法律の周辺

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DV証明書を提出させたうえでの住民票の職権記載について

2008-01-27 21:21:20 | Weblog
毎日jp 無戸籍児:夫のDV証明で住民票 東京・北区

 記事には,概略,住民基本台帳法は戸籍の届けを受理した時は住民票の作成を義務付けているほか,事実確認のうえでの職権作成も可能としている,とある。
なるほど,住民基本台帳第8条には「住民票の記載,消除又は記載の修正(第十八条を除き,以下「記載等」という。)は,第三十条の二第一項及び第二項,第三十条の三第三項並びに第三十条の四の規定によるほか,政令で定めるところにより,この法律の規定による届出に基づき,又は職権で行うものとする。」とある。
「政令で定めるところにより」とあるから,次に住民基本台帳法施行令を覗くと,第12条第1項に「市町村長は,法の規定による届出に基づき住民票の記載等をすべき場合において,当該届出がないことを知つたときは,当該記載等をすべき事実を確認して,職権で,第七条から第十条までの規定による住民票の記載等をしなければならない。」とある。
しかし,同項の「法の規定による届出」の「法」が住民基本台帳法を指しているのは明らか(住民基本台帳法施行令第1条参照)。これに戸籍法まで含ましめ,「当該届出がない」を「出生届がない」と読むことについてはちょっと疑問が残る。
職権による住民票の記載は出生届を受理した後で云々,という旧自治省の平元・12・22自治振第98号兵庫県総務部長あて回答も上記のような解釈によるものではなかろうか(住民基本台帳法施行令第12条第2項第1号参照)。もちろん,子どもの福祉を考えた場合,この種の事案での職権記載の必要性を否定するつもりは全くないのだが。


「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の関連条文

(被害者の保護のための関係機関の連携協力)
第九条  配偶者暴力相談支援センター,都道府県警察,福祉事務所等都道府県又は市町村の関係機関その他の関係機関は,被害者の保護を行うに当たっては,その適切な保護が行われるよう,相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとする。

戸籍法の関連条文

第十三条  戸籍には,本籍の外,戸籍内の各人について,左の事項を記載しなければならない。
一  氏名
二  出生の年月日
三  戸籍に入つた原因及び年月日
四  実父母の氏名及び実父母との続柄
五  養子であるときは,養親の氏名及び養親との続柄
六  夫婦については,夫又は妻である旨
七  他の戸籍から入つた者については,その戸籍の表示
八  その他法務省令で定める事項

第四十九条  出生の届出は,十四日以内(国外で出生があつたときは,三箇月以内)にこれをしなければならない。
2  届書には,次の事項を記載しなければならない。
一  子の男女の別及び嫡出子又は嫡出でない子の別
二  出生の年月日時分及び場所
三  父母の氏名及び本籍,父又は母が外国人であるときは,その氏名及び国籍
四  その他法務省令で定める事項
3  医師,助産師又はその他の者が出産に立ち会つた場合には,医師,助産師,その他の者の順序に従つてそのうちの一人が法務省令・厚生労働省令の定めるところによつて作成する出生証明書を届書に添付しなければならない。ただし,やむを得ない事由があるときは,この限りでない。

第五十二条  嫡出子出生の届出は,父又は母がこれをし,子の出生前に父母が離婚をした場合には,母がこれをしなければならない。
2  嫡出でない子の出生の届出は,母がこれをしなければならない。
3  前二項の規定によつて届出をすべき者が届出をすることができない場合には,左の者は,その順序に従つて,届出をしなければならない。
第一 同居者
第二 出産に立ち会つた医師,助産師又はその他の者
4  第一項又は第二項の規定によつて届出をすべき者が届出をすることができない場合には,その者以外の法定代理人も,届出をすることができる。

住民基本台帳法の関連条文

(目的)
第一条  この法律は,市町村(特別区を含む。以下同じ。)において,住民の居住関係の公証,選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするとともに住民の住所に関する届出等の簡素化を図り,あわせて住民に関する記録の適正な管理を図るため,住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳の制度を定め,もつて住民の利便を増進するとともに,国及び地方公共団体の行政の合理化に資することを目的とする。

(国及び都道府県の責務)
第二条  国及び都道府県は,市町村の住民の住所又は世帯若しくは世帯主の変更及びこれらに伴う住民の権利又は義務の異動その他の住民としての地位の変更に関する市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)その他の市町村の執行機関に対する届出その他の行為(次条第三項及び第二十一条において「住民としての地位の変更に関する届出」と総称する。)がすべて一の行為により行われ,かつ,住民に関する事務の処理がすべて住民基本台帳に基づいて行われるように,法制上その他必要な措置を講じなければならない。

(市町村長等の責務)
第三条  市町村長は,常に,住民基本台帳を整備し,住民に関する正確な記録が行われるように努めるとともに,住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2  市町村長その他の市町村の執行機関は,住民基本台帳に基づいて住民に関する事務を管理し,又は執行するとともに,住民からの届出その他の行為に関する事務の処理の合理化に努めなければならない。
3  住民は,常に,住民としての地位の変更に関する届出を正確に行なうように努めなければならず,虚偽の届出その他住民基本台帳の正確性を阻害するような行為をしてはならない。
4  何人も,第十一条第一項に規定する住民基本台帳の一部の写しの閲覧又は住民票の写し,住民票に記載をした事項に関する証明書,戸籍の附票の写しその他のこの法律の規定により交付される書類の交付により知り得た事項を使用するに当たつて,個人の基本的人権を尊重するよう努めなければならない。

(住民票の記載事項)
第七条  住民票には,次に掲げる事項について記載(前条第三項の規定により磁気ディスクをもつて調製する住民票にあつては,記録。以下同じ。)をする。
一  氏名
二  出生の年月日
三  男女の別
四  世帯主についてはその旨,世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄
五  戸籍の表示。ただし,本籍のない者及び本籍の明らかでない者については,その旨
六  住民となつた年月日
七  住所及び一の市町村の区域内において新たに住所を変更した者については,その住所を定めた年月日
八  新たに市町村の区域内に住所を定めた者については,その住所を定めた旨の届出の年月日(職権で住民票の記載をした者については,その年月日)及び従前の住所
九  選挙人名簿に登録された者については,その旨
十  国民健康保険の被保険者(国民健康保険法 (昭和三十三年法律第百九十二号)第五条 及び第六条 の規定による国民健康保険の被保険者をいう。第二十八条及び第三十一条第三項において同じ。)である者については,その資格に関する事項で政令で定めるもの十の二  介護保険の被保険者(介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第九条 の規定による介護保険の被保険者(同条第二号 に規定する第二号 被保険者を除く。)をいう。第二十八条の二及び第三十一条第三項において同じ。)である者については,その資格に関する事項で政令で定めるもの
十一  国民年金の被保険者(国民年金法 (昭和三十四年法律第百四十一号)第七条 その他政令で定める法令の規定による国民年金の被保険者(同条第一項第二号 に規定する第二号 被保険者及び同項第三号 に規定する第三号 被保険者を除く。)をいう。第二十九条及び第三十一条第三項において同じ。)である者については,その資格に関する事項で政令で定めるもの
十一の二  児童手当の支給を受けている者(児童手当法 (昭和四十六年法律第七十三号)第七条 の規定により認定を受けた受給資格者をいう。第二十九条の二及び第三十一条第三項において同じ。)については,その受給資格に関する事項で政令で定めるもの
十二  米穀の配給を受ける者(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律 (平成六年法律第百十三号)第四十条第一項 の規定に基づく政令の規定により米穀の配給が実施される場合におけるその配給に基づき米穀の配給を受ける者で政令で定めるものをいう。第三十条及び第三十一条第三項において同じ。)については,その米穀の配給に関する事項で政令で定めるもの
十三  住民票コード(番号,記号その他の符号であつて総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)
十四  前各号に掲げる事項のほか,政令で定める事項

(住民票の記載等)
第八条  住民票の記載,消除又は記載の修正(第十八条を除き,以下「記載等」という。)は,第三十条の二第一項及び第二項,第三十条の三第三項並びに第三十条の四の規定によるほか,政令で定めるところにより,この法律の規定による届出に基づき,又は職権で行うものとする。

(調査)
第三十四条  市町村長は,定期に,第七条に規定する事項について調査をするものとする。
2  市町村長は,前項に定める場合のほか,必要があると認めるときは,いつでも第七条に規定する事項について調査をすることができる。
3  市町村長は,前二項の調査に当たり,必要があると認めるときは,当該吏員をして,関係人に対し,質問をさせ,又は文書の提示を求めさせることができる。
4  当該吏員は,前項の規定により質問をし,又は文書の提示を求める場合には,その身分を示す証明書を携帯し,関係人の請求があつたときは,これを提示しなければならない。

住民基本台帳法施行令の関連条文

(住民票の記載)
第七条  市町村長は,新たに市町村の区域内に住所を定めた者その他新たにその市町村の住民基本台帳に記録されるべき者があるときは,次項に定める場合を除き,その者の住民票を作成しなければならない。
2  市町村長は,一の世帯につき世帯を単位とする住民票を作成した後に新たにその市町村の住民基本台帳に記録されるべき者でその世帯に属することとなつたもの(既に当該世帯に属していた者で新たに法の適用を受けることとなつたものを含む。)があるときは,その住民票にその者に関する記載(法第六条第三項 の規定により磁気ディスクをもつて調製する住民票にあつては,記録。以下同じ。)をしなければならない。

(住民票の消除)
第八条  市町村長は,その市町村の住民基本台帳に記録されている者が転出をし,又は死亡したときその他その者についてその市町村の住民基本台帳の記録から除くべき事由が生じたときは,その者の住民票(その者が属していた世帯について世帯を単位とする住民票が作成されていた場合にあつては,その住民票の全部又は一部)を消除しなければならない。

(住民票の記載の修正)
第九条  市町村長は,住民票に記載されている事項(住民票コードを除く。)に変更があつたときは,その住民票の記載の修正をしなければならない。

(転居又は世帯変更による住民票の記載及び消除)
第十条  市町村長は,転居をし,又はその市町村の区域内においてその属する世帯を変更した者がある場合において,前条の規定によるほか必要があるときは,その者の住民票を作成し,又はその属することとなつた世帯の住民票にその者に関する記載をするとともに,その者の住民票(その者が属していた世帯について世帯を単位とする住民票が作成されていた場合にあつては,その住民票の全部又は一部)の消除をしなければならない。

(届出に基づく住民票の記載等)
第十一条  市町村長は,法の規定による届出があつたときは,当該届出の内容が事実であるかどうかを審査して,第七条から前条までの規定による住民票の記載,消除又は記載の修正(以下「記載等」という。)を行なわなければならない。

(職権による住民票の記載等)
第十二条  市町村長は,法の規定による届出に基づき住民票の記載等をすべき場合において,当該届出がないことを知つたときは,当該記載等をすべき事実を確認して,職権で,第七条から第十条までの規定による住民票の記載等をしなければならない。
2  市町村長は,次に掲げる場合において,第七条から第十条までの規定により住民票の記載等をすべき事由に該当するときは,職権で,これらの規定による住民票の記載等をしなければならない。
一  戸籍に関する届書,申請書その他の書類を受理し,若しくは職権で戸籍の記載若しくは記録をしたとき,又は法第九条第二項 の規定による通知を受けたとき。
二  法第十条 の規定による通知を受けたとき。
三  国民健康保険法第九条第一項 又は第九項 の規定による届出を受理したとき(同条第十項 の規定により届出があつたものとみなされるときを除く。)その他国民健康保険の被保険者の資格の取得若しくは喪失に関する事実又は退職被保険者等となり,若しくは退職被保険者等でなくなつた事実を確認したとき。
三の二  介護保険法 (平成九年法律第百二十三号)第十二条第一項 本文の規定による届出を受理したとき(同条第五項 の規定により届出があつたものとみなされるときを除く。)その他介護保険の被保険者となり,又は介護保険の被保険者でなくなつた事実を確認したとき。
四  国民年金法第十二条第一項 若しくは第二項 又は同法第百五条第四項 の規定による届出を受理したとき(同法第十二条第三項 の規定により届出があつたものとみなされるときを除く。),国民年金の被保険者の資格に関する処分があつたときその他国民年金の被保険者となり,若しくは国民年金の被保険者でなくなつた事実又は国民年金の被保険者の種別の変更に関する事実を確認したとき。
五  児童手当法第七条 の規定による認定をしたとき,又は児童手当を支給すべき事由の消滅に関する事実を確認したとき。
六  次に掲げる不服申立てについての裁決若しくは決定その他の決定又は訴訟の判決の内容が住民基本台帳の記録と異なるとき。
イ 法第三十一条の四 の規定による審査請求についての裁決若しくは異議申立てについての決定又は同条 の処分についての訴訟の確定判決
ロ 法第三十三条第二項 の規定による住民の住所の認定に関する決定又は同条第四項 の規定による訴訟の確定判決
ハ 公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)第二十四条第二項 の規定による異議の申出についての決定又は同法第二十五条 の規定による訴訟の確定判決
ニ 地方税法 (昭和二十五年法律第二百二十六号)第十九条 に規定する不服申立てについての決定又は同条 の処分についての訴訟の確定判決
ホ 国民健康保険法第九十一条第一項 の規定による審査請求についての裁決又は同項 の処分についての訴訟の確定判決
ヘ 介護保険法第百八十三条第一項 の規定による審査請求についての裁決又は同項 の処分についての訴訟の確定判決
ト 国民年金法第百一条第一項 の規定による審査請求についての決定若しくは再審査請求についての裁決又は同項 の処分についての訴訟の確定判決
七  行政区画,郡,区,市町村内の町若しくは字若しくはこれらの名称の変更,地番の変更又は住居表示に関する法律 (昭和三十七年法律第百十九号)第三条第一項 及び第二項 若しくは同法第四条 の規定による住居表示の実施若しくは変更に伴い住所の表示の変更があつたとき。
3  市町村長は,住民基本台帳に脱漏若しくは誤載があり,又は住民票に誤記(住民票コードに係る誤記を除く。)若しくは記載漏れ(住民票コードに係る記載漏れを除く。)があることを知つたときは,当該事実を確認して,職権で,住民票の記載等をしなければならない。
4  市町村長は,第一項の規定により住民票の記載等をしたときは,その旨を当該記載等に係る者に通知しなければならない。この場合において,通知を受けるべき者の住所及び居所が明らかでないときその他通知をすることが困難であると認めるときは,その通知に代えて,その旨を公示することができる。

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