労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

労災保険の「特別加入」について勉強してきたが、労働組合の執行委員長の場合「補償範囲」と「補償範囲外」はどうなるのだろう…

2020-03-05 | 書記長社労士 お勉強の記録

 先日、SRCB 社労士のためのコンサルティング勉強会において、元厚生労働省労働事務官であった社労士の高橋健先生を講師に、「特別加入をナビできる社労士になる!労災保険~特別加入者の業務上外認定~」について勉強してきた。
冒頭、高橋先生は「社労士として経営者にどういう風に特別加入を説明しているのか。『任意加入ではあるが、保険料は格安で、労災の際の補償は手厚い、デメリットといえば事務組合の手数料負担くらいだ』とだけ説明している場合、この説明を受けた事業主は下記の通りメリット・デメリットをこの情報のみで検討してしまう。」と注意を促した。
メリット 何かあったときに手厚い労災補償が受けられる(自分が行っている仕事は労働災害と無縁ではない)⇒治療費の自己負担なし、休業給付は日額2万円とした場合休業1日16,000円、障害は最も下位の14級だったとしても56日分の一時金、保険料も民間より低額。
デメリット 事務組合への委託手数料負担
⇒「厚労省のパンフレット」参照⇒「補償の対象となる範囲」業務災害又は通勤災害を被った場合のうち、一定要件を満たすときに労災保険から給付が受けられます。⇒しかしこれではどのような場合が「補償範囲外」なのかがわかりづらい!

 そこで、特別加入者に対する保険給付に掛かる留意点について解説。
①保険給付を受ける権利 ⇒特別加入者で無くなった後も変更されない⇒通常の労働者と同様
②ボーナスを基礎とした特別支給金は支給されない⇒算定基礎日額のもの⇒例)障害特別年金など
③年齢階層別最低・最高限度額の適用はない⇒給付基礎日額を自ら選択しているから。
④費用徴収(一定の責任がある場合の事業主からの費用徴収および通勤災害の一部負担金)の適用はない。
⑤休業(補償)給付については全部労働不能であること。
⑥二次健康診断給付の対象とはならない⇒安衛法による定期健康診断の対象でないから。
⑦特別加入前に発症した疾病は保険給付の対象とならない⇒加入時健康診断で制限を行う必要ない程度であっても…
⑧メリット制は、特別加入者の分も算定に算入する。

 しかし、その上で、特別加入者に対する補償の範囲(中小事業主)を見ると…

就業中の災害であって、次の①~⑦のいずれかに該当する場合に保険給付が行われる。
① 申請書の「業務の内容」欄に記載された労働者の所定労働時間(休憩時間を含む)内に特別加入申請した事業のためにする行為およびこれに直接附帯する行為を行う場合(事業主の立場で行われる業務を除く)
② 労働者の時間外労働または休日労働に応じて就業する場合
③ ①または②に前後して行われる業務(準備・後始末行為を含む)を中小事業主等のみで行う場合
④ ①、②、③の就業時間内における事業場施設の利用中および事業場施設内で行動中の場合
⑤ 事業の運営に直接必要な業務(事業主の立場で行われる業務を除く)のために出張する場合
※船員である中小事業主等が船員法の適用のある船舶に乗り組んでいる場合は、積極的な私的行為を除き業務遂行性が認められます。
⑥ 通勤途上で次の場合
 ア 労働者の通勤用に事業主が提供する交通機関の利用中
 イ 突発事故(台風、火災など)による予定外の緊急の出勤途上
⑦ 事業の運営に直接必要な運動競技会その他の行事について労働者(業務遂行性が認められる者)を伴って出席する場合
通勤災害については、一般の労働者の場合と同様に取り扱われる。

 で、これらを踏まえて、労災認定事例について解説をしていただいたが、いやはや難しい。

 この講座を受けて、ますます混迷が深まった。
それは労働組合の特別加入のこと。
会社を休職扱いになって、労働組合の専従になった場合、トップの人を「中小事業主の特別加入」にし、その他の専従役員や労働組合で雇用する職員などは一般の労働者となるのだが…。
特別加入となる労働組合の委員長の場合、「労働者の時間外労働または休日労働に応じて就業する場合」でない業務も多いわけで、また「事業主の立場で行われる業務を除く」というのが、委員長のどの業務に当たるのか、考えれば考えるほど悩ましい。

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令和元年度厚生労働省委託事業「過重労働解消のためのセミナー」の受講メモ

2019-11-11 | 書記長社労士 お勉強の記録

 11月1日、 令和元年度厚生労働省委託事業「過重労働解消のためのセミナー」を受講、ってことで講演内容のメモを残しておく。(あくまでも自分用のメモなので、読みにくくても勘弁してください。)

過重労働と脳心疾患発症させるリスク→パワハラにもつながるリスク
経営者の意識変革が重要、全員参加の協力体制の構築が重要(全員が内容にコミットする)
人は最も重要な経営資源、優秀な人材の確保・育成・活用は重要な経営課題
→過重労働→職場に対する満足度が低下、心身の健康を害する→人を失う。
生産性の低下→正確性の低下・品質の低下→ヒヤリハットの増加、
風評(レピテーション)→顧客・投資家・金融機関からの信用低下

精神疾患「うつ病」日本では百万人以上(診断された人)、推計は300万人→生涯罹患する人は男4.2%、女8.3%→2週間風邪の症状と思ったら「うつ病」を心配する→様子を見ようでは何の解決もならない。


過重労働防止対策に必要な知識。
経営者・管理者・労務担当者の意識変革→意思決定して表明する→「過労死や過重労働による健康障害を生じさせない」という方針表明→①環境改善、②健康確保、③労働者全員参加のもと、④月45時間以内、⑤ガイドライン作成・評価(衛生委員会等でPDCA、Cがだめだと失敗する、Cの組み立てが重要、OODA(ウーダループ オブザーブ観察・オリエント方向づけ・ディサイド決心・アクト実行)、⑥フィードバック・改善

勤務間インターバル制度→定量的な制度→WLB→QOLとなる制度

時間外労働は管理者が事前に命令するもの→事後に承認するものではない→36協定の建付け→許可の徹底
過重労働対策におけるセルフケア(労働者自身が気付いて対処すること)
地域産業保健センターの活用
医師による面接指導制度の活用(100時間→80時間に改正)→産業医への情報提供・労働者への労働時間の通知→事業場において定められた基準を設ける(80時間を待ったら時すでに遅し)→様子がおかしなったら3日目・ミスが多くなったら・前に出きていたことが今できていない・ハードなクレームを受けたとき
ストレスチェック制度→平時のコンディションの把握→集団分析を重要視(各職場の傾向を知る、職場把握の宝の山)

好事例の三条件
①トップが本気であること 自ら襟を正す
②女性に優しい レトリック、日本理科学工業(知的障碍者を採用しての取り組み)
③全員参加

パワハラが法律になった。改正労働施策推進法
①優越的な関係を背景にした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えた、③就業環境が害される
パワハラ行為6類型→パワハラ対策導入マニュアル→①トップからのメッセージ、②社内ルール作成、③アンケートによる実情把握、④研修の実施、⑤会社方針の周知・啓蒙、⑥相談窓口の設置、⑦再発防止の取り組み(相談窓口(一時対応)・事実関係の確認・行為者相談者への取るべき措置の検討・行為者相談者へのフォロー、再発防止の検討)
JFEスチール株式会社役員の言葉は、パワハラに関する研修でもよく使われている⇒「全ての社員が、家に帰れば自慢の娘であり、息子であり、尊敬されるべきお父さん、お母さんだ。そんな人たちを、職場のハラスメントなんかで、うつに至らしめたり、苦しめたりしていいわけがないだろう。」
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社会保険労務士として知っておくべき働き方改革関連法~同一労働同一賃金を中心とした実務対応に向けたスキルの習得と適正施行のために~

2019-11-01 | 書記長社労士 お勉強の記録

 10月21日に開催された令和元年度前期統轄支部必須研修会は、宮島朝子弁護士(安西法律事務所)による「社会保険労務士として知っておくべき働き方改革関連法~同一労働同一賃金を中心とした実務対応に向けたスキルの習得と適正施行のために~」だ。
なんと我が友人、おかざえもんこと岡崎教行弁護士の元妹弁❗


 東京会の必須研修で共通のレジュメを使って、安西事務所の弁護士が代わりばんこで講師を担当しているそうで、宮島弁護士は、これまで担当した弁護士から、とにかくボリューミーで時間が足りないと聞かされていたそうで、すごいスピードで話されるので、メモ、たいへんっ💦
しかし途中で、「速すぎた、やりすぎた」ってことに気付かれたようで、そこからはちょっと余裕で「こぼれ話」や「私の考え」が零れだしてきて、クスって笑えるお話もあって、聞きやすくなった~(そのクスって笑えるお話は軽々な内容ではないのやけど、ってのがいい!)
ってことで講演内容のメモを残しておく。(あくまでも自分用のメモなので、読みにくくても勘弁してください。)

諸手当については地裁の判断が高裁でひっくり返されている状況が続いている。(退職金も最高裁の判断待ち)

第1 働き方改革と同一労働同一賃金がなぜ関連付くのか⇒労働施策総合推進法…あらたに基本的理念が追加(3条2項)⇒人中心から職務(ジョブ型)中心へ
 ⇒現在の我が国の企業の実情と異なる(新規学卒一括採用、終身雇用・年功賃金制…)
4条「国の施策」、10条「基本方針」⇒政府主導による働き方改革⇒日本型雇用慣行のあり方の変更へ⇒属人的要素から職務的要素へ⇒いわゆる同一労働同一賃金の施策⇒行政指導に着手「職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル」平31年3月作成

第2 いわゆる同一労働同一賃金とは⇒現行法上西欧型の本来の同一労働同一賃金の原則はない⇒正規と非正規の不合理な待遇差解消のこと⇒「有期労働者」「パートタイム労働者」「派遣労働者」と「(全ての)通常労働者」との間の均等待遇と均衡待遇⇒異なる正社員間の待遇差にはこの法律の対象ではない。
待遇の相違の内容と理由についての説明義務の対象は「最も近い」と判断する通常の労働者⇒使い分けが必要
☆パート有期法においても、原告が、訴訟上、比較対象を選択することができるため、全ての通常の労働者との間で待遇の相違が不合理ではないか検討しておく必要がある。

通常社員と有期・短時間社員との間の待遇の相違について三要素⇒待遇の性質・待遇の目的に照らし考慮して⇒当該待遇につて不合理な相違はあるか?⇒使用者が立証する⇒その立証がないと使用者に不利(井関松山ファクトリー事件【松山地判平30.4.24】)
要考慮三要素に基づき対比すべき具体的事項は⇒同一労働ではなく同一価値労働に着目すること⇒①具体的内容・差異をできるだけ網羅すること、②賃金項目ごとに趣旨を個別に判断すること、③ある賃金項目が他の賃金も踏まえて決定されている場合もあり、このような事情も考慮して判断すること、④手当の趣旨、内容について賃金規則に規定化すること

説明義務の強化や法改正の内容と目的⇒賃金規定や賃金説明書の必要性⇒説明義務の強化の法改正(パート有期法14条)⇒労働者が訴えを起こすことができないといったことがないようにすることが重要(労政審建議平29.6.16)
待遇の相違の内容及び理由の説明の内容は⇒就業規則又は賃金規程化しておくことが望ましい

第3 有期・パートと通常社員の待遇のサイト不合理な差異の禁止をめぐって
待遇の相違があれば直ちに不合理とされるものではない⇒「不合理」であるか否かの判断は規範的評価でその立証責任は⇒❶不合理の評価を基礎づける事実の立証…労働者側、❷不合理の評価を妨げる事実の立証…使用者側⇒不合理と認められた場合は私法上その部分は無効⇒「同一条件」となるものではない(補充効の否定)⇒不法行為であるから「損害賠償」


第4 待遇の「不合理な相違」についての判断・内容について
⇒不合理性の考慮の三要素との関係についての客観的具体化が必要⇒賃金決定基準・ルールの相違の問題⇒正社員、パート有期の地位と職務内容など相違の明白化のため就業規則化の必要性

第5 基本給に関する「不合理な待遇の禁止等に関する指針」をめぐって
指針の適用について⇒同じ賃金決定基準を求めているわけではないということが第一⇒第二は同じ決定基準をとっていない場合、その決定基準の相違が不合理でないことが求められる⇒相違を説明することができるか否かがポイント
三要素に相違があり基本給決定基準・ルール(これ自体が合理的であることが前提)に違いがあれば賃金差は問題とならないか⇒この点については何らのルールがない=判例もない

第6 諸手当をめぐる「不合理な相違」について判断・内容
○賞与 「寸志」支給については相違が不合理とは裁判所は判断しにくいのではないか?⇒正社員の賞与が何なのかが重要(相関関係)⇒賞与の性質(業績、月数、就労の対価...)
○退職金 指針に定めはない⇒同じ事案で判断が異なった事例「メトロコマース事件」⇒今まだ動くべきではない?
○諸手当 退職金、家族手当、住宅手当は指針上に記載なし⇒しかし実務上、家族手当・住宅手当は悩ましい(重要ではないか?)
支給の趣旨・目的に照らし「同一」⇒相違があれば相違に応じて支給⇒どの程度なら不合理ではないか⇒相違の程度に応じた支給とその内容については指針では全く定められていない⇒全て裁判所の判断に委ねる⇒(悩ましい…)
精皆勤手当⇒皆勤奨励の必要性に相違がないのであれば不支給とするのは困難と考える⇒昇級・賞与に出勤成績が反映される事情があれば不支給としても不合理と認められない可能性もある⇒金額の差は三要素との関係で問題ないケースもある

第7 不合理な相違と認められる場合の是正
各賃金項目について趣旨、目的、支給要件を明確に文書化(できれば規程化)して定めること⇒相違についての根拠の明確化⇒三要素との関係づけ

第8 派遣労働者をめぐる同一労働同一賃金への対応(略)

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正規と非正規の労働条件格差の是正-労契法20条をめぐる判例動向と新パート・有期労働法-

2019-10-24 | 書記長社労士 お勉強の記録

 10月16日、運輸労連さんの運輸問題研究集会で、宮里邦雄弁護士の「正規と非正規の労働条件格差の是正-労契法20条をめぐる判例動向と新パート・有期労働法-」について講演を受けたので、メモを残しておく。(あくまでも自分用のメモなので、読みにくくても勘弁してください。)

ハマキョウレックス、長澤運輸
個々の賃金項目・労働条件の趣旨・目的は何か、という点が不合理か否かを判断するキーポイント。
「その他の事情」について、職務内容及び変更範囲に関連する事情に限定されないとしたこと。
判例動向 学校法人産業医科大学事件【福岡高判20181129】、日本郵便事件(東日本)【東京高判20181213】、、日本郵便事件(西日本)【大阪高判20190124】、学校法人大阪医科薬科大学事件【大阪高判20190215】、メトロコマース事件【東京高判20190220】
パート有期労働法⇒均衡処遇ルール、均等処遇ルール、説明義務の立法化
⇒パート、有期、派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針【平301228厚労国440】⇒各社労使でよく検討してもらいたい。
非正規労働者がおかれている状況⇒①不安定雇用、②労働条件の格差処遇による低労働条件、③労働組合への未加入
格差是正に向けての労働組合の取り組み⇒①労働条件格差の総点検、②格差是正に向けての労使交渉、③非正規の処遇改善の取り組みと組織化、④非正規の労働条件改善を理由とする正規の労働条件の引き下げは法の趣旨に反し労働条件不利益変更の合理性を欠き無効
立法と労働運動⇒法の実効性を担保するのは労働者・労働組合の取り組みである「法を生かす」取り組みがなければ法は死文と化す。

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労働法・社会保障法の観点から考える副業・兼業の課題

2019-10-21 | 書記長社労士 お勉強の記録

【21 N3-67 VerticalChestPressM61kg DFry16kg PullOverM30kg SitUp LegRaize】 10月16日、運輸労連さんの運輸問題研究集会で、雨夜真規子社労士の「労働法・社会保障法の観点から考える副業・兼業の課題」について講演を受けたので、メモを残しておく。(あくまでも自分用のメモなので、読みにくくても勘弁してください。)

副業兼業には法律上の明確な定義がない。⇒だからとらえ方には個人差があるかもしれない。⇒射程【本業でフルタイムで働き、おまけのように副業するケース】【A社・B社・C社でボリューム同じくらいで働くケース】⇒どちらも必ず使用者がいて雇用契約に基づいて働いているケース⇒(フリーランスは今日は想定しない)⇒そうすると労基法と労災法が問題の2トップ

なぜ今「兼業・副業」⇒①労働力不足深刻、②著しい長寿化(教育→仕事→引退の3ステージからマルチステージの人生に)、③正社員年収の伸びの縮小(70年代生まれの年収アップ率は低下、賃金の伸びが急激にフラット化⇒世帯年収が上がらない)、④非正規労働者の増加(低所得であるために「食べるために」兼業・副業)
2018年1月 政府は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」、厚生労働省はモデル就業規則を改定(規定を入れてしまった、原則認める立て付けにしてしまった、念のため制限する項目も入れている)

○労働基準法に関する問題
❶労基法38条1項 事業場を異にする場合においても通算する、❷S230514基発769号 事業主を異にする場合をも含む、❸H110331基発168 36協定の問題、❹S231004基収217 割増賃金の問題
実態⇒しかし、「把握していない」「把握していても何もしていない」「通算するなんて考えたこともない」「どう管理してよいかわからない」⇒法令などを無視した運用となっている。
検討会は20190808に報告書⇒実態は「副業兼業に雇用を認めていない」「通算した労働時間が法定労働時間内でしか認めていない」⇒理由「日々の時間管理が実務上できない」「申告に信頼性がない」「変形性があって管理の実務が出来ない」⇒だから報告書では「通算規定」を削除するとしている⇒そして❶健康確保に取り組むことを前提に事業主ごとに上限規制、❷各事業主ごとに割増賃金⇒しかしいずれの案も最後に「考えられ得る選択肢の例示」としている。
⇒本業・副業を合わせて過労死ラインを超える長時間労働をさせることが可能に⇒残業の上限規制が形骸化⇒健康管理が本業か副業かどちらの責任になるか不明確に⇒「労働者の健康確保という法の目的を没却する」(連合の相原事務局長)
参考判例 マンナ運輸事件【京都地判平240713】労勝ち、小川建設事件【東京地決昭571119】労負け、十和田運輸事件【東京地判平130605】労勝ち
学説 菅野、荒木尚志  諸外国 フランス、ドイツ、オランダ
現状、今後の方向性を示していない[私見]⇒一律に禁止するのは難しそう(私的領域に会社が干渉するのは難しい)、一定のルールが必要となるのではないか。⇒「申請・届出」
⇒最大の価値「長時間労働に起因する疾病・負傷の防止」「使用者が負う労働者の健康・安全の管理責任を明確化」⇒労働時間管理・健康管理・職務専念義務・割増賃金

○労災保険法に関する問題
労災保険給付と災害補償との関係⇒労災保険の全体像⇒用語解説、災害補償、給付基礎日額、メリット制
裁判例 王子労基署長事件(凸版城北印刷)【最判昭611216】、国・淀川労基署長事件(大代興業ほか)【大阪地判平260924】、国・新宿労基署長事件【東京地判平240119】(←画期的!)
諸外国 フランス、ドイツ、オランダ
問題解決のために[私見]⇒解釈論に基づいては合算を主張できない⇒力尽くで立法論(合算に否定的な見解の論拠を論点)として合算を検討する。⇒論点①労基法の災害保証責任という枠を超えて補償を拡充している(通勤災害に関する給付、二次健康診断等給付、社会復帰促進等事業、労災保険への国庫補助の導入)、論点②メリット制の問題(❶大企業や労災発生率の高い業種など限定的に運用、❷使用者への不利益よりも社会経済上労働者保護に最大の価値を置くべき、❸通災・二次健康診断等給付・特定疾病と同様に収支率算定に含めないことも可能}

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労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題 その③

2019-07-10 | 書記長社労士 お勉強の記録
【Run3-54 6.61km 39:37 大阪城⇒第25回参議院選挙大阪選挙区「かめいし倫子」候補の選挙事務所】 その②からの続き 神奈川労働弁護団主催「働き方改革」対策セミナー@横浜市開港記念会館。
労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題、講師は、日本労働弁護団幹事長の棗一郎弁護士!(その③)


Ⅲ 個別の労働条件についての判断
ハマキョウ
皆勤手当(出勤する者の確保の趣旨)、無事故手当(優良ドライバーの育成や安全な輸送による顧客の信頼の獲得が趣旨)、作業手当(特定の作業を行った対価)、給食手当(従業員に係る食事の補助)、通勤手当(通勤に要する交通費)、それぞれの趣旨だけで判断している。
住宅手当は不合理でない⇒正社員については転居を伴う配転が予定されている⇒おかしい、負担が増加するのは転居費用、毎月の住宅費の負担は同じ。(大阪のJP裁判は1審で不合理と認めた)

長澤
定年制⇒その他の事情として考慮する
能率給・職務給 不合理と言えない。⇒丁寧に判断している。救いがあるところ。
精勤手当 不合理。
住宅手当と家族手当、役付手当 認めていない。
問題は賞与(もっとも裁判で力を入れているところ)⇒長澤はいい判断している(将来に期待が持てる判断)。⇒①労務の対価の後払い、②功労報償、③生活費の補助、④労働者の意欲向上等、といった多様な趣旨を含みうる。⇒素直に考えれば、有期にも非正規にも、みんなに当てはまる。⇒これは使える。
ただし、長澤の事案では能率給・職務給と同様に丁寧に見た結果認めていない。

Ⅳ 2つの最高裁判決で明確になったこと
❶一部の手当は認めるが、基本給と賞与は認められないというスタンス(下級審もそのような傾向)⇒安倍総理は格差を縮めると言い切ったが、こんな判決で縮まるか(--#)
⇒せめて、まず住宅・家族・有給の病気休暇くらい認めるべき、そうすれば非正規はどれだけ生活が助かるか!(休めない、休んだら生活が成り立たない、年休が使えない、長期に休むと雇い止めになる恐怖)、加えて賞与も認められれば、かなり格差は縮まって非正規労働者の生活が楽になる。
日本郵便、大阪地裁が不合理と家族手当を認めたが、大阪高裁は棄却した⇒大阪高裁判決は「長期雇用のインセンティブ論」を全面的に展開している。
❷損害の割合的認定は否定?
裁判は不合理性を認めた手当について損害額を全額認容した(下級審は割合的認定をしている場合もある)
❸定年再雇用について同条の適用あることを明示
定年後再雇用であれば全ての労働条件の相違は不合理ではないという「社会的容認論」は採らないということ⇒長澤運輸特有の判断、賃金差は8割の差だった。
東京高裁は、定年での相違は不合理でないという「社会的容認論」を取った。

Ⅴ 2つの最高裁判決で明確になっていない点
新法施行後の解釈はどうなるか?
❶比較対象は何か?労働者なのか、待遇なのか?
⇒新法では「当該待遇に対応する通常の労働者の待遇」⇒つまり「待遇」ごとの比較
❷誰が比較対象の労働者を選ぶのか?
⇒原告(労働者)⇒水町教授もそう言っている。⇒メトロコマース高裁もそういう判断をした。
❸その他の待遇のそれぞれについて
常に3つの判断要素を考慮するのではなく、適切と認められる要素を抽出して考慮して不合理を判断するということ。
❹「賞与・基本給」を条文に明記した意味
明文で「基本給・賞与」を書いてあるのだから、積極的に格差を是正していくべき。
ガイドライン
・賞与⇒「貢献について支給するもの」⇒長澤の①~④(①労務の対価の後払い、②功労報償、③生活費の補助、④労働者の意欲向上等といった多様な趣旨を含みうる。)、通常、有期パートにこの趣旨が当てはまることが多いはず。
⇒学校法人大阪医科薬科大学事件「すなわち算定期間に就労していたことそれ自体に対する対価としての性質を有する」「賞与算定期間における一律の功労の趣旨」
・基本給⇒産業医科大学事件⇒確定した
・病気休暇、年末年始休暇などその他の待遇について
病気休暇(有給)、育児介護休暇、(有給の)産休(期間が長い)、労災・安全衛生対策⇒最高裁は判断していない
メトロコマース⇒退職金について一部請求を認めた(高裁)
。パート有期法9条の適用によって救済される事例も?(差別的取扱い)
⇒特に中小企業では、正規・非正規の職務内容、職務内容・配置変更の範囲が全く同一の場合がそれなりにあるのではないか。
⇒長澤は同一であるから新法9条で救済される可能性があるかも。
しかし、「理由として」と規定されており、待遇差は定年再雇用が理由であって、有期であることが理由ではないから、同条の適用はないと使用者側は主張していた。

    

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労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題 その②

2019-07-08 | 書記長社労士 お勉強の記録
【Run1-52 7.20km 47:17 中之島一周】 その①からの続き 神奈川労働弁護団主催「働き方改革」対策セミナー@横浜市開港記念会館。
労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題、講師は、日本労働弁護団幹事長の棗一郎弁護士!(その②)


❹「職務の内容および配置の変更の範囲」の解釈
 「将来、上告人の中核を担う人材として登用される可能性がある」⇒そんなこと言われたら正規非正規は違うに決まっている(一部にはそんな人もいるかも知れないが)⇒可能性だけを言っている。実態を見ていない⇒主観的又は抽象的な説明では足りない。
水町 勇一郎は「同一労働同一賃金」のすべてで⇒「使用者側の主観的・抽象的な説明・事情・認識ではなく、客観的な事情・実態に基づいて不合理性は判断すべき」
例えば、メトロコマース事件 長期雇用確保・定着を図るなどの目的、日本郵便事件 長期的な勤務に対する動機付け、長期雇用のインセンティブ
⇒具体的に基礎づける客観的な実態の違い(人事異動の範囲の具体的な違い)およびその実態の違いと待遇の違いとの関連性・相当性(人事異動[キャリア展開]の実態の違いに相当する職務給や教育訓練の違いなど)を考慮して不合理性を判断すべき
ニヤクコーポレーション事件⇒正社員と準社員との間には、転勤・出向の点について大差があったとは認められない。
「長期雇用のインセンティブ」論?⇒JP大阪高裁判決・JP東京地裁判決は全面的に長期雇用のインセンティブ論を採用しているが、東京高裁判決は採っていない、最高裁判決はほとんど触れていない。
日本郵便は最初から長期雇用を推奨されている、期間雇用社員は65歳の定年制があり定年まで勤務している者も多い。
2016年から、希望者全員を無期転換する施策を行っているにもかかわらず、会社はずっと長期雇用のインセンティブを主張している。
⇒長期雇用の動機付けとか人材活用の仕組みを理由に相違の合理性を判断してはならず、人材活用の実態を考慮に入れるとしても、実態を見て考慮しなければならない。

❺主張立証責任
 当該相違が不合理であるとの評価を基礎づける事実は労働者
相違が不合理であるとの評価を妨げる事実については使用者

❻同条違反の効力⇒正社員と同一の労働条件になる補充効はあるか、損害賠償請求にとどまるか
⇒補充効はない⇒同一の労働条件となるものではない、地位確認は否定。(民主党は国会答弁で補充効はあると言っていたが最高裁は無視した)
窮余の策として、補充効は認められないが、正社員の就業規則の解釈で何とか適用できるのではないか?⇒別個独立のものとして作成されていることなどに鑑みれば、就業規則の合理的な解釈として困難である。

長澤 他の論点について判断
❶個々の労働条件ごとに不合理性を判断すべき⇒不合理と言えるかの判断の構造(判断の仕方)⇒民主党政権時代の解釈、通達もそうなっている
使用者は、個々の待遇は他の待遇と密接不可分に関連していると主張⇒長澤判決は「当該賃金項目の趣旨を個別に考慮すべき」⇒有期パート法の通達もそうなっている。

❷「その他の事情」の解釈 チョイスして判断すると条文はなったが、判決は「相違が認められるものであるか否かを判断する際に考慮される事情は、労働者の職務内容および変更範囲並びにこれらに関連する事情に限定されるものではない」⇒批判すべき⇒菅野説に引きずられたのではないか(--#)
⇒その他の事情がどこまで広がるのか不明で歯止めがないから、無限定な拡大解釈の恐れがある。
労使合意を尊重しろと言うが「労使合意があっても不合理は不合理でしょ」と東京地裁の清水裁判長は言っていたが、最高裁判決がこうなったからどうしようもない。
水町 勇一郎は「同一労働同一賃金」のすべてで「労使交渉や合意そのものが少数者への差別を生み出す元となるいう懸念も否定できない」。労使交渉のプロセスについては、関係する非正規の雇用労働者の意見も反映させた形で公正に手続きが踏まれている場合」かどうか見極めるべき、「団交を経た」だけでは足りず、労使の合意に至ったということが大事だが上記の懸念もあるので、労使交渉や労使自治は重視すべきではない。

❸その他の事情に「定年再雇用」も当たる⇒一事情としか判断しなかった⇒「その他の事情」に従って判断すべき

    

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労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題 その①

2019-07-04 | 書記長社労士 お勉強の記録
 参議院選挙が今日、公示されました!
投開票日は21日(日)ですが、明日から期日前投票が出来ます。
投票所入場券がなくても、選挙人名簿で確認が出来れば、投票が可能です。
投票に行こう!

 6月27日に受けた、神奈川労働弁護団主催「働き方改革」対策セミナー@横浜市開港記念会館をメモしておく。
労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題、講師は、日本労働弁護団幹事長の棗一郎弁護士!(その①)


Ⅰ 基本的視点
 今20条裁判やっている、または闘う準備をしている人はいますか?
私は、JP裁判の主任をやっているが、労契法20条は民主党政権時代にできた条文で、自民党政権になっても打ち消すことが出来なかった条文。
ようやく闘う武器が出来た、それまでは公序良俗でしか闘うことが出来なかった。

 安倍政権は同一労働同一賃金と言っているが、それは間違い、均等均衡処遇である。
昨年、ハマキョウレックス、長澤運輸事件、同時に最高裁判決が出たので、当面、この両判決が基準になる。
来年から新法が施行されるが、この最高裁判決の解釈がどのように変わるのか、また変わらない点があるのか、それを検討しておかなければならない。

 両事件とも、原告は運送会社の運転手(現業職)であることに留意、全くのホワイトカラーで職でない。
長澤は定年再雇用、ハマキョウは正社員には配転があるなっているが、実態としてはほとんど無い。

 ハマキョウの一審原告らの請求の内容
①地位確認請求、②主位的に差額賃金請求、③予備的に不法行為に基づく損害賠償請求(①②とも家族手当や賞与、退職金などは請求していない)
長澤の一審原告らの請求の内容
①地位確認請求、②主位的に差額賃金請求、③予備的に不法行為に基づく損害賠償請求

Ⅱ 最高裁の労契法20条の解釈・判断
 労契法20条の条文上の要件⇒①「期間の定めがあることにより」相違する場合、②3つの事情を考慮して(考慮要素)、③不合理と認められること。
「合理的なものでなければならない」とはなっておらず、「不合理と認められるものであってはならない。」になっており、労政審では当初合理的となっていたがいつの間にか変わってしまった。
20条の法的効力(法効果)⇒不合理な労働条件の禁止⇒とってもやりにくい条文になってしまった(T_T)

両最高裁判決の比較、両判決の関係⇒ハマキョウが基本的な解釈、長澤はハマキョウを参照しかつ解釈を補充している。
ハマキョウ
❶職務の内容などの違いに応じた均衡の取れた処遇を求める規定である⇒均衡だけではなく「均等および均衡処遇」を求める規定であることに留意必要。

❷使用者側は、「定年後再雇用になったから有期と正社員は違いがある、だから条文の適用はない。」と主張。
しかし「期間の定めがあることと労働条件が相違していることとの関連性の程度は、労働条件の相違が不合理と認められるものに当たるか否かの判断に当たって考慮すれば足りる」⇒「労働条件の相違が期間の定めの有無に関連して生じたものであること」⇒「期間の定めがあることにより」の解釈は確定。
ただし、新法(パート有期法)ではこの文言を削除した
①「基本給・賞与」が明記された、②「その他待遇のそれぞれについて」が追加された、③その他の事情のうち「当該待遇の性質および当該待遇を行う目的に照らして」が追加された、④「期間の定めがあることを理由として」を削除した。
水町 勇一郎は「同一労働同一賃金」のすべてで⇒正社員の中に違う待遇の人をおいて、それと有期・短時間と比較するような脱法的行為を招くので削除した。

❸「不合理と認められるもの」の解釈⇒「不合理と認められるもの」と「合理的なものと認められること」と同じ趣旨ではないのか?
⇒同条はあくまでも労働条件の相違が不合理と評価されるか否かを問題とするものと解することが文理に沿うものといえる。
使用者側に立証させるというようにならなかった…労使に同様の立証責任
※菅野説⇒「本条の趣旨に照らして法的に否認すべき内容ないし程度で不公正に低いものであってはならないとの意味に解される」⇒使用者に有利な解釈⇒最高裁は、菅野説を排斥した。
しかし「その他の事情」として労使交渉や使用者の経営判断を尊重すべきとは言い過ぎであり謝り。

    

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神奈川労働弁護団主催「働き方改革法対応セミナー」~上限規制・有休・高プロ等の労働時間分野の法改正の向き合い方~を受講

2019-06-03 | 書記長社労士 お勉強の記録

 5月28日、横浜市開港記念会館にて、神奈川労働弁護団主催「働き方改革法対応セミナー」~上限規制・有休・高プロ等の労働時間分野の法改正の向き合い方~を受講、講師は嶋崎量弁護士。
労働者側の弁護士であり、労働組合への強いメッセージが込められた講演だった、自分の講演のメモをこちらのブログに記載しておく。

 国会審議では、有休どうでもいいけど、高プロだけは絶対に通してなるものかとやってきたが、しかし現場では、実は有休が結構大変。
しかしあるものは何でも使うのが労働運動、だから労組は、現実にどううまく使うかが重要。
労基法1条2項、大事な条文なんだが、労働関係の当事者、労働関係を生業にしている人も含めて、実はあまり読んでない。
労働基準法はあくまでも最低基準、なにより向上に努めなければならない、とまで書いてある。
労働組合は労働運動で何がとれるか、刑罰がある最低ライン、法律の最低ラインを守らせるだけでは労働運動ではない。


 労働時間の上限規制、労働時間の規制強化だから事業者は早くから慌てていた。
36協定は過半数労働組合があればそこが締結当事者、だから過半数かどうかには意味が大きい、でも労組の組織率は17%しかない。でもだから意味が無いかということではない。
・過半数労働組合⇒非正規雇用増加による36協定締結権喪失⇒注意!締結権持っていると信じていたが、気がついたら過半数割れしている⇒まさに電通!
 ⇒組織拡大の契機に!⇒過半数労働組合でなくなるのは使用者にとっても死活問題⇒実践している組合が多数ある。
・重要性を増す過半数代表者⇒広範な決定権がある⇒集団的労使関係を意識していない職場でも、一つでも二つでも意見を言えるようになると大きな効果がある。
 ⇒形骸化して使用者の意のままに操られているのが過半数代表者であるが、使用者の意向に基づき選出された過半数代表者では違法になる。⇒民主的手続き⇒労働組合の価値を職場でわからせることができる。

・改正前 特別条項が「青天井」だと批判された⇒今までも縛りはあった(告示)⇒「45時間360時間」は例外で、特別条項は例外の例外⇒今まで過労死ラインを超える特別条項を結んでいる協定の事例ははたくさんあった。
・改正後 例外が法律でしっかり決まった、その例外の例外の「特別な事情」も上限が決められた。(休日の関係…法律の立て付けは時間外労働と休日労働を分けているからこうなる)
・これが特別かどうか…⇒通常予見される残業…原則+例外、通常予見することが出来ない残業…特別条項
⇒全体にかかる罰則付き上限時間 ①坑内労働…、②100時間、③80時間
原則残業許されないし、許されるのは通常予見される残業⇒3月の年度末が忙しくなるのは「通常予見」できるもの⇒労働組合は「特別な事情」を簡単に受け入れてはならない
でも、労働者はこそこそ働いてしまうから、じゃあどのような人員配置が必要か労使で検討しよう。労働組合の出番でしょ。
通常予見が出来ない業務量の大幅な増加などに伴い臨時的に…⇒1年の半分を超えない一定の限られた時期において一時的・突発的に発生する業務⇒職場で業務の再確認が必要…使用者側は躍起になってやっている⇒労働組合もしっかり対応を
 ⇒(ガイドラインや36協定の届け例を見ても…←事例は緩すぎる(汗))役所は受け付けてしまうけど、労働組合は簡単に受けてはならない。(IT企業なんて仕様の変更なんて日常茶飯事、もっと言えば取引先に文句言えよ(笑))
・上限規制が猶予されている業界がある、最近注目されたのは医者、数においては自動車の運転業務⇒なぜ過労死いっぱい出ている業界が猶予されるのか疑問がある⇒でも猶予されているけど無視されているわけではない。
・「100時間残業合法化?」という声もある⇒間違ってはいないけど、今までも100時間残業は出来たわけで、改めて合法化されたわけではない。⇒だから逆に100時間に近づけるという労使関係はおかしい。⇒残業をさせることが出来る「範囲」の基準を労使で引き下げる必要がある。
・上限規制の経過措置 ⇒2019年4月1に以降の期間を定めたもののみに適用⇒始期が3月31日以前のものは引き続き従前の協定が有効
・法の範囲内だから許されるというのは誤解⇒特例の上限内であってもまず安全配慮義務違反を負う⇒業務と発症の関連性が強いと評価される(労災認定される)⇒労基法の労働時間規制は最低基準である!
・36協定の活用を⇒残業は例外的な場合にしか出来ない⇒しかも労働者側に36協定締結する義務はない(安易に締結しない)⇒使用者に言われるままにサインする時代ではない。⇒締結権を武器に。
・よりよい労働条件・職場環境改善を勝ち取ろう!⇒労働者に労働組合が訴えられる時代(安易に結んでいたら「過労死を容認するのか」)⇒労働組合への責任追及
・できるだけ時間は「短く」⇒業務を細分化して書く、一般的・概括的な記載では許されない。
・求人者により企業選別される(人手不足加速、競争力低下による労働条件低下)⇒大企業だから選ばれるという時代ではなくなっている(例 電通)
・法の建前を貫く取り組みを⇒労働組合における活用を⇒義務的団体交渉事項
・罰則付き上限規制は完璧なのか?⇒実際にどんな形で過労死?⇒従来、青天井だった協定内の時間外労働で過労死した事案は多い。
・労働時間管理の徹底⇒安衛法改正…客観的労働時間把握義務(安衛法に逃げやがって、日和りやがって(笑))
・労基法上に時間管理の法的義務化、時間管理を怠った場合の罰則、企業名の公表

 労働時間の適正把握義務
従前 把握する責務あり
改正 管理監督者・裁量労働も含め「医師の面接指導の履行確保」のため客観的な把握義務
⇒一人だろうが多数だろうが、管理監督者であろうが、長時間労働を放置して殺したらだめ。
書面による協定での代替休暇制度⇒お金(60時間超の割増賃金)⇒時間で返す(休暇)⇒これまであまり活用されていないがこれから活用されるのではないか、活用されたらいいな⇒生活残業となっている職場では怒られるかも知れないけれど、建前として賃金を上げていくとすれば、活用すればよい!

 年次有給休暇時季指定義務
・年休の取得促進が狙いなだけの制度⇒使用者への義務化⇒労働者は年休をこれまでどおり好きなときにとればよい⇒無理矢理取らされる制度ではない!
「労働組合が出来ること。」
組織化の契機⇒休日数増加・取得率増加⇒生産性や就労意欲向上、離職率減少など使用者側のメリットを、現場の声として経営者に理解させる⇒取得を拒む要因除去策を検討する⇒支障が出ない人員配置、職場のニーズを吸い上げて使用者に要求する。
改正に伴っての年休の先行取得条項導入は?⇒強行されたら就業規則の不利益変更(労契法9条)←こんな話し合いも組合があれば出来る。

 勤務間インターバル規制
・努力義務と法律に書かせた⇒使用者には努力義務⇒労働者には使用者に求めることが義務化された(ということ!)⇒厚労省のサイトに掲載された事例を是非参照⇒労働組合がもっと活用すべき⇒社労士が助成金のために出来ているのだから労働組合が出来ないわけがない!⇒企業の手柄になっているのはおかしい。
・労働組合として要求しないと始まらない!⇒前提、職場の労働組合内部で意識を認識すること(共有しなくてはいけない)
・労働者なら誰もが賛成?そうでもない⇒「仕事するのを邪魔するな」(出世・評価、やり甲斐、義務感)、「俺がいないと仕事は回らない!」そんなことはない、絶対に回る(笑)⇒だから労働時間把握がスタート
・通勤時間のカウント⇒過労死防止するには効果的⇒健康確保の意義からすれば当然(労災認定にはカウントされないが健康確保には重要な要素)
・勤務間インターバルは使用者側のメリットは絶大⇒業績が上がる(求人・生産性向上)ことを主張⇒36協定と同時に検討
労使での話し合い⇒労働組合がなければ出来ない⇒労組のないところでは社労士の助成金の提案で導入しているだけ!

 有害な労働時間規制の緩和
裁量労働制の拡大⇒撤回⇒労働時間把握義務は課せられた⇒導入の厳格化も行われている
フレックスタイム制
高プロ⇒使わさないことが重要⇒導入するのはかなりハードルも高い⇒しかし広がらせないようにするのも重要⇒経営側は緩和・拡大を狙っている。⇒経営側は小さく産んで大きく育てる⇒自由な働き方ではない、使用者が自由になるだけだ。
・高プロ導入された会社では労働組合が魂を売ったということ!⇒労使委員会の委員の5分の4以上の多数による決議⇒ブラック労働組合認定!⇒叩かれるよ!⇒「こんなの入れちゃったら、ブラック企業認定だよ、やめときなよ、なんのメリットもないし、手続きも面倒くさいし!」と主張すればよい⇒賛成しなければよい。
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昔むかし「あるところ」におじいさんとおばあさんがいました、今は「いたるところ」にいます…

2019-05-28 | 書記長社労士 お勉強の記録

 今年初めて満開の紫陽花を見た。
高輪のこのあたり、梅も桜も…、余所よりいつも早く咲いてる気がする、お金持ちが多いから栄養が良いの?

 ずいぶん前のお話になるが、5月11日に「医療・介護フェス2019~安心と信頼の医療と介護 中央集会~」があって参加。
午前中は講演2本、1⃣「地域包括ケア時代の医療と介護~元気高齢者の育成支援~」、2⃣「利用者に選ばれる介護とは」を受けた。
私たちの公共交通産業では、要員不足が深刻なのだが、そこに介護離職問題が顕在化しており、今後、人員不足に拍車をかけるような懸念があって、強い問題意識を持っている今日この頃なので、一生懸命、勉強してきた。
そんな中で、介護・医療制度、家庭、地域、職場、施設、介護職場で働く人(思いと処遇)がかみ合っていないなあと感じていることが多々あるが、その一部分ではあるが、今回の講演を聴いて、いやはや、目から鱗だった。


 1⃣「地域包括ケア時代の医療と介護~元気高齢者の育成支援~」は、四国医療産業研究所所長・日本医師会総合政策機構局員研究員である櫃本真聿医学博士。
彼は、このブログのタイトルに使った「昔むかし「あるところ」におじいさんとおばあさんがいました、今は「いたるところ」にいます…」から話し始め、現状について、「国民医療費の6割を人口の4分の1の65歳以上で占め、若者も減り続けているなか、社会保障費破綻という、急速な少子高齢化への脅威がある(ネガティブシンキング)。
2039年には年間166.9万人が死ぬが、死に場所がない⇒現在病院が死に場所(80%)だが、病床規制・減床⇒在宅で死ねる受け皿もない。
人口減少⇒2100年には5000万人を切る⇒明治初期に戻る。
それでも、社会的弱者ケア重視のサービス提供に現場は翻弄されている⇒だから地域包括ケアシステムの提案」と指摘し、
「少子高齢化に翻弄されて日本の明るい未来をイメージできないことが真の問題。
このままでは、国民全体の疲弊を招き、社会保障制度の崩壊は必至、分母に生産年齢者、分子に高齢者を置いて、高齢者を支えられる人と決め込んで、将来の不安を煽る図は最悪。
支えられる高齢者から支える高齢者へ、元気高齢者(ときどき医療、ときどき介護を受けながらでも、自分らしく生きて地域社会に貢献する人(気持ちのある人))の活躍を期待!」として、具体的な内容に踏み込んでいった。
地域包括ケアシステムの不幸な生い立ち・誤解の蔓延について、東日本大震災の教訓(自助(セルフケア)と互助が欠かせない⇒互助がないと復興が進まない⇒「依存」になる)と比較して解説しながら、これから、医療・福祉・行政がどう変わらなければならないかについて言及。
医療については、「急性期医療の問題点⇒生活に戻せない医療は無駄⇒入院の目的は治療ではなくて「退院」、自分の尊厳より命が大事だと思っているのは誤解」と強く指摘し、128,000,000人に用意された社会を、どうダウンサイジングしていくか、サービスの押しつけ・サービス提供者の都合に住民が対応させられている状況をどう変えていくかについて具体的に、下記について、事例を交えながら説明された。

・笑顔そして意欲があってこそ生きる価値⇒疾病・障害の有無に関係なく、高齢者が、地域に出かけ貢献する⇒社会的弱者ケア重視からの脱却・生み出さないための協働
・24時間在宅ケア体制とは在宅看取りのためではない⇒地域で日常「生活を支える」かかりつけネットワークの構築
・医療を生活資源に、「生活に戻せない医療は無駄だ!」のフィルター⇒急性期医療中心では医療が生活をぶった切る可能性大⇒在宅医療は生活者を支え地域生活を継続させる医療であるべき⇒その人らしい生き方の先に、その人らしい死に方がある
・意欲を生み出す住む場所⇒住宅地の再開発、過去の新興住宅地の新しい形、互いに思いやるぬくもりのある地域づくりにつながる
・住民力・地域力を引き出す⇒エンパワーメントを目的⇒住民の意識醸成・意欲向上、セルフケア、互助・共助の推進

 自分にとって、もっとも印象的だったのは「ヘルスプロモーションが地域包括ケアの『肝』、健康は疾病予防管理では達成しない⇒活動・生活の場(かかりつけ医など医療機関や地域職場など)の持続、ヘルスプロモーションの行動や意思決定プロセスの中心に生活者が存在、健康学習・ヘルスリテラシー(健康面のスキル、意欲、能力など)⇒「してあげる」「してもらう」互いの関係からの脱却⇒住民・コミュニティーのエンパワーメント」という点だった。
「地域包括ケアシステム」を急に前面に出した前回の介護保険法の改正に疑問を持っていたが、この点をしっかりと実現できるのなら(できるのならだが)意義をわかったような気がした(気がしたってことだが)。
まずは、医療・福祉・行政が変わってくれないといけないとは思うのだが…。

 で、その次の2⃣「利用者に選ばれる介護とは」は北海道介護福祉道場「あかい花」代表の菊池雅洋氏。
今後サービスの中心は団塊の世代に、ってことで、70歳の人が生きてきた時代を振り返り(ビートルズの来日で失神した世代、グループサウンズに熱狂した世代…)、「その人たちに施設でちーぱっぱって童謡を歌わせて喜んでもらえると思う?」
そして「週2回の入浴にあぐらをかく特養などが抱える潜在的経営危機」について、世間一般的な入浴習慣を考えると「かなりQOLが低い暮らしぶりと言えるのではないか?団塊の世代から選ばれる居住場所になり得るのか?」などの問題意識を示し、介護事業の今日的課題と求められる施設について、事例を交えて、「新しい介護のスタンダードを創るために」について話された。
「リビングウィル」が重要なんだな、としみじみと思う…。

   

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久しぶりの相馬塾「すぐに使える!提案できる!ニーサ、イデコ、企業型DC」!

2019-02-28 | 書記長社労士 お勉強の記録

 昨日は、久しぶりの相馬塾「すぐに使える!提案できる!ニーサ、イデコ、企業型DC」、講師は(一社)公的保険アドバイザー協会協会理事・(株)アセットアドバンテージ代表取締役・確定拠出年金相談ねっと代表でありCFPの山中伸枝氏。

 政府が謳う「貯蓄から資産形成へ」について、背景と現況を解説、各国の家計金融資産の推移では「日本人のお財布だけが成長していない」という、各国の家計金融資産構成比から「成長しなかった理由はお財布の中身」、
そういった中で、「NISA」(少額投資非課税制度)、「iDeCo」(個人型確定拠出年金)が登場したとし、それぞれの制度について説明された。


 特に、自分としては、「iDeCo」(個人型確定拠出年金)について、福利厚生の一環と老後の資産形成による労働条件向上の一手段にならないか、または組合員の可処分所得を増やすという観点で、労働組合としてアプローチできるのではないか、と思っていた。
しかし、とっても興味があったのに、ちっとも勉強してこなかったので、この相馬塾は、ほんとに自分にとって役立った!

 確定拠出年金、掛け金については、個人型(iDeCo)は個人が拠出(掛金は全額所得控除)、企業型(DC)は企業が拠出(掛金は経費として計上)、双方とも、運用益は非課税、受け取り時の税制優遇、があるということは知っていたが…。
そのことによって、どのように所得税・住民税(さらに場合によって社会保険料)に良い影響をもたらすのか、受け取り時の税制優遇についてはどのように使えば良いのか、について、基本を学ぶことが出来た。


 さらに、2018年5月からスタートした「iDeCo+(イデコプラス)(中小事業主掛金納付制度)」については、いかに労使にとってメリットが大きいかということも学ぶことが出来た。
「個人型(iDeCo)」<「個人型(iDeCo+)」<「企業型(DC)」ということでは、iDeCo併用の選択制DC(個人拠出)の仕組みについても興味深かった。

 これらのことを、労働組合がしっかり理解することが出来たら、経営者に対して、様々な提案が出来るのではないかと確信。
ぜひ、全国のうちの加盟労組の皆さんに、とくに中小で「退職金制度が充実していない」「退職金制度がない」「経営状況が厳しくなかなか福利厚生を充実できない」が、「今がんばっている人へのモチベーションを上げたい」「定着率を上げたい」「求人の際の強みが欲しい」と思っている労使に知ってもらいたい!!
今日の講演テーマである「すぐに使える!提案できる!」を、是非、実践する。

 そういえば自分は、日本に確定拠出年金がスタートした頃に、DCプランナー2級を取得したが、更新せずにほったらかしてるわ。(ってか知識はすべて忘却してしまったようだ)
ちなみに相馬塾修了後の飲み会、自分たちは「ほんとうに社労士なのか…」と、反省会をしておりました…(^_^;
この飲み会に講師が参加できてなくてよかったって、な、主催者…(__*)
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「働き方改革関連法」のポイント 水町勇一郎東京大学教授の講演を1年ぶりに聴くことが出来た(その③)

2018-11-07 | 書記長社労士 お勉強の記録
 10月30日、新宿区立牛込箪笥区民ホールで開催された「関東地区労使関係セミナー」にて、東京大学社会科学研究所の水町勇一郎教授による「『働き方改革関連法』のポイント」についてのその③。(②からの続き


 正規・非正規労働者間の待遇格差の是正
労働契約法20条を削除して、パートタイム労働者と有期雇用労働者を一括規制し、パート有期法8条で不合理な待遇差を禁止する。
⇒個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して、不合理性を判断。
「性質・目的に照らして」⇒「何のために支払われるものなのか」⇒その「なんのために」に照らして⇒「及ぶのか、及ばないのか、部分的に及ぶのか」を判断する。
例)通勤手当⇒なんのため?⇒通勤のため⇒非正規も通勤は同じ

 実効性を高めるために、2つの工夫をした。
1つはガイドライン安を示した、2つめはそのガイドライン案は法律より先に示させていただいた。
また、長澤運輸事件の判決と衆議院参議院の附帯決議を追加して、「指針」化する。


 労働者派遣法の整備に関しては、不合理な待遇差の禁止の比較対象を、派遣先の正社員の待遇とし、その前提として派遣先の情報提供義務を課す、これは相当厳しい。
相当厳しいので、例外として「労使協定方式」、派遣先が変わった場合への対応もある。
派遣元事業者が、①賃金額が同種業務の一般労働者の平均的な賃金額(厚生労働省令で定めるもの)以上であること、②法定の教育訓練を実施し、職務内容・成果・能力等を公正に評価し、賃金を改善させること、③賃金以外の待遇について派遣元事業主の通常の労働者と不合理な待遇差を設けていないことなどの事項を定めた労使協定を締結し、それを実際に遵守・実施している場合に、労使協定による例外を認める。
この①が重要、厚生労働省は全職種についてこれから定める、ただし都道府県別に水準も定めることになるだろう、また賃金額には賞与・諸手当・退職金も含む。年末から年明けに発出する。
また、労使協定による例外は、単に労使協定を締結しただけではだめで、実際に遵守・実施していることが要件となっている点にも注意。

 「働き方改革」にあたり企業・労使が注意すべきポイントととして、
〇非正規労働者の組織化などその声を反映
〇「賃金原資一定」という考え方の放棄⇒労働分配率を上げる(賃金原資を増やす)
 ①「労働生産性」向上(無駄を省き効率を上げる…)
 ②「内部留保」の賃金への還元
 ③適正な「価格転換」⇒インフレ率2%を実現するためには賃上げが3%必要⇒経済政策の中でも言われている。

 質疑応答の際、会場から「社労士だが、関与先などでは中小企業で体力が無くて、この法改正に対応することが難しい。どう助言すればいいのか」という質問があったが、水町先生は、「法を守れない会社はお引き取り願いたい、そこの社員は、ちゃんと法令を守れる会社に移ってください、それが法改正、法令を守れない会社は淘汰されてください」ときっぱりと答えた。
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「働き方改革関連法」のポイント 水町勇一郎東京大学教授の講演を1年ぶりに聴くことが出来た(その②)

2018-11-06 | 書記長社労士 お勉強の記録
 10月30日、新宿区立牛込箪笥区民ホールで開催された「関東地区労使関係セミナー」にて、東京大学社会科学研究所の水町勇一郎教授による「『働き方改革関連法』のポイント」についてのその②。(その①からの続き)


 労働時間の適正把握義務について(労働安全衛生法第66条の8の3について)。

改正労働安全衛生法 第66条の8の3 事業者は、第66条の8第1項又は前条第1項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第1項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。

 この労働安全衛生法の改正は、あまり注目はされていないが、実はひじょうに重要な改正である。
長時間労働の是正を、時間外労働の上限や割増賃金によることも重要だけど、そもそもは、労働者の健康保持のための労働時間の把握が重要だ。
事業者は、厚生労働省令で定める方法(タイムカード、パソコン等の記録等の客観的な方法その他の適切な方法)により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない。
「その他の適切な方法」とは、例えば事業場外労働者などはこの「その他」に該当するので、「自己申告」などがあり得るが、その際には、①「説明」(労働者に対してどのように労働時間の状況を把握するのか)⇒②「調査」(労働者が申告した労働時間と実態が違っていないかどうか)⇒③「補正」(労働者が申告した労働時間と実態が違っていれば)が出来ていなければ、「適切な方法」とはならないことに注意。
労働基準法で、割増賃金の対象とならない「管理監督者」や「裁量労働者」も、この労安法では対象となることが重要なポイント。
時間外労働80時間超に、医師による面接指導を受けさせる義務が生じるが、しかし罰則はない。
とはいえ、安全配慮義務違反(民事損害賠償)の判断に影響があることに留意。

cf.)九電工事件【福岡地判 平21.12.2】
【事案の概要】
 Y社は、電気通信工事等を目的とする会社である。
Xは、Y社の従業員として、空調衛生施設工事等の現場監督業務に従事していた者である。
Xは、平成16年9月6日、自殺した。
本件は、X(死亡当時30歳)がY社の安全配慮義務違反により長時間労働等の過重な業務に従事させられた結果、うつ病を発症して自殺したと主張して、遺族である原告が、Y社に対し損害賠償等を請求した事案である。

【裁判所の判断】
 Xの損害につき、逸失利益4451万余円、慰謝料2400万円等を認め、加えて原告がY社の業務錠災害補償規程に基づきなした弔慰金3000万円の請求も認め、Y社に対し、合計9905万余円の支払いを命じた。

【判例のポイント】
1 うつ病の発症原因の判断については、医学的に、環境由来のストレスと個体側の反応性、脆弱性との関係で精神的破綻が決まり、環境由来のストレスが非常に強ければ個体側の脆弱性が小さくても精神障害が起こるし、逆に個体側の脆弱性が大きければ環境由来のストレスが小さくても破綻が生じるというストレス-脆弱性理論が用いられていることから、業務と本件精神障害との間の相当因果関係の有無の判断に当たっては、業務による心理的負荷、業務以外の心理的負荷及び個体側要因を総合考慮して判断するのが相当である。
2 Xは、本件工事に携わった平成15年8月以降、日中は現場巡視や元請、下請会社との協議・連絡、現場作業員への対応に追われ、午後5時以降に時間と労力を要する施工図の作成・修正作業を行うことを余儀なくされ、平成16年7月までの1年間に月100時間超の過重な時間外労働に従事したことによって著しい肉体的・心理的負荷を受け、十分な急速を取れずに疲労を蓄積させた結果、本件精神障害を発症し、それに基づく自殺衝動によって本件自殺に及んだというべきであって、Xが従事した業務と本件自殺との間に相当因果関係があることは明らかである。
3 Y社は、労働時間について自己申告制を採っていたものであるから、厚生労働省が策定した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平成13.4.6)に照らし、長時間労働が続いていたXに対し、労働時間の実態を正しく記録し適正に自己申告を行うことなどについて十分に説明するとともに、必要に応じて自己申告による労働時間が実際の労働時間と合致するかどうかの実態調査を実施するなどし、Xが過剰な時間外労働をすることを余儀なくされ、その健康状態を悪化することがないように注意すべき義務があったというべきであり、これを怠り、Xの長時間労働の状況を何ら是正しないで放置していたY社には不法行為を構成する注意義務違反があったといえ、またY社には本件結果の予見可能性があった
4 Xの妻らは、Xの異変に気づいていたにもかかわらず病院を受診させるなどの対応をとっていなかったところ、うつ病の発症や治療の要否の判断は容易ではなく、Xや妻がうつ病に関する十分な知識を有していたとも認められず、むしろXの就労状況からすれば、使用者であるY社が当然に労働時間の抑制その他適切な処置をとるべきであったといえる等として、Y社主張の過失相殺が否定された。
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「働き方改革関連法」のポイント 水町勇一郎東京大学教授の講演を1年ぶりに聴くことが出来た(その①)

2018-11-01 | 書記長社労士 お勉強の記録

 10月30日、新宿区立牛込箪笥区民ホールで開催された「関東地区労使関係セミナー」にて、東京大学社会科学研究所の水町勇一郎教授による「『働き方改革関連法』のポイント」についての講演を受講した。
実質的なお話の時間は50分程度となり、用意された4ページのレジュメの半分は割愛となったことが残念だったが。
前回は法案審議に入る前の講演であったし、やはり今回はいよいよ法施行を控えた時期ということもあって、より踏み込んだ内容であって、だから余計に時間が短かったことがもったいなかった。


 今回の法改正は、戦後に労働基準法・労働組合法・労働関係調整法の労働三法が制定されて以来の「70年ぶり」の大改革である。
日本の雇用システムに内在する「長時間労働問題」、社会システムの問題にもなっている格差の原因でもある「正規・非正規問題」という社会問題、「成長と分配の好循環」という経済問題、これらを実現するための「働き方改革」。

 労働時間の上限規制として、36協定について、現行の2つの厚生労働大臣告示を労基法の法文にいれ、さらに上限時間の設定を行う。
原則は月45時間、年360時間、例外として「臨時的な事情で労使協定」、①単月100時間未満(休日労働を含む)、②2~6か月平均で月80時間未満(休日労働を含む)、③年720時間以下、④原則(月45時間)を超えるのは年6か月まで。
休日労働を含んでいるのは過労死ラインの認定基準を法文に持ってきているため、よって休日労働の管理が複雑になることに注意が必要。

 みなさんのところの時間外労働が、現行、この枠の中に収まっているのかどうか飛び出しているのか、飛び出しているなら枠に入れなければならない。
極力、原則の範囲内に収まることが第1課題、収まらなければ第2の課題として、休日労働の管理と、年6か月は必ず45時間以内に入れることが重要。
現行の告示の特別条項も年6回となっていたが、皆さんはおそらくあまり意識していなかっただろう。
監督署も監督に入った際は「過去3か月の記録を持ってきて」という対応であった。
しかし、「かとく」(過重労働撲滅特別対策班)はここを見る、そうすると多くの事業場で違反が出てくる。
繁忙期を正確に把握する必要がある、年間管理しなければならない。
最大瞬間風速のところは、100時間以内になるようにしっかりふたをする、そして暇な時にはきちんと原則の中に抑える。
それでも原則超えが6か月で収まらないなら、人の配置を考える、業務を見直す、場合によったら業務のリストラが必要になるかも知れない。

 次に使用者の年休付与義務について、年次有給休暇制度を作ったドイツやフランスでは年休消化率などという概念はない、労働者はすべて使用している。
事業主が労働者に希望を聴いて1年間に全部振り分けて指定してしまう、労働者は指定された日にわざわざ休みを返上して仕事をしたりもしない。
日本では、まずは5日について事業者に時期指定して年休を付与させる義務を負わす。
5日の年休消化がなされなかったら、罰則がある、30万円以下の罰金、罰則があれば企業は守る(笑)
方法は2種類ある、最初に5日すべてを時期指定する方法と、時期指定しないである時期に点検して不足分を残りに期間で時期指定する方法、後者をわたしは「年末調整方式」と呼んでいる。
現在、年休付与を一括管理しているところは楽だが、それぞれの労働者の入社日によって、五月雨に付与している事業主は、まずは改正法の39条7項ただし書きにある、繰り上げ付与をおこなって一括付与方式にしておいた方がよい。(cf.改正労基法第39条7項ただし書き ただし、第一項から第三項までの規定による有給休暇を当該有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。
五月雨方式のままだと、もしかしたら年休の時期指定と管理のためだけに担当者を1人配置しないといけない羽目に陥るかも知れない(笑)
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連合での会議の際に「全世代型社会保障への展望-2040年を視野に置いて-」という講演を受けた【その5】

2018-09-20 | 書記長社労士 お勉強の記録
 8月7日、連合での会議の際に「全世代型社会保障への展望-2040年を視野に置いて-」という講演を受けた【その5】(その4はこちら⇒https://blog.goo.ne.jp/hisap_surfrider/e/7aa7560bfee0811815045d4f87bcb263


 諸外国の合計特殊出生率の動向を見ると、減少傾向は同様であったが、現在では二分化している。
これは、共働きができる挙環境整備を行ったか、行わなかったかの差であり、各国の年齢階層別出生率を見ても、合計特殊出生率の低い国は30代前半で高いが、高い国は20代前半も高く20代前半も30代前半と同様に高いという傾向があり、やはり違いがはっきりしている。


 出生動向基本調査によると、18歳から34歳までの未婚女性の理想のライフコースは、再就職コース、両立コースの選択が多い。


 出生率を高めるには、20歳代で結婚、出産ができる環境作りが必要。
修正率の高い福井県や新潟市と、低い札幌市を比べてみると、夫婦共働き率、3世代同居率に、大きく差がある。


 除せ有業率と育児をいている女性の有業率の差を「女性就労格差」として、出生率とで、都道府県別にみると、女性就労格差が小さいほど出生率が高く、女性就労格差が大きいほど出生率が低い傾向が顕著。
働きながら出産・育児ができるか(再就職コース、両立コースの選択ができるか)がポイント。


 スウェーデンの「仕事と家庭の両立」支援と、日本の実態を比較すると、対策が見えてくる。⇒保育と育児休業の「2本建て」へ
◎ゼロ歳児は、親が育児休業を十分にとって、養育できるようにする。
◎育休明けの賞場復帰、再就職を保証する。
◎1歳児以降は、待機児童を解消し、保育所での保育を充実する。
⇒育児と仕事が両立する⇒「安定的な女性人材環流サイクル」の確立
そのために重要なのは「職住近接」の子育て環境(神奈川県は職住近接がもっとも難しい)

 と、ここから、具体的に「地位共生社会づくり」「社会保障の効率化・多様化」「支え合い構造の再構築」についての提案がなされるが、その点については割愛。
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