原発周辺の畑にレメディとヒマワリの種とデマを撒き散らそうとするホメオパシー関係者

2011-04-09 22:23:31 | 社会
原発周辺の畑にレメディとヒマワリの種とデマを撒き散らそうとするホメオパシー関係者/Not so open-minded that our brains drop out.

過去の2エントリーではホメオパシーなる偽医療を信奉する人々が過去の震災に際していかなる行動に及んできたかと、今回の震災に際していかなる行動に及ぼうとしているかを指摘した*1。本エントリーでは日本ホメオパシー医学協会の由井寅子会長がウェブサイトで公表しているメッセージに含まれるデマについて指摘したいと思う。

由井寅子 ホメオパシー博士曰く、汚染された畑にレメディとヒマワリの種を撒け、そして生えてきたヒマワリは燃やせ
ホメオパシー博士の肩書きを持つ由井寅子氏は、放射性物質で汚染された畑を念頭に以下のようなアドバイスをしている。

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セシューム137は、3カ月から30年間続くこともあり、農地を被曝からきれいにするためには、対策としてひまわりなど、
どんなところにでも生える強い植物を植えて吸い上げさせることです。

その時にRAのレメディーを畑にまくこと、そして、そのひまわりの種は食べないで、全草燃やし、灰にすることです。
本当にこれからどうやって、農業をやって行けばいいか、農家にとってもそこに住む人にとっても苦しいことになり
ましたね。被曝を無にできるようなものを早く開発し、日本中をきれいに浄化したいです。

今回私が訪れる時に、無農薬で育てた洞爺のひまわりの種を量は少ないけれど持って行きましょう。

苦しみの中で、皆でそれを乗り越えた時、智恵に変わります。とりあえず、今は、ふて寝して、そしてある時、立ち
上がれるようにしましょう。
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(引用元: http://jphma.org/gienkatsudo/20110324_miyagi_01.html
強調は引用者による)

レメディとはホメオパシー治療に用いる砂糖玉のことだ。由井氏は、通常は患者に経口摂取させる形で用いられるレメディを、今回は畑にまくべしと斜め上のアドバイスをしているのだ。もちろん、そのような行為に放射性物質対策の効果があるという証拠はどこにもない。

では、もうひとつのアドバイスであり、ホメオパシーと関係なさそうなヒマワリの話はどうだろうか。

ヒマワリを汚染された土地に撒いて放射性物質を植物体に取り込ませて、土壌を浄化しようという考え自体は、少なくとも理屈の上ではホメオパシーほどおかしな考えではない。実際、一部ではそういった研究報告もなされているらしい。しかし、その一方で、今回の原発危機をきっかけにして、それらの報告に対して誤った解釈がなされ、デマとして流布しているようだ。呼吸発電 氏は、このデマについて注意を喚起し*2、図らずもデマを助長する結果になってしまったと思われる資料を発表していた独立行政法人 土木研究所 寒地土木研究所も誤解が広まることがないように努めている*3。以下は寒地土木研究所のウェブサイトからの引用である。

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補足内容

当該箇所は、植物による土壌中の放射性物質の吸収の研究事例を紹介したものです。

 ここで紹介した事例は、植物が一部の放射性物質を土壌から吸収して、その植物の体内に蓄積させることを除去と表現した
ものであり、放射性物質を分解したり消滅させたりするものではありません。空気中や根の届かない範囲の放射性物質に
対する効果は期待できませんし、全ての放射性物質に効果があるかどうかも不明です。

 繰り返しになりますが、紹介した事例は、放射性物質を土壌中から吸収して植物体内に蓄積されるものであり、放射性物質を
消滅させるものではありません。また、土壌の浄化には、植物の除去・運搬などの処理を行う必要があります。
植物を植えたから問題が解決するというものではなく、その処理まで含めた対応が必要であることに御留意いただきますよう
お願いします。
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(引用元: http://www.ceri.go.jp/contents/news/20110322.html
強調は引用者による。)

ヒマワリによる土壌中の放射性物質の除去の有効性については明らかでない部分が多く、現時点で汚染に対する対処法として推奨できるものでないことが分かる。「全草燃やし、灰にする」という由井氏のアドバイスが決定的に駄目なのは、この補足に明記されている「土壌の浄化には、植物の除去・運搬などの処理を行う必要があります。」の一文からも明らかだろう。期待通りにヒマワリが土壌中の放射性物質が取り込んだとしても、放射性物質は無毒化されたわけではなく植物体内にそのままの形で残っている。それを燃やしたところでやはり放射性物質は放射性物質のままなので問題の解決にはならない。そればかりか不用意に燃やせば放射性物質が飛散する可能性があるし、灰にも放射性物質が含まれるので廃棄物として適切に処理されなければならない*4。

このメッセージを読む限り由井氏は被災地に「無農薬で育てた洞爺のひまわりの種」を持ち込もうとしていたようだが、由井氏は果たしてこの計画を実行するのだろうか。少なくともデマをこれ以上広めるのはご遠慮願いたい。もっとも、これまで散々、ホメオパシーというデマを広めてきた方に今更こんなお願いをしても無駄かもしれないが。
http://d.hatena.ne.jp/Mochimasa/20110326/p1


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