徹夜の残業 室温10度。中国人実習生 賃金未払い/朝日新聞・岐阜

2008-03-09 11:31:25 | 社会
徹夜の残業 室温10度
「稼げると聞いたのに」

残業の時給300円。休みなしの徹夜作業ー。岐阜市で働いていだ中国人実
習生の女性4人が未払い賃金支払いを求めた労働審判では、外国人研修・技能実
習生らの過酷な労働実態が明らかになった。4人を含む実習生6人は、さらに第
1次受け入れ機関を相手取った損害賠償訴訟も提訴した。労働審判の調停成立を
受け帰国した彼女たちに、2年半、何を思いながら暮らしていたのかを聞いた。
(朝日新聞・岐阜・石倉徹也)

離日を2日後に控えた2月3日夜、4人が住む岐阜市内の寮を訪ねた。
実習生の1人、張璽さん(23)が室内を案内してくれた。垂れ下がった壁
紙、底が抜け粘着テープに覆われた床、切れた蛍光灯。6畳2部屋と台所
に、多い時で8人が暮らした。暖房器具はなく、手元の温度計は10度を指
す。4人は常にコートを着て、ミシンがけなどの仕事中は足元に湯たんぽ
を敷いた。かけ布団を4枚かけて眠った。
「環境のいい部屋に住める」と聞かされていたが、作り話だったとすぐ
にわかった。来日した日から働かされ、研修や実習という名の労働は、朝
から午後11時ごろまで続いた。
日を越すことや徹夜もあり、残業時聞は多い月で219時間に。風
邪でも仕事を強いられ、休みは数カ月に1回。張さんは「日本に行けばた
くさん稼げると聞いたが、実際は過酷な労働。体を壊して帰国する実習
生もいた」と話す。
なぜ逃げ出さなかったのかー。実習生らは来日前、中国の送り出し機
関に保証金として、年収の1~2年分にあたる約30万円や土地などを担保
として差し出した。「家族が借金して払ってくれた。途中で帰国するとほほ全部取られてしまう」
と陸叶さん(35)。逃走防止を目的に、パスポートや外国人登録証は会社に
預けさせられた。軟禁に近い状態で暮らし、目本語教育も受けられなかった。今も、
日本語はほとんど話せないままだ。

実習制のルール実態に合わず

労働審判では、ほぼ請求通りの調停が成立した。だが、安心はできな
い。来日前、中国の送り出し機関と「労働問題が生じても日本の行政機関
やメディアなどに訴えない」と契約を結んでいたためだ。
実際、岐阜市の別の会社で働いていた中国人実習生4人は、契約に違反
したなどとして帰国後に中国の裁判所に訴えられ、一、二審で敗訴し、
賠償金など約70万円や土地を請求された。
張さんらは「私たちの行動が、日本の各地の実習生らの紛争解決に役立
てばいい」と話す。だが「中国で訴えられると、負けるかもしれない」という不安も離れない。
外国人研修・技能実習制度について、国は、「日本の技術を外国人に教えることが目的」
としている。1年目の研修生は労働者と認めず、研修時間を超えて働いても労働時
間ではないとしている。
だが、企業が足りない労働力を補って安く働かせているのが実態だ。実習生らが
「一獲千金」を目指し、出稼ぎとして来日する現実もある。
4人の代理人の指宿昭一弁護士は「低賃金で働かせ、ブローカー化した
受け入れ機関が管理費として金銭を徴収するなど、脱法行為が平然と行
われている。制度の目的は実態に沿っておらず、国こそ問題の責任者だ」
と指摘する。

受け入れ組合側、争う構え

外国人研修・実習生を受け入れていた縫製会社に不法に基本給を天引き
させるよう指示したとして、岐阜市のアバなど3社で働いていた中国人実習生6人が、
第1次受け入れ機関「ソーイング・ワン協同組合」と同組合の木村政成代表理事(67)
を相手取り、未払い賃金など計約671万円の損害賠償を求めた訴訟の第
1回口頭弁諭が7日、岐阜地裁であった。
組合側は「アバなどに残業代金を決めたり、強制貯金などを指示したり
したことはない。むしろ最低賃金を守るよう指導した。雇用関係についても
も毎年2回、アバなどを集めて指導・監督した。未払いだったのはアバな
どだ」として争う姿勢を示した。
訴状などによると、6人は05年3月~07年9月、月約10万7千円の基本給で働いた。
手取りや強制貯金、寮費、光熱費名目で1月当たり7万3千~7万7千円を控除さ
れたが、残り約3万~3万5千円が支払われていなかった。
組合側の主張について、アバの経営者の男性(33)は「実習生らへの支払いを
怠ったと言うが、我々は組合から指示された労働条件に従っただけで、怠ってはいない。
そう言われるのは面白くない」と話した。
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中国人実習生の賃金未払い問題
岐阜市の縫製会社「ABA(アバ)」で働いていた4人が昨年10
月、「1日13時間以上の労働を強いられながら月約2万円の賃金しか支払
われなかった」などとして、同社に2年半分の未払い賃金約1100万円
を求める労働審判を岐阜地裁に申し立てた。
争点は「労働者として認められていない1年目の研修期簡に残業代を支
払えるか」だったが、労働者として認める形で、総額約930万円を4人
に支払うことで今年1月末に調停が成立。審理の過程で日本の第1次受け
入れ機関のソーイング・ワン協同組合が、アバを通じ実習生らの賃金から
月約4万円を管理費として徴収、利益を得ていた事実も明らかになった。
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1 コメント

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靖国映画の (李櫻監督に)
2008-03-09 15:48:45
コッチも映画にして欲しい。
是非!
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