グーグルアースが浮き彫りにした北朝鮮の暗部/ロイター

2013-01-14 01:19:20 | 北朝鮮
[ワシントン 9日 ロイター] 米グーグル(GOOG.O: 株価, 企業情報, レポート)のエリック・シュミット会長が今週、ニューメキシコ州のビル・リチャードソン前知事らと北朝鮮を訪問した。今回の訪朝は米政府から強い批判を受け、成果も少ないとみられるが、人権活動家らはグーグルが北朝鮮の暗部を明らかにすることで、間接的に歴史を変える助けになっていると指摘する。

世界各地の衛星画像を見られることで人気の「グーグルアース」は、シュミット会長が北朝鮮で最も披露したくない同社の製品だったかもしれない。このサービスによって、北朝鮮がひた隠そうとする数多くの施設の画像を見ることができるからだ。

北朝鮮を専門にする人権活動家やブロガーは、娯楽や教育の目的で使用されることが多いこのサービスを利用し、北朝鮮各地にある数多くの強制収容所の場所を特定してきた。

国際的な人権団体の推計では、主に人里離れた山間地にある収容所では、約25万人の政治犯とその家族が飢えに苦しんでいるとみられる。

人権活動家らは、今回のシュミット会長らの訪朝が有意義な結果につながるとは考えていないが、グーグルアースが北朝鮮の状況を浮き彫りにしたという点について、「Don't Be Evil(邪悪にならない)」という同社のモットーを貫いていると評価する声が多い。

北朝鮮の人権問題に関するブログ執筆などの活動を続けるワシントンの弁護士、ジョシュア・スタントン氏は、シュミット氏の平壌訪問は数週間のうちに忘れられるだろうと指摘。その一方で、「意図的ではないものの、グーグルが行ってきたことは北朝鮮の真実を語る一助になり、いつかこの国の歴史にも反映されるだろう」と語る。

<もはや秘密ではない収容所>

スタントン氏は自身のブログ(freekorea.us/)で、政治犯収容所とする6カ所についての分析をグーグルアース上の衛星画像とともに提供している。

同氏は、専門家との共同作業や収容所を知る脱北者へのインタビューを通じて、施設のゲートや守衛小屋を特定し、一部では炭鉱や野ざらしの墓地も確認。「何も知らなければ、最も大きな収容所は町や村のように見える。人里離れた場所に収まるよう設計されているようだ」と分析する。

スタントン氏は、飢饉によって北朝鮮で多くの死者が出た1990年代後半に在韓米軍で勤務。その後、強制収容所の実態を明らかにする「北朝鮮 隠された強制収容所」を2003年に発表した非政府組織(NGO)「北朝鮮人権委員会」で研究を行った。

昨年出た同著の新版は、グーグルアースについて「飛躍的に進歩した高画質の衛星画像により、元収容者らがかつて住んでいた施設や家屋、処刑場などを確認することができる」と高く評価した。

同著でスタントン氏に協力したカーティス・メルビン氏のブログ(www.nkeconwatch.com/)もグーグルアースを駆使し、収容所だけでなく学校や工場、駅などの一般施設も掲載している。そのメルビン氏もグーグルアースについて、「外国人が見ることを許されない北朝鮮の一部を明らかにした」と語っている。

<画像が語る真実>

グーグルアースの一部の画像は、米コロラド州のデジタルグローブ(DGI.N: 株価, 企業情報, レポート)が提供している。同社は20年前に「アースウォッチ」という名前で設立され、衛星画像を商用に収集・販売する免許を米政府から初めて得た企業となった。

北朝鮮人権委員会のグレッグ・スカルラッティ事務局長によると、同委員会もデジタルグローブとの共同プロジェクトで画像の無料提供を受けているという。

衛星技術者によると、同委員会がデジタルグローブから直接利用できる画像は高解像度のもので、グーグルアースで無料提供されるものより頻繁に更新される。

スカルラッティ氏は「グーグルアースの衛星画像によって、こうした施設が確かに実在すると人権専門家が確認できるようになった。北朝鮮の体制がそれを否定してもだ」と話している。

(原文執筆:Paul Eckert、翻訳:橋本俊樹、編集:宮井伸明)
http://jp.reuters.com/article/jpUSpolitics/idJPTYE90904120130110?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0


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