こだわりメモ帳

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・ 「暗 闘」

2007年03月06日 | ◆ こんな本
 著者は昨年司馬遼太郎賞を受賞し、今年の菜の花忌会場で受賞スピーチをした。
その話し振りは、現場の第一線で活躍する学者型研究者というイメージで映ったが、
受賞作を語った中味がおもしろそうで、花園図書館から借り出し読みふけった。

「暗闘 スターリン、トルーマンと日本降伏」長谷川毅著 中央公論 2006.2刊  3,200円

中味は、
太平洋戦争はいかに終結されたか、日米ソの動きを詳細に調べ書き上げたもので、
ソ連の動きを含めた太平洋戦争の歴史書はかつて存在していない。
トルーマンは原爆投下しソ連参戦前に戦争終結をはかった。
スターリンは、日本が降伏する前に満州に侵攻、参戦することが最大の目標であった。
無条件降伏を天皇が受諾した8月14日以降に、ソ連軍は満州、樺太に侵攻した。
さらに、千島、北海道への攻撃を命令し、千島を占領する9月5日まで侵攻は続いた。
日本はソ連を頼りに戦争終結を願望し、ソ連は日本を国益追求に利用した。
和戦派は天皇制維持のため早期終結を、継戦派は国体維持のため本土決戦を画策。
継戦派は原爆投下後もなお継戦を続けた。
「現人神」から「人間天皇」への転換は、戦後占領下になされたのでなく、
降伏決定の過程のなかですでに行われていた。などなど、
歴史教養にうとい身にとり、新発見もあり大変おもしろい本であった。

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