【長崎】平和推進協会の「言論統制」事件についての経過報告

2006-03-20 21:11:47 | 社会
長崎平和推進協会(推進協)が、登録している協会会員の被爆体験証言者に対し、「国民の間で意見が分かれている政治的問題」として8項目(※下記参照)を挙げ、証言活動のなかで言及しないようにという要請を出したという、実質上の「言論統制」ともいえる件について、その後の経過を報告します。

※8項目…①自衛隊のイラク派遣、②憲法(9条等)改正、③天皇の戦争責任、
 ④有事法制、⑤原子力発電、⑥歴史教育、靖国神社、⑦環境、人権などの問題、
 ⑧一般に不確定な内容の問題(劣化ウラン弾)

まず、3月4日に、「被爆体験の継承を考える市民の会」が集会を行い、そこで
出てきた意見をもとに、同月13日、推進協に対し三項目の申し入れを行いました。
3項目の内容は、①発言自粛要請の方針撤回、②同協会会員の言論、思想信条の
自由の尊重、③同協会の民主的運営、です。

この申し入れにつき、上記「市民の会」世話人の森口正彦さんから、本日(3/19)
以下のような報告とコメントをいただきました。

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(報告)
○ 回答にあたっては、理事長、副理事の3名は必ず出席し、口頭&文書でだして
 もらう。
○ 3月17日に推進協の継承部会の総会が開催された。そのなかで、事務局と
 連携を密にする一部の会員から、
 
 ①「市民の会」の今回の要請は、これまでの継承部会の「和」を壊す分裂策動で
  ある。内部のことを何故外にだすのか。内部の問題に外(市民)から、とやかく
  言われる筋合いはない。
 ②(「政治的発言」が言えないことで)不満があるなら、外(推進協活動の外=
  民間団体)の、言えるところで言えば良い。

 という意見が出されている。

○「規制」の項目は、推進協の事務局6名が中心となって作成したという事実が
 明らかになった。

(コメント)
総じて、今回の問題を内部の問題に矮小化し、「協会員の和を乱す」という捉え方で、
ウヤムヤにして終息を図っているように感じられます。
「市民の会」としては、被爆講話の活動で「何を伝えるか、本当の『平和を伝える』
とはどういうことか」という、長崎市民(被爆者を含む)の良心、良識をはっきり
示していくことが必要だと思います。

(関連記事)
市民団体が「政治的発言の自粛」撤回申し入れ(3/14付長崎新聞)
http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kako/200603/14.html#06

NEWSあんぐる・被爆体験語り部に「発言自粛」要請(3/16付長崎新聞)
http://www.nagasaki-np.co.jp/peace/2006/kiji.html
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「政治的発言、被爆者は自粛を」平和推進協の要請に波紋
2006年03月22日朝日新聞

 長崎市の外郭団体・長崎平和推進協会(推進協)が証言活動をする被爆者に「政治的発言」の自粛を求め、波紋が広がっている。関係者は「言論の自由の侵害だ」と方針撤回を求めるが、推進協は拒んだままだ。

 1枚の文書が発端だった。タイトルは「より良い『被爆体験講話』を行うために」。推進協が1月20日、継承部会に所属する被爆者29人を集めた総会で手渡した。

 「意見が分かれる政治的問題についての発言は慎んでいただきたい」と記し、具体例として(1)天皇の戦争責任(2)憲法(9条等)の改正(3)イラクへの自衛隊派遣(4)有事法制(5)原子力発電(6)歴史教育・靖国神社(7)環境・人権など他領域の問題(8)一般に不確定な内容の発言(劣化ウラン弾問題など)の順で示している。

 危機感を抱いた被爆者らがつくった「被爆体験の継承を考える市民の会」は今月13日、推進協に方針の撤回を求めた。

 代表の舟越耿一(ふなこえ・こういち)長崎大教授(60)は「原爆は戦争という時代の中で落とされた。いま日本は戦争への準備を始め、核戦争の脅威も迫る。『政治』を抜きに語れない」。8項目を選んだ理由も不透明だと指摘する。

 推進協によると、以前から被爆者の証言について「話が聞きにくい」「主張が偏っている」という声が、学校などから寄せられていた。丸田徹事務局長(60)は「このままでは話を聞いてもらえなくなるし、中立性を保つことが必要だと考えた。文書は撤回しない」と話す。

 推進協は83年、原水爆禁止運動の分裂をきっかけに官民一体の幅広い組織を目指して生まれた。政治的に意見が違っても、核兵器の廃絶と平和の実現という「最大公約数」で団結しよう。今回の要請はその方針の再確認が狙いだったという。

 だが、推進協の設立に深くかかわった前長崎市長の本島等さん(84)は「一つの価値観への忠誠を強いて戦争へと突き進んだかつての道が現れた」と危機感を示す。

 88年12月に市議会で「(昭和)天皇の戦争責任はあると思う」と発言。90年1月、右翼団体のメンバーに市庁舎前で銃撃されて胸に重傷を負った。「民主主義は少数の意見も尊重し、議論を交わせること。社会全体が言論の自由を軽視するようになるのは心細く、寂しい」


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http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/ae42ffd2184f654e798d54a8c1e5ae2e
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