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せろふえ

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ジジイの台所 沢野ひとし

2023年05月02日 | 
 
 沢野ひとしは椎名誠の挿絵で有名なのだろう。椎名誠が特別好き、ではないので、この本をどこで知って頼んだかすっかり忘れてしまっているが、それでいいのだ。

 とっても良かった。おもしろかった。考え方がすばらしいと思う。台所にまつわる親兄弟との思い出がなんていうか、胸に染みる。
 常備菜で紹介されているショウガの酢漬け、蓮根の酢漬け、ピェンローはもちろん知っていたが、常夜鍋など作ってみたい。
 断捨離とか終活とか興味がないが「じじいの片づけ」は読んでみるかな。

リンボウ先生の書物探偵帖 林 望

2023年04月09日 | 

 林望は「イギリスはおいしい」がすばらしくて、他のも次々楽しく読み、しだいに鼻についてきて、それでも目に入るとちょっと読んだりしてきた。この本はひさしぶりにというか、ともかくおもしろい、すばらしい。書誌学についてシロートにもわかるようにていねいに書いたものなのだが、書誌学って科学で、考古学なのらしい。膨大な知識の土台の上で科学的に推論したりその知識をさらに積み上げていくさまがすばらしいのだ。
 古書のページの文字組の周囲に枠がある。この隅がきちんと閉じているものは金属活字で、隅が離れているのは木活字。金属活字は蜜蝋と木灰を混ぜたものを流し込んで固めるので(蝋が漏れないように)四隅が閉じていて、木活字は組み木のように組んで作り、隅が離れている。
 そういうことがさまざまとてもわかりやすく書いてあるのだ。

 僕自身は書誌学なんてぜんぜん接点がないが、科学の徒で音楽趣味なもので、音楽がらみでとてもおもしろかった。
 つまり、まあたいていバッハなのだが、バッハの使っていた紙の透かしからその作曲年代がだいたいわかる。5線紙なんて売ってないから熊手のような5線を引くペンを使っていたのだが、バッハは何本か持っていて、一本はどれかかがかすれるくせがあり、一本はどこだかの間隔がちょっと広い、そしてそれはいつ頃からいつ頃まで使っていたのがわかっていたりする。無伴奏チェロ組曲は筆写譜が4種類伝わっていて、失われたたぶんバッハの書いたものをもとにAとBが筆写されそのBを元にCとDが写されたとかなんとかがさまざまなことからわかっている。(すみませんこのABCDはいい加減です。)
 そんなことを思い出して、おもしろかった。

せっちゃんのごちそう 辛 淑玉

2023年03月26日 | 
 辛 淑玉(しん・すご)の自叙伝。図書館で見かけて、「どんどん どんどん」みたいで、絵本かと思った。ぱらぱらめくったら、スカスカしていて、ひとつひとつは1ページか2ページらしく、やっぱりこども向けの本かと思ったら、壮絶な幼少期というか家族とのこと、その後もすごい。こういう形式の自叙伝って初めて読んだので、それにも感心した。

虚構の城  高杉 良

2023年03月17日 | 
「経済小説の巨匠」高杉良のデビュー作とのこと。出光興産をモデルにしたもので、その大家族主義というか反組合の力により左遷された男の戦いというか、戦っているのか、翻弄される姿を描いている。一部に「成功と挫折」みたいに書いてあるが、成功なんてなにも書いてない、成功したことが書いてあるだけ。挫折というか、会社あるいはその上層部のあまりにあからさまな反組合主義によるあれこれが、リアル?に書いてあるのだろう、あまりに不快で胸が悪くなった。
 出光は今は株式上場したちゃんとした会社です!とネットに書いてあったりするけれど、ほんとかね?この本のあとがきにも「創業者の遺伝子は受け継がれている。新入社員はさぞや戸惑うことだろう。」とある。さもありなん。
 著者は竹中平蔵を「「実体経済を知らない」と酷評し、竹中とその側近であった木村剛・岸博幸のトリオを、日本経済を誤った方向に導く悪人的存在として、小説中に仮名でたびたび登場させている。(以上wiki)」と言うし、日本経済新聞と戦っていたり、ともかく強いものと戦う姿勢に感心し、尊敬する。

仰げば尊し 幻の原曲発見と『小学唱歌集』全軌跡  櫻井雅人 ヘルマン・ゴチェフスキ 安田寛

2023年03月11日 | 
 仰げば尊しが大きく題名として印刷されているが、『小学唱歌集』全軌跡 のほうをクローズアップすべきで、あやしい出自の小学唱歌の原典をさぐる軌跡を書いたもので、すばらしいし、なかなかおもしろい。
 蛍の光がスコットランドの曲だというのはよく知られているが、他の曲もスコットランドの曲だと誤解というかはやとちり?されていたり、他のいいかげんな推測を排して、ちゃんと原曲を探している。
 その、原曲を探す過程で「民謡」とはなにか、とか、明治維新がらみの西欧のキリスト教の布教のこととか、いろいろ根源的なことまで踏み込んでいておもしろい。
「民謡は、(略)むしろ「わらべうた」とか「春歌」のほうが民謡的である」「あるアメリカの民俗学者は「春歌」が含まれていない民謡集はすべて編集されたものだ」というのはなかなかすごい記述だが、まったくそうだ、そのとおりと思う。
 専門的な本だと思うが、だれでも読む意味があると思う。

目の見えない白鳥さんとアートを見に行く 河内有緖

2023年03月02日 | 
 全盲の美術鑑賞者の白鳥さんとアートを見に行く話。
 基本的には全盲の人が絵を見ることはできない。一緒に行く人にこういう絵だよと説明されたり、あるいはまあ、いろいろ思いつくことを言ってもらったり会話して、つまりそういう会話とか、雰囲気とか、付随するあらゆるものをを楽しんでいるのだろう。
 著者自身がそういう状況、会話などで自分を見つめ直すというか、価値観が揺さぶられるさまがなかなか良いし、読む方も同じだ。見えるということ、見るということはそもそもどういうことなのだろうか?
 また、障害者のことも、障害をもつ子供を持っていると、ますます考えさせられるし、そもそも障害って何?こういうのって、まだそんなこと言ってるの?じゃなくて、ずっと考え続けなければならないことなのだ。(ということもこの本の中に出てくる。)
 一方で、著者や友達のマイティの「美術は先入観や基礎知識なしにただ見れば良いんだよ」というのには、そういう面もあるが、たいてい間違っている、とも思う。名著「怖い絵」中野京子を読むべきだ。
 そういうわけで、なかなかおもしろかった。

言いまつがい 糸井重里編

2023年02月24日 | 
 つい、疲れない、どうしようもないようなものが目に入ると手に取ってしまう。ありきたりのもので、そういえば「おかんメール」なんてのもあったなあ。ついわらってしまう、いかん。
 米米CLUBのことが書いてあるが、僕自身、これより一歩進んでいると思うので、書いて良いと思うが、
 最初、米米CLUBというのを目にしたときに、なんて読むんだろうと思ったのだがこの、ひとをおちょくるような所のあるバンドが字面どおり「こめこめくらぶ」だけはないと思ったのだ。「べいべいくらぶ」だろうか、それとも「まいまいくらぶ」かなあ、いや「よねよねくらぶ」かも。


 ウクライナ戦争は1年だという。ロシアに擁護すべきものはなにもない。とっととあきらめろ。
 昔、アメリカだって、ベトナムはじめ同じことを延々と続けてきた。今だってたいして変わらない。
 はだしのゲンはずっと読み続けなければならないし、子どもたちにも勧め続けなければならない。


「タモリ倶楽部」が3月で終わりなのだという。ざんねんだ。どんどんどんどんTVがつまらなくなる。いや、最近では「家康のスマホ」のシリーズはちょっと良いな。NHKのニュースは反社会的勢力だと思う。

救命センター当直日誌 浜辺祐一

2023年02月22日 | 
 どうもどうもこういうのが好きらしくて図書館で見かけて借りた。それほどすばらしい感じはないが、おもしろかった。
 著者の価値観が世間とは適度にずれていて(そんなことない?)、ちょっと考えさせるところがあるのだと思う。
「救命センターからの手紙」と言うのが先に書かれているらしい、それを先に読むべきだったか。まあいいか。

管理人の飼い猫 ペリーメイスンシリーズ E.S.ガードナー

2023年02月18日 | 
ペリーメイスンなんて何十年ぶりかで読んだよ。謎解きの部分もあり、なかなかおもしろかった。主人公が正義の味方なのか、ただ口だけの依頼人のためなら事実も曲げるのか、さっぱりわからないが、まあ少なくとも事実の解明のために法廷でしゃべくるのではなく、駆けずり回る姿勢はそうじゃなきゃあちっともおもしろくないだろうけどとても良い。
 このシリーズはどれもみんなおんなじ、らしいけれど、もういくつか読んでみようかな。

言わなければよかったのに日記 深沢七郎

2023年02月04日 | 
 最近ちっとも本を読んでない。

 深沢七郎は「楢山節考」の著者だが、このエッセイはどこで知ったのだろう?「言わなければよかったのに日記」が北大路公子を思わせるからか。でもあんまりおもしろくない。「自分はばかだ、なんにも知らない」アピールが激しくてなんだか楽しくない。ちょっと赤瀬川原平を思わせる文体?なのだが、赤瀬川原平のほうがいやな感じはない。途中で挫折しているが、こっちはただの楽しみのために読むのだ、まあいいか。

外国人が熱狂するクールな田舎の作り方 山田拓

2023年01月17日 | 
 新聞の書評かなんかでおもしろそうだと思い、図書館に入っているので借りた。
 飛騨古川を拠点にして、里山を巡るサイクリングなんかに外国人が殺到するのだそうだ。そういう田舎の復興とかビジネスとかを目指している人には参考になるのではないか。残念僕には用のない本だった。ただの読み物として少しおもしろい面はあったのだが。

富士日記 中 武田百合子

2023年01月04日 | 
 富士日記の中を読んだ。実になんにもないのだが、実に良い。正月に読むには最適だなあ。
 正月にはもっと楽器を弾いたり、遊んだりするはずだったのだが、なんだかいろいろあって全然楽器もさわってない。こんな一年なのか。困ったもんだ。

富士日記 上

神と悪魔の薬サリドマイド トレント・ステフェン ロック・ブリンナー 本間 徳子訳

2022年12月27日 | 
 サリドマイドのことはまさに僕の世代が被害を受けた。「サイドマイドのゆりかごにナチスの影」というのは実感が湧かないが、「単純で安価な方法」で抗生物質を作ろうとし、できたサリドマイドが抗生物質でも抗ヒスタミン剤でも鎮静作用もなく、だがどんなに大量に服用しても(実験用ラットは)死なないから、なんか使い道はないのかとおざなりに試験し、無料で医者にばらまき…と読み進めるとムカムカし、怒り狂う。「神と悪魔の薬」なんかじゃなくて人間(の一部)が愚かで傲慢な悪魔だ(もちろんだれも愚かではある)と思う。だが読み進めていくとそのサリドマイドがいくつかの病気の治療に欠かせない(今でも!)という。「神と悪魔の薬」なのか、あるいは人間というか生物は神が作ったのか悪魔が作ったのか、それからそういうしくみ(サリドマイドの催奇性のしくみや、そもそも人間や動物の「発生」のしくみ)を解明しようとし、しつつある人間とはなんなのか、と考え込んでしまう。
 それから、サイドマイドによって自閉症が高い率で発生する、そしてサリドマイドを利用して自閉症の病態の解明が進められている、と言うのだ。まったく知らなかったので驚いた。なんということだろうか。

流されるにもホドがある 北大路公子

2022年12月17日 | 
 北大路公子のまだ読んでないのがあったので借りてきた。いくつか読んでここに書いたはずなのだが、ブログ中断の時に消してしまった後まだ復活させてない。まあいいか。
 いつも狂喜乱舞して読むのだが、なれてしまったのか、これはそれほど爆笑せず、何回か失笑したくらいだった。まあいいか。
 北大路公子がなんと!流行(しているもの)について書いているもの。もうだいぶ昔の話題になってしまっているが、充分おもしろい。
 北大路公子もでデビュー作が一番おもしろいのかもしれないなあ。

国体論 白井聡

2022年11月20日 | 
 おおざっぱすぎるし、ねじ曲げていると言われるかもしれないが、
 国体だけは護持したくてこうして戦争に負けたが、たしかに国体は護持された、その国体というのはアメリカのことなのだ、なぜなら憲法すら凌駕する安全保障条約を無条件に受け入れているからだ。
 と言う。
 まったくそのとおりだと思う。
 著者の馬鹿に対する言い方は激烈をきわめる。
 自民党所属国会議員である山田宏は2018年 ツイッターで 沖縄の選挙は自民党対親中反米反日だと書いた。
「もはや論評のために取り上げるのも汚らわしいが、有名無名の人間によるこの手の発言の氾濫はすでに常態化し、われわれはそれにならされてしまっている。しかもこれは、いやしくも与党の国会議員による発言である。このような愚劣かつ品性卑しい発言をする政治家と政治勢力が、現に正式だ手続きにもとづいて権力を賦与され支持されているという事実の悲惨さには、あらためて瞠目せねばならない。(p298)」
 すごい。だがまったくそうなのだ。今、右翼とかあるいは「私は右翼でも左翼でもありません」(笑止千万!)などというやからはどれだけものを考えていないのか。今の日本は本当に絶望的だよ。