川内原発1号機の再稼働 伊藤祐一郎鹿児島県知事に公開質問状

2011-07-08 08:14:42 | 社会
 2011年7月7日、反原発・かごしまネットが呼びかけとなって、県内の脱原発団体、有機農業団体など19の共同提出
団体で伊藤祐一郎鹿児島県知事に対して、公開質問状を提出しました。
 川内原発1号機の再稼働問題の結論が出される前、2か月以内の回答と回答に対する意見交換の場を持つことを
要望しました。
質問項目
 (1) 巨大事故の認識について
 (2)事故の責任の所在
 (3)立地指針の逸脱
 (4)安全を誰がどう判断すのか
 (5)川内原発の地震、津波、火砕流問題
 (6)防災問題
 (7)その他

 公開質問状(PDF)

   添付資料1-文部科学省及び米国DOEによる航空機モニタリングの結果
   添付資料2-福島第一原発事故の避難地域を川内原発に当てはめてみると…。鹿児島市の方角に風が吹いていたら…。
   添付資料3-川内原発の温廃水 水温水平分布図
 
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伊藤祐一郎様
公開質問状
2011年7月7日
反原発・かごしまネット
代表 橋爪健郎
〒892-0873 鹿児島市下田町292-1

■共同提出団体
反原発・かごしまネット
川内原発「温廃水」訴訟原告団
NPO法人かごしま食の家族
天文館アトムズ
かごしま合鴨米生産クラブ
地球畑
グリーンコープかごしま生活協同組合
川内つゆくさ会
川内原発の安全について考える市民の会(いちき串木野)
やさい村
まちづくり県民会議
川内原発を考える研究会
原発はいらない屋久島の会
地域通貨屋久の水
NPO 法人屋久島エコ・フェスタ
馬毛島の軍事施設化を許さない屋久島の会
馬毛島の自然を守る会
種子島平和委員会
NPO 法人奄美野鳥の会
以上19団体

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震を引き金として、福島第一原発が大事故に発展しまし
た。それは過ぎた話ではなく、今なお、30キロを超える地域でも高濃度の放射能に汚染され、数万の
人々が避難を強いられています。25年過ぎたチェルノブイリが今でも周辺30キロは立ち入り禁止で
あるように、高濃度に汚染されたところは長期にわたって人間が住めない地域になってしまいました。
人々は家を捨て、先祖伝来の墓や田畑を捨て、仕事を捨てざるを得ません。福島県が壊滅したと言って
も過言ではありません。
さらに、今後大量のガン患者の発生、及びガン死が予想されています。その被害は、子どもたちに集
中することになります。すでに福島では、子どもたちに放射性ヨウ素131による甲状腺障害の予兆で
ある鼻血が多発しています。
このような、目を覆うばかりの惨状にあり、さらに福島第一原発の事故原因も明らかになっていませ
ん。そんな中、伊藤祐一郎知事自ら「安全神話は崩れた」という一方で、「地域住民に対し、運転再開
もやむをえないというような状況を以下にして作りだしていくかが今後の課題だ」(5/20 定例会見)と
述べています。つまり、定期点検で停止中の川内原発1号機の再稼働を認めるかのような発言をしてい
るのです。
明らかな論理矛盾であり、伊藤知事は巨大事故を前に冷静な判断能力を失ったのでしょうか。
焦点になっている川内原発1号機の再稼働問題の結論を出される前に、以下の質問に答えていただき
たく、ここに公開質問状を提出いたします。

質問項目は、(1)巨大事故の認識について、(2)事故の責
任の所在、(3)立地指針の逸脱、(4)安全を誰がどう判断するのか、(5)川内原発の地震、津波、火砕
流問題、(6)防災問題、(7)その他、

以上について合計28 項目あります。川内原発1号機の再稼働問
題の結論を出される前にご回答ください。

(1)巨大事故の認識について

質問1 福島第一原発は、核燃料がメルトダウンを起こし、それは現在どういう状況にあるかも分かっ
ていません。圧力容器ばかりか格納容器も貫通し、地下にもぐり水蒸気爆発を起こす危険すら指摘され
ています。放射能を大量に放出し続け、破滅的な危険を背負ったままの原発と、数年、数十年、格闘し
なければならないと言われています。伊藤知事は、この状況をどう認識していますか?

質問2 現在、放射能を逃れて、何万人が避難していると把握されていますか? そして、そのうち家
や墓、田畑を捨てざるを得ない、つまり2度と故郷に帰ることはできない人々は何万人と考えますか?

質問3 欧州放射線リスク委員会(ECRR)は、福島200キロ圏内汚染地域で41万7000人のがん
発症を予測し、そのうち20万8000人が今後10年間で発症するとしています。伊藤知事は、この
予測を知っていましたか? この状況をどう認識されますか?

質問4 すでに福島では、子どもたちに放射性ヨウ素131による甲状腺障害の予兆である鼻血が多発
しています(2011.6.16 東京新聞、2011.6.19 全国小児科医ネットワーク・こども健康相談会)。伊藤知
事は、この事実を知っていましたか? この状況をどう認識されますか?

質問5 福島の汚染地図を見ると、汚染濃度が一方向にきれいに描かれています(文科省&米国DOC、
2011.4.29)。つまり、たった1日の風と降水が汚染をもたらしたと思われますが、何月何日の風と降水
だと把握されていますか?

質問6 福島原発の事故では、大気中に放出された放射能の大半が連日の偏西風に乗って太平洋に飛ん
で行きました(NILU、2011.3.19、13:00 図参照)。伊藤知事は、放出された放射能の何%が陸地に降り
注いだと考えますか? 川内原発が大事故を起こし放射能を放出したら、大部分が陸地に降り注ぐこと
になります。川内の場合何%が陸地に降り注ぐと考えますか?

(2)事故の責任の所在

質問7 福島原発の事故では、原発を推進してきた国そのものと、さらにはこれまで原発を推進してき
た自由民主党の責任も問われねばなりません。しかしながら、ほとんど何の責任の表明もありません。
伊藤知事は、この状況をどう考えますか?

質問8 実際の安全確保を担う部署であった原子力安全・保安院の責任も不問にされています。全く無
用の長物であったこの原子力安全・保安院の責任について、伊藤知事は、どう考えますか?

質問9 伊藤知事は「原発の安全神話は崩れた」と発言されました。安全神話の形成に川内原発3号機
の増設に同意した知事も加担したことになるのですが、伊藤知事は今回の事故に自身の責任をどう考え
ますか?

(3)立地指針の逸脱

質問10 原子炉立地指針は「原子炉敷地は、人口密集地帯からある距離だけ離れていること(2万人シ
ーベルト)」と明記されています。今回の福島原発の事故は、大量の放射能を放出する大惨事が起こり
うることを明らかにしました。今回の放射能の放出量を考えると、川内原発の立地そのものが立地指針
を逸脱している可能性があります。伊藤知事は、どう考えますか?

(4)安全を誰がどう判断するのか

質問11 政府の事故調査・検証委員会は年内をめどに中間報告を出す予定です。つまり事故原因は、今
のところ不明であるというわけです(2011.7.3 南日本新聞)。原因が分からなければ、国の安全宣言は
何の根拠もないということになります。事故が起これば、原因を把握し、その事故が二度と起きないよ
うに対策を取る、原因が分からなければ分かるまで停止させる、というのがごく当たり前の対処の方法
だと考えますが、伊藤知事は、どう考えますか?

質問12 原子力安全・保安院が各地で安全であるという説明を繰り返していますが、彼らは福島も安全
だと言ってきました。質問8にも関わりますが、何ら責任を取ることもせず、事故前となんら変わらな
い組織と理念の原子力安全・保安院には、安全を口にする能力も資格もありません。事故の責任をあい
まいにしたまま、原発の安全は確保されているなどという保安院の判断はまったく信用できないとして、
福井県など多くの立地県は、運転再開を認められないという姿勢を表明しています。伊藤知事は、どう
考えますか?

質問13 原子力安全委員会の斑目委員長自ら、「安全設計審査指針は明らかに間違っている」と述べて
います(2011.6.12 朝日新聞)。つまり現状は、間違った安全設計審査指針で審査された原発が稼働する
という異常事態にあるわけです。新しい指針ができて、全ての原発が再評価されるまでは、原発を停止
させるべきだと考えますが、伊藤知事は、どう考えますか?

質問14 今回の地震による福島原発の揺れも、耐震設計審査指針の新指針による基準を上回りました。
2号機で550ガル(基準438 ガル)、3号機で507ガル(同441 ガル)、5号機で548ガル(同452
ガル)と、基準地震動を超えるデータが得られています。耐震設計の新指針も不備であることが明らか
になっています。伊藤知事は、どう考えますか?

(5)川内原発の地震、津波、火砕流問題

質問15 今回の原発震災を予告した地震学の権威である石橋克彦・神戸大学名誉教授は、「活断層がな
いからと言って大地震が起きないということはない。川内原発の直下で最大級の内陸型大地震が起こる
可能性がある」と、明言しました。宮之城で902ガル(科技庁強震ネット(K-NET))の揺れを観測し
た鹿児島県北西部地震を引き起こした活断層は、未だに発見されていません。県北西部地震が、耐震設
計540ガルの川内原発直下で起きれば、原発はひとたまりもありません。新潟中越沖地震の揺れは1
019ガル(2007.7.16 気象庁)、新潟中越地震の揺れは1722ガル(同)でした。このような規模の
地震も起こり得ます。これまで起こった最大級の地震に耐えるものでなければならないと考えますが、
伊藤知事は、どう考えますか? 専門家による検討委員会の設置を求めます。

質問16 これまで日本で起きた最大級の津波は、1771年(明和8年)石垣島を襲った標高85.4
メートルの高さまで達した大津波です。この津波により石垣島の40%が水没し、人口の三分の一が失
われたといいます。川内原発の敷地13メートルなど、ひと跨ぎの大津波が人智を越えてこないと誰が
断言できるでしょう。専門家による検討委員会の設置を求めます。

質問17 川内原発の敷地から2キロの距離にある寄田小学校のすぐ近くに、厚さ7メートルほどのシラ
スの露頭があります。このシラスは2万5千年前に姶良カルデラから噴出した入戸火砕流です。50キ
ロの遠距離から襲ってきた火砕流が原発のわずか2キロに7メートルも積み重なっているのです。この
火砕流が原発敷地に何の影響も及ぼさなかったとはとても考えられません。専門家による検討委員会の
設置を求めます。

(6)防災問題

質問18 福島原発の事故は、鹿児島県の原子力防災計画が、範囲をはじめ様々な想定事項において、根
底から意味をなさないものであることを明らかにしました。現状は、鹿児島県に有効な防災対策がない
ままに原発が稼働しているという、あってはならない状況といっていいでしょう。伊藤知事は、どう考
えますか?

質問19 現状「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ: Emergency Planning Zone)のめ
やす」は、原子力発電所を中心としておおむね半径10キロメートル以内となっていますが、今回の福
島第一原発事故では計画的避難地域が30キロから40キロへと広がっています。さらに、東京都で高
度に汚染された水道水が検出されています。チェルノブイリのホットスポットの所在は350キロに及
びました。私たちは、鹿児島県にあっては、偏西風を考慮すると県内全市町村を防災=緊急時計画の対
象とすべきだと考えますが、知事はどう考えますか。

質問20 日本の原子力関係事故の際に毎回繰り返される連絡通報の遅れは、今回の福島第一原発の事故
においても例外ではありませんでした。原発の稼働状況を、ネットを介してリアルタイムで県内全市町
村が把握できる状態にするべきです。私たちは、異常があったときに、隠しだてしようとする電力情報
ではなく、主体的に危険情報を入手できる態勢が必要だと考えますが、知事はどう考えますか。

質問21 今回の福島第一原発の事故において多くの市町村が突然の避難措置に驚き、混乱を余儀なくさ
れました。事故時に、それぞれの市町村が主体的にいつでも避難できるようにリアルタイムの観測態勢
を準備し、汚染状況を把握できる態勢を作って置く必要があると思います。全九州を最低1キロのメッ
シュで汚染状況を把握できなければ用をなしません。知事はどう考えますか。

質問22 アメリカの防災計画では、住民の被曝をできる限りゼロに近づけることを目標にさまざまな対
策を準備しています。このことを分かりやすく「ゼロ被曝避難」と呼んでいます。いったん事故が起こ
ると県全土が汚染される可能性も生じます。全県民の安全な避難先を事前に調整確保すること、避難先
への移動手段の準備、移動ルートを日常的に確保することが必要です。知事はどう考えますか。

質問23 生活の保障について。全県民の避難がなされた場合、生活手段はすべて失われていると想定で
きます。その際、生活が再建できるように、事前に手配しておくことが必要です。知事はどう考えます
か。

(7)その他

質問24 福島第一原発の事故を受けて、ソフトバンクの孫正義社長が建設を計画している大規模太陽光
発電所(メガソーラー)。北海道、秋田、埼玉、神奈川、山梨、長野、静岡、愛知、福井、三重、岡山、
広島、香川、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎の各県、大阪府や兵庫県など7府県でつくる関西広
域連合など続々と参加を表明しています。伊藤知事はどう考えますか。

質問25 都合の悪い情報をできる限り国民の目に触れさせまいとする国の姿勢が鮮明になっています。
原発の再稼動問題が焦点化しているいま、すべての情報開示が求められていることは言うまでもありま
せん。判断材料を示さずに、「原発を認めろ」という国の姿勢は間違いです。伊藤知事は、原発事故情
報の全面開示を国及び東電に求める考えはありますか。

質問26 県知事は県民の「いのちと暮らし」を守り・育てることが、最大使命の一つだと考えます。と
するならば、川内原発1号機の運転再開にあたっても、「国が安全を保証するから安全だ」というよう
な態度をとることは許されないのではないでしょうか。それは、主体的に判断することを放棄したもの
言いです。原発は国策として推進されてきたのだとしても、地域に最も責任を負う立場にある県知事と
しては、独自に主体的に判断することが求められるはずです。伊藤知事は、「国が安全と言っているか
ら」という言い訳を排除してなお、川内原発の安全性は保証されているとお考えですか?

質問27 国は7月6日、前原発を対象にストレステストを行う旨を発表しました。このストレステスト
に対しても、鵜呑みにするのではなく、テストの項目、基準、評価の妥当性を、鹿児島県独自に専門委
員会を設置して判断すべきだと考えますが、伊藤知事はどう考えますか。

質問28 経産省が6月26日に実施した佐賀県民向けの説明番組に、九電が「賛成意見のやらせメール」
行っていた事態が発覚しました。7月2日には政党機関紙で報道されていた事実であり、7月4日の鹿
児島県議会での時点では、九電は対応を協議していたはずです。にもかかわらず、7月4日の鹿児島県
議会で九電は否定しました。2010年2月、九電が温廃水の1度上昇範囲をごまかしていたという時
事が発覚したとき(朝日新聞2010.2.3)に知事は容認したように、今回もウソをついた九電を容認する
のですか。
大体、7月4日の県議会も傍聴席20の内15を九電社員が占めていました。多くの市民が傍聴でき
ず、音声のみの別室に通されたのです。ここ数年の3号機をめぐる各種説明会でも、明らかに九電関係
の思われる動員がみられ、推進論への拍手、ヤジが飛び、正常な説明会ではありませんでした。
係争中の、温廃水の再循環にしても、九電はこれまで再三にわたり「深層取水方式を採用している1、
2号機では下層の海水を取水することから、温かい表層の海水はほとんど取水していない」と述べなが
ら、5月の段階では「再循環がまつたく生じていないと述べた事実はない」「実態としても、……取水
口から取り込むことが全くないとはいえないと考えている」(九電より鹿児島地裁へ提出2011.5.20 準備
書面1)と翻しています。
九電の住民無視、自治体軽視、ウソツキ体質は常態化しています。過去にさかのぼって、九電が行っ
た世論誘導、虚偽について、徹底的に究明すべきと考えますが、伊藤知事はどう考えますか。
このような無茶苦茶な九電が、日本全土を廃墟にしてしまいかねない原発を運転する資格などないと、
伊藤知事は考えないのですか。
http://www.synapse.ne.jp/~peace/20110707kakenkoukaishitumon.html


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伊方3号機、再稼働「支障なし」 愛媛県議会で保安院

 定期検査中の伊方原発3号機(愛媛県)の再稼働をめぐり愛媛県議会が
設置した特別委が7日開かれ、参考人招致された経産省原子力安全・保安
院の黒木慎一審議官は「すでに安全対策はされており、再稼働に支障はな
い」と話した。

 委員会では、海江田経産相が、原発の安全性を総合的に評価するために
実施を表明した「ストレステスト」に質問が集中。黒木審議官は「実施し
なければ安全性が確認できないということではない」と説明した。

 審議官は、伊方原発の安全対策については国の想定を超えるような事態
にも対応できる措置をしているとして、ストレステスト実施前でも再稼働
は可能との認識を示した。

2011/07/07 18:06【共同通信】


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