北九州「君が代」訴訟＝ココロ裁判控訴審、丸山判決を「却下」/桜井大子

桜井大子です。
ココロ裁判控訴審判決の言い渡しを傍聴してきました。原告からの報告も流れ、新聞
でも報道されているのですでにご存じのことと思いますが、ひどい判決でした。以下、
感想文みたなものですが、個人発の抗議声明です。
＊事実誤認等があったとしても、原告には一切責任はありません。

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北九州「君が代」訴訟＝ココロ裁判控訴審、丸山判決を「却下」する　　桜井大子

「君が代」斉唱時に起立して心を込めて歌うこと。この「職務命令」にどうしても従
えないという教職員の思いがどこからくるのか。１９９６年提訴から約１０年にわた
る裁判をとおして原告側が主張してきたことを、国家、文科省が後に張りついている
市教委を相手に闘う原告の主張を、法廷は無視することはできなかった。それは２０
０５年の「一部勝訴」判決（一審）として結実した。「減給処分取消」「４点指導は
不当な支配」等々の判断を下したのだ。そして、２００５年の控訴から足かけ３年、
１１回にわたる原告側の弁論がなされた。一審判決で勝ち取ってきたものを揺るぎな
いものにしていく期間だった。しかし、１２月１５日、丸山昌一裁判長はすべてを覆
した。「もの言わぬ」をとおしてきた被告が全面勝訴。何が起こったらこうなるのだ。

私はいま、何よりも先に、一審判決を覆すだけの新たな説得力のある根拠が何も示さ
れないままこのような判決を出した裁判長に、抗議の声をあげたい。

一審判決を不服として控訴した市教委側だが、「処分手続き文書」すら提出せず、裁
判長から再三の督促を受けていた。提出されたその文書も、一審で否定された趣旨以
上のものではない。結局「処分」の正当性を証明し、一審判決を覆すことのできるま
ともな証拠も証言も出ていない。そのことは、当の市教委と裁判官たちが一番知って
いるはずだ。そのような証拠不十分の中で、どうして一審判決を覆すことができるの
か。

繰り返すが、原告側は控訴審でも１１回にもわたる弁論で、なぜ「日の丸・君が代」
を拒否するのか、歴史的・現在的な問題と、処分の不当性を、ねばり強く訴え続けた。
一方被告側は、一審で否定された処分を正当化することができないまま法廷に座り続
けた。もの言わぬまま座っていられたのは、それでも覆すことができると信じていた
のであろうか。彼らが国家権力の下にあるというだけで。法廷もずいぶんとなめられ
たものである。

どのような理不尽も是とし、シロをクロと通してしまうのが権力だ。それにそって司
法も動いたというのであればとてもわかりやすい話で、この丸山判決はそれ以外のな
にものでもあるまい。丸山裁判長がなした、司法が権力・行政にへつらうの図。私た
ちはいま、そういう図をあちこちで見せつけられていはいる。しかし司法とは本来そ
ういうものではない。このココロ裁判は最終的にはそのことをこそ問うてきたのだと
も思う。そのような法廷で丸山裁判長は、司法が司法としてあるための最低限の条件
を自ら放棄したのだ。この恥ずかしい判決を言い渡したあと、そそくさと逃げるよう
に退廷した裁判官たちの後ろ姿を思い出す。

判決要旨が読み上げられているさなか、私のまわりから「ナンセンス！」という古め
かしい怒りの言葉が飛び交った。傍聴席後方から「恥を知れ！」という罵声が飛んだ。
そうだ、恥を知れ！だ、と私も繰り返した。今からでもいい、司法は司法の役割を思
い出してくれ。あまりにもぶざまな、権力にぶら下がった小役人にへつらうような体
たらくに、少なくとも恥を知ってほしい。
私たちにも司法の判断に判断を下す権利くらいあるはずだ。ならば、丸山裁判長、少
なくともあなたの判決は、あなたたちの表現を借りれば「却下」である。「却下」だ。

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君が代で着席、教職員側が敗訴　福岡高裁判決

北九州市立の小、中、養護学校の入学式や卒業式での君が代斉唱をめぐり、着席して歌わなかった教職員１７人と教職員組合が、職務命令に従わなかったとして、市教委から受けた処分の取り消しや損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が１５日、福岡高裁であった。丸山昌一裁判長は校長の職務命令については合憲と判断。減給処分４件の処分を取り消した一審・福岡地裁判決の原告勝訴部分を取り消し、処分は適法だったとした。教職員側は近く上告する。

　丸山裁判長は君が代斉唱などを指示した校長の職務命令について、「君が代が教職員の歴史観や世界観を直ちに否定するものと認められない」として一審と同様、憲法１９条（思想良心の自由）、同２０条（信教の自由）に違反しないとの判断を示した。

　一方、教職員らの不起立行為について「儀式的行事の雰囲気を乱し、保護者らに不安を抱かせた」などと述べ、地方公務員法で禁じられた信用失墜行為にあたると指摘。北九州市教委による減給処分は「同種の職務命令違反を繰り返しており、裁量権の逸脱とは言えない」と結論付けた。

　判決によると、教職員らは８９～９９年の入学式などで、校長から「起立して斉唱」と職務命令を受けたが、「特殊な歴史的背景を持つ君が代は歌えない」と着席したまま歌わなかった。

　この日、判決後に福岡市内で会見した原告の一人の竹森真紀さんは「市教委側のとるに足らない主張をなぞった不当判決だ」と憤った。北九州市教委学務部服務争訟担当の上村一臣課長は「主張が認められた妥当な判決」との談話を出した。

　君が代をめぐっては、伴奏や斉唱、起立の拒否などに伴う処分などについて多くの訴えが起こされているが、下級審での判断は分かれている。最高裁は昨年２月、音楽教諭に君が代のピアノ伴奏を命じた校長の職務命令は合憲との初判断を示している。
http://www.asahi.com/national/update/1216/SEB200812150007.html