旅人

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新聞小説

2013-03-17 | 私の本棚
筒井康隆の連載小説「聖痕」が終わりました。 約8ケ月の間、毎朝読み続けてしまいました。

その訳は 文章の中に引用されていた 数多くの 古語・枕言葉 に、惹きつけられたのです。

今まで聞いた事もない古語が、毎日 引用されていました。

私は解説部分を切り取り、天声人語の書き写しノートに 毎日添付していました。

例えば、 3月11日は ※ 人別(ひとわ)き= 相手によって態度を変える。

※ たまゆらの= ほんの少しの間 ※きの字形(なり)= 身体を折り曲げた窮屈な寝かた

※ 高胸坂(たかむなさか)= 寝ている胸の高さ ※ 手房(たぶさ)= 手首、手、腕

※ 同腹中(どうぶくちゅう)= 同じ思い ※ 婚合い(くなが)= 性交

※ 化転(けでん)=気が転倒し狼狽する ※ 昵契(ちけい)= 男女が戯れてする会話

と毎日、古語に触れていました。何となく解る言葉もありましたが、殆ど解りませんでした。

日本語の、変化し続ける長い歴史を感じました。 挿絵は 息子さんの筒井伸輔さんでした。


ところで内容は、男性自身を 幼い頃変質者に切り取られ、成人した美目秀麗の男性が、

後年 犯人と出会った時に、過ちの許しを請う犯人に向かい、

「私は貴方に感謝すべきかもしれない。失われたおかげで色欲から解き放たれ

リビドーの呪縛もなく、エディプス・コンプレックスとも無縁だった為、

自分が如何に自由で平和な半生を送ることができたことか。」

と語りかけた。闘争心の源を喪った人間の 欲望に振り回されることなく、

人の得ない幸せを持てた自分に、満足していた。

次は宮部みゆきの「荒神」が、14日から始まりました。挿絵が、(こうの史代)です。

これからは、毎日の挿絵も 楽しみです。