1969/04/09に生まれて

1969年4月9日に生まれた人間の記録簿。例えば・・・・

『三玉山霊仙寺を巡る冒険』20.大発見!

2022-10-24 21:07:00 | 三玉山霊仙寺の記録

【大発見!】
GWに入る一週間前の週末、その日も山鹿方面に向かっていた。目的の一つは、鹿北町椎持地区の野外施設で、健康に関するイベントで行われる予定の、東田トモヒロ君のライブを観に行くことだった。そのイベントについては、彦岳と震岳を登ったときにお世話になったNさんの奥さん(Mさん)から教えてもらっていた。Mさんは、妻と友人であり、私が東田君と知り合いであることを覚えていてくれて、その日のイベントにはMさんも行くつもりと言うことで、夫婦揃って誘われていたのだ。

しかし、野外ライブは夕方からで、それまでは十分な時間があったので、妻には悪かったが、その日は朝から夕方まで、博物館へ『山鹿市史』の購入や山鹿市内の神社訪問などの現地調査に付き合ってもらった。そして、もう何度目になるかわからないが、この日もこもれび図書館に足を運んだのだった。

今回の訪問は、これまでKさんが調べてくれたメモを頂くことだった。KさんはA4用紙にきちっとまとめたものを封書に入れて渡してくれた。そして、それとともにA4サイズの手作りされたような一冊の資料を見せてくれた。緑がかっかた表紙に書かれた文字は、『舊山鹿郡誌』となっていた。県立図書館で見た『山鹿郡誌』とは明らかに異なっていて、その冊子は、コピー用紙に無造作に複写した50ページ程度のもので、その雰囲気からして、あまり価値のある資料には見えなかった。

しかし、表紙をめくると、資料の巻頭には、山鹿市山鹿の本澄寺住職が、昭和六十年(1985年)八月一日付けで、本書を取りまとめた経緯が筆書きで記されていた。それによれば住職の父と親交の深かった吉田孝祐氏が山鹿の史跡について記した資料を、氏の三回忌に合わせて編纂したものと記載されていた。

私は閲覧の机に突っ伏してページをめくった。すると、久原村の欄に、「霊仙寺の謂」を見つけた。その部分は三ページに渡って記載されていて、様々な史跡の説明文の中では最も文量が多かった。文章は、吉田氏本人による崩れた行書風の文字の古文調であるため、にわかには理解できなかった。しかし、読める部分から類推すると、そこには明らかに霊仙寺と三玉についての由来が記述されているようだった。拳に力が入った。資料から目を離すと、目の前にはKさんが立っていた。女神に見えた。

ハリウッド映画の主人公ばりにKさんを抱きしめたい衝動にかられたが、今日は妻が一緒で、ここはしかも図書館だ。声を殺したつもりでも小声にならない自分の声が、感謝と喜びの気持ちをKさんに伝えていた。そして必要部分の複写をお願いしたのだった。

今のような興奮状態では、どのみち読めたとしても正しい理解には至らないと判断した。帰宅後の落ち着いた時間に、腰をしっかり据えて読もうと思った。

ライブ会場に着いた時は雨模様となっていた。しかし、ライブが始まる時間には雨が上がっていた。東田君の歌声は、やっぱり野外が似合う。一番好きな「ヒーロー」も歌ってくれた。ライブ後、東田君とこのイベントの主催者である奥さんと久しぶりに言葉を交わすことができた。それから、東田君のバックバンドの中に、高校時代の数学の先生のご子息であるT君を見つけた。

もう15年以上前のことだと思うのだが、あるライブ会場の後ろの隅に、その会場には全く不釣り合いな年配の男性を見つけ、それが高校1年生のときの数学の担当教師だと気づいたのだ。先生は、私のことなど忘れているだろうと思ったが、こちらには忘れられない記憶があった。それは、授業中に黒板の前で問題が解けなくて固まっている私に、クラス全員の前で「オマエは理系に行くなっ!」と言って大恥をかかせてくれたのだ。15年以上前のそのライブハウスで、少々アルコールが入っていた私は、その過去について問いただすべく先生に近づいた。挨拶を済ませると、間髪入れずに先生が返事をしてきた。
「倅なんだよ、あれ」
貴様は黙ってろとの拒否感たっぷりの雰囲気で、私には目もくれず、先生の視線の先には、長身だがまだあどけなさの残る少年がスポットライトを浴びてギターをかき鳴らしていた。先生に似ていた。ステージデビューしたばかりの我が子を見に来ていて、会場の隅から応援していたのだ。

私は、そのことを初めてT君に話した。先生は元気とのことだった。何よりだった。

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