JR西尼崎事故調問題 事故報告書検証委のメンバー決定 遺族ら7人も/黒鉄好@安全問題研究会

2009-11-14 08:13:53 | 社会
前原国土交通大臣が設置を約束した、尼崎事故報告書検証委員会のメンバーが内定し
ました。委員12人のうち7人を遺族・負傷者が占めており、今後の報告書検証作業
は遺族・負傷者が中心となって進むものと思われます。

こちらもブログからの転載です。

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http://www.kobe-np.co.jp/backnumber/ama_dassen/0002506321.shtml(神戸新聞)
より

 尼崎JR脱線事故の調査をめぐる情報漏えい問題で、国土交通省運輸安全委員会が
設置する検証チームのメンバーは10日、遺族、負傷者、負傷者家族計7人を含む1
2人に決まった。同日午前の記者会見で、前原誠司国交相が明らかにした。12月初
旬に第1回会合を開く。(山崎史記子、三島大一郎、磯辺康子)


 7人は、事故遺族らでつくる「4・25ネットワーク」世話人の浅野弥三一さん(
67)=宝塚市=や、「JR福知山線事故・負傷者と家族等の会」のメンバーら。ほ
かの5人は有識者。同委員会は「期限は設けず、報告書の信頼性や今後の鉄道事故調
査のあり方を含め検証してもらいたい」としている。前原国交相は「納得するまで検
証してほしい。協力はできる限りする」とした。

 浅野さんは「問題の検証はもちろんだが、事故調査の結論にも疑問が残っている。
できる限り冷静に、客観的な目線で対応したい」と話した。

 そのほかのメンバーは次の通り。(敬称略)

 安部誠治(関西大教授)▽佐藤健宗(弁護士)▽永井正夫(東京農工大大学院教授
)▽畑村洋太郎(工学院大教授)▽柳田邦男(作家)▽木下広史、大森重美(遺族)
▽小椋聡、坂井信行(負傷者)▽中島正人、三井ハルコ(負傷者家族)
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いよいよ尼崎事故報告書検証委のメンバーが内定、報告書の検証作業がスタートする
ことになる。鉄道事故の調査は専門性が不可欠であり、あまり感情論に流されすぎる
と、調査機関の使命である科学的な検証から遠ざかってしまうことになりかねないが
、遺族・被害者から選ばれた7名の顔ぶれを見る限り、その心配はなさそうである。
むしろ、訳のわからない「自称有識者」「自称鉄道アナリスト」よりも良い結論を出
してくれそうな人選である。当ブログの知りうる範囲で、主要メンバーの簡単な紹介
をしておこう(以下敬称略)。

安部誠治
 関西大学教授。鉄道安全問題について、以前から積極的に発言。2007年2月1
0日に開催された「JR西日本の安全を求めて~JR福知山線尼崎脱線転覆事故被害
者の切なるねがい」フォーラム(以下フォーラムと略)で、「事故原因とJR西日本
の安全思想の欠陥」と題して講演。JR西日本のATS-P設置に関する意志決定の
遅さ、カーブで速度超過の可能性があることを知っていながら鉄道会社を何ら指導し
なかった政府の鉄道監督行政の責任を指摘。

佐藤健宗
 信楽高原鉄道事故を契機に結成されたTASK(鉄道安全推進会議)事務局長・弁
護士。事故を契機に、鉄道事故の専門調査機関設置の必要性を強く訴える活動を続け
、この結果、運輸省に初めての鉄道事故調査機関が誕生した(航空事故調査委員会が
航空・鉄道事故調査委員会に改組)。

柳田邦男
 ノンフィクション作家・評論家。全日空機羽田沖墜落事故、カナダ太平洋航空機墜
落事故など主に航空機事故の取材に関わる。月刊「現代」2005年7月号誌上で尼
崎事故に言及。失敗をした個人に対する懲罰主義や、JR西日本の利益優先体質、経
営者の安全への無理解等が事故の背景にあるとして、これらを批判。同時に、事故調
査機関より警察の捜査権が優先する日本の事故調査体制の見直しを訴える。

淺野弥三一
 遺族。事故で妻と妹を亡くす。4・25ネットワーク世話人。JR西日本が報告書
の不正入手を行うきっかけとなった2007年2月1日の国土交通省による意見聴取
会に公述人として出席した。その後も国土交通省への要請、事故の捜査を巡る検察へ
の申し入れ等の行動で被害者を取りまとめ、中心的役割を果たす。

木下広史
 遺族。息子を事故で亡くす。2007年2月10日の「フォーラム」で、「事故に
関する原因究明と説明責任について」と題し報告。運転士用の標準時刻表が整備され
ておらず、その作成が運転士任せになっていた実態、ATS-Pのデータ入力が誤っ
ていたり入力されていなかったりするなどのずさんな状況があったことを明らかにし
た。また、「私はただ人間でありたいだけです。それまでの朝と同じように“行って
きます”と出かけていった家族が“ただいま”と帰ってくる姿を見守る幸せを奪われ
た遺族として、親として、息子への責務を果たしたいと思うのは当然のこと。それな
のに、事故から2年近く経とうとする今になっても、息子の墓前に私はなにひとつ報
告することができない」と涙ながらに訴えた。

小椋聡
 負傷者。「フォーラム」では「JR西日本の負傷者対応について」と題し講演。J
R西日本の不誠実な被害者対応を批判した。

報告書不正入手、山崎前社長が直接指示
尼崎事故調査報告書の漏洩問題を巡り、山崎正夫・前社長が報告書の不正入手を直接
指揮していた疑いが強まりました。

これも、国鉄分割民営化が生んだ罪のひとつだと思います。ブログで取り上げました
ので、転載します。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091110-00000057-yom-soci(読売新聞)より

 JR福知山線脱線事故の最終報告書案漏えい問題で、JR西日本の山崎正夫・前社
長(現・嘱託)が、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)の
窓口となる同社の担当部門の社員(55)に対し、漏えい工作を直接指示していたこ
とがわかった。

 社員を通して事前に入手した報告書案を公述人への応募を働きかけた国鉄OBに送
付。そのうえで、山崎前社長が、述べてほしい意見をOBらに伝えていた。刑事責任
追及をかわす狙いがあったとみられ、山崎前社長が工作を主導していた可能性が強ま
った。

 JR関係者らによると、事実調査報告書が公表される前の2006年12月頃、山
崎前社長は社員に対し、「報告書案の内容を把握したいので、その資料をできるだけ
早く入手してほしい」と指示。これを受け、社員は事故調の佐藤泰生・元鉄道部会長
(70)らから報告書案を入手した。

 山崎前社長は社員から入手したとの報告を受けた際、07年2月予定の意見聴取会
で意見を述べてもらう公述人候補に、国鉄OBだった伊多波美智夫、小野純朗両氏の
名前を挙げ、「あらかじめ報告書案を送っておいてくれ」と要請した。

 その際、山崎前社長は社員に、「伊多波さんは運転保安設備の専門家。新型の自動
列車停止装置(ATS)をカーブに整備することは一般的ではなかったという当社の
意見を理解してもらいたい」、「小野さんはダイヤに詳しい。福知山線のダイヤは過
密ではないという話をしてもらいたい」と話していたという。

 この頃、兵庫県警は、現場カーブへのATS未設置を業務上過失致死傷容疑で立件
する最大の焦点に絞り込み、幹部らの聴取を進めていた。また事故を起こした運転士
が異常な速度で運転した背景に、余裕のないダイヤがあったとみていた。

 山崎前社長の発言は、こうした捜査をかわす狙いがあったとみられる。
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一時期、山崎社長(当時)には、遺族対策を真摯に行い、一部の遺族から信頼を勝ち
得る一歩手前まで行った時期もあった。しかし、この事実はどうだろう。完全に報告
書の不正入手を主導している様子がうかがえる。

福知山線のダイヤに余裕がなかったことは明らかである。事故当時の運転時刻表(運
転士が運転中、運転席に備え付ける業務用時刻表)には10秒発、40秒着などと表
記されているものもあった。従来の列車ダイヤの考え方を変更してまで運転時分を切
り詰めようとしていたことは疑いない。

そもそも国鉄時代は列車ダイヤの最小単位は15秒だったから、30秒発や45秒発
はあり得ても、10秒発、40秒発などというダイヤはあり得なかった。今でも西日
本以外のJR各社は基本的に15秒単位のダイヤを踏襲している。かつて「時計より
正確」と言われた国鉄のダイヤは列車本数が少ない当時だったからこそ運用できた部
分もある。東京や大阪の国電区間では、ラッシュアワーを中心に15秒単位のダイヤ
すら形骸化し、守れないことが常態になっていたというのに、国鉄時代より4割も人
員を削減したJR西日本が国鉄時代より厳しい10秒単位などというダイヤを設定し
たのだから、守れるほうがおかしいのである。

当ブログはこうした事情を知っているから、事故を起こして亡くなった高見運転士の
責任など問えるわけがないと思っている。山崎前社長の責任も確かに重大だが、前任
者が築いた体制の上で指揮を執らなければならなかったという意味での限界も抱えて
いた。報告書不正入手は、そうした中から生まれてきた企業犯罪であり、山崎前社長
の罪は当然問われてしかるべきだが、同時に彼ひとりだけが責任を問われるのも公平
を欠く。やはり、こうしたダイヤにするよう指示した会社発足以来の歴代幹部の責任
こそ問われなければならないのである。

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黒鉄 好 aichi200410@yahoo.co.jp

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