宮崎学 責任編集「直言」創刊

2006-02-22 20:43:19 | 新刊・新譜情報
創刊にあたって/私は、数年前あたりから、「こんな国は捨てたい」とずうっと思い続けてきた。その気持ちは強くなることはあっても、弱くなることはない。

今もそうである。

 さて、この「国を捨てたい」という話をすると、人からは「何が気にくわないのか」と聞かれる。

 もちろん全部である。敢えて言えば、この国の民衆に対する絶望である。理屈っぽく言い換えれば、明治維新以降のこの国の近・現代の歴史と構造、そしてそれを支える民衆の意識に対する絶望である。「民衆の意識は変わる」という戯言(されごと)と付き合う暇な時間は、還暦を迎えた私には最早ない。そうした問題意識から、この国に生を受けた者として、この国を捨てるにあたっての三下り半を記しておこうと考えていた。何故この国はこんななのか、何故民衆の意識はかくもおぞましい擬制の上にあるのかを徹底して明らかにするのが「去りゆく者」、つまり私の責務だと思うにいたった。そこで、この時代、この国の各分野の「生」の姿を躊躇することなく表現している人たちを私の主観によって選ばせていただいた。その方々が今回のウェブマガジンの執筆陣である。

 既成のメディアは「擬制」の推進者であることは論をまたない。その中から「何か」が生まれることなどは最早ない。しかし、この国とこの社会には、必ず「生々しい」現場がある。その「現場」をどう見るのか、そしてその「現場」とどう向き合うのか、それを示しうるのはわが執筆陣以外の日本の表現者にはその能力は全く無いと思う。

 この「直言」の表現空間で示される執筆陣の意見こそが、この国の「現場」であり、表現者としての「良心」であると確信している。そして、それはこの国に対する三下り半になることであろう。
連載陣一覧


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。