危機は国家と専門家達を失墜させた /3月30日付 Le Monde 東京特派員

2011-03-30 16:59:20 | 社会
日本はこれから長期間の闘いを余儀なくされることになった。民間原子力史上最悪の災害を引き起こす危険性をはらんだこの闘いは少なくともあと数週間は続くだろう。しかし、未来に向かって進もうという呼びかけがあちこちで聞かれるようになった。日本経済新聞の岡部社説委員はこう語る。「今回の大災害が、バブル崩壊から昨今の世界金融危機まで続いた日本経済の低迷期である「失われた20年」からようやく脱出する機会になり得るのだ。」

 さらに岡部委員は語る。「日本は己の衰退を受け入れてはならない。この大災害は新しい出発に向けての出発点であるべきなのだ。」それは被災地の復興だけではなく、第二次世界大戦以降の成長戦略を再考しなければならない。3月11日の巨大地震からの復興は並大抵の努力ではない。復興にかかるのは16兆円から25兆円とも言われている。災害の衝撃と犠牲者の数は甚大だが、世界3位の経済規模を誇る日本は復興するための資金と技術を十分持っている。
 また、日本人は必要な時に自粛や節制という行動を実践できる国民である。節電や消費自粛などの行動は、被災者に対する国民の連帯の念を表している。社会の道徳観に支えられた経済力が国をより早く建ち直させることが出来るだろう。しかしその「再生」は何を基礎として、どんな基準をもって行われるのだろうか?

 国と原子力関係者の責任問題、そしてこれほど危険なエネルギーの管理に関して少しも透明性を要求できない政治界の怠慢はきちんと問われるべきである。これから日本は近代経済の基礎であるエネルギー政策を、決定権を専門家達だけに委ねることなく再考しなければならない。そのためには、原発建設の反対派や農家や漁師といった今まで官僚達が耳も貸さなかった人々を邪見に扱うことを止めなければならない。エコノミストの内橋克人氏は、「原子力の使用は専門家を超えた考察が必要だ」と語る。
 1960年代以降日本は、何千人とも言われる死者と障害を持った子供を生み出した水俣病に代表される公害問題のように、国民にリスクを負わせながら高度経済成長に向かって猛進してきた。何十年にも及ぶ法廷闘争の末、市民団体は汚染者の有罪を勝ち取ったものの、病人達は未だ補償を受けていない。
 歴史的そして経済的な背景、リスクの度合いも今回は違う。しかし、国民の健康を一番に考えず、予防原則(principe de précaution)を尊重しない点においては、当時の環境汚染者の考え方と今日の原子力関係者の態度はそう違うものだろうか?原子力関係者達はこの原則を十分考慮に入れていたと言えるだろうか?いずれにせよ、短期の収益性が長期の安全性よりも優先されていたことは確かである。福島原発の事業主東京電力だけの問題ではない。国内の電力会社全社が同じように行動している。
 福島原発事故を単なる日本だけの問題にしてはならないが、政治の怠慢、行政と私的な利益の癒着がさらに状況を悪化させたとえる。原子力を選ぶかどうかを決める前に、原子力の管理を「収益性」を目的とする民間企業に委ねて良いのだろうか?もしそうだとしたら、国益を守らなければならない国は、どのようにそれら民間企業に「社会的責任」を負わせることが出来るのだろうか?
 国による管理を強化するに当たり、いくつかの選択肢がある。「日本人はジレンマを抱えている。現実となった危険を前に、このまま盲目的に政治エリートに追従していくのか、それとも持続可能な開発の道を選ぶのか。いずれにせよ、これらは両立することは出来ない。」と立教大アンドリュー・ドウィット教授は語る。
 大災害は日本を新しい時代へと招いた。これが国の歴史の転換期であり、今こそ自分達の意見を表明し、現在のエリート達にはもう服従しないという意識変革なしでは、日本国民の未来はない。

"La crise révèle la faillite de l'Etat et des experts"
Philippe Pons
Le Monde, 30/03/2001
http://www.francemedianews.com/m/article-70549283.html
フランスメディアニュース

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東京電力がマスコミ幹部たちを海外旅行で「接待」した模様!/はなゆー
たま
http://twitter.com/#!/tama99onion/status/52990880541458432
東電会長とマスコミ幹部、地震発生時は中国へ旅行中。費用は東電が多めに負担。認めちゃったよ

岩上安身(ジャーナリスト)
http://twitter.com/#!/iwakamiyasumi/status/52991614393659392
勝俣会長の続き。事故当時、東電の費用持ちで、中国旅行をしていたマスコミ幹部について、田中氏(注:田中龍作氏)が質問。癒着があったことを半ば認めるような回答に、一時紛糾。誰が中国旅行に行ったか、会長は、氏名を明らかにせず。

畠山理仁(ジャーナリスト)
http://twitter.com/#!/hatakezo/status/52991633049915393
勝俣会長「(旅費の)一部は負担していると思います」

ヒデ
http://twitter.com/#!/e_shimada/status/52990766569631744
事故当時、会長はマスコミ連れて海外行ってた。金の一部は東電持ち。これが沈黙を金で買う電力会社のやり方です。

石田雅彦
http://twitter.com/#!/tokyohelper/status/52990752027983873
勝俣会長「中国旅行へ招待したマスコミ関係者のリスト、ニ、三日中にどうするか検討する。私はよくわからない」iwakamiyasumi 東京電力原発事故会見

masato yamashita
http://twitter.com/#!/masato2desu/status/52991388740100096
これは東電とマスメディアの原発推進連合の癒着が公になった瞬間か。

田中良直
http://twitter.com/#!/tomorrow_1958/status/52992225612804096
マスコミ幹部を中国旅行で接待して口封じか!そして、国民は、真実を知らされないのか・・・・・・!

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はなゆー
http://twitter.com/hanayuu

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福島で今こんな事が起きている!「週刊文春」青沼陽一郎の現地ルポ出色/元木昌彦 から
http://www.j-cast.com/tv/2011/03/24091244.html?p=3
私も参加していた「マスコミ接待リスト」記事の中国ツアー
最後に、私に関わる記事があるので、紹介しておこう。「中国ツアー『大手マスコミ接待リスト』を入手!」がそれである。先週のこの欄で、地震当日には中国・北京にいて、「グループの中に東電のトップ2人がいた」と書いた。勝俣恒久会長と鼓紀男副社長なのだが、文春のタイトルだけを見ると、東電の接待でとんでもない豪華旅行をしていたように誤解されるといけないので、少し説明しておきたい(文中に私の名前は出ていないが、電話取材に答えてはいる)。

この訪中団の正式名は「愛華訪中団」といって、『自由』という雑誌を出していた石原萠記さんの呼びかけで始まり、すでに10回になる。趣旨は日中の人間が忌憚なく話し合うことで友好を深めようというもので、私もその趣旨に賛同して、時間の都合がつけば参加している。

石原さんと東電との関係は木川田一隆元社長時代からだそうで、歴代社長とも親しいため、この会の団長の多くは東電の社長や会長がなっているのは事実である。わずかだが負担金はある。中国政府側の招待だと聞いていたが、石原さんを通じて、東電側からもいくらかお金が出ていたのだろう。

部屋は相部屋で、かなりの強行軍である。文春が心配しているこうした東電の接待によって、「原子力行政を監視するメディアの目に、緩みは生じなかったか」という疑問には、こう答えた。

私は昔も今も「原発反対」派で揺るぎはない。また、中国に招待されたからといって、中国寄りになることもない。中国政府やメディアの人間と、幾度か殴り合い寸前まで口論したことがある。元週刊文春編集長で、現在、反中国の急先鋒月刊誌の編集長も元週刊新潮副編集長も、この中にはいる。

文春だけではなく、新聞も取材にきたが、私が話したのはこうである。この大地震が起きたとき、会長と副社長、それに先週の文春によれば、社長も関西に行っていて、東京へ戻ったのは深夜になったという。偶然ではあるが、この東電トップたちの不運が事態収拾の決断を遅らせ、それが日本人全体の不運にならなければいいのだがと。




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