労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

東京労働局助成金事務センター新宿分室を、労働政策審議会職業安定分科会の委員で視察してきた。

2022-01-18 | 書記長社労士 お勉強の記録

 労働政策審議会職業安定分科会の関係で、本日、東京労働局助成金事務センターの、雇用調整助成金と緊急雇用安定助成金をあつかっている助成金4係・5係のある、新宿分室(小田急第一生命ビル)に視察に行ってきた。
事業者の多い東京だけあって、2番目の大阪に比較しても2倍以上の支給申請を取り扱っている。(支給申請件数では全国の約2割、支給額では約3割を東京が占めている)
ここでは、255名の体制(職員72名、相談員134名、賃金職員4名、派遣45名)となっている。


 当初は人員も少なく、また処理のノウハウも確立できておらず、現在の場所に移転するまでは、処理に時間が掛かっていたが、今では人員も増強し、処理のノウハウも改善できてきたが、今でも地域特例・業況特例が出来たときのように、制度変更があった場合には、不備申請が増えてしまうこともあって、大幅に支給ジムが滞ることがあるという状況。
現在は安定した処理が行えているが、今後の制度改正に対応すべく処理体制の構築が必要であるとのことだった。
この表で見ると、青い棒グラフと赤い棒グラフの関係をみるとそのことがよくわかるし、処理残件数の青い折れ線グラフを見ると、現場ではどんな状況になっていたのかが想像に難くない。
実際、殺伐として大混乱していて問い合わせの電話などが鳴り響いている現場を想像していたのだが、静かに淡々と処理されている状況で、そしてとてもシステマチックに作業されていたのに驚いた(お一人当たりの処理件数を聞いたが、それは想像以上にたいへんな数字だったが)。


 これまで迅速支給のための業務体制を取ってきたことで、不正受給調査に割ける労力が限定されてきたが、不正受給が疑われる案件も散見されており、調査体制の整備が急務となっている。
昨日もこんなニュースがあったし(https://news.yahoo.co.jp/articles/0c1199ee07a04fbd7d2dfdf98280f74c6a719944)、厚生労働省も昨年12月に「雇用調整助成金等の不正受給への対応を強化します」(リーフレット「それは、不正受給ではありませんか?)としているが、したがって、ここの東京労働局でも少しずつ(可能な限り)不正調査の人員を増員しているとのことであり、迅速支給と適性支給のバランスをどう確立していくかが課題とのこと。
また、不正調査に至る端緒としては従業員からの情報提供が多いとのこと。


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久しぶりのリアルセミナー受講「働きたくなる、働き方へ。過重労働解消のためのセミナー」

2021-12-20 | 書記長社労士 お勉強の記録

 まだ感染症が拡大する前、昨年2月末以来、久しぶりに、リアルでの会場セミナーに参加。
やっぱ、この方が熱が伝わってくるし、自分の集中力も高い。
やっぱリアルが良いわぁ。
受講したのは「令和3年度厚生労働省委託事業『働きたくなる、働き方へ。過重労働解消のためのセミナー』」、講師はレイ法律事務所 佐藤大和代表弁護士。
というわけで、自分のためのメモ。

人権デューデリジェンス(人権DD) 企業活動に伴う人権侵害のリスク管理(人権に関するリスクの全体像を国際人権基準に従って捉え、適切にリスクを把握・特定し、予防・軽減し、実際に人権侵害が起きてしまった際には是正・救済するために包括的な対応を行うこと)⇒社内だけではなくサプライチェーンの人権問題も対象⇒人権リスクのビジネスへの影響⇒人権に関するリスク25項目、6種類の施策(人権への影響評価教育・研修の実施・社内環境制度の整備・サプライチェーンの管理モニタリングの実施・外部への情報公開⇒過重労働解消


過重労働とは ⇒ ブラック企業
①労働者に対して極端な長時間労働やノルマを課す⇒常態化する
②賃金不払残業やハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い⇒違法労働
③このような状況下で労働者に対し
過度の選別を行う⇒社員の使い捨て状態


4p 過重労働の現状と企業経営に与える影響⇒負の連鎖
業種と業種と各種疾患との関係性との関連性⇒脳心⇒運輸業郵便業(精神疾患 両方入っている(T_T))
労務管理は各従業員の性格を押さえる必要がある⇒電通事件判決
リスク 脳心⇒50代が多い、精神⇒40代をピークに20代・30代⇒健康障害と労働時間の関係

過重労働に関わる裁判例①
アクサ生命保険時間 R020610 東京地裁 具体的な発症はなかった、30~50時間
 心身の不調を来す可能性があるような労働に従事させた⇒損害賠償請求が認められた
⇒使用者には事実関係を調査し、不適切な場合には改善指導を行うなどの措置を講ずべき義務が課せられている。

過重労働解消対策
長時間にわたる時間外労働の削減⇒感情労働・頭脳労働等に対する対策も不可欠⇒企業の意識改革(内圧・外圧)⇒過重労働解消が企業価値を高めるという視点が大事

過重労働に関わる裁判例②
サン・チャレンジ事件 東京地裁H261104 飲食店店長の自殺
⇒取締役としての任務懈怠 飲食店運営会社の安全配慮義務違反、上司の不法行為責任

過重労働に関わる裁判例③
株式会社まつり他事件 東京地裁 R30428 善管注意義務を怠った⇒役員報酬を得てない名目的な代表者であっても損害賠償責任を負う(就任自体が有効であったら)


過重労働と経済法
発注者・親事業者⇒しわ寄せ⇒受注者・下請事業者⇒過重労働 ⇒ 独占禁止法・下請法
【フリーランスのためのガイドライン】フリーランス保護の法律も検討されている

独禁法 優越的地位の濫用 ex)スマップの三人
下請法 下請⇒資本金の規模と取引内容で定義

過重労働防止対策
○全ての労働者の労働時間の状況の把握を義務付け(20190401)

過重労働に関わる裁判例④
池一菜果園ほか事件 高知地裁R20228 量的だけでなく質的にも過重労働になっていないか

○年次有給休暇の取得の義務化
○労働時間等設定改善法改正 勤務間インターバル制度導入の努力義務化(20190401)
○産業医との連携
○時間外労働の上限規制(2019労働基準法改正) 

過重労働に関わる裁判例⑤
ダイレックス事件(長崎地裁 R30226) 無効な変形労働時間制

事業主に求められる措置⇒義務なのか努力義務なのか⇒義務の場合は罰則付きになる
労安法によるストレスチェック制度⇒集団分析⇒過重労働解消に繋げていく
 23pの大切なポイント 特に②

ハラスメント
セクハラ(対価型・環境型)、パワハラ、マタハラ、アルハラ、SOGIハラ(ソジハラ⇒性自認)、モラハラ、エアハラ、スモークハラ、セカンドハラスメント、エイジハラスメント、スメルハラスメント
労働施策総合推進法 パワハラ防止対策義務化(2020年6月 中小企業は2022年4月)
パワハラが起きたらすぐに調査し適切な対応⇒最近、加害側からの相談が増えている

パワハラ ①優越的な関係の基づき、②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、③身体的もしくは精神的に苦痛を与えること 3つの要件を満たすものはハラスメント

26p パワハラ6類型 身体的な攻撃、精神的な攻撃、プライバシーの侵害、過大な要求、過小な要求と評価、人間関係からの切り離し(最近ではライングループに入れないという事例)


効果的なハラスメント解消対策
最新のハラスメントに関する知識⇒ハラスメントを起きる原因を解消すること⇒ハラスメント・社員ストレス等の対策、アンガーマネジメント、コミュニケーション
⇒レッドカード的ハラスメント(1回でも損害賠償責任、刑事と民事)とイエローカード的ハラスメント


 ハラスメント加害者(予備軍)タイプ
指導・信念タイプ、能力限界タイプ、被害連鎖タイプ、ムチタイプ、感情タイプ、部下との相性タイプ、セクハラ復讐タイプ、精神疾患タイプ、部下による虚偽申告タイプ(上司を憎んでいる場合⇒えん罪事件)、部下や同僚からのパワハラタイプ、私生活注意兼いじめ型タイプ

不合理な待遇差の禁止

どのように過重労働を解消するのか?
経営者・管理者・労務担当者の意識改革
過重労働対策推進計画
各部門の役割と連携⇒産業医
労働時間に対する基準
衛生委員会などの活用
医師による面案指導制度
ストレスチェック制度
各ハラスメント対策⇒グレーゾーンばかりを知りたがるのは要注意

過重労働解消の好事例⇒女性の活躍推進、健康経営、SDGsの推進、DX
⇒長時間労働の是正(残業するのが当たり前、残業している人はがんばっているという考え方の払拭←重要かつ難しい)、従業員の休みの改善、職場の雰囲気改善、育児と両立しやすい職場作り、ITの活用、職員間の交流会の実施、定期的な意見交換会を実施、人事評価制度や賃金制度の改善、取引先の改善、高齢者・女性などの採用促進

在籍型出向支援(コロナ禍)


テレワーク・在宅勤務
厚労省のガイドライン⇒就業規則整備・労働条件の明示⇒テレワークを使用者が許可する場所の設定⇒労働時間制度の検討(通常、変形労働、フレックスタイム)⇒勤怠管理(自己申告と実態調査)⇒在宅勤務を拒否する社員への対応(M社事件 大阪高裁H231206)


 リモハラ・テレハラ…パワハラの6類型と同じ
テレワークによるメンタル疾患⇒会話や対面機会が減少、疎外間を覚える、周りからの評価がわかりにくい⇒対面の機会を増やす・定期的にミーティング



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出来高払いの割増賃金 中島ゼミで「トールエクスプレスジャパン事件」について学ぶ

2021-09-13 | 書記長社労士 お勉強の記録
【13 💪部屋1-41 DBenchPress22.5kg DFly17.5kg WidePushUp SitUp Crunch】 先日(2021年8月27日)、労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会の第2回ハイヤー・タクシー作業部会で、第1回の時の使用者側委員の発言について、以下の通り、事務局に質問をした。

「タクシーは、みなし残業で賃率を労使で協定している」

 タクシーは「みなし」で時間外労働、深夜労働の割増手当を支給していいのか?
歩合給賃金であっても、以下の判例もあり、「通常の労働時間の賃金に当たる部分と労働基準法37条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要である」と認識しているがいかがか?

高知県観光事件 最高裁平成6年6月13日第二小法廷判決では、
タクシー乗務員の歩合給について,当該歩合給が時間外及び深夜の労働を行った場合においても増額されるものでもなく,通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することもできないものであったことを理由として,当該歩合給が労働基準法37条所定の割増賃金として支払われたものとは認められないと判断

国際自動車事件 最高裁判所令和2年3月30日第一小法廷判決では、
歩合給の計算に当たり売上高等の一定割合に相当する金額から残業手当等に相当する金額を控除する旨の定めがある賃金規則に基づいてされた残業手当等の支払により労働基準法37条の定める割増賃金が支払われたとはいえないと判断


 そのことはさておき、歩合給(出来高払い)の割増賃金については、2021年2月19日の中島ゼミ(中島光孝弁護士を囲んでの社労士有志による判例勉強回)で 「オンラインになったおかげで参加出来るようになった「中島ゼミ」、今回は国際自動車(第二次上告審)事件「割増賃金相当額を控除する賃金規定の有効性」について学んだ。」)で、深掘りの学習をした。
その時の自分の感想としては、「なんで高知県観光事件【最小判平成6・6・13】でけりが付いている歩合給の時間外労働の問題が、こんなにも長引いてしまったのか、それが疑問だったが、今回のゼミで、以下の通り、すっきり理解出来た。」ということだった。


 が、しかし、今回の中島ゼミ(2021年8月27日)で学んだ「トールエクスプレスジャパン事件大阪高裁判決」では、「本件賃金規則においては、能率手当を含む基準内賃金が通常の労働時間に当たる部分、時間外手当A、B及びCが労基法37条の定める割増賃金であり、当該割増賃金は他の賃金と明確に区別して支給されていると認めることができる」として、対価性を検討する前に、きわめて形式的な判断で「判別可能性」を肯定した。

 この判決の特徴は、国際自動車第2次最判が基準とした、時間外労働を抑制し、労働者への補償を行うという労基法37条の趣旨に従って、対価性及び判別可能性を判断していないこと。
労基法37条の趣旨は、判断の基準として形式的に述べられているだけで、実際の判断の中では顧みられておらず、実際の判断は労基法27条や労働基準規則に明確に違反していなければ、雇用契約と労使合意で自由に賃金規則を制定することができると考えていることだ。
強行法規である労基法37条よりも雇用契約や労使合意を上位に置いているとしか思えない契約自由の原則の一面的な強調が本判決を支える思想であると感じる。

 この裁判における清水響裁判長は、かつて国際自動車事件第2次訴訟一審において労働者敗訴の判決を書いた裁判官で、「契約自由の原則と労使合意を労基法37条の上に置き、労基法27条などの明文の規定に反しない限り、どのような賃金規則を作ることも自由である」ということを前提に判決した。
この判決は控訴審で維持されたが、上告審である国際自動車第2次最高裁判決で明確に否定され、破棄差戻されたのだ。
しかしながら、そのことを反省もせずに、またぞろ、こんな判決をしたということだ。
この裁判官の思想なのかも知れないが、「労働時間規制」よりも労働の効率化を優先する規制する制度としては、労働基準法では2種類の裁量労働制が法定されている。
そこを、法の番人である裁判官が、ごっちゃにされたら、たまらんわ。

 以下は、先日の中島ゼミで学習した部分の抜粋。 

第3 二審判決の問題点
1 国際自動車(第1 事件)第二次上告審判決・最一小判令2.3.30(労判1220 号5 頁)(以下「令和2年判決」とする)との関係

(1)令和2年判決の,当該手当が,時間外労働等に対する対価として支払われるものとされているかどうかの判断。
⇒通常の労働時間の賃金に当たる部分と労基法37 条の定める割増賃金に当たる部分の判別をすることができるというためには,当該手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものとされていることを要するところ,当該労働契約に係る契約書等の記載内容のほか諸般の事情を考慮して判断すべきである。
⇒その判断に際しては,当該手当の名称や算定方法だけでなく,労基法37 条の趣旨を踏まえ,当該労働契約の定める賃金体系全体における当該手当の位置付け等にも留意して検討しなければならない。
⇒トールエクスプレスジャパン事件大阪高裁判決はこの点について同じ判断をしている。

(2)令和2年判決の事案における「歩合給(1)」及び残業手当とトールエクスプレスジャパン事件大阪高裁判決の事案における「能率手当」と残業手当は,以下の算式で算出される。

■令和2年判決
歩合給(1)=対象額A-{割増金(深夜手当,残業手当および公出手当の合計)+交通費}
対象額A=(所定内税抜揚高-所定内基礎控除額)× 0.53
+(公出税抜揚高-公出基礎控除額)× 0.62
残業手当=①+②
①{(基本給+服務手当)÷(出勤日数罰15.5 時間)}× 1.25 ×残業時間
②(対象額A÷総労働時間)× 0.25 ×残業時間

■本判決
能率手当=賃金対象額-時間外手当A
賃金対象額=配達重量部分等の欠く計算対象要素を所定の計算をしたうえで合算し支店係数を乗じたものに,その他の計算対象要素を加算した
時間外手当A=(能率手当を除く基準内賃金/年間平均所定時間)×(1.25 ×時間外労働時間+ 0.25 ×深夜労働時間+ 1.35 ×法定休日労働時間)

ア 対象額Aは,割増賃金(残業手当)の算出の基礎とされている。

イ 賃金対象額は,割増賃金(時間外手当A)の算出の基礎とされていない。

ウ 本判決(トールエクスプレスジャパン事件大阪高裁判決)は,上記違いを令和2年判決と異なり,時間外手手当Aは時間外労働の対価として支払われていると判断した。

(3)労基法37 条の趣旨について
ア 令和2 年判決は,労基法37 条の趣旨は「時間外労働の抑制,労働時間に関する規定の遵守,労働者への補償」であると判示した。

イ 令和2 年判決において,割増金の額がそのまま歩合給(1)の減額につながるという仕組みにおける「割増金」は,出来高払制賃金において,「当該揚高を得るに当たり生ずる割増賃金をその経費とみた上で,その全額をタクシー乗務員に負担させているに等しいもの」と見ることができるとした。

ウ 令和2 年判決において,上記仕組みは労基法37 条の趣旨(時間外労働の抑制等)に沿っているといえないとした。

エ 令和2 年判決において,歩合給(1)が0 円となる場合は,すべてが割増賃金となるという結果について「割増金の額が大きくなり歩合給(1)が0 円となる場合には,出来高払制の賃金部分について,割増金のみが支払われることとなるところ,この場合における割増金を時間外労働等に対する対価とみるとすれば,出来高払制の賃金部分につき通常の労働時間の賃金に当たる部分はなく,全てが割増賃金であることとなるが,これは,法定の労働時間を超えた労働に対する割増分として支払われるという労基法37 条の定める割増賃金の本質から逸脱したものである。」と判断した。

オ 本判決(トールエクスプレスジャパン事件大阪高裁判決)は,労基法37 条の趣旨に言及していない。

カ 本判決において,能率手当が0 円となる場合は,すべてが時間外労働Aとなるが,時間外手当Aが賃金対象額を超えるまでは,能率手当+時間外手当A=賃金対象額であるから,使用者の負担は増大することなく,したがって,時間外労働の抑制効果はない。

2 本判決の特徴はなにか
労基法37 条の趣旨による規制よりも,労働の効率化を優先する思想に基づくもの。


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日弁連が開催した「『テレワーク』という働き方に関するシンポジウム」を受講(視聴?)

2021-04-28 | 書記長社労士 お勉強の記録

 4月23日に、日本弁護士連合会 労働法制シンポジウム「『テレワーク』という働き方に関するシンポジウム」が、パネルディスカッション方式で、zoomウェビナーによって開催されて、自分も受講(視聴?)。
交通の安全と労働を考える市民会議―「ライドシェア」問題を考える―でもお世話になっておる菅俊治弁護士が司会で、使用者側弁護士は、末啓一郎弁護士と大浦綾子弁護士、労働者側弁護士は、新村響子弁護士と竹村和也弁護士。
連合からも、冨田珠代総合政策推進局総合局長が、そして経団連からも参加があって、現場の事例などを紹介し、事前に定められた論点について、使用者側、労働者側の弁護士がコメントをし、議論が展開されていく。

 「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」が今年3月25日に改訂された。
テレワークってなかなか普及しないだろうなって、高を括っていたら、COVID-19で、一気に普及し(人とのつながりが重要だと思い込んでいて絶対にテレワークなど出来ないと思い込んでいた自分の職場でも1回目の緊急事態宣言の時には導入した)、一方で、ガイドラインで書かれていた以上に、メリットもあるし、現場では様々な課題・弊害・トラブルも顕在化した。
オフィスコスト・通勤コストの削減、通勤時間の削減や時間場所を選ばず勤務可能となって生産性の向上、イノベーションの向上などがメリットで、一方で、かえって長時間勤務になったり、サポートが受けられなかったり孤独感などで、メンタルヘルスケアが課題となったり、業務の割り振りや目標設定や評価制度に支障が出たり、通勤手当などこれまでの支給根拠に齟齬が出て、逆に新たな手当の支給の検討が必要になったり。
また、その業務やその人がテレワークに適しているのか、その人は自立的に仕事が出来るのかどうか、これらの判断がけっこう難しいということもわかってきた。

 自分のzoomのver.が古くて、最新ヴァージョンをインストールしないとログイン出来なくて、それが手こずってしまい、冒頭15分ほどを聞き逃したが、しかし一つ一つの論点で、労使でここまで考え方や解釈が違うのかと、ほんと驚くと共に興味深かった。
自分として、特に聞きたかったのは、「実労働時間の把握(長時間労働になりがちだという連合総研の調査結果もある)と事業場外みなしの適否」について、「安全配慮と労働災害(その延長線上に過重労働の脳心臓疾患)」について、「設備・費用負担のルールの定め方と留意点」などだったが、対応に関する考え方の軸は掴めた気がする。

第1 テレワークを議論する意義について
1. 現場の状況や相談の状況、この問題を議論する意義について教えてください。

第2 テレワークの対象・根拠
2. いかなる場合に会社がテレワークを命じることができるのでしょうか。
a) テレワークを命ずる旨の就業規則があれば足りるのでしょうか。個別同意は必要でしょうか。
b) 上記は感染拡大期と平時とで考え方や結論に違いは生じますか。
<使用者側弁護士コメント>
① コロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言発令時は、緊急事態下における臨時的な措置として、テレワークを命じることができる旨の規定の有無を問わず、命じられる。
② 平常時には、配転と同様に命じられるとする見解と、私生活上の場所での労務提供を命じる内容であることから通常の配転命令よりも限定的に考えるべきとする見解あり。
③ 使用者によるテレワーク対象者選定の使用者の裁量に対しては、均等均衡待遇規制、男女差別禁止や不当労働行為禁止に反してはならない等の制約あり。
<労働側弁護士コメント>
① 就労場所という労働条件の変更となること、就労場所が労働者の私的領域となりプライバシー保護の要請が高いことから個別合意が必要となる。
② 就業規則に使用者がテレワークを命じることのできる規程があったとしても、当該定めは公序良俗に反する(もしくは労契法7条の合理性が否定される)。
③ 基本的に感染拡大期、平時で結論は変わらない。

3. いかなる場合に労働者がテレワークを求めることができるのでしょうか。
a) その企業にテレワークの制度が存在しない場合でも、テレワークを請求できますか。
b) テレワーク制度が存在する場合で、使用者が対象者、可能日を自由に制限・選択できるのでしょうか。その場合の留意点・判断基準はありますか。
<参考設例> 非正規社員にはPC貸出を認めていないので,という理由で正社員のみのテレワーク勤務とすることについて問題はないですか(均衡均等待遇との関係)
<使用者側弁護士コメント>
① 就労請求権自体がないことに鑑み、テレワーク請求権もない。
② 個々の事案においては、安全配慮義務履行や、均等均衡待遇規制、男女差別禁止、不当労働行為禁止の観点から、テレワークを認めないことが違法となる余地はあるが、その場合も、テレワーク請求権は発生しない(ただし、労働委員会により在宅勤務をさせることを命ずる救済命令がなされるケースはあり得る)。
<労働側弁護士コメント>
① 現行法上、使用者にテレワークを義務づけるものはない。もっとも、テレワークは労使双方にメリットのあるものであり、積極的に労使合意によって実現していくべき。
② テレワークを希望する労働者が出社できない(しない)場合において、当該労働者に不利益処分を課すことができるかは別途検討が必要。解雇の場合は労契法16条・17条、懲戒処分の場合は労契法15条に則して判断される。その際、コロナ禍のような緊急時において、労働者がテレワークを希望して出社できない(しない)事情が当然に考慮される。
③ 正規労働者にテレワークを認め、非正規労働者に認めない場合、それがパート有期法8条・9条、派遣法30条の3の不合理な待遇の相違にあたらないかが検討されることになるが、テレワーク可能な業務に就いているにもかかわらず非正規労働者にテレワークに就かせないことは不合理となると考えられる。

第3 労働時間管理と労務管理
4. 時間外・休日・深夜労働が増えがちであるという指摘もあります。長時間労働やそれによる健康障害を抑制するためにどのような工夫をしていますか。

5. テレワークを行わせる場合、実労働時間の把握するためには、どのような方法がふさわしいと考えますか。
<使用者側弁護士コメント>
① 新ガイドラインは、「適正把握ガイドライン」の内容と同等であり、テレワークゆえに、労基法違反(賃金不払・上限規制違反)から免責される範囲が広くなるといった解釈はしがたい内容である。
② 使用者としては、通常勤務と比較して労働時間の把握をしにくいテレワークにおいて、把握せざる時間外等労働が発生することによる労基法違反のリスクを回避するためには、時間外・深夜・休日労働を原則禁止とする方針を選ぶこともあるであろう。
<労働側弁護士コメント>
① 客観的方法によって労働時間を記録しなければならない。テレワークにおいて労働時間の客観的記録が困難となる事情はなく、自己申告とする理由はない。むしろ、テレワークは私生活等と近接し、長時間労働となりやすく、労働時間の客観的把握が必要である。
② 具体的には、PC上の勤怠管理ツールが考えられる。また、実際の労働時間と解離していないかを確認するために、PCのログ記録等との突合も行うべきである。

6. 「中抜け」の労働時間管理については,どうしたらよいでしょうか。始業・終業時刻の自由度を高める取り扱いについてはどう考えますか。
<使用者側弁護士コメント>
① 理論的には、「中抜け時間」は、実労働時間からは除外するべきだが、事業所勤務にても勤務時間中に認められている極めて短時間の業務からの離脱についてまで「中抜け時間」とするべきではない。この仕分けについて、合理的基準が必要。
<労働側弁護士コメント>
① ここでいう「中抜け時間」とは、あくまでも私生活のために相当程度の業務中断が行われたような場面 に限定されている(トイレ、短時間の喫煙、お茶のみ等は事業場における就労でも問題にされることはなく、ここでの問題にはならない)。

7. 労働者に対する勤務時間帯中のモニタリングについてはどのように考えますか。過度な監視や私生活への干渉への心配や相談はありませんか。
<使用者側弁護士コメント>
① 業務内容との関連で合理性・相当性がある場合には認められるが、私的生活に対する過度の立ち入りとならないよう配慮が必要である。
② また、当該労働者が従事する業務内容に応じて個別的な検討が必要である。
<労働側弁護士コメント>
① 様々なモニタリングがあり、それぞれの適法性を検討する必要がある。
② 事業場で就労する労働者への継続した監視などは基本的に行われておらず、なぜテレワークにだけモニタリングが必要なのかを考える必要がある。
③ 労働者の私的空間を就労場所としていることからすれば、プライバシーへの配慮は必要である。また、継続したモニタリングによる精神的負荷も念頭に置かなければならない。

8. テレワークに事業場外みなし労働時間制を適用することについてどう考えますか。
<使用者側弁護士コメント>
① 新ガイドラインは、在宅勤務における事業場外みなし制度適用の条件を緩和していた旧ガイドラインを踏襲した上、同制度適用を推奨する書きぶりとなっている。
② 個別事案においては、新ガイドライン案の要件を満たすかという検討ではなく、労基法38条の2に規定する労働時間把握の困難性があるという要件を満たすかを検討すべき。
③ 事業場外みなしを適用する場合にも、安全衛生の観点からの時間把握は必要。
<労働側弁護士コメント>
① 情報通信技術が発達している現代において、在宅労働者の「労働時間が算定し難い」ということは 不可能である(労働時間の把握は技術的に容易である)。
② 働かせ方(即応義務を課しているか否かなど)によって、左右されるものではない。この点でガイドラインや通達の考えは誤っている。
③ 私的空間と近接することによる長時間労働等のリスクからすれば、事業場外みなし制度を適用することは危険。

第4 設備・費用負担
9. テレワークにおける費用負担に関する実情を教えてください。
a) 例えば,PC その他の情報通信設備の購入費用、机・椅子の購入費用や自宅の電気料金の増加分はどう考えるべきですか。在宅勤務手当や通勤費の実費払いなどはどのような扱いがなされていますか。
b) 賃金として扱って源泉を行うべきか問題になる事例はありますか。
<使用者側弁護士コメント>
① 就業規則に規定することで、従業員負担とすることができる(ただし、就業規則の不利益変更の問題あり)
② 出勤日の減少に応じて通勤手当を減額できるかは、各社の規定内容による(交通費填補の趣旨である明記されていれば、減額可能)
<労働側弁護士コメント>
① 業務遂行に必要な費用であるし、出社して就労する労働者との均衡も考えると使用者で負担すべきである 。
② テレワーク実施に労働者の個別合意が必要とする見解によれば、使用者が諸費用を負担しないテレワークについて、労働者がそれを拒否すれば、使用者はテレワークを実現できないことになる。

第5 安全衛生関係
10. 作業環境整備その他の安全衛生の確保について,どのような問題がありますか。
<使用者側弁護士コメント>
① 使用者としては、新ガイドライン案別紙のチェックリストにより、作業環境を確認した上でテレワークを許可するとしておくことがよかろう。
② ただし、プライベート空間の状況についての開示を求めることについては、プライバシーとのバランスで限界あり。
<労働側弁護士コメント>
① テレワーク特有の問題に則した安全衛生上の対応が必要となる。衛生委員会等を活用した細やかな対応が求められる。
② 安全衛生の問題に限らず、テレワークの運用においては様々な問題が生じうる。常にフォローアップが必要であるが、それには労働組合の関与等も重要となる。

第6 人事評価
11. 人事評価が難しいという声はありますか。どのように工夫していますか。



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中島ゼミ 労働契約法旧20条最高裁判決以降の判例からパート有期法8条への応用編

2021-04-21 | 書記長社労士 お勉強の記録

 先日の、中島光孝弁護士を迎えての中島ゼミでは、パート・有期法8条に関しての2つの判例を学習。

アルパイン事件【東京地判令和元・5・21】
 音響機器の製造販売を行う会社(被告)の従業員であった原告が、定年退職後の再雇用において、開発担当部署を希望したが、希望に添えないことを説明されたために再雇用を拒否し、その後定年により退職することとなったが、希望どおりの職種での雇用契約が存在するとして会社を訴えた事案。

名古屋自動車学校事件【名古屋地判令2・10・28】
 自動車学校の経営等を目的とする株式会社である被告を定年退職した後に、有期労働契約を被告と締結して就労していた原告らが、無期労働契約を被告と締結している正職員との間に、労働契約法20条に違反する労働条件の相違があると主張して、被告に対し、不法行為に基づき、上記相違に係る損害賠償を求めるなどの請求をおこなった事案。


 アルパイン事件は「定年後再雇用における従前と同じ職務内容を条件とする労働契約の成否」、名古屋自動車学校事件は「定年後再雇用者の基本給・手当・賞与にかかる労契法20条違反の有無」。
アルパイン事件は、そもそも高年齢雇用安定法9条に関する裁判なのだが、今回のゼミでは、原告がもし定年後の労働条件の差異について、パート有期法8条に反すると訴えた場合はどうなるかについて応用。
名古屋自動車学校事件では、名古屋地裁は、定年時の基本給の6割を下回る部分を違法と判示。
賃金センサス上の平均賃金や若年正職員の基本給を下回り、労使自治が反映された結果でもないとした。
基本給がベースの賞与(一時金)も差額支払いを命じている。
この判決については、ハマキョウレックス事件を踏襲した判断であるかどうか、老齢厚生年金の受給は労契法旧20条・パート有期法8条の「その他の事情」となると判断したか、原告と被告の協議についてどのように評価しているか、不合理という評価はどのようになされたか、定年後再雇用契約についてどう評価したか、判決では正職員定年退職時の基本給の60%を下回る限度で不合理とされたが明確な基準は見いだされるか、などについて学ぶ。


 名古屋自動車学校事件では、
〇再雇用にあたり主任の役職を退任したことを除いて、定年退職の前後で、その職務内容および変更範囲に相違はなかった。
〇基本給が定年退職時の50%以下に減額されてしまい、原告らに比べて職務上の経験に劣る若年正社員の基本給を下回ったこと。
〇原告らの正社員定年退職時の賃金は、同年代の賃金センサスの平均賃金を下回るものであったこと。
〇労働者と会社との間で、嘱託職員の賃金に係る労働条件一般について合意がされたとか、その交渉結果が制度に反映されたという事情がないこと。
〇基本給は、一般に労働契約に基づく労働の対償の中核であること。
◆嘱託職員の基本給は、長期雇用を前提とせず、年功的性格がないこと。
◆原告らが、退職金を受給しており、要件を満たせば、高年齢雇用継続基本給付金及び老齢厚生年金の支給を受けることができたこと。
などの事実が争点となり、「基本給の待遇差も違法となりうる」上に、基本給の待遇差に関し、「労働者の生活保障という観点」から、60%を下回る限度で違法であるというメルクマールを示した判決で、労働組合的には今後の労使交渉にとって嬉しい。
定年退職後再雇用の従業員の基本給を見直すことを検討する企業が出てくることも予想され、今後の定年退職後再雇用従業員の待遇を検討するうえで考慮すべき事例となって、企業側にとっては頭が痛い判例であろう。
今回の中島ゼミも、たいへんお勉強になりました。


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中島光孝弁護士「Q&A 労働者視点でめざす同一労働同一賃金 最高裁判決を踏まえた交渉・手続のポイント」

2021-04-12 | 書記長社労士 お勉強の記録
 ゼミ形式にて少人数の社労士で判例を学ぶ勉強会「中島ゼミ」で講師をしていただいている中島光孝弁護士が、労働者側の視点で同一労働同一賃金を解説し、そして使用者側との協議・交渉・手続き、さらには訴訟を提起する場合を指南する「Q&A 労働者視点でめざす同一労働同一賃金 最高裁判決を踏まえた交渉・手続のポイント」を著作された。


2021年4月、ついに中小企業でもスタート!
2件の最高裁判決(「ハマキョウレックス事件(2018.6.1)」「日本郵便(西日本)事件(2020.10.15)」)の代理人弁護士が、労働者視点で解説!

●裁判で鋭い対立となった争点と裁判所の判断、使用者が出してくるであろう提案、その提案を検討した上での交渉への臨み方、訴訟を提起する場合の主張の要点 等について解説。
●労働者、労働者を支援する労働組合、相談を受ける社会保険労務士・弁護士はもちろん、使用者側弁護士にとっても参考となる一冊。
●参考となる書式構成例も収録。

下記5ポイントがわかる199問のQ&A!
1 労契法旧20条に関する、7つの最高裁判決の分析
2 最高裁判決から読み解く、職務の内容の同一性、均衡待遇といった判断基準
3 新しいパート・有期労働法8条・9条の適用事例
4 事業主との交渉の流れと取るべき対応
5 ガイドライン、厚労省の「基本給点検マニュアル」の解説



 私たちのゼミと同じように、具体的な設問を設定し、それに答えていく形で理解を深めていく方式。
労働契約法旧の20条と、パート・有期法8条・9条の違いが混同しやすいが(特に7つの最高裁判決の解釈との関係)、そこを丁寧に説明してくれているところが、非常に助かる。
そして、やはり自分の立場としては、第4章の「協議・交渉・手続」がたいへんお役立ち!
それとちょっとマニアックながら、第3章「同一労働同一賃金」に関する法制度の第6 行政上の支援・指導・監督で、厚労省の事業者向けマニュアル、職務評価、ILOの職務評価項目などが紹介されていて、労働者側としての留意点が書かれているが、ここがいい。
パート・有期法8条は「事業主」に対する規範であって、罰則もなく、また、労基法13条後段の補充的効力も持っていない、という点が労働者や労働組合として、当面の対応が難しい。
そのために第4章第2の行政手続の解説は、心づもりとして頼もしい知識になる。
ちょっと言葉が難解なので、法律や判例を読み慣れていない人にとっては、読破するのに苦労されてしまうかも知れないが、そこはさらっと読んで、ニュアンスを理解出来ればそれでいいし、実際に困ったことがあれば、その設問を探して、誰にどういう風に何を相談したらいいのかのを読み取ればいいかも。

 自分も実際に、北海道のとある労組からの相談の際に、早速、この本を活用してアドバイスすることが出来たので、もう役立っています。
中島先生、ありがとうございます!!


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オンラインになったおかげで参加出来るようになった「中島ゼミ」、今回は国際自動車(第二次上告審)事件「割増賃金相当額を控除する賃金規定の有効性」について学んだ。

2021-02-24 | 書記長社労士 お勉強の記録
【🏃Run6-15 5.31km 31:47 馬入河川敷】 中島光孝弁護士に講師をしてもらい、ゼミ形式にて少人数の社労士で判例を学ぶ勉強会は、2009年6月26日(金)からスタートした。
第一回の「ネスレコンフェクショナリー(関西支店)事件(大阪地裁判 平17.3.30)」から参加させていただいて、「わいわいランド雇用拒絶損害賠償請求控訴事件」【大阪高判平13.3.6】「管理監督者労働時間制度」(判例を記録していない)「大阪府労働委員会(アサヒ急配事件)」【大阪地判平19.4.25】「三都企画建設事件」【大阪地判平18・1・6】岩城硝子ほか事件(大阪地判平10.12.22)「ラクソン事件(東京地判平3.2.25)」「電通事件」(最高裁小判 平12.03.24)東京日新学園事件(東京高裁判平17.7.13)秋北バス事件フジ興産事件【最小判平15・10・10】「改新社事件」【最小判平9.1.28】などなど(漏れもあるかも)、ひじょうに勉強になる勉強会だったのだが、東京での勤務となって2012年8月31日をラストとして、泣く泣く自分は離脱した。

 しかし、2015年06月24日には、ちょうど大阪に帰っているときとスケジュールが合ったので、久しぶりにスポット参加させてもらった。(労基法上の労働時間と労働契約上の労働時間・賃金との関係
そしてコロナ禍の今、中島ゼミがなんとzoomでのオンラインゼミとなったおかげで、昨年の10月30日の中島ゼミに参加することが出来、「労契法20条判決の検討」ということで、①ハマキョウレックス事件最高裁判決(2018年6月1日・民集72巻2号88頁)、②長澤運輸事件最高裁判決(2018年6月1日・民集72巻2号202頁)、③大阪医科薬科大学事件最高裁判決92020年10月13日)、④メトロコマース事件最高裁判決(2020年10月13日)、⑤日本郵便(佐賀)事件最高裁判決(2020年10月15日)、⑥日本郵便(東日本)事件最高裁判決(2020年10月15日)、⑦日本郵便(西日本)事件最高裁判決(2020年10月15日)についての、判決の内容と、労契法旧20条の解釈適用について学んだ。

 そして、先日の2月19日、オンラインゼミの2回目にも参加、オンラインになってもっとも恩恵を受けていると指摘されつつ、参加。
今回は「割増賃金相当額を控除する賃金規定の有効性」として、国際自動車(第二次上告審)事件(最高裁第一小法廷令和2年3月30日判決)について学んだ。


 この裁判については、このブログでも2016-03-23に「歩合給の算定に当たり割増賃金相当額を控除する旨の規定の有効性」で、一番最初の裁判の判決が労働側勝利で「そらそうだ!」という趣旨で書いた。
が、しかし、なぜか最高裁で差し戻しにされ、他の2つの同様の事件と共に、会社側が勝利し続け、「なんでやねん!」ってなっていたのだ。
で、昨年3月30日、国際自動車残業代請求事件に関する3つの訴訟の最高裁判決の期日で、傍聴しにまで行った。
2020-04-01の記事「国際自動車残業代請求事件 最高裁で3つの事件とも労働者側が勝訴!そらそうやろ!!」でも書いたが、今回の最高裁判決では、手当の名称や算定方法だけでなく、労働者に対する補償や使用者に残業抑止の動機付けをさせるという労基法37条の趣旨を踏まえ、賃金体系全体における位置付けなどにも留意すべきだとした。
そのうえで、歩合給から残業代相当額を引く仕組みは、元来は歩合給として支払うことが予定されている賃金を名目のみを残業代に置き換えて支払うものだと指摘している。
労基法37条では残業代計算のベースとなる「通常の労働時間の賃金」と「割増賃金(残業代)」を判別できることが求められているが、残業代の中に歩合給(通常の労働時間の賃金)が相当程度含まれていることになるため、判別ができないとして、残業代が払われたことにはならないと判断した。
歩合給中心の賃金体系(いわゆるオール歩合賃金やB型賃金)が多くなっているタクシー業界ながら、固定給を中心とした賃金体系(いわゆるA型賃金)を採用している事業者も多数あり、それらの割増賃金の計算や、賃金制度にも悪影響を与えかねないこれまでの下級審の判決だっただけに、この最高裁判決で、ほんと、胸をなで下ろしたのだ。


 しかし、なんで高知県観光事件【最小判平成6・6・13】でけりが付いている歩合給の時間外労働の問題が、こんなにも長引いてしまったのか、それが疑問だったが、今回のゼミで、以下の通り、すっきり理解出来た。

 第二次上告審判決は,「使用者が労働者に対して労基法37条の定める割増賃金を支払ったとすることができるか否かのを判断するため」に,次のようなことが必要であると判示していた。
①割増賃金として支払われた金額が,通常の労働時間の賃金に相当する部分の金額を基礎として,労基法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かを検討することになる」と判示している(労判1220号13頁左列下段イ)。
②その前提として,労働契約における賃金の定めにつき,通常の労働時間の賃金に当たる部分と労基法37条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要。
③判別可能といえるためには,当該手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものとされていることが必要。
しかし、第一次上告審判決は,①②の記載はあるが,③の記載がなかった。

 第一次上告審判決は,本件賃金規則の定めが労基法37条の趣旨に反するものとして公序良俗に反し無効であるとはいえないと判示しているが,第二次上告審判決はその点について触れていない。
本件賃金規則の定めが労基法37条に違反するかどうかが問題ではなく,本件賃金規則の定めによって算定された割増賃金が労基法37条に違反するかどうかが問題であるから触れる必要はない、また,労基法37条に違反した場合には労基法13条により無効であるから,公序良俗(民法90条)を持ち出す必要がない、と判断していると思われる。

 第二次上告審判決は,本件賃金規則は労基法37条の趣旨に沿うものとはいえない,労基法37条の定める割増賃金の本質から逸脱しているなどと判示しているが,第一次上告審判決は,このような判断をしていなかった。

 これらのことによって、第一次上告審判決の差戻後控訴審判決が、誤った判断をした理由だと思われ、それでこの裁判が長期化してしまったとのことだ。

 ところで、「この裁判では一貫して、経営側は「本件規定は,労使間の合意に基づき定められ,労働契約の内容となっている。」という主張をし、第2事件の二審・東京高判平30.1.18(労判1177号75頁)でも、そのことが評価されていたが、第二次上告審判決では、そのことが触れられていないがなぜか」と、中島先生に質問した。
中島先生は「労基法37条は『強行規定』であり、労基法37条に違反した場合には労基法13条により無効であるから,公序良俗(民法90条)と同様に、そのようなことを持ち出す必要がない、と判断したと思われる」とのことだった、納得だ。

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労災保険の「特別加入」について勉強してきたが、労働組合の執行委員長の場合「補償範囲」と「補償範囲外」はどうなるのだろう…

2020-03-05 | 書記長社労士 お勉強の記録

 先日、SRCB 社労士のためのコンサルティング勉強会において、元厚生労働省労働事務官であった社労士の高橋健先生を講師に、「特別加入をナビできる社労士になる!労災保険~特別加入者の業務上外認定~」について勉強してきた。
冒頭、高橋先生は「社労士として経営者にどういう風に特別加入を説明しているのか。『任意加入ではあるが、保険料は格安で、労災の際の補償は手厚い、デメリットといえば事務組合の手数料負担くらいだ』とだけ説明している場合、この説明を受けた事業主は下記の通りメリット・デメリットをこの情報のみで検討してしまう。」と注意を促した。
メリット 何かあったときに手厚い労災補償が受けられる(自分が行っている仕事は労働災害と無縁ではない)⇒治療費の自己負担なし、休業給付は日額2万円とした場合休業1日16,000円、障害は最も下位の14級だったとしても56日分の一時金、保険料も民間より低額。
デメリット 事務組合への委託手数料負担
⇒「厚労省のパンフレット」参照⇒「補償の対象となる範囲」業務災害又は通勤災害を被った場合のうち、一定要件を満たすときに労災保険から給付が受けられます。⇒しかしこれではどのような場合が「補償範囲外」なのかがわかりづらい!

 そこで、特別加入者に対する保険給付に掛かる留意点について解説。
①保険給付を受ける権利 ⇒特別加入者で無くなった後も変更されない⇒通常の労働者と同様
②ボーナスを基礎とした特別支給金は支給されない⇒算定基礎日額のもの⇒例)障害特別年金など
③年齢階層別最低・最高限度額の適用はない⇒給付基礎日額を自ら選択しているから。
④費用徴収(一定の責任がある場合の事業主からの費用徴収および通勤災害の一部負担金)の適用はない。
⑤休業(補償)給付については全部労働不能であること。
⑥二次健康診断給付の対象とはならない⇒安衛法による定期健康診断の対象でないから。
⑦特別加入前に発症した疾病は保険給付の対象とならない⇒加入時健康診断で制限を行う必要ない程度であっても…
⑧メリット制は、特別加入者の分も算定に算入する。

 しかし、その上で、特別加入者に対する補償の範囲(中小事業主)を見ると…

就業中の災害であって、次の①~⑦のいずれかに該当する場合に保険給付が行われる。
① 申請書の「業務の内容」欄に記載された労働者の所定労働時間(休憩時間を含む)内に特別加入申請した事業のためにする行為およびこれに直接附帯する行為を行う場合(事業主の立場で行われる業務を除く)
② 労働者の時間外労働または休日労働に応じて就業する場合
③ ①または②に前後して行われる業務(準備・後始末行為を含む)を中小事業主等のみで行う場合
④ ①、②、③の就業時間内における事業場施設の利用中および事業場施設内で行動中の場合
⑤ 事業の運営に直接必要な業務(事業主の立場で行われる業務を除く)のために出張する場合
※船員である中小事業主等が船員法の適用のある船舶に乗り組んでいる場合は、積極的な私的行為を除き業務遂行性が認められます。
⑥ 通勤途上で次の場合
 ア 労働者の通勤用に事業主が提供する交通機関の利用中
 イ 突発事故(台風、火災など)による予定外の緊急の出勤途上
⑦ 事業の運営に直接必要な運動競技会その他の行事について労働者(業務遂行性が認められる者)を伴って出席する場合
通勤災害については、一般の労働者の場合と同様に取り扱われる。

 で、これらを踏まえて、労災認定事例について解説をしていただいたが、いやはや難しい。

 この講座を受けて、ますます混迷が深まった。
それは労働組合の特別加入のこと。
会社を休職扱いになって、労働組合の専従になった場合、トップの人を「中小事業主の特別加入」にし、その他の専従役員や労働組合で雇用する職員などは一般の労働者となるのだが…。
特別加入となる労働組合の委員長の場合、「労働者の時間外労働または休日労働に応じて就業する場合」でない業務も多いわけで、また「事業主の立場で行われる業務を除く」というのが、委員長のどの業務に当たるのか、考えれば考えるほど悩ましい。

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令和元年度厚生労働省委託事業「過重労働解消のためのセミナー」の受講メモ

2019-11-11 | 書記長社労士 お勉強の記録

 11月1日、 令和元年度厚生労働省委託事業「過重労働解消のためのセミナー」を受講、ってことで講演内容のメモを残しておく。(あくまでも自分用のメモなので、読みにくくても勘弁してください。)

過重労働と脳心疾患発症させるリスク→パワハラにもつながるリスク
経営者の意識変革が重要、全員参加の協力体制の構築が重要(全員が内容にコミットする)
人は最も重要な経営資源、優秀な人材の確保・育成・活用は重要な経営課題
→過重労働→職場に対する満足度が低下、心身の健康を害する→人を失う。
生産性の低下→正確性の低下・品質の低下→ヒヤリハットの増加、
風評(レピテーション)→顧客・投資家・金融機関からの信用低下

精神疾患「うつ病」日本では百万人以上(診断された人)、推計は300万人→生涯罹患する人は男4.2%、女8.3%→2週間風邪の症状と思ったら「うつ病」を心配する→様子を見ようでは何の解決もならない。


過重労働防止対策に必要な知識。
経営者・管理者・労務担当者の意識変革→意思決定して表明する→「過労死や過重労働による健康障害を生じさせない」という方針表明→①環境改善、②健康確保、③労働者全員参加のもと、④月45時間以内、⑤ガイドライン作成・評価(衛生委員会等でPDCA、Cがだめだと失敗する、Cの組み立てが重要、OODA(ウーダループ オブザーブ観察・オリエント方向づけ・ディサイド決心・アクト実行)、⑥フィードバック・改善

勤務間インターバル制度→定量的な制度→WLB→QOLとなる制度

時間外労働は管理者が事前に命令するもの→事後に承認するものではない→36協定の建付け→許可の徹底
過重労働対策におけるセルフケア(労働者自身が気付いて対処すること)
地域産業保健センターの活用
医師による面接指導制度の活用(100時間→80時間に改正)→産業医への情報提供・労働者への労働時間の通知→事業場において定められた基準を設ける(80時間を待ったら時すでに遅し)→様子がおかしなったら3日目・ミスが多くなったら・前に出きていたことが今できていない・ハードなクレームを受けたとき
ストレスチェック制度→平時のコンディションの把握→集団分析を重要視(各職場の傾向を知る、職場把握の宝の山)

好事例の三条件
①トップが本気であること 自ら襟を正す
②女性に優しい レトリック、日本理科学工業(知的障碍者を採用しての取り組み)
③全員参加

パワハラが法律になった。改正労働施策推進法
①優越的な関係を背景にした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えた、③就業環境が害される
パワハラ行為6類型→パワハラ対策導入マニュアル→①トップからのメッセージ、②社内ルール作成、③アンケートによる実情把握、④研修の実施、⑤会社方針の周知・啓蒙、⑥相談窓口の設置、⑦再発防止の取り組み(相談窓口(一時対応)・事実関係の確認・行為者相談者への取るべき措置の検討・行為者相談者へのフォロー、再発防止の検討)
JFEスチール株式会社役員の言葉は、パワハラに関する研修でもよく使われている⇒「全ての社員が、家に帰れば自慢の娘であり、息子であり、尊敬されるべきお父さん、お母さんだ。そんな人たちを、職場のハラスメントなんかで、うつに至らしめたり、苦しめたりしていいわけがないだろう。」
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社会保険労務士として知っておくべき働き方改革関連法~同一労働同一賃金を中心とした実務対応に向けたスキルの習得と適正施行のために~

2019-11-01 | 書記長社労士 お勉強の記録

 10月21日に開催された令和元年度前期統轄支部必須研修会は、宮島朝子弁護士(安西法律事務所)による「社会保険労務士として知っておくべき働き方改革関連法~同一労働同一賃金を中心とした実務対応に向けたスキルの習得と適正施行のために~」だ。
なんと我が友人、おかざえもんこと岡崎教行弁護士の元妹弁❗


 東京会の必須研修で共通のレジュメを使って、安西事務所の弁護士が代わりばんこで講師を担当しているそうで、宮島弁護士は、これまで担当した弁護士から、とにかくボリューミーで時間が足りないと聞かされていたそうで、すごいスピードで話されるので、メモ、たいへんっ💦
しかし途中で、「速すぎた、やりすぎた」ってことに気付かれたようで、そこからはちょっと余裕で「こぼれ話」や「私の考え」が零れだしてきて、クスって笑えるお話もあって、聞きやすくなった~(そのクスって笑えるお話は軽々な内容ではないのやけど、ってのがいい!)
ってことで講演内容のメモを残しておく。(あくまでも自分用のメモなので、読みにくくても勘弁してください。)

諸手当については地裁の判断が高裁でひっくり返されている状況が続いている。(退職金も最高裁の判断待ち)

第1 働き方改革と同一労働同一賃金がなぜ関連付くのか⇒労働施策総合推進法…あらたに基本的理念が追加(3条2項)⇒人中心から職務(ジョブ型)中心へ
 ⇒現在の我が国の企業の実情と異なる(新規学卒一括採用、終身雇用・年功賃金制…)
4条「国の施策」、10条「基本方針」⇒政府主導による働き方改革⇒日本型雇用慣行のあり方の変更へ⇒属人的要素から職務的要素へ⇒いわゆる同一労働同一賃金の施策⇒行政指導に着手「職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル」平31年3月作成

第2 いわゆる同一労働同一賃金とは⇒現行法上西欧型の本来の同一労働同一賃金の原則はない⇒正規と非正規の不合理な待遇差解消のこと⇒「有期労働者」「パートタイム労働者」「派遣労働者」と「(全ての)通常労働者」との間の均等待遇と均衡待遇⇒異なる正社員間の待遇差にはこの法律の対象ではない。
待遇の相違の内容と理由についての説明義務の対象は「最も近い」と判断する通常の労働者⇒使い分けが必要
☆パート有期法においても、原告が、訴訟上、比較対象を選択することができるため、全ての通常の労働者との間で待遇の相違が不合理ではないか検討しておく必要がある。

通常社員と有期・短時間社員との間の待遇の相違について三要素⇒待遇の性質・待遇の目的に照らし考慮して⇒当該待遇につて不合理な相違はあるか?⇒使用者が立証する⇒その立証がないと使用者に不利(井関松山ファクトリー事件【松山地判平30.4.24】)
要考慮三要素に基づき対比すべき具体的事項は⇒同一労働ではなく同一価値労働に着目すること⇒①具体的内容・差異をできるだけ網羅すること、②賃金項目ごとに趣旨を個別に判断すること、③ある賃金項目が他の賃金も踏まえて決定されている場合もあり、このような事情も考慮して判断すること、④手当の趣旨、内容について賃金規則に規定化すること

説明義務の強化や法改正の内容と目的⇒賃金規定や賃金説明書の必要性⇒説明義務の強化の法改正(パート有期法14条)⇒労働者が訴えを起こすことができないといったことがないようにすることが重要(労政審建議平29.6.16)
待遇の相違の内容及び理由の説明の内容は⇒就業規則又は賃金規程化しておくことが望ましい

第3 有期・パートと通常社員の待遇のサイト不合理な差異の禁止をめぐって
待遇の相違があれば直ちに不合理とされるものではない⇒「不合理」であるか否かの判断は規範的評価でその立証責任は⇒❶不合理の評価を基礎づける事実の立証…労働者側、❷不合理の評価を妨げる事実の立証…使用者側⇒不合理と認められた場合は私法上その部分は無効⇒「同一条件」となるものではない(補充効の否定)⇒不法行為であるから「損害賠償」


第4 待遇の「不合理な相違」についての判断・内容について
⇒不合理性の考慮の三要素との関係についての客観的具体化が必要⇒賃金決定基準・ルールの相違の問題⇒正社員、パート有期の地位と職務内容など相違の明白化のため就業規則化の必要性

第5 基本給に関する「不合理な待遇の禁止等に関する指針」をめぐって
指針の適用について⇒同じ賃金決定基準を求めているわけではないということが第一⇒第二は同じ決定基準をとっていない場合、その決定基準の相違が不合理でないことが求められる⇒相違を説明することができるか否かがポイント
三要素に相違があり基本給決定基準・ルール(これ自体が合理的であることが前提)に違いがあれば賃金差は問題とならないか⇒この点については何らのルールがない=判例もない

第6 諸手当をめぐる「不合理な相違」について判断・内容
○賞与 「寸志」支給については相違が不合理とは裁判所は判断しにくいのではないか?⇒正社員の賞与が何なのかが重要(相関関係)⇒賞与の性質(業績、月数、就労の対価...)
○退職金 指針に定めはない⇒同じ事案で判断が異なった事例「メトロコマース事件」⇒今まだ動くべきではない?
○諸手当 退職金、家族手当、住宅手当は指針上に記載なし⇒しかし実務上、家族手当・住宅手当は悩ましい(重要ではないか?)
支給の趣旨・目的に照らし「同一」⇒相違があれば相違に応じて支給⇒どの程度なら不合理ではないか⇒相違の程度に応じた支給とその内容については指針では全く定められていない⇒全て裁判所の判断に委ねる⇒(悩ましい…)
精皆勤手当⇒皆勤奨励の必要性に相違がないのであれば不支給とするのは困難と考える⇒昇級・賞与に出勤成績が反映される事情があれば不支給としても不合理と認められない可能性もある⇒金額の差は三要素との関係で問題ないケースもある

第7 不合理な相違と認められる場合の是正
各賃金項目について趣旨、目的、支給要件を明確に文書化(できれば規程化)して定めること⇒相違についての根拠の明確化⇒三要素との関係づけ

第8 派遣労働者をめぐる同一労働同一賃金への対応(略)

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正規と非正規の労働条件格差の是正-労契法20条をめぐる判例動向と新パート・有期労働法-

2019-10-24 | 書記長社労士 お勉強の記録

 10月16日、運輸労連さんの運輸問題研究集会で、宮里邦雄弁護士の「正規と非正規の労働条件格差の是正-労契法20条をめぐる判例動向と新パート・有期労働法-」について講演を受けたので、メモを残しておく。(あくまでも自分用のメモなので、読みにくくても勘弁してください。)

ハマキョウレックス、長澤運輸
個々の賃金項目・労働条件の趣旨・目的は何か、という点が不合理か否かを判断するキーポイント。
「その他の事情」について、職務内容及び変更範囲に関連する事情に限定されないとしたこと。
判例動向 学校法人産業医科大学事件【福岡高判20181129】、日本郵便事件(東日本)【東京高判20181213】、、日本郵便事件(西日本)【大阪高判20190124】、学校法人大阪医科薬科大学事件【大阪高判20190215】、メトロコマース事件【東京高判20190220】
パート有期労働法⇒均衡処遇ルール、均等処遇ルール、説明義務の立法化
⇒パート、有期、派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針【平301228厚労国440】⇒各社労使でよく検討してもらいたい。
非正規労働者がおかれている状況⇒①不安定雇用、②労働条件の格差処遇による低労働条件、③労働組合への未加入
格差是正に向けての労働組合の取り組み⇒①労働条件格差の総点検、②格差是正に向けての労使交渉、③非正規の処遇改善の取り組みと組織化、④非正規の労働条件改善を理由とする正規の労働条件の引き下げは法の趣旨に反し労働条件不利益変更の合理性を欠き無効
立法と労働運動⇒法の実効性を担保するのは労働者・労働組合の取り組みである「法を生かす」取り組みがなければ法は死文と化す。

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労働法・社会保障法の観点から考える副業・兼業の課題

2019-10-21 | 書記長社労士 お勉強の記録

【21 N3-67 VerticalChestPressM61kg DFry16kg PullOverM30kg SitUp LegRaize】 10月16日、運輸労連さんの運輸問題研究集会で、雨夜真規子社労士の「労働法・社会保障法の観点から考える副業・兼業の課題」について講演を受けたので、メモを残しておく。(あくまでも自分用のメモなので、読みにくくても勘弁してください。)

副業兼業には法律上の明確な定義がない。⇒だからとらえ方には個人差があるかもしれない。⇒射程【本業でフルタイムで働き、おまけのように副業するケース】【A社・B社・C社でボリューム同じくらいで働くケース】⇒どちらも必ず使用者がいて雇用契約に基づいて働いているケース⇒(フリーランスは今日は想定しない)⇒そうすると労基法と労災法が問題の2トップ

なぜ今「兼業・副業」⇒①労働力不足深刻、②著しい長寿化(教育→仕事→引退の3ステージからマルチステージの人生に)、③正社員年収の伸びの縮小(70年代生まれの年収アップ率は低下、賃金の伸びが急激にフラット化⇒世帯年収が上がらない)、④非正規労働者の増加(低所得であるために「食べるために」兼業・副業)
2018年1月 政府は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」、厚生労働省はモデル就業規則を改定(規定を入れてしまった、原則認める立て付けにしてしまった、念のため制限する項目も入れている)

○労働基準法に関する問題
❶労基法38条1項 事業場を異にする場合においても通算する、❷S230514基発769号 事業主を異にする場合をも含む、❸H110331基発168 36協定の問題、❹S231004基収217 割増賃金の問題
実態⇒しかし、「把握していない」「把握していても何もしていない」「通算するなんて考えたこともない」「どう管理してよいかわからない」⇒法令などを無視した運用となっている。
検討会は20190808に報告書⇒実態は「副業兼業に雇用を認めていない」「通算した労働時間が法定労働時間内でしか認めていない」⇒理由「日々の時間管理が実務上できない」「申告に信頼性がない」「変形性があって管理の実務が出来ない」⇒だから報告書では「通算規定」を削除するとしている⇒そして❶健康確保に取り組むことを前提に事業主ごとに上限規制、❷各事業主ごとに割増賃金⇒しかしいずれの案も最後に「考えられ得る選択肢の例示」としている。
⇒本業・副業を合わせて過労死ラインを超える長時間労働をさせることが可能に⇒残業の上限規制が形骸化⇒健康管理が本業か副業かどちらの責任になるか不明確に⇒「労働者の健康確保という法の目的を没却する」(連合の相原事務局長)
参考判例 マンナ運輸事件【京都地判平240713】労勝ち、小川建設事件【東京地決昭571119】労負け、十和田運輸事件【東京地判平130605】労勝ち
学説 菅野、荒木尚志  諸外国 フランス、ドイツ、オランダ
現状、今後の方向性を示していない[私見]⇒一律に禁止するのは難しそう(私的領域に会社が干渉するのは難しい)、一定のルールが必要となるのではないか。⇒「申請・届出」
⇒最大の価値「長時間労働に起因する疾病・負傷の防止」「使用者が負う労働者の健康・安全の管理責任を明確化」⇒労働時間管理・健康管理・職務専念義務・割増賃金

○労災保険法に関する問題
労災保険給付と災害補償との関係⇒労災保険の全体像⇒用語解説、災害補償、給付基礎日額、メリット制
裁判例 王子労基署長事件(凸版城北印刷)【最判昭611216】、国・淀川労基署長事件(大代興業ほか)【大阪地判平260924】、国・新宿労基署長事件【東京地判平240119】(←画期的!)
諸外国 フランス、ドイツ、オランダ
問題解決のために[私見]⇒解釈論に基づいては合算を主張できない⇒力尽くで立法論(合算に否定的な見解の論拠を論点)として合算を検討する。⇒論点①労基法の災害保証責任という枠を超えて補償を拡充している(通勤災害に関する給付、二次健康診断等給付、社会復帰促進等事業、労災保険への国庫補助の導入)、論点②メリット制の問題(❶大企業や労災発生率の高い業種など限定的に運用、❷使用者への不利益よりも社会経済上労働者保護に最大の価値を置くべき、❸通災・二次健康診断等給付・特定疾病と同様に収支率算定に含めないことも可能}

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労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題 その③

2019-07-10 | 書記長社労士 お勉強の記録
【Run3-54 6.61km 39:37 大阪城⇒第25回参議院選挙大阪選挙区「かめいし倫子」候補の選挙事務所】 その②からの続き 神奈川労働弁護団主催「働き方改革」対策セミナー@横浜市開港記念会館。
労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題、講師は、日本労働弁護団幹事長の棗一郎弁護士!(その③)


Ⅲ 個別の労働条件についての判断
ハマキョウ
皆勤手当(出勤する者の確保の趣旨)、無事故手当(優良ドライバーの育成や安全な輸送による顧客の信頼の獲得が趣旨)、作業手当(特定の作業を行った対価)、給食手当(従業員に係る食事の補助)、通勤手当(通勤に要する交通費)、それぞれの趣旨だけで判断している。
住宅手当は不合理でない⇒正社員については転居を伴う配転が予定されている⇒おかしい、負担が増加するのは転居費用、毎月の住宅費の負担は同じ。(大阪のJP裁判は1審で不合理と認めた)

長澤
定年制⇒その他の事情として考慮する
能率給・職務給 不合理と言えない。⇒丁寧に判断している。救いがあるところ。
精勤手当 不合理。
住宅手当と家族手当、役付手当 認めていない。
問題は賞与(もっとも裁判で力を入れているところ)⇒長澤はいい判断している(将来に期待が持てる判断)。⇒①労務の対価の後払い、②功労報償、③生活費の補助、④労働者の意欲向上等、といった多様な趣旨を含みうる。⇒素直に考えれば、有期にも非正規にも、みんなに当てはまる。⇒これは使える。
ただし、長澤の事案では能率給・職務給と同様に丁寧に見た結果認めていない。

Ⅳ 2つの最高裁判決で明確になったこと
❶一部の手当は認めるが、基本給と賞与は認められないというスタンス(下級審もそのような傾向)⇒安倍総理は格差を縮めると言い切ったが、こんな判決で縮まるか(--#)
⇒せめて、まず住宅・家族・有給の病気休暇くらい認めるべき、そうすれば非正規はどれだけ生活が助かるか!(休めない、休んだら生活が成り立たない、年休が使えない、長期に休むと雇い止めになる恐怖)、加えて賞与も認められれば、かなり格差は縮まって非正規労働者の生活が楽になる。
日本郵便、大阪地裁が不合理と家族手当を認めたが、大阪高裁は棄却した⇒大阪高裁判決は「長期雇用のインセンティブ論」を全面的に展開している。
❷損害の割合的認定は否定?
裁判は不合理性を認めた手当について損害額を全額認容した(下級審は割合的認定をしている場合もある)
❸定年再雇用について同条の適用あることを明示
定年後再雇用であれば全ての労働条件の相違は不合理ではないという「社会的容認論」は採らないということ⇒長澤運輸特有の判断、賃金差は8割の差だった。
東京高裁は、定年での相違は不合理でないという「社会的容認論」を取った。

Ⅴ 2つの最高裁判決で明確になっていない点
新法施行後の解釈はどうなるか?
❶比較対象は何か?労働者なのか、待遇なのか?
⇒新法では「当該待遇に対応する通常の労働者の待遇」⇒つまり「待遇」ごとの比較
❷誰が比較対象の労働者を選ぶのか?
⇒原告(労働者)⇒水町教授もそう言っている。⇒メトロコマース高裁もそういう判断をした。
❸その他の待遇のそれぞれについて
常に3つの判断要素を考慮するのではなく、適切と認められる要素を抽出して考慮して不合理を判断するということ。
❹「賞与・基本給」を条文に明記した意味
明文で「基本給・賞与」を書いてあるのだから、積極的に格差を是正していくべき。
ガイドライン
・賞与⇒「貢献について支給するもの」⇒長澤の①~④(①労務の対価の後払い、②功労報償、③生活費の補助、④労働者の意欲向上等といった多様な趣旨を含みうる。)、通常、有期パートにこの趣旨が当てはまることが多いはず。
⇒学校法人大阪医科薬科大学事件「すなわち算定期間に就労していたことそれ自体に対する対価としての性質を有する」「賞与算定期間における一律の功労の趣旨」
・基本給⇒産業医科大学事件⇒確定した
・病気休暇、年末年始休暇などその他の待遇について
病気休暇(有給)、育児介護休暇、(有給の)産休(期間が長い)、労災・安全衛生対策⇒最高裁は判断していない
メトロコマース⇒退職金について一部請求を認めた(高裁)
。パート有期法9条の適用によって救済される事例も?(差別的取扱い)
⇒特に中小企業では、正規・非正規の職務内容、職務内容・配置変更の範囲が全く同一の場合がそれなりにあるのではないか。
⇒長澤は同一であるから新法9条で救済される可能性があるかも。
しかし、「理由として」と規定されており、待遇差は定年再雇用が理由であって、有期であることが理由ではないから、同条の適用はないと使用者側は主張していた。

    

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労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題 その②

2019-07-08 | 書記長社労士 お勉強の記録
【Run1-52 7.20km 47:17 中之島一周】 その①からの続き 神奈川労働弁護団主催「働き方改革」対策セミナー@横浜市開港記念会館。
労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題、講師は、日本労働弁護団幹事長の棗一郎弁護士!(その②)


❹「職務の内容および配置の変更の範囲」の解釈
 「将来、上告人の中核を担う人材として登用される可能性がある」⇒そんなこと言われたら正規非正規は違うに決まっている(一部にはそんな人もいるかも知れないが)⇒可能性だけを言っている。実態を見ていない⇒主観的又は抽象的な説明では足りない。
水町 勇一郎は「同一労働同一賃金」のすべてで⇒「使用者側の主観的・抽象的な説明・事情・認識ではなく、客観的な事情・実態に基づいて不合理性は判断すべき」
例えば、メトロコマース事件 長期雇用確保・定着を図るなどの目的、日本郵便事件 長期的な勤務に対する動機付け、長期雇用のインセンティブ
⇒具体的に基礎づける客観的な実態の違い(人事異動の範囲の具体的な違い)およびその実態の違いと待遇の違いとの関連性・相当性(人事異動[キャリア展開]の実態の違いに相当する職務給や教育訓練の違いなど)を考慮して不合理性を判断すべき
ニヤクコーポレーション事件⇒正社員と準社員との間には、転勤・出向の点について大差があったとは認められない。
「長期雇用のインセンティブ」論?⇒JP大阪高裁判決・JP東京地裁判決は全面的に長期雇用のインセンティブ論を採用しているが、東京高裁判決は採っていない、最高裁判決はほとんど触れていない。
日本郵便は最初から長期雇用を推奨されている、期間雇用社員は65歳の定年制があり定年まで勤務している者も多い。
2016年から、希望者全員を無期転換する施策を行っているにもかかわらず、会社はずっと長期雇用のインセンティブを主張している。
⇒長期雇用の動機付けとか人材活用の仕組みを理由に相違の合理性を判断してはならず、人材活用の実態を考慮に入れるとしても、実態を見て考慮しなければならない。

❺主張立証責任
 当該相違が不合理であるとの評価を基礎づける事実は労働者
相違が不合理であるとの評価を妨げる事実については使用者

❻同条違反の効力⇒正社員と同一の労働条件になる補充効はあるか、損害賠償請求にとどまるか
⇒補充効はない⇒同一の労働条件となるものではない、地位確認は否定。(民主党は国会答弁で補充効はあると言っていたが最高裁は無視した)
窮余の策として、補充効は認められないが、正社員の就業規則の解釈で何とか適用できるのではないか?⇒別個独立のものとして作成されていることなどに鑑みれば、就業規則の合理的な解釈として困難である。

長澤 他の論点について判断
❶個々の労働条件ごとに不合理性を判断すべき⇒不合理と言えるかの判断の構造(判断の仕方)⇒民主党政権時代の解釈、通達もそうなっている
使用者は、個々の待遇は他の待遇と密接不可分に関連していると主張⇒長澤判決は「当該賃金項目の趣旨を個別に考慮すべき」⇒有期パート法の通達もそうなっている。

❷「その他の事情」の解釈 チョイスして判断すると条文はなったが、判決は「相違が認められるものであるか否かを判断する際に考慮される事情は、労働者の職務内容および変更範囲並びにこれらに関連する事情に限定されるものではない」⇒批判すべき⇒菅野説に引きずられたのではないか(--#)
⇒その他の事情がどこまで広がるのか不明で歯止めがないから、無限定な拡大解釈の恐れがある。
労使合意を尊重しろと言うが「労使合意があっても不合理は不合理でしょ」と東京地裁の清水裁判長は言っていたが、最高裁判決がこうなったからどうしようもない。
水町 勇一郎は「同一労働同一賃金」のすべてで「労使交渉や合意そのものが少数者への差別を生み出す元となるいう懸念も否定できない」。労使交渉のプロセスについては、関係する非正規の雇用労働者の意見も反映させた形で公正に手続きが踏まれている場合」かどうか見極めるべき、「団交を経た」だけでは足りず、労使の合意に至ったということが大事だが上記の懸念もあるので、労使交渉や労使自治は重視すべきではない。

❸その他の事情に「定年再雇用」も当たる⇒一事情としか判断しなかった⇒「その他の事情」に従って判断すべき

    

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労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題 その①

2019-07-04 | 書記長社労士 お勉強の記録
 参議院選挙が今日、公示されました!
投開票日は21日(日)ですが、明日から期日前投票が出来ます。
投票所入場券がなくても、選挙人名簿で確認が出来れば、投票が可能です。
投票に行こう!

 6月27日に受けた、神奈川労働弁護団主催「働き方改革」対策セミナー@横浜市開港記念会館をメモしておく。
労契法20条裁判の到達点と新法施行による格差是正の実現の行方~同一労働同一賃金(均等均衡処遇)の実現と課題、講師は、日本労働弁護団幹事長の棗一郎弁護士!(その①)


Ⅰ 基本的視点
 今20条裁判やっている、または闘う準備をしている人はいますか?
私は、JP裁判の主任をやっているが、労契法20条は民主党政権時代にできた条文で、自民党政権になっても打ち消すことが出来なかった条文。
ようやく闘う武器が出来た、それまでは公序良俗でしか闘うことが出来なかった。

 安倍政権は同一労働同一賃金と言っているが、それは間違い、均等均衡処遇である。
昨年、ハマキョウレックス、長澤運輸事件、同時に最高裁判決が出たので、当面、この両判決が基準になる。
来年から新法が施行されるが、この最高裁判決の解釈がどのように変わるのか、また変わらない点があるのか、それを検討しておかなければならない。

 両事件とも、原告は運送会社の運転手(現業職)であることに留意、全くのホワイトカラーで職でない。
長澤は定年再雇用、ハマキョウは正社員には配転があるなっているが、実態としてはほとんど無い。

 ハマキョウの一審原告らの請求の内容
①地位確認請求、②主位的に差額賃金請求、③予備的に不法行為に基づく損害賠償請求(①②とも家族手当や賞与、退職金などは請求していない)
長澤の一審原告らの請求の内容
①地位確認請求、②主位的に差額賃金請求、③予備的に不法行為に基づく損害賠償請求

Ⅱ 最高裁の労契法20条の解釈・判断
 労契法20条の条文上の要件⇒①「期間の定めがあることにより」相違する場合、②3つの事情を考慮して(考慮要素)、③不合理と認められること。
「合理的なものでなければならない」とはなっておらず、「不合理と認められるものであってはならない。」になっており、労政審では当初合理的となっていたがいつの間にか変わってしまった。
20条の法的効力(法効果)⇒不合理な労働条件の禁止⇒とってもやりにくい条文になってしまった(T_T)

両最高裁判決の比較、両判決の関係⇒ハマキョウが基本的な解釈、長澤はハマキョウを参照しかつ解釈を補充している。
ハマキョウ
❶職務の内容などの違いに応じた均衡の取れた処遇を求める規定である⇒均衡だけではなく「均等および均衡処遇」を求める規定であることに留意必要。

❷使用者側は、「定年後再雇用になったから有期と正社員は違いがある、だから条文の適用はない。」と主張。
しかし「期間の定めがあることと労働条件が相違していることとの関連性の程度は、労働条件の相違が不合理と認められるものに当たるか否かの判断に当たって考慮すれば足りる」⇒「労働条件の相違が期間の定めの有無に関連して生じたものであること」⇒「期間の定めがあることにより」の解釈は確定。
ただし、新法(パート有期法)ではこの文言を削除した
①「基本給・賞与」が明記された、②「その他待遇のそれぞれについて」が追加された、③その他の事情のうち「当該待遇の性質および当該待遇を行う目的に照らして」が追加された、④「期間の定めがあることを理由として」を削除した。
水町 勇一郎は「同一労働同一賃金」のすべてで⇒正社員の中に違う待遇の人をおいて、それと有期・短時間と比較するような脱法的行為を招くので削除した。

❸「不合理と認められるもの」の解釈⇒「不合理と認められるもの」と「合理的なものと認められること」と同じ趣旨ではないのか?
⇒同条はあくまでも労働条件の相違が不合理と評価されるか否かを問題とするものと解することが文理に沿うものといえる。
使用者側に立証させるというようにならなかった…労使に同様の立証責任
※菅野説⇒「本条の趣旨に照らして法的に否認すべき内容ないし程度で不公正に低いものであってはならないとの意味に解される」⇒使用者に有利な解釈⇒最高裁は、菅野説を排斥した。
しかし「その他の事情」として労使交渉や使用者の経営判断を尊重すべきとは言い過ぎであり謝り。

    

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