ハッピー&ラッキー

コレクターズとピロウズとANATAKIKOU、その他音楽やいろいろ。

BIFF BANG POW

2005-09-02 | コレクターズ
コレクターズのモッズカバーアルバム「BIFF BANG POW」を聴きまくっています。一曲ずつの感想記事書こうかと思ったのですが、原曲知らない状態でそれもどうかと思い、ただの全体感想を。スミマセンここからコレクターズというか加藤ひさしに対するものすごい盲目信者感想が出てくると思うので、そういうのが嫌いな方は、読まないか薄目で見て失笑するかの選択をよろしくお願いします。

まずジャケットがかっこいいですね。同時発売のベスト盤と対になるようなデザインになってるせいで、通常なら表の面に裏ジャケが来て、裏にリッケンのボディが描かれてるこの妙なアンバランスさがぐっと来る。そもそもこの、リッケンのボディをロンドンの地下鉄路線図で表すってアイデアがいい。加藤さん、服装とかいろいろなところでセンスを疑問視されてる節があるようですが、やっぱりいいセンスしてると思うなー。

内容はさすがに、リーダーが好きな曲ばかりってことで、いい曲が満載ですね。でも何が好きかって聞かれたら、プラグミーインと恋のイナキュレーションと答えてしまいそうな駄目なわたくし。だってイナキュレーション良すぎる…。先日のクアトロでも、「みんなが一番好きな曲」と言ってメイビートゥモローやったのですが、そのMC聞いて素で「イナキュレーション!?」と思ってしまったほど。モッズ好きな方には、原曲も知らない素人がと思ってくださって結構なのですが、ほんとこのアルバムの中で見劣りするどころか、すごい存在感だと思ってしまうのですよ。クアトロおまけCDでもらったときからいい曲だなーと思ってましたが、あらためてこういう、そうそうたるナンバーの中に放り込まれて、それでも輝きが衰えないのってすごくないですか。「からっぽの頭…」から続く、コータローさんとの掛け合いなんてもう震えるほど良い。「そういうシステムなのさ ぐずぐずしないで 今 出て行こう」の歌詞も、なんというかさわおがあこがれるのがよく分かる、自分が受け入れられない状況に対する静かな諦めが感じられてたまらない。

自分が若いころに出会っていても、好きになったかどうかは怪しいと思っていたコレクターズですが、この曲に会っていたら分かんなかったな。当時ブルーハーツが大人気で、それの劣化コピーのようなバンドが雨後のたけのこのようにデビューしまくっていた80年代後期から90年代初頭。ブルハは好きで聞いてましたが、どうしても青臭いビートパンクが苦手で、音楽的には好きだったけどパンクムーブメントみたいなものに抵抗があったこわっぱの私には、このイナキュレーションに代表される、加藤ひさしの冷めた孤独感は魅力的に映ったかもしれないと思ってしまいます。それも青臭いと言ってしまえば確かにそうなんですが、10代の若造にはちょっとしたことが違って見えるんですよ。そして今はそんな繊細さも無くしてしまっているのかもしれないと思うと、いいんだか悪いんだか。

なんか自分の思い出話になってしまって脱線してしまいましたが、もう一曲の加藤さん作曲「プラグミーイン」。これ、マジェスティック・フォーで出された時点ですでに一番好きな曲だったので、今回マジェからこれがピックアップされてとても嬉しいです、しかしおバカな歌詞だなあー。加藤さん、クアトロで妙にMCがエロモードだったのは、この曲に代表されるように、アルバムの日本語詞がわりとバカエロテイストだったからでしょうか。でもそんな歌詞なのに、加藤さんの歌の上手さでか、まったく下品に聴こえないところが素晴らしい。「たとえば宇宙を 旅するアポロと ソユーズさ」のところなんて大好き。ソユーズって名称がなんだかとても素敵な単語に聞こえてきますよ。演奏も好きなんだーこの曲。マジェのころと、あんまり大きくアレンジも変わっていなくて嬉しかった。その点も他の曲と同じように、原曲に忠実に、ってのを守ったのかな?

よくMCのネタで、出版社を通じて作曲者に英語で手紙を書いて許諾を申請したという話をしていましたが、普通そういうのレコード会社とか事務所がやることですよね。その辺を自分でやっちゃうのって、というかやらざるを得ないんでしょうが、でもかっこいいなあ、ミュージシャンだなあって思ってしまいます。コータローさんが、事務所の閉鎖などで大変だった時期に、自分達で何とかやっていたことを振り返って、「ギターを弾く場所を自分達で作るのもロックバンドの仕事」だと言っていたのを思い出しますよ。今回のカバーも、時間も予算もけして潤沢だったわけではないはずなのに、何このクオリティ。音もいいし歌も演奏もうまいし、なによりいい曲ばっかりで聴いててすごく楽しい。

ただ唯一惜しいと思ってしまったのが、このカバーアルバムを出すに当たって、THE BIKEの新録というアイデアもあったとインタビューで聞かされたこと。なんだようモッズファンではなくコレクターズファンの私にしてみれば、そっちのほうも聴きたかったよー。今回カバー集が出たって事は、もうその企画はお蔵入りですか。それともアイデアが出たわけだから、これからに期待してもいいんですか。一時期ライブでやっていた「だから僕らは」が、ものすごい好きなのでぜひまた聴きたいです。それ以外も小出しにされてるバイク時代の曲、いい曲ばっかりだしなー。こういう企画盤(企画盤言うな)ばっかり出すわけには行かないだろうから、次のアルバムは通常のスタジオ盤になるんでしょうが、バイクの新録アルバムもいつかは出して欲しいですねえ。

加藤さん作曲の2曲以外で何が好きかを書こうと思ったけど、割と全部満遍なく好きなことに気付きました。あえて言うなら2、4、10、11曲目かな。13曲目の「シャララ」もいいね。おっさんたちのシャララ、ってコーラスが可愛いよ。