高校生をドアに挟んだまま列車が走行/特急たから@鉄ちゃん

2006-12-11 08:13:47 | 労働運動

ドア外に生徒700メートル走行 福岡・平成筑豊鉄道 鉄橋も通過 足挟んだまま

 福岡県福智町の平成筑豊鉄道伊田線で6日朝、列車が女子高校生(17)の足をドアに挟んだまま動きだし、生徒が車体にしがみついて1駅間、約700メートルを走る事故があった。生徒は転落を免れたが、左足に軽傷を負った。同県警田川署は、一歩間違えば惨事になりかねなかったとして、業務上過失傷害の疑いで運転士(59)らから事情を聴く。

 同社によると、列車は1両編成のワンマンディーゼル車。午前6時半すぎ、同町金田の人見駅で、運転士が折り戸式の自動ドアを閉め、乗車しようとしていた生徒がつま先を挟まれた。列車はそのまま発車し、次の金田駅まで最高時速40キロで運行。この間、生徒はドア下のステップに右足を置き、両手でドアの脇の手すりにしがみついていたという。

 生徒の友人が「友だちが乗っていない」と運転士に伝え、運転士が同駅でバックミラーを確認して初めて生徒に気付いたという。途中、長さ約140メートルの鉄橋も通過しており、目撃した男性(48)は「女の子が落ちないかとひやひやした」と話した。

 記者会見した同鉄道の出島静吾専務は「運転士が十分確認しないまま列車を発進させたようだ。公共交通機関への信頼を損ない申し訳ない」と謝罪した。

=2006/12/07付 西日本新聞朝刊=
(西日本新聞) - 12月7日10時7分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061207-00000008-nnp-l40 より
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平成筑豊鉄道は、国鉄の第3次特定地方交通線だった伊田線・糸田線・田川線の3線を転換して発足した第三セクター鉄道です。国鉄特定地方交通線転換の第三セクターは、1社1路線であることが多いのですが、この会社は1社で3線を経営する珍しい形態です。第3次特定地方交通線の中でも、北海道ちほく高原鉄道(廃止)などと並んで第三セクターへの転換が最も遅かったグループのひとつで、転換は民営化後の89年にずれ込んでいます。
私自身は、まだJRだった時代の89年春に1回乗り、転換後もすぐに乗りに行きました。レールバスの走行性能の良さに驚いた記憶があります。

いま、地方ではワンマン運転は日常風景になり、誰も疑問を抱かなくなっていますが、この事故はワンマン運転の弊害が最も典型的に出たものといえます。
さらに、運転士がヒューマンエラーを起こした際の最後の砦であるフェイルセーフ機構も働きませんでした。

第三セクター鉄道で導入されている、いわゆるレールバスには、道路上を走る一般のバスと同様に「インターロック装置」というものがついています。これはドアが開いている状態では機械的に発車できないようにする装置です。道路上を走る一般のバスでは、前扉の付近に「インターロック作動中」というランプ(赤や緑色のことが多い)が点灯しているのをよく見かけます。

このような事故を防止するには、通勤・通学ラッシュの時間帯だけでも車掌を乗務させることが最も適切であることは間違いありませんが、ドアが完全に閉まりきっていないのにインターロックが作動しなかったのも重大なので、さしあたりインターロック装置の総点検をすることが必要であると考えます。
さらに見逃せない要因として、第三セクター各社の車両の老朽化問題を指摘しておかなければならないでしょう。
レールバスの耐用年数は、使用状況にもよりますがおおむね15~20年くらいと考えて間違いないでしょう。最も第三セクター転換が遅かった平成筑豊鉄道でも耐用年数が近づいており、転換が早かった他の第三セクター鉄道ではすでに深刻な車両老朽化に直面しているところがあります。
今回の故障は、第三セクター鉄道の車両の老朽化がいずれは引き起こすであろう重大事故の「警告」と考えられます。早急に老朽化対策が求められますが、列車を走らせるだけで青息吐息の第三セクター鉄道に大規模な車両の更新費用が出せるとは思えません。場合によっては車両の更新費用が出せないために廃止の選択をせざるを得ないところも出ると思います。

この問題も、元をただせば結局は国鉄分割・民営化に行き着くものであり、行政も国民も含めてみんなで考えていくべき問題です。地域の人たちの交通権を守りつつ、安全な鉄道をつくるためにどのような取り組みが必要なのか、まだ大事故に至っていない今のうちに検討を始めなければならないと思います。

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