今度は「インターネット検閲」という「朴槿恵大統領」独裁への道〈週刊新潮〉
※「週刊新潮」014年10月30日号
弱い犬ほどよく吠えるように、弱体化した政権ほど「強権的」な行動に出るものである――。
韓国の朴朴槿大統領(62)の傍若無人な暴走が止まらない。
産経新聞の加藤達也前ソウル支局長を名誉毀損で起訴したのに飽き足らず、今度は「インターネット検閲」に乗り出そうとしているのだ。
もはや、彼女の独裁は「狂犬的」な域に達している。
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〈能(よ)き大将は行儀よければ義理ふかし、義理深ければ分別有り。分別あれば慈悲有り〉(『甲陽軍鑑』より)
海外特派員の起訴という暴挙に出た朴氏には、行儀も義理も分別も感じられず、無論、〈能き大将〉であるわけがない。
そんな彼女の新たな「悪政計画」を灸(あぶ)り出したのは、味方であるはずの韓国メディアだった。
「10月13日、京郷新聞が独自入手した検察の非公開資料をもとに、韓国政府はさらなる世論統制を進めようとしていると報じました」
こう解説するのは、ある在韓ジャーナリストだ。
「暴露された検察の内部資料は、9月18日に行われた『サイバー名誉毀損関連機関会議』のものです。
そこには、これまでは名誉毀損などに当たるネット上の書き込みは、審議を経た上でなければ削除要請できなかったのに対して、これからは審議せずに捜査機関の『独断』による削除要請の実現を目指す旨が明記されていました」
その上で京郷新聞は、
〈検察は(中略)「特定の単語を入力・検索し、リアルタイムで(ネット上の書き込みを)摘発、証拠を収集する」という(会議の)内容を公開しなかった。(中略)“特定の単語”が、大統領と政権・政府に関するものということは火を見るより明らか〉
〈常時検閲体制の構築を試みた〉 と断じている。
要は朴氏のお気に召さないネット上の言論は抹殺すべしと、検察内部で大真面目に話し合われていたのだ。恐ろしき言論弾圧構想である。
ソウル特派員が続ける。
「この会議が開かれたのは、朴大統領が『国民の代表たる大統領を冒涜する発言が度を越している』と、産経の前ソウル支局長の起訴を誘発する発言を行った2日後でした。
つまり検察は、朴大統領はご自身に関する言論に大変ご立腹のようだと忖度(そんたく)し、ならば大統領に不都合なネット記述はサッサと削除してしまいましょうと、彼女に忠誠の意を表したわけです」
その背景としては、
「朴大統領が、『不通』と呼ばれるほどの、側近すら寄せ付けない極度の密室政治を行っていることが挙げられます。
周囲は彼女をお姫さまのように扱い、とにかく朴大統領の意に沿おうと必死なんです。
能動的・意識的に独裁政治を行った父親の朴正煕と違い、彼女は周りの人間の『配慮』によって、結果的に独裁的な政権運営を加速させている。
これを今、韓国では『はからずも独裁』と呼んでいます」(前出ジャーナリスト)
産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏が呆れる。
「朴氏のブレーキ役が存在しない目下の韓国政府は、目先の問題をどうするかだけに囚(とら)われていて大局が見えていません。
前ソウル支局長の起訴に加えて、ネットの監視強化で、海外から『結局、韓国はその程度の国』と思われてしまうリスクまで気が回っていないんです」
悪政と圧政を続ける朴氏が諸外国からそっぽを向かれ、弱い犬どころか水に落ちた犬になる日もそう遠くなさそうだ。そして、水に落ちた犬の運命は――。