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労組書記長(←元)社労士 ビール片手にうろうろと~

労組の仕事している勤務社労士がもしや誰かの役に立ってるんかな~と思いつつ飲んだくれて書いてるっす~(* ̄∀ ̄)ノ■☆

タクシー運転者の地理試験廃止に思うこと

2024-01-10 | 書記長社労士 公共交通

 タクシー運転者の地理試験廃止が決まる模様。
自分がタクシー運転者の資格を取ったのが1988年、当時、地理試験があったのは、東京・横浜・大阪だけだったはず。
タクシー会社に入社して、大阪タクシー協会の教習所に合宿させられ、2種免許取得のために特訓を受け、大阪門真の運転免許試験所で一発合格したのち、「法令、安全、接遇」及び「地理」についての教習を受けてから、それぞれの試験を受けて、ようやくタクシー運転者の資格を得た。
そして当時在籍したタクシー会社に戻り、座学と実地の教習を経て、さらに教官が助手席に乗ってくれて実際の営業運転を数日行い、ようやく独り立ちした。
そこからがたいへんだったが、そこの話しは割愛。

 当時の「地理試験」。
大阪府下の主要道路、公共施設、駅、イベント会場などが試験に出るが、それがどこかという単純な出題ではなく、複合的な設定で「どうやってお客様を送るか」というもので、子どもの頃からチャリンコ・鉄道・バイク・車で走り回って培ってきた大阪の地理知識とはまた違った出題過ぎてめっちゃ難しかった。
この試験を合格したから大阪の地理がすべてわかったってことではないが、この試験に合格するための勉強が、タクシー運転者としての地理の考え方について、大いに役立った。

 タクシーって、もちろん間違いなくお客様の目的地にお送りすることが一番重要。
しかし、「早い」「近い」というお客様の要望には「遅くても安い」「高くても速い」「快適」「ついでに車窓から観光」とかの要素があり、地理が不安なお客様には「安心」という要素も必要で、そこをプロの判断で最適解を提供するのが醍醐味でもある。
もうずいぶん、現場でハンドルを握っていないが、ナビがあることが前提の後輩たちと話をしていても、ナビは参考で、やはり自分たちが培ってきたノウハウでお客様にとって最高のルートを提供することに、使命だと思っているという声を聴けて頼もしく思っている。
そして、あそこからここまでのルートについてとか、公共施設やイベント施設での稼働状況・鉄道などの他の交通機関の運行状況・高速道路や主要道路の工事とかの規制状況などなど、タクシー運転者仲間が数人集まれば、あるあるながら、いつも自然とそんな議論がはじまる。
例えば、センター試験の時に降雪があって鉄道やバスが乱れている場合とか、自然災害とかで交通傷害が起っている場合も透析患者などの病院輸送の場合など、こんな時こそ、我々プロであるタクシー運転者の実力の発揮どころだ!
カーナビ・地図アプリとは違うビックデータを持っている!(はず…新人もいるのでそこはすみません)

 「地理試験」は、今では、札幌、仙台、さいたま、千葉、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、北九州、福岡の13 地域でしか行われていないとは言え、当該地域のタクシー運転者にとっては、勉強すればそれほど難しい試験ではないものの、この試験で「プロドライバー」としての意識付けがされていたのだと思う。
自分の頃は「東京・横浜・大阪」だけ、その後、13地域に拡大されたが、全国に拡大されても良いと思っていた。
タクシー運転者の資格をもっともっと高度にしても良いと思っていた。
が、今、国は、そのハードルを下げていこうとする。
入り口のハードルを下げると資格が低位に下がる、そうするとその資格の価値が下がる、価値が下がった資格を取っても旨味がないので誰も見向きもしなくなる…。
長い目で見て、これがタクシー運転者の不足を補える施策とは思えない。
すでに2002年にタクシー事業の参入や運賃の規制緩和をして、タクシー事業者の収益が悪化し撤退が相次ぎ、運転者の賃金が大幅に減少し運転者がこの産業から退出し、ってなことは市場にとって失敗だとして、せっかく規制強化に戻して法改正してきたのに。
また、同じことを繰り返している気がするが。

 タクシー運転者という現場を離れてずいぶん経つが、未だに夢で、お客さんに告げられた行き先がわからずパニックになってうなされて飛び起きることがしょっちゅうで、妻はそれに慣れっこで「今夜はどこって言われたん?でも今夜はもう大丈夫やで。寝ろ。」って宥めてくれる。

タクシー業務適正化特別措置法施行規則及び旅客自動車運送事業運輸規則の一部を改正する省令案について
1.背景
 タクシー業務適正化特別措置法(昭和45 年法律第75 号。以下「法」という。)に基づく「指定地域」(法第2条の2第1項)(※)においては、タクシー運転者になろうとする者に対し、「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」(法第48 条第1項)を課している。試験の科目は、タクシー業務適正化特別措置法施行規則(昭和45 年運輸省令第66 号。以下「施行規則」という。)第39 条第1項において「法令、安全、接遇」及び「地理」が定められているところである。今般、カーナビ・地図アプリ等の普及を踏まえ、「地理」に関する試験等について見直しを行うべく、施行規則及び旅客自動車運送事業運輸規則(昭和31 年運輸省令第44 号)について、所要の改正を行う必要がある。
※「特定指定地域」(法第2条の3第1項)を含む、札幌、仙台、さいたま、千葉、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、北九州、福岡の13 地域(下線は「特定指定地域」)

2.概要
(1)タクシー業務適正化特別措置法施行規則の一部改正
 法第48 条第1項の規定に基づき、施行規則第39 条第1項において試験の科目として定めている「地理」に関する試験については、カーナビ・地図アプリが一般に普及した現在においては、運転者に当該試験の合格を求める必要性は低くなっている。このため、「地理」に関する試験は廃止することとするほか、所要の改正を行う。
(2)旅客自動車運送事業運輸規則の一部改正
 「地理」に関する試験の廃止は、カーナビ・地図アプリの普及に伴うものであることに鑑み、「地理」に関する試験廃止後に指定地域(特定指定地域も含む)において新たに登録された運転者が乗車する車両については、利用者にとっての利便性が維持できるよう、道路運送法第27 条第3項の規定に基づく旅客自動車運送事業運輸規則第29 条により一般乗用旅客自動車運送事業者が備え付けるべき地図を、カーナビ・地図アプリ等により表示される地図に限ることとする。

3.今後のスケジュール(予定)
公 布:令和6年2月
施 行:令和6年3月



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