参考・歴史の解釈権を握るのは誰か(福井義高)/戦略情報研究所メールニュース 

2012-09-06 23:43:14 | 社会
戦略情報研究所は 『拉致・救う会』と 非常に関係の深い団体。

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《戦略情報研究所メールニュース Vol.141 平成24年9月7日》

※8月21日発行の会員向け情報「おほやけ」No.280と同じ内容です。

■ 歴史の解釈権を握るのは誰か

 福井義高(青山学院大教授・戦略情報研究所客員研究員)

 米国、というより世界有数の極東軍事史研究者、中国系米国人マオチュン・ユー(余茂春)米海軍大学(兵学校)教授には、米国の情報機関OSSの戦時中国での活動を描いた『中国におけるOSS』(OSS in China)という名著がある。当然ながら、主敵である日本に関する記述が豊富なことはいうまでもない。

 その中に、次のような一節がある。

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 「戴笠[情報機関最高幹部]の一番の頭痛の種は、屋戸の性的搾取への制御不能な衝動を損なうことなく、情報の保全を維持することであった。屋戸は中国人の若い女性を性奴隷(sex slave)として購入し、自宅で性の狂宴を催すことで、ジャーナリストや大使館の若い外交官の間で人気があった。屋戸の狂宴に最もよく参加していたのが、彼の親友、白戸であった。
 結局、屋戸は脅迫と強圧的抗議で、彼の「慰安」所(”comfort” cottage)を維持することを戴笠に認めさせることができた。」
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 学術書にまで「従軍慰安婦」が事実として書かれている、あるいは中国人によるウソのプロパンガンダは米軍の中枢にまで及んでいるのかと、憤懣やるかたない読者のみなさん、あわてず先までお読みください、
 実は、「屋戸」と「白戸」は当て字、それぞれ、ヤードリー(Herbert Yardley)とホワイト(Theodore White)、つまり日本人ではなく米国人である。これは重慶での話であり、戴笠は蒋介石のスパイの元締めなのである。したがって、「ジャーナリスト」も米国人を主とする連合国側の(おそらく)白人、「大使館」というのは米国大使館のことである。以上を正しく置き換えると次のようになる。

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 「戴笠[情報機関最高幹部]の一番の頭痛の種は、ハーバート・ヤードリーの性的搾取への制御不能な衝動を損なうことなく、情報の保全を維持することであった。ヤードリーは中国人の若い女性を性奴隷(sex slave)として購入し、自宅で性の狂宴を催すことで、ジャーナリストやアメリカ大使館の若い外交官の間で人気があった。ヤードリーの狂宴に最もよく参加していたのが、彼の親友、セオドア・ホワイトであった。
 結局、ヤードリーは脅迫と強圧的抗議で、彼の「慰安」所(”comfort” cottage)を維持することを戴笠に認めさせることができた。」
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 国民党情報機関のアドバイザーであるヤードリーはともかく、ホワイトは多くの方がご存じであろう。戦中は反中プロパガンダ、1980年代には日本叩きで我が国保守論壇では悪名高い、あのセオドア・ホワイトである。

 米国人の中国あるいは東南アジアでの悪行は、それでもチャーチル主導の英国の蛮行と比べればかわいいものである。英米主要メディアにも高く評価された『チャーチルの秘密戦争』(Madhusree Mukerjee, Churchill’s Secret War)には、当時の基準でも病的といってよい人種差別主義者だったチャーチルが、意図的に単なる不作を300万人のインド人を死に至らしめる大飢饉にしていく過程が描写されている。まぎれもない人道に対する罪である。

 戦後秩序は、第二次大戦聖(正)戦史観に依拠している。ところが、旧ソ連のみならず英米も含めた連合国側の、今まで隠されてきた都合の悪い真実も、時の経過とともに、日の目を見るようになった。

 これでは、先の大戦は聖戦などではなく、どっちもどっちの帝国主義戦争ということになりかねない。したがって、ソ連崩壊後に獲得した世界で唯一の「主人」の地位を米国が守るには、連合国にも「多少」の問題はあったにせよ、日本軍はソ連を除く連合国とは比べものにならない残虐非道のならず者でなければならない。

 中韓対日本の歴史認識「戦争」に際し、米国がどちらの側につくかいうまでもないだろう。うがった見方をすれば、意図するか否かはともかく、中韓は米国による日本永久占領の代理戦争を遂行しているだけなのかもしれない。


■参考情報

 戦略情報研究所の講演会でもお話ししていただいた矢野義昭・元陸相補(現岐阜女子大客員教授)らが「国家生存戦略研究会」を立ち上げ、国防問題に関わる公開講座を行います。ご関心のある方は下記をご覧下さい。

http://ameblo.jp/kokkaseizon/

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