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ひーさんの散歩道

道には、様々な歴史や文化が息づいている。
歴史に触れ風景に感動し忘れていた何かを探したい。

謎の子守唄

2009年07月30日 07時34分25秒 | みちのく昔話
謎の子守唄

昔、あったど。
あるところに、旅僧(たびそう)がいて人の家の門さ立っては、
「ニャーニャモニャ、カニャモニャ。 ニャーニャモニャ、カニャモニャ。
 カランカラン。 ニャーニャモニャ、カニャモニャ。
 ニャーニャモニャ、カニャモニャ。カランカラン。」って拝んで歩いてたんだと。
 ある秋の日、拝んで歩いているうちにとっぷりと日が暮れてしまったんだと。
旅僧は、「ああ~日が暮れてしまった~・・・」
見るとある家の前、「そうだここに泊めでもらうべ」と思い、
そこのおどっつぁまさ、「これこれこういうわけで、今日は日が暮れてしまった、
泊めでいただけねべが?」ってお願いしたんだど。
すると、そのおどっつぁま、旅僧の頭のてっぺんから足の先までじろじろ見て・・・
「ああ、いがすいがす泊まらいん。 さあさあ、足洗ってきて、風呂も湧いでだがら、へいらいん」
旅僧は、あったけいご飯もごっつぉうになり
「さあさあ、疲れだべがらお休みないん」
旅僧は、たまげて親切な人もいるもんだなぁと思いながら、敷いてもらった床に寝たんだど。

旅僧は疲れていて、ぐっすり寝ていたんだけど、歌が聞こえて来て、夜中にふと目が覚めたんだと。
そしたら、そこの「がが様」が、「わらすこ」おぶって、そこの廊下を行ったり来たりしながら、
子守歌っこ歌っていたんだと。
旅僧は、どんな歌を歌っているのかと聴いたれば、なんべんもなんべんも歌っている。
よ~っく歌っこ聴けば。

 りんがじんと、ががじんと、
   だんずることをもんすれば、
     旅僧(りょそう)をせっすとぐんだんす。
       草にそうこうないときは、
          やんまとやんまをかさねべし。
             ねんねんころろ、ねんころろ。

って歌ってたんだと。
「たまげで不思議な子守歌もあるもんだなぁ?」と思って聴いていたら・・・

「はっ!!」としたんだど。

「りんがんじと、ががじんと」とは、隣の人と我が家の人ということで、
「だんずることをもんすれば」とは、語っていたことを聞いていたれば、
「旅僧(りょそう)をせっすとぐんだんす」とは、
たびの僧を殺そうということだ。
「草にそうこうないときは」とは、草という字に、くさかんむりが無いのは、
「早く」ということで、
「やんまとやんまを重ねべし」とは、山と山を重ねれば、出るという字だから、

つまりこの歌は、「ここの人と、となりの人が語っていたのを聞いたれば、旅僧を殺して、
金を取っぺと言ってたから早く出て行け」ってことか!

旅僧は飛び上がって起きて、枕を床の中に突っ込んで、帯もしねで裏の口から逃げていったんだと。

それを知らない、そこの家の「おやんつぁま」と隣りの家の「おやんつぁま」、
「旅僧は今頃疲れでぐっすり眠ってっぺがらそろそろいいな。
あの身なりからして、随分金を持っているようだから二人して山分けすっぺし。
と研ぎ澄ました刀を持って、抜き足、差し足、・・・・
そこっと旅僧の部屋さ来たんだど。
ガラッと戸を開けるとズックりと、布団の上から刺したんだと。
ところが、刺したのは枕で、旅僧は逃げたあと・・
「ああ~悔しい~」
じだんだ踏んで悔しがったげっとも、結局逃げられてしまったあとだったんだと。


そこの「ががさま」も、旅僧も普段から歌の意味が分かるほどの学問の力があったから、助けることも出来たし、助けられることも出来たんだどっしゃ。

どーびん。

                   話者:只野 とよ(旧遠田郡小牛田)
                   再話:佐藤 達夫
原作は、話したままを文字にしているため、文体も一部書き換えました。
                  再再話:ひーさん



勉強は無駄にならないのですね。

私にはもう遅いようです・・・この本を小学校の時に読んでれば、おいらの人生変わってたかな~  後悔先に立たずとは、このことか????

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25 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
林さんへ (ひー)
2009-08-05 22:56:30
私も初めて聞いた話しでした。
また、面白そうなのをさがしてアップします。

原本は、本当によくカナにしたなと思う発音でした。
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初めて聞いたお話 ()
2009-08-05 22:29:05
面白い話でした。

東北人でも この言葉はわかりにくいですね。

ひーさんの解説した言葉がなかったら 理解できなくて頭が痛くなりそうです。
返信する
オズさんへ (ひー)
2009-08-02 21:09:22
勉強も悪くは無いですが、手に職をつけるのが一番です。
何物にも敵わないものです。
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いやいや (オズ)
2009-08-02 18:54:53
怖いはなしっこですね。

はーわだすももっと勉強してればよかたっちゃあー
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みっちゃんへ (ひー)
2009-08-01 08:07:27
読めないことも無いかも?

特にニャ→ニョ わかります。
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時節柄・・・・ (みっちゃん)
2009-08-01 00:12:38
どぉ~も冒頭カタカナが、
ポ~ニョポニョポニョと見える今日この頃でず(・_・)ノ
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ミモザさんへ (ひー)
2009-07-31 13:05:07
なるほど!
そりゃぁいい・・・
確かに人の集まるところでは、訛りながらも上品に喋りますし、サークル活動に参加されてる方は、社交的ですからね。
気の知れた人にしか、砕けて話せないのも事実です。

東北での営業なんかは、方言で会話が出来るようになれば勝ちですね。
かしこまって、話しているうちは、他人扱いです。
返信する
いーさんへ (ひー)
2009-07-31 12:34:11
がが様は、その家の奥さんですからね、だから教えたのが分からないように、子守唄にして伝えたのですね。

つまり、旦那さんは学がな無かったのですね。
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あーさんへ (ひー)
2009-07-31 12:17:17
遠野物語のマイナーな民話もどこかにしまってありますので次は遠野の民話にでもします。
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いっくさんへ (ひー)
2009-07-31 09:52:44
ばぁちゃんの言葉を普段の自分の言葉に置き換えましたが、それでも濁点が多く…改良しました。
例えば、言ったそうです→いったつぉ
これでは、わかり難いと思い→いったんだと に直してます。

今の子は、方言を使いませんからね。
ばぁちゃんと暮らした子は理解出来るとは思いますがね
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周りにはいなくて・・・ (ミモザ)
2009-07-31 08:18:42
お早う御座います~♪
私の周りには方言を使われる方が余り
いません(>_<)
サークルなど、年を召された方は若干いますが
分からない方言を使うと、私に教えて!といわれるので、余り使ってもらえないのですよ。
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がが様に (維真尽(^^))
2009-07-30 23:52:50
危険は なかったんでしょ~か?

いや~
年取ればとるほど
興味が湧いてくるものではないでしょ~か?(^_-)~☆
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お晩です (あーさん)
2009-07-30 23:17:59
柳田国男「昔話覚書」という本をgetしてありますが、貴記事のお蔭で俄然読む気が起きました

ありがとうございます ♪
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Unknown (ほでなすいっく)
2009-07-30 21:56:13
なんとした
旅の坊さんを殺してお金とろうだなんて、罰があだんだがら!!
こいづら、ろぐな死に方しねぇど~

東北弁って、活字にすると微妙なニュアンスが伝わらないですよね
返信する
桃源児さんへ (ひー)
2009-07-30 21:32:02
読みにくかったのでは?
原作は、もっと読み難いものでした。と言うか東北弁を活字にすることが至難の技です。
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ミー太郎さんへ (ひー)
2009-07-30 21:16:32
昔人の教えですかね。

知恵が自分の命を救ったと言うことですね。
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Unknown (桃源児)
2009-07-30 17:22:53
方言での昔話、味わいがありますね。
学問は正に身を助けるということですね。
普通なら、あまり意味のない歌として考えずに寝入ってしまうかもしれないです。
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Unknown (ミー太郎)
2009-07-30 16:00:05
これはまたのんびり・ほんわかとした昔話と思いきや。。怖いですね~
歌の意味が分からなかったらそのまま爆睡!
何でも勉強はしておくものなのですね。教訓!
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momohana*さんへ (ひー)
2009-07-30 13:18:36
意外と、皆さんも思っているのですね。

上を見ても下を見てもきりがありませんが、こうしてPCから見ている人はまだいいのかも?
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ぱるえさんへ (ひー)
2009-07-30 13:12:31
昨夜バタバタ書いて挿し絵も30分位で仕上げたのですが、考えたら日がとっぷり暮れたのに青空は無いぞと思い多少直しましたが、夕日にすればよかったと後悔してます。
まぁ、勉強の良し悪しは、天の定め…
曲がったことをしなければ、それで良し!
正しく生きよ! ですかね。
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ミモザさんへ (ひー)
2009-07-30 13:00:29
ミモザさんはすっかり耳慣れしたでしょうから、でも、お年寄りのことば時々分からないことがあるのでは?
今はもうありませんかね?
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まるで・・ (momohana*)
2009-07-30 10:25:27
日本昔話を見てるかのようでした~。
後悔先に立たず。まさに、私のこと。
耳が痛いです~(ToT)
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Unknown (└|∵|┐高忠┌|∵|┘)
2009-07-30 09:28:26
いい話を教えていただきました
ありがとうございます。

両肩に山の如き後悔あり
されど気づきはじむるに
遅きはなしと気持ちだけは
若者とうそぶく私です。

遅くなんかないですよ。
後悔を後背にしちゃって
前進いたしましょう!!

でも、坊さんはともかく
ががさま、すごい教養人ですよね・・・
返信する
私も後悔してます… (ぱるえ)
2009-07-30 08:14:39
「勉強できなくても、人と仲良くやっていければいいよ」なんて子どもに言ってましたが。
学力は無駄にはならないですよね。やっぱり勉強させようかな~
ひー画伯、絵本出せそうですね。おやんつぁまの目つきが悪そぉ~!!
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良かったです! (ミモザ)
2009-07-30 08:11:40
お早う御座います~♪
可愛いアニメに昔話を読ませて頂きました。
やはり、ひーさんが訳しているから分かりやすく原文のままですと時間が掛かりそうな昔話でした。
いつ聞いても楽しい昔話や民話ですね(^^♪
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