2014-11-14
株式市場も悪い方に反応してます。
鉄鋼最大手ポスコ株価は今年下落率約14%。前年対比営14業利益18%減益になっています。
悪材料としてウォン高、円安、自動車用鋼板価格が値下げ、新日鐵住金との技術盗難訴訟、インドネシアの合弁製鉄所の稼働直後の高炉事故による稼働中断とトラブル継続があります。
現代(ヒュンダイ)自動車も米国での燃費詐称や大規模リコール(約187万台)が発生しました。
韓国国内でも新型車のトラブル、不具合が継続しブランド信用力が失墜してます。
またつい先日では韓国のパンテック(サムスン、LGに次ぐ3位携帯メーカー)が破綻危機あるそうです。
パンテックは4億8千万ドルの債務償還期限が迫っている上赤字です。
恐らくデフォルトするでしょう。
主力は韓国国内低価格携帯です。2013年の赤字額は2920億ウォン、2014年第1四半期では67億ウォンとあり資金繰りが持たなくなったようです。
韓国の最大企業であるサムスンはここ第二四半期までで営業利益額が減退顕著です(14年8月時点)。
第1四半期の営業利益は前年比3.3%減の8兆5千億ウォン(82億ドル)。
モバイル部門の利益は前年同期比1.2% 減少し6兆ウォン。
その他部門はパネル部門が赤字になる等苦戦が顕著です。
中小企業の状況はどうなっているのでしょうか。
韓国の中小企業中央会は6月に中小企業310社を対象の下半期見込みの調査結果を公表。
韓国輸出中小企業の6割以上はウォン高の影響で下半期(7~12月期)に収益が悪化するとみているとの結果でした。
実数で見ると調査した輸出企業99社の内60.6%はウォン高影響で収益性が「悪化」(52.5%)、または「非常に悪化」(8.1%)するとあります。
小企業ほど収益性悪化すると見通しており収益性が現水準維持とした回答は34.3%、改善は5.1%と低水準です。
韓国の経済状況についての評価は中小企業全体の13.5%が「非常に深刻」、 52.5%が「深刻」と判断しており経済全体の雰囲気はこれで2年連続低水準だといえます。
特に「内需低迷で経営状況が深刻」だと回答した企業が55.5%に達しています。
今後の不確定要素としては「経済政策の不確実性」(43.9%)「旅客船沈没事故による消費心理低迷」(40.4%) 「ウォン高」(33.5%)といずれも中長期的な漠然な不安ではなく現実的な事象が中心です。
視野が短期になるのは深刻な不景気の証左だといえます。
また韓国製品に対する各国の輸入規制措置が急増してます。
韓国貿易協会によると昨年の韓国からの輸入品に対し各国が取った規制措置は34件。
02年以来の高水準にだそうです。
国内より安価輸出し競合企業に訴えられた反ダンピングに関する調査が24件で最も多いようです。
自国産業保護の為の緊急輸入制限(セーフガード)が9件、相殺関税を課されたケースが1件。
品目は鉄鋼13件、化学10件、プラスチック10件、機械・電機電子4件です。
主力品が大半を占めます。
17カ国で韓国製品に対する規制が取られたようです。
輸出産業には打撃です。
34件の規制措置の内、先進国では11件で、残りの23件はイ ンド等の新興国です。
国際貿易研究院は「輸出市場シェアが3%台に迫りけん制が厳しい。
特に中小企業への打撃が大きい」と指摘しています。
韓国政府も相手国と調整、WTOで打開を図っていますが勝ち目は薄いようです。
通貨高による長期経済低迷は日本にも経験がありますが、韓国の景気低迷はウォン安だけではない。
各種異常が一斉に吹き出しているのです。
本来国内金融と政府が産業再生までの期間を下支えするのですが金融、政府とも青色吐息で再建困難な環境といえるでしょう。