整助成金の支給決定件数・支給決定額の推移、雇用調整助成金の支給状況推移、雇用調整助成金の支給決定額(業種別(大分類別))、雇用調整助成金の支給決定額(業種別(中分類別))。
〇雇用調整助成金の支給決定件数・支給決定額は、緊急事態宣言期間等には増加したものの、概ね減少傾向。
<令和5年1月末時点の累計>
・支給決定件数:602.1 万件
・支給決定額:5 兆 8,905 億円(うち大企業: 9,360 億円、中小企業: 4 兆 8,614 億円)
※ 企業規模不明が一定数存在する。
※ 令和 5 年 1 月末時点の数値で集計
〇雇用調整助成金の活用が多い産業にヒアリング・アンケートを行った。
・宿泊業:人手不足が顕著になっている。外資系の参入により人材の引き抜きも多くなっている。
・飲食業:人手不足が顕著になっている。
・タクシー業:人手不足が深刻でタクシー車両の稼働ができない。運賃改定により賃金は改善している。
・バス業:低賃金のため人手不足が深刻。二種免許が必要なため在籍出向の受け入れも難しい。
・航空業:グランドハンドリング・保安部門で職員不足が懸念となっている。 など



議事次第
【資料1-1】労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱
【資料1-2】労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案概要
【資料2】雇用調整助成金の助成内容案について
【資料3-1】2022年度 職業安定分科会における年度目標の中間評価について(案)
【資料3-2】2022年度中間評価 評価シート

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2024年(令和6年)4月1日以降の自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)の改正内容について厚生労働省から告知されています

2023-01-20 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)は、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部を改正する件」(令和4年厚生労働省告示第367号)により2022年(令和4年)12月23日に改正され、2024年(令和6年)4月1日から適用されます。
今更ながらで恐縮ですが、2024年(令和6年)4月1日以降の自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)の改正内容について厚生労働省から告知されています。⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index.html

 改善基準告示(令和6年4月1日以降)
自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部を改正する件(厚生労働省告示第367号・令和4年12月23日公布)⇒https://www.mhlw.go.jp/content/001035031.pdf
(改正後全文)自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第7号)⇒https://www.mhlw.go.jp/content/001035032.pdf

 通達(令和6年4月1日以降)
令和4年12月23日付け基発1223第3号「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正等について」⇒https://www.mhlw.go.jp/content/001035158.pdf


 各種リーフレット(令和6年4月1日以降)
タクシー・ハイヤー運転者の改善基準告示が改正されます!⇒https://www.mhlw.go.jp/content/001035026.pdf
トラック運転者の改善基準告示が改正されます!⇒https://www.mhlw.go.jp/content/001035028.pdf
バス運転者の改善基準告示が改正されます!⇒https://www.mhlw.go.jp/content/001035029.pdf

 自分自身、労働政策審議会(労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_126973_00001.html)の労働者代表としての委員であったが、議論の結論から後退した通達になった部分があって、誠に遺憾ながら…💢
とりあえず、この内容で、来年4月1日の施行に向けて、労使でしっかりと議論をし、対応をしてくださいね。
内容について、講演のご依頼はどしどし受け付けております😊


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【メモ】産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した場合に支給される「出生時育児休業給付金」

2022-11-21 | 書記長社労士 法改正 労働関係
 改正育児休業法のうち2022(令和4)年10月1日施行された「男性の育児休業取得促進のため、産後パパ育休(出生時育児休業)の創設」にともない、雇用保険法も改正され「出生時育児休業給付金」(第61条の8)が新設された。

(1) 支給要件
①子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)以内の期間 を定めて、当該子を養育するための産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)。

出生時育児休業給付金の対象は、以下のア及びイいずれにも該当する休業です。
ア 被保険者が初日と末日を明らかにして行った申出に基づき、事業主が取得を認めた休業。
イ 「出生日または出産予定日のうち早い日」から「出生日または出産予定日のうち遅い日から8週間を経過する日の翌日まで」の期間内に4週間(28日)までの範囲で取得されたもの。
・産後休業(出生日の翌日から8週間)は出生時育児休業給付金の対象外です。
・出生時育児休業給付金の対象となるには、出生時育児休業の初日から末日まで被保険者である必要があります。
・男性が出生時育児休業を取得する場合は、配偶者の出産予定日または子の出生日のいずれか早い日から出生時育児休業給付金の対象となります。⇒ 例1、2参照
・ 被保険者とは、一般被保険者と高年齢被保険者をいいます。


②休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業した時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること。
③休業期間中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間) 以下であること。

「最大」は、28日間の休業を取得した場合の日数・時間です。
休業期間が28日間より短い場合は、その日数に比例して短くなります。
(期間を定めて雇用される方の場合)
④子の出生日※1から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに、その労働契約の期間※2が満了することが明らかでないこと。
※1 出産予定日前に子が出生した場合は、出産予定日
※2 労働契約が更新される場合は更新後のもの


休業中の就業可能日数/時間数の取扱い
 出生時育児休業給付金の支給対象期間中、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)まで就業することが可能です。
休業期間が28日間より短い場合は、その日数に比例して短くなります。⇒ 例5・6参照
例:14日間の休業 ⇒ 最大5日(5日を超える場合は40時間)
10日間の休業 ⇒ 最大4日(4日を超える場合は約28.57時間)
[10日×10/28≒3.57(端数切り上げ)⇒4日、80時間×10/28≒28.57時間(端数処理なし)]
出生時育児休業期間中に就業した時間を合計した際に生じた分単位の端数は切り捨てます。
また、出生時育児休業を分割して取得する場合は、それぞれの期間ごとに端数処理を行います。



(2) 支給申請期間
 子の出生日(出産予定日前に子が出生した場合は出産予定日)から8週間を経過する日の翌日から申請可能となり、当該日から2か月を経過する日の属する月の末日までに「育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書」を提出する必要があります。

• 出生時育児休業は、同一の子について2回に分割して取得できますが、申請は1回にまとめて行います。

(3) 支給額
支給額 = 休業開始時賃金日額※ × 休業期間の日数(28日が上限)× 67%



休業開始時賃金日額の上限額
休業開始時賃金日額の上限額は15,190円となります(令和5年7月31日までの額)。
出生時育児休業給付金の支給上限額(休業28日):15,190円×28日×67%=284,964円
例:休業開始時の賃金日額は7,000円で、14日間の出生時育児休業を取得
この期間に賃金が支払われていない場合
支給額=7,000円×14日×67%=65,660円 =78,400円
この期間に3日就労して賃金21,000円が支払われた場合(支払われた賃金が休業開始時賃金日額×休業期間の日数の13%~80%)。
支給額=78,400円-21,000円=57,400円

出生時育児休業期間を対象とした賃金の取扱い
「出生時育児休業期間を対象として事業主から支払われた賃金」とは、出生時育児休業期間を含む 賃金月分として支払われた賃金のうち、次の額をいいます。
〇出生時育児休業期間に就労等した日数・時間に応じて支払われた額。
就労した場合の賃金のほか、出生時育児休業期間に応じて支払われる手当等を含みます。なお、通勤手当、家族手当、資格等に応じた手当等が、就労等した日数・時間にかかわらず一定額が支払われている場合は含みません。
〇就業規則等で月給制となっており、出生時育児休業期間を対象とした日数・時間が特定できない 場合は、日割計算(※)をして得られた額(小数点以下切り捨て)。
(※)「支払われた賃金額」×(「出生時育児休業取得日数」÷「出生時育児休業期間を含む賃金月の 賃金支払対象期間の日数(賃金支払基礎日数)」)

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今年3月31日発行のうちの機関誌に寄稿した「育児・介護休業法改正ポイント」をこっちにも転載しとこ

2022-10-26 | 書記長社労士 法改正 労働関係

これまでの経過
 2021年6月に改正した「改正育児・介護休業法」。今回の育児・介護休業法改正の大きな盗聴は、主に、男性に対する育児休業取得の促進を念頭に、子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みが取り入れられた点だ。これは「男性へのポジティブアクション」と位置付けられている。
 妊娠・出産を経て働き続ける女性の割合は増え続けている。しかし、女性の育児休業取得率が八割を超えて推移しているのに対し、男性の育児休業取得率は、近年僅かずつでも上昇しているものの12.65%(2020年度)にとどまっている。また、男性正社員の約4割が育児休業の利用を希望していたが利用できなかったという調査結果もある。


 なぜ今、男性への育休が必要なのだろうか。
 まず一つ目の理由として、核家族化や親の高齢化などの理由で、里帰り出産を選ばない(選べない)夫婦が増えていることがある。産褥期(=出産後の身体が元の状態に戻るまでのおよそ6~8週間の期間)を出産直後の女性が一人で乗り切ることは現実的ではなく、産後鬱のリスクも高まるため、この時期の妻を支えるために夫が育休を取得する必要がある。
 二つ目の理由は、年代が若くなるほど家事も家計も夫婦で分かち合うものという感覚が強いことである。
 三つ目の理由は、国際的に見て日本の男性の平均家事育児参画時間は極めて短いが、夫の家事育児参画時間が長いと第二子以降の出生率が高まる傾向がある。
 法定の育児休業は、1927年の勤労婦人福祉法において、女性労働者への便宜供与として、事業主の努力義務とされたのが出発点だ。その後、雇用機会均等法に同様の考え方で継承されたことを経て、1991年に育児休業法において、男女平等に、同社個人の権利として付与されることとなった。ただし、2010年の育児・介護休業法の改正まで、配偶者が専業主婦(夫)である場合、過半数代表との労使協定により育児休業を不可とすることが出来、多くの企業がこの労使協定を締結していた実態があった。
 今回の改正で新たに設けられる「子の出生直後の時期における柔軟な育児休業」は、明示的に対象を男性に限定するものではない。しかし出産した女性にとっては労働基準法に定める産後休業の期間に重なるため、主な取得者は男性が想定されることになる。この点で実質的に男性に対するポジティブアクションととらえられている。


改正のポイント
[2022年4月1日施行](全企業対象)
①育児休業の申し出・取得を円滑にするための雇用環境の整備に関する措置の義務付け
②妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対して、事業主から個別の制度周知と休業の取得意向の確認のための措置の義務付け
③有期雇用労働者の育児休業と介護休業の取得要件の緩和
※雇用環境整備の選択的措置事項、個別周知しなければならない事項などを省令で定められた。


[2022年10月1日施行](全企業対象)
①男性の育児休業取得促進のため、産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
②育児休業を分割して2回まで取得可能に
※産後パパ育休の申し出事項、産後パパ育休の申し出期限を1か月前にする場合に労使協定で定める事項、産後パパ育休中の就業の上限・手続き、一歳以降の再度の育児休業が可能な事由などを省令で定められた。

 ①の「産後パパ育休」については、従来の育児休業とは別に、主に男性を念頭に置いた「子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組み」の創設である。男性の休業取得のニーズが高いと考えられる、子の出生直後、具体的には出生後8週間以内の期間(女性の産後休暇期間中)に限定して、その間、4週間まで(2回まで分割取得が可能)取得可能な、新しい休業の仕組み。これは従来からの育児休業と組み合わせての取得も可能となっている。さらに、労使協定の締結を前提に、休業中に一定の範囲内の就業も認められるなど、柔軟な仕組みを持っている。具体的な手続きの流れは、
❶労働者が就業してもよい場合は、事業主にその条件を申し出
❷事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示(候補日等がない場合はその旨)
❸労働者が同意
❹事業主が通知
となっている。なお、就業可能日等には上限がある(休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分、休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満)。
 育児休業の申し出は、原則休業の1か月前までとなっているが、産後パパ育休については、原則休業の2週間前までとされる。

 ②の「育児休業の分割取得」については、これまで、ママの出産後八週間以内の期間内に、パパが育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても、再度、パパが育児休業を取得できる「パパ休暇」という制度はあったが、従来からの育児休業は原則、分割取得ができなかった。しかし、今回の改正で2回まで、父母ともに分割取得が可能となる。①の制度と合わせると、男性の場合、最大4回に分割して、育児休業を取得できるようになる。なお、現行のパパ休暇は、産後パパ育休実施に伴い廃止となる。
 また、保育所などに入所できない場合に取得できる、子の1歳時、1歳6か月時の育児休業については、これまで開始時点が1歳または1歳6か月時点に限定されていたため、父母が途中で交代できなかったが、今回の改正で、開始時点を柔軟化することとなったので、父母が育休を途中交代できる制度となる。

[2023年4月1日施行](従業員1000人超企業対象)
①常時雇用する労働者数が1000人超の事業主に対し、育児休業の取得の状況について公表の義務付け
 
 それぞれの制度について、制度導入に向け、早期に労使協議を始める必要がある。また制度を利用する組合員にとって分かりやすい周知を求めると同時に、上司の理解を進め、雇用環境の整備も必要となる。

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【メモ】2024年4月からの医師の時間外労働規制の概要

2022-10-20 | 書記長社労士 法改正 労働関係

【A水準】一般的な診療に従事する医師の時間外労働の上限水準
〇原則は、1ヵ月について「45時間」、1年について「360時間」。
〇臨時的な必要がある場合に限り(36協定の特別条項)、1ヵ月について「100時間未満」かつ「1年について960時間」。
※時間外・休日労働が1ヵ月について100時間以上となることが見込まれる者については、36協定に面接指導を行うこと等を定めた場合に1年について960時間とする。
〇一般労働者について一定の時間を超えて労働させる場合に求められている健康福祉確保措置に加えて、厚生労働大臣が定める要件に該当する面接指導を行うこと等を36協定に定める。

【B水準・連携B水準】地域医療体制確保のために暫定的に認められる特例水準
〇36協定に定めることのできる時間外・休日労働の上限時間を、1ヵ月「100時間未満」1年「1,860時間」とする。
※連携B水準の指定のみを受けた医療機関の時間外労働上限は「年960時間」
※時間外・休日労働が1ヵ月について100時間以上となることが見込まれる者については、36協定に面接指導を行うこと等を定めた場合に1年について1,860時間とする。
〇一般労働者について一定の時間を超えて労働させる場合に求められている健康福祉確保措置に加えて、面接指導を行うことや連続勤務時間制限と勤務間インターバルの確保等を36協定に定めることとする。
*特例適用は2035年3月31日まで。以降はA水準適用とすることを目標に施行後3年ごとに見直しを行う。

B水準
●3次救急医療機関
●2次救急医療機関のうち、
・年間救急車受入台数1000台以上または年間の夜間・休日・時間外入院件数500件以上かつ、
・医療計画で5疾病5事業確保のために必要と位置付けられた医療機関
●在宅医療において特に積極的な役割を担う医療機関
など、地域医療確保のための必要な医療機関のうち、「労働時間短縮に十分に取り組んでいる」「労働法令違反がない」などと認められる医療機関に限定。

連携B水準
大学病院や地域医療支援病院等のうち、医師の派遣を通じて、地域の医療提供体制を確保するために必要な役割を担う医療機関を指し、指定を受けた医療機関で対象業務に従事する医師は、派遣先(副業・兼業先)との通算で「年1860時間」の上限が適用される。(個々の医療機関における時間外・休日労働の上限は年960時間以下である必要がある)

【C水準】集中的技能向上水準
初期臨床研修医・新専門医制度の専攻医や高度技能獲得を目指す医師
C-1水準⇒臨床研修医や専門研修中の医師が、研修プログラムに沿って基礎的な技術や能力を習得するために設定⇒研修プログラムの設定の調整が求められる。
C-2水準⇒高度な技能を有する医師を育成するために設定⇒個々の医師が「高度技能育成計画」を作成・提出することが求められる。

〇36協定に定めることのできる時間外・休日労働の上限時間を、1ヵ月「100時間未満」1年「1,860時間」とする。
※時間外・休日労働が1ヵ月について100時間以上となることが見込まれる者については、36協定に面接指導を行うこと等を定めた場合に1年について1,860時間とする。
〇一般労働者について一定の時間を超えて労働させる場合に求められている健康福祉確保措置に加えて、面接指導を行うことや連続勤務時間制限と勤務間インターバルの確保等を36協定に定めることとする。

【医師労働時間短縮計画】
A水準以外の特例水準の適用を受けるためには、一定の要件を満たすとともに、医療機関が「医師労働時間短縮計画」を策定した上で、評価を受け、都道府県知事の指定を受けることが必要。

【面接指導の要件】
〇管理者が、事前に面接指導の対象となる医師(以下「面接指導対象医師」)の睡眠の状況等を確認した上で、1ヵ月について時間外・休日労働時間が100時間に達するまでの間に行われること。
※ただし、A水準の対象となる医師については、疲労の蓄積が認められない場合は、時間外・休日労働時間が100時間に達するまでの間、100時間以上となった後に遅滞なく行われること。
〇面接指導を実施する医師(以下「面接指導実施医師」)が一定の講習を受講していること等の要件に該当すること。
〇面接指導実施医師が、管理者から、面接指導対象医師の労働時間に関する情報その他の面接指導を適切に行うために必要な情報の速やかな提供を受けていること。
〇面接指導実施医師が面接指導対象医師の勤務の状況等について確認を行うものであること。


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7月以降の雇用調整助成金・休業支援金の取り扱いについて、現行の特例措置すべて、2022年9月末まで単純延長する方向で議論はまとまった。

2022-05-31 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 第180回職業安定分科会・第171回雇用保険部会 合同会議が本日開催され(オンライン)、「7月以降の雇用調整助成金・休業支援金の取り扱いについて」について議論のみをおこなった。


 で、結論として、職業安定分科会・雇用保険部会は、現行の特例措置について、すべて、2022年9月末まで単純延長することとした。


 「政府の骨太方針では、雇用調整助成金などについて、あり方も含めて検討するということになっているが、足下では、人手不足感が強まっている業種もある、長期な休業は勤労意欲の低下になっている、成長分野への労働移動が促進されていないなどの課題もある。
これまで原則的な特例措置については段階的に見直してきているが、蔓延防止等措置が3月に解除されたこともあって、需給状況について減少傾向にある。


 また、原油価格高騰や物価の上昇など経済状況の変化と、雇用情勢への影響も検討していくことも必要で、また、事業者の一定程度の期間の予見も必要と判断し、3ヶ月の期間の投句例措置の単純延長をしたいと考えている。
一方で、4月以降には毎月業況を確認していること、不正受給対策を強化している対応を行っている。」



 との説明があって、その後、議論となった。
それぞれ労使の委員からは、特例措置の単純延長はありがたいという意見が多かったが、各論として、コロナによる業績が厳しいことと、現在の原油高や、資源高の影響が一致するわけでないのでその影響を見極める必要あがあること、支給状況に変動はあってもしかし必要な業種があることは明らかで真に必要な業種への支給が重要であること、雇用維持に在籍出向をさらに推進する必要があること、財源の検証がさらに必要であること、などの意見があった。

 5月28日に厚生労働省からの事前説明の際には「8月までの単純延長」であったが、今日の合同会議で「9月まで」という議論をした。
7月以降の雇調金について、「雇調金特例9月末まで延長」という共同通信の記事が出ていたようだが、政府内の議論をリークしたようだ。
あくまでも、この会議を経てからの報道発表ということが公式なのだが。⇒厚生労働省報道発表「令和4年7月以降の雇用調整助成金の特例措置等について
なお、「事業主の皆様に政府としての方針を表明したものです。施行にあたっては厚生労働省令の改正等が必要であり、現時点での予定となります。」の通り、今後の審議会などでの省令の改正手続きの後に決定する。

第181回労働政策審議会職業安定分科会 及び 第171回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会資料
議事次第
【資料1】雇用調整助成金等・休業支援金等の助成内容(案)について
【参考資料】

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臨時の医療施設への看護師等の労働者派遣について 第174回労働政策審議会職業安定分科会の議案ながら渋々「おおむね妥当」

2022-01-31 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 2022年1月21日に開催された第174回労働政策審議会職業安定分科会の議案は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」だった。

1.現行制度の概要
○ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令(昭和61年政令第95号)第2条第1項の規定により、病院、診療所等の医療機関において行われる看護師及び准看護師の医療関連業務については、チーム医療へ支障が生じるおそれがあることから、労働者派遣は原則禁止とされている。
○ 一方、同項第1号の規定により、病院又は診療所のうち厚生労働省令で定めるものが派遣就業の場所となる場合は、労働者派遣が認められている。

2.改正の概要
○ 看護師及び准看護師が行う医療関連業務(新型コロナウイルス感染症に係る業務に限る。)に関し、労働者派遣が認められる病院等として厚生労働省令で定めるものについて、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則(昭和61年労働省令第20号)第1条第2項に規定するもののほか、令和5年3月31日までの間に限り、新型インフルエンザ等対策特別措置法第31条の2第1項に規定する臨時の医療施設とする旨の規定を同令附則に新設する。

3.根拠規定
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令第2条第1項第1号
4.施行期日等
・公 布 日:令和4年1月中(予定)
・施行期日:公布日


 2021年2月5日に開催された第160回安定分科会の際に、「令和3年4月1日から、へき地の医療機関に限り、看護師等の労働者派遣が可能」とする特例を認めたが、その際ももちろんしぶしぶであったのだが、それ以降、コロナ禍のなかで、ワクチン接種会場への看護師派遣の特例を含め、度重なる特例によって、本来禁止されている労働者派遣が実質的に拡大されていることに強い懸念を持っている。
そして、日本労働弁護団からも2021年4月2日付で以下の声明をもって、めっちゃ怒られている…😱 ⇒看護師等の労働者派遣を拡大する労働者派遣法施行令の改正に反対する声明

看護師等の労働者派遣を拡大する労働者派遣法施行令の改正に反対する声明
2021年4月2日
日本労働弁護団
幹事長 水野英樹

1 2021年2月25日、菅内閣は、看護師、准看護師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師のへき地にある病院等への労働者派遣、看護師の社会福祉施設等への日雇派遣を可能とする「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行令の一部を改正する政令」を公布し、この改正は同年4月1日から施行となった。今回の改正の主な理由は、地域によって看護師等の確保が困難であること、社会福祉施設等における看護師を確保することにあるとされる。

2 しかしながら、日本労働弁護団は、労働者派遣を拡大する上記の労働者派遣法施行令の改正に反対する。
 日本全国で必要な人に必要な看護等が提供できるように看護師等の人手不足を解消することは国が果たすべき役割であるが、その方法が労働者派遣の拡大によるものであってはならない。労働者派遣には、間接雇用として雇用管理の責任の所在が不明確となり、中間搾取により待遇も劣悪となりやすく、雇用も著しく不安定であるなどの重大な問題がある。日本労働弁護団の「非正規雇用の「入口規制」と「不利益取扱い禁止」に関する立法提言骨子案」(2016年10月7日)でも示したように、必要なことは上記のような重大な弊害のある労働者派遣を利用できる場合を限定する「入口規制」であって、労働者派遣の拡大では決してない。

3 特に、日雇派遣は、雇用がより一層不安定で、派遣元・派遣先の双方で必要な雇用管理が行われない、教育訓練が不十分で労働災害が発生する危険が高いなどの様々な重大な問題があることから、労働者派遣法35条の4で原則禁止としているのであって、看護師を社会福祉法人等へ日雇派遣することを可能にする上記改正は、看護師に多大な不利益を負わせるものである。
 実際、厚生労働省の「福祉及び介護施設における看護師の日雇派遣に関するニーズ等の実態調査集計結果」(令和2年3月)においても、「看護師等の派遣労働者として働く上で感じた雇用管理上の課題」として、「契約の範囲外の業務や、想定外の業務の実施」(24.1%)、「指揮命令系統が不明確」(20.4%)、「不適切な労働時間管理(就業日・就業時間・休憩時間・時間外労働・休暇)」(14.8%)、「労働者の安全・衛生面の確保」(14.8%)など、派遣労働者としての就業経験がある看護師等の57.4%が雇用管理上の課題を挙げている。
 また、同調査の「看護師等の派遣労働者として短期就業する場合の懸念点」として、「派遣先にすぐに順応できない」(43.1%)、「契約が細切れで収入が安定しない」(33.4%)、「業務の遂行により事故が生じた場合に、十分な補償が受けられるか心配」(24.7%)「複数の職場で働くため健康が心配」(16.0%)など、派遣労働者としての就業経験がある看護師等の84.2%が派遣労働者として短期就業する場合の懸念点を挙げている。

4 さらに、へき地の病院等への看護師等の派遣は、チーム医療に支障が生じる等により、労働者派遣法4条1項3号、同施行令1項各号により原則禁止としてきたものであって、これを解禁することによって医療の質の低下が懸念されるところである。
 社会福祉施設等への看護師の日雇派遣についても、チームケアの実現を困難にすることなどから、サービスの質の低下にもつながるおそれがある。上記調査の「看護師等の派遣労働者として働く上で感じた医療安全上の課題」においても、「どのような体制で、医療安全管理が行われているかがわからない」(39.8%)、「利用者の情報収集をする時間が不十分」(35.2%)、「医療安全に関するマニュアルを把握する機会がない」(27.8%)、「起こりやすい医療事故等について、把握する機会(研修等)がない」(25.0%)、「医療安全を推進する上で、同僚とのコミュニケーションが不足している」(24.1%)など、派遣労働者としての就業経験がある看護師等の74.1%が医療安全上の課題を挙げている。

5 以上のとおり、労働者派遣の拡大は、看護師等に多大な不利益を負わせ、さらには、医療等の質を低下させるものであって、人手不足の解消の手段として不合理である。看護師等の人手不足の解消は、直接雇用で、かつ、待遇を改善することにより実現すべきことであって、このような観点から、国は、賃金の原資となる診療報酬や介護報酬の適切な改定、一人当たりの労働の負荷を軽減するために人員配置基準を引き上げて人員の増加などを行うべきである。


 ほんとうにもっともなご指摘であって、我々、同様の危機感を持っている労働側委員からは、
〇この間、ワクチン接種会場への看護師派遣の特例を含め、度重なる特例によって、本来禁止されている労働者派遣が実質的に拡大されていることに強い懸念を持っている。
〇本来、この問題は医療政策上の課題であり、医療政策において検討し、解決すべきものだと考えている。
〇今般の感染急拡大とそれを踏まえた知事会からの要望を踏まえれば、臨時の医療施設への看護師派遣については、期間を区切った特例であることを前提としてやむを得ないと考えるが、派遣は最後の手段であって、まずは直接雇用にて人材確保手段を尽くしていただくこと、医療の安全性確保の観点からも事前研修含めて必要な措置を実施していただくこと、および、派遣法の趣旨についてしっかり自治体に周知し、助言していただきたい。
と意見させて戴いたが、とにかく今の政府は、コロナ禍の中で、どさくさに紛れて、とんでもない政策を紛れ込ませてくるから注意が必要だ。

議事次第
【資料1-1】労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱
【資料1-2】労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案概要
【参考資料1】新型コロナウイルス感染症に係る臨時の医療施設における人材確保について
【参考資料2】新型コロナウイルス感染症に係る臨時の医療施設への看護師等の労働者派遣について

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「業況特例、地域特例について、3月末まで 現行の日額上限・助成率の特例を継続」令和4年1月以降の雇用調整助成金の特例措置等について

2021-11-22 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 11月19日(金)、第169回労働政策審議会職業安定分科会 及び 第160回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会(オンライン会議)が合同開催され、その後、厚生労働省より、令和4年1月以降の雇用調整助成金の特例措置等について報道発表された。⇒https://www.mhlw.go.jp/stf/r401cohotokurei_00001.html
業況特例、地域特例について、3月末まで現行の日額上限(15,000円)・助成率(4/5(10/10))の特例を継続する。
その他については、3月末まで現行の助成率の特例を継続しつつ、日額上限は段階的に見直す(1・2月11,000円、3月9,000円)という内容だ。

 なお、幾つか変更点があって、
業況特例について、生産指標が最近3か月の月平均で前年、前々年又は3年前同期比30%以上減少の全国の事業主となり、令和3年12月までに業況の確認を行っている事業主は、令和4年1月1日以降に判定基礎期間の初日を迎えるものについては、その段階で業況を再確認することとなる。
また、令和4年1月からは、原則的な措置、地域・業況特例のいずれについても、令和3年1月8日以降の解雇等の有無で適用する助成率を判断する。
ところで、原則的な措置について1・2月は11,000円となって、産業雇用安定助成金の上限額12,000円を下回ることになるが、これは企業に、休業よりも、積極的な在籍型出向の検討を促す意向が反映されているようだ。

 11月19日に、財政支出は過去最大の55・7兆円となる新たな経済対策が閣議決定された。
その中の、雇用調整助成金などに関係するところは次の通り。

「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」について
第3章
Ⅰ.新型コロナウイルス感染症の拡大防止
2.感染症の影響により厳しい状況にある方々の事業や生活・暮らしの支援
(2)生活・暮らしへの支援(抄)
 雇用調整助成金の特例措置等は、特に業況が厳しい企業等に配慮しつつ、令和4年3月まで延長する。具体的には、業況特例、地域特例について、3月末まで現行の日額上限・助成率の特例を継続する。その他については、3月末まで現行の助成率の特例を継続しつつ、日額上限は段階的に見直す。
 同時に、成長分野等へ労働者が円滑に移動できる環境整備等を図るため、需要減少で人手が過剰な企業から人手不足の企業への在籍型出向を助成金でしっかりと支援するほか、職業訓練と再就職支援を組み合わせて、労働者のスキルアップや労働移動を図る事業の強化を行う。
 また、当面の雇用調整助成金等の財源確保及び雇用保険財政の安定を図るため、雇用保険臨時特例法に基づき、一般会計から労働保険特別会計雇用勘定に任意繰入を行う。これを含め、雇用調整助成金等の支給や雇用保険財政の安定のため多額の国庫負担を行っていることも踏まえ、労使の負担感も考慮しつつ、保険料率や雇用情勢及び雇用保険の財政運営状況に応じた国の責任の在り方を含め、令和4年度以降の雇用保険制度の安定的な財政運営の在り方を検討し、次期通常国会に法案を提出する。


 この1段落目は、今回の雇用調整助成金の特例措置について。
 2段落目は、労働移動に関して書かれている。
雇用調整助成金が労働移動を阻害しているとの意見があるが、そもそも雇用調整助成金は、「事業の再開を見据えてスキルを持った労働者を雇用し続けたい」という企業側の意向と、「現在の仕事を続けたい」という労働者側の意向がマッチした際の雇用維持を後押しするものであって、転職の意思がない労働者を、一時的なコロナ禍を理由に他の産業に移動させるとするのは、いかがなものかと思う。
一方で、労働者の意向が「会社に戻ることができるならば一時的に出向してもよい」ということであるならば、企業は産業雇用安定助成金を活用するなどして在籍型出向を通じて雇用を維持することも視野に入れるべきであり、厚生労働省には改めて制度の利用促進をおこなうべきだ。
 3段落目は、財源の問題だ。
雇用保険臨時特例法に基づき、一般会計から労働保険特別会計雇用勘定に任意繰入を行い、令和4年度以降の雇用保険制度の安定的な財政運営の在り方を検討し、次期通常国会に法案を提出するとしている。
2007年度以降、国庫負担については、当分の間の措置として本来の負担額の55%に引き下げられており、2017年度以降は時限的に本来の負担額の10%に引き下げられているが、まずは、次年度に本則に戻すべきである。
また、労働者のこれまでの賃金や一時金への影響も考えれば、「弾力条項に基づく4/1000の引き下げがなくなることによる雇用保険料率の上昇」と「時限的に2/1000を引き下げ措置が期限を迎えることによる雇用保険料率の上昇」の両方を受け入れられる状況には到底ないし、現行の時限的な引き下げについては、現行の2/1000の引き下げを最低限として、継続すべきである。
そのうえで、仮に年度内に第6波の感染拡大が来た場合においても、現状の助成金の水準を維持できる分の財源を一般会計から十分に確保したうえで、雇用情勢などに応じて機動的な対応ができるよう制度整備を検討すべきである。

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令和4年1月1日から65歳以上の労働者を対象に「雇用保険マルチジョブホルダー 制度」が施行

2021-10-27 | 書記長社労士 法改正 労働関係

 令和4年1月1日から65歳以上の労働者を対象に「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が施行される。

「雇用保険マルチジョブホルダー制度」とは
 従来の雇用保険制度は、主たる事業所での労働条件が1週間の所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込みなどの適用要件を満たす場合に適用される。
 これに対して、「雇用保険マルチジョブホルダー制度」は、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度。

「マルチ高年齢被保険者」の申出は任意で、マルチ高年齢被保険者となった後の取扱いは通常の雇用保険の被保険者と同様で、任意脱退はできない。

[適用要件]
 以下の要件をすべて満たすことが必要。
・複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
・2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
・2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

[失業した場合の給付]
 「マルチ高年齢被保険者」であった方が失業した場合には、一定の要件を満たせば高年齢求職者給付金を一時金で受給することができる。

[申請の際の注意点]
・通常、雇用保険資格の取得・喪失手続は事業主が行いますが、この制度では「マルチ高年齢被保険者」としての適用を希望する本人が手続を行う必要がある(郵送または代理人の申請も可能)。
・手続に必要な証明(雇用の事実や所定労働時間など)は、本人から事業主に記載を依頼して、適用を受ける2社の必要書類を揃えてハローワークに申出る必要がある。(本制度の運営に当たっては、事業主の協力が必要不可欠。従業員に本制度の周知をいただくとともに、従業員から手続に必要な証明を求められた場合は、速やかなご対応をお願いしたい。)
・「マルチ高年齢被保険者」の資格を取得した日から雇用保険料の納付義務が発生する。
・手続は、本人の住所または居所を管轄するハローワークで行う。(管轄については、下記の「お問い合わせ」に掲載しているリンク先を参照。)

【制度の概要はこちら】
・「雇用保険マルチジョブホルダー制度」を新設します(労働者向けリーフレット) https://mhlw.lisaplusk.jp/jump.cgi?p=9&n=152  

・「雇用保険マルチジョブホルダー制度」を新設します(事業主向けリーフレット) https://mhlw.lisaplusk.jp/jump.cgi?p=10&n=152
  
【申請手続きなど詳細はこちら】
雇用保険マルチジョブホルダー制度の申請パンフレット https://mhlw.lisaplusk.jp/jump.cgi?p=11&n=152

【Q&Aはこちら】
Q&A~雇用保険マルチジョブホルダー制度~ https://mhlw.lisaplusk.jp/jump.cgi?p=12&n=152 

【お問い合わせ】
全国のハローワークの所在案内 https://mhlw.lisaplusk.jp/jump.cgi?p=13&n=152
※ご不明点は最寄りのハローワーク(公共職業安定所)の雇用保険窓口にお尋ねください(平日8:30~17:15)。


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