鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

他の人間が話しかけるとき蝋人形は人間となる(GLASS4-3)

2008-05-07 22:52:29 | Weblog
 じっと立っていた風変わりな二人のうちの一人、トイードルダムが突然アリスに言う。「僕たちのことを蝋人形だと思うなら君は料金を払うべきだ。蝋人形はただで見せるために作られたんじゃない!絶対にない! Nohow 」と。「それと反対に Contrariwise 」と今度はトイードルディーがアリスに言う。「僕たちのことを生きていると思うなら君は僕らに何かを話しかけるべきだ」と。これに対しアリスはただ「本当にごめんなさい」と言うのが精一杯だった。
 さて前半の発言の謎:トイードルダムはなぜ“アリスが彼らを生きていないと考えている”と思ったのか?後半の発言がこれに対する答えを示す:アリスが彼らに話しかけようとしなかったからである。一般的に言えば人間が話しかけようとするとき、その話しかけられる相手は生きている人間となる。つまり他の人間(他者)が話しかけるとき蝋人形は人間となる。逆に他の人間(他者)が話しかけることをやめれば人間は蝋人形となる。