むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

アングレカム セスクイペダレ:ダーウインの蘭 

2017-01-23 12:25:04 | 植物観察記録

植物園の温室の目立つところにダーウインの蘭が咲いていました。
アングレカム セスクイペダレ(ラン科)という名のこのランは、ダーウィンの蘭という通称でよく知られています。
その由来は、ダーウィンが1862年にセスクイペダレの花を入手し、その非常に長い距(20-35cm)に着目し、1862年の著書『蘭の受粉』の中で、「距の奥の蜜腺まで届くほど長い口吻を持った送粉者の蛾が自然選択されている」と推察しました。
『蘭の受粉』発表後しばらくの間、彼が推察した異常に長い口吻を持つ送粉者という考えは受け入れられることなく経過しましたが。ダーウインの死後1903年に、ダーウインの予測が当てはまる長い口吻を持った蛾、キサントパンスズメガがマダガスカルで発見されて、ダーウインの仮説が正しかったことが証明されました。
これは後に「共進化」といわれる現象で、簡単に言えば、ランは専属の送粉者を持つことで他種の花粉を受けることがなくなるとともに、無駄な蜜を作らずに済むことでコスト削減ができ。送粉者のガは、
ランの蜜を独占的に確実に得ることができるように、互いに進化してきたという概念です。
異常に長い距に自然の不思議さを秘めたダーウインの蘭は、長い進化の時間を語ってくれているようでした。