三流読書人

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ドングリ小屋住人 

日本に生きる

2008年03月13日 13時41分52秒 | 事件
85歳の夫と80歳の妻、子供は50年前に亡くしていない。
妻は認知症で夫が6年間にわたって妻を介護してきた。
昨年夫は大腸がんの疑いがあると診断された。
夫は「自分の命は長くない。自分が死んだ後、妻の面倒は誰が見るのか」と考え、昨年11月妻に精神安定剤を飲ませて寝かせた後、絞殺した。
夫は逮捕され、その後がんの摘出手術を受けた。経過は順調だという。
そして昨日の判決。裁判長は懲役3年、執行猶予5年を言い渡した。温情判決と言えるかも知れない。

【 裁判長は、判決言い渡しの後、
「もう少し現代医学を信じ、周りの親族や社会福祉を信じてくれれば、こんなことにならなかった。手術で命拾いをしたのですから、可能な限り冥福を祈って生き続けてほしい」
と諭した。(3月13日付『毎日新聞』) 】とある。

本当に信じていいのか。現代医学はなるほどめざましい発展を遂げている。しかし、今日の社会福祉、高齢者に対する医療制度、幸せに生きる制度、の政策は、社会全体の思想として、裁判長のいうように信じていいのか。
信じられないからこそ、被告は絶望の淵で妻を殺すという最悪の手段を選んだのではないか。
しかも、やりきれないのは、被告は逮捕されて後にがんの摘出手術を受けていることである。
妻を介護しつつ、自分はがんの手術を受けることなど発想できるはずがない。
我々は日本に生きているのだ。



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