参院選争点・消費税 多角的視点で見極めたい/琉球新報・社説 ほか

2010-07-06 11:45:42 | 沖縄
今参院選は消費税増税がにわかに大きな争点となっている。菅直人首相が「自民党が提案している10%を一つの参考としたい」と述べたことが発端だ。
 国債残高は主要先進国中最悪の水準にまで積み上がっており、このままでよいはずはない。だが数ある税の中でなぜ消費税なのか。もっと議論してしかるべきだ。
 民主は公約に「消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始」と明記した。自民は「当面10%」と踏み込み、公明も「環境整備を図る」とうたった。新党改革も「2020年ごろまでに10%以上」、たちあがれ日本も12年度での3%アップを掲げた。
 これに対し共産は「絶対反対」、社民も「引き上げはしない」と明記した。国民新は代表が「断じて賛成しない」と述べ、みんなの党は3年間増税しないと公約した。
 消費増税論者は一様に「社会保障の財源に充てる」と主張するが、疑問がわく。消費税導入以降の累計税収は224兆円だが、この間の法人税減税による減収額は累計208兆円。ほぼ全額が法人税減税の穴埋めに回った格好だ。
 では財政再建につながるかと言えば、2%引き上げた97年前後をみると公債残高はむしろ増えた。
 消費税だけで財政赤字を黒字化しようとすれば税率は27・3%にせねばならない。すると消費は凍り付き、国内総生産は6%以上も下がる。国富が30兆円も失われる計算だ。その影響で次の年には再び赤字になる。甚大な打撃のわりに効果は持続しないのだ。
 増税のほかに手段はないのか。事業仕分けは華々しいが、対象になったのは実は各省庁の予算や特別会計のほんの一部にすぎない。防衛予算5兆円、米軍への思いやり予算2千億円も手つかずだ。削るべき支出はまだまだ多い。
 消費税は逆進性の問題もある。収入が消費に回る割合は低所得者ほど高い。その増税は弱者へのしわ寄せにほかならない。取りやすいからといって飛び付くのが妥当だろうか。
 例えば所得税の最高税率引き上げや金融資産課税など、他の手段もあろう。だが、政党がそれらを検討したという話は聞かない。
 確かに社会保障給付は増える一方だ。欧州の財政危機も対岸の火事ではない。それにしても、やるべきことは山ほどある。多角的な視点で是非論を見極めたい。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-164597-storytopic-11.html

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消された争点/海鳴りの島から
7月1日の名護は午前中から雨が降り続き、時折雷が鳴って梅雨に戻ったような天気だった。高江ではヘリパッドの建設工事再開を警戒して多くの人が集まり、いくつかのブログで現地のようすを確かめながら一日を過ごした。今日は工事の動きはなかったようだが、これから気の抜けない日が続く。
 多くの人が指摘しているように、高江のヘリパッド建設計画と辺野古の新基地建設計画は連動している。普天間基地の老朽化したヘリコプターに替えて、2012年10月から沖縄にはMV22オスプレイの配備が予定されている。同機は辺野古新基地を拠点に高江ヘリパッド、伊江島補助飛行場、キャンプ・ハンセンを結んで訓練することが予想される。高江と辺野古の二つの計画が日米両政府の思惑通りに実現されてしまえば、ヤンバル上空をオスプレイが飛び回ることになる。そのようなことを許してはならないし、普天間基地が固定化されて宜野湾市上空をオスプレイが飛び回ることも許してもならない。

 6月30日は、旧石川市の宮森小学校に米軍ジェット機が墜落してから51年目であった。同小学校では遺族や児童生徒、職員が参加して毎年追悼集会が開かれている。今年は、亡くなった児童11人の名前が刻まれた「仲よし地蔵」の台座に、一般市民の犠牲者7人の刻銘板も埋め込まれたことが報道されていた。
 事故から半世紀余が過ぎた今、嘉手納基地は政府がいう「沖縄の負担軽減」という言葉の虚妄性を証明するかのように外来機の飛来が増加し、爆音被害も拡大している。普天間基地を指して「世界で一番危険な基地」ということが言われるが、嘉手納基地も周辺は住宅密集地であり、住民がさらされている爆音被害と危険は何も変わらない。宮森小学校で開かれる追悼集会の参加者の思いは、51年間踏みにじられたままだ。
 
 参議院選挙のまっただ中だ。しかし、鳩山退陣、菅内閣誕生によって、普天間基地問題は選挙の争点から消された。一ヶ月前までのヤマトゥの大手メディアの報道は、しょせんは鳩山首相を追い詰めて「県外移設」を潰すためのものでしかなかった(大半は)。政治家やメディア関係者に限らず、「沖縄問題」を語るヤマトゥンチューのうち、それが実際には日米安保の負担を沖縄に集中させている「日本問題」「ヤマトゥ問題」であることを自覚し、その解決のために取り組んでいる人はどれだけいるか。
 鳩山首相が退陣したときに、鳩山首相の数少ない功績として、普天間基地問題を全国的な話題にしたことを挙げている声があった。沖縄側からすれば、それが功績に挙げられること自体が、ヤマトゥの関心の程度を表している。案の定、鳩山退陣とともに関心も一気に減少し、元に戻った。
 だが、問題は何も解決しないままだ。むしろ先送りして当面をしのぐことで問題はさらに悪化する。普天間基地問題を参議院選挙の争点から消すことで、政府も大手メディアも無関心なヤマトゥの国民も、沖縄の「怒り」から目をそらし、「日本問題」「ヤマトゥ問題」から逃げている。なんと卑怯なことか。
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/595e8ee76a035f335c51f632339c154d

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[「普天間」違憲訴訟]局面打開へ新たな提起/沖縄タイムス・社説
もう、これ以上、我慢ができない、ということなのだろう。伊波洋一宜野湾市長が、国を相手に、普天間飛行場の違憲性を問う裁判を起こす考えを明らかにした。

 「普天間飛行場の危険性が放置され、市民の被害は受忍限度を超えている。司法の場で基地提供のあり方を問いたい」と伊波市長は言う。

 普天間問題の歴史は古い。西銘順治知事がワインバーガー米国防長官に会い、沖縄県知事として初めて、「普天間飛行場の移設」を要請したのは1985年6月。今から25年も前のことである。訪米直訴は「アメリカという空母にサバニでぶつかっていくような作業」だと言われた。

 初要請から11年後の96年4月、日米両政府はようやく普天間返還に合意する。だが、移設先をめぐって迷走を重ね、返還合意から14年がたつというのに返還の見通しは立たず、逆に混迷の度を深めるばかり。市長の判断は、局面打開に向けた新たな取り組みとして理解できる。

 普天間爆音訴訟の一審判決で、「うるささ指数(W値)」75以上のヘリ騒音の違法性が初めて認められた。判決は「墜落の不安や恐怖で精神的被害を著しく増大させている」とも指摘している。

 しかし、夜間の飛行を制限する騒音規制措置も、ヘリ墜落事故を受けて合意された場周経路も、守られていない、と市側は主張する。

 訴訟が実現すれば、政府も危険性除去に向け対応を迫られるのは確実だ。地方自治体が提訴するインパクトは大きい。

 普天間飛行場は日米安保条約に基づいて米軍に提供されている。司法の場で基地提供の違憲・違法性を問うことは可能なのだろうか。

 市からの依頼で訴訟の妥当性を調査していた専門家チームは、違憲性を問うことが可能だと判断した。

 住宅地のど真ん中にある普天間飛行場は安全性を欠いており、長期にわたって基地を提供し続けることは、憲法で保障されている地方自治権の侵害にあたる、という位置づけだ。

 ただ、この裁判には、気になる点もある。

 自公政権時代の政府はこれまで、普天間の危険性除去の必要性を認め、「だからこそ日米合意の速やかな実現が重要」だとの主張を繰り返してきた。裁判になれば菅政権も、「危険性を除去するため日米共同声明に基づいて辺野古移設を急ぎたい」と主張してくるのは明らかである。

 伊波市長の意思に反して、裁判が政府の格好の宣伝の場になりかねないのである。「国の怠慢」を問うはずの訴訟が、国によって逆に利用されるおそれもある。

 勝訴の見通しが立ちにくい裁判だけに、税金を投入することに対する市民の理解も欠かせない。市は提訴にあたって市民に丁寧に説明する義務がある。

 知事選の前に提訴することになれば伊波市長の出馬は難しくなるだろう。提訴後に市長を辞めることは責任放棄とみられるからだ。それも承知の上での提訴なのだろうか。
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-07-04_7763/


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