武器輸出三原則 見直し議論大詰め/東京新聞「こちら特報部」 11/25 ほか

2010-11-28 08:17:12 | 社会
平和主義に風穴も 「自民でも慎重だったのに」

朝鮮半島で戦火が上がった翌日、民主党内では新防衛大綱策定に向けた「武器輸出三原則」の見直しをめぐる大詰めの議論が交わされた。周辺地域の緊張ば国防増強論をあおりがち。それだけに見直し反対の護憲・リベラル勢力にとっては悩ましい情勢だ。思えば、沖縄・普天問題でも、三月の韓国哨戒艦沈没事件が県内移転方針への政府の「Uターン」を助けた。今回はどう影響するのが。(出田阿生、加藤裕治、秦淳哉)

◆民主調査会

「時あたかも、北朝鮮がとんでもない挑発をした。さりながら一つの事象に引っ張られることなく、中長期的な眺望でじっくりと議論したい」


 衆院第二議員会館で二十四日に開かれた民主党の外交・安全保障調査会・総会の冒頭。会長の中川正春衆院議員は五十人を超す同党の国会議員を前にこうあいさつした。


 政府は年内に新たな防衛大綱の策定を目指している。焦点は防衛省が求めている「武器輸出三原則の見直し」を盛り込むかどうか。政府が参考にするのは、この調査会の提言と、首相の私的諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」の報告書だ。


 すでに懇談会は見直し要望の報告書を出した。見直しにブレーキをかけ一られるのは調査会の提言だけ。だが、役員間の話し合いで三原則「緩和」を柱とする見直し案が作成されたと報じられ、これに党内の護憲・リベラル勢力が強く反発。この日の総会を迎えた。


 護憲・リベラル勢力の議員たちは懸念を口々に語る。「これまで非核三原則とともに日本の平和主義を支えてきた武器輸出三原則が緩和されれば、風穴が開き、どんどん拡大解釈されていきかねない」(那谷屋正義参院議員)、「東アジア共同体構想からも大きく逸脱するのではないか」(今野東参院議員)。


 今回の朝鮮半島での緊張についても「防衛力を高めるには三原則見直しが必要、という雰囲気づくりにつながるかもしれない」という危機感が同勢力には漂っている。


 見直しのポイントは他国と武器を共同開発・生産を可能にすること。巨額の開発費が必要な戦闘機は国際共同開発が世界の潮流。防衛省は「共同開発が可能になれば、武器の調違コストを下げられるし、優先的に取得できる」と強調する。


 しかし、輸出管理が厳格な国に限って共同開発するとしても第三国の輸出をどれだけ制限できるのか不透明。結果的に「死の商人」になってしまう可能性は否定できない。さらに国際協力活動で、対象国に輸送用トラックなど自衛隊の装備品することを可能にする「緩和」項目もあるが、そもそも国際協力活動と紛争介入との線引きは難しく、紛争介入となる危険は消せない。


 ある中堅議員は「歴代の自民党政権ですら、戦中派のベテランたちが三原則の見直し慎重で、露骨に緩和しようとはしなかった。それなのになぜ民主党政権が‥‥」と表情を曇らせた。

武器輸出三原則
1967年、佐藤栄作首相(当時)が国会答弁で(1)共産圏諸国(2)国連決議で禁止された国(3)国際紛争当事国----に対する武器輸出を認めないと表明し、政府方針とした。76年には三木武夫首相(同)が対象地域を拡大。だが、83年に米国への武器技術供与が例外扱いとされ、2004年にも例外対象にミサイル防衛(MD)の日米共同開発・生産が加えられた。

デスクメモ
絶対視される血筋があり、「解放」の大義を掲げ、外部からの情報を狭め、明らかに兵たん面からはむちゃな戦争を、自国民の痛みは顧みず、逆に頭のてっぺんからつま先まで敢闘精神で武装せよと鼓舞し、遂行する。大義のお題目こそ違えどかつてどこかで闇いたような話。北朝鮮は遠くて近い国だ。
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北砲撃で加速懸念 「普天間も脅威論で転換」

◆反対集会

民主党の調査会が開かれる直前、隣の衆議院第一議員会館では武器輸出三原則の見直しに反対する市民たちの集会があった。集まったのは護憲や反戦を訴える人など百数十人。菅政権の防衛政策を批判する言葉に時折、拍手がわいていた。


 「憲法を生かす会」の筑紫建彦さんは「朝鮮半島での衝突は三原則とは関係ない」と前置きした上で「衝突は自衛隊の配備見直しや先制攻撃を認めようとする動きに利用されかねない」と語る。


 女性参加者の一人は「韓国の哨戒艦沈没事件で北朝鮮の脅威があおられて、沖縄の普天間飛行場を辺野古沖へU夕ーンさせる流れができた。今度も北朝鮮は怖いという印象で世論誘導が図られるのでは」と、三原則緩和への影響を心配する。


 「許すな! 憲法改悪・市民連絡会」の土井登美江さんは今年十月、都内で通りがかりの人々に辺野古移設についての賛否を問う催しを企画した。


 その結果は「以前より辺野古移設に賛成する人たちか増えた。九月の尖閣諸島沖での漁船衝突事件による影響だと思う。軍事的な緊張は人々を不安にさせる。三原則緩和に反対する動きへの逆風になりかねない」と不安を隠さなかった。


 「憲法の平和主義を具体的な行動に変えなくてはならない。でも、何をすればいいか、まだ考えはまとまっていない」


 「核とミサイル防衛にNO!キャンペーン」の杉原浩司さんも「軍事衝突はほっておくと軍備増強の流れにつながっていく」と指摘。「しかし、外交や安全保障は本来、いかに対立を終わらせるかという観点から考えるべきもの」と訴えた。


「多国間開発が現実」「安保強化とは別物」

◆識者は

識者たちはこの朝鮮半島情勢と武器輸出三原則の見直しがどう絡むとみているのだろうか。


 防衛庁(当時)防衛研究所の元研究員で桜美林大国際学研究所の加藤朗所長(国際紛争)は「長期的な視点からみるべき三原則の見直しと今回の武力衝突は切り離して考えた方がよい」と話す。


 加藤氏は「地雷探知機のカンポジア配置が可能になった例もあった。三原則は時代の要請と政治状況によって常に見直されてきた」と、見直しには賛成の立場だ。


 「多くの国が兵器の生産にかかわり相互依存関係になれば、関係国間での戦争は実質的に不可能で、逆に抑止力を高めることになる。実際、兵器すべてを自国製造することはできない。戦闘機のパーツが何カ国もの製品からなるように三原則は有名無実化している」


 一方、元外務省国際情報局長の孫崎享氏は見直し反対を訴える。「今回の北朝鮮の砲撃事件で三原則緩和に向けた圧力は強まるかも知れない」


 しかし、三原則見直し問題と安全保障体制の強化はあくまで分けて考えるべきだと主張する。


 「イラク戦争が間違いだったと分かり、アフガン戦争についてもオバマ米大統領は現在、撤退したがってる。これが世界の潮流だ。そうした中で、武器輸出は国際貢献にはならない」


 孫崎氏は「三原則見直しの動きはむしろ、国内防衛産業からの圧力が主な要因だろう。日本経済を強くすることは必要でも、武器輸出に加担してまで発展させるべきだとは思えない」という。


 「米国からの圧力も指摘されるが、少なくとも私の耳には、拒めば日米関係がこじれるという米国側の要人の声は届いていない。見直しを急ぐ調査会の説明のどこにも説得力は感じられない」


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「融解する日本の安全保障政策」/半田滋
2010.11.27.九条の会事務局主催学習会
「新安保防衛懇報告と憲法9条」レジュメ

(はじめに)


民主党政権発足から1年。迷走した昔天間移設問題に代表されるように民主党の安全保障政策は足元が定まっていない。鳩山前首相は「官僚主導からの脱却」を目指したはずだが、交代した菅首相は日本の行方を官僚の舵取りに任せている。


9月の民主党代表選で菅首相が続投した結果、自民党政権と何ら変わりない安全保障政策が続くことになった。最大の注目点である普天間問題に関心を示さず、放置しているに等しい。しかし、政権が安定してくれぱ、「改憲論者=民主党の有カ者」なので平和憲法を見直す動きが必ず出てくる。


(トピツク)
•様変わりした与那国島の陸上自衛隊誘致・・・反対派町議2人誕生(全6人のうち)
•あす投票の沖縄知事選挙・・・県議会、名護市長、名護市議会も辺野古移設反対。残るのは知事のみ。



1 安全保障政策はどう変わったか


(1)変化したこと
[1]今年1月の新テロ特措法の期限切れを受けて、インド洋の洋上補給から撤退
[2]普天聞移設先を「国外、県外」を打ち出した。5月28日の日米共同声明で元通り
[3]「防衛省改革」を振り出しに戻した。制服組と背広組を混合させない方向。


(2)変化しないこと
[1]米軍再編を2006年ロードマップ通りに実施。「対等な日米関係」は雲散霧消
[2]ミサイル防衛システムの導入推進
[3]ソマリア沖の海賊対処に自衛隊活用


(総論)
意思決定システムは大きく変化した。鳩山首相は「官僚主導からの脱却」をスローガンに政策調査会を廃止して、政策会議を設置した。与党であれば、だれでも参加できる会議で、防衛省主催の政策会議は隔週で実施され、政務三役のうち、北沢俊美防衛相を除く3人が説明役になった。しかし「素人が素人に答える場」となったに過きず、防衛政策に反映できる中身のある議論はほとんどなかった。


菅首相に代わると、政調が復活したものの、自民党政調と異なり、もとより党内への影響カのない政調では何もできない。防衛政策については、政策会議が消え、政調がほとんど開かれないため、党内の声を聴く場さえ消えた。政務三役にすべての権限が任されるかたちになった。その政務三役も素人のため、実態は官僚主導に逆戻りしている。


菅政権に代わり、政調を復活したが、極めて低調。党内の安保論議はゼロに等しいのに「大綱」提言が突然、新聞報道された。



2 菅政権下での安全保障政策


(1)普天間問題に代表される自民党政権と変わりない政策


(2)より積極的な自衛隊の海外派遣を検討(仙石官房長官によるスーダンPKO検討)


(3)11年度防衛費概算要求からみえる自民党政権との類似点
•4兆7123億円は前年比O.6%の増加。自民党政権では7年連続、鳩山政権を含めると8年連続減少。政権の10%削減の号令を無視して増加に転じている。
•購入する武器類は過去と変わりなく、民主党らしさが見えない。.
•PAC3を沖縄に初めて配備。手厚い米軍支援を実現
•米軍再編には惜しみなくカネを注ぐ


(4)新安防懇が報告書を提出。自民党政権当時の報告書より踏み込んだ内容。報告書によると、非核3原則見直し、集団的自衛権の解釈見直しなど、「平和国家」の基礎を揺るがせる内容が満載されている。管政権が12月までに策定する「防衛計画の大綱」にどこまで盛りこまれるかは未知数だが、武器輸出3原則は見直し方向


(5)民主党外交・安全保障調査会が「大綱見直しに関する提言」(11月26日版)
 [1]動的抑止カの向上と南西方面の危機への対処
 [2]人的基盤、実行力のある精強な防衛カ構築
 [3]装備品の戦略的整備と武器輸出三原則見直しの明確化
 [4]国際平和協カ活動への積極的な取り組み
 [5]安全保障・危機管理における艦艇機能の強化およびインテリジェンス態勢の充実、政治主導の安全保障体制構築へ向けて
•南西重視の動的抑止。機動性を重視して戦車、大砲削減=陸自削減。
•PKO5原則の見直し。破綻国家対応で停戦合意、派遣同意、中立性を無視して国連の要請に一本化。


(トピツク)
武器輸出3原則
•F35は国際共同開発といえるのか
•次期戦闘機の開発計画はない
•分かりにくい民主党提言。「装備品を輸出する場合、平和構築や人道目的に限定」
•前提になっているPKOでの輸出基準は緩和済
•失うものの大きさとの比較


PKO5原則
•中立性を排除。平和執行部隊への参加を意味
•後方支援に限定しても武カ行使と一体化するから偏向した活動


(6)アフガニスタンに医療指導部隊を派遣検討
•防衛省設置法4条の「教育訓練及び研究を行うこと」とする方針。2008年以降、同じ規定に基づきアフリカのPKOセンターに陸自派遣を前例。
•非戦闘地域と戦闘地域の違いを無視
•自衛隊を「法の支配」から外すのと同然の検討
•シビリアンコントロールの強化を目指しながら、逆に招く弱休化



3 米軍再編の現状


(1)迷走する普天間問題


(2)空母艦載機部隊の岩国基地移転問題


(3)キャンプ座間に来ないことになった第1軍団。矛盾するグアム移転


(4)第5空軍の空疎化



4 揺らぐ日米の安全保障関係


(1)普天間見直しの可能性が薄れた


(2)今年11月の沖縄知事選挙が終わっても何も決めない


(3)政府と沖縄の温度差が広がれぱ、日米関係が変化



5 民主党政権が続けば、いずれは憲法改定へ


(1)民主党は1999年に置いた憲法調査会で「創憲」を提唱


(2)菅氏は「イラクに自衛隊を派遣しないと日本の平和が維持できないなら、憲法改正を提起するのが筋ではないか」(04年1月21日、衆院本会議で代表質問)、「自衛隊は軍隊」とも発言


(3)小沢氏は1999年に「目本国憲法改正試案」を発表。戦カの保持、国連常備軍の創設、天皇元首制を主張。鳩山前首相はかねてよりの改憲論者


(4)民主党政権が長期化すれば、5月18日施行の国民投票法を活用し、衆参国会議員3分の2の発議で憲法改定を発議。国民投票実施が可能になる。


(5)ブレーキ役として不可欠な社民党の与党復帰

http://www16.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/2902.html

15年戦争資料 @wiki 新防衛大綱考

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武器輸出三原則 首相、見直し了承 情勢緊迫で方針転換/産経
菅直人首相が、武器輸出を事実上全面禁止している「武器輸出三原則」の見直しを安全保障会議で了承していたことが27日、分かった。複数の政府筋が明らかにした。政府は12月10日の「防衛計画の大綱」の閣議決定に合わせ、戦闘機などの国際共同開発を可能にする緩和案を公表する方向で最終調整する。国際平和協力活動で派遣された自衛隊の重機などの現地供与も三原則の例外とする。

 菅首相は従来、「基本的考えを変えるつもりはない」と慎重姿勢を崩さなかったが、対米関係や緊迫する東アジア情勢を勘案して、自衛隊装備の高度化に向け大きく踏み込んだ。ただ民主党内には反対意見があり、仙谷由人官房長官らの問責決議可決で政権の求心力が低下する中、党内の意見集約は難航しそうだ。

 政府は11月16日、国防の重要事項を審議する安全保障会議を開き、防衛大綱を協議した。その席で菅首相は、防衛省などが求める三原則見直しを了承。「国会審議に耐えられるものにしてくれ」と指示した。

 これまで三原則で、兵器に転用可能な物品輸出も禁じられており、世界の趨勢(すうせい)となった共同開発に参加できなかった。最新鋭戦闘機「F35ライトニング2」のような開発に参加できないままでは、他国に比べて自衛隊の装備の開発が遅れ、日本の防衛産業も最先端技術から取り残される懸念が出ていた。

 政府筋は「共同開発に参加できないとデメリットが大きいことに首相は理解を示している」と指摘。別の政府筋は「国際紛争を助長しないという三原則の理念を維持することが説明できる緩和案なら否定しないという立場に転換した」と説明している。

 菅首相は26日の参院予算委員会で、共同開発に参加できない現状に触れ「武器体系が世界の水準から遅れてしまうこともある」と言及していた。

 民主党外交・安全保障調査会も近く大綱提言案をまとめ、共同開発の対象国について「国際的な武器輸出管理レジームを有力な目安とする」との新基準を設けた上での三原則見直しを打ち出す。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101128-00000066-san-pol

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●抗議と要請のFAXを!
【抗議先】
菅直人首相
官邸  tel 03-3581-0101 fax 03-3581-3883 
事務所  tel 03-3508-7323  fax 03-3595-0090

【外交・安全保障調査会役員】

中川正春   (FAX)03-3508-3428  (TEL)03-3508-7128
<会長>

長島昭久   (FAX)03-3508-3309  (TEL)03-3508-7309
<事務局長>  (E-mail)tokyo21@nagashima21.net

吉良州司   (FAX)03-3508-3364  (TEL)03-3508-7484
<事務局次長> (E-mail)http://www.kirashuji.com/contact/

大野元裕   (FAX)03-6551-0618  (TEL)03-6550-0618 
        (E-mail)http://www.oonomotohiro.jp/contact-1
【要請先】

平岡秀夫  (FAX)03-3508-1055   (TEL)03-3508-7091
       (E-mail)info@hiraoka-hideo.jp

近藤昭一  (FAX)03-3508-3882   (TEL)03-3508-7402
        (E-mail)http://www.kon-chan.org/contents/reference.html

今野東   (FAX)03-6551-0811   (TEL)03-6550-0811
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川内博史  (FAX)03-3597-2716   (TEL)03-3508-7637
        (E-mail)Kawauchi@mxz.mesh.ne.jp

生方幸夫  (FAX)03-3508-3944   (TEL)03-3508-7514
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首藤信彦  (FAX)03-3508-3435   (TEL)03-3508-7135

那谷屋正義 (FAX)03-6551-0409   (TEL)03-6550-0409
       (E-mail)masayoshi_nataniya@sangiin.go.jp

谷岡郁子  (FAX)03-6551-0524   (TEL)03-6550-0524
       (E-mail)http://www.taniokachannel.com/mailform.html

斎藤勁   (FAX)03-3508-3321   (TEL)03-3508-7706

●ご参加を!日本製の武器が世界の子どもたちを殺すの? 
新防衛大綱ってなに? 11・30衆院第2議員会館前路上集会
11月30日(火)18:00~19:00衆院第2議員会館前路上集会
「呼びかけ団体」
WORLD PEACE NOW、NO BASE 全国アクション、ピースボート、核とミサイル防衛にNO!キャンペーン、キリスト者平和ネット、フォーラム平和・人権・環境


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