公務パート裁判 雇止め解雇事件、日本初の地位確認を認める勝利判決

2006-03-26 11:01:39 | 労働運動
日本には、国家公務員非常勤職員という身分で働いている人が何万人もいます。それらの人達は、今まで雇止めされても任用されなかっただけで、解雇でないとされ地位確認の裁判が争われても負けてきました。それが、ついに多くの敗訴の判例のつみ重ねの中で、風穴を大きく明けました。全面勝訴といってもいい内容です。
下記に、概要を載せます。詳しい情報については 女性ユニオン東京 wtutokyo@f8.dion.ne.jp

非常勤職員の労働権を認める大きな前進です。共に祝ってください。
勝利判決報告集会を 3月30日 6時半から 渋谷勤労福祉会館で開催します。参加して下さい。

判決文全文 準備中


『概要』

2006年3月24日 平成16年 (ワ)第5713号 地位確認等請求事件
東京地方裁判所民事第36部 裁判官 山口 均 

判 決

主 文

1 原告○○と被告との間で、原告○○が被告に対して労働契約上の地位を有することを確認する。

2 被告は、原告○○に対し、金190万円290円並びに平成16年3月17日から本判決確定の日まで
  毎月17日限り、1ヶ月金19万29円及びこれに対する各支払日の翌日から支払済みまで年5分の
  割合による金員を支払え。

3 原告国立情報学研究所非常勤職員組合の請求を棄却する。

4 訴訟費用は、原告○○と被告との間においては全部被告の負担とし、原告国立情報学研究所非常勤職員   組合と被告の間に
おいては、被告に生じた費用の3分の1を原告国立情報学研究所非常勤職員組合の負担  とし、その余を各自の負担とする。

5 この判決は、第2項に限り、仮に執行することができる。ただし、被告が金500万円の担当を供にするときは、
  上記仮執行を免れることができる。

判決理由概要 一部抜粋

 思うに、非常勤職員と言っても、任用更新の機会の度に更新の途を選ぶに当たっては、その職場に対する愛着というものがあるは
ずであり、それは、更新を重ねるごとにましていくことも稀でなはいところある。任命権者としては、そのような愛着を職場での資
源として取り入れ、もってその活性化に資するように心がけることが、とりわけ日本の職場において重要であって、それは、民間の
企業社会であろうと公法上の任用関係であろうと変わらないものと思われる。
 また、非常勤職員に対する任用更新の当否ないし担当業務の外注化の当否については方針もあろうが、任用を打ち切られた職員に
とっては、明日からの生活があるのであって、道具を取り替えるのとは訳が違うのである。
 これを本件についてみるに、国情研においては、原告ら非常勤職員に対して冷淡すぎたのではないかと感じられるところである。
永年勤めた職員に対して任用を打ち切るのであれば、適正な手続きを試み、相応の礼を尽くすべきものと、思料する次第である。

本件任用更新拒絶は、著しく正義に反し社会通念上是認しえないというべきであって、---特段の事情が認められる場合に該当するも
のと思料する。
 よって、任命権者たる国情研所長が原告に対して、平成15年4月1日以降の任用更新を拒絶することは、信義則に反し、許され
ないものといわなければならない。

 前記大阪大学図書館事務補佐員再任用拒絶事件の事案と本件を比較してみても、本件に前記事件の最高裁判決の言う「特別の事情
が」を認める余地がないことは明らかであるとする。しかし、前記の事案は、日々雇用職員で4月1日から翌年3月30日まで任用
予定期間とし、3月31日には公務員たる身分を保有してないことから任用の「更新」といえるか、厳密にいえば微妙な事案であ
り、採用から3年度目の任用予定期間の満了をもって再任用されなかったという事案であって、本件原告のように、任用更新が13
回に及び、その結果通算して13年11ヶ月にわたって非常勤職員の身分を継続して保有していた事案とは異なるものである。
したがって、最高裁判決が、当該事案の事実関係の下においてはそのような「特別の事情」があるということができないと判示した
としても、本件は事案をことにするものであるから、同一には考えられない。


女性ユニオン東京
http://www.f8.dion.ne.jp/~wtutokyo/3.23.htm


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「非常勤公務員の再任拒否は無効」東京地裁が初判断
2006年03月24日20時01分

 任期付きで国立研究施設に採用され、13回の更新を繰り返した非常勤職員
(39)が14回目に一方的に再任を拒否されたのは不当だとして、国(現在は
民間法人)を相手に職員としての地位確認と未払い賃金支払いを求めた訴訟で、
東京地裁の山口均裁判官は24日、職員側の主張を全面的に認める判決を言い渡
した。

 労働問題に取り組む弁護士グループによると再任拒否された任期付き公務員の
地位確認が裁判で認められたのは初めて。原告代理人の弁護士は「非常勤公務員
の立場に理解を示した画期的な判決」と話した。

 原告は89年に国立情報学研究所(現情報・システム研究機構)に任期1年で
採用され、更新を繰り返した女性。04年の民営化を前に03年3月、再任拒否
された。

 民間では「次も更新できる」という期待がある場合の一方的解雇は「権利乱用
や信義則違反にあたる」とのルールが確立しているが、公務員では任用側の裁量
が民間より大きいとして認められてこなかった。

 判決は「更新を重ねるたびに増す愛着を職場に生かす重要さは同じ」と述べ、
特段の事情がある場合は更新を拒絶できないと判断した。



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