暦のはなし／太陰太陽暦（陰暦）

大陰太陽暦

「旧暦」・「陰暦」とは…

天保暦「陰暦」といいますが、旧暦とは今の暦に対して旧い（ふるい）と言うだけの意味です。

正しい「陰暦」は、お月様のサイクルに合わせて暦の月を立て１年１２ヶ月で暦を作ります。

１年３５４日強にしかならず、季節は全く無視ということになります。

しかし、季節変化のある日本のような国にとってはそうもいきません。

そこで太陰暦を太陽暦調節した暦が出来たのです。

それが「太陰太陽暦」と言います。

「朔日」←ついたち、つまり月の初めの日ですが、暦の定義では「朔（さく）を含む日」とされています。

天文学では「月が太陽と同じ方角にある瞬間」のことをいい、つまり西方の空に、日の入ったあと、月がほのかに見えはじめる日ですね。

月のサイクルは「一朔望月」といい、朔から朔までと定義されています。

現在その平均は２９.５３０５８９日となっています。

しかし、暦のひと月は整数でなければいけませんから、太陰暦では小の月を２９日

大の月を３０日とし、それを組み合わせて、一ヶ月の平均が２９.５３０５８９日になるように暦を作っていきます。

つまり、太陰暦の一年の平均日数は・・・３５４日強にしかなりません。

２９.５３０５８９日×１２ヶ月＝３５４.３６７０６８日

そうすれば、太陽暦との差は、約１１日弱ですね。

（太陽暦）３６５.２４２２日－（陰暦）３５４.３６７１日＝１０.８７５１日

一年に１１日もずれたのでは、季節が合わなくなります。
そこで閏年を設けたのです。

２９.５３０５８９日÷（１年の差）１０.８７５１日×１２ヶ月＝３２.５８５２月

つまり、３２ヶ月～３３ヶ月に一回の割合で閏年を設定すればいいのです。

太陰太陽暦では１年が１２ヶ月の年を平年といい１３ヶ月の年を閏年といいます。

一番多かった日数は、　平年が３５４日　閏年が３８４日　だったそうです。

しかしこれでは、日付で季節を表せなかったのです。
この曖昧な季節を次回にでも俳句でご紹介したいと思います。

戻りますが、これを日本は明治５年まで使用していたのです。

そこで明治の改暦は何故起こったのでしょう。

当時の先進国は殆どがグレゴリオ暦を採用していた。

ロシアは大国でありながら、ユリウス暦をを使っていましたので、
　　文明的に遅れた国と見られていた。

１年が１３ヶ月もあるような暦を使っている国は殆どが植民地などに陥って
　　いるところが多く軽蔑されていた。

外国との交渉があれば、調印日の記載に問題が起きた。
「日米修好通商条約」の調印日の最後にこんな解説があった。
・・・・・此取極（このとりきめ）のため、安政五年六月十九日（即　千八百五十八年亜墨利加（あめりか）合衆国独立の八十三年七月ニ十九日、）　江戸府に於いて前に載たる両国の役人等を記し調印するもの也・・・・・・・
つまり、日付の説明が必要だったのです。


もう一つは財政問題です。
鉄道や港湾、学校や徴兵制、軍備拡張と財政支出に問題を抱え又、士族や役人への禄の支給は、年俸制だったのですが、
明治４年から月給制に替わり役人の給与を年に１３回も支給しなくてはなりません。

そんなこんなで、太陽暦に切り替えたのですね。

こんなこともありました。
外国人技師を雇いましたが、彼らは日曜日が休みです。
当時の日本では、１と６の付く日に休んでいたようです。

鎖国時代は不便も無かったのしょうが、外国との交流が深まればそうもいかなかったようですね。